内部被ばくについて、自主的に学習し、周りの方々に広めていくための会
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内部被ばくと健康被害

もんじゅ 核燃料取り出し4度目のトラブルでまたまた中断 2018年12月9日

 福井県の廃炉が決まり、廃炉作業が行われている高速増殖炉もんじゅ。そもそもでたらめ点検、管理で原子力規制委員会からもダメ出しを食らった、日本原子力研究開発機構がそのまま廃炉作業を担っています。沸騰水型原子炉(BWR)や加圧水型原子炉(PWR)が冷却水に水を使っているのとは違い、高速増殖炉もんじゅは冷却材に金属のナトリウムを使っています。ナトリウムが高温、高圧でも液体状態を保つことができるためです。ところが塩化ナトリウム(食塩)という形では、日常普段に接することができるのに対し、ナトリウム(純粋な金属)は空気中の水蒸気と触れ合うと爆発的に燃える性質があります。 CERON 金属ナトリウムの廃棄 大胆すぎる方法 – YouTube    高速増殖炉もんじゅの核燃料はこの金属ナトリウムの中に漬かっています。当然、空気中にそのまま核燃料集合体を出したら、金属ナトリウムがついていますから、空気中の水蒸気と触れ合い、爆発します。そのため、核燃料集合体についているナトリウムをアルゴンという気体で「洗う」必要があります。少しでも、金属ナトリウムがついていたら、爆発的に燃え、作業は中断します。もんじゅが運転を停止したのは2010年8月。以来8年間放置されてきました。核燃料集合体の健全性も不明と言えるでしょう。金属ナトリウムの爆発、同時に、破損した核燃料からの気体性放射性物質の拡散などの危険性を抱えています。  4度目のトラブル、聞いたことがないよ、と言われる読者もいるでしょう。そうです。大新聞はほとんど、もんじゅの事故を報道しないのです。福井県には、大飯原発3号機、4号機、高浜原発3号機、4号機と4基もの原発が2018年12月14日現在、稼働中です。4基の原発に事故・トラブル続きのもんじゅ。福井県や周辺の自治体に住む住民の命と健康が大丈夫なのでしょうか?  もんじゅの廃炉か、原発の稼働か、少なくともどちら1つでしょう。両方が事故を起こした場合の対策は打ちようがないのではないでしょうか。結論はただ一つ、福井県の原発はすべて廃炉にして、もんじゅの廃炉に集中すべきです。もんじゅのトラブル、事故をつつみ隠さず報道するべきだと考えます。 もんじゅ燃料取り出し、また中断 出入機で警報、8月以降4回目 佐賀新聞 2018年12月10日  日本原子力研究開発機構は10日、使用済み核燃料の取り出しを進めている高速増殖原型炉もんじゅ(福井県敦賀市)で、燃料出入機の異常を知らせる警報が9日に鳴り、作業を中断したと発表した。4日に別の出入機の警報で中断し、7日に再開したばかりだった。8月の取り出し開始以降、警報で中断するのは4回目。 機構によると、警報は9日午後9時20分ごろ、燃料貯蔵設備に運ぶ模擬燃料を出入機でつかむ作業中に鳴った。出入機の先端部に冷却材の液体ナトリウムが付着して固まったのが原因とみられ、数日かけて洗浄するとしている。 機構は、8日までに計56体の取り出しを終えた。当初、年内としていた計100体の取り出し完了時期は来年1月に延期している。 もんじゅ、冷却材の抜き取り開始 液体ナトリウム、年内完了予定 佐賀新聞 2018年12月4日  日本原子力研究開発機構は4日、廃炉作業中の高速増殖原型炉もんじゅ(福井県敦賀市)で、冷却材の液体ナトリウムの抜き取り作業を始めたと発表した。対象は放射性物質を含まない2次系の約220トンで、年内に完了するとしている。 機構によると、原子炉補助建物にある配管から抜き取り、同建物内のタンクで保管する。今年4~5月にも約530トンを抜き取ったが、タンクの容量不足のため、約220トンは抜き取らず配管内を循環させていた。 機構はタンクの空き容量を確保するため付近にタンクを増設し、先月25日までに保管中のナトリウムの一部を移送した。 抜き取ったナトリウムは当面、タンク内で固めて保管する。最終的な搬出先や処分方法は未定。 ナトリウムは、空気や水に触れると激しく燃える性質を持ち、扱いが難しいとされる。1995年のナトリウム漏れ事故では、2次系の配管から約640キロが漏れて火災が発生した。 もんじゅ核燃料の取り出し延期 計100体、作業の中断相次ぎ 佐賀新聞 2018年12月2日    高速増殖原型炉もんじゅ=福井県敦賀市  8月に取り出し作業を始めた高速増殖原型炉もんじゅ(福井県敦賀市)の使用済み核燃料について、日本原子力研究開発機構が、年内としていた計100体の取り出し完了時期を延期することが2日、政府関係者への取材で分かった。 燃料出入機の警報が鳴るトラブルや機器整備のため作業の中断が相次ぎ、これまでに取り出したのは計51体にとどまる。機構は1日当たり1体の取り出しペースを速めることを検討していたが、計画通りの実施は困難になっていた。 関係者によると、機構が今後、廃止措置計画の変更を原子力規制委員会に届け出るとみられ、来年1月中には計100体の取り出しを終えるとしている。所管する文部科学省の担当者が3日、福井県と敦賀市を訪れて説明する。 取り出し作業は8月末の開始以降、9月に警報が鳴るトラブルで2回中断。冷却材の液体ナトリウムが出入機の先端部に付着して固まったことが原因とみられ、機構は10月中旬から11月初めまで、取り出しをせず出入機の洗浄などを実施。11月中旬にも洗浄のため中断したほか、同28日からは出入機の部品交換のためとして中断している。 計画では、2022年度までに原子炉などにある使用済み燃料計530体の取り出しを完了。18年中には燃料貯蔵設備にある160体のうち100体の取り出しを終えるとしていた。 取り出し作業を巡っては、開始前にも機器のトラブルなどが相次ぎ、当初7月としていた開始時期が8月にずれ込み、機構が計画を変更した。 もんじゅ核燃料取り出し作業中断 機器の部品交換のため 佐賀新聞 2018年11月30日  日本原子力研究開発機構は30日、廃炉作業中の高速増殖原型炉もんじゅ(福井県敦賀市)で、燃料出入機の部品交換のため、28日から使用済み核燃料の取り出し作業を中断したと発表した。交換が終わり次第、近く再開するという。 機構によると、25日の取り出し作業後に関連機器のデータを確認したところ、出入機が燃料を引き上げる速度が通常より遅かったため、26日は取り出し作業を行わずに機器を調整。27日に作業を再開したが改善せず、出入機の動きを調節している部品を交換することにした。 もんじゅでは8月に燃料取り出しを始めて以降、出入機の警報が鳴るトラブルや機器整備のため、作業の中断が相次いでいる。11月15~20日にも、冷却材の液体ナトリウムが付着した出入機先端部の洗浄などのため中断し、21日に再開したばかりだった。 使用済み燃料は、これまでに51体を取り出した。年内にあと49体取り出す計画だが、従来の1日当たり1体のペースでは間に合わず、機構は態勢の見直しを検討している。 もんじゅ燃料出入機で警報、福井 10月に4件目、運用見直し 佐賀新聞 2018年11月10日  廃炉作業中の日本原子力研究開発機構高速増殖原型炉もんじゅ(福井県敦賀市)で、10月15日に燃料出入機の異常を知らせる警報が鳴っていたことが10日、機構への取材で分かった。 当時、使用済み核燃料の取り出し作業は機器整備などのため中断中で、機構は「燃料を取り扱っておらず、重大なトラブルではない」としているが、出入機の運用改善を原子力規制委員会に報告した。 機構によると、冷却材の液体ナトリウムが、燃料をつかむ出入機の先端部に付着して固まったのが原因とみられ、同様の理由による警報は7月以降、4件目。 警報は10月15日夕、燃料から垂れたナトリウムを受け止める「ドリップパン」と呼ばれる容器を洗浄するため、出入機でつかもうとした際に鳴った。爪が開閉する構造の先端部にナトリウムが固着したとみられ、数日かけて洗浄した。 機構は、燃料の取り出しを繰り返すうちに付着するナトリウムが増えるなどし、爪の開閉時にかかる負荷が警報設定値を超えたと推定。開閉時の負荷を監視し、増加傾向があれば設定値に近づく前に取り出しをやめて洗浄するなど、出入機の運用を見直すとしている。 機構は10月13日に、同31日までの予定で取り出しを中断、11月3日に予定より2日遅れで再開した。 もんじゅ燃料取り出し再開 トラブル対応で延期 佐賀新聞 2018年11月3日  日本原子力研究開発機構は3日、機器整備などのため中断していた高速増殖原型炉もんじゅ(福井県敦賀市)の使用済み核燃料取り出し作業を再開したと発表した。当初は1日に再開の予定だったが、中断中に起きたガス漏れトラブルへの対応などに時間がかかった。 8月末から開始した作業で、機構はこれまでに33体を燃料貯蔵設備から取り出した。今年中にあと67体の計100体を取り出す計画だが、従来通りの1日当たり1体のペースでは間に合わないため、作業態勢を見直す。 機構は、冷却材の液体ナトリウムが付着した燃料出入機の洗浄などのため、10月13日から燃料取り出し作業を中断。同18日、取り出した燃料に付いたナトリウムを洗い流す装置で、循環させていたアルゴンガスが漏れるトラブルがあった。 もんじゅ、装置乾燥用のガス漏れ 被ばくや外部への影響なし 佐賀新聞 2018年10月19日  日本原子力研究開発機構は19日、廃炉作業中の高速増殖原型炉もんじゅ(福井県敦賀市)で、燃料洗浄装置の乾燥のため循環させていたアルゴンガスが漏れるトラブルがあったと発表した。ガスに放射性物質は含まれておらず、作業員の被ばくや外部への影響はないという。 機構は13~31日の間、機器整備などのため、8月に始めた使用済み核燃料の取り出し作業を中断しているが、11月からの再開にも支障はないとしている。 機構によると、燃料洗浄装置は、取り出した使用済み燃料に付着した冷却材の液体ナトリウムを洗い流す装置。今月18日午後、装置内にガスを循環させて湿度を計測中、装置にガスを送り込む配管に取り付けてあった計測用の仮設ホースが外れ、ガスが装置のある室内に漏れた。流したガスの圧力が高かったとみられる。 もんじゅ燃料取り出し再開 出入機警報で中断 佐賀新聞 2018年9月25日  日本原子力研究開発機構は25日、高速増殖原型炉もんじゅ(福井県敦賀市)で使用済み核燃料の取り出し作業を再開したと発表した。19日に燃料出入機の異常を知らせる警報が鳴ったため、中断していた。 機構によると、燃料をつかむ出入機の先端部に冷却材の液体ナトリウムが入り込んで固まったことが原因と分かった。出入機を別の建物に移して先端部を洗ったところ、正常に動くことが確認できたという。 燃料取り出しは8月30日に開始。機構はこれまでに「燃料貯蔵設備」から16体を取り出し、「燃料池」と呼ばれるプールに移した。12月までに計100体を移すとしている。 もんじゅ、取り出し作業一時中断 原子力機構「重大でない」 佐賀新聞 2018年9月6日  日本原子力研究開発機構は6日、高速増殖原型炉もんじゅ(福井県敦賀市)で、使用済み核燃料の取り出し作業中に「燃料洗浄設備」の異常を知らせる警報が4日に鳴り、作業を一時中断したと発表した。 5日の取り出しを中止して機器の点検を実施、6日に作業を再開したという。機構は「重大な事故や工程に影響のあるトラブルではないため、すぐに発表しなかった」としている。 機構によると、警報は4日午後8時40分ごろ、「燃料貯蔵設備」から取り出した燃料1体を洗浄設備で洗った後、設備を乾燥させていた際に鳴った。設備の弁の位置を確認する機器がずれていたため、閉じているはずの弁が「閉じていない」とする警報が出たという。 また、原子力規制委員会は6日、もんじゅで3カ月ごとに実施する保安検査を始めた。取り出し作業の準備段階で多発したトラブルへの対策などを確認するとしている。19日までの予定。 使用済み核燃料の取り出しは8月30日に開始。機構は6日までに7体を取り出した。 もんじゅデータが一時送れず 国の緊急時システムに 佐賀新聞 2018年9月5日  日本原子力研究開発機構は5日、廃炉作業中の高速増殖原型炉もんじゅ(福井県敦賀市)から、原子炉の状態を把握する国の緊急時対策支援システム(ERSS)へのデータ送信が一時的に停止したと明らかにした。データ送信は同日、停止と再開を2回繰り返した。 もんじゅを運営する機構と、原子力規制庁によると、5日午前3時ごろ、データ送信が停止した。同8時40分ごろ復旧したが、約20分後に再び止まった。午後1時35分ごろ再開した。送れない間、機構は電話やファクスなどでデータを規制庁に報告した。 データ送信に使用している回線業者のネットワークが台風21号の影響で障害を起こしたのが原因とみられる。 もんじゅでは、使用済み核燃料の取り出し作業を行っている。 もんじゅデータ送信が再び停止 佐賀新聞 2018年9月5日  日本原子力研究開発機構は5日、高速増殖原型炉もんじゅから、原子炉の状態を把握する国の緊急時対策支援システムへのデータ送信が午前9時ごろ、再び停止したと明らかにした。同日未明に送信が一度止まり、復旧していた。 もんじゅ、燃料1体取り出し終了 廃炉作業の第1段階、地元に不安 佐賀新聞 2018年8月30日    福井県敦賀市の高速増殖原型炉もんじゅで、使用済み核燃料の取り出し作業を開始する操作員ら=30日(代表撮影)  日本原子力研究開発機構は30日午後、高速増殖原型炉もんじゅ(福井県敦賀市)で、使用済み核燃料1体を「燃料貯蔵設備」から取り出し、水で満たされた「燃料池」と呼ばれるプールに移す作業を終了した。 取り出しは30年かかる廃炉作業の第1段階。準備段階から相次いだ機器の不具合で開始が延期されるなど、地元関係者らに不安を残す中での作業となった。 機構によると、取り出し作業は、原子炉補助建屋にある「燃料取扱設備操作室」で、燃料出入機や、取り出した燃料をステンレス製の缶に入れる装置などを遠隔操作して実施。この日は操作員ら7人が作業に当たった。 機構は2022年までに、貯蔵設備の160体と、原子炉に入っている370体の計530体の取り出しを終える計画を示している。 もんじゅ燃料取り出し開始 廃炉第1段階、22年完了 佐賀新聞 2018年8月30日    高速増殖原型炉もんじゅ=福井県敦賀市    福井県敦賀市の高速増殖原型炉もんじゅで、使用済み核燃料の取り出し作業を開始する操作員ら=30日午前(代表撮影)  日本原子力研究開発機構は30日、高速増殖原型炉もんじゅ(福井県敦賀市)の使用済み核燃料の取り出し作業を始めた。燃料取り出しは30年かかるとされる廃炉作業の第1段階。準備段階でトラブルが相次ぎ、当初7月下旬を予定していた作業開始を延期していた。 機構は2022年までに「燃料貯蔵設備」と原子炉に入っている計530体の取り出しを終えると説明している。ただ、これまでに原子炉から2体しか取り出した経験がなく、空気や水に触れると激しく燃える冷却材の液体ナトリウムの扱いも難しいため、作業が難航する可能性もある。 燃料の取り出しに先立ち、機構は今月19~28日、貯蔵設備に入っていた制御棒を燃料に見立てて取り出す訓練を実施。初日に燃料出入機の警報が鳴って作業を中断したが、再開した20日以降は順調に1日1体ずつ取り出したという。機構は「操作員らの習熟が確認できた」としている。 機構によると、操作員ら計25人が3班体制で作業に当たり、この日はうち7人が作業。出入機を使って貯蔵設備にある燃料を取り出し、付着した液体ナトリウムを洗浄した後、ステンレス製の長さ約4・5メートルの缶に収納し、水で満たされた「燃料池」に移す。 機構は今年12月までに、貯蔵設備にある160体のうち100体を燃料池に移すことを目標とし、原子炉からの取り出しは来年7月に始める計画だ。47年度までに廃炉を完了するとしている。                    

「放射線は量が問題です」と子どもに刷り込む、文部科学省放射線副読本。人工放射能と自然放射能をごちゃにして被ばくを強要。

 文部科学省が2018年10月、小学生、中学生、高校生に放射線教育をおこなうための、放射線副読本を改訂しました。この内容は2011年版、2014年版よりも悪い内容になっています。2011年版は文部科学省が直接作らず、原子力文化振興財団に丸投げしたもの。2014年版は「原発村に丸投げするな!」の批判を浴び、文部科学省初等中等教育局教育課程課の職員がその反省の下に改訂したものです。川根も、「放射線教育を考える会」として、文部科学省の担当課と内容について交渉してきました。2014年版は不十分な内容ですが、いくつか改善点が見られます。しかし、2018年10月版はその良い点をすべてかなぐり捨てて、更に悪質な「放射線は量が問題」という内容に改悪されています。 [2011年版から2014年版の改善点と2018年版の問題点] ① 東京電力、福島第一原発事故が起きた後の「放射線副読本」にもかかわらず、原発事故の記述が一切なかった2011年版から、2014年版では冒頭に東日本一帯に広がる放射能汚染地図を掲載したこと。今回改訂された、2018年10月版では、この図版が削除されています。 ② 不十分ながらも、放射性物質に汚染された子どもたちのからだを「移動教室」によって、心身ともにリラックスする取り組みが福島県で行われていることが記載されたこと。本来ならば、これは「保養」と呼ぶべき事業であり、福島県のみならず、東日本全域で取り組まれなければなりません。この「移動教室」の取り組みが2018年10月版では削除されました。 ③ 直接的にはありませんが、自然放射能と人工放射能との違いを2014年版では書いています。そして、放射性セシウムのような原発事故由来の放射性物質の摂取量を少なくすることが大切です、と書いています。 「不必要な内部被曝ばくを防ぐには、原子力事故由来の放射性セシウムのような、放射性物質の摂取量をできるだけ少なくすることが大切です。なお、カリウムは生物に必要な元素で、自然界に存在する放射性カリウムは原子力事故以前からほとんどの食品に含ふくまれています。体の中のカリウム濃度は一定に保たれているので、カリウムをたくさん食べたからといって、余計に蓄積するものではありません。」2014年版 pp.11 ④ 2018年10月版では、この自然放射能と人工放射能との違いについての記述が消え、そして、両者をごっちゃにして「放射線は量が問題」という記述があらたに挿入されています。 「放射線が人の健康に及ぼす影響については、広島・長崎の原爆被爆者の追跡調査などの積み重ねにより研究が進められてきており、放射線の有無ではなく、その量が関係していることが分かっています。」2018年10月版 pp.10 [解説]自然放射能と人工放射能の決定的な違い ① 自然放射能は、地球誕生時から存在していました。自然放射能であるウラン238の半減期は45億年。地球誕生は48億年前ですから、地球誕生時には現在の2倍の量のウラン238が存在し、現在の2倍の放射線で海は満ち溢れていたと考えられます。カリウム40は宇宙期限の自然放射能です。カリウム40の半減期は12.5億年。地球の年齢48憶年は、その4倍。つまり、地球誕生時には、現在のカリウム40の2の4乗倍=16倍の放射線に満ち溢れていました。 ② 生命は地球誕生から8億年たった頃に誕生したと言われ、以来40億年かけて、このやっかいな自然放射能による遺伝子破壊と取り組んできました。カリウムは生命を作る細胞には欠かせない元素であり、細胞の中では高い濃度で存在し(約90%)、細胞の外では低い濃度で(約2%)存在する元素です。逆にナトリウムは細胞の外で高い濃度で存在し(約55%)、細胞の内部では低い濃度で存在します。このことが、(1) 細胞の大きさを維持するのに役立ち、(2) 体内を弱アルカリ性に維持し、(3) 筋肉の収縮のための電位を作るのに役立ち、(4) 細胞が栄養分を吸収することに、役立ちます。 ③ その細胞の生命活動に不可欠なカリウムの中に、放射性のカリウム40が質量比0.0177%含まれています(カリウム40は宇宙起源)。つまり、1000個カリウムの原子があれば、17個か18個が放射能を持つカリウム40です。しかし、この半減期が12.5億年であることは忘れないで下さい。 [練習問題] よく「これくらいの放射線は安全だ」と主張する、放射線の専門家は、こう言います。 ア.「私たちが普段食べている食品にもカリウム40が含まれている。」 イ.「日本人のからだには約4000ベクレルのカリウム40が含まれている。」 ウ.「だから、放射能ゼロの食品などあり得ない。」 エ.「カリウム40と同じ程度の放射性セシウムを食べても安全。」 と。果たしてそうでしょうか。あなたは、この放射線の専門家に対して、どう反論しますか?考えてみて下さい。 [解答例]  確かに、食品にはカリウム40が含まれていて、バナナ1本には13ベクレル、ご飯1杯には6ベクレル、ポテトチップス1袋には36ベクレル、含まれています。日本人の成人男性で体重60kgの人のからだには約4000ベクレルのカリウム40が含まれています。アとイは正しい。  しかし、カリウム40は自然放射能ですが、放射性セシウム(セシウム134,セシウム137など)やストロンチウム90は人工放射能で、そもそも食品中にはほとんど含まれていなかったもの。原発事故前は、バナナ、ご飯、ポテトチップスには放射性セシウム、ストロンチウム90は1ベクレル/kgも含まれていませんでした。 <参考>1988年(チェルノブイリ原発事故の2年後)で 精米 セシウム137 0.036ベクレル/kg(44試料の平均値) お茶碗1杯200gとすると 0.007ベクレルのセシウム137    ストロンチウム90 0.010ベクレル/kg(44試料の平均値) お茶碗1杯200gとすると 0.002ベクレルのストロンチウム90  自然放射能カリウム40と原発事故や大気圏内核実験で放出された人工放射能(放射性セシウムやストロンチウム90など)とを、同列に扱うのは詐欺です。編集者はこれを「カリウム詐欺」と呼んで批判しています。ウは間違い。  エについて「カリウム40と同じ程度の放射性セシウムを食べても安全」でしょうか?ちょっと、説明が長くなります。最後までお付き合い下さい。  自然放射能カリウム40が、生命の遺伝子に悪影響を与えるのを少なくし、被害をできるだけ少なくするために、生命はいろいろな工夫をしました。 ・ 細胞の内外の同じ場所にカリウムを留めない。細胞にはアトポーシスという自殺プログラムが組み込まれていて、一定の時間が経つと細胞は壊れていきます。同時に隣の細胞が細胞分裂をして、その間隙を埋めていきます。そのため、食事でカリウムと摂ると同時に、同量のカリウムを排出しています。かりにカリウムを食べ過ぎたとしても、過剰な分のカリウムは数時間以内に、尿でその50%が排出されます。カリウムには、尿、汗をはじめ7つの代謝経路があります。食べ過ぎても、多い分は排出されます。 ・ ここでカリウム原子1000個の中に17個か18個含まれているカリウム40の半減期を思い出して下さい。半減期12.5億年。多くのカリウム40は崩壊してベータ線、ガンマ線を出すことなく、体外に排出されていくのです。しかし、カリウム自体がからだ全身にありますから、体重60kgの男性の場合1秒間に4000個のカリウム40が崩壊しています。(これが4000ベクレルの意味です。)1個のカリウム40は崩壊の時にベータ線1本、ガンマ線1本を出します。しかし、カリウム40が宇宙起源ですから、一部分に不均等に集まっていることはありません。からだ全身に平均的に散らばっています。からだのあちこちでベータ線、ガンマ線を出し遺伝子を傷つけても、人間などの生命は遺伝子修復の働きを持っていますから、修復できます。 ・ また、生命はこのカリウム40が出すベータ線、ガンマ線の影響をできるだけ小さくするために、細胞分裂のときにだけ、DNAの二重らせん構造の姿を取ることにしました。他のときは、DNAをヒストンという何個もの糸玉にぐるぐる巻きにして、更にそれをまとめて、X字の形にした染色体にしました。こうすることでカリウム40などの自然放射線がDNAを切断して、傷をつけることを防ぐことができます。唯一、DNAが放射線の傷つけられやすいのは、細胞分裂のときに、この染色体の糸玉がほどけて2本のらせんになったときです。2本のDNAのらせんが、対となる塩基を引き寄せて、それぞれのパートナーのDNAを複製します。この時が放射線により切られてしまう可能性が高い。その細胞分裂のDNA複製の時以外は、ヒストンという糸玉にぐるぐるまきにし、更にまとめてX字の染色体の形に生命がしているのは、自然放射線に対する対策だと言われています。  ところが、自然放射能カリウム40に効果的なこれらの崩御策が、人工放射能である、セシウム134,セシウム137,ストロンチウム90などには効きません。 ・ 地球上に人工放射能セシウム134,セシウム137,ストロンチウム90などがばらまかれたのは、1942年のアメリカの原爆開発の時からです。アメリカはウランの核分裂を利用した核爆弾の製造に取り掛かります。それがマンハッタン計画です。アメリカは原爆で使うプルトニウムを生産するために、原子力発電所を作りました。そもそも原発は原爆のために考え出されたことを覚えておく必要があります。原発の推進は必然的に核兵器開発につながります。1945年7月アメリカは3発の原爆を開発します。1発は7月16日ニューメキシコ州アラモゴードで核実験トリニティに使い、2発目は8月6日に広島に投下。ウラン型原爆でした。3発目は8月9日に長崎に投下。プルトニウム型原爆でした。 ・ 対抗するソ連が1949年原爆実験に成功。以来、米ソは競い合って大気圏内で核実験を繰り返します。その数、アメリカ 1032回、ソ連 715回。そして、米ソだけでなく、核兵器保有国はどんどん増えていきます。フランス 210回、中国 45回、イギリス 45回。北朝鮮 6回、インド 3回、パキスタン 2回。イスラエル、南アフリカ 1回。1963年米ソを中心とし大気圏内などの核実験を禁止する、部分核実験禁止条約(PTBT)を結ばれるまで、地球上全域にセシウム134,セシウム137,ストロンチウム90などがまき散らされていったのです。 ・ このセシウム134,セシウム137,ストロンチウム90など人工放射能は、自然放射能と違い、地球上の生命がつきあい始めてから、たった73年ほどしか経っていません。自然放射能カリウム40とは違い、排出する経路が確立していません。また、人工放射性物質ですから、大地や水、空気に偏在し、食品の中の一部分に偏在してあります。呼吸、飲食で体内に吸収した際に、体の臓器の一部分に偏在します。決して、からだ全体に平均的に散らばることはありません。ですから、自然放射能カリウム40は一定以上蓄積せず、各臓器にも濃縮することはありませんが、人工放射能セシウム134,セシウム137,ストロンチウム90などは、食べ続けるとどんどん体内に蓄積し、臓器の一部分に濃縮していきます。つまり、特定の臓器の特定の組織を放射線で傷つけます。また、ミトコンドリアという部分が細胞のエネルギーを作っていますが、セシウム137はこのミトコンドリアのエネルギー生産をできなくすることがわかっています。さらに、女性がセシウム137を40ベクレル/kg(体重あたり)蓄積すると、性ホルモンの産生を阻害され、妊娠できなくなることが分かっています。また、そうしたセシウム137で体内汚染された女性の体内では、胎児もホルモンの異常から奇形となって生まれたり、将来からだが弱い子どもとして生まれる危険があることが分かっています。(ユーリ・I・バンダジェブスキー,N・F・ドウバボヤ『放射性セシウムが生殖系に与える医学的社会学的影響』2013年,合同出版)カリウム40では、こうした不妊、先天的奇形、病弱で生まれること、は起こりえません。 ・ また、セシウム134の半減期は2年、セシウム137の半減期は30年、ストロンチウム90の半減期は29年です。人間が生きている間に崩壊して、ベータ線、ガンマ線を出す確率が、カリウム40と比べて非常に高いです。これが、自然放射能カリウム40とまったく健康影響が異なる点です。 ・ 放射線の専門家がよくこう言います。「カリウム40もセシウム137、ストロンチウム90が出すガンマ線、ベータ線は同じだから健康影響は同じです。」と。これは間違いです。(1)カリウム40は、カリウムとして新陳代謝され、一定以上に溜まることはない。しかし、人工放射能セシウム137、ストロンチウム90は1ベクレルでも食べ続ければ蓄積する。(2)カリウム40は、カリウムとして摂取され、偏在することはない。からだ全身に均一に散らばる。しかし、人工放射能セシウム137、ストロンチウム90は人工放射能であるため、一部分の臓器の組織に偏在し、濃縮する。(3)「セシウム137は筋肉にしかたまらない。細胞分裂しにくい、脳や心臓にはたまらない」と放射線生物学で言われるが、セシウム137はもっとも多く甲状腺に蓄積し、脳や心臓にも蓄積する。セシウム137が甲状腺がんを引き起こすことはあり得る。また、心筋梗塞や脳梗塞を引き起こすことがあり得る。カリウム40ではこのどれもあり得ない。(4)カリウム40が骨髄に集中的に蓄積することはないが、ストロンチウム90は骨髄に集中的に蓄積する。崩壊すると、ベータ線を出し、骨髄細胞を傷つけ、白血病と骨がんを引き起こす。カリウム40ではあり得ない。  したがって、エ.「カリウム40と同じ程度の放射性セシウムを食べても安全。」は大間違い。もし、これを語る放射線の専門家がいたら、その方は「カリウム詐欺」師です。  これと同じ理屈で、文部科学省は「放射線は量が問題です」と子どもたちに刷り込みをしようとしています。この「量」には、カリウム40なのか、セシウム134,セシウム137,ストロンチウム90なのか、という核種の違いは考えに入れていません。ただベクレル数だけを問題にして、カリウム40がバナナ1本に13ベクレル、ポテトチップス1袋に36ベクレルあるならば、バナナ1本にセシウム137が36-13=23ベクレル入っていても、ポテトチップス1袋食べるのと同じだから安全、と説明しているのです。  これは「カリウム詐欺」です。うそを子どもたちに信じこませ、福島県産をはじめとする、放射能汚染食品を子どもたちから食べさせようとしています。文部科学省は子どもたちから洗脳し、その家族、大人たちへと、放射能のうそを信じ込ませ、放射能汚染食品を平気で食べれる日本人を育成しようとしています。放射線のウソを書き連ねた、放射線の副読本は撤回すべきです。 <参考となる資料> 放射能の基礎知識 人工放射能はなぜ危険か? 国際放射線防護委員会(ICRP)の放射線防護モデルを信用したら、殺されます。ICRP pub111より   体重5kgの赤ちゃんは毎日0.32ベクレル セシウム137 を摂取し続けると体内10ベクレル/㎏になる   <文部科学省 放射線副読本 ダウンロードページ> 小学生のための放射線副読本 文部科学省 2011年3月 中学生のための放射線副読本 文部科学省 2011年3月 上巻 中学生のための放射線副読本 文部科学省 2011年3月 下巻 高校生のための放射線副読本 文部科学省 2011年3月 上巻 高校生のための放射線副読本 文部科学省 2011年3月 下巻 http://warp.da.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/8315890/www.mext.go.jp/b_menu/shuppan/sonota/attach/1313004.htm 小学生のための放射線副読本 文部科学省 2014年2月改訂 中学生・高校生のための放射線副読本 文部科学省 2014年2月改訂 http://warp.da.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/9514442/www.mext.go.jp/b_menu/shuppan/sonota/attach/1344729.htm 小学生のための放射線副読本 文部科学省 2018年10月改訂 中学生・高校生のための放射線副読本 文部科学省 2018年10月改訂 http://www.mext.go.jp/b_menu/shuppan/sonota/attach/1409776.htm                                          

2011年3月16日アメリカは自国民に福島第一原発80km圏内からの退避を勧告。そこが100ミリシーベルトに相当するとしたから。

 2011年3月16日カーニー⽶⼤統領報道官が、翌日3月17日にはルース駐日大使が、自国民に対して福島第一原発80km圏内からの退避を勧告しました。そこが100ミリシーベルトに相当するとしたからです。  2011年3月17日付けのニューヨークタイムスの図入りの記事に、編集者が青字で日本語訳をつけました。  また、2011年3月の時点での、世界各国の自国民に対する退避勧告の一覧です。  日本の原子力規制委員会の原発事故による、避難は500マイクロシーベルト/時です。また、先日2018年10月17日の会合で、原子力規制委員会は「1週間で100ミリシーベルト被ばくを避難基準とする」方向で検討を始めました。殺人的な被ばく線量です。アメリカが起こりうる最悪の事態を想定して、福島第一原発から80km圏内の自国民に対して退避勧告を出したのに対して、原子力規制委員会は原発事故当時の原発5km圏内での空間線量率が500マイクロシーベルト/時であったことから、これを避難基準としたのです。原子力規制委員会の検討資料にはこうあります。「(福島第一原発の)敷地境界付近において500μSv/h 程度以上の空間放射線量率が観測されたことからも、上記のとおり、敷地外における即時の避難を実施する際の基準としてOIL1 の500μSv/h という値を設定することは、その水準として適切であると考える。」と。  ここには住民の健康被害については、一顧だに考慮されていません。また、外部被ばくのみの線量評価であり、欠陥を持つことも原子力規制委員会自身が認めています。  原子力規制委員会の避難基準を信じていれば、殺されます。原発事故が予想されるようであれば、とっとと逃げましょう。 ■読売新聞 被曝線量目安 100ミリ・シーベルト以内 規制委決定 事故後1週間内で 読売 2018年10月18日  原子力規制委員会は17日の定例会合で、原子力発電所などの事故を想定した避難計画を作る際、事故後1週間以内の被曝(ひばく)線量を100ミリ・シーベルト以内に抑えるとする目安を決めた。  原発から半径30キロ・メートル以内の自治体などは、避難計画の策定が義務付けられている。国際原子力機関(IAEA)は、緊急時の被曝線量の目安を20〜100ミリ・シーベルトに設定することを求めているが、規制委はこれまで具体的な目安を示してこなかった。100ミリ・シーベルトを超えると、がんのリスクが徐々に高まるとされる。一方、2011年の東京電力福島第一原発事故では、高齢の入院患者が無理な移動を伴う避難で死亡する事態が相次ぎ、問題となった。 規制委の更田豊志(ふけた・とよし)委員長は17日の記者会見で「入院中の高齢者の場合、無理な移動の方が危険なことを原発事故で学んだ」と述べ、IAEAが求める最大値を目安としたことは適切だとした。   ■平成25 年2 月の原子力災害対策指針改定における防護措置の実施の判断基準(OIL:運用上の介入レベル)の設定の考え方 平成25 年3 月 原子力規制委員会 1.検討の経緯 緊急時に計測された空間放射線量に基づき、防護措置の実施の判断基準となるOIL(運用上の介入レベル)については、平成24 年11 月22 日から原子力災害事前対策等に関する検討チームを開催して検討を進めてきた。同チームにおいては、当初、防護措置の実施の判断基準(OIL:運用上の介入レベル)の設定に当たり、IAEA GSG-2 が提案しているように、防護措置が採られる対象や時期に応じた包括的判断基準を定めた上で、その基準に基づきOIL を算出するというアプローチを念頭に検討を進めてきた。さらに、我が国の従来の防護措置の水準との比較や、東京電力株式会社福島第一原子力発電所の事故に適用した時に防護措置が適切に講じられるか等も踏まえて、包括的判断基準や、そこから導出されるOIL の値などから成る判断基準の体系を議論した。 このようなアプローチに関し、第5 回原子力災害事前対策等に関する検討チーム会合(平成24 年12 月27 日開催)において、包括的判断基準の設定やOIL の値の導出方法について、我が国が従来設定していた基準とIAEA の提示する考え方とでは、対象とする被ばく経路に差異があること(例えば、避難を要するとされる基準について、我が国では、従来、外部被ばくのみを対象としていること)や、包括的判断基準からOIL を算出する手法について、IAEA から詳細な導出過程が明らかにされていないことなどから、その合理性が十分に説明できないこと等の問題点が明らかとなった。 なお、現行のIAEA GSG-2 等の出版物では、包括的判断基準からOIL の導出過程は公表されていないため、十分な背景をもって包括的判断基準からOIL を算出するには、IAEA の導出過程とは別に、代表的な事故想定や住民の生活習慣等の要因をすべて検証した上で、我が国独自のOIL の導出過程を構築することが求められるが、これには膨大な作業が必要となるため、当面、地域防災計画の策定・運用が必要であることを考えると、これのみを待つことは現実的な方策ではない。また、IAEA において、技術的な文書としてOIL の導出に係る詳細なデータ等が文書にとりまとめられる動きもあり、これが公表された際には、包括的判断基準を設定した上で、十分な合理性をもってOIL を導出することも可能となり得る。同時に、IAEA においてOIL の体系などを示した基準文書の見直しが進められている。 以上の状況にかんがみ、平成25 年2 月の原子力災害対策指針の改定においては、包括的判断基準を定めた上でOIL を算出するというアプローチではなく、防護措置を実施するための基準として運用できるものを、今般の原子力発電所の事故後の経験・教訓から導き出すという手法を採用する。すなわち、東京電力株式会社福島第一原子力発電所事故で実施された防護措置の例と教訓、実際に観測された空間放射線量率等の水準などを踏まえ、現実に実効的な防護措置を実施するには判断基準をどのように定めることが適当かという観点からOIL の値を設定していく手法を採る。具体的な基準の設定とその考え方を以下に示す。 2.平成25 年2月の指針改定におけるOILの設定の考え方①即時の避難を要する基準(OIL1 相当) 東京電力株式会社福島第一原子力発電所事故への対応においては、予防的防護措置を準備する区域(PAZ)や緊急時活動レベル(EAL)の枠組みが導入されていなかったものの、原子力施設の状況から判断し、大規模な放射性物質の放出前から、避難開始及び避難範囲の拡大がなされた。住民等への被ばく影響を可能な限り回避する観点からは、このような予防的防護措置としての避難や屋内退避は引き続き講じられるべきものであり、そのような観点からEAL に基づくPAZ の外部における段階的な避難の必要性とその判断の基となる施設の状態などが決定されなければならない。そのような前提の下で、PAZ 範囲外の不必要な避難を回避し、一部に放射線量の高い地区などが生じた場合の防護措置が的確に実施できるよう、OIL1 に相当する即時の避難を要する基準を設定する必要がある。 今般の事故時に観測された空間放射線量率について、PAZ の目安である5km 近くで見ると、大熊町大野局(発電所から約5km の距離の地点)の空間放射線量率の10分値で以下のとおり観測された。・3 月15 日の10 時頃から100μSv/hを超える値が測定され始め、10 時10 分に449μSv、10 時20 分に一番高い値として625μSv/h が観測され、10 [...]

12月例会のお知らせ 12月16日(日) 13:30~16:30(+30分) 浦和コミュニティーセンター 南ラウンジAB(PARCO 9階)

[ 2018年12月16日; 1:30 PM to 4:30 PM. ] 12月例会のお知らせです。 ※ 偶数月に埼玉県さいたま市で開催しています。 日 時 12月16日(日) 13:30〜16:30(17:00まで延長の可能性あり)場 所 浦和コミュニティセンター 南ラウンジAB(浦和パルコ9階)参加費 会員の方300円    一般参加の方600円    高校生以下は無料 <テーマ> 1. 九州4基、関西4基、四国1基の原発再稼動 原発を止める有効な手立てを考える 報告:川根眞也 2. 学校給食の放射性物質検査の現状について 報告:川根眞也 3. 「放射線は量が問題」でたらめ文科省放射線の副読本について 報告:川根眞也   図版は2014年度版と2018年10月改訂版 4. 新聞が報道しない、第11回福島県甲状腺評価部会 2018年10月29日開催 報告:川根眞也 <休憩> 14:50~15:05 5.内部被ばくに関する最新情報     ・原子力規制員会 100マイクロシーベルト/時で避難指示    ・泊原発1~3号機が同時停止しても、北海道ブラックアウトを報道しない新聞    ・日本の食品の放射能汚染の実態     ・復興庁「放射線のホント」のうそ   報告:川根眞也    15:05~16:10  6.会員のみなさんからの意見交流会 ※ この部分はツィキャスしません。 ※ 懇親会もあります。お時間のある方はどうぞ。 ※ 諸事情によりプログラムが変更になる場合があります。 ※ 当日はツイキャス中継もしますので、会場に来れない方は是非、視聴参加ください。 http://twitcasting.tv/naibuhibakushim/show/ こちらでは、生中継の他、過去の動画を見ることも出来ます。 聞き逃した情報などもチェックしてみてください。 それでは、沢山のご参加をお待ちしています。   【お問い合わせ】entry.naibu@gmail.com 内部被ばくを考える市民研究会事務局 内部被ばくを考える市民研究会

放射能汚染で内部被ばくした日本ザルの骨髄の異形成。宮城県の日本ザルでも内部被ばく102.7ベクレル/kg(骨格筋)。

[解説]  毎日新聞2018年11月20日夕刊8面に「福島のサル、成長遅れ 食べ物から放射性物質? 「人より被ばく多く」」という記事が掲載されました。 ■福島第1原発事故 福島のサル、成長遅れ 食べ物から放射性物質? 「人より被ばく多く」 毎日新聞2018年11月20日 東京夕刊   福島市内に生息するニホンザル=羽山教授のチームの今野文治さん提供  福島県内に生息する野生のニホンザルについて、福島第1原発事故後、成獣の骨髄で血液のもとになる成分が減ったり、胎児の成長が遅れたりしたとする研究成果が英科学誌に相次いで報告された。事故で放出された放射性セシウムを木の皮などの食べ物から取り込んだことなどによる被ばくの影響の可能性があるという。【須田桃子】  成獣を調査したのは、福本学・東北大名誉教授(放射線病理学)らの研究チーム。福島第1原発から40キロ圏内にある南相馬市と浪江町で事故後に捕殺されたニホンザルを調べ、成獣18頭で骨髄中の成分を調べ他の地域と比べた。その結果、血小板になる細胞など血液のもとになる複数の成分が減っていた。さらに、一部の成分は、筋肉中の放射性セシウムの量から推定される1日あたりの内部被ばく線量が高い個体ほど、減り方が大きくなっていたという。福本さんは「健康への影響が表れるのかなど、長期的な調査が必要だ」と話す。  また、羽山伸一・日本獣医生命科学大教授(野生動物学)らの研究チームは、福島市が個体数調整のため2008~16年に捕殺したニホンザルのうち、妊娠していたメスの胎児を調べた。原発事故前後の計62頭のデータを比較したところ、事故後の胎児は事故前に比べ、頭の大きさが小さく体全体の成長にも遅れがみられた。母ザルの栄養状態には変化がなく、チームは事故による母ザルの放射線被ばくが影響した可能性があると結論づけた。  羽山教授は「サルは森で放射性物質に汚染された食べ物を採取していた上、線量が高い地面に近いところで生活していたため、人に比べて被ばく量が桁違いに多いはずだ」としている。  環境省が実施する野生動植物への放射線影響の調査対象にニホンザルは含まれておらず、日本霊長類学会など5学会は、ニホンザルを対象に含めることなどを求める要望書を同省に提出した。同学会の中道正之会長は「ニホンザルは寿命が20~30年と長く、定住性もある。世界的に見ても、ニホンザルへの長期的な影響を調べることは極めて重要だ」と話した。 [解説]  原論文は福本学ほかのScientific Reportsに2018年11月13日掲載された以下の論文です。 Haematological analysis of Japanese macaques (Macaca fuscata) in the area affected by the Fukushima Daiichi Nuclear Power Plant accident 福本学ほか 2018年  毎日新聞の記事などでは、はっきりと書かれていませんが、この論文では重要な指摘があります。その被ばくした日本サルの骨髄の異形成は、外部被ばく線量(年間9.1ミリシーベルト)がほぼ同じなのに、内部被ばくが15.6倍も多い、日本サルに顕著に見られる、ということです。つまり、長期に渡る低線量被ばくの影響を、外部被ばくで推定するのは間違いである、ということです。決定的なのは内部被ばくである、ということです。  また、この研究の致命的な欠陥は、「被ばくした日本サル」として福島県南相馬市および飯舘村のサルを選んでいますが、「被ばくしていない」対照群として宮城県の仙台市、川崎町、七ヶ宿町のサルを選んでいることです。宮城県のこれらの地域のサルの体内の放射性セシウムの蓄積量は、成獣で102.7ベクレル/kg、幼獣で76.3ベクレル/kgもあります。どちらも骨格筋の放射性セシウム濃度を捕獲したその日に測定したものです。つまり、宮城県仙台市、川崎町、七ヶ宿町の野生植物や果実を食べてはならない、ということをこの論文は言外に示しています。  「強度に内部被ばくしている日本サル」と「低いレベルに内部被ばくしている日本サル」とを比べることで、抹消血液像の数値もさほど変わらない結果となっています。しかし、これは本来、ほとんど放射能汚染のない青森県(六ケ所村はだめ)や岐阜県などの日本サルと比較すべきではないでしょうか。「被ばくした日本サル」と「被ばくしていない日本サル」とを比較することで、白血球の数値の減少も明らかになるのではないか、と思われます。また、人間の電離放射線健康診断のように、異形リンパ球の検査は行っていないのでしょうか?異形リンパ球が観察されることで、被ばく影響を証明することができます。  この論文の中の3枚の図版を紹介します。 ■福島第一原子力発電所を中心とする大地の放射能汚染と被ばくした日本猿×と被ばくしていない日本猿とを採取した地点+ 図1.試料採取地点の地図。黒い丸●は福島第一原子力発電所(FNPP)の位置を示す。×印および+印は被ばくした日本猿および、対照群とした被ばくしていない日本猿の試料を採取した地点を示す。被ばくした日本猿と被ばくしていない日本猿の抹消血液像の数値、体内の放射性セシウムの蓄積量 ■被ばくした日本猿と被ばくしていない日本猿の抹消血液像の数値、体内の放射性セシウムの蓄積量 表1.抹消血液像の数値。体内のセシウム134およびセシウム137の放射能濃度は試料が捕獲されたその日に測定された。WBC:白血球、RBC:赤血球、Hb:ヘモグロビン、Hct:ヘマトクリット値、PLT:血小板。被ばくした日本猿のグループは福島県南相馬市および飯舘村に生息している群を含んでいる。被ばくしていない日本猿のグループは宮城県仙台市および川崎町、七ヶ宿町に生息している群を含んでいる。標高のデータは国土地理院のデジタル標高モデル(DEM)に基づく。「 ✣ 」のマークで示した値は、被ばくした日本猿(成獣)と被ばくしていない日本猿(成獣)とで大きな違いが見られる値を示している。そのp値は、✣0.01 ≤ p < 0.05 , ✣✣0.001 ≤ p < 0.01 , ✣✣✣ p < 0.001 [編集者注]被ばくしていないグループとして、宮城県仙台市、川崎町、七ヶ宿町の日本猿が選ばれているが、これらは明らかに被ばくしている日本猿である。放射性セシウムによる内部被ばくが102.7ベクレル/kg(成獣)、76.3ベクレル/kg(幼獣)もある。「強度に被ばくしたグループ」と「弱く被ばくしたグループ」とを比較することで、低線量被ばく影響を過小評価する研究結果となっている。 ■ 被ばくした日本猿の骨髄組織の比較(a)9歳オス (b)8歳メス 図3.被ばくした日本猿の骨髄組織の比較(a)2013年8月27日に捕獲した9歳オス。骨格筋の放射性セシウム合計(Cs134+Cs137)は439ベクレル/kg。推定実効線量(内部被ばく)は4.79マイクログレイ/日(=4.79マイクロシーベルト/日に同じ。)外部被ばくは24.8マイクログレイ/日(=24.8マイクロシーベルト/日に同じ。年間9.1ミリシーベルト。)(b)2014年1月24日に捕獲した8歳メス。骨格筋の放射性セシウム合計(Cs134+Cs137)は11,400ベクレル/kg。推定実効線量(内部被ばく)は74.5マイクログレイ/日(=74.5マイクロシーベルト/日に同じ。)外部被ばくは24.9マイクログレイ/日(=24.9マイクロシーベルト/日に同じ。年間9.1ミリシーベルト。) [編集者注] つまり9歳オスと8歳メスはほぼ同じ時期に捕獲されて、外部被ばくは年間9.1ミリシーベルトと同じ。しかし、内部被ばくは4.79マイクロシーベルト/日に対して、74.5マイクロシーベルト/日と15.6倍。この骨髄の異形成は内部被ばくによるもの、と判断できる。 [解説]   ちなみに、日本サルはだいたい5歳で成熟し、子どもを作れるようになります。0歳~4歳を幼獣。5歳以上を成獣としています。平均8.99km2(0.29km2~39.7km2)の縄張りを持ち、植物の葉、果実、昆虫、その他小動物を食べて生活します。(以上、上記論文より抜粋)

内部被ばくを考える市民研究会 第8回総会 公開のお知らせ 2018年11月25日(日) 13時30分~16時(総会は17時まで)

[ 2018年11月25日; 1:30 PM to 4:00 PM. ] 内部被ばくを考える市民研究会 第8回総会 公開のお知らせです。 日 時 11月25日(日) 公開 13:30〜16:00 議題1の報告と討議のみ            会員のみの討議~17:00 非公開(会員限定ツイキャス) 議題2~7 場 所 浦和コミュニティセンター 南ラウンジAB(浦和パルコ9階)参加費 会員の方無料    一般参加の方600円    高校生以下は無料 <議題> 1. 東京第一原発事故と内部被ばくをめぐって 報告:川根眞也  <報告の骨子> ・次々と再稼働される原発と内部被ばく 九州4基・関西3基が稼働中。関西1基(高浜3号機)、四国1基(伊方3号機)が再稼働工程中 ・原発とプルトニウムと日米原子力協定 ・原発のトラブルを報道するのは地元新聞だけ。全国紙は地域限定で報道 ・でたらめ点検と対策で原発再稼働を強行する九州電力、関西電力 ・原発4 基動かして、太陽光発電つぶし(九州電力、そして関西電力) ・なぜ脱原発の運動が力を持たないのか? ・安倍政権の進める原発輸出とアメリカの核戦力への自衛隊の参加 ・明らかになりつつある、チェルノブイリ原発事故の低線量被ばくの実態 ー1.1ベクレル/kgで痛み。10ベクレル/kgで子どもは全員病気。 ・原発集団訴訟の敗北要因は中間指針。年間20ミリシーベルトをどう論破するか? <質疑・討議>   13:30~16:00(途中10分間休憩) 公開ツィキャス http://twitcasting.tv/naibuhibakushim/show/ ※ 上記の時間帯を公開とします。ツィキャスで非会員の方もご覧になれます。以降の時間帯は会員参加の討議になりますので、非公開とさせていただきます。会員の方には「会員限定のツィキャス」をご覧になれます。 2.活動報告 第7期 2017年10 月~2018年9月 3.内部被ばくを考える市民研究会会則改正(案) 4.  活動方針(案) 5.  第7期決算報告(案) 6.  第8期予算(案) 7.  人事 ※ 懇親会もあります。お時間のある方はどうぞ。 ※ 諸事情によりプログラムが変更になる場合があります。 ※ 当日はツイキャス中継もしますので、会場に来れない方は是非、視聴参加ください。 http://twitcasting.tv/naibuhibakushim/show/ こちらでは、生中継の他、過去の動画を見ることも出来ます。 聞き逃した情報などもチェックしてみてください。 それでは、沢山のご参加をお待ちしています。   内部被ばくを考える市民研究会 新規会員を募集しています。 本会の目的は以下の5点です。 (1)放射線と内部被ばくについての正しい知識を市民に広めます。核兵器も原発もない世界を目指します。内部被ばくについての正しい知識を市民に広めるための講演者を育てます。 (2)子どもたちが保育園、幼稚園、小学校、中学校、高校、大学等で放射線被ばくしないように、学校給食の安全性の確保、園庭、校庭の除染、校外活動の行く先の安全性の確認などを実現させます。妊婦、乳幼児のいる家庭への安全な食材の供給体制作りを目指します。 (3)安全な食品を確保し、生産者の健康を守るために、放射能汚染地帯での生産活動の禁止と生活補償を求めます。 (4)内部被ばくの現状を知るため尿検査、土壌検査等を企画、実施し、調査研究を行います。 (5)安全な場所への移住、体内の放射性物質を排出するための保養についての情報提供を行います。 上記フォームがご利用になれない方は、メールに①~⑥をご記入の上お申し込みください。 ①お名前(ふりがな)  ②住所  ③電話番号 ④会員限定メーリングリストを希望される方はメールアドレス。 ⑤コメント(参加する動機など)をお書き下さい。 ⑥振込予定日  問い合わせ 内部被ばくを考える市民研究会事務局 E-mail  entry.naibu@gmail.com まで 会 費:年2000円(10月~3月入会2000円 4月~9月入会1000円) 振込先:内部被ばくを考える市民研究会   ゆうちょ銀行からの場合 ゆうちょ銀行 記号 10370 番号73181351   ゆうちょ銀行以外の金融機関からの場合 ゆうちょ銀行 店名 〇三八(読み方 ゼロサンハチ) 普)7318135 ※上記口座にてカンパ金も受け付けています。   【お問い合わせ】entry.naibu@gmail.com 内部被ばくを考える市民研究会事務局 内部被ばくを考える市民研究会

加圧水型原発の致命的な欠陥は蒸気発生器。蒸気発生器の細管はギロチン破断するとメルトダウンにつながる。1991年2月9日関西電力美浜原発2号機、レベル3。

 多くの全国紙は、次々と再稼働していく原発のトラブルについて、まったく報道しません。または、報道する場合でも地域限定で、九州の原発のトラブルは西部本社版だけで。福井県の原発のことは大阪本社版だけで。というように。首都圏で新聞を購読している人々には、九州や四国、福井県で起きている原発のトラブル、放射能漏れの事故は伝えられていません。 <参考>『高浜原発4号機、2018年8月21日から再稼動工程。再稼動情報を伝えるのは地元メディアと赤旗だけ』 <参考>『玄海原発のトラブルと再稼動の情報をもっとも報道しているのは、佐賀新聞。佐賀新聞の購読を!』 <参考>『九州の原発の再稼動の状況がなぜ首都圏の人々に伝わらないか? 』  現在、再稼働されている原発はすべて、加圧水型原発ですが、加圧水型原発の致命的な弱点は、蒸気発生器です。この蒸気発生器がギロチン破断すると一次冷却水が一気に漏れ、メルトダウンにつながります。そのメルトダウン一歩手前までいったのは、関西電力、美浜原発2号機の蒸気発生器細管破断事故、1991年2月9日でした。この事故で、放射性希ガス(キセノン133など)約230億ベクレル(約0.6キュリー)、放射性ヨウ素約3.4億ベクレル(約0.01キュリー)が放出され、原発周辺を放射能汚染しました。  以下、中川保雄著『放射線被曝の歴史』(2011年,明石書店)から、加圧水型原発の弱点、蒸気発生器と美浜2号機事故を紹介します。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー <注>以下は、中川保雄氏が1991年に書いた原稿である。この時点で、日本の原発において重大事故が起きる危険性を指摘していた。それも福島第一原発のような沸騰水型原発だけでなく、加圧水型原発の危険性についても書いていた。この後20年、関西電力も東京電力も政府も何もしてこなかった結果が原発震災事故につながったのではないだろうか。そして、2番目のフクシマ原発事故が関西・北陸、九州、四国に訪れかねない事態になっている。 <注>図表は「抜本的解決のない蒸気発生器の腐食要因」(同書pp.241)以外は、川根が必要に応じて挿入したものである。 日本における被曝問題の最近の特徴 中川保雄著『放射線被曝の歴史』(2011年,明石書店) pp.237~249  原発を中心として、日本の放射線被曝問題の最近の特徴についてここで別に取り上げておこう。まず第一に、日本の原発において重大事故が発生する危険性が高まっていることを指摘しなければならない。アメリカ、ソ連についで原発重大事故を起こすのは日本の可能性が高い、という話はあちこちで聞かれる。そのような噂を現実のものとする危険性が現に高まっているのである。  関西電力の美浜原発2号炉は、チェルノブイリ事故から5年目の1991年2月9日、加圧水型炉(PWR)のアキレス腱と呼ばれる蒸気発生器の細管の1本が、まるでギロチンで切られたかのように横方向にスパッと切断され、放射能で汚染された。一次冷却水が少なくとも数十トン以上二次側に漏れた。さらに、日本の原発史上はじめてのことであるが、燃料棒の周りの一次冷却水の一部が沸騰しはじめるほど高温に達し、燃料棒が溶け出す危険が生じたために、稼働中に緊急炉心冷却装置(ECCS)が作動する事態に発展した。簡潔に言えば、美浜2号炉は炉心溶融(メルトダウン:編集者注)の一歩手前までいった大事故で、チェルノブイリの悲劇が日本において再現される危険性が現実に起きたことを示したのである。さらに二次側の蒸気逃し弁などから大気中に放出された放射能により、関西電力などの初期の発表とは異なり、周辺地を汚染した。この事故はまさに日本の原発史上最も重大かつ深刻な事故であった。  蒸気発生器細管は、一方では放射能の混じった一次冷却水を閉じ込めるとともに、他方では燃料が燃えて発生した熱を二次冷却水に伝え、発電に必要な蒸気を生み出すという役目を負っている。前者の目的のためには、細管はできるだけ厚くならなければならないが、後者の目的のためには、細管はできるだけ薄いことが望ましい。このように細管は相反する性格を負わされているが、実際には発電を経済的・効率的に行うために、可能な限り薄くされ、直径およそ2cm、全長20mの細管の肉厚はわずか1.2mmという薄さである。標準型の100万キロワット級の原発では、この薄い細管がおおそ1万本納められており、放射能を閉じこめる壁となる原子炉の容器が管の総面積のおよそ95%を占めるのである。放射能を閉じこめるこの壁の総面積は、たとえるなら甲子園球場のグランドほどの面積ではあるが、その大部分が厚さわずか1.27mmのこの細管によって占められている。しかも、一次冷却水はおよそ150気圧あり、二次側の冷却水との圧力の差、およそ100気圧がこの薄い細管の壁にかかるのである。また細管は、一次冷却水に含まれる放射能、あるいは二次冷却水に含まれるナトリウムなど、腐食を起こす種々の物質にさらされており、そのうえこの薄く長い細管の周りを急激な勢いで流れる水や、発生する蒸気で揺さぶられるという過酷な条件の下におかれている。  このため、蒸気発生細管では、肉厚が薄くなったり、人の歯がやせ細るようなディンティングという現象や、穴のあくピッティング、さらには合金の粒子の境界に沿って腐食が進む、粒界腐食割れを含む、応力腐食割れと呼ばれる損傷が、絶えることなく発生し続けてきた。日本の加圧水型炉の事故の最大原因は、菅、弁、そして蒸気発生器であるが、蒸気発生器の事故が全体の3分の1以上を占め、加圧水型炉の事故の最大要因となっているのである。これに対し、電力会社や日本の政府は、(1)二次冷却水の化学処理法を改善したこと、(2)渦電流探傷検査など、損傷細管の検査技術を改良したこと、(3)レーザー溶接を使ったスリーブ補修という継ぎ当て技術を開発したこと、などを根拠に細管の損傷問題は解決されたと主張してきた。そして、このように安全管理の徹底した日本では細管破断はありえないと強弁してきた。  しかし、現実には関西電力の大飯1号炉、高浜2号炉にみられるように、定期検査が行われるたびに、多数の細管が損傷していることが発見され続けてきた。そして電力会社は、損傷した細管に次々と栓を施して、一次冷却水が流れないようにして原子炉の運転を続けてきた。ところが、栓をした細管が増えると冷却水の流れが妨げられるため、冷却水事故が起きた場合には燃料棒を冷やしにくくなり、炉心溶融事故へと発展する危険性が高くなる。通産省と原子力安全委員会は、建て前としては、個々の原発について施栓する率を定めてきた。「安全解析施栓率」と呼ばれる認可施栓率は、当初は3%程度であった。しかし、損傷細管が次々増加すると、通産省と原子力安全委員会は電力会社の申請に応じて次々に施栓率を引き上げ、高浜2号炉に至っては1990年に施栓率を25%に許可してしまった。この場合、「50%施栓率でも安全」と主張したうえで、安全解析を関電に請け負わせるというでたらめな安全審査でもって、通産省はその引き上げを許可したのである。  関西電力など電力会社は、損傷細管に施栓するという方策だけでは対応しきれず、すでに施していた栓を引き抜き、損傷個所にレーザースリーブ補修を行い、施栓率を結果的に引き下げるというような方法も採用しながら急増する細管の損傷に対処してきた。しかし、細管の損傷は、近年急激に増加しており、高浜2号炉の場合では1990年には総数1万164本の細管の4686本、実に46%が損傷しているひどさである。ところで、関電の定義によれば、肉厚1.27mmの40%以上の傷を負っている場合に損傷と言うことにされている。言い換えれば、39%以下の厚みの傷は損傷細管とは考えられていないのである。しかし、現実にはそのような40%未満の厚さの傷を負った細管も多数存在すると考えなければならない。常識的な判断に従うならば、高浜2号炉などでは、蒸気発生器細管のほとんどが損傷を受けている状態と言えるのである。  さて、今回の美浜2号炉の事故の重大性はどこにあるのであろうか。まず第一に、炉心溶融事故直前、あるいは、チェルノブイリ原発事故一歩手前まで突き進んだ事故であったことである。第二に、電力会社や政府がこぞって「絶対に起きない」と強く主張してきた蒸気発生器細管破断が、原発反対派の側から繰り返し指摘されてきたとおりにギロチン破断を免れなかったということである。加圧水型炉の蒸気発生器細管の事故は絶対に起きないという神話の下に運転が強行され続けてきたことである。第三に、原子炉の細管破断は、細管が日々さらされている振動等により金属疲労が起きたものと考えられるが、そのことも含め、細管を損傷さらには破断に至らせる原因は他にもいくつか存在する。そして、そのいずれもに抜本的な解決法がないことが明らかになったことである。第四に、事故が起きてみるとたいてい明らかになることであるが、設計ミスや施工ミス、加えて操作ミスが重なっている起きるというのが重大事故の共通現象であり、あのスリーマイル島事故やチェルノブイリ事故で見られたのと同様なミスが、日本の原発でも日常茶飯事に起きているという危険が明らかになったことである。 図 抜本的解決策のない蒸気発生器の腐食要因 NEI1990年1月号より中川保雄氏作成 『放射線被曝の歴史』 pp241  以上のような問題は、事故が起きてから次々に明らかにされつつあるがその過程で関電が前言を覆すという事態が何度も見られる。まともな議論をする大前提として、電力会社や政府が、今回の事故はもちろん、原発に関する情報を広く国民に公開する必要性がますます明らかになってきた。  チェルノブイリが起きてからでは遅すぎる。今回の事故の重要性にかんがみるならば、それは美浜2号、大飯1号など、いわゆる第一世代の加圧水型炉と呼ばれる初期の加圧水炉に限ることなく、すべての加圧水炉を即刻止め、細管の破断や損傷を徹底的に検証する必要がある。蒸気発生器細管の損傷は、何も9基の第一世代原子炉に限られたことではない。たとえば、1985年に運転を開始した高浜3号炉では、1989年の定期検査時に細管23本に損傷が進んでいることが発見された。さらに4号炉においても、1990年3月の定期検査において21本の細管に損傷が確認されたのである。これらの例も含め、近年起きている細管の損傷の原因は、粒界腐食割れ、応力腐食割れである。これらの腐食割れに対する原因は、今日においてもなお完全には解明されていない。そもそも原因が不明のこのような細管の破壊現象に対して有効に、ましてや抜本的に対処する方法など存在しないのである。それ故、すべての加圧水炉は、蒸気発生器細管の破断の危険性を常にかかえている。二本以上の細管が破断するというような事態になれば、かりに緊急炉心冷却装置(ECCS)が正常に働いたとしても、炉心の空焚きを防ぐことはできない。そうなれば、日本でチェルノブイリの惨状を再び繰り返すことを免れないのである。  若狭湾に林立する10基の加圧水型炉で、もしそのようなことが起こるならば、人口密度がきわめて高い日本においては、チェルノブイリをはるかに上回る被害は避けがたい。若狭湾一帯では放射線被曝による急性死も避けることはできないであろう。また、放射能雲が京阪神地方に流れるならば、およそ1000万~2000万の人びとが避難しなければならない事態へと追い込まれる。放射能による被曝はもちろん長期におよびであろう。京阪神の水甕、琵琶湖も汚染される。京阪神地方のガン・白血病だけを取り上げてみても、数十万人に達する危険性があることを誰も否定することができないであろう。しかも、今回の美浜2号炉の事故においてそのような重大な事故につながる兆候がいくつも見られたのである。  関西電力や政府は、美浜2号炉をはじめ、高浜2号炉、大飯1号炉等で蒸気発生器細管そのものの取り換えを進めることにより、抜本的な解決につながると主張しているが、しかし蒸気発生器細管の取り換えが新たな事故の発生原因になる可能性もある。新しい蒸気発生器細管だからと言って、抜本的に細管の損傷を防ぐことにはならない。加えて、古い原子炉やパイプに、新しい蒸気発生器細管やパイプを無理矢理に接続すると、新たな事故原因を作り出さないという保証はどこにもないのである。  改めて指摘するまでもなく、原発事故の危険性は、何も加圧水炉に限られたことではない。1989年1月6日に東京電力の沸騰水型原子炉で起きた再循環ポンプ事故も深刻な事故であった※1。沸騰水型とで再循環ポンプが停止するという事態が発生すると、チェルノブイリ原発で見られたような、核暴走事故に発展する危険性に見舞われる。再循環ポンプは、原子炉を流れる水の量を調節することにより原子炉の出力を調整するいわば心臓部とも言うべき、最重要機器の一つである。このポンプが停止したり、あるいは故障し、破壊された部品などによって冷却水が流れなくなったり、流れが悪くなると、炉心の冷却が悪くなって炉の温度が急上昇し、水蒸気の泡も急増する。そのような状態でポンプが再起動されるなどして冷却水の流量が増えると、蒸気の泡がつぶれ、水の密度が増えることによって、原子炉内を走る中性子の減速能力が高まり、その結果出力が急上昇する。あるいは落雷などの原因によって、発電機を切り離さねばならなくなったりした場合は、原子炉は止めずにタービンのみを止めるという操作が行われる。急に閉じるという操作が行われるが、その際に、蒸気をタービンに送る菅の弁が閉じられたにもかかわらず、その蒸気を別の菅に逃す弁が開かない、すなわち、蒸気の逃げ場がなくなるなど、原子炉の圧力が急に高まるということがしばしば起こる。このような場合も原子炉の圧力が急に高まり、燃料棒付近の蒸気の泡がつぶれ、核反応が急速に進み、出力が通常の10倍くらいに急上昇する。そして高温に達した燃料の一部で、溶融、破裂などの事態が起こり、蒸気と、溶けた燃料の混合物が一気に吹き出して、水を一気に沸騰させる。このようなことが起こると、原子炉の急激な圧力上昇によって核反応がさらに急激に進み、通常の出力の100倍にも増加する、という危険が沸騰水型炉には存在する。これは負の反応度として恐れられている。沸騰水型炉が核暴走へと至る道の一つである。チェルノブイリ事故の最大の教訓は、もはや出力の急上昇による核暴走事故など歴史的に過去のものであり、克服され、起こりえない、とその危険性が軽視されていたことが誤りであったことが実証されたことであったとも言える。日本の原発ではチェルノブイリのような核暴走事故は起こりえない、という日本の原発推進派の主張は、チェルノブイリ事故からなんらの教訓も学んでいない、ということを示している。 ※1 「福島第2原発3号機 炉心部から金属片」23個回収、まだ残る 破損羽根車の一部? 1989年3月1日 朝日新聞 東京電力は二十八日、福島県富岡町の福島第二原子力発電所3号機(軽水炉沸騰水型、出力百十万キロワット)で起きた再循環ポンプ水中軸受けの脱落事故で、原子炉圧力容器内に金属片が入っているのを見つけ、うち二十三個を回収した、と発表した。金属片は同容器内の中枢部である燃料棒集合体下部でも見つかっており、このように炉心に異物が入った事故はわが国では初めて。燃料棒の被覆管が異物で傷つけられ破れると、放射能漏れなど重大事故につながるが、東電は「穴はなく、放射能漏れはない」としている。しかし、予想外の出来事に、福島県など地元は大きなショックを受けている。  福島第二原発3号炉の事故においては、再循環ポンプが異常な振動を示したが、それはポンプを構成している部品に大破壊事故が起きていた結果であった。このため、大量の金属片が削られたり破損したりして、原子炉内に送り込まれた。再循環ポンプのこのような異常な振動は、ポンプにつながる配管とのつなぎ目を破壊する恐れもあった。もしも、そのようなつなぎ目でパイプが破断し、冷却水の大量喪失という事態が起これば、炉心溶融事故に至る危険性も否定できなかったのである。沸騰水型炉においても、パイプ、弁、そして再循環ポンプが事故の三大要因を占めている。福島原発事故(1989年当時:編集者注)がチェルノブイリの再現に至らなかったのも、きわめて幸運なことと言わねばならない。  この福島原発事故(1989年当時)の後、東京電力と政府の示した姿勢もまた原発重大事故の発生を危惧させるに十分なものであった。東京電力は最初、原子炉内に送り込まれた金属片をすべて回収するまで原発の運転を再開しない、と約束した。しかし、実際には金属片、粉末を完全に回収することなど不可能なことであった。安全を優先するためには、この炉は運転を停止する以外にはなかった。しかし東京電力は、1990年の秋、炉に流し込まれた金属片を残したまま運転の再開を強行するという挙に出たのである。政府はもちろんそのことを許可したのであるが、そのことと合わせて政府が行った再循環ポンプ事故の原因究明もまた、でたらめなものであった。反原発運動がアメリカの情報公開法を利用して入手した資料にもとづくと、再循環ポンプが激しい振動を起こして破壊された根本的な原因は、どうやら共振と呼ばれる現象にあった。アメリカからの技術導入、すなわち、アメリカの再循環ポンプをそっくりそのままコピーした結果が共振を引き起こした、というのがことの真相であった。しかし、政府の委員会はポンプ破損の原因は溶接にあったとし、反原発運動が指摘した共振説には頬被りを決め込んでしまったのである。それと言うのも、この委員会の責任者はかつてこの再循環ポンプの安全性を評価する委員会の重要メンバーで、きわめて安全という評価を下していたからである。今度は、事故原因の究明においてその責任をとる道を選ぶはずはなかったのである。  このように。事故原因の解明すら行われずに問題をかかえた原発の運転が強硬に再開されることになってしまったが、この一事を取り上げてみても、重大事故が起こらないとは言い難い環境の下で、日本の原発の運転は続けられているのである。  さきに述べた加圧型原子炉、また、この福島をはじめとする沸騰水型炉のいずれの原発を取り上げてみても、日本は原発から100km以内に、人口密集地帯が存在している。逆に都市から見れば、日本のいかなる大都市と言えども、100km以内に、いつ重大事故を起こすかもしれない原発をかかえているのである。都市の住民は放射能汚染の犠牲を原発立地住民に押しつけて恩恵だけを自らのものとしてきた、と指摘される。全くその通りである。しかし、スリーマイル島事故、チェルノブイリ事故が起きた今日、明白になったことは、その都市住民と言えども、原発の放射能汚染から免れようもない時代を生きていると言うことである。 図 セシウム137、セシウム134、およびヨウ素131(気体状および粒子状)の5倍、の合計沈着量 T. Christoudias and J. Lelieveld 2013。 <注> 2011年3月11日の原発震災で首都、東京も放射線管理区域になった。この放射能汚染マップはEUに報告されたものである。  放射能汚染という問題についてさらに指摘しなければならないのは、今回起きた美浜原発2号炉の場合も、環境への放射能流出、放射能汚染が全く軽視されているという問題である。関西電力は事故直後、例によって環境中に放射能は漏れなかったと発表した。放射能が漏れたということが否定し難くなった後、放射能は漏れたが環境への影響はなかったと言い換えた。しかし、その関電の評価によっても、大気中におよそ50億ベクレル、海水中におよそ700万ベクレルの放射能が放出されたのである。それにもかかわらず、関電も福井県も環境への影響はない、安全であると宣伝した。そして関電は、事故が起きているさなかに、美浜原発の見学者457人を、漏れた放射能にさらしたままにしたのである。関電が発表した放射能値の信頼性はほとんどない。そのデータの根拠が全く明らかにされていないからである。明白なことは、この例にも示されているように、環境への放射能の放出、それによる住民の放射能被曝について関電も自治体もほとんど問題にしていない、ということである。

関西電力 高浜原発3号機が2018年11月7日再稼働工程を始める 欠陥原発を稼働していいのか?

 関西電力が2018年11月7日高浜原発3号機の再稼働工程を始めました。新聞各紙は「高浜3号機再稼働」と書きますが、また、定期点検中であり、総合負荷性能検査がこの後あります。この間に放射能の蒸気漏れなどの事故を起こせば、再稼働工程は中止、再稼働は延期となります。事実、2018年5月、九州電力は玄海原発4号機について一次冷却水が漏れるトラブルを起こしたために、再稼働を1か月延期しています。 <参考>『玄海原発4号機、一時冷却水漏れトラブル。九電、「水温が上昇したため」とし原因不明のまま機器交換で2018年6月16日から再稼動工程を始める。』  ですから、「関西電力が高浜3号機の再稼働工程を始めた」と書くのが正しいのであって、新聞やテレビが「高浜3号機が再稼働」と書くのは間違いです。 図 高浜発電所3号機 第23回定期検査の作業工程 関西電力 2018年11月6日 <注>2018年11月7日始まったのが、この原子炉起動試験。営業運転するには、この後、総合負荷性能検査に合格する必要がある。  今回、高浜3号機の再稼働工程を始める、と関西電力が公表したのは、なんと前日の2018年11月6日でした。原発再稼働に反対する世論を警戒して、抜き打ち的に発表しています。再稼働を知らなかった方も多いのでないでしょうか。改めて、高浜原発3号機のトラブルと被ばく事故を振り返ります。多くの全国紙は報道していません。  2018年9月10日、高浜3号機の定期点検中で、作業員が計画線量の倍超被ばく事故を起こしました。2018年9月12日、関西電力は、高浜原発3号機の蒸気発生器の細管1本と支持板の間に、長さ1センチ程度の異物を確認したことを公表しました。その後、2018年9月20日にこの長さ1センチ程度の異物は「2次系配管に含まれる酸化鉄の微粒子の塊と確認した。細管の外側を減肉させたとみられる金属片は見つからなかった。」と公表しました※1。これ以降、関西電力は再稼働工程を始める前日の2018年11月6日まで、定期点検でどのような機器のトラブルが見つかったのか、機器のどこを修理し、機器の何を交換したのか、一切公表していませんでした。また、この2次系配管に含まれる酸化鉄の微粒子の塊の写真も、元素分析の結果も公表していません。2018年9月12日の関西電力の発表では「蒸気発生器細管1本では、内側に長さ約4・8ミリのひび割れが見つかった。高温(約320度)の1次冷却水が入る部分。細管の厚さは約1・3ミリあるが、貫通はしていない。応力腐食割れとみられる。この細管も施栓する予定。」と発表※2。蒸気発生器の細管は全部で計1万146本にものぼりますが、この長さ1cm程度の異物がどこからやってきたのでしょうか。 ※1 「蒸気発生器内異物、酸化鉄微粒子の塊 高浜3号、関電が確認」 福井新聞 2018年9月21日 ※2   「蒸気発生器内に異物 高浜3号 細管1本が減肉」 福井新聞 2018年9月13日  2018年9月20日の関西電力の公表では、この酸化鉄の微粒子(スラッジと関電は呼んでいる)の出所を、以下のように説明しています。 「弁やストレーナの分解点検の際に作業員の⾐服等に異物が付着していた場合、それが配管内に混⼊する可能性があることを確認しました。また、その弁等が配管の⽴ち上がり部に取り付けられている場合、作業前後の異物確認時に目視による確認が困難である範囲があることを確認しました。」 そして、その対策とは 「弁やストレーナの分解点検時に使⽤する機材や内部に⽴ち⼊る作業員の⾐服等に異物の付着がないことを確認することについて、作業⼿順書に追記して、異物混⼊防⽌の更なる徹底を図ることとしました。」  つまり、定期点検のときには、作業員は機材をよく吹き、衣服をよく叩いてから、作業することにした、というのです。これが対策と言えるのでしょうか?  まず、疑問なのは、このスラッジ(酸化鉄の微粒子)が果たして外部からの異物であるのか、ということです。写真も公表されていなければ、元素分析の結果も公表されていません。そもそも、高温高圧で配管を流れる水でさらされているなかで、なぜ、鉄の酸化物ができたのか?ということです。配管がどこかひび割れているのではないでしょうか。異物ではなく、配管そのものの損傷である可能性が否定できません。  関西電力の説明は、ちょうど、高浜原発4号機の原子炉のふたの部分に取り付けてあった、温度計を出し入れする穴から放射能漏れ事故を起こしたときの説明とそっくりです。何でも、点検作業中の作業員の服や機材や、養生テープにくっついていたゴミのせいにするのでしょうか? <参考>『ずさんな原発管理。原子炉容器上蓋の温度計を出し入れする穴は養生テープでふさいでいた。養生テープについたゴミが放射能漏れを引き起こす恐れ。それでも高浜4号機は2018年8月31日に再稼動工程を開始』  実は、以下のように蒸気発生器の細管は1万146本もあったのですが、次々に配管が減肉(何物かによって削れて厚さが薄くなること)したり、応力腐食割れしたために、使えなくなり、蓋をして止めている状態です。この蓋をして使えないようにすることを「施栓」と言いますが、かつて、通産省と原子力安全委員会は「安全解析施栓率」を蒸気発生器の細管の3%までと定めていました。しかし、損傷細管が次々と増加すると、通産省と原子力安全委員会は電力会社の申請に基づいて次々に施栓率を引き上げていきました。高浜原発2号機にいたっては、施栓率を25%にまで引き上げることを許可してしまいました。この場合、「50%施栓率でも安全」と主張した上で、安全解析を関西電力に請け負わせるというでたらめな安全審査を行い、通産省は施栓率の引き上げを許可したのでした※3。 ※3 中川保雄『放射線被曝の歴史』明石書店 pp.241~242   今回の定期検査の時点で、高浜原発3号機の蒸気発生器の細管の「施栓率」は3%を超えています。安全とは言えません。欠陥原発は大事故を起こす前に運転を中止すべきです。すでに、この高浜原発3号機の定期点検で、労働者の被ばく事故が起きています。1日3時間10分程度の作業で、当初計画していた0.9ミリシーベルトをはるかに超える、1.81ミリシーベルトも被ばくしました。2018年9月10日午後発生したにもかかわらず、福井県に報告したのは9月12日でした。この作業員は一次系の弁の分解工事を行っていました。つまり、一次系の水が想定以上に放射能に汚染されていた、ということではないでしょうか?  朝日新聞、毎日新聞、読売新聞などの全国紙は原発のトラブルの情報をほとんど書きません。地元新聞を読む以外には、原発の放射能漏れ事故やトラブルの詳細についてはわからない状況です。欠陥原発、老朽原発がトラブルの原因もわからず、場当たり的な対応で、次々と再稼働している状況に対して、新聞各社はその責任を果たすべきであると考えます。  福井新聞の記事を紹介します。もはや、関西・北陸の原発の事故・トラブル・再稼働については、福井新聞を。九州の原発の事故・トラブル・再稼働については、佐賀新聞を、読むしかないようにも思います。ぜひ、みなさん、真実を伝える新聞を購読しましょう。 ■高浜3号の定検作業員 計画線量 2倍超被ばく 2018年9月13日 午前5時00分 福井新聞  関西電力は12日、定期検査中の高浜原発3号機(加圧水型軽水炉、出力87万キロワット)の原子炉格納容器内で作業をしていた協力会社の作業員が、1日分の計画線量の2倍を超える外部被ばくを受けたと発表した。法令で定める年間限度量は超えておらず、内部被ばくや皮膚の汚染はなかったとしている。  関電によると、作業員は東亜バルブエンジニアリング(兵庫県)の下請け会社の50代男性。10日午後、1次系の弁の分解点検を約3時間10分行った。管理区域から退出する際に線量計を確認したところ、計画値の0・9ミリシーベルトを大きく超える1・81ミリシーベルトの被ばくが分かった。  作業員の被ばく線量低減のため、一日1ミリシーベルトを超える作業に従事する際は、事前に労働基準監督署長への届け出が必要。関電は同日中に敦賀労基署へ線量超過を報告した。  今回の作業では線量計の警報音が聞こえるようイヤホンを付ける必要があった。しかし作業員は装着しなかったため、警報音に気づかなかった。また、作業時間は2日前に同じ場所で行った別の作業員の被ばく実績値を元に、東亜バルブの放射線管理専任者が決めたが、線源と作業員の距離を十分考慮しなかったことが、計画外の被ばくを生んだとしている。関電は今回の被ばくについて、法令報告や安全協定上の異常報告に該当しないことから、別件と併せてこの日発表したとしている。(坂下享)  <参考> 故中川保雄氏が、加圧水型原子炉の蒸気発生器細管が致命的な弱点であり、危険であるから原発を止めるべきだと1991年に訴えていた。中川保雄『放射線被曝の絵歴史』(2011年増補版,明石書店)から重要な指摘の部分を抜粋しました。長文ですが、ぜひ、お読み下さい。そして、近くの人へ伝えて下さい。 『加圧水型原発の致命的な欠陥は蒸気発生器。蒸気発生器の細管はギロチン破断するとメルトダウンにつながる。1991年2月9日関西電力美浜原発2号機、レベル3。』    

放射線被ばくを「喫煙」「飲みすぎ」「やせすぎ」「肥満」「運動不足」と比べるのは間違い

<解説>  福島民友新聞は、毎週日曜日に東大医学部卒の坪倉正治医師(福島医大特任教授、相馬中央病院、南相馬市立総合病院、ひらた中央病院)が、「坪倉先生の放射線教室」の連載をしています。毎回、「これくらいの放射線は安全です」を刷り込むような、非科学的解説が繰り返されています。今回は、2018年10月14日掲載「大事なのは『どの程度か』」を取り上げて、その議論の間違いを指摘します。 <福島民友記事> 大事なのは「どの程度か」坪倉先生の放射線教室 2018年10月14日掲載  私たちが日常食べている野菜や果物の中には、添加物や農薬ではない、さまざまな種類の発がん物質が含まれています。発がん物質が含まれる、と聞くとそれを食べるのが怖くなりますし、避けたくなるのが人情です。 数年前の話になりますが、とある国際機関が加工肉を食べ過ぎると大腸がんが増えるといった内容の発表をしました。肉をたくさん食べる国を中心に波紋を呼びましたし、「ソーセージやハムでがんになる」といったような扇動的なフレーズが飛び交いました。 それとは逆に、「これを食べれば健康になる」と言われると、その食材を毎日食べる方が増え、スーパーでは売り切れることもあります。 気持ちは分かりますが、ぜひ惑わされないでください。大事なことは、これらのリスクや有効性はあるかないかの0か1ではなく、どの程度か? どれくらいの大きさか? ということです。 例えば放射線と比べるなら、喫煙や飲み過ぎ、痩せ過ぎや肥満、運動不足などの生活習慣は100ミリシーベルトの被ばく影響よりも大きいです。現在の放射線から考えれば、文字通り桁違いです。身近すぎて目に入らない時もあるのですが、危ないか危なくないかではなく、大事な順番とその大きさを知ることはとても大切です。 <解説>  この、放射線被ばくと、生活習慣とを比べて発がんを議論するのは、間違いです。環境省の「放射線による健康影響等に関する統一的な基礎資料」にも、放射線被ばくと生活習慣による発がんを比べた、下記のような図表があります。  この資料のように、かならず「国立がん研究センター」が研究したかのように書かれていますが、国立がん研究センターでは、実は、放射線被ばくと発がんリスクは調べていないのです。国立がん研究センターで調べているのは、「喫煙」「飲みすぎ」「やせすぎ」「肥満」「運動不足」と発がんとの関係です。国立がん研究センターのがん予防・検診研究センター予防研究部の津金昌一郎氏が、がんのリスク– 放射線、ダイオキシンと生活習慣 -という資料を作っていますが、当の放射線の発がんリスクについては、放射線医学総合研究所の孫引きでしかありません。国立がん研究センターは、放射線とがんとの因果関係を調べてもいないし、研究してもいません。放射線と発がんとの関係を調べているのは、放射線医学総合研究所であり、この放射線医学総合研究所はABCC、放射線影響研究所の流れを組む、アメリカの核兵器戦略体制を擁護する立場で管理・運営されている組織です。ビキニ事件で被ばくした、第5福竜丸の乗組員を肝臓がんを見つけながらも、見殺しにしてきた機関です。 <参考> 国際放射線防護委員会(ICRP)の放射線防護モデルを信用したら、殺されます。ICRP pub111より  国立がん研究センターが、生活習慣と発がんの関係を研究した、以下の表をご覧下さい。このがんの中に「甲状腺がん」がないことにご注目下さい。また、発がんの要因に「放射線」「放射性物質」がないこともにもご注目下さい。国立がん研究センターが研究しているのは、生活習慣と発がんとの関係であり、放射線に関しては門外漢の立場に置かれています。その「国立がん研究センター」の名前を使って、さも「運動不足」の方が「100ミリシーベルトの被ばく」より発がんリスクが高い、というのは詐欺です。  そして、原発事故を引き起こしてしまった日本では、放射線被ばくは生活習慣と切り離して考えれるものではありません。もはや東日本に住む人間は、日常的な被ばく状況に置かれています。その被ばく状況の深刻なところと、比較的薄いところとで、発がんリスクを比べるべきではないでしょうか。また、日本に生活しながら、放射能汚染地帯の食べ物を日常的に食べる人と、放射能で汚染された食べ物を食べない人との発がんリスクを比べる必要があるのではないでしょうか。  国立がん研究センターの独立した、放射線被ばくと発がんリスクの調査・研究体制を求めます。 <解説> 国立がん研究センターの検索画面で、「放射線被ばく がん」と検索をかけても、検索結果が何も出てこない。国立がん研究センターは、放射線と発がんとの関係を研究した成果を何一つ持っていません。            

野原千代さんを悼む 矢ヶ崎克馬 2018年10月28日

   10月28日は野原千代さんの命日です。経済学分野で政府委員も務めた堂々たる准教授だった千代さんが一大学院生として生物学の研究を志した。時に56才。そして3/11事故に遭遇した。幼い、そして生まれ出る幼い命を守ろうとする鮮烈な想いが放射能汚染場に生きるヤマトシジミの内部被曝の研究に走らせた。事故後2ヶ月で福島入り。研究を阻止しようとする二重三重の妨害を決然とはねのけて。   放射能場でないと得られない世界史に残る実態の解明を成し、更に解明しようと体調を押して研究活動に邁進。福島入りして2年経過した頃は既に被曝が彼女を蝕んでいた。腎臓機能をやられて、被曝すると浮腫が出て体重が20キロも増す。沖縄に帰って被曝を断つと回復する。そんな状態を繰り返した。そんな中でも子どもたちの救済と研究の継続に心を込めた。全力を尽くした。    そして2015年、巨星が落ちた。花の微笑み、鉄の意志。爽やかな、透徹した誠実さを持ったこれほどの研究者が他に居ようか!再び私の心は裂けそうになった(2013年に鮮烈な生き方をした連れ合いの沖本八重美が急逝した)。   私は野原千代さんがメールの署名に使っていた「ちよどん」をそのまま彼女の呼称に使っていた。ちよどんさん、遺志は継いでいるよ。ゆっくり安らかにお眠りください( ◠‿◠ )矢ヶ崎   追悼、野原千代さん。千代さんの研究はこんなにもの各国で反響を呼んだのです。 シュピーゲル(ドイツ)http://www.spiegel.de/wissenschaft/natur/fukushima-strahlung-fuehrt-schmetterlingen-zu-mutationen-a-849972.html BBC(イギリス)https://www.bbc.com/news/science-environment-19245818 ルモンド紙(フランス)https://www.lemonde.fr/planete/article/2012/08/15/des-papillons-mutants-autour-de-fukushima_1746252_3244.html ルモンド紙(和訳)https://besobernow-yuima.blogspot.com/2012/08/blog-post_18.html ABC(米)https://www.abc.net.au/news/2012-08-13/fukushima-mutant-butterflies/4194240 CNN(米)消されていますhttp://www.youtube.com/watch?v=1yVNn0tlz5k FOX TV(米)https://video.foxnews.com/v/1786844712001/?#sp=show-clips 【中日新聞】原発事故が影響 チョウに異常 琉球大チーム調査  https://blogs.yahoo.co.jp/sj566029/70194279.html2012年8月11日◆死ぬ確率高く   雄の羽小さく東京電力福島第1原発事故による放射性物質の影響で、チョウの1種「ヤマトシジミ」に遺伝的な異常が出たとする調査結果を琉球大の大滝丈二准教授(分子生理学)らの研究チームがまとめ、11日までに英科学誌電子版に発表した。ヤマトシジミは人が生活する場所に多く生息する。チームは昨年5月と9月、福島県内のほか茨城、東京など計10カ所で採集した。5月に集めた成虫144匹から生まれた卵をふ化させて育て、孫の世代まで調べたところ、いわき市や広野町など福島県内のチョウは、子の世代で死ぬ確率がほかの地域に比べ高かった。線量が高い地域ほど雄の羽のサイズが小さくなっていた。子の世代では全体の約2割で羽の配色パターンや斑点の数などに異常があり、親の世代よりも1.5倍高い発生頻度だった。9月に採集した成虫約240匹では、子の世代の約5割で異常が見つかった。 追悼、野原千代さん。国際的総合科学ジャーナル誌「Nature」での発表2013年8月6日The biological impacts of the Fukushima nuclear accident on the pale grass blue butterflyhttps://www.nature.com/articles/srep00570    

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