内部被ばくについて、自主的に学習し、周りの方々に広めていくための会
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2017年7月

川根眞也講演会「福島原発事故と健康被害~海と大地の放射能汚染~」 at ニュージーランド、オークランド 2017年8月17日(木)18:30pm 37 Mount Eden Road,Grafton,Auckland

[ 2017年8月17日; 6:30 PM to 9:00 PM. ] 「福島原発事故と健康被害~海と大地の放射能汚染~」  福島第一原発の事故から6年。原発20km圏内にも住民が帰還し、ますます厳しくなる避難者、自主避難者の状況、内部被ばくの現状などについて、「内部被ばくを考える市民研究会」代表の川根眞也氏の話をお聞きします。 【日時】2017年8月17日(木)PM6:15開場 PM6:30~  【講師】川根眞也 【川根眞也氏プロフィール】 埼玉県さいたま市立公立中学校の理科教諭。2011年3月11日から、地震と原発事故について調べ、情報発信中。facebook「福島第一原発を考えます」に参加。放射能防御プロジェクト。内部被ばくを考える市民研究会 代表。 「東京第一原発事故と放射能~内部被ばくを避けるために~」講演会活動を全国で行っています。2013.3 ベラルーシ医学アカデミーの医学研修プロジェクトに参加。井戸川裁判(福島被ばく訴訟)を支える会 共同代表。 【場所】The Spreading Tree    37 Mount Eden Road,Grafton,Auckland 公共交通機関: 274,275,277などのバス停より徒歩1分。Mt Eden駅より徒歩3分。 駐車場:午後6時以降、Mt Eden Roadでの駐車は無料になります。また、Symonds stとMt Eden Roadの交差点近くに$2/1hの駐車場があります。 開場地図:https://goo.gl/maps/D2UsqRAW2gR2 【会場カンパ】お一人様 $5~ ★会場準備のため、8月16日までに参加者登録へのご協力をお願いします。 【参加者登録】facebook 川根眞也まで、①お名前 ②メールまたはfacebook ③参加者人数(お子さんなど) をお知らせ下さい。乳児や小さいお子さんは大歓迎です。当日の参加者が、対応してくれることでしょう。お気軽にどうぞ。 川根眞也 facebbok https://www.facebook.com/shinya.kawane.7  座席数について:お席は40席までしかございませんので、座席数を超えた場合は立ち見となります。 予めご諒承くださいますようお願いいたします。  通訳について:通訳のご用意はございません。当日は日本語のみでの講演となります。  暖房について:天候によっては冷え込む場合もございますので、暖かい服装のご用意をお願いします。

川根講演会『放射能は微量でも危険です〜1ミリシーベルト被ばくで病気に』 2017年8月23日(水) 18:30 浦和

[ 2017年8月23日; 6:30 PM to 9:00 PM. ]  福島原発事故から6年半。放射能はもうないかの新聞報道であふれています。東京新聞だけが東京湾の放射能汚染、手賀沼の放射能汚染を紙面に掲載するだけです(2015年11月13日)。2020年東京パラリンピック。オリンピック。「江戸前寿司」でおもてなし、してはいけません。  1ミリシーベルトは安全値ではなく、病気になるレベルの内部被ばくです。数字を日常生活のことばに換えてお話します。 東京新聞朝刊 『汚染追い続ける 東京湾周辺の放射能汚染の現状』 2015年11月13日 30面  福島県県民健康管理調査検討委員会の資料より、ホール・ボディーカウンターで内部被ばくを測定した場合、体内にセシウム134 20,000ベクレル、セシウム137 31,000ベクレル、合計 5万1000ベクレルあって、初めて1ミリシーベルトになる、と書いてある。  ベラルーシの医師スモルニコワ・バレンチナさん(鎌仲ひとみ監督『内部被ばくを生き抜く』にも登場)は、子どもが体内のセシウム137が20~30Bq/kg(体重1kgあたりのベクレル数)から危険。大人でも200Bq/kg(体重1kgあたりのベクレル数)から危険、と言っていました。体重60kgの大人に5万1000ベクレルのセシウム134、137(福島県県民管理調査検討委員会が1ミリシーベルトと評価した内部被ばく)があれば、それは850ベクレル/kgにも相当。死に至るレベルの内部被ばくです。国際放射線防護委員会(ICRP)の基準の1ミリシーベルトは死に至る数値です。1ミリシーベルトも内部被ばくしてはいけません。 講師:川根眞也   さいたま市中学校教員(理科) 2011年3月14日より、身の回りの放射線量率を計測。記録したノートは111冊。2011年3月15日からメールで「放射線測定メール」を送信。8月に内部被ばくを考える市民研究会を設立。facebook「福島第一原発を考えます」、放射能防御プロジェクトに参加。井戸川裁判を支える会共同代表。 川根写真 2011年8月8日 参議院会館 B104  放射能防御プロジェクト 関東土壌汚染調査記者会見にて 参考 our planet tv 土壌の放射能汚染〜首都圏150カ所で市民が測定 http://www.ourplanet-tv.org/?q=node/1192 講演会『放射能は微量でも危険です〜1ミリシーベルト被ばくで病気に~』 【講師】川根眞也 【日時】2017年8月23日(水) 18:30~21:00 【会場】浦和コミュニティーセンター 第15集会室 (浦和PARCO 9階) 【資料代】500円(学生無料) 【主催】原発ワイワイCafe・さいたま 【お問い合わせ】090-7702-4939(野田) 080-2381-0288(雛元) 090-4600-1027(山田) 【ホームページ】『日本と原発』 リレー上映・埼玉  

1.1ベクレル/kgで健康被害。ウクライナの低線量被ばくの証言。2017年7月29日(土)18:30浦和

[ 2017年7月29日; 6:30 PM to 8:30 PM. ]  食品と暮らしの安全基金 小若順一氏らは、チェルノブイリ原発事故の被害を受けたウクライナの低線量被ばく地帯を8回に渡って訪問。セシウム137による食品の放射能汚染が1.1Bq/kgでも、頭痛、関節の痛み、風邪を引きやすい、めまい、鼻血などの痛みが顕著に出ることを明らかにしています。 ウクライナ調査報告 第1回~第8回 ダウンロードできます    今回、低線量被ばく地帯で、調査した25人のうち、足痛が1人でありながら、頭痛がする人18人/25人(72%)、自律神経失調症の人5人/25人(20%)、鼻血がでる人13人/25人(52%)、風邪をひきやすい人12人/25人(48%)。風邪でよく学校を休む人8人/25人(32%)だったのが、ノヴィ・マルチノビッチ村。その村の子どもが食べる1日分の食事の放射能を分析したところ、セシウム137で1.1ベクレル/kgでした。たった1.1ベクレル/kgの食事を数年にわたって摂るだけで、こうした痛みの症状が出ると考えられます。  このノヴィ・マルチノビッチ村の学校長が来日され、子どもたちの健康状態を報告します。  そして、小若氏らのチェルノブイリ、子どもの痛みをなくすプロジェクト(現地では、”日本プロジェクト”と呼ばれている)は、高放射能汚染地帯のナロジチへの支援も行っています。放射能に汚染された大地の牧草を食べている牛の牛乳は、セシウム137で200ベクレル/kgを超えます。この汚染地帯の牛たちに放射能で汚染されていない穀物を食べさせ、牛乳の放射能汚染の低減する試みが行われています。1ヶ月で275ベクレル/kgあった牛乳が62ベクレル/kgまで下がりました。しかし、まだ汚染度が高いです。  このナロジチ地区の病院長も来日されます。  3人目はこの、チェルノブイリ子どもの痛みをなくすプロジェクト(通称”日本プロジェクト”)の取材を続けてきたテレビ局のディレクターが来日されます。  日本はまだ原発事故からたった6年。ウクライナは31年目。その低線量被ばくの現実を学ぶ、またとない機会です。みなさんのご来場をお待ちしています。 チェルノブイリから31年~子どもを蝕む体内被ばく~ ★日時:2017年7月29日(土) 開場/18:00開演/18:30~20:30 ★場所:浦和コミュニティセンター 第15集会室JR線浦和駅前(浦和パルコ上9階) ★歓迎あいさつ 井戸川克隆(元双葉町町長) ★通訳:イーゴリ・オコレロフ   『子どものすさまじい被害と救済―ナロジチ」 ★ナロジチ中央病院 マリア・パシュック院長 チェルノブイリ原発事故で一番ひどい汚染地区ウクライナのナロジチ。全員病気だった34人の子どもの食品汚染を、日本プロジェクトで95%以上減らすと、内部被曝の値が下がり、病気が良くなりました。世界初のデータと驚愕の事実を、ナロジチ中央病院マリア・パシュック院長に話していただきます。    『1.1ベクレル/kgの食事で頭痛―非汚染地域の村』 ★ノヴィ・マルチノヴィチ村一般学校 イーゴリ・ズベンコ校長 100ベクレル/kgまで安全とする基準の下で日本の食品は、流通しています。ウクライナで非汚染地域に強制移住させられたノヴィ・マルチノヴィチ村の食事は1.1ベクレル/kgなのに、頭痛の人が7割も。汚染を減らすと、村民と子どもの健康がどう改善したかを話していただきます。   「日本プロジェクト」という番組をウクライナのTV局アルタで制作した。 ★オレグ・ヤルムリェンコ・ディレクター <呼びかけ人:連絡先> ・野田千香子090-7702‐4939(原発ワイワイCafe・さいたま)cnoda@email.plala.or.jp ・雛元昌弘080-2381-0288(同上)hinafkin55@yahoo.co.jp ・山田ちづ子090-4600-1027(同上、カフェ南風)chizuko.minakaze.0913@gmail.com ・荒畑勝090-5779-1507(原発問題を考える埼玉の会)marahata@amber.plala.or.jp ・川根 眞也 (内部被ばくを考える市民研究会) kawane@radiationexposuresociety.com ・小若順一048-851-1212(NPO法人食品と暮らしの安全基金)kowaka@tabemono.info <集会事務局>〒338-0003さいたま市中央区本町東2-14-18丸田晴江maruta@tabemono.info <賛同グループ・賛同人> 原発ABC研究会(和田俊郎:さいたま市)、『原発』国民投票埼玉賛同人会(向井絵里)、原発止めよう秩父人(吉川かほる)、放射NO!会議in鳩山(大滝敬三郎)、さよなら原発4市連絡会(大野良夫)、井戸川克隆(福島被ばく訴訟原告)、神田香織(講談師:さいたま市)、末吉美帆子(所沢市:ナロジチ地区訪問)、白田真希(脱原発!埼玉連絡会)、主山しのぶ(森の測定室)、樋口憲二(羽生市)、自然エネルギーを考える川口市民の会、高橋峰子(原発を考える戸田市民の会)    

原発事故5年後の福島の里山生態系における放射性セシウムの動き 小林達明 2017年2月21日

原発事故5年後の福島の里山生態系における放射性セシウムの動き小林達明 千葉大学大学院園芸学研究科 【原典】2016年度 野生動植物への放射線影響に関する調査研究報告会 要旨集 環境省 2017年2月21日 <編集者 注> 原典はkBq/m2の表記であったが、一般にわかりやすくするため、川根がBq/m2の表記に改めた。1kBq/m2=1000Bq/m2 1.ナラ―アカマツ二次林の放射性セシウム動態  私たちは福島県川俣町山木屋地区の民家の里山で、2011 年から継続的に福島第一原発事故由来の放射性セシウムの動きを監視している。試験地は、農家の畑に隣接する丘陵地南東向き斜面のコナラ–ミズナラ混交林および接する畑地である。標高580~600m、斜面の平均傾斜約30°であり、森林土壌は褐色森林土、斜面上部はアカマツが混交している。事故以前はタバコ栽培に用いる腐葉土の原料採取等に利用されており、林冠構成木の樹高は20m弱である。以下、現地の放射線量と放射性セシウムの動きについて説明するが、放射性セシウムでは、半減期の長い137Cs に限って述べる。現地における137Cs の初期沈着量は50万Bq/m2 と見積もられ、森林・農地の空間線量率は2011 年当初2.0〜3.6μSv/h あった。 農地除染後、2015 年11 月末時点の畑地の空間線量率は0.5μSv/h 以下に低下したが、森林では0.5〜1.5μSv/h だった。森林の空間線量は、ほぼ物理的半減期に従って低下しており、放射性物質の顕著な空間的移行はなかったと考えられる。 森林から農地への放射性物質の流出を調べるために、2013 年初夏に、凹凸の少ない一様な斜面を選び、丘陵地斜面の上端から下部までをほぼカバーするような幅9 m、斜面長35 m の形状の試験区を設けた。 試験区の下端には、透水マット付きの人工編柵と180 cm の雨樋を設置して、固体で森林外に移動しようとする物質と液体で流出しようとする物質を把握できるようにした。放射性セシウムの物理的減衰の影響をキャンセルし、移行の実態を見やすくするため、以下の数値は、すべて2011 年3 月15 日基準で半減期補正した。 落葉樹林である当試験地の137Cs は、当初より大部分は林床に集積していたが、2015 年時点では、その94%が林床に、6%が植生に存在した。林床の137Cs は、2016 年まで50%以上が有機物層に滞留しており、下層の鉱質土層への目立った移行は見られなかった。 2015 年の林地供給率(林冠から林地への供給量/森林内の現存量)は0.9%だった。林内雨と樹幹流中の137Cs は、2013 年1600Bq/m2、2014 年1200Bq/m2、2015 年800Bq/m2 と減少したが、リターフォール中の137Cs は、2013 年5400Bq/m2、2014 年3200Bq/m2 だったのが2015 年は3800Bq/m2 に増加した。  2015 年の林内雨および樹幹流中のカリウムと放射性セシウムの動きを比較すると、カリウム濃度は林内雨と樹幹流で大きく変らなかったが、放射性セシウムは顕著に増加した。 カリウムは、葉から溶脱したものがほぼすべてであるのに対して、放射性セシウムは葉由来の成分に加えて、樹皮付着物が洗脱したものが加わって濃度が上昇したと考えられる。 同じカリウム濃度なら、コナラの樹幹流では林内雨の1.9 倍の、アカマツの樹幹流では4.5 倍の放射性セシウム濃度だった。したがって、コナラ樹幹流の137Cs の約半分、アカマツ樹幹流の137Cs の約4/5 はフォールアウト樹皮付着由来と考えられる。そのほか、リターフォールのうち、枝についてはフォールアウト付着成分と考えられる。しかし、それらは、樹冠から林地へ供給される放射性セシウムの少ない割合なので、現在の林地供給量(林冠から林地への供給量)の大部分は、樹木が吸収して循環しているものと思われる。幹木部への放射性セシウムの不動化量は現在計算中であり、その結果を加えて、当日は説明する。 斜面林下部に設置した柵と樋で測定した2015 年の137Cs 林地外流出量は、試験地面積あたり340Bq/m2 で、流出率(林内から林外への流出量/森林内の現存量)にすると0.06%である。そのうち71%は柵のマットに付着した粒子状有機物および土で、21%がリターだった。液体での森林外流出は7%で、植物に容易に吸収される形態の溶存態のものは全体の3%と限られていた。 2016 年初冬には、風によって林外(試験地斜面に隣接する東南側の畑)に飛散する落葉量を調べた。 林縁から約40mまで、落葉の飛散が見られ、距離と落葉量の間には指数関数関係が見られた。落葉の放射能密度と飛散落葉量をかけて、畑地への移行量を推定したところ、林縁から垂直に伸ばした1m幅50m長の短冊あたり1万9300Bq となった。森林試験地面積あたりだと550Bq/m2 で、森林の現存量あたり流出率にすると0.11%となる。チェルノブイリで報告されたのと同じように、森林から外部への流出は小さく、放射性セシウムは森林に保持されていることがわかる。 ただし、林縁近くでは、2016 年の落葉期に、平米あたり約2000Bq(134Cs と137Cs 合計、半減期補正なし)の放射性セシウムが畑地に供給されたことになる。数年経つと1万Bq/m2 を超える放射性セシウムが林縁近くの畑に蓄積する可能性があるので、そのような箇所の落葉は注意が必要だろう。 2.林地のセシウムの存在形態の推定  今後の森林生態系内の放射性セシウム動態を予測するために、もっとも蓄積量の多い林地の有機物層と鉱質土層の放射性Cs の存在形態を分析した。その結果、有機物層のL 層には水溶性137Cs が9.9%、交換性137Cs [...]

8月例会のお知らせ 2017年8月22日(火) 18:30~19:30 下落合コミュニティーセンター 第2集会室

[ 2017年8月22日; 6:30 PM to 7:30 PM. ] 8月例会のお知らせです。 諸般の事情により、7月例会はお休みとさせていただきます。少し長めのお休みをいただきます。 テーマ 原発事故から6年半。放射能は消えていない。 奇形ねこじゃらし 2017年7月17日11:41am 撮影:川根 眞也 (埼玉県川口市仲町2-1 空間線量0.12μSv/時 ベータ線 4cpm 同時刻) (〒338-0002 さいたま市中央区大字下落合1712 スカイレジデンシャルタワーズ ノースウィング301・401 TEL.048-834-0570) 日 時 8月22日(火)  18:30〜19:30(この後、臨時総会 19:30~21:00)場 所 下落合コミュニティセンター 第2集会室参加費 会員の方300円    一般参加の方600円    高校生以下は無料 8月例会 (18:30~19:30) この後、臨時総会を開きます。 1.内部被ばくを巡る最新情報 プルトニウム被ばく、福島県産野菜の世界輸出へ 報告:川根眞也 2.憲法と9条~核兵器と私の生い立ち~ 報告:堀本秀生 3.宮古島の保養と私の移住計画 報告:会員 19:30~ 臨時総会 会員の方のみが参加できます。非会員の方はご遠慮下さい。 ※この後、懇親会もあります。聞きたくてもみんなの前には聞けなかったことも質問できます。参加費、実費です。 ※諸事情によりプログラムが変更になる場合があります。 ※ 当日はツイキャス中継もしますので、会場に来れない方は是非、視聴参加ください。 http://twitcasting.tv/naibuhibakushim/show/ こちらでは、生中継の他、過去の動画を見ることも出来ます。 聞き逃した情報などもチェックしてみてください。 それでは、沢山のご参加をお待ちしています。   【お問い合わせ】 内部被ばくを考える市民研究会 川根 眞也 ホームページをご覧下さい。 内部被ばくを考える市民研究会

プルトニウム被ばく実験 ビーグル犬の場合 1975年アメリカ ジョン・W・ゴフマン『人間と放射線~医療用X線から原発まで~』明石書店2011年9月10日 

[解説] ビーグル犬に酸化プルトニウムを吸入させた実験 1974年 BairとThompson ジョン・W・ゴフマン著『人間と放射線~医療用X線から原発まで~』今中哲二他訳 明石書店 より 解説・編集・注 川根 眞也  ジョン・W・ゴフマン著『人間と放射線~医療用X線から原発まで~』今中哲二他訳 明石書店 2011年9月10日 に、ビーグル犬にプルトニウムを被ばくさせる実験が記載されています。ベアーとトンプソン,1974年に公表された、ビーグル犬に酸化プルトニウムを吸引させ、肺がんを起させた研究です(Bair , Thompson,1974)。  以下は、日本の大洗町で起きたプルトニウム内部被ばく事故(2017年6月6日)、他の資料を付加し、原著(日本語訳)から川根が引用、抜粋したものです。原著は、文章記述のみであり、ここに掲載した資料、図版は川根が原著外から引用したものであることをお断わりしておきます。  2017年6月6日に茨城県大洗町で5人がプルトニウムを吸入するという被ばく事故が起きました。このプルトニウムの吸入がどんな健康被害をもたらすのでしょうか。プルトニウム吸入事故が起きてから、2週間後、放射線医学総合研究所(量子研)はプルトニウムは消化器系から吸入することより、呼吸器で吸入することがもっとも危険である、と言われます。アメリカはビーグル犬に酸化プルトニウムを吸わせる実験を行い、その健康被害を確かめていました。将来の核戦争に備えて。 ジョン・W・ゴフマン著『人間と放射線~医療用X線から原発まで~』 今中哲二他訳 明石書店 2011年9月10日 第14章 人工アルファ線放出核種:プルトニウムと超ウラン元素  プルトニウムによる肺ガンの誘発 pp.411~423 より、編集者、引用抜粋    プルトニウムを吸入して人間に肺がんが生じないということは絶対にありえない。プルトニウム239およびその他のアルファ線放出核種は、ラドン娘核種のアルファ線が人間に肺がんを誘発する一方で、プルトニウムのアルファ線が肺がんを誘発しないとすれば、物理学上の奇跡が起こらねばならない。  とすれば、残された問題は、プルトニウムが肺がんを誘発するか否かではなく、単位量の吸入当り何件の肺がんが誘発されるかを正確に評価することである。これは、単位量のプルトニウムを吸入したときの被ばく線量を求める問題になる。そのためには吸入プルトニウムの呼吸器系の沈着場所と残留期間を知る必要がある。 <参考>ヒトにおける呼吸器の構造 生体内沈着と体内動態に関する知見の整理 環境省  プルトニウムがどこに沈着するかという問題に関連して、肺がんでもどんなタイプの肺がんが誘発されるかという問題が生まれる。肺がんでも最も多いのは「気管支原性肺がん」であり、「細気管支・肺胞がん」は1割程度である。  肺胞(空気と血液の間でガス交換が起こる場所)までの呼吸気道は気管から始まり、気管は主気管に分かれる。その後それぞれの気管支は次から次へと分岐を繰り返し、直径はますます小さくなっていく。最後には、終末細気管支とか細気管支・肺胞の移行部と言われる領域にいたる。  気管支原性肺がんは、気管や主気管支にはめったに発生しない。また、非常に小さな細気管支に発生することもめったにない。つまり、圧倒的多数を占める肺がんは区域気管支と呼ばれる気管支の中間領域に発生する。区域気管支内の重要な組織は上皮層細胞であり、この組織にプルトニウムがどの程度沈着するかを知らねばならない。  肺がんのうちそれほど主要ではない(全体の10%程度)細気管支・肺胞がんは、細気管支と肺胞(空気のう)のつなぎめに発生する。そのため、この領域へのプルトニウムの沈着、およびこの領域と区域気管支との間の相対的沈着量を決定する要因には特に注目する必要がある。 細気管支・肺胞がんの評価  ビーグル犬の細気管支・肺胞がんの実験データから、間接的ではあるが、人間についての評価を行うことができる。人間が他の生物と比べて、発がんの感受性が高いのか低いのか不明なため、一般的には他の生物のデータから人間に関する推定を行うべきではない。しかし、プルトニウムの吸入による危険性はきわめて重要であり、人間についての直接的データがない現状では、さしあたってビーグル犬のデータで人間の肺がんを推定することも無意味ではない。  ビーグル犬の場合、肺の奥深くまで吸い込まれた二酸化プルトニウム粒子の大部分は、細気管支・肺胞領域に沈着する。そして発生するがんもすべて細気管支・肺胞がんである。仮に、ビーグル犬への影響を人間にあてはめることができるとしても、それは細気管支・肺胞領域に沈着したプルトニウム単位量あたりの細気管支・肺胞がんについてだけである。  しかし、細気管支・肺胞がんだけでなく、プルトニウム沈着による気管支原性肺がん(※編集者注)も必ず発生するはずである。すなわち、プルトニウムによって誘発される細気管支・肺胞がんの評価値は、沈着したプルトニウムによる肺がん全体の発生数の最小値を表すにすぎない。こうした最小値を示しておくことには大変意味がある。そして、この最小値は、プルトニウム吸入による細気管支・肺胞がんに関して、人間とビーグル犬とが同じ感受性を持つとして仮定して導かれていることを忘れてはならない。 ※ 気管支原性肺がんー肺がんは、① 気管支や肺の末梢にできる原発性のがんと、②他の臓器や組織から転移してできたがんとに分けられます。「原発性の肺がん」のことを、「気管支原性がん(気管・気管支、細気管支あるいは末梢肺由来のがん)」といいます。肺がんの9割がこれにあたります。  ベアーとトンプソン(BairとThomson,1974)は、ビーグル犬に酸化プルトニウムを吸入させて、細気管支・肺胞がんを誘発させた。実験を始めた当時、プルトニウムの発がん性は過小評価されており、投与された最小のプルトニウム量でも、ビーグル犬の100%に細気管支・肺胞がんが誘発されてしまった。そのため、彼らの実験結果から評価できるのは、毒性がそれ以下ではありえないという最小値である。肺の1g(血液の重さは除く)当り0.049マイクログラムのプルトニウム239(※編集者注)が沈着した場合に、100%のビーグル犬に細気管支・肺胞がんが誘発された。 ※ <0.049マイクログラムのプルトニウム239とは>プルトニウム239の比放射能(1gあたりのベクレル数)は2.30×10の9乗。つまり1gのプルトニウム239は23億ベクレル。0.049マイクログラムのプルトニウム239のベクレル数は0.049×10の-6乗×2.30×10の9乗=0.049×2.30×1000=112.7ベクレルつまり、ビーグル犬にたった112.7ベクレルのプルトニウム239が沈着しただけで、すべてのビーグル犬に細気管支・肺胞がんが誘発することができた、ということになります。  人間の肺の重量は血液を除けばおよそ570gである。人間とビーグル犬が同じ感受性を持っているとして人間にあてはまると、570×0.049=28.0マイクログラムのプルトニウム239(※編集者注)を沈着させれば、確実に細気管支・肺胞がんが生じることになる。ビーグル犬の場合は、上に指摘した不注意から、最小値のプルトニウム239の場合でも100%の確率で細気管支・肺胞がんが生じたのであるから、人間でも実際に必要なプルトニウム239の量はこの28マイクログラムよりもおそらく小さいであろう。肺1g当り0.049マイクログラムというビーグル犬の値はたまたま選ばれたにすぎず、実際に100%の確率で細気管支・肺胞がんが生じさせるプルトニウム239の量はもっと少ない可能性が高い。ビーグル犬についてさらに少量のプルトニウム239を使って現在行われている実験結果を待たねばならない。(R.O.McClellanら、1979年の論文を参照) ※ <28.0マイクログラムのプルトニウム239とは>プルトニウム239の比放射能(1gあたりのベクレル数)は2.30×10の9乗。つまり1gのプルトニウム239は23億ベクレル。0.049マイクログラムのプルトニウム239のベクレル数は28.0×10の-6乗×2.30×10の9乗=28.0×2.30×1000=64,400ベクレルつまり、人間の肺に、6万4000ベクレルのプルトニウム239が沈着すると細気管支・肺胞がんを100%誘発することができる可能性がある、ということになります。2017年6月6日、日本原子力開発機構大洗研究開発センターで被ばくした5人の作業員の方のうち、50代の作業員Eの方の肺からは当初2万2000ベクレルのプルトニウムが検出されました。この数値は、人間に100%細気管支・肺胞がんを誘発できる量6万4000ベクレルの3分の1に当たります。 ※ 後に、放射線医学総合研究所により、事故当時の日本原子力研究開発機構による、作業員Eの肺の内部被ばくプルトニウム239 2万2000ベクレルの評価は、体表にプルトニウムが付着したまま測定したものを、肺に取り込んだと誤って評価したせいである、とされ、2万2000ベクレルは「不検出」である、と訂正されました(日本原子力研究開発機構JAEAから受け入れた被ばく作業員のその後の状況について 放射線医学総合研究所 量子化学技術研究開発機構 2017年6月12日)。ただし、この場合の肺モニタのプルトニウム239の検出下限は5000ベクレルです。 ※ 日本原子力研究開発機構によると、「プルトニウム239を吸入摂取した場合、肺に沈着する量は吸入量の約6.1%であり、約40%は呼気として排出され、約50%強が胃腸管等に移行する。」とあります(出典1)。  この推計に基づき、2017年10月13日、日本原子力研究開発機構は、以下のような報告書を原子力規制委員会に提出しました。 「燃料研究棟での内部被ばく評価では、原子力機構は、量研 放医研からバイオアッセイ結果に基づく預託実効線量の評価方法に関する情報を入手した。バイオアッセイによって分析された便中のPu等は、経口もしくは呼吸気道に沈着後胃腸管へ移行した成分が主でありキレート剤による治療の影響を無視できるためICRPモデルに基づいて便中の排泄量から摂取量を求めることができる。また、線量評価に適用した粒子のサイズ、化学形についても、原子力機構が実施した貯蔵容器内容物の化学形、室内汚染検査試料(スミヤ試料等)の粒子サイズの分析結果とも整合している。以上のことから、摂取量の評価は妥当と判断した。また、実効線量係数についても、ICRPモデルに基づく値であり妥当と判断した。」(出典2)  つまり、被ばくした作業員の便中のプルトニウム239の量のデータを、放射線医学総合研究所 量子科学研究開発機構から入手した、日本原子力研究開発機構は、便中のプルトニウム239の粒子のサイズ、化学形と、事故を起こした貯蔵容器内容物の化学形、室内汚染した資料の粒子サイズとも合致している、と述べています。さらに、便中のプルトニウム等は、口から摂取されるか、または、呼吸気道に沈着後に、胃腸管に移行する成分がほとんどであり、放医研が行ったキレート剤による治療の影響はほとんど無視できる。この便中に排泄されたプルトニウムから、もともとのプルトニウム摂取量をICRPのモデルに基づいて求めることができる、としています。その結果、作業員Eの肺にプルトニウム239が2万2000ベクレルの内部被ばくがあったこと、50年間12シーベルトとの実効線量評価は正しかった、と日本原子力研究開発機構は書いているのです。 【出典1】原子力機構大洗研究開発センター燃料研究棟における汚染について(続報) 添付3 鼻スミア・肺モニタ測定値 日本原子力研究開発機構大洗研究開発センター 2017年6月9日 【出典2】燃料研究棟汚染による内部被ばく線量評価とキレート剤の効果の取扱いについて 日本原子力研究開発機構 原子力規制委員会提出資料 2017年10月13日 ※ 2017年6月6日、日本原子力開発機構大洗研究開発センターで被ばくした5人の作業員の被ばく線量をミリシーベルトで評価する、日本原子力研究開発機構や放射線医学総合研究所。しかし、プルトニウムを肺に取り込んだ場合の被ばく線量を、水や食べ物から摂取した場合の被ばく線量と並列に扱い、足し算で計算する、国際放射線防護委員会(ICRP)の放射線防護モデルは破綻していると思います。唯一、妥当なのは、プルトニウムのような放射性物質の場合、どれくらい吸入摂取したら、肺がんを引きこすのか、というこの、J.W.ゴフマンの議論だけである、と考えます。  また、5人の作業員に、DTPA(ジエチレントリアミン5酢酸)というキレート剤を、放射線医学総合研究所は投与していますが、これは血液中のプルトニウムなどの重金属を取り除く効果があるだけであり、肺の中に沈着したプルトニウムは取り除くことができません。唯一、肺胞からプルトニウムが血液中に溶け出した場合のみにこのDPTAの効果が期待できますが、それは極めて微小な原子レベルの粒子である場合であり、考えれないと思います。              

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