内部被ばくについて、自主的に学習し、周りの方々に広めていくための会
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食品中の放射性物質

どんなものがどれくらい放射能汚染されているか?東都生協自社商品の残留放射能自主検査結果より 2013年4月15日まで

 東都生協はチェルノブイリ原発事故当時から、自社商品の残留放射能の自主検査を行ってきました。当時1,100万円もするGe検出器(ゲルマニウム半導体検出器)を購入し、一貫して検査を続けてきました。現在はNaI(ヨウ化ナトリウム)シンチレーション式検出器も導入し、両方で検査を行っています。  Ge検出器(ゲルマニウム半導体検出器)はそれぞれの放射性物質(核種と言います)ごとにそのエネルギーのレベルを針のように示すことができるので、それぞれの放射性物質のベクレル数をほぼ正確に測定することができます。4000秒(66分間)という時間をかければ、検出限界1.0ベクレル/kgまで測定することができます。   ただし、これはセシウム134、セシウム137それぞれについてなので、セシウム合計では検出限界約2ベクレル/kgになります。  多くの自治体が学校給食の食材や1週間まるごとの放射性物質検査をやっていますが、ほとんどが検出限界が10ベクレル/kgです。つまり、セシウム合計約20ベクレル/kgまでは不検出(ND)となる検査しかしていません。これは「検出限界詐欺」だと思います。  ひどいのはGe検出器(ゲルマニウム半導体検出器)を使っているのに、検出限界がセシウム合計で25ベクレル/kgとなっている検査です。牛肉の全頭検査がこれにあたります。検出限界をわざと引き上げるために、測定時間を10分とかにしているのだと思います。東北の牧草の数10%は100ベクレル/kg以上汚染されており、放牧している牛の肉は10数ベクレル/kg前後は汚染されている可能性があります。政府、農林水産省は正しい数値を公表すべきです。  東都生協の2012年7月2日から2013年2月1日までの検査で、数値が測定されたものをすべてピック・アップして掲載しました。野菜や魚、肉の多くは1ベクレル/kg未満(セシウム134、セシウム137それぞれについて)でしたが、数値が検出されたこれらは要注意です。  アレクセイ・ヤブロコフ博士は、2012年12月14日の講演でこう語っています。「しかし、5年後には汚染はまた広がってきます。なぜかというと土壌に入った放射性核種は根の成長といっしょにまた上がってくるからです。たとえばストロンチウムは半減期30年ですけれども、根っこによって吸い上げられて表面に出てくるんです。」 【動画】12/14 アレクセイ・ヤブロコフ博士講演会「低線量被ばくの健康影響」【文字おこし】③  食品と暮らしの安全基金の小若順一氏らは4回のウクライナ調査を行いました。そこで非汚染地域でもが手や足が痛い、頭痛がする子どもたちが7割いると言います。その痛みの出ている子どもたちの食べている食事のセシウム137の最低値(検出されたもの)が1.1ベクレル/kgだった、と報告しています。子どもたちの食事はセシウム137について1ベクレル/㎏以下にすべきです。 参考:『食品と暮らしの安全 No.290  2013年6月号』 頭痛発生の最低線量は1.1ベクレル/kg  まだ、東京第一原発事故からたった2年ほどしか過ぎていません。農地や海の汚染はこれからが長期に渡る深刻な汚染を迎えることになります。気をつけていきましょう。 福島第一原子力発電所事故による原子力災害対策特別措置法による指示(出荷制限品 2012年6月8日現在) 原子力災害対策特別措置法による出荷制限の指示の実績 2012年10月25日段階  

京都大学調査 福島県成人住民の放射性セシウムへの経口、吸入被ばくの予備的評価

以下は京都大学医学研究科環境衛生学分野 福島第一原子力発電所事故による放射能拡散の調査 福島県成人住民の放射性セシウムへの経口、吸入被ばくの予備的評価  の全文転載です。 Environmental Health and Preventive Medicine誌doi: 10.1007/s12199-011-0251-9 原著論文 福島県成人住民の放射性セシウムへの経口、吸入被ばくの予備的評価小泉昭夫1、原田浩二1、新添多聞1、足立歩1、藤井由希子1、人見敏明1、小林果1、和田安彦2、渡辺孝男3、石川裕彦4 1京都大学大学院医学研究科環境衛生学分野2高知県立大学健康栄養学部健康生態学3東北文教大学4京都大学防災研究所気象水象災害研究部門暴風雨・気象環境分野 連絡先:小泉昭夫〒606-8501 京都市左京区吉田近衛町京都大学大学院医学研究科環境衛生学分野電話             075 753 4456       石川裕彦 〒611-0011 京都府宇治市五ケ庄京都大学防災研究所気象水象災害研究部門暴風雨・気象環境分野電話             0774 38 4159       抄録 【目的】 本研究では福島県成人住民の、環境を通じたセシウム134、セシウム137(放射性セシウム)への経口、吸入被ばくを評価することを目的とした。調査期間は2011年7月2日より8日であった。 【方法】 成人1人の1日量の食事を代表するような55セットの食事(水道水を含む)を福島県内の4地域の商店で購入した。また地域で生産された牛乳(21試料)、野菜類(43試料)を購入した。同時に12地点において、大容量空気捕集装置を用いた大気中エアロゾル採取を行った。対照となる19セットの食事を京都府宇治市で2011年7月に収集した。セシウム134、セシウム137濃度はゲルマニウム半導体検出器を用いて測定した。  【結果】 福島県では55セットの食事の内、36セットで放射能が検出された。京都府では19セットの内、1セットで検出された。預託実効線量の中央値は年間3.0マイクロシーベルトであり、最小値は検出限界以下(年間1.2マイクロシーベルト以下)、最大値は年間83.1マイクロシーベルトであった。牛乳、野菜類のうち、暫定基準値(牛乳200ベクレル/キログラム、野菜類500ベクレル/キログラム)を超えたものは無かった。大気粉じん(ダスト)の吸入による実効線量は9地点で年間3マイクロシーベルト以下と推定されたが、損壊した原子力発電所から半径20キロメートル地点の近傍では比較的高い線量を示した(飯舘村:年間14.7マイクロシーベルト、浪江町:年間76.9マイクロシーベルト、葛尾村:年間27.7マイクロシーベルト)。  【結論】 福島県内での経口、吸入によるセシウム134、セシウム137への被ばくが認められたが、総じて、基準値以下であった。 キーワード: セシウム134、セシウム137、曝露評価、福島第一原子力発電所事故、経口摂取、吸入 研究の背景  2011年3月11日に東北地方で発生した地震と津波によって福島第一原子力発電所に事故が起こった。2011年3月15日には同原子力発電所で爆発が生じ、放射性ヨウ素、セシウム、ストロンチウム、プルトニウムといった多量の放射性核種が日本北部および太平洋に放出された。これはチェルノブイリ原子力発電所事故につぐ、史上2番目に大きな原子力発電所事故であり[引用文献1,2]、2011年3月11日から4月15日の期間に環境中に放出されたセシウム137総量は1.3×10の16乗ベクレルであり、チェルノブイリ事故における放出量の約10%と推測されている[3]。  事故の直後に原子力発電所の20キロメートル圏内の住民に避難指示が出されたが、その圏外には今も福島県の人々が生活している。現在、原子力発電所からの放射性物質の放出は沈静化しているが、環境中に沈着した放射性物質による被ばくを継続的に評価することは依然重要である。福島県の居住地域におけるセシウム137の汚染量はすでに報告されているが[4]、汚染した食品の摂取および大気中に再浮遊する粉じん[5]の吸入による内部被ばく量の評価が必要である。  特に汚染した食品・飲料の摂取による内部被ばくは、近隣の住民だけでなく離れた地域の人々にとっても深刻な懸念となっている。食品による内部被ばくについては、個々の食品中の放射性物質量(べクレル/キログラム)以上に、個人が消費する1日量の食事中に含まれる放射性物質量(べクレル/日/人)に基づいて評価することが重要である。  今回私たちのグループは、事故後の内部被ばく量を評価するために、2011年7月時点で現地にて実態調査を行い、食品摂取および大気吸入を通じたセシウム134およびセシウム137の成人住民への被ばくに焦点をあてて検討を行った。 試料と方法 フィールド調査  私たちは1日量の食事セット、野菜類を地域の商店で購入し、また、水道水、大気粉じん(ダスト)試料を検査した。調査地点は原子力発電所の周辺の市町村である(図1)。調査期間は2011年7月2日から7月8日である。図1中の「M」「V」と記載された地域ではそれぞれ1日分の食事セット、野菜類を購入した。この地域では水道水も採取した。図中「A」と記載された地域では大容量大気捕集装置(柴田科学HV-1000F)で大気粉じんを採取した。また同時に土壌試料(表面から深さ5cm)を採取した。このほかに、福島市の一箇所で8段式カスケードインパクター(東京ダイレックAN-200)を備えた低容量大気捕集装置(柴田科学SL-30)を用いて、大気粉じんの連続捕集を行った。 図. 1. フィールド調査地点の地図上の位置 “A”は大気粉じん捕集を行った場所を示す。“M”は食事セット、水道水を収集した場所を示す。“V”は野菜類を収集した場所を示す。“X”は東京電力福島第一原子力発電所の位置を示す。各英字はおおよその地理的な位置を示している。 食品収集と放射能測定のための処理  5名の男性研究者(年齢32歳から68歳)が各市町村の地元住民がよく利用する食料品店を訪れ、個々人の選択により1日量の食事セットをいくつかずつ購入した[6]。食事の1セットは、調理済みの朝食、昼食、夕食、間食および嗜好品の成人一人当たりの一日消費分からなる。同一地域内の水道水12Lを住民から得た。さらに各地域で生産された野菜類、牛乳を購入した。全ての試料は採取日のうちに4℃の条件で京都大学に輸送された。  間食も含む1日量の食事セットはそれぞれ収集された水道水(およそ1L)を用いて均質化された。調製された最終容量を記録し、そのうちおよそ1Lを凍結乾燥処理した。野菜類、牛乳についても凍結乾燥処理を行った。対照となる1日量の食事セットを既報の手順[6]に従い19名の成人女性から集められた。対照となる食事セットは2011年7月に京都府宇治市(福島第一原子力発電所から540キロメートル離れている)で集められた。  大気粉じん採取と放射能測定  大容量大気捕集装置を用いて、大気粉じんを石英線維フィルター上に捕集した。全ての地点で地上1.5メートルにおいて、50 m3以上の大気を捕集した。アンダーセン式大気捕集装置を用いて、空気力学的直径の異なる大気粉じんをそれぞれ捕集し、福島県における粉じんの吸入可能な割合を推定した。この装置は福島市内に設置された。粉じん試料の粉じん重量を秤量し、放射能を測定した。  セシウム137、セシウム134測定  1日量の食事セット、牛乳、野菜類試料は乾燥重量で100-200 gを、土壌試料は湿重量で100-200 gを取り分け、円筒形のポリエチレン容器に封入した。大気エアロゾル採取を行ったフィルターは折りたたみ、円筒形のポリエチレン容器に封入した。放射性核種測定には低バックグラウンド高純度ゲルマニウム検出器を用いた。検出器は10cmの鉛の内部に遮蔽されている。また銅板、アクリル板で内張している。マルチチャネルアナライザー (Princeton Gamma Technologies MCA8000, 4,096チャネル, range 0-3,000 keV)によりγ線エネルギースペクトルを得た。固有のγ線エネルギー(セシウム134: 604.7および795.9 keV; セシウム137: 661.7 keV)により放射性核種を同定、定量した。濃度既知の線限を用いて検出効率を求めた。食品、大気粉じん試料は20000秒以上計測し、土壌試料は2000秒以上計測し、スペクトルを得た。最小検出限界は食事セット試料で0.05 ベクレル/キログラム、野菜試料で0.2 ベクレル/キログラム、牛乳試料で0.2 ベクレル/キログラム、粉じん試料で0.2 ミリベクレル/m3、土壌試料で1 ベクレル/キログラムであった。全ての試料は放射平衡に達していると考えた。放射能強度は半減期(セシウム134 2.06年, セシウム137: 30.1年)に基づいて、2011年3月15日時点の値に換算している。 経口摂取、吸入による被ばく推計のための実効線量係数  放射能強度は実効線量係数を用いて預託実効線量に換算した。経口摂取においては、セシウム134 は0.019 マイクロシーベルト/ベクレル、セシウム137 は0.013 マイクロシーベルト/ベクレルである[7]。吸入被ばくにおいては、成人の標準1日呼吸量を20 m3として、セシウム134は0.02 マイクロシーベルト/ベクレル、セシウム137 は0.039 マイクロシーベルト/ベクレルの実効線量係数を使用した[7]。この二つの被ばく経路について特別な排出は起こらないと仮定した。 結果と考察  全部で74組の1日量の食事セットが集められ、分析された。メニューとその内容を表S1に、1日に摂取される放射能量(ベクレル/日)を表1に示す。1日量の食事試料中にセシウム134 またはセシウム137が検出された件数は、福島県の試料では55件中36件であったのに比べ、京都府の試料では19件中1件のみであった。預託実効線量は、京都府の最高線量が年間5.3マイクロシーベルトであるのに比べ、福島県では中央値年間3.0マイクロシーベルト、範囲は検出限界以下(年間1.2マイクロシーベルト以下)から最高年間83.1マイクロシーベルトであった。 表1福島県内における放射性セシウムの経口摂取量 調査地点 試料数   食事量 含水率 摂取量(ベクレル/日) 預託実効線量       (グラム/日) (%) セシウム134 セシウム137 (マイクロシーベルト/年)                 福島県合計 55 検出数 (%) - - 36(65.5) 35(63.6)       中央値 (最小値-最大値) 2053(1,100-3,145) 80.8(73.3-97.6) 0.2(ND-7.2) 0.3(ND-7.0) 3.0(ND-83.1)     平均±標準偏差 2,178±400 81.9±4.5 0.5±1.1 0.6±1.0 6.4±12.5                 いわき市 10 検出数 (%) - - 9(90.0) 9(90.0)       中央値 (最小値-最大値) 2,241(1,879-2,690) 82.1(76.8-86.1) 0.4(ND-2.5) 0.7(ND-1.6) 6.5 [...]

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