内部被ばくについて、自主的に学習し、周りの方々に広めていくための会
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2019年再稼働が狙われる関西電力、高浜原発1号機。2020年には美浜原発3号機、高浜原発2号機。40年超えの老朽原発。

関西電力は、40年超えの老朽原発を次々に産経ニュースさせる計画だ。現地、福井新聞より。 福井新聞2019年1月11日論説。 【論説】今年の県内原発課題 40年超運転、信頼が前提だ 2019年1月11日  福井県内の原発は今年、二つの大きな課題に直面する。運転が始まって40年を超える関西電力高浜原発1号機の再稼働問題と、高速増殖原型炉もんじゅ(敦賀市)の原子炉内からの燃料取り出し作業である。  40年超の原発は、高浜1号機のほか同2号機、美浜3号機で再稼働の準備が進む。原子力規制委員会が2016年6月、同11月に運転期間を延長することを認可、現在は安全対策の工事が行われている。高浜1号機は、工事が予定通り進めば秋から冬に再稼働が視野に入ってくる。美浜3号機は20年1月以降、高浜2号機は20年3月以降と続く。  工事は、高浜原発では格納容器上部のコンクリート製ドームの新設や中央制御盤の取り換え、全長1300キロに及ぶケーブルの防火対策を行う。美浜では耐震性向上のため、使用済み燃料プールを改良。燃料を収納する構造物を直接床に固定せず、揺れに合わせることで振動を軽減させる「フリースタンディングラック」に取り換える。対策工事費は高浜が約2160億円、美浜は約1650億円と、巨費が投じられる。  40年を超える原発の再稼働は、古い設備を取り換えることによる新たな不備、不具合が起こることへの不安が拭えない。関電には地元住民らに対し安全性を詳細に説明する責任がある。だが、技術面の説明は難解だ。そこで重要なのが、関電と地元住民との信頼関係である。  関電は使用済み燃料の中間貯蔵施設を県外に立地する計画について、昨年中に候補地を示すと県に約束しながら果たさなかった。信頼は一つ一つの積み重ねで築かれる。社長自ら約束した期限が守られなかったつけは、信頼が第一に求められる40年超原発の再稼働問題に跳ね返ってくるのは避けられない。県も、中間貯蔵施設に何らかの前進がなければ高浜1号機の再稼働同意は難しいとの立場をにじませている。  一方、もんじゅは、1月中に炉外燃料貯蔵槽から水プールへの燃料100体の搬出が終わる予定。今年は原子炉内から燃料を取り出し、同貯蔵槽へと移していく。炉外での作業に比べ高い技術力が求められる。  日本原子力研究開発機構は10年に、この取り出しを行っている。その際、炉内中継装置が落下する失態を犯した。今回は、慎重の上にも慎重を期してもらいたい。  40年超の運転は、国内のほかの原発にも関わる問題だ。だが県民にとっては、まず中間貯蔵施設に関する約束の答えが先だろう。もんじゅの燃料取り出しも、廃炉に向けた大きなポイントになる。いずれも重要な課題だ。言うまでもなく、国の責任も問われている。

泥縄式原子力規制。破局的火山噴火の監視は来年2020年度から。

原子力規制委員会、火山の破局的噴火の監視体制を2020年度から始めるという。原発を再稼働させてから、破局的火山噴火予知?これこそ、「泥縄」式、原子力「規制」体制。市民の命とふるさとが危険にさらされています。   読売新聞 2019年1月7日 朝刊3面の記事より、全文を紹介します。   破局的噴火 備え重視 規制委、海底火山観測へ 2019年1月7日 読売新聞 朝刊 3面  ◆原発審査にデータ活用  原子力規制委員会が「姶良(あいら)カルデラ」(鹿児島県)の海底での常時観測に乗り出すのは、破局的噴火の発生頻度が極端に低く、十分な知見が得られていないためだ。原発の火山対策は、東日本大震災後の新規制基準でようやく本格化した。火山についての研究を重ね、原発の安全対策を進める必要がある。(科学部 出水翔太朗、本文記事1面) ■高裁決定に衝撃  「立地不適」。広島高裁が2017年12月、四国電力伊方原子力発電所3号機(愛媛県)の運転差し止めを命じた決定は、規制委を含む原子力関係者にとって衝撃的だった。阿蘇カルデラ(熊本県)の過去の破局的噴火で、「(伊方3号機の)敷地に火砕流が到達していないと判断することはできない」と指摘された。 同高裁は18年9月、国が一般的にこうした噴火を想定した対策を取っていないことなどから、「原発が客観的にみて安全性に欠けるところはない、とするのが現時点における社会通念」とし、四電の異議を認めて決定を取り消した。ただ、17年10月に定期検査で停止していた伊方3号機は、決定取り消し後の18年10月まで稼働できなかった。 規制委の安全審査の手引「火山影響評価ガイド」は、火砕流が到達する可能性が十分小さい場合に限り、原発の立地を認めている。新規制基準に合格した伊方3号機を含む8原発15基は、この基準を満たしていると規制委が判断した。 ■10回確認  しかし、破局的噴火の詳しいプロセスは、ほとんど知られていないのが実情だ。規制委の担当者は「原発の安全性を担保するために、どのようなデータが必要なのか、基礎的な研究を進める必要がある」と話す。 火山灰や火砕流の痕跡の調査で、国内の破局的噴火は約13万年前の阿蘇カルデラの噴火以降、10回確認されている。いずれも北海道と九州で、7300年前に鹿児島県の鬼界(きかい)カルデラで起きたのが最後だ。 姶良カルデラでは、約2万9000年前に破局的噴火が起きた。火砕流が宮崎、熊本両県に到達したほか、火山灰が京都府や東京都まで飛来した。 姶良カルデラ内には、現在も活発に活動している火山「桜島」があり、他のカルデラよりも海底の地殻変動が活発なことが予想される。このため、規制委が常時観測の対象に選んだ。 ■海底に地震計  イタリアでは、国立火山学研究所がナポリ近郊のカルデラの海底で常時観測を行っている。3万9000年前と1万5000年前に破局的噴火を起こした火山で、海底に地震計や水圧計などを設置し、データを地上施設に転送している。 姶良カルデラでも同様の観測を検討中で、規制委はイタリアに職員を派遣して情報収集している。鬼界、屈斜路(くっしゃろ)(北海道)、洞爺(とうや)(同)などの他のカルデラでも、地質調査や岩石の組成分析を行う。 破局的噴火のプロセスの解明が進めば、規制委はその成果を「火山影響評価ガイド」に盛り込み、原発などの安全審査に活用する。 北海道大の村上亮特任教授(火山物理学・測地学)は、「破局的噴火は非常にまれな現象なので、国としてどう対処するかは考えられてこなかった。今回のような研究は、火山研究や防災上の観点からも重要だ」と指摘する。  ◆新知見あれば対応要求  2011年3月の東京電力福島第一原子力発電所の事故を受け、13年7月に施行された新規制基準は、地震や津波に加えて火山の影響についても安全審査で確認するよう求めた。 外部電源を喪失した際に使う非常用ディーゼル発電機は、運転時に外気を取り込む。この吸気口から火山灰が侵入しないよう、着脱可能なフィルターの設置が各原発で進められている。 福島第一原発事故以前は、規制当局は破局的噴火だけでなく、比較的規模の小さい火山噴火による原子力施設への影響もほとんどチェックしておらず、火山の研究もしていなかった。 規制委は14年度から火山に関する安全研究を開始し、18年度までに計約20億円の予算を計上してきた。規制委の担当者は「火山学の分野の研究費としてはかなり大きな金額。規制委が火山対策を重視していることの表れだ」と話す。 この研究により、実際に電力会社が対応を迫られるケースも出てきている。鳥取県の大山(だいせん)で約8万年前に起きた噴火が、従来の想定よりも規模が大きかったことが、規制委の委託を受けた産業技術総合研究所の研究でわかった。 関西電力は、福井県にある美浜、大飯、高浜の3原発に降る火山灰の量を10センチと見積もり、審査に合格している。ところが、大山からの距離がこれらの原発とほぼ同じ約190キロ・メートル離れた京都市に、火山灰が30センチ程度積もっていた。 規制委は18年12月、関西電力に対し、3原発の火山灰の影響を見直すよう指示した。自然現象の新たな知見に基づき、規制委が影響評価の見直しを求めた初の事例となった。場合によっては、追加の対策が必要になる。 破局的噴火についても、今後の姶良カルデラの直接観測などで新知見が得られた場合は、規制委が各電力会社に対応を求めることになる。  〈破局的噴火〉 火砕流が周辺数十〜100キロ・メートル以上の範囲に到達して壊滅状態となり、日本の国土の大半が火山灰で覆われる超巨大噴火。死者・行方不明者63人を出した2014年の御嶽山(岐阜・長野県境)噴火では、火砕流が火口から2〜3キロ・メートル流れ出たことが確認されているが、この時の噴火よりはるかに規模が大きい。  図=国内の原発(○)と過去13万年間に破局的噴火を起こしたカルデラ(▲) 図=海底カルデラの観測イメージ  写真=四国電力伊方原発3号機(後方。手前左は1号機、同右は2号機)(昨年9月、愛媛県伊方町で、本社ヘリから)

黒川眞一氏の早野龍五論文批判『被災地の被曝線量を過小評価してはならない 宮崎・早野論文「伊達市の周辺線量測定値と個人線量の比較」を考える』2017年5月29日

黒川眞一氏(高エネルギー加速器研究機構名誉教授)の早野龍五論文批判、『被災地の被曝線量を過小評価してはならない  宮崎・早野論文「伊達市の周辺線量測定値と個人線量の比較」を考える』2017年5月29日を全文紹介します。WEB RONZAに掲載されているものです。 『被災地の被曝線量を過小評価してはならない  宮崎・早野論文「伊達市の周辺線量測定値と個人線量の比較」を考える』 2017年5月29日 WEB RONZA  福島第一原発事故による放射能汚染と個人被曝線量について、福島県立医科大学の宮崎真氏と東京大学の早野龍五氏が昨年12月、研究論文を専門誌に発表した。論文の表題を日本語に訳すと「福島原子力発電所事故の5ヶ月後から51ヶ月後までの、パッシブな線量計による伊達市の全市民の個人外部線量の観測 第一論文 航空機による周辺線量の測定値と個人線量値の比較」となる。  この論文について、私は考察を加えたい。論文に対する私の結論は、大きくいって二つある。一つ目の結論は「ある場所の空間放射線量から個人の被曝線量を算出するための係数は、この論文が導いた結論とは異なる」ということ。そして二つ目の結論は「放射線防護の観点からは、環境省が2011年に定めた防護基準よりも厳しい基準を採用すべきである」ということだ。 ガラスバッジ線量を「平均値」で扱えるのか  宮崎・早野論文とは、どのようなものだろうか。その内容については、3月11日のWEBRONZAに早野氏への編集部のインタビュー「福島の放射線の量を正しく理解してほしい」があり、早野氏自身が説明をしている。また、3月29日に伊達市が発行した「だて復興・再生news 第30号」には、筆頭筆者である宮崎氏による解説がある。  宮崎氏が紹介している論文の主な結論は、次の通りだ。 (1) ガラスバッジの線量は、住む場所の航空機モニタリング調査による空間線量率に良く比例し、その比例係数はおおよそ0.15倍でした。式で表すと、「ガラスバッジの線量(1時間あたりに換算)=0.15×航空機モニタリング調査による空間線量率」となります。(2) 実際の測定結果にもとづく解析によって得られた比例係数0.15は、環境省が2011年に採用した空間線量率から実効線量への換算係数0.6(「実効線量=0.6×空間線量」で示されます)が、結果的に4倍ほど安全側に立つ係数であったことを示しました。(3) 結果として、ある場所の空間線量率からその場所に住む方々の個人線量を精度よく推定出来ることが、伊達市の取り組みから明らかになりました。  論文のアブストラクトと宮崎氏の解説では、「個人の線量は空間線量に0.15倍を掛けたもの」とし、また「ガラスバッジの線量は住む場所の航空機モニタリング調査による線量率によく比例し、その比例係数はおよそ0.15倍でした」と書かれている。つまり、空間線量と比較されているものを、単に「個人の線量」あるいは「ガラスバッジの線量」としている。だがこれは正しくは「各個人のガラスバッジの線量をその個人が住む区域の空間線量で割った値の全被験者の全期間を通しての平均値が0.15である」とすべきものである。論文のアブストラクトと宮崎氏の解説には、この「平均値」という大切なキーワードが用いられていない。  また、「結果的に4倍ほど安全側に立つ」とされた環境省の0.6という係数は、もともと被曝防護の目安を与えるために厳しく設定された量であり、ガラスバッジの線量を空間線量で割った値の平均値と比較をして「○倍ほど安全側」などと評価されるべき数値ではない。 被曝線量が過小評価される3要因  私は、宮崎・早野論文が、結果的に市民が受けた被曝線量について大幅な過小評価を与えるものになっていると考える。以下に挙げる3つの点について、論文では正しい評価がなされていないからだ。 (1) バックグラウンドとして0.54 mSv/年 を一律に差し引いていることと、公衆がガラスバッジを正しく装着しないためにおこる線量の過小測定を無視している(2) 航空機で測られた空間線量と地上での測定値の差を考慮していない(3) 多方向から来る放射線によるガラスバッジの測定線量を、実効線量とみなしている  私は、このような過小評価をもたらす要因の効果を検討することにより、空間線量から被曝線量を導き出す計算方法は、航空機モニタリングで調査された空間線量に0.15をかけるのではなく、地上でサーベイ・メーターによって測定された空間線量に0.36〜0.40をかけるべきであることを示す。 実効線量を正しく導き出すには  そもそもガラスバッジとは、どのような測定装置か。ガラスバッジは、被曝のリスクと防護についての教育を受けた放射線作業従事者が胸部または腹部に装着し、放射線管理区域内で作業したことによってどれだけの被曝をするかを測定する小型の個人線量計である。ガラスバッジは放射線作業エリア外の人工放射線が存在しない場所に保管される。また、自然放射線のバックグラウンドを正確に差し引くために、各作業者が装着するガラスバッジの他にも数個のコントロール・バッジが常に保管場所に置かれている。  作業者が装着したガラスバッジとコントロール・バッジは、線量を測定するためにひと月ごとに製造元の千代田テクノルに送られ、作業者のガラスバッジの読み値からコントロール・バッジの読み値がバックグラウンドとして差し引かれる。伊達市の場合は3か月ごとに計測され、結果は0.1mSvごとに数値化されている。  このようなガラスバッジを公衆が、放射線管理区域のように境界が設置されていない場所で24時間にわたって装着することには本来無理があること、またコントロール・バッジが原理的に存在できないことをここで指摘しておきたい。   study2007氏の論考「子どもの外部被ばくと全がんおよび小児白血病リスク」(岩波書店「科学」2013年12月号)から    ガラスバッジが測定するものはバッジに与えられたエネルギーであり、単位はGy(グレイ)である。このエネルギー量は、人体や臓器への影響を示す「実効線量」へ換算する必要がある。実効線量の単位はSv(シーベルト)だ。  実効線量は直接に実測できないため、主としてシミュレーションによって評価される。ガラスバッジでは1Gy=1.2Svと較正される。なお、空間線量を測定するリアルタイム線量測定システムやサーベイ・メーターも、測定できる量はGyであり、同じように1Gy=1.2Svと較正される。  それでは実効線量を正しく補正してみよう。 【補正1:バックグラウンドの引きすぎ】  伊達市では、千代田テクノルが年あたり0.54mSvに当たる量を差し引いたものを個人線量として市に報告していた。このような一律の差し引きは、バックグラウンドの引きすぎを起こすことが懸念される。   宮崎・早野論文の「図4」の一部。はずれ値だけの区間があり、また、ほとんどの区間で1パーセンタイル値がゼロとなっている    実際に宮崎・早野論文の図4をみると、空間線量が比較的低い区間で、99%以上の市民の線量値がゼロである場合が3カ所ある。これらの区間に属する市民の数は、その期間の全被験者の20%、18%、6%にあたり、無視できない多さである。また、空間線量の大部分の区間において、少なくとも1%以上の市民の線量値がゼロであることがわかる。これはバックグラウンドの引きすぎとガラスバッジが正しく装着されていなかったことによる線量の過小計測によって引き起こされたと推測される。  そこで私は、大地からの自然放射線による空間線量0.04μSv/hの30%だけがガラスバッジによって計測され、計測にかからない残りの70%にあたる0.028μSv/hが引きすぎになると想定してみた。なぜならば、大地からの自然放射線も、放射性セシウムからの放射線と同じように、人体と建物により遮蔽されるからである。これに加え、ガラスバッジが正しく装着されていないことによる過小評価分の0.007μSv/hがあると仮定する。この合計値0.035μSv/h(=0.31mSv/y)の引きすぎがあるとして、論文に示された6つの期間のうち3番目(2012年10〜12月)と6番目(2014年10〜12月)の期間で引きすぎを補正してみた。この二つの期間を取り上げたのは、第3番目の期間から市民全員が対象となったことと、最新の期間が第6番目であることによる。もともと0.15であった係数は、この補正によって0.22と0.25まで大きくなった。 【補正2:航空機モニタリングの線量過大評価】  航空機によるモニタリングで得られた空間線量は、伊達市が行なった地上でのサーベイ・メーターによる測定よりも空間線量を1.33倍程度過大評価している。「だて復興・再生ニュース第8号」によると、2012年7月から2013年6月までの期間において、ガラスバッジによる線量値を伊達市がサーベイ・メーターを用いて測定した空間線量で割った平均値は0.20であり、論文の係数0.15の1.33倍である。600mの円内の平均的な線量を測定する航空機によるモニタリングよりも、地上でのサーベイ・メーターの測定を重視すべきである。この補正を行うと、さきほど得られた係数は0.30と0.34まで大きくなる。 【補正3:ROT照射条件のときの線量値】  放射線作業従事者による通常の放射線作業では、放射線は主として作業者の前方から来るものと想定されている。このような照射を「前方照射(AP)条件」という。ところが、原子力発電所から飛来した放射性物質(主としてCs134とCs137)で汚染された地域に住む公衆は、放射線が前方、後方、左右の側方からやってくる。このような状態は「回転照射(ROT)条件」と呼ばれ、個人線量計の応答や実効線量がAP照射条件とは異なる。   異なる照射条件における実効線量係数(Sv/Gy)の年齢依存性。study2007氏の同論考から    宮崎・早野論文では、ROT照射条件では人体の遮蔽によって線量の読み値が30%減少するが、実効線量も30%減となることがシミュレーションで求められているのでガラスバッジの読み値をそのまま使ってよいとしている。しかしながらAP照射条件においても、シミュレーションで求められた標準的な人体での実効線量は、ガラスバッジの読み値の85%であり、15%の余裕がとられている。この余裕は人間にはそれぞれ個性があることに鑑み、どんな場合でも過小評価をすることがないための方策である。したがってROT照射条件で同等の余裕を持たせるためには、ガラスバッジの計測値を1.2倍すべきだと考える(図を参照)。そうすると、係数は、0.36と0.40となる。 個人の被曝防護は、どうあるべきか  以上の3要因の補正をまとめると、空間線量から実効線量の集団の平均値を求める式は「実効線量=0.15×航空機モニタリングによる空間線量」ではなく、「実効線量=(0.36〜0.40)×地上でのサーベイ・メーターによる空間線量」である。なお、バックグラウンドの引きすぎとして仮定した0.035μSv/hが、たとえ低めの0.02μSv/hであったとしても、上記の係数は0.30〜0.32になるだけであることに注意してほしい。これが、本稿の1点目の結論である「ある場所の空間放射線量から個人の被曝線量を算出するための係数は、この論文の結論とは異なる」という問題である。   避難指示が解除された浪江町で、慰霊碑を訪れた町民=3月31日  さらに2点目の結論を考えよう。宮崎・早野論文の図をみると、各個人の被曝線量は大きく広がっており、低線量率の区間でも年あたりの被曝線量が10mSvに近いか10mSvを超える人々が、論文が扱っている全期間に存在する。  そもそも放射線被曝防護においては、平均的人間などを想定することは許されず、最大の被曝をする個人を防護の対象としなければならない。平均値は、集団の健康へのリスクの予測には役立つが、一方、個々人の防護では被曝線量が大きい人の被曝を低減することが大事であるということに尽きる。この観点からみると、環境省の基準である「実効線量=0.60×空間線量」においてさえも、市民の10%以上が基準を超えて被曝することが、宮崎・早野論文の図5からわかる。それゆえ、放射線防護の基準としてはより厳しいものを用いるべきであり、換算式としては「実効線量=空間線量」を採用することが自然でありかつ妥当である。 最も重視すべきは「数値や係数の真意の説明」  私が宮崎・早野論文をていねいに読んでみたところ、論文中に説明されていない記号などがかなり見受けられ、また特にこの論文の結果を示す図4の説明が不十分であると思った。一例をあげれば、係数の0.15±0.03の0.03がどのような意味で使われているかが説明されていない。論文について確認したい事項が多くあるので著者にお会いして質問できる機会があればと思う。  岩波書店の雑誌「科学」2013年12月号に、匿名の研究者study2007氏による論考「子どもの外部被ばくと全がんおよび小児白血病リスク」が載った。このなかでstudy2007氏は「原発事故に由来する被ばく量の評価はさまざまな機関・研究者によって行われるべきであるが,それを施策に結びつける場合は,根拠となる数字や係数の『真意』を住民に対し誠実に説明する必要があると考える」と述べていた。  惜しくも故人となった氏が表明されたこの信念に、私も従いたいと思う。私のこの論考が「根拠となる数字や係数の『真意』を説明する」ことに、幾分かの貢献ができれば幸いである。また伊達市民のみなさんは、論文の真意を誠実に説明してもらう権利がある、と考える。    

原子力推進機関IAEAは福島県で何をするの!?-事故の過小評価は許しません- フクシマ・アクション・プロジェクトより

原子力推進機関IAEAは福島県で何をするの!?-事故の過小評価は許しません-  フクシマ・アクション・プロジェクト <IAEAが福島県にやってくる!>  IAEA(国際原子力機関)は、原発事故後の状況に対して、2012年12月に福島県と協力して放射線モニタリングと除染の分野でプロジェクトを実施することを決め、また、福島県立医大と健康分野での協力も合意されました。2013年5月には「IAEA緊急時対応能力研修センター」が福島県自治会館に開設され、いずれは、現在三春町に建設中の環境創造センター内に入ることになっています。 <IAEAってなーに?>  IAEA(国際原子力機関)は、1957年に設立された、国連の安全保障理事会の傘下の機関で、”原子力(核)の平和利用”の推進を使命としています。平和利用とは、原子力の兵器としての利用を現在の核保有国以外に広めずに、発電等への利用を推進しようとするものです。  安全保障理事会では、核兵器を持っている5カ国(米・英・仏・露・中)が、常任理事国として特別な権限を持っています。そのためIAEAは、核兵器を持っている国の視点から、世界の核・原子力のバランスを保って管理していこうという機関であることが特徴です。  IAEAは福島県に常駐して、福島や日本の政策決定に重大な影響を与える研究や決定に関わる予定です。 <福島にIAEAが来ることについて、私たちは心配です>  私たちは、核の推進を使命とするIAEAが福島に来て、県と密接な関係で仕事をすることについて、とても心配しています。というのも、過去のチェルノブイリ等の事例から、核を推進する機関が関わることで、被災者の健康や生活の安全が第一に優先されず、ないがしろにされているからです。  二つの国際機関であるIAEAとWHO(世界保健機関)がチェルノブイリでしたことについて、見てみましょう。 <IAEAとWHOがチェルノブイリでしたこと>  1986年にウクライナのチェルノブイリの原子力発電所で起きた事故は数万人にのぼる死者と数多くの病人を生む悲惨なものでした。国際社会で健康を守り病人の救援の先頭に立つはずのWHOは、IAEAからの規制を受けて、30数人の死者しか認めず、子どもの甲状腺がんもなかなか存在を認めませんでした。  やっと認めた後も、「甲状腺がんたいして重い病気ではない」と言っています。また、被害の大きな地域の各国政府が避難区域を拡大しようと準備していた時に、「過剰な評価である」と言って、妨害したのもIAEAです。 <えっ、何でそんなことになるの?>  その背景には、1959年にWHOとIAEAとの間に取り交わされた「合意書」があります。国連を中心とした国際機関の中で、人々の健康を担当する権限は、元来、WHOにあります。けれども、この「合意書」によって、WHOはIAEAの同意を得ない限り、原理良くによる健康被害について、発言できないようになっています。WHOは国連の社会経済理事会の傘下ですが、IAEAは安全保障理事会の傘下で、一段と強い力を持っています。そこで元来健康を扱う権限のないはずのIAEAの意向が、優先されてしまうのです。 <私たちは、原発被災者の立場にたった問題解決を要求します>  私たちは「命を大切にする立場」からの復興を望みます。核の推進機関の県行政への関わりは、「福島県宣言(2012.3.11)」で世界に発信された、脱原発という福島県の方針と矛盾しないのでしょうか。  今後、広島・長崎の時のように、被災者が研究対象としてのみ扱われるのではないか、分析や提言にもゆがみが出るのではないか、といったことも私たちは心配です。そのようなことが起こらないよう、情報開示を求め、私たちの命や人権が大切にされる福島の未来を求めて、働きかけていきたいと思っています。 フクシマ・アクション・プロジェクト事務局   〒960-8055 福島市野田町6-12-21 佐々木方 フクシマ・アクション・プロジェクト   TEL 080-5563-4516   FAX 024-536-0909 会費の送付先 ゆうちょ銀行普通口座   【記号】18290 【番号】36818671   【口座名】フクシマアクションプロジェクト fukushimaactionproject@gmail.com FAP公式ブログ http://fukushimaaction.com/

国際原子力機関(IAEA)と福島県、協働覚書に署名 2012年12月15日

国際原子力機関(IAEA)プレスリリース 2012年12月15日 日本、福島県郡山 国際原子力機関(IAEA)の天野之弥事務局長と福島県の佐藤雄平知事は今日、「協働覚書」に署名し、東京電力福島第一発電所の事故の帰結を柔らげる助けになる具体的なプロジェクトを実施する意志を確認した。 3日間にわたる「核の安全に関する福島閣僚会議」期間中に合わせて署名された覚書は、二つの鍵となる領域での、協働作業を進める仕掛けを含んでいる。1つは国際原子力機関(IAEA)と福島県との間の放射線モニタリングと除染に関する部分で、もう一つは国際原子力機関(IAEA)と福島医大との間の、人々の健康に関する部分である。 覚書のもう一つの焦点は、緊急事態の準備と対応とを強化する助けとなる訓練センターを、福島県と日本政府との援助を得て福島県内につくる計画である。国際原子力機関(IAEA)対応援助網(RANET)の能力養成センターが、必要な場合に展開できる国際原子力機関(IAEA)の放射線モニタリング装備を備え、日本を始めアジア地域での緊急時準備対応の訓練をする目的で、創設される。 「このような枠組みがあれば、国際社会、および国際原子力機関(IAEA)の叡智が、福島の復興の過程で活かされることになります」と署名式に立ち合った玄葉光一郎外務大臣は述べた。 「私は覚書の結論にたいへん勇気づけられましたし、これが福島の復興を進めていく上で役に立つと確信します。」と佐藤知事は述べた。「そしてまた私たちは私たちがこれから進めようとしている活動から得られる知識と経験とを世界中に広めていくこともできるのです。それが福島のシンボルとなることを期待しています」 「国際原子力機関(IAEA)は除染対象地域を検証しました。環境モニタリングや人々の健康もです」と天野事務局長は述べた。「私たちが福島の支えとなり、同時に、この県を世界へと繋げていく橋渡し役にもなるのが、私たちの希望です」 土曜日に始まった福島閣僚会議は、国際原子力機関(IAEA)の協賛を受けて日本政府が主催している。 ※ 2012年12月15日~17日、福島県郡山市のビックパレット福島で、『原子力安全に関する福島閣僚会議』が開かれた。この際に、国際原子力機関(IAEA)と福島県との間で交わされた覚書に基づき、除染と健康管理の分野での研究拠点を福島県に設置することになった。

拝啓、福島民友新聞さま。拝啓、福島民報社さま。2018年12月27日第33回県民健康調査検討委員会の記事について。

 拝啓、福島民友新聞さま。拝啓、福島民報社さま。  2019年1月7日 内部被ばくを考える市民研究会 川根 眞也  (巻末に全文pdfをダウンロードできるアドレスがあります。A4カラー24ぺージ。)  2018年12月27日第33回県民健康調査検討委員会の記事について。貴社が書いた記事は、本当にがっかりさせられました。今でも「福島県の小児甲状腺がんは原発事故による放射線の影響ではない」という主張をそのまま報道するのでしょうか。「原発事故後の甲状腺の集団検診は意味がない」という世界保健機関(WHO)の国際がん研究機関(IRAC)の紹介をコメントなしで報道するのでしょうか。福島県民からは、「未だに、福島県の小児甲状腺がんが原発事故の放射線の影響ではない、という福島県民健康調査検討委員会や福島県立医大の主張を、福島民友、福島民報がそのまま報道する」とがっかり、いや、うんざりすると言った声が寄せられています。沖縄県での辺野古新基地建設問題では、琉球新報や沖縄タイムスが県民に寄り添った報道をしています。  今、まさに、地方新聞の真価が問われているのではないでしょうか。  福島県立医大や世界保健機関(WHO)の国際がん研究機関(IRAC)の主張を、貴社は批判的に検討しているのでしょうか。もはや、小児甲状腺がんが原発事故の放射能による影響であることは明白です。それどころか、これから爆発的に患者が増える、いや、現時点で増えていると思います。東京パラリンピック、オリンピック2020に向けて、福島県や国連は様々な悪知恵を働かせて、小児甲状腺がんの患者数を少なく見せようとしています。その1つが節目検査です。  福島民報さま。重大な事実誤認があります。節目検査は「25歳以降から」ではなく「20歳以降から」です。以下、資料をご確認下さい。3巡目検査から、20歳を超えた福島県民の甲状腺検査は5年置きになったのです。つまり、21~24歳はやらない、ということです。  しかし、1巡目検査による小児甲状腺がんの患者の平均年齢は14.9歳です。原発事故から昨年(2018)年度で7年経ちました。つまり、昨年(2018)年度は、このもっとも甲状腺がんを発症している世代は21.9歳になります。しかし、21~24歳は甲状腺がんの検査の対象外です。なぜなら、「節目検査」の名の下に、20歳の次は25歳だからです。東京パラリンピック、オリンピック2020が終わった2020年になって、初めてこの世代は次の検査を受けることになります。患者数隠しでなくて、何なのでしょうか? 図 先行検査で細胞診等で悪性ないし悪性疑いであった116人の年齢、性分布 2017年6月5日 平均年齢は14.9歳  県民健康調査検討委員会が開かれる度に、貴社、福島民友、福島民報の記事を読ませていただいています。もはや、朝日新聞も5.5cm×6cm,12行の記事。東京新聞がやや大きく7.5cm×12.5cm,37行の記事です。今回、読売新聞、毎日新聞はついに記事に書きませんでした。福島県の小児甲状腺がんの問題は、福島県内地域限定になっています。 25歳受診率 1割に満たず 福島の甲状腺検査 東京新聞 朝刊 2018年12月28日22面 朝日新聞 読売 毎日は記事を書かず  貴社、福島民友、福島民報のいまこそ出番ではないのでしょうか。県民健康調査検討委員会が始めた5年置きの「節目検査」を検証する必要があるのではないでしょうか。少なくとも、5年置きではなく20歳以降も2年置きに検査をやるよう、論陣を張るべきではないでしょうか。ちなみに、チェルノブイリ原発事故の深刻な被害を受けた、ベラルーシに川根は2013年訪問しましたが、原発事故から32年経ってもベラルーシではリスクグループとして、原発事故当時0~18歳は、毎年1回甲状腺超音波検診を受けるように、と政府が指示しています。原発事故から32年経ってもです。日本は原発事故から5年たった2016年(3巡目検査)から、2年置きを5置きにするという異常な措置。患者切り捨て、オリンピック優先の非人間的な政策と言わざると得ません。  福島民友さま。2018年12月27日記事の中で25歳時検診の記事があえて分断されていました。しかし、事実はこうです。「この25歳時の対象人数は2,005人。2,005人中2人が甲状腺がん。これは、10万人あたり99人の発症率に相当する、異常に高い発病率である。」25歳時対象人数2,005人と甲状腺がんの人数2人とを別々の文章にしたのは、まさか、10万人あたりの人数を計算しづらくするためではないでしょうね。  福島民報さま。2018年12月27日の記事で 「該当者2万2,653人のうち、今年9月末までに2,005人(8.9%)が受診、2人ががんの疑いと診断された。」 と書き、その後、18歳以降の受診率が「高校卒業後の進学や就職に伴う県外転出の影響で年齢が高いほど下がる」と書きながら、なぜ、この25歳時検診の10万人あたりの発症率99人/10万人を計算してみなかったのでしょうか?問題はこうです。「20歳以降の発症率はあまりに高い。18歳以降の検診を強化するべきではないのか?」と書くべきだったのではないでしょうか。   この小児甲状腺がんの発症の状況はまったなしです。対象人数は38万人。毎年10万人あたり99人も患者が出るということは、年間では99人×38万人/10万人=376人です。これが10年続けば、3760人の甲状腺がんの患者が出ることになります。これだけの人数を福島県内や他県で手術、その後の治療、検診が出来る体制が今、あるのでしょうか。東京の甲状腺の専門病院である、伊藤病院では大人の甲状腺がんの手術待ちが2013年の時点でも2年待ちでした。福島県内だけでなく、東日本全域に小児甲状腺がんの患者出ています。民間団体の「3.11甲状腺がん子ども基金」によれば、2018年3月末時点で福島県内85名、福島県外35名、合計120名の患者から給付金の申請が出て受理されています。  福島県で376名ならば、福島県外で155名の患者がいる推定になります。年間500名を超えます。もし、これが2018年の時点での発症数であるならば、多くの患者は検査されても手術を受けることができず、悪性のため転移していくのを耐えるしかなくなるのではないでしょうか。  「福島の小児甲状腺がんは原発事故による放射線の影響とは考えにくい」。この議論をしている事態ではないと思います。しかし、余りにもチェルノブイリ原発事故の被害に学ばない論調が多いので、あえて、いくつか指摘します。 <福島の小児甲状腺がんが原発事故の影響である論点> (1)もっとも発症率が高いのが、原発事故で避難指示が出された浜通り地域ではなく、8市村(8自治体とは川俣町、二本松市、本宮市、大玉村、田村市、郡山市、川内村、平田村)である理由=年間5ミリシーベルトを超える地域で避難指示を出すべきだったのに、出さず被ばくさせ続けたから。 図1 甲状腺がん標準化有病率の分布とFlexscanによる最も疑わしい地理的集積範囲。 第33回県民健康調査検討委員会 福島県甲状腺検査先行検査における甲状腺がん症例分布の空間解析 山下俊一ほか 2018年12月27日 より  浜通りの双葉町、大熊町、富岡町、楢葉町、浪江町、広野町、田村市(都路地区のみ)、南相馬市(原町区のみ)、川内村(上川内、下川内のみ)、葛尾村、川俣町(山木屋地区のみ)、飯舘村は避難指示があったため、2011年3月11日または12日、または4月21日または22日に避難指示がありました。この地区の住民は最低でも1年間高い放射能汚染地帯を離れました。しかし、8市村(8自治体とは川俣町、二本松市、本宮市、大玉村、田村市、郡山市、川内村、平田村)および8市村には入っていませんが、福島市、伊達市、相馬市などは年間5ミリシーベルトを超える被ばくをしています。なおかつ、この年間5ミリシーベルトとは、日本政府、文部科学省による意図的な過小な評価です。なぜならば、内部被ばくを無視した、外部被ばくのみの線量評価であるからです。以下は、フランス放射線防護・原子力安全(IRSN)が作成した、2011年4月29日時点での年間被ばく線量の推定です。文部科学省および米国エネルギー省(DOE)による航空機モニタリングの結果から、フランス放射線防護・原子力安全(IRSN)が作成しました。川根が福島県の市町村名を書き込み、フランス語を日本語訳にしたものです。 図 文部科学省によるセシウム134およびセシウム137の放射能汚染および被ばく線量(mSv) フランス放射線防護・原子力安全 2011年5月23日  山下俊一氏らの論文「福島県甲状腺検査先行検査における甲状腺がん症例分布の空間解析」で、福島県の小児甲状腺がんの発症率を「Flexscan法」を用いても、原発からの距離で有意な差はなかったとしていますが、これは2つの点で欠陥を持った研究です。 ア. 住民が避難したのか、避難せず原発事故直後の数年間その地域にとどまったのかを評価していない。 イ. 呼吸によるテルル132、ヨウ素131の摂取が決定的に重要になるのに、外部被ばく線量でしか評価していない。  ですから、8市村(川俣町、二本松市、本宮市、大玉村、田村市、郡山市、川内村、平田村)が有意に発症率が高かったのは、日本政府と福島県とが避難させなかったから、と考えるべきです。  (2)福島県の小児甲状腺がんの性別比は、チェルノブイリ原発事故後の甲状腺がんの性別比とそっくり。福島県立医大の発表とベラルーシの医師の報告による。  第5回放射線と健康についての福島国際専門家会議~チェルノブイリ30年の経験を福島に生かす~が、2016年9月26日(月)~27日(火)に福島市で開かれました。ここで重要な2つの報告が行われました。1人はベラルーシの内分泌、特に甲状腺がんの専門医である、ユーリ・デミチック医師。そして、福島県立医大の鈴木眞一氏です。2つの講演のスライドは現在でもダウンロードが可能です。  第5回放射線と健康についての福島国際専門家会議~チェルノブイリ30年の経験を福島に生かす~福島市 2016年9月26日(月)~27日(火) 「THYROID CANCER IN BELARUS Before and After the Chernobyl Nuclear Power Plant Accident ユーリ・デミチック 2016年9月」 「Childhood and adolescent thyroid cancer after the Fukushima NPP accident 鈴木眞一 2016年9月」  福島民報、福島民報の記者のみなさん。少なくともこうした海外の放射線専門家のスライドはぜひ、目を通していただきたいと思います。ここでユーリ・デミチック医師は、チェルノブイリ原発事故後の小児甲状腺がんの女性:男性の性別比を1.8 : 1と報告しています。第33回県民健康調査検討委員会の場で、「福島県立医科大学附属病院での手術症例について」では、福島県立医大で手術された小児甲状腺がんの男女比を1 : 1.8と報告しています。つまり、大人の甲状腺がんでは、圧倒的に女性の割合が高いのですが、原発事故後の小児甲状腺がんは男女の性別比の割合は2以下になる、ということを示しています。これは、福島県の小児甲状腺がんも原発の放射能によるものだ、と考えられないでしょうか?  資料 第33回県民健康調査検討委員会 福島県立医科大学附属病院での手術症例について 2018年12月27日 資料 被曝していない散発的な甲状腺がん患者とチェルノブイリ原発事故後の甲状腺がん患者 (3)福島県の小児甲状腺がんの発症年齢の分布は、チェルノブイリ原発事故後の甲状腺がんの発症年齢とそっくり。福島県立医大の鈴木眞一氏の発表とベラルーシの医師の報告による。  これは、以下の2016年の「第5回放射線と健康についての福島国際専門家会議~チェルノブイリ30年の経験を福島に生かす~」で福島県立医大の鈴木眞一氏が報告したスライドの中の1枚です。このグラフを読めば、2011年~2013年の福島県の小児甲状腺がんの発症年齢の分布が、チェルノブイリ原発事故後の「潜在期」(原発事故当年から3年間)の小児甲状腺がんの発症年齢の分布と一致することが分かります。鈴木眞一氏は講演では言葉にはしなかったかもしれませんが、これは明らかにチェルノブイリ原発事故と同じことが現在起きています。 資料 チェルノブイリ原発事故後のウクライナにおける小児甲状腺がんと福島第一原発事故後の福島県における小児甲状腺がんの患者の年齢分布 鈴木眞一 2016年9月  そして、パンデミックとも言える小児甲状腺がんの発症が起きるのはチェルノブイリ原発事故では6~9年後(14歳以下)や14~16年後(15歳~19歳)です。これは2016年の「第5回放射線と健康についての福島国際専門家会議~チェルノブイリ30年の経験を福島に生かす~」でベラルーシのユーリ・デミチック医師が報告したスライドの中の2枚です。 図 ベラルーシの各地域における子ども(15歳以下)の甲状腺がんの発症率(10万人あたり)の推移:地理的要因1970年から2014年 ユーリ・デミチック医師 2016年9月 図 ベラルーシの各地域における青年期(15ー19歳)の甲状腺がんの発症率(10万人あたり)の推移:地理的要因1970年から2014年 ユーリ・デミチック医師 2016年9月  ベラルーシのユーリ・デミチック医師は東電福島第一原発事故以降、毎年のように福島県立医大や山下俊一氏らに招かれ、福島県で講演をしていました。2017年3月突然、心筋梗塞で亡くなりましたが、チェルノブイリ原発事故の教訓を日本に伝えようと努力していました。日本政府、福島県、福島県立医大はユーリ・デミチック医師の貴重な資料を無視し続けてきました。その結果が現在である、と思います。  子どもの甲状腺がんは悪性で進行が早く転移するケースが非常に多いです。甲状腺がんだけでなく、放射性物質誘発がんであるために、同時多発的に別のがんを発症する可能性もあります。2016年のユーリ・デミチック医師の報告には、ベラルーシで小児甲状腺がんの患者で亡くなった26人の死因の分析もありました。7名が自殺です。甲状腺がんにかかった子どもたちの精神的なサポートは絶対的に必要なことは言うまでもありません。しかし、一方で、白血病、心不全、脳梗塞、胃がん、肺線維症、肝硬変、粘液水腫でも亡くなっています。つまり、甲状腺がんに罹った子どもたちは、別のがんのリスクも同時にかかえていて、放置すれば死の危険もある、ということです。恐らく、このユーリ・デミチック医師の2016年の講演は、日本における最後の講演になったのではないか、と思います。彼が日本の人々へ残した教訓を生かして、私たちは前で進まなければならないのではないでしょうか。「原発事故で小児甲状腺がんは起きない」などという、世界保健機関(WHO)などの言う言葉に耳を傾ける時間は私たちにはもうありません。 図 甲状腺がん患者で死亡した26人の死亡原因 ユーリ・デミチック医師 2016年9月  福島民友、福島民報 2018年12月27日記事全文 先行検査 甲状腺がん「地域差乏しい」 県検討委 福島医大、論文示す 2018年12月28日 福島民友 2面 <リード>  原発事故後、県内全ての子どもを対象とした甲状腺検査を巡り、福島医大は27日、1巡目検査で見つかった甲状腺がんの有病率を地域別に分析した結果、有病率の分布に地域差は乏しいとする論文を示した。 <本文>  同日、福島市で開かれた原発事故の健康調査を調べる県の「県民健康調査」検討委員会で説明した。1巡目検査は2011~13年に行われ、がんやがんの疑いは計116人(手術で良性と確認された1人を含む)に上る。検査は現在4巡目が行われており、論文では「今後は本格検査による結果を踏まえ、検討することが望まれる」としている。  福島医大は、対象者を複数のグループに分け、特殊な計算方法を用いて有病率を比較。国内外の先行研究を参考に東京電力福島第一原発からの距離や推定外部被ばく線量(※編集者注 やはり、内部被ばく無視ですか?)、人口密度などの地理的要因を考慮した。  この結果、最も有病率の高い地域は県中心部付近の8自治体を合わせた範囲だった(※編集者注 8自治体とは川俣町、二本松市、本宮市、大玉村、田村市、郡山市、川内村、平田村。原発30km圏内の自治体。すべて部分的な避難指示しかなく、多くの住民が原発事故後も居住し続けた自治体。)が、統計的に優位な関連性は認められず、福島県立医大は「先行検査(1巡目検査)による県内の甲状腺がん有病率に地域差は乏しく、その分布が放射線被ばく線量を含む地理的要因を反映しているとは考えにくい」と結論付けた。 3巡目検査、がん13人に  福島医大は県民健康調査検討委員会で、甲状腺検査の9月末時点の結果を公表した。2016(平成28)年度から始まった3巡目の検査では、前回報告(6月末時点)から新たに2人ががんと確定、1人ががんの疑いと診断された。3巡目検査のがん確定は13人、がん疑いは5人となった。  県と福島医大は、11~13年度に1巡目、14~15年度に2巡目、16~17年度に3巡目、本年度から4巡目の検査を実施。4巡目検査では、2次検査対象者151人のうち39人が受診、このうち7人が検査を終了したが、結果はまとまっていない。  また、福島県立医大は、昨年度から実施した1992年度に生まれた25歳時の県民を対象にした甲状腺検査の結果も始めて発表した。2次検査対象者は88人で67人が受診し、58人の検査が終了。2人ががんまたはがんの疑いと診断された。(※編集者注 文章が分断されているが、この25歳時の対象人数は2,005人。2,005人中2人が甲状腺がんとは、10万人あたり99人の発症率に相当する、異常に高い発病率である。)1~4巡目と25歳時の検査を合わせると、がん確定は166人(手術で良性と確認された1人を除く)、がん疑いは40人。  検討委では、25歳時の検診の受診者が2,005人で対象者(2万2,653人)の8.9%にとどまることについての議論があった。25歳時の検査は30歳時の検査と併せ、長期的に甲状腺の状況を把握する狙いがある。星北斗座長は検討委終了後の記者会見で「始まったばかりでまだまだ認知されていない。受診を希望する人がアクセスできるように取り組む」と語った。 「検査推奨しない」専門家グループ  27日の検討委員会では、世界保健委員会(WHO)の専門機関「国際がん研究機関(IARC)」の専門家グループが、将来起こり得る原発事故に際し、集団的な甲状腺検査を推奨しないとする提言をまとめたことが報告された(※編集者注 つまり、小児甲状腺がんを調べるな!ということ。原発が新設できなくなり、再稼働しづらくなるから)。必ずしも治療の必要のないがんを見つける「過剰診断」などを理由に挙げ、県内で実施されている甲状腺検査についての提言ではないと前置きしている。  検討委の星北斗座長(県医師会副会長)は「1つの参考とする。ただ、多くの県民が甲状腺検査を希望している状況もあり、(今後の検査の在り方が)1つの提言で決まるものではない」としている。  専門家グループは、甲状腺検査を推奨しないとした上で、被ばく線量が100~500ミリシーベルト以上の個人には長期の甲状腺モニタリングの提供を検討するように提言した。ただ「被ばくレベルを下回る個人には何もするべきではない、ということを意味するわけではない。潜在的な不利益があったとしても、甲状腺がんについて不安を抱く低リスクの個人の中には、安心を求めて甲状腺検査を受ける人もいる」と指摘。潜在的な利益と不利益について詳細な説明を受けた上で、整備された枠組みの中で甲状腺検査の機会を与えられるべきだとした(※編集者注 つまり、チェルノブイリ原発事故で国際原子力機関IAEAも小児甲状腺がんは原発事故による放射線の影響と認めたことすら、この専門家グループは否定している、ということ)。  県民健康調査甲状腺検査 25歳の受診率8.9% 県外転出などの影響、鮮明に 2018年12月27日 福島民報 2面 <リード>  東京電力福島第一原発事故の健康影響を調べる県民健康調査の甲状腺検査で、節目の25歳を迎えた対象者の検査の受診率が8.9%にとどまっている。27日、福島市の福島グリーンパレスで開かれた県民健康調査検討委員会で報告された。 <本文>  甲状腺検査は原発事故当時18歳以下だった県内の子ども約38万人を対象に2011(平成23)年度に始まり、2014年度から2巡目、2016年度から3巡目、今年5月から4巡目に入った。25歳になると、その後は5年ごとに検査を受ける(編集者注 これは福島民報の間違い。節目検査とは20歳超えてから。3巡目の2016年度の時点で20歳なった世代は、21,22,23,24歳は受けず25歳に検査を受ける。つまり、「20歳を超えるとその後は5年ごとに検査を受ける」が正しい。)。  今回、状況が示された25歳時検査は2017年度に25歳を迎えた1992年度生まれが対象。該当者2万2,653人のうち、今年9月末までに2,005人(8.9%)が受診、2人ががんの疑いと診断された。  検査の受診率(3巡目)は7歳以下74.0%、8~12歳90.2%、13~17歳82.2%と高校生以下で高いが、18~24歳では16.4%に急落する。高校卒業後の進学や就職に伴う県外転出の影響で年齢が高いほど下がる傾向にある。25歳時検査の受診率ではその流れがさらに鮮明になった。  25歳時検査を受診できなかった人は30歳時検査の前年まで受診できる。検討委の星北斗座長は終了後の記者会見で受診率について「高低を評価するには時間的・数値的データが不十分だが、受けたいのに受けられないという人は少なくしたい」と述べた。 内部被ばく検査会場を各方部に 受診者減少で設置へ  検討委員会では事故直後から県が行っているホールボディーカウンター(WBC)による内部被ばく検査の状況も示された。県は受検者減少を踏まえ、従来の巡回中心から、検査会場を各方部に置く方法に移行する方針。  検査は2011年6月に開始。同年12月からは市町村の希望に応じ、WBCを搭載した車で学校などを巡ってきた。今年3月末までの受検者33万753人のうち、33万727人は預託実効線量1ミリシーベルト未満だった。2012年度以降、1ミリシーベルトを超えた例はない。受検者は2012年度の約9万人から年々減り、昨年度は約9,000人だった。県はこうした現状を踏まえ、WBC車が停車する検査会場を各方部に設けて希望者に来てもらう体制とする。常駐検査を行っている県北、会津、相双、いわきに加え、来年1月1日から県南(白河)で常駐検査を始める。 <将来の原発事故発生時 「集団的な検査すべきではない」 WHO専門家>  世界保健機関(WHO)関連組織・国際がん研究機構(IRAC)の国際専門家グループは将来的に原発事故が起きた際、周辺地域などの全住民を対象とする集団的な甲状腺検査をするべきではないとの提言をまとめた。環境省の担当者が検討委員会で報告した。  提言は、本県の甲状腺検査を対象としてはいないとした上で、甲状腺がんは無症状の人が多く存在し、集団的検査は手術の必要のないがんまで検出される「過剰診断」など副次的問題が多いと指摘。全住民対象の大規模調査は行わず、一定の被ばく線量がある人に限り検査を受けるべきか選ばせるべきとした。  星座長は「科学的観点から甲状腺検査を推奨しないと読める」との認識を示した上で「提言は1つの参考だが、検査をどうするかは社会的な背景や検査を望む県民の声を踏まえ総合的に判断する」と述べた。 甲状腺がん「地域差乏しい」 県検討委 福島医大、論文示す 先行検査 福島民友 2018年12月28日2面 その1 その2 25歳の受信率8.9% 県外転出などの影響、鮮明に 県民健康調査甲状腺検査 福島民報 2018年12月28日2面 その1 その2 敬具 内部被ばくを考える市民研究会 川根眞也  <全文、資料pdfのダウンロードはこちらから> 拝啓、福島民友新聞さま。拝啓、福島民報社さま。2018年12月27日第33回県民健康調査検討委員会の記事について。 2019年1月7日 pdf            

東電 福島第一原発沖5km ホウボウ ストロンチウム90 0.024ベクレル/kg 2018年7月20日採取

 水産研究・教育機構は、日本近海および遠洋の水産物のストロンチウム89,ストロンチウム90,セシウム134,セシウム137等の濃度を測り、公表しています。 「水産研究・教育機構による水産物放射性物質調査結果」  この2018年12月6日公表の水産物ストロンチウム等調査結果 によれば、2018年7月20日採取のホウボウからは、ストロンチウム90が0.024ベクレル/kg検出されています。セシウム137が0.780ベクレル/kgでセシウム134が不検出(<0.059ベクレル/kg)とあります。  原発事故から7年と4か月。東電福島第一原発はセシウム134とセシウム137とを同量放出したとされています。ですから、東電福島第一原発事故由来であるならば、2018年7月20日時点では、セシウム137が0.780ベクレル/kgあるとすると、半減期によるそれぞれ減衰により、セシウム134はセシウム137の約10分の1程度あるはずです。つまり、セシウム134が0.078ベクレル/kgあるはず。つまり、ホウボウからセシウム134が出て来ないということは、セシウムに関しては福島第一原発事故由来だけではない(大気圏内核実験由来+東電福島第一原発事故)。しかし、ストロンチウム90は福島第一原発事故である可能性があります。  下記のように、文部科学省管轄の日本の環境放射能と放射線というサイトでは、原発立地自治体に設置されている原子力環境センターや、他の自治体では衛生研究所、保健環境研究所などが、水産物のセシウム137濃度、ストロンチウム90濃度を調べてきました。1964年度から2017年度の結果から、水産物のストロンチウム90汚染の結果を整理すると、以下のようになります。  水産物の放射能汚染 セシウム137 ストロンチウム90 1964年から2018年 日本の環境放射能と放射線 資料作成 川根眞也  つまり、2017年度時点では水産物からストロンチウムが0.020ベクレル/kg出てくることはほとんどない、ということです。しかし、上記、水産研究・教育センターの水産物のストロンチウム90汚染のデータでは、 2017年度採取 スケソウダラ 2017年4月16日採取 仙台湾沖20km ストロンチウム90 0.017ベクレル/kg セシウム137 0.20ベクレル/kg (セシウム134 不検出<0.016) ハマグリ 2017年5月9日採取 千葉県九十九里浜 ストロンチウム90 0.029ベクレル/kg セシウム137 不検出<0.28ベクレル/kg (セシウム134 不検出<0.039) マダコ 2017年5月17日採取 福島県小名浜沖10km ストロンチウム90 0.013ベクレル/kg セシウム137 0.10ベクレル/kg (セシウム134 不検出<0.021) マダイ 2017年7月28日採取 福島第一原発沖 1.5km ストロンチウム90 0.031ベクレル/kg セシウム137 0.80ベクレル/kg  セシウム134 0.10ベクレル/kg 2018年度採取 ホウボウ 2018年7月20日採取 福島第一原発沖 5km ストロンチウム90 0.024ベクレル/kg セシウム137 0.78ベクレル/kg (セシウム134 不検出<0.059)  ストロンチウム90が水産物から0.020ベクレル/kg超えて出てくることは、2010年原発事故前は、原子力発電所周辺海域でもめったになかったことです。これから、ストロンチウム90汚染の水産物(大気圏内核実験由来を超える)が宮城県仙台湾から福島県沖、茨城県沖、千葉県沖、東京湾沖、静岡県駿河湾沖まで出てくる可能性があります。政府はきちんと水産物のストロンチウム90汚染を調べるべきです。  ちなみに、水産物のセシウム137汚染の推移を調べてみました。茨城県沖のシラス、北海道沖のマダラです。原発事故直後に高い汚染を見せていました。東電福島第一原発事故直後は例え北海道であっても、魚を食べ控えるべきであったことが伺えます。また、北海道はだいたいセシウム137の汚染については、2010年原発事故前のレベルに戻りつつありますが、茨城県ではまだ、高いレベルであることがわかります。                     地図 ホウボウ 2018年7月20日採取 セシウム137 0.780ベクレル/kg ストロンチウム90 0.024ベクレル/kg 東京電力福島第一原発沖5km セシウム137の32分の1のストロンチウム90 水産研究・教育機構

もんじゅ 核燃料取り出し4度目のトラブルでまたまた中断 2018年12月9日

 福井県の廃炉が決まり、廃炉作業が行われている高速増殖炉もんじゅ。そもそもでたらめ点検、管理で原子力規制委員会からもダメ出しを食らった、日本原子力研究開発機構がそのまま廃炉作業を担っています。沸騰水型原子炉(BWR)や加圧水型原子炉(PWR)が冷却水に水を使っているのとは違い、高速増殖炉もんじゅは冷却材に金属のナトリウムを使っています。ナトリウムが高温、高圧でも液体状態を保つことができるためです。ところが塩化ナトリウム(食塩)という形では、日常普段に接することができるのに対し、ナトリウム(純粋な金属)は空気中の水蒸気と触れ合うと爆発的に燃える性質があります。 CERON 金属ナトリウムの廃棄 大胆すぎる方法 – YouTube    高速増殖炉もんじゅの核燃料はこの金属ナトリウムの中に漬かっています。当然、空気中にそのまま核燃料集合体を出したら、金属ナトリウムがついていますから、空気中の水蒸気と触れ合い、爆発します。そのため、核燃料集合体についているナトリウムをアルゴンという気体で「洗う」必要があります。少しでも、金属ナトリウムがついていたら、爆発的に燃え、作業は中断します。もんじゅが運転を停止したのは2010年8月。以来8年間放置されてきました。核燃料集合体の健全性も不明と言えるでしょう。金属ナトリウムの爆発、同時に、破損した核燃料からの気体性放射性物質の拡散などの危険性を抱えています。  4度目のトラブル、聞いたことがないよ、と言われる読者もいるでしょう。そうです。大新聞はほとんど、もんじゅの事故を報道しないのです。福井県には、大飯原発3号機、4号機、高浜原発3号機、4号機と4基もの原発が2018年12月14日現在、稼働中です。4基の原発に事故・トラブル続きのもんじゅ。福井県や周辺の自治体に住む住民の命と健康が大丈夫なのでしょうか?  もんじゅの廃炉か、原発の稼働か、少なくともどちら1つでしょう。両方が事故を起こした場合の対策は打ちようがないのではないでしょうか。結論はただ一つ、福井県の原発はすべて廃炉にして、もんじゅの廃炉に集中すべきです。もんじゅのトラブル、事故をつつみ隠さず報道するべきだと考えます。 もんじゅ燃料取り出し、また中断 出入機で警報、8月以降4回目 佐賀新聞 2018年12月10日  日本原子力研究開発機構は10日、使用済み核燃料の取り出しを進めている高速増殖原型炉もんじゅ(福井県敦賀市)で、燃料出入機の異常を知らせる警報が9日に鳴り、作業を中断したと発表した。4日に別の出入機の警報で中断し、7日に再開したばかりだった。8月の取り出し開始以降、警報で中断するのは4回目。 機構によると、警報は9日午後9時20分ごろ、燃料貯蔵設備に運ぶ模擬燃料を出入機でつかむ作業中に鳴った。出入機の先端部に冷却材の液体ナトリウムが付着して固まったのが原因とみられ、数日かけて洗浄するとしている。 機構は、8日までに計56体の取り出しを終えた。当初、年内としていた計100体の取り出し完了時期は来年1月に延期している。 もんじゅ、冷却材の抜き取り開始 液体ナトリウム、年内完了予定 佐賀新聞 2018年12月4日  日本原子力研究開発機構は4日、廃炉作業中の高速増殖原型炉もんじゅ(福井県敦賀市)で、冷却材の液体ナトリウムの抜き取り作業を始めたと発表した。対象は放射性物質を含まない2次系の約220トンで、年内に完了するとしている。 機構によると、原子炉補助建物にある配管から抜き取り、同建物内のタンクで保管する。今年4~5月にも約530トンを抜き取ったが、タンクの容量不足のため、約220トンは抜き取らず配管内を循環させていた。 機構はタンクの空き容量を確保するため付近にタンクを増設し、先月25日までに保管中のナトリウムの一部を移送した。 抜き取ったナトリウムは当面、タンク内で固めて保管する。最終的な搬出先や処分方法は未定。 ナトリウムは、空気や水に触れると激しく燃える性質を持ち、扱いが難しいとされる。1995年のナトリウム漏れ事故では、2次系の配管から約640キロが漏れて火災が発生した。 もんじゅ核燃料の取り出し延期 計100体、作業の中断相次ぎ 佐賀新聞 2018年12月2日    高速増殖原型炉もんじゅ=福井県敦賀市  8月に取り出し作業を始めた高速増殖原型炉もんじゅ(福井県敦賀市)の使用済み核燃料について、日本原子力研究開発機構が、年内としていた計100体の取り出し完了時期を延期することが2日、政府関係者への取材で分かった。 燃料出入機の警報が鳴るトラブルや機器整備のため作業の中断が相次ぎ、これまでに取り出したのは計51体にとどまる。機構は1日当たり1体の取り出しペースを速めることを検討していたが、計画通りの実施は困難になっていた。 関係者によると、機構が今後、廃止措置計画の変更を原子力規制委員会に届け出るとみられ、来年1月中には計100体の取り出しを終えるとしている。所管する文部科学省の担当者が3日、福井県と敦賀市を訪れて説明する。 取り出し作業は8月末の開始以降、9月に警報が鳴るトラブルで2回中断。冷却材の液体ナトリウムが出入機の先端部に付着して固まったことが原因とみられ、機構は10月中旬から11月初めまで、取り出しをせず出入機の洗浄などを実施。11月中旬にも洗浄のため中断したほか、同28日からは出入機の部品交換のためとして中断している。 計画では、2022年度までに原子炉などにある使用済み燃料計530体の取り出しを完了。18年中には燃料貯蔵設備にある160体のうち100体の取り出しを終えるとしていた。 取り出し作業を巡っては、開始前にも機器のトラブルなどが相次ぎ、当初7月としていた開始時期が8月にずれ込み、機構が計画を変更した。 もんじゅ核燃料取り出し作業中断 機器の部品交換のため 佐賀新聞 2018年11月30日  日本原子力研究開発機構は30日、廃炉作業中の高速増殖原型炉もんじゅ(福井県敦賀市)で、燃料出入機の部品交換のため、28日から使用済み核燃料の取り出し作業を中断したと発表した。交換が終わり次第、近く再開するという。 機構によると、25日の取り出し作業後に関連機器のデータを確認したところ、出入機が燃料を引き上げる速度が通常より遅かったため、26日は取り出し作業を行わずに機器を調整。27日に作業を再開したが改善せず、出入機の動きを調節している部品を交換することにした。 もんじゅでは8月に燃料取り出しを始めて以降、出入機の警報が鳴るトラブルや機器整備のため、作業の中断が相次いでいる。11月15~20日にも、冷却材の液体ナトリウムが付着した出入機先端部の洗浄などのため中断し、21日に再開したばかりだった。 使用済み燃料は、これまでに51体を取り出した。年内にあと49体取り出す計画だが、従来の1日当たり1体のペースでは間に合わず、機構は態勢の見直しを検討している。 もんじゅ燃料出入機で警報、福井 10月に4件目、運用見直し 佐賀新聞 2018年11月10日  廃炉作業中の日本原子力研究開発機構高速増殖原型炉もんじゅ(福井県敦賀市)で、10月15日に燃料出入機の異常を知らせる警報が鳴っていたことが10日、機構への取材で分かった。 当時、使用済み核燃料の取り出し作業は機器整備などのため中断中で、機構は「燃料を取り扱っておらず、重大なトラブルではない」としているが、出入機の運用改善を原子力規制委員会に報告した。 機構によると、冷却材の液体ナトリウムが、燃料をつかむ出入機の先端部に付着して固まったのが原因とみられ、同様の理由による警報は7月以降、4件目。 警報は10月15日夕、燃料から垂れたナトリウムを受け止める「ドリップパン」と呼ばれる容器を洗浄するため、出入機でつかもうとした際に鳴った。爪が開閉する構造の先端部にナトリウムが固着したとみられ、数日かけて洗浄した。 機構は、燃料の取り出しを繰り返すうちに付着するナトリウムが増えるなどし、爪の開閉時にかかる負荷が警報設定値を超えたと推定。開閉時の負荷を監視し、増加傾向があれば設定値に近づく前に取り出しをやめて洗浄するなど、出入機の運用を見直すとしている。 機構は10月13日に、同31日までの予定で取り出しを中断、11月3日に予定より2日遅れで再開した。 もんじゅ燃料取り出し再開 トラブル対応で延期 佐賀新聞 2018年11月3日  日本原子力研究開発機構は3日、機器整備などのため中断していた高速増殖原型炉もんじゅ(福井県敦賀市)の使用済み核燃料取り出し作業を再開したと発表した。当初は1日に再開の予定だったが、中断中に起きたガス漏れトラブルへの対応などに時間がかかった。 8月末から開始した作業で、機構はこれまでに33体を燃料貯蔵設備から取り出した。今年中にあと67体の計100体を取り出す計画だが、従来通りの1日当たり1体のペースでは間に合わないため、作業態勢を見直す。 機構は、冷却材の液体ナトリウムが付着した燃料出入機の洗浄などのため、10月13日から燃料取り出し作業を中断。同18日、取り出した燃料に付いたナトリウムを洗い流す装置で、循環させていたアルゴンガスが漏れるトラブルがあった。 もんじゅ、装置乾燥用のガス漏れ 被ばくや外部への影響なし 佐賀新聞 2018年10月19日  日本原子力研究開発機構は19日、廃炉作業中の高速増殖原型炉もんじゅ(福井県敦賀市)で、燃料洗浄装置の乾燥のため循環させていたアルゴンガスが漏れるトラブルがあったと発表した。ガスに放射性物質は含まれておらず、作業員の被ばくや外部への影響はないという。 機構は13~31日の間、機器整備などのため、8月に始めた使用済み核燃料の取り出し作業を中断しているが、11月からの再開にも支障はないとしている。 機構によると、燃料洗浄装置は、取り出した使用済み燃料に付着した冷却材の液体ナトリウムを洗い流す装置。今月18日午後、装置内にガスを循環させて湿度を計測中、装置にガスを送り込む配管に取り付けてあった計測用の仮設ホースが外れ、ガスが装置のある室内に漏れた。流したガスの圧力が高かったとみられる。 もんじゅ燃料取り出し再開 出入機警報で中断 佐賀新聞 2018年9月25日  日本原子力研究開発機構は25日、高速増殖原型炉もんじゅ(福井県敦賀市)で使用済み核燃料の取り出し作業を再開したと発表した。19日に燃料出入機の異常を知らせる警報が鳴ったため、中断していた。 機構によると、燃料をつかむ出入機の先端部に冷却材の液体ナトリウムが入り込んで固まったことが原因と分かった。出入機を別の建物に移して先端部を洗ったところ、正常に動くことが確認できたという。 燃料取り出しは8月30日に開始。機構はこれまでに「燃料貯蔵設備」から16体を取り出し、「燃料池」と呼ばれるプールに移した。12月までに計100体を移すとしている。 もんじゅ、取り出し作業一時中断 原子力機構「重大でない」 佐賀新聞 2018年9月6日  日本原子力研究開発機構は6日、高速増殖原型炉もんじゅ(福井県敦賀市)で、使用済み核燃料の取り出し作業中に「燃料洗浄設備」の異常を知らせる警報が4日に鳴り、作業を一時中断したと発表した。 5日の取り出しを中止して機器の点検を実施、6日に作業を再開したという。機構は「重大な事故や工程に影響のあるトラブルではないため、すぐに発表しなかった」としている。 機構によると、警報は4日午後8時40分ごろ、「燃料貯蔵設備」から取り出した燃料1体を洗浄設備で洗った後、設備を乾燥させていた際に鳴った。設備の弁の位置を確認する機器がずれていたため、閉じているはずの弁が「閉じていない」とする警報が出たという。 また、原子力規制委員会は6日、もんじゅで3カ月ごとに実施する保安検査を始めた。取り出し作業の準備段階で多発したトラブルへの対策などを確認するとしている。19日までの予定。 使用済み核燃料の取り出しは8月30日に開始。機構は6日までに7体を取り出した。 もんじゅデータが一時送れず 国の緊急時システムに 佐賀新聞 2018年9月5日  日本原子力研究開発機構は5日、廃炉作業中の高速増殖原型炉もんじゅ(福井県敦賀市)から、原子炉の状態を把握する国の緊急時対策支援システム(ERSS)へのデータ送信が一時的に停止したと明らかにした。データ送信は同日、停止と再開を2回繰り返した。 もんじゅを運営する機構と、原子力規制庁によると、5日午前3時ごろ、データ送信が停止した。同8時40分ごろ復旧したが、約20分後に再び止まった。午後1時35分ごろ再開した。送れない間、機構は電話やファクスなどでデータを規制庁に報告した。 データ送信に使用している回線業者のネットワークが台風21号の影響で障害を起こしたのが原因とみられる。 もんじゅでは、使用済み核燃料の取り出し作業を行っている。 もんじゅデータ送信が再び停止 佐賀新聞 2018年9月5日  日本原子力研究開発機構は5日、高速増殖原型炉もんじゅから、原子炉の状態を把握する国の緊急時対策支援システムへのデータ送信が午前9時ごろ、再び停止したと明らかにした。同日未明に送信が一度止まり、復旧していた。 もんじゅ、燃料1体取り出し終了 廃炉作業の第1段階、地元に不安 佐賀新聞 2018年8月30日    福井県敦賀市の高速増殖原型炉もんじゅで、使用済み核燃料の取り出し作業を開始する操作員ら=30日(代表撮影)  日本原子力研究開発機構は30日午後、高速増殖原型炉もんじゅ(福井県敦賀市)で、使用済み核燃料1体を「燃料貯蔵設備」から取り出し、水で満たされた「燃料池」と呼ばれるプールに移す作業を終了した。 取り出しは30年かかる廃炉作業の第1段階。準備段階から相次いだ機器の不具合で開始が延期されるなど、地元関係者らに不安を残す中での作業となった。 機構によると、取り出し作業は、原子炉補助建屋にある「燃料取扱設備操作室」で、燃料出入機や、取り出した燃料をステンレス製の缶に入れる装置などを遠隔操作して実施。この日は操作員ら7人が作業に当たった。 機構は2022年までに、貯蔵設備の160体と、原子炉に入っている370体の計530体の取り出しを終える計画を示している。 もんじゅ燃料取り出し開始 廃炉第1段階、22年完了 佐賀新聞 2018年8月30日    高速増殖原型炉もんじゅ=福井県敦賀市    福井県敦賀市の高速増殖原型炉もんじゅで、使用済み核燃料の取り出し作業を開始する操作員ら=30日午前(代表撮影)  日本原子力研究開発機構は30日、高速増殖原型炉もんじゅ(福井県敦賀市)の使用済み核燃料の取り出し作業を始めた。燃料取り出しは30年かかるとされる廃炉作業の第1段階。準備段階でトラブルが相次ぎ、当初7月下旬を予定していた作業開始を延期していた。 機構は2022年までに「燃料貯蔵設備」と原子炉に入っている計530体の取り出しを終えると説明している。ただ、これまでに原子炉から2体しか取り出した経験がなく、空気や水に触れると激しく燃える冷却材の液体ナトリウムの扱いも難しいため、作業が難航する可能性もある。 燃料の取り出しに先立ち、機構は今月19~28日、貯蔵設備に入っていた制御棒を燃料に見立てて取り出す訓練を実施。初日に燃料出入機の警報が鳴って作業を中断したが、再開した20日以降は順調に1日1体ずつ取り出したという。機構は「操作員らの習熟が確認できた」としている。 機構によると、操作員ら計25人が3班体制で作業に当たり、この日はうち7人が作業。出入機を使って貯蔵設備にある燃料を取り出し、付着した液体ナトリウムを洗浄した後、ステンレス製の長さ約4・5メートルの缶に収納し、水で満たされた「燃料池」に移す。 機構は今年12月までに、貯蔵設備にある160体のうち100体を燃料池に移すことを目標とし、原子炉からの取り出しは来年7月に始める計画だ。47年度までに廃炉を完了するとしている。                    

「放射線は量が問題です」と子どもに刷り込む、文部科学省放射線副読本。人工放射能と自然放射能をごちゃにして被ばくを強要。

 文部科学省が2018年10月、小学生、中学生、高校生に放射線教育をおこなうための、放射線副読本を改訂しました。この内容は2011年版、2014年版よりも悪い内容になっています。2011年版は文部科学省が直接作らず、原子力文化振興財団に丸投げしたもの。2014年版は「原発村に丸投げするな!」の批判を浴び、文部科学省初等中等教育局教育課程課の職員がその反省の下に改訂したものです。川根も、「放射線教育を考える会」として、文部科学省の担当課と内容について交渉してきました。2014年版は不十分な内容ですが、いくつか改善点が見られます。しかし、2018年10月版はその良い点をすべてかなぐり捨てて、更に悪質な「放射線は量が問題」という内容に改悪されています。 [2011年版から2014年版の改善点と2018年版の問題点] ① 東京電力、福島第一原発事故が起きた後の「放射線副読本」にもかかわらず、原発事故の記述が一切なかった2011年版から、2014年版では冒頭に東日本一帯に広がる放射能汚染地図を掲載したこと。今回改訂された、2018年10月版では、この図版が削除されています。 ② 不十分ながらも、放射性物質に汚染された子どもたちのからだを「移動教室」によって、心身ともにリラックスする取り組みが福島県で行われていることが記載されたこと。本来ならば、これは「保養」と呼ぶべき事業であり、福島県のみならず、東日本全域で取り組まれなければなりません。この「移動教室」の取り組みが2018年10月版では削除されました。 ③ 直接的にはありませんが、自然放射能と人工放射能との違いを2014年版では書いています。そして、放射性セシウムのような原発事故由来の放射性物質の摂取量を少なくすることが大切です、と書いています。 「不必要な内部被曝ばくを防ぐには、原子力事故由来の放射性セシウムのような、放射性物質の摂取量をできるだけ少なくすることが大切です。なお、カリウムは生物に必要な元素で、自然界に存在する放射性カリウムは原子力事故以前からほとんどの食品に含ふくまれています。体の中のカリウム濃度は一定に保たれているので、カリウムをたくさん食べたからといって、余計に蓄積するものではありません。」2014年版 pp.11 ④ 2018年10月版では、この自然放射能と人工放射能との違いについての記述が消え、そして、両者をごっちゃにして「放射線は量が問題」という記述があらたに挿入されています。 「放射線が人の健康に及ぼす影響については、広島・長崎の原爆被爆者の追跡調査などの積み重ねにより研究が進められてきており、放射線の有無ではなく、その量が関係していることが分かっています。」2018年10月版 pp.10 [解説]自然放射能と人工放射能の決定的な違い ① 自然放射能は、地球誕生時から存在していました。自然放射能であるウラン238の半減期は45億年。地球誕生は48億年前ですから、地球誕生時には現在の2倍の量のウラン238が存在し、現在の2倍の放射線で海は満ち溢れていたと考えられます。カリウム40は宇宙期限の自然放射能です。カリウム40の半減期は12.5億年。地球の年齢48憶年は、その4倍。つまり、地球誕生時には、現在のカリウム40の2の4乗倍=16倍の放射線に満ち溢れていました。 ② 生命は地球誕生から8億年たった頃に誕生したと言われ、以来40億年かけて、このやっかいな自然放射能による遺伝子破壊と取り組んできました。カリウムは生命を作る細胞には欠かせない元素であり、細胞の中では高い濃度で存在し(約90%)、細胞の外では低い濃度で(約2%)存在する元素です。逆にナトリウムは細胞の外で高い濃度で存在し(約55%)、細胞の内部では低い濃度で存在します。このことが、(1) 細胞の大きさを維持するのに役立ち、(2) 体内を弱アルカリ性に維持し、(3) 筋肉の収縮のための電位を作るのに役立ち、(4) 細胞が栄養分を吸収することに、役立ちます。 ③ その細胞の生命活動に不可欠なカリウムの中に、放射性のカリウム40が質量比0.0177%含まれています(カリウム40は宇宙起源)。つまり、10万個カリウムの原子があれば、17個か18個が放射能を持つカリウム40です。しかし、この半減期が12.5億年であることは忘れないで下さい。(2018年12月13日記では1000個のカリウムとなっていました。正しくは10万個のカリウムの原子があれば、17個か18個が放射能を持つカリウム40です) [練習問題] よく「これくらいの放射線は安全だ」と主張する、放射線の専門家は、こう言います。 ア.「私たちが普段食べている食品にもカリウム40が含まれている。」 イ.「日本人のからだには約4000ベクレルのカリウム40が含まれている。」 ウ.「だから、放射能ゼロの食品などあり得ない。」 エ.「カリウム40と同じ程度の放射性セシウムを食べても安全。」 と。果たしてそうでしょうか。あなたは、この放射線の専門家に対して、どう反論しますか?考えてみて下さい。 [解答例]  確かに、食品にはカリウム40が含まれていて、バナナ1本には13ベクレル、ご飯1杯には6ベクレル、ポテトチップス1袋には36ベクレル、含まれています。日本人の成人男性で体重60kgの人のからだには約4000ベクレルのカリウム40が含まれています。アとイは正しい。  しかし、カリウム40は自然放射能ですが、放射性セシウム(セシウム134,セシウム137など)やストロンチウム90は人工放射能で、そもそも食品中にはほとんど含まれていなかったもの。原発事故前は、バナナ、ご飯、ポテトチップスには放射性セシウム、ストロンチウム90は1ベクレル/kgも含まれていませんでした。 <参考>1988年(チェルノブイリ原発事故の2年後)で 精米 セシウム137 0.036ベクレル/kg(44試料の平均値) お茶碗1杯200gとすると 0.007ベクレルのセシウム137    ストロンチウム90 0.010ベクレル/kg(44試料の平均値) お茶碗1杯200gとすると 0.002ベクレルのストロンチウム90  自然放射能カリウム40と原発事故や大気圏内核実験で放出された人工放射能(放射性セシウムやストロンチウム90など)とを、同列に扱うのは詐欺です。編集者はこれを「カリウム詐欺」と呼んで批判しています。ウは間違い。  エについて「カリウム40と同じ程度の放射性セシウムを食べても安全」でしょうか?ちょっと、説明が長くなります。最後までお付き合い下さい。  自然放射能カリウム40が、生命の遺伝子に悪影響を与えるのを少なくし、被害をできるだけ少なくするために、生命はいろいろな工夫をしました。 ・ 細胞の内外の同じ場所にカリウムを留めない。細胞にはアトポーシスという自殺プログラムが組み込まれていて、一定の時間が経つと細胞は壊れていきます。同時に隣の細胞が細胞分裂をして、その間隙を埋めていきます。そのため、食事でカリウムと摂ると同時に、同量のカリウムを排出しています。かりにカリウムを食べ過ぎたとしても、過剰な分のカリウムは数時間以内に、尿でその50%が排出されます。カリウムには、尿、汗をはじめ7つの代謝経路があります。食べ過ぎても、多い分は排出されます。 ・ ここでカリウム原子1000個の中に17個か18個含まれているカリウム40の半減期を思い出して下さい。半減期12.5億年。多くのカリウム40は崩壊してベータ線、ガンマ線を出すことなく、体外に排出されていくのです。しかし、カリウム自体がからだ全身にありますから、体重60kgの男性の場合1秒間に4000個のカリウム40が崩壊しています。(これが4000ベクレルの意味です。)1個のカリウム40は崩壊の時にベータ線1本、ガンマ線1本を出します。しかし、カリウム40が宇宙起源ですから、一部分に不均等に集まっていることはありません。からだ全身に平均的に散らばっています。からだのあちこちでベータ線、ガンマ線を出し遺伝子を傷つけても、人間などの生命は遺伝子修復の働きを持っていますから、修復できます。 ・ また、生命はこのカリウム40が出すベータ線、ガンマ線の影響をできるだけ小さくするために、細胞分裂のときにだけ、DNAの二重らせん構造の姿を取ることにしました。他のときは、DNAをヒストンという何個もの糸玉にぐるぐる巻きにして、更にそれをまとめて、X字の形にした染色体にしました。こうすることでカリウム40などの自然放射線がDNAを切断して、傷をつけることを防ぐことができます。唯一、DNAが放射線の傷つけられやすいのは、細胞分裂のときに、この染色体の糸玉がほどけて2本のらせんになったときです。2本のDNAのらせんが、対となる塩基を引き寄せて、それぞれのパートナーのDNAを複製します。この時が放射線により切られてしまう可能性が高い。その細胞分裂のDNA複製の時以外は、ヒストンという糸玉にぐるぐるまきにし、更にまとめてX字の染色体の形に生命がしているのは、自然放射線に対する対策だと言われています。  ところが、自然放射能カリウム40に効果的なこれらの崩御策が、人工放射能である、セシウム134,セシウム137,ストロンチウム90などには効きません。 ・ 地球上に人工放射能セシウム134,セシウム137,ストロンチウム90などがばらまかれたのは、1942年のアメリカの原爆開発の時からです。アメリカはウランの核分裂を利用した核爆弾の製造に取り掛かります。それがマンハッタン計画です。アメリカは原爆で使うプルトニウムを生産するために、原子力発電所を作りました。そもそも原発は原爆のために考え出されたことを覚えておく必要があります。原発の推進は必然的に核兵器開発につながります。1945年7月アメリカは3発の原爆を開発します。1発は7月16日ニューメキシコ州アラモゴードで核実験トリニティに使い、2発目は8月6日に広島に投下。ウラン型原爆でした。3発目は8月9日に長崎に投下。プルトニウム型原爆でした。 ・ 対抗するソ連が1949年原爆実験に成功。以来、米ソは競い合って大気圏内で核実験を繰り返します。その数、アメリカ 1032回、ソ連 715回。そして、米ソだけでなく、核兵器保有国はどんどん増えていきます。フランス 210回、中国 45回、イギリス 45回。北朝鮮 6回、インド 3回、パキスタン 2回。イスラエル、南アフリカ 1回。1963年米ソを中心とし大気圏内などの核実験を禁止する、部分核実験禁止条約(PTBT)を結ばれるまで、地球上全域にセシウム134,セシウム137,ストロンチウム90などがまき散らされていったのです。 ・ このセシウム134,セシウム137,ストロンチウム90など人工放射能は、自然放射能と違い、地球上の生命がつきあい始めてから、たった73年ほどしか経っていません。自然放射能カリウム40とは違い、排出する経路が確立していません。また、人工放射性物質ですから、大地や水、空気に偏在し、食品の中の一部分に偏在してあります。呼吸、飲食で体内に吸収した際に、体の臓器の一部分に偏在します。決して、からだ全体に平均的に散らばることはありません。ですから、自然放射能カリウム40は一定以上蓄積せず、各臓器にも濃縮することはありませんが、人工放射能セシウム134,セシウム137,ストロンチウム90などは、食べ続けるとどんどん体内に蓄積し、臓器の一部分に濃縮していきます。つまり、特定の臓器の特定の組織を放射線で傷つけます。また、ミトコンドリアという部分が細胞のエネルギーを作っていますが、セシウム137はこのミトコンドリアのエネルギー生産をできなくすることがわかっています。さらに、女性がセシウム137を40ベクレル/kg(体重あたり)蓄積すると、性ホルモンの産生を阻害され、妊娠できなくなることが分かっています。また、そうしたセシウム137で体内汚染された女性の体内では、胎児もホルモンの異常から奇形となって生まれたり、将来からだが弱い子どもとして生まれる危険があることが分かっています。(ユーリ・I・バンダジェブスキー,N・F・ドウバボヤ『放射性セシウムが生殖系に与える医学的社会学的影響』2013年,合同出版)カリウム40では、こうした不妊、先天的奇形、病弱で生まれること、は起こりえません。 ・ また、セシウム134の半減期は2年、セシウム137の半減期は30年、ストロンチウム90の半減期は29年です。人間が生きている間に崩壊して、ベータ線、ガンマ線を出す確率が、カリウム40と比べて非常に高いです。これが、自然放射能カリウム40とまったく健康影響が異なる点です。 ・ 放射線の専門家がよくこう言います。「カリウム40もセシウム137、ストロンチウム90が出すガンマ線、ベータ線は同じだから健康影響は同じです。」と。これは間違いです。(1)カリウム40は、カリウムとして新陳代謝され、一定以上に溜まることはない。しかし、人工放射能セシウム137、ストロンチウム90は1ベクレルでも食べ続ければ蓄積する。(2)カリウム40は、カリウムとして摂取され、偏在することはない。からだ全身に均一に散らばる。しかし、人工放射能セシウム137、ストロンチウム90は人工放射能であるため、一部分の臓器の組織に偏在し、濃縮する。(3)「セシウム137は筋肉にしかたまらない。細胞分裂しにくい、脳や心臓にはたまらない」と放射線生物学で言われるが、セシウム137はもっとも多く甲状腺に蓄積し、脳や心臓にも蓄積する。セシウム137が甲状腺がんを引き起こすことはあり得る。また、心筋梗塞や脳梗塞を引き起こすことがあり得る。カリウム40ではこのどれもあり得ない。(4)カリウム40が骨髄に集中的に蓄積することはないが、ストロンチウム90は骨髄に集中的に蓄積する。崩壊すると、ベータ線を出し、骨髄細胞を傷つけ、白血病と骨がんを引き起こす。カリウム40ではあり得ない。  したがって、エ.「カリウム40と同じ程度の放射性セシウムを食べても安全。」は大間違い。もし、これを語る放射線の専門家がいたら、その方は「カリウム詐欺」師です。  これと同じ理屈で、文部科学省は「放射線は量が問題です」と子どもたちに刷り込みをしようとしています。この「量」には、カリウム40なのか、セシウム134,セシウム137,ストロンチウム90なのか、という核種の違いは考えに入れていません。ただベクレル数だけを問題にして、カリウム40がバナナ1本に13ベクレル、ポテトチップス1袋に36ベクレルあるならば、バナナ1本にセシウム137が36-13=23ベクレル入っていても、ポテトチップス1袋食べるのと同じだから安全、と説明しているのです。  これは「カリウム詐欺」です。うそを子どもたちに信じこませ、福島県産をはじめとする、放射能汚染食品を子どもたちから食べさせようとしています。文部科学省は子どもたちから洗脳し、その家族、大人たちへと、放射能のうそを信じ込ませ、放射能汚染食品を平気で食べれる日本人を育成しようとしています。放射線のウソを書き連ねた、放射線の副読本は撤回すべきです。 <参考となる資料> 放射能の基礎知識 人工放射能はなぜ危険か? 国際放射線防護委員会(ICRP)の放射線防護モデルを信用したら、殺されます。ICRP pub111より   体重5kgの赤ちゃんは毎日0.32ベクレル セシウム137 を摂取し続けると体内10ベクレル/㎏になる   <文部科学省 放射線副読本 ダウンロードページ> 小学生のための放射線副読本 文部科学省 2011年3月 中学生のための放射線副読本 文部科学省 2011年3月 上巻 中学生のための放射線副読本 文部科学省 2011年3月 下巻 高校生のための放射線副読本 文部科学省 2011年3月 上巻 高校生のための放射線副読本 文部科学省 2011年3月 下巻 http://warp.da.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/8315890/www.mext.go.jp/b_menu/shuppan/sonota/attach/1313004.htm 小学生のための放射線副読本 文部科学省 2014年2月改訂 中学生・高校生のための放射線副読本 文部科学省 2014年2月改訂 http://warp.da.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/9514442/www.mext.go.jp/b_menu/shuppan/sonota/attach/1344729.htm 小学生のための放射線副読本 文部科学省 2018年10月改訂 中学生・高校生のための放射線副読本 文部科学省 2018年10月改訂 http://www.mext.go.jp/b_menu/shuppan/sonota/attach/1409776.htm                                          

2011年3月16日アメリカは自国民に福島第一原発80km圏内からの退避を勧告。そこが100ミリシーベルトに相当するとしたから。

 2011年3月16日カーニー⽶⼤統領報道官が、翌日3月17日にはルース駐日大使が、自国民に対して福島第一原発80km圏内からの退避を勧告しました。そこが100ミリシーベルトに相当するとしたからです。  2011年3月17日付けのニューヨークタイムスの図入りの記事に、編集者が青字で日本語訳をつけました。  また、2011年3月の時点での、世界各国の自国民に対する退避勧告の一覧です。  日本の原子力規制委員会の原発事故による、避難は500マイクロシーベルト/時です。また、先日2018年10月17日の会合で、原子力規制委員会は「1週間で100ミリシーベルト被ばくを避難基準とする」方向で検討を始めました。殺人的な被ばく線量です。アメリカが起こりうる最悪の事態を想定して、福島第一原発から80km圏内の自国民に対して退避勧告を出したのに対して、原子力規制委員会は原発事故当時の原発5km圏内での空間線量率が500マイクロシーベルト/時であったことから、これを避難基準としたのです。原子力規制委員会の検討資料にはこうあります。「(福島第一原発の)敷地境界付近において500μSv/h 程度以上の空間放射線量率が観測されたことからも、上記のとおり、敷地外における即時の避難を実施する際の基準としてOIL1 の500μSv/h という値を設定することは、その水準として適切であると考える。」と。  ここには住民の健康被害については、一顧だに考慮されていません。また、外部被ばくのみの線量評価であり、欠陥を持つことも原子力規制委員会自身が認めています。  原子力規制委員会の避難基準を信じていれば、殺されます。原発事故が予想されるようであれば、とっとと逃げましょう。 ■読売新聞 被曝線量目安 100ミリ・シーベルト以内 規制委決定 事故後1週間内で 読売 2018年10月18日  原子力規制委員会は17日の定例会合で、原子力発電所などの事故を想定した避難計画を作る際、事故後1週間以内の被曝(ひばく)線量を100ミリ・シーベルト以内に抑えるとする目安を決めた。  原発から半径30キロ・メートル以内の自治体などは、避難計画の策定が義務付けられている。国際原子力機関(IAEA)は、緊急時の被曝線量の目安を20〜100ミリ・シーベルトに設定することを求めているが、規制委はこれまで具体的な目安を示してこなかった。100ミリ・シーベルトを超えると、がんのリスクが徐々に高まるとされる。一方、2011年の東京電力福島第一原発事故では、高齢の入院患者が無理な移動を伴う避難で死亡する事態が相次ぎ、問題となった。 規制委の更田豊志(ふけた・とよし)委員長は17日の記者会見で「入院中の高齢者の場合、無理な移動の方が危険なことを原発事故で学んだ」と述べ、IAEAが求める最大値を目安としたことは適切だとした。   ■平成25 年2 月の原子力災害対策指針改定における防護措置の実施の判断基準(OIL:運用上の介入レベル)の設定の考え方 平成25 年3 月 原子力規制委員会 1.検討の経緯 緊急時に計測された空間放射線量に基づき、防護措置の実施の判断基準となるOIL(運用上の介入レベル)については、平成24 年11 月22 日から原子力災害事前対策等に関する検討チームを開催して検討を進めてきた。同チームにおいては、当初、防護措置の実施の判断基準(OIL:運用上の介入レベル)の設定に当たり、IAEA GSG-2 が提案しているように、防護措置が採られる対象や時期に応じた包括的判断基準を定めた上で、その基準に基づきOIL を算出するというアプローチを念頭に検討を進めてきた。さらに、我が国の従来の防護措置の水準との比較や、東京電力株式会社福島第一原子力発電所の事故に適用した時に防護措置が適切に講じられるか等も踏まえて、包括的判断基準や、そこから導出されるOIL の値などから成る判断基準の体系を議論した。 このようなアプローチに関し、第5 回原子力災害事前対策等に関する検討チーム会合(平成24 年12 月27 日開催)において、包括的判断基準の設定やOIL の値の導出方法について、我が国が従来設定していた基準とIAEA の提示する考え方とでは、対象とする被ばく経路に差異があること(例えば、避難を要するとされる基準について、我が国では、従来、外部被ばくのみを対象としていること)や、包括的判断基準からOIL を算出する手法について、IAEA から詳細な導出過程が明らかにされていないことなどから、その合理性が十分に説明できないこと等の問題点が明らかとなった。 なお、現行のIAEA GSG-2 等の出版物では、包括的判断基準からOIL の導出過程は公表されていないため、十分な背景をもって包括的判断基準からOIL を算出するには、IAEA の導出過程とは別に、代表的な事故想定や住民の生活習慣等の要因をすべて検証した上で、我が国独自のOIL の導出過程を構築することが求められるが、これには膨大な作業が必要となるため、当面、地域防災計画の策定・運用が必要であることを考えると、これのみを待つことは現実的な方策ではない。また、IAEA において、技術的な文書としてOIL の導出に係る詳細なデータ等が文書にとりまとめられる動きもあり、これが公表された際には、包括的判断基準を設定した上で、十分な合理性をもってOIL を導出することも可能となり得る。同時に、IAEA においてOIL の体系などを示した基準文書の見直しが進められている。 以上の状況にかんがみ、平成25 年2 月の原子力災害対策指針の改定においては、包括的判断基準を定めた上でOIL を算出するというアプローチではなく、防護措置を実施するための基準として運用できるものを、今般の原子力発電所の事故後の経験・教訓から導き出すという手法を採用する。すなわち、東京電力株式会社福島第一原子力発電所事故で実施された防護措置の例と教訓、実際に観測された空間放射線量率等の水準などを踏まえ、現実に実効的な防護措置を実施するには判断基準をどのように定めることが適当かという観点からOIL の値を設定していく手法を採る。具体的な基準の設定とその考え方を以下に示す。 2.平成25 年2月の指針改定におけるOILの設定の考え方①即時の避難を要する基準(OIL1 相当) 東京電力株式会社福島第一原子力発電所事故への対応においては、予防的防護措置を準備する区域(PAZ)や緊急時活動レベル(EAL)の枠組みが導入されていなかったものの、原子力施設の状況から判断し、大規模な放射性物質の放出前から、避難開始及び避難範囲の拡大がなされた。住民等への被ばく影響を可能な限り回避する観点からは、このような予防的防護措置としての避難や屋内退避は引き続き講じられるべきものであり、そのような観点からEAL に基づくPAZ の外部における段階的な避難の必要性とその判断の基となる施設の状態などが決定されなければならない。そのような前提の下で、PAZ 範囲外の不必要な避難を回避し、一部に放射線量の高い地区などが生じた場合の防護措置が的確に実施できるよう、OIL1 に相当する即時の避難を要する基準を設定する必要がある。 今般の事故時に観測された空間放射線量率について、PAZ の目安である5km 近くで見ると、大熊町大野局(発電所から約5km の距離の地点)の空間放射線量率の10分値で以下のとおり観測された。・3 月15 日の10 時頃から100μSv/hを超える値が測定され始め、10 時10 分に449μSv、10 時20 分に一番高い値として625μSv/h が観測され、10 [...]

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