内部被ばくについて、自主的に学習し、周りの方々に広めていくための会
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2019年7月

南相馬市 坪倉正治先生のとんでも放射線教室「妊婦さんは妊娠していない大人に比べて、セシウムが身体の中に入ったとしても、より早く外に出すことができます」福島民友

[解説]  福島民友新聞社が、毎週日曜日に「坪倉先生の放射線教室」を連載しています。毎回、100ミリシーベルトの被ばくより、喫煙や大酒のみのほうごガンリスクが高く、放射線被ばくより生活習慣病にならないように気を付けることが、大切だ、などのとんでも放射線防護論を吹聴しています。  今回は何と「妊婦さんは妊娠していない大人に比べて、セシウムが身体の中に入ったとしても、より早く外に出すことができます」と。食べ物や呼吸とともに摂取した、放射性セシウムは妊婦さんの胎内の各臓器に蓄積します。胎盤を通じて胎児にも蓄積します。例え、一般成人よりも妊婦の方が、放射性セシウムを排泄するスピードが早い、と言っても、毎日1ベクレル食べているだけで、だんだん体内に蓄積していきます。成人のモデル(健康な白人男性、体重70kg)でも、毎日1ベクレルのセシウム137を食べ続けていくと、700日後には体内に140ベクレル蓄積します。これは、国際放射線防護委員会(ICRP)がPub111に報告しています。  これは、チェルノブイリ周辺住民の内部被ばくデータに基づくものです。チェルノブイリ原発事故後に多くの調査団、支援団体が入っていますが、その多くが放射能で汚染された地域住民に与えたアドバイスは、放射能で汚染された食べ物を出来るだけ食べず、放射能で汚染されていない食べ物を食べるように、ではありませんでした。政府が決めた基準値以下の放射能汚染された食べ物を食べることや、高濃度に放射能汚染されたキノコやベリー、川魚を食べるときは、何度も煮こぼしたり、酢漬けにしたりする、というアドバイスでした。果たして、チェルノブイリ周辺住民の健康状態は改善したのでしょうか?改善しませんでした。チェルノブイリ周辺住民の食べ物の汚染度は、100ベクレル/kgを超える放射性セシウムだったのでしょうか?いいえ、ウクライナの高放射能汚染地帯ナロジチ市でさえ、野菜や穀物はセシウム137だけで10~20ベクレル/kgです。キノコは数千~数万ベクレル/kg。(食品と暮らしの安全 小若順一氏ら調査)2017年7月ウクライナ、ナロジチ市中央病院院長マリア・パシェック氏によれば5~10ベクレル/kgの食品を食べている住民は、みな、健康を害しています。子どもたちは、全員病気です。あるクラス20人中2人は先天的奇形でした。40代半ばで多臓器がんにかかる男性、女性が長い間妊娠できず、やっと妊娠でき産んだ子どもを幼くして白血病で亡くしていました。繰り返しますが、これは100ベクレル/kgを超える放射性汚染食品を食べた結果ではなく、5~10ベクレル/kgほどの食品を食べた結果です。  上のグラフは、国際放射線防護委員会(ICRP)が作成した、1回だけセシウム137を1000ベクレル食べた後、安全な空気、水、食べ物を食べた場合の体内に放射性セシウムがどのくらいの時間が経過したら、体内の放射性セシウムが0ベクレルになるのか、と研究したものであると同時に、チェルノブイリ周辺住民がどのくらい放射性セシウムを食べていて、それがどれくらい体内に蓄積していくか、というグラフです。  毎日放射性セシウムを1日1ベクレル食べていくと、約700日後には、体内放射性セシウム濃度は、140ベクレルほどになる。  そして、ウクライナ、ナロジチ市の住民のように、毎日10~20ベクレル食べていくと、約700日後には、体内の放射性セシウム濃度は1400ベクレルを超える。おとなは1日だいたい2kg食べますから、毎日10~20ベクレル食べる、すなわち、5~10ベクレル/kgの食品を食べる、ということ。これはナロジチ市の食品の放射能汚染濃度とほぼ同じです。  これはチェルノブイリに支援に入った様々な団体の実測値に基づくものであり、いわば、人間をモルモット扱いにして得られたデータです。放射能汚染地帯住民に「放射性で汚染された食べ物は食べないように」とは言わず、「基準値以下の放射能汚染食品は安全ですよ」と言い続け、住民に放射能汚染食品を食べさせ続けさせた研究です。国際放射線防護委員会(ICRP)に言わせれば、これでも内部被ばく年間1ミリシーベルトにも行かない、と言います。しかし、実際のウクライナ、ナロジチ市住民は、子どもはみな病気、先天的奇形も産まれる、40代で多臓器がんで亡くなる。女性も妊娠できなくなる、子どもも幼くして白血病で亡くなる、状況です。  ウクライナ、ナロジチ市の食品の放射能汚染の状況ら、福島県南相馬市の食品の汚染状況とそっくりです。今のウクライナ、ナロジチ市の姿は、未来の南相馬市を写している、と言えます。  坪倉正治先生の言うことを信じていると、過酷な未来を迎えることになるでしょう。  自分も、子どもたちも、健康を維持する道。それは、できうる限り、放射能で汚染された食べ物を食べないこと、早めの保養に行くことです。セシウム137で数ベクレル/kgの放射能汚染の食品を食べ続けながら、健康を維持することは決してできません。   坪倉先生の放射線教室 妊婦の検査体制を整える 2019年07月28日 福島民友        原発事故後、放射線被ばくを抑えるためにさまざまな検査や対策が行われてきました。そしてその結果は報告書や論文にまとめられています。ここではその中のいくつかを紹介したいと思います。  南相馬市立総合病院では、2012年から通常の内部被ばく検査に加え、希望される市内の妊婦さんに対し、検査ができる体制を整えてきました。妊娠中には被ばくがより心配になるのは当然です。この検査は南相馬市の医師会長だった故・高橋亨平先生の声掛けで始まりました。  これまでの数年間に市内の約600人弱の妊婦さんを繰り返し計測し、誰からもセシウムを検出したことがありません。その一方で、いわゆる福島県産を避けるという状況は年々減ってきてはいるものの、依然として存在していました。  妊婦さんは妊娠していない大人に比べて、セシウムが身体の中に入ったとしても、より早く外に出すことができます。通常の大人でももうほぼ検出しないような状況の現在、妊婦さんの誰からも検出はしなかったことは特に驚くような結果ではありません。  この結果は、今回の原発事故後セシウムによる内部被ばくが妊婦さんおよび生まれてくるお子さんの健康に影響を与えることはないことを示しています。                    

壱岐市、白血病死亡率 玄海原発稼働後、約6倍に増加 2019年3月5日 壱岐新報

原発稼働後、約6倍に増加 驚愕の数値、専門機関による詳細な調査が必要 2019年3月5日 壱岐新報  図 玄海原発と壱岐市の位置関係 玄海原⼦⼒発電所と原発周辺⾃治体との⽩⾎病死亡率増加について、原発と⽩⾎病発症についての因果関係を調べている⿂住昭三弁護⼠(⻑崎市)と、市防災⼠会の辻樹夫会⻑が公表した資料から、本市における⽩⾎病死亡率の詳細な推移がわかった。資料は昭和44年から始まるデータを記載し、5年ごとの⽩⾎病死亡率をまとめたもの。対10万⼈数の⽩⾎病死亡率は、玄海原発稼働前と後とでは6から7倍に増加しているという驚愕の数値が並ぶ。また原発周辺⾃治体も同様に、昭和50年の⽞海原発1号機の稼働開始以降から死亡率増加を⽰す推移を⽰している。 各県保健部局が毎年発⾏している衛⽣統計年報(⼈⼝動態編)を引⽤した資料によれば、⽞海原発1号機が稼働する以前の昭和44年から昭和52年までの期間は、本市における対10万⼈数の⽩⾎病死亡率は約3.6⼈と、同期間の全国平均3.5⼈とほぼ同じ数値となっている。 しかし昭和50年に⽞海原発1号機が稼働を始め、その6年後の昭和56年に2号機が稼働開始、平成6年に3号機、平成9年に4号機が稼働を開始するに従い、⽩⾎病死亡率は増加の⼀途をたどっている。平成9年から平成23年までの期間は、全国平均5.7⼈に対して、本市は26.2⼈にも及ぶ。 ⽞海原発は⽩⾎病を誘発すると⾔われるトリチウムを放出する。放出量は全国にある他原発の中で最も多く、稼働開始から現在に⾄るまで⼤気中や海洋中に放出され続けている。トリチウムは放射能を含んでいると⾔われ、全ての原発や核燃料再処理施設では回収されず、⾃然環境に垂れ流しの状況から、世界中でも深刻な問題となっている。本市は⽞海原発の対岸にあり、島の周囲は海で囲まれているため、海洋に流されたトリチウムを周囲の海洋⽣物を介して、住⺠が⾷事などで摂取している可能性は⾼い。 ⼀⽅で県北部の⽩⾎病率の⾼さは、ウイルス性による風⼟病とされている。特に⻑崎県はウイルスキャリアが多いことから、⽞海原発1号機稼働開始前から発症の割合は全国平均よりも⾼い。昭和44年から49年の全国平均3.5⼈に対し、本市は3.9⼈とわずかな差であり、他の県北部⾃治体も同様の数値だ。しかし平成9年以降は全国平均から6倍近い明らかな差が⽣じている。 市防災⼠会の辻会⻑は「資料にまとめたデータは、各⾃治体が公表したもので改ざんする必要がない。相関関係の無視は許されない」と厳しい⼝調で語った。また「⽞海原発の原⼦炉冷却海⽔は毎秒70㌧も壱岐⽔道に放出され、海⽔温度上昇により漁業にも影響がある」とし「市は九電に明確な調査と対応を要求すべき」と述べた。 現在のところ、⽩⾎病の数値は、ウイルス性の風⼟病との考えや、他国から放射性物質などの⾶来による可能性を疑う考えがある。しかし専門機関による正確な調査は⾏われておらず、⽞海原発と⽩⾎病の因果関係は不明のままだ。ただ各⾃治体公表の資料からは、原発との関連も否定できない。不透明感が残るなか、⼀刻も早い調査を⾏う段階にいる。※数値を⽰す表は本紙に掲載

川口市の水道水の放射能汚染に関するブログの記事の誤りについて 2019年7月28日 内部被ばくを考える市民研究会 川根眞也 [改訂]2019年7月29日

川口市の水道水の放射能汚染に関するブログの記事の誤りについて  2019年7月28日 内部被ばくを考える市民研究会 川根眞也 [改訂]2019年7月29日 内部被ばくを考える市民研究会 川根眞也 ① 誤って大阪・高槻・市民放射能測定所の検査結果が「5ベクレル」標準汚染玄米のデータを掲載していました。ただしく、産業技術総合研究所の「81g,85ベクレル標準汚染玄米」のデータと差し替えました。 ② 水道水の放射能汚染の濃度計算を川根も間違えました。正しくは埼玉県川口市の水道水の放射能汚染濃度は0.000289ベクレル/L。シーディークリエーションのブログの表記の0.0048ベクレル/Lの16.8分の1。 ③ 小豆川勝見氏が2019年5月に行った、東京大学の水道水の放射能汚染の測定結果0.0024ベクレル/Lでした。もし、埼玉県川口市の水道水の汚染濃度が、2019年5月の東京大学の水道水の汚染濃度と同じ汚染濃度であるとすると、シーディークリエーションのシャワーヘッド浄水器の放射性セシウム除去率は12%になります。 ④ なぜ、セシウム134濃度とセシウム137濃度とを合計してもいいのに、フィルターA(人工ゼオライト50g)、フィルターB(天然ゼオライト+活性炭80g)の濃度は足し合わせてはいけないか、説明を追加しました。 以上を中心に全面的に書き直しました。 [改訂版]2019年7月29日   川口市の水道水の放射能汚染に関するブログの記事の誤りについて 2019年7月26日 内部被ばくを考える市民研究会 川根眞也  改訂 2019年7月29日 (1)秋田市民放射能測定室べくれでねがさんが、セシウム吸着をするシャワーヘッド浄水器(シーディークリエーション社製 代表 鈴木優彰氏)に対して、誤検出連発、東大の小豆川勝見氏の検証では4.8%しか放射性セシウムを取っていない、と批判するブログを書きました。2019年6月28日。  川根は、自宅にこのシャワーヘッドを装着し、どれくらい放射性セシウムが取れるか、実験に協力してきましたし、その結果の一部について、内部被ばくを考える講演でも話してきました。  今回、改めて、シーディークリエーションのブログの内容を、電卓をたたいて検証したところ、測定結果は正しいのですが、重大な計算ミスがあることが分かりました。この計算ミスのため、水道水の放射能汚染水濃度が、本来の16.8倍高い濃度で推定される誤りがありました。また、その水道水の放射能汚染を計算する際に、吸着した放射性セシウムの重量を通水量で割るべきなのに、この濃度で割ってしまったために、高い放射能汚染が計算される結果となりました。埼玉県川口市水道水0.00486ベクレル/Lとブログでは書かれていますが、川根の再計算の結果は0.000289ベクレル/Lです。そのブログの約16.8分の1程度の濃度です。この問題については、シーディークリエーションの鈴木優彰氏にも伝え、現在、ブログ記事の訂正を求めています。  川根が協力した水道水の放射能汚染測定のブログで、測定結果は正しいものの、水道水の放射能汚染濃度を約16.8倍高く計算する内容となっていました。測定に協力したものとして、深くお詫びして、謝罪いたします。   以下が、川根が協力した水道水の放射能汚染測定に関するブログで、誤りを見つけたものです。他のブログ記事は、川根が協力した以外の、他地域の水道水の放射能汚染測定に関するにも同様な誤りがあります。  埼玉県川口市の水道水中のセシウム シーディークリエーション 2018年05月16日 https://cdcreation.grupo.jp/blog/2166771 埼玉県川口市の水道水中のセシウム シーディークリエーション 2017年02月12日 http://cdcreation.grupo.jp/blog/1657064 埼玉県川口市の水道水のセシウム汚染(2) シーディークリエーション 2017年07月19日 https://cdcreation.grupo.jp/blog/1838041 CDSW-01各地のセシウム値 シーディークリエーション 2017年04月01日 https://cdcreation.grupo.jp/blog/1717370 ミニシャワーヘッドに入れたゼオライト測定 シーディークリエーション 2016年09月01日 https://cdcreation.grupo.jp/blog/1440051 埼玉県川口市の水道水中のセシウム シーディークリエーション 2016年08月27日 https://cdcreation.grupo.jp/blog/1434246 (2)ただし、このシーディークリエーションのブログにおける、ヨウ化セシウムシンチレーション式放射能測定器iFKR-ZIPの測定結果については正しいものです。これはスペクトルデータを見て判断することができます。秋田市民放射能測定室べくれでねが氏の「黒のバックに緑色のラインが入っているものが掲載されている場合は誤測定の可能性が高いため」という批判はまったくあたりません。秋田市民放射能測定室べくれでねが氏も、東京大学の小豆川勝見氏も自らの放射能汚染測定結果にスペクトルデータをつけていません。スペクトルデータを検討することにより、誤検出がどうかがまず判断できます。スペクトルデータを公開できない測定こそ、誤検出の疑いがある、と判断されます。 (3)川根がシーディークリエーションのブログの計算ミスについて、すぐにわからなかったのは、ヨウ化セシウムシンチレーション式放射能測定器iFKR-ZIPの測定器の仕様を十分理解していなかったためです。今回、製作者のシンメトリックス社の野中修二氏の解説を聞き、仕様とその分析能力、使い方を理解することができました。同時に、シーディークリエーションのブログの計算ミスから、水道水の濃度を高く評価してしまったことを発見することができました。  専門的なことですが、通常のNaIシンチレーション式検出器やGe半導体検出器は、放射線を感知するヘッドと呼ばれる部分は円筒形をしていて、その上にドーナツ型のマリネリ容器に検体となる食品や水などを詰め込んだものをかぶせるようにして測ります。このヘッドと呼ばれる部分がGe(ゲルマニウムにアルミニウムなどの不純物を混ぜ込んだP型+シリコンにリンなどを混ぜ込んだN型をくっつけたもの)やNaI(ヨウ化ナトリウムの結晶)が入っています。しかし、NaIシンチレーション式検出器やGe半導体検出器では、試料が外側に向けて放射線を出した場合に、その放射線をカウントすることができません。  図1 ゲルマニウム半導体検出器のヘッド部分 図2  ゲルマニウム半導体検出器 マリネリ容器  一方、シャワーヘッド浄水器を開発した、シーディークリエーションが使っている、CsIシンチレーション式放射能測定器iFKF-ZIPは、Ge半導体検出器やNaI測定器とは根本的に測定方法が違います。まず、CsIシンチレーション式放射能測定器iFKF-ZIPには測定室が2つあります。それもマリネリ容器を使うのではなく、通常のジップロップ袋に検体を160gずつ2つ入れて、それぞれの測定室に入れて測ります。ジップロック袋とジップロック袋の間に、CsI(ヨウ化セシウムの結晶)が挟み込まれるようにして、検体から出てくる放射線を四方八方から受けて、光信号にかえて測定します。当然、検体の外側に出た放射線は測れませんが、ジップロックでほぼ平面的になった形状で測るので、間に挟まれたCsIの結晶が受け止めた放射線と同じ量が外部にも出ている、として、計測を行います。 図3 放射能測定器 iFKR-ZIPの使い方  この仕様のため、CsIシンチレーション式放射能測定器iFKF-ZIPでは、検体重量が320gで測ることを前提に作られていて、1ベクレル/kg程度まで精度の高い測定ができます。大阪・高槻・市民放射能測定所で、このiFRK-ZIPを使って10時間測定で、産業技術総合研究所が作った81g,85ベクレルの標準汚染玄米を、誤差―2.01%まで測定できた測定結果がこちらです。 大阪・高槻・市民放射能測定所 国立研究開発法人産業技術総合研究所の「標準玄米」試料測定 産総研85Bq/kg試料による機器チェック ブログ大阪・高槻・市民放射能測定所 2017年2月25日 https://takatsuki-sokuteisyo.blog.so-net.ne.jp/archive/201702-1 スペクトルデータ https://takatsuki-sokuteisyo.blog.so-net.ne.jp/upload/detail/m_20170215hyoujun-genmai-hon20h-c4de9.jpg.html  iFKR-ZIPの仕様は検体重量を320gとしています。ですから標準米試料は81gです。iFKR-ZIPで打ち出されている数値を重量換算する必要があります。 その結果は次の通りです。  IFKR-ZIP測定値 Cs all 52.9Bq/kg  Cs134 7.50Bq/kg  Cs137 45.83Bq/kg   計算値     Cs all 53.99Bq/kg  Cs134 7.32Bq/kg  Cs137 46.67Bq/kg  測定値と計算値との差はわずかに-2.02%です。  (注)これは、産業総合研究所が、食品の放射能汚染を測定する放射能測定器が正しい値と出しているかをチェックするために、作った「81gで放射性セシウム85ベクレルの標準玄米」(2012年8月31日から産業総合研究所が頒布を開始)を測定したものです。セシウム134は半減期2.0年、セシウム137は半減期30.0年で減衰していきます。産総研の「81g,85ベクレル標準汚染玄米」は、2017年2月15日段階の理論値は、セシウム137については46.67ベクレル/kg、セシウム134については7.32ベクレル/kg、合計53.99ベクレル/Kgです。これに対して大阪・高槻・市民放射能測定所が同じ汚染レベルの「81g,85ベクレル標準汚染玄米」を測定した結果はセシウム137について45.83ベクレル/kg、セシウム134については7.50ベクレル/kg、合計52.9ベクレル/Kgです。放射性セシウム合計で比べると、iFLR-ZIP 52.9、理論値 53.99。その差 ―1.09。―1.09÷53.99×100=-2.02(%)  iFKR-ZIPでは1ベクレル/kgまでの測定も可能です。Ge半導体測定器だから、精度の高い測定ができる、というのは機器計測に対する誤解です。正確な校正や温度管理ができなければ、Ge半導体検出器でも数ベクレル/kgの測定にも失敗することがあります。放射性セシウム5ベクレル/kgの測定をGe半導体検出器で行った場合でも、±2~3ベクレル/kgの測定誤差を出してしまう例もあります。数ベクレル/kgの測定では、機器の能力だけでなく、Ge半導体検出器を使う測定者の技量も問われます。  秋田市民放射能測定室べくれでねが氏と小豆川勝見氏は、測定の数値だけではなく、スペクトルデータも公表するべきです。そうでなければ、低線量の放射能汚染が正確に測れているのか、判断できません。 (4)シーディークリエーションのブログの根本的な誤りは、同じ物質の濃度と濃度を、足し合わせたこと。その足し合わせた濃度で、水道水の汚染を計算したことです。  例えば、自転車を時速30kmで5分こいだあと、自転車で坂道を時速60kgで5分こいだとします。10分の間の平均の速さは、時速30km+時速60km=時速90kmでしょうか?いいえ。正しくはそれぞれのかかった時間を出し、それぞれの移動した距離を出し、時間、距離それぞれを合計した後、速度の割り算をします。5分+5分=10分、移動距離30×5/60=2.5kmと移動距離60×5/60=5と足す、7.5km。7.5kmを10/60で割ると、時速45kmになります。簡単に言うと、だいたい、平均速度は2つの速度の中間になります。濃度についても同じです。濃度は速度と同様足してはいけないのです。  2018年5月16日のシーディークリエーションのブログで、埼玉県川口市の水道水の通水量は約6ヵ月で38,473L。 人工ゼオライト50gについた放射性セシウム濃度は20.2ベクレル/kg(iFKF-ZIPの表示、重量を320gとして換算している)本当は50gしか検体の重量はないのですが、20.2ベクレル/kg濃度のものが320gについているとのiFKF-ZIPの検査結果が出ています。ベクレル/kgとは1kgあたり、つまり1000gあたりにどれくらいのセシウムが何ベクレルあるか、です。つまり、吸着したセシウムのベクレル数は20.2÷1000×320=6.464ベクレル(ここでは有効数字を無視して計算結果のみ)。しかし、実際の検体は50gですから、人工ゼオライトが吸着した放射性セシウム濃度は、6.464÷50g×1000g=129.28ベクレル/kgです。ここまでは、2018年5月16日のシーディークリエーションのブログの計算はあっています。  天然ゼオライト50g+活性炭30gについた放射性セシウム濃度は14.5ベクレル/kg(iFKF-ZIPの表示、重量を320gとして換算している)本当は80gしか検体の重量はないのですが、14.5ベクレル/kg濃度のものが320gについているとのiFKF-ZIPの検査結果が出ています。ベクレル/kgとは1kgあたり、つまり1000gあたりにどれくらいのセシウムが何ベクレルあるか、です。つまり、吸着したセシウムのベクレル数は14.5÷1000×320=4.64ベクレル(ここでは有効数字を無視して計算結果のみ)。しかし、実際の検体は80gですから、人工ゼオライトが吸着した放射性セシウム濃度は、4.64÷80g×1000g=58ベクレル/kgです。これも、2018年5月16日のシーディークリエーションのブログの計算はあっています。  問題はこの次からです。フィルターA、人工ゼオライトが吸着した放射性セシウム濃度 129.28ベクレル/kgと、フィルターB、天然ゼオライト+活性炭が吸着した放射性セシウム濃度 58ベクレル/kgと足して、187.28ベクレル/kgの汚染があった、と書いてしまったことです。 同じ物質の濃度と濃度とは足してはいけないのです。時速30kmと時速60kmで走った自転車の平均速度が時速90kmになることはありません。濃度も同じです。正しく計算するなら、平均濃度はそれぞれの濃度の中間くらいになります。 通常の放射能測定では、測定室が1つであり、測定は放射性セシウム2種類セシウム134,セシウム137を対象にして行われます。この場合は、人体への健康被害を推定するために、別々の違う核種ですが、セシウム134濃度とセシウム137濃度とを足し合わせます。 (注)正確には、セシウム134(半減期2年)の方がセシウム137(半減期30年)より、内部被ばくした場合の影響が大きいです。これは同じベクレル数でも半減期が2年と短いので、より短い時間により多くのベータ線、ガンマ線を出して、DNAや細胞を傷つけるからです。セシウム134とセシウム137とを足し合わせて評価するのは本来間違いで、セシウム134の過小評価につながります。本来であれば、セシウム134のベクレル数を1.5倍など大きくしてから、足し合わせるのが正当な評価であると言えるでしょう。 フィルターA(人工ゼオライト50g)、フィルターB(天然ゼオライト+活性炭80g)の測定はそれぞれ別々に行い、セシウム134の濃度、セシウム137の濃度を測定して結果を出しています。 ですから本来は ①フィルターAに吸着したセシウム134の量(ベクレル)+フィルターBに吸着したセシウム134の量(ベクレル)=シャワーヘッド浄水器が除去したセシウム134合計量(ベクレル)を出す。 ②フィルターAに吸着したセシウム137の量(ベクレル)+フィルターBに吸着したセシウム137の量(ベクレル)=シャワーヘッド浄水器が除去したセシウム137合計量(ベクレル)を出す。 ③ ①をフィルターA,Bの人工ゼオライト、天然ゼオライト、活性炭の合計重量(130g)で割り、セシウム134の吸着濃度(ベクレル/kg)を出す。 ④ ②をフィルターA,Bの人工ゼオライト、天然ゼオライト、活性炭の合計重量(130g)で割り、セシウム137の吸着濃度(ベクレル/kg)を出す。 ⑤ ①+②で人工ゼオライト、天然ゼオライト、活性炭の合計重量(130g)が取り除いた放射性セシウム総合計の重量(ベクレル)を出す。 ⑥ ⑤を通水量で割って、1Lあたりの水道水の放射能汚染濃度を推定する。 という順番で計算するべきでした。  それをシーディークリエーションのブログでは、フィルターAが吸着したセシウム濃度(ベクレル/kg)とフィルターBが吸着したセシウム濃度(ベクレル/kg)とを足し合わせて、「セシウム総量」と表記していました。ここには、同じ物質のセシウム134濃度(A)+セシウム134濃度(B)と、合計されてしまっています。すなわち、自転車の例では時速30km+時速60km、つまり時速90kmで走ったと計算したことになります。本来は平均の速さを求めると、時速30kmと時速60kmとの中間くらいの数値になるはずですが、足し合わせると2倍くらいの数値になってしまいます。  同様に、フィルターAが吸着したセシウム濃度(ベクレル/kg)とフィルターBが吸着したセシウム濃度(ベクレル/kg)とを足し合わせて「セシウム総量」と表記することで、同じ物質のセシウム137濃度(A)+セシウム137濃度(B)とが合計されてしまっています。足し合わせると2倍くらいの数値になってしまいます。  さらに、1Lあたりの水道水の放射能汚染濃度を推定するには、実際にA,Bのフィルターに吸着したセシウム134,セシウム137の合計量(ベクレル)を通水量で割らなくてはいけないのに、A,Bの足し合わせた濃度(ベクレル/kg)で割ってしまったことです。  吸着したセシウムはセシウム134,セシウム137合計11.104ベクレルです。ですから、この11.104を通水量38,473Lで割らなくてはいけなかったのです。濃度+濃度で187.28ベクレル(表記はベクレル/kgだが、意味としてはベクレルとして計算している)もある、という計算をしてしまったのです。このことで、約16.8倍もの高い水道水の放射能汚染があるかのようなブログになっていました。  川根もiFKF-ZIPが2つ測定室がある、とは聞いていたので、すぐにはこのブログの誤りには気づきませんでした。製作者シンメトリックス社の野中修二氏の説明を聞いて、なぜ、2つの測定室があるのか、精度が高い測定ができるのはなぜか、と伺って、やっと、このブログの間違いを理解することができました。また、本来は、320gで測定ができるように、それも測定室の内側のそれぞれの面にジップロックが入った160gずつの検体が密着することを想定して作られている測定器ですから、50g、80gの検体では、測定器の仕様に合っていないため、正確な測定とは言い難いと思います。できれば、汚染された人工ゼオライトや、天然ゼオライト+活性炭に同様な性質の物体を加えて320gにして測定するのが、本来の仕様の測定能力が発揮されると思います。  いずれにしても数年間にわたり、このシーディークリエーションのブログの誤りに気がつかなかったことを深くお詫びいたします。 (5)ちなみに、2018年5月16日のシーディークリエーションのブログでは、埼玉県川口市の水道水の放射能汚染の濃度は、放射性セシウム濃度0.0048ベクレル/Lと記載されていますが、川根が計算しなおしたところ、放射性セシウム濃度は0.000289ベクレル/Lでした。先の約16.8分の1の濃度です。  シャワー浄水器の測定実験に協力し、また、ブログを見ながらも、その誤りに気がつけなかったことをここの深くお詫びいたします。  しかし、東京大学の小豆川勝見氏の水道水通水実験(シャワーヘッド浄水器の実験ではなく、東大の水道水の濃度を比較するために測った)では、小豆川勝見氏が、ブログの中で2019年5月に自身が「水道水に含まれる137Csを公定法[3]に基づいて測定しました。その結果、137Csの濃度は0.0024ベクレル/kgでした。」と書いています。これは、川根の自宅で2017年11月18日~2018年5月14日までの約6ヵ月通水した、38,473Lの水道水からこのシーディークリエーションのシャワーヘッド浄水器が取り除いた0.000289べクレル/L(川根の再計算の結果)と比べると約8.3倍です。もし、2019年5月時点での東京大学の水道水の濃度が、川根が6か月間シャワーヘッド浄水器を通水した期間の濃度と同じであるならば、このシャワーヘッド浄水器の放射性セシウム除去率は、1Lあたりに換算すると、水道水0.0024ベクレルに対して、0.000289ベクレル除去したことになります。つまり、除去率12%です。  一方、2019年5月に東京大学の小豆川勝見氏が行った、シーディークリエーションのシャワーヘッド浄水器の通水条件が、ブログに掲載されています。「通水条件は、一般家庭の用途を想定し、流量(SV)700(水量は1分間あたりに約2.2L、シャワーの1/3程度の流量)と設定し、室温、研究室内の水道水(Ca 6.02mg/L,Mg 5.25mg/L,硬度 3.67)を用いています」ブログの末尾[2]。  これはシャワーヘッド浄水器の使用目的とはまったく異なります。シーディークリエーションのシャワーヘッド浄水器の特徴は強い流水量で、浄水器内で渦のような水量が生じ、それが人工ゼオライト、天然ゼオライト+活性炭の間を通り抜けています。このことで、放射性セシウムを人工ゼオライト、天然ゼオライト活性炭に吸着させます。シャワーと同じ流水量がなければ、吸着量が落ちます。  通水条件が1/3も違えば、結果が違うのは当たりまえです。東京大学の小豆川勝見氏は、シャワーヘッド浄水器の仕様条件で実験を行うべきでした。シャワーヘッドに取りつけるものですから。除去率は4.8%ではなく、もっと高かった可能性があります。  また、川根の自宅水道水の通水実験を行ったころは、もっと、水道水の汚染が高かった可能性があります。2017年2月からの1年間と、2018年2月からの1年間で、福島第一原発が出した放射能の量を、東京電力の資料で比べると、2倍だったとNHKが報道しました。 資料 福島第一原発 放射性物質の放出量が前年比2倍に NHK 2019年3月8日 http://www.radiationexposuresociety.com/archives/10185 川根が実験に協力した時期の内では、特に2018年2月の福島第一原発からの放出量が大きく、前年が77000ベクレル/時に対して、2018年2月は240000ベクレル/時でした(東京電力 1~4号機からの追加的放出量の評価結果より)。ですから、実際の水道水はもっと汚染されていて、このシーディークリエーションのシャワーヘッド浄水器が取り除いたのは、12%ではなく、さらに低く数%であった可能性もあります。 図4 福島第一原発原子炉建屋からの追加的放出量の評価 2017年と2018年の比較 川根眞也 2019年3月25日 実際にはシャワーヘッド浄水器が吸着した放射性セシウム濃度から、水道水の放射能汚染は計算できません。放射性セシウムを1Lあたりどれくらい取り除いたかは、計算で求めることはできます。シャワーヘッド浄水器が取り除くのは、水道水の放射能汚染の一部であり、計算されたよりも高い濃度の水道水の放射能汚染がある、ことは肝に銘ずるべきです。   しかし、大事なのは、水道水から放射性セシウムが検出されること。それもGe半導体検出器やCsIシンチレーション式検出器で検出されるレベルの放射能汚染が東京都(東京大学)や埼玉県(川根の自宅)水道水から出る、ということです。  日本分析センターの阿部俊彦氏らが「1988年度降下物陸水海水土壌および各種食品試料の放射能濃度」という資料の中で、水道水の放射能汚染を9県で年1~4回測定した結果を報告しています(第33回環境放射能調査研究成果論文抄録集昭和63年度(1988年)科学技術庁)。  これによると、1988年度の日本の水道水の放射性ストロンチウム濃度、放射性セシウム濃度は   ストロンチウム90 0.0012ベクレル/L(試料数92)   セシウム137    0.0002ベクレル/L(試料数92)   先の東京大学の小豆川勝見氏は、東京大学の水道水を測定した結果が、0.0024ベクレル/Lですから、1988年当時のなんと12倍もの放射性セシウムが東京都の水道水から検出されたことになります。この問題について小豆川勝見氏は語りません。0.0024ベクレル/kgものセシウム137が出る水道水の危険性について、小豆川勝見氏は一言も触れません。  <参考> 市販品浄水器の放射性セシウム吸着率の検証 小豆川勝見 日付なし https://user.ecc.u-tokyo.ac.jp/users/user-10609/purifier.html   余談ですが、2019年4月10日に、大熊町は町の面積の38%にも及ぶ地区を避難指示解除しました。その決定を大熊町が行う際に、参考にしたのが、土壌のプルトニウム239やストロンチウム90の汚染です。しかし、大河原地区3か所、中屋敷地区2か所のプルトニウム239やストロンチウム90しか公表されていません。それも大気圏内核実験の汚染と変わらないレベルの数値です。果たして、38%の町がこの汚染レベルなのでしょうか? この避難指示解除にOKを出したのが、大熊町除染検証委員会ですが、東京大学、小豆川勝見氏はこの大熊町除染検証委員会の委員です。ストロンチウム90を測る専門家が「大丈夫だ」と言ったから、大熊町の避難指示解除は行われたのです。 図5 第1回大熊町除染検証委員会 委員 出席者 2018年11月8日 <参考> 2019年4月10日、東電福島第一原発の立地自治体、大熊町の避難指示解除のデタラメを問う。プルトニウム239+240、ストロンチウム90の合計100箇所のデータを公開せよ! http://www.radiationexposuresociety.com/archives/10325   先に紹介した、小豆川勝見氏のブログには、国際原子力機関(IAEA)のリンクが貼ってあります。小豆川勝見氏が、国際原子力機関(IAEA)に無批判であり、国際原子力機関(IAEA)の放射線防護理論を丸ごと受け入れていなければ、自身のブログに国際原子力機関(IAEA)のリンクは貼らないでしょう。  まさか、小豆川勝見氏は国際原子力機関(IAEA)の次期日本委員候補なのでしょうか?  (6)シーディークリエーションの鈴木優彰氏にもブログの誤りを伝え、現在、ブログ記事の訂正を求めています。当面、誤解を生むことがあることを深くお詫びいたします。しかし、東日本全域の水道水の放射能汚染が事実としてあることは変わりません。  ベクレルからシーベルトを計算する数式も、国際原子力機関(IAEA)や国際放射線防護委員会(ICRP)が定めた、実効線量係数に基づくものです。市民団体でも、この実効線量係数を無批判に使い、内部被ばくが計算できるとか、これくらの放射能汚染は年間1ミリシーベルトにはいかない、という誤った放射線防護理論が信じられています。  しかし、年間1シーベルトの内部被ばくは、2011年7月時点での計算では、1人の人間のからだの中に放射線セシウムが5万1000ベクレル、たまった時です。これは国際放射線防護委員会(ICRP)の実効線量係数を使うと、このようなところまで、安全、となるのです。なぜなら、国際放射線防護委員会(ICRP)は、一般人に年間1ミリシーベルトを許容線量としていますから。しかし、1人の人間のからだの中に、5万1000ベクレルもの放射性セシウムがあるのは、死の危険があります。事実、川俣町で自家野菜、野生きのこを食べて、2万ベクレルも蓄積した男性は、この毎日新聞の記事が書かれた1年後、突然死されています。  毎日新聞2012年8月22日 自家栽培の野菜食べ 福島の男性2人   国際原子力機関(IAEA)や国際放射線防護委員会(ICRP)の放射線防護理論を信じていると、殺されます。これからも、川根は、東日本に広がる放射能汚染の実態を明らかにし、市民の健康を守るために活動をしていきたいと思います。   以下に、上記毎日新聞の記事も掲載されています。  <参考> 放射能の基礎知識 人工放射能はなぜ危険か? http://www.radiationexposuresociety.com/archives/6988          

デブリ除去、2号機から 政府・東電 21年にロボ投入 2019年7月25日 読売新聞 朝刊 1面

〈解説〉  2021年から、東電は、福島第一原発2号機の核燃料デブリを取り出す計画、と報じました。「おい、おい。何言っているんだ?」という感じです。「2号機は水位が約30cmと低く、取り出しが容易」と解説も、図中に書かれています。  東電の資料を調べてみても、今、核燃料デブリがどこにどのような状態にあるのか、分かった、という資料はありません。核燃料デブリがどこに、どのような状態であるのか、分からないのに、取り出せる訳がありません。だいたい、何故、水位がそんなに低いのですか?今まで1日何百トンもの冷却水を投入してきたのに。東電は、今年の5月13日から、2号機の注水停止実験を行いました。 [参考] 2号機燃料デブリ冷却状況の確認試験の結果(速報)について 2019年5月20日 東京電力  疑問なのは、核燃料デブリがたった8年2ヶ月で冷える訳がないですから、何故、注水を停止できるのか、です。合理的な結論は、核燃料デブリがもう建屋の地下1階にもないから。核燃料デブリはコンクリートを溶かし、地下にドンドン潜り込んでいて、上から注水、冷却しようとも効果ないから、です。  もし、この仮説が正しいなら、核燃料デブリは、2号機の地下にあります。地下にまでどんどん潜り込んでいている核燃料デブリを取り出す方法などあるのでしょうか?  少なくとも、東京電力が、2号機の核燃料デブリがどこに、どのような状態であるのか、公表しない限り、「2021年にロボ投入」は、単に、ロボットを入れただけで終わるでしょう。   読売新聞は、真実を隠す新聞だ、とつくづく思います。読売新聞読むと、世の中が分からなくなります。  ちなみに、新聞紙面では、上記のように「デブリ除去、2号機から 政府・東電 21年にロボ投入」ですが、なぜか、読売新聞電子版では「デブリ除去、『安全・確実』な2号機から…ロボ投入も」となっています。読売新聞が勝手に「安全・確実な」を入れたのでしょうか?それとも、東京電力がそう説明した、のでしょうか?どちらにしても、説得力のない、形容詞です。また、2019年7月25日読売新聞朝刊が印刷された後、「安全・確実な」という言葉が挿入された、のです。どこからかの、圧力によって。 写真 誌面 2019年7月25日 読売新聞 朝刊 1面 写真 電子版 2019年7月25日 読売新聞 朝刊 1面 デブリ除去、2号機から 政府・東電21年にロボ投入 2019年7月25日 読売新聞 朝刊 1面  政府と東京電力は、福島第一原子力発電所2号機で2021年、核燃料デブリの取り出しを始める方針を固めた。廃炉に関する技術的な助言を政府に行う専門機関が来月にも、この方針を盛り込んだ技術戦略プラン(概要版)を発表し、具体的な工法の検討に入る。廃炉の成否を左右するデブリ取り出し作業に向け、準備が本格化することになる。  福島第一原発1~3号機は2011年3月の事故で炉心溶融(メルトダウン)が起き、現在、廃炉作業が続いている。2号機では、原子炉格納容器の底部でデブリとみられる小石状の堆積たいせき物を確認し、機器でつまんで動かすことにも成功している。一方、1号機は格納容器外側の放射線量が高いため、内部調査が難しくデブリをまだ確認できていない。3号機は格納容器内の水位が高く、取り出し作業が困難な状況にある。  政府に技術面の提言をする「原子力損害賠償・廃炉等支援機構」は各号機の状況を検討した上で「2号機は他号機よりも取り出し作業が安全、確実に進められる」と判断。技術戦略プランに、最初に取り出す号機は2号機と明記する方針だ。  これを受け、政府と東電は、デブリの取り出しを21年に2号機から始める方針を今年度中に正式決定し、廃炉工程表に盛り込むことを検討する。今年度後半にもデブリを試験的に少量採取し、取り出しに向けての課題を調べる。  政府や東電は、格納容器の側面にある穴からデブリ取り出し用のロボットアームを投入する方法を検討している。アームは現在、英国などで開発中だ。今後、アームの詳しい仕様や準備工事の内容、作業員の訓練計画の検討を本格化させる。  戦略プランでは最初の取り出しは小規模にとどめ、デブリを入れた容器を敷地内の別の建屋に仮保管する方針も盛り込む。本格的な取り出しは、デブリの性質を見極めた上で進める。  同機構に協力する専門家の一人は「2号機で得られた経験を他の号機にも生かすべきだ」と話している。   ◆核燃料デブリ=事故で高温になった核燃料が、燃料を覆う金属管や炉内の配管などと共に溶けた後、冷えて固まったもの。事故の状況によって形状や組成、硬さが異なる。  [解説]長い道 安全対策万全に  東京電力福島第一原発1~3号機にある核燃料デブリの総量は推定で800トンを超える。廃炉完了まで約30年。デブリを最初に取り出す号機の決定は、長いデブリ処理の道のりの第一歩に過ぎない。  デブリが広がる原子炉格納容器の内部の放射線量は、人が入れば死に至るほどの高さだ。遠隔操作のロボットを使わないと、内部を見ることすらできない。  2号機ではデブリらしき堆積(たいせき)物が確認されているが、カメラで撮影できた範囲に限られ、全体像はつかめていない。実際には、格納容器底部のコンクリートの床に浸食するなど、取り出しが極めて難しいデブリが大量に存在するとみられる。取り出しは、世界でも例のない困難な作業になる。  作業では、放射性物質の漏えいや、核分裂反応が連続する臨界が起きないよう、万全の対策が求められる。危険なく、かつ迅速に進めるには、安全性を監視する原子力規制委員会によるチェックや関係機関での情報共有も欠かせない。 (科学部 井上亜希子、稲村雄輝)  〈解説〉  また、2019年7月25日読売新聞朝刊3面には、以下の記事も。東電 福島第一原発の廃炉を、浜岡原発1,2号機と比べるなど、能天気ぶりを発揮しています。比べるなら、メルトダウンした、アメリカ、ペンシルバニア州のスリーマイル島原発事故と、メルトダウンから原子炉にが大爆発し、1週間も火災が続いた、旧ソ連のチェルノブイリ原発事故でしょう。  読売新聞、読むと、世の中が分からなくなります。 [スキャナー]福島第二原発 廃炉作業 課題山積み…第一と並行 東電に重荷 2019年7月25日 読売新聞 朝刊 3面 東電が廃炉を表明した福島第二原発(2018年2月、読売機から)  東京電力ホールディングス(HD)が、福島第二原子力発電所1~4号機全ての廃炉を決断した。2011年の東日本大震災から8年を経て、福島第一原発と合わせて福島県内の原発10基全てが廃炉となる。今後長期にわたる廃炉作業や福島第一の敷地内の処理水など課題が横たわる。 (経済部 畑仁優鋭、福島支局 服部牧夫)    区切り  「4基の廃炉は例がなく、時間を要していたが、おおむねめどが立った。地域のご理解とご協力が何よりも大切だ」  24日夕方、福島県庁で内堀雅雄知事と面会した東電の小早川智明社長は、福島第二の廃炉を決定する方針を伝えた。内堀氏は「重く受け止める。県内の原発の全基廃炉実現に大切な一歩だ」と応じた。  震災後、東電は福島第二の廃炉について判断を先送りしてきた。再稼働できれば、その利益を賠償や除染、福島第一の廃炉費用などに充てたいとの思惑があったためだ。廃炉に30~40年を要するとされる福島第一の廃炉作業を優先させたいとの意向もあった。  しかし、福島県や地元自治体は、福島第二の廃炉を求める決議を相次いで可決。東電や経済産業省内で再稼働は不可能との認識が広まった。  昨年6月の廃炉方針表明から決定までに1年以上かかったのは、廃炉によって費用負担が増え、経営を圧迫する懸念があったためだ。廃炉作業などを進める人材の確保にも時間がかかったという。  一方、東電の決定は地元自治体にとっても一つの区切りとなる。  福島第二が立地する楢葉町の松本幸英町長は「町で生活する町民と避難先で生活する町民にとって、プラスのメッセージとなる」と歓迎。もう一つの地元・富岡町の宮本皓一町長も「(福島第二の廃炉作業による)雇用創出、地域経済への波及が復興への大きな追い風になると考えている」と期待を述べた。  福島第二にある約1万本の使用済み燃料は、敷地内に新たに設けられる貯蔵施設で保管される予定だ。こうした施設には、立地自治体に対し政府からの交付金があり、地域振興などに充てられる。政府と自治体は今後、交付金の額などについて協議するとみられる。    費用負担  東電には今後、多くの課題が待ち受ける。  福島第一の敷地内にはタンクに大量の処理水が貯蔵されており、政府は海洋放出を模索するが、地元の反発は強い。  また、東電は事故に伴い、廃炉や除染などで約16兆円の費用を負担しなければならない。費用捻出のためには、今後30年間で毎年5000億円を確保する必要があるが、収益改善の大きな柱となる柏崎刈羽原発(新潟県)の再稼働は依然、見通しが立っていない。  地元自治体から求められている1~5号機の廃炉計画の提出が遅れているなどで、再稼働に必要な地元自治体の同意を得られていないからだ。経営再建に向けた道のりは険しさを増している。   完了まで30~40年    2011年3月の福島第一原発の事故後、国内の商業原発では廃炉決定が相次いだ。これまで事故前に決めた3基を含め20基が廃炉を決めており、福島第二原発が加わると、国内原発の半数近くの計24基になる。原発の寿命が原則40年になり、古い原発に新規制基準に沿った安全対策を行っても、コストに見合うだけの運転期間が期待できないからだ。  一方、原子力規制委員会が13年7月に始めた安全審査に合格し、再稼働に至った原発は関西、四国、九州の3電力9基のみ。さらに、新たに設置が義務化されたテロ対策施設について、3社とも期限までに完成させる見通しが立たず、来春以降、九州電力川内原発1号機(鹿児島県)などが停止に追い込まれる見込みだ。  原発の安定した稼働が見込めず、電力会社は厳しい経営を迫られるが、廃炉作業は着実に進める必要がある。  通常の計画的な廃炉は30~40年かかる。先行して廃炉が進む中部電力浜岡原発1、2号機(静岡県)の場合、09年度から28年かけて廃炉を進めている。使用済み燃料を取り出した後、原子炉停止の際に使う制御棒の駆動機構など周辺設備を撤去し、原子炉本体や原子炉建屋の解体に進む。  福島第二でも同様の工程で廃炉作業が進められる。東電は24日、原子炉1基あたりに30年程度、計4基で40年を超える期間がかかる見通しを発表した。  ただ、福島第二はほかの原発と異なり、処理した汚染水をためるタンクなど福島第一のための廃炉用資機材の製造といった後方支援の役割も担う。福島第二の廃炉作業は、炉心溶融(メルトダウン)した福島第一の廃炉と同時進行で作業を進めなければならない。高木直行・東京都市大教授(原子炉物理)は「きめ細やかな工程管理を行うことが求められる」と話す。 (科学部 井上亜希子)

福島第一原発、2019年7月25日午前0時から新たな廃炉作業か?奇妙な「発煙」事象との一致の理由は何か?

 東京電力は、福島第一原発の敷地境界に8ヶ所のダストモニタリングを24時間行っています。以下が20197267:40am現在の福島第一原発の敷地境界のダスト、つまり放射能の塵の測定結果です。  (1)2019年6月25日~6月28日。 インターネット上で大問題になった、福島第一原発6号機のベントか?の時も、福島第一原発敷地境界ダストモニタでは、高い放射能値が観測されましたまた。また、福島県が測定している、環境放射能テレメータシステムの、空気中の放射性物質濃度(6時間放置後測定)でも、アルファ線核種、ベータ線核種の高い濃度が、2019年6月27日に観測されました(過去1年間で4番目に高い数値)。  〈参考〉 「東電 福島第一原発6号機のベントか?を巡って(1)2019年6月30日記 」    東京電力は、この異常なアルファ線核種、ベータ線核種の放出と、6号機から出た白煙との関係を何ら説明していません。 (2)2019年7月25日(木)~  そして、この2019年6月27日ほどではありませんが、昨日2019年7月25日(木)午前0時から、また、福島第一原発敷地境界のダストモニタで異常な放射能が観測されています。また、福島県環境放射能テレメータシステムの、空気中の放射性物質濃度(6時間放置後測定)、福島県大熊町夫沢のグラフを見ても、2019年7月25日朝6:00amに明らかなピークがありあります。アルファ線核種、ベータ線核種も少なからず観測されています。 図1 東京電力 福島第一原発敷地境界ダストモニタリ 2019年7月26日7:20am現在  図2 福島県環境放射能テレメータシステム 空気中の放射性物質濃度(6時間放置後測定)  福島県大熊町夫沢 7日間 図3 福島県環境放射能テレメータシステム 空気中の放射性物質濃度(6時間放置後測定)  福島県大熊町夫沢 7日間 アルファ線核種 0.028ベクレル/m3(2019年7月25日 6:00am)  図4 福島県環境放射能テレメータシステム 空気中の放射性物質濃度(6時間放置後測定)  福島県大熊町夫沢 7日間 ベータ線核種  0.102ベクレル/m3(2019年7月25日 6:00am)   編集者は、2019年7月25日 午前0:00から、新たな何らかの、廃炉作業を開始したのではないか、と考えます。しかし、その新たな廃炉作業は、一体、何号機で行われているのでしょうか? (3) 2019年7月25日 9:35 福島第一原発 5号機、6号機送電線から発煙か?  奇妙な事に、NHKの報道によれば、このアルファ線核種、ベータ線核種の放出とほぼ同じ時に、2019年7月25日 9:35 5号機、6号機の送電線付近から発煙が上がったことが報じられています。   2019年6月25日の6号機の白煙、6月27日の異常のアルファ線核種、ベータ線核種の放出、7月25日0時から始まった廃炉作業、7月25日9:35の5号機、6号機付近の発煙は、一連の事象ではないですか?  ちなみに、2011年3月当時、5号機、6号機の原子炉内にあった核燃料は、5号は2015年に、6号機は2013年に、「原子炉から使用済み燃料プールに移動させた」ことになっています。しかし、移動前、移動後の東京電力公表の資料には、移動させた体数が記載されていません。核燃料集合体を移動させるときに、何体移動させたか公表しないことなど、あり得ません。  東京電力さま。本当に、5号機、6号機の原子炉に、もう核燃料集合体はないのですか?  〈参考〉 「東電 福島第一原発6号機のベントか?を巡って(2)6号機の原子炉内に核燃料集合体は本当にないのか? 2019年6月30日記」 〈参考記事〉 福島第一原発 送電線から発煙 2019年7月25日 12時50分   NHK 福島放送局 25日午前、東京電力福島第一原子力発電所で、敷地内を通る送電線から煙が出るトラブルがありました。煙はすでに止まっていてけが人はなく、周辺の放射線量を測定しているモニタリングポストの値にも変化はないということです。 東京電力と消防によりますと、25日午前9時35分ごろ、福島第一原発の5号機と6号機の西側にある「開閉所」と呼ばれる施設と敷地内の鉄塔を結ぶ送電線から煙が出ているのを協力企業の作業員が見つけ、東京電力が消防に通報しました。その後、この送電線を通る電気を止めたところ、煙は午前10時ごろに止まったということです。けが人はいませんでした。「開閉所」は5号機と6号機に電気を送る施設で、送電線は2本つながっているため、1本を止めても電気の供給に問題はないということで、周辺の放射線量を測定しているモニタリングポストの値にも変化はないということです。警察と消防は煙が出た詳しい原因を調べています。 図5 東京電力公表   福島第一原子力発電所 5号機双葉線1号 黒相接地線より発煙について 2019年7月25日

公明党に勝負を挑んだ学会員 れいわ公認で沖縄県出身の野原善正さん 「沖縄の痛み」都民に訴え、落選も21万票獲得 政治 2019年07月23日 琉球新報

公明党に勝負を挑んだ学会員 れいわ公認で沖縄県出身の野原善正さん 「沖縄の痛み」都民に訴え、落選も21万票獲得 2019年07月23日 琉球新報 敗戦の弁を述べる野原善正さん(左)とれいわ新選組代表の山本太郎さん=22日、東京都内の都市センターホテル  【東京】「れいわ新選組」公認で東京選挙区(改選数6)に立候補した沖縄県出身の野原善正さん(59)は21日投開票の参院選で、21万4438票を集めたが、20人の候補の中8位となり当選はかなわなかった。公明党の支持母体・創価学会の現役会員であることを前面に出し、選挙期間中は「いつまで沖縄に基地を押しつけるのか」と訴え、都民に自分事として考えるよう問い続けた。落選を受けて開いた会見では、「れいわ新選組」代表の山本太郎さん(44)が次期衆院選に向けたて意欲を示す中、野原さんも出馬する意向を明言した。    「のはらっ、のはらっ、のはらっ」   投開票日前日の20日午後7時すぎ、東京・新宿駅西口の小田急百貨店前には、野原コールが響き渡った。選挙期間中最後のマイクを使った「れいわ新選組」の街頭演説会「#新宿センキョ」には、百貨店前の路上から歩道橋上まで人があふれ、熱気に包まれた。その中で野原さんは、辺野古に反対する沖縄の民意を示しながら「自公政権は沖縄の民意を絶対に聞こうとしない。おかしな話だ」と政権を批判した。   ◆沖縄ではなく東京選挙区立から立候補    野原さんは沖縄創価学会壮年部に所属するが、昨年9月の沖縄県知事選では自民党や公明党が支持した候補ではなく、辺野古新基地建設に反対を掲げ当選した玉城デニー氏を応援した。    そんな野原さんに山本代表は当初、「比例区での立候補をお願いしたい」と声を掛けした。公示直前の7月2日に出馬発表の会見があり、翌3日になって「選挙区で」と山本さんから言われた。山本さんも「最初は『比例で』という話だったが、『選挙区で』と相談して、直接選挙という舞台に持って行くということと合致して、かなった」と説明する。    公示後の第一声で「沖縄の現状をもっと真剣に考えてもらいたい」と訴える野原善正氏=4日、東京都新宿区   準備も調わないままに迎えた公示の4日午前。届け出を済ませた新宿駅西口でマイクを握った野原さんはこう切り出した。「なぜ沖縄出身の私が東京選挙区から立候補したか」   その答えとなる沖縄への米軍基地集中の実態を訴えながら「日米安保条約のプラス面を肯定される方々は、そのマイナス面を一手に引き受けている沖縄の現状をもっと真剣に考えてもらいたい。いつまで他人の不幸の上に自分の幸せを築くつもりでしょうか」と語気を強めた。さらに「東京都の皆さん、全国の皆さん、どうぞ沖縄の痛みを、他人の痛みとしてではなく、自分の痛みとして真剣に考えてくれるよう切に希望する」と聴衆に呼び掛けた。  ◆対公明党    東京選挙区には公明党代表で現職の山口那津男さん(67)も立候補していたが、野原さんは「なっちゃんとガチンコ勝負いたします」とひるむ様子もなく挑んだ。    辺野古新基地建設の容認も含め、安保法や共謀罪にも賛成した公明党に対する危機感がそこにはあった。「自民党の歯止め役になるはずだった公明党は今や自民党と一緒になって暴走している。絶対に止めないといけない」と公明党と創価学会の在り方について問題を提起した。    選挙期間中の14日には東京・信濃町にある創価学会総本部前でもマイクを握った。「公明党には、平和・福祉という立党の精神に返ってもらいたい。創価学会には、日蓮仏法の平和の精神に戻ってもらいたい」と繰り返し、学会員にも呼び掛けた。「良識ある学会員に問いたい。いつまで善人の沈黙を続けるつもりなのか。おかしいものはおかしい、間違っているものは間違っていると勇気を出して声を上げてほしい」  定数6の東京選挙区には創価学会員である野原善正さんのほか、学会の支持母体である公明党代表で現職の山口那津男さんはじめ20人が立候補した   ◆21万の重み    落選となったが21万票余の支持を獲得した。だが野原さんは「山本さんが前回取った66万の基礎票のようなものはあまり取れなかった。山口那津男さん(公明党代表)の票もそんなに切り崩せなかった」と総括した。  その上で「スタートも遅く、新人で東京に基盤もなく、ないないづくしで始めた選挙だった。悔しいのは悔しいが21万は実力不足だった」と選挙戦を振り返った。   野原さんが東京選挙区から立候補した意義について、山本さんは与党公明党と支持母体の創価学会を批判したことを挙げ「与党側を切り崩すのはなかなか難しく、どの党も手を付けない。これはれいわ新選組にしかできない。この先も非常に大きな部分だ」と強調した。    次期衆院選への対応を記者から問われた山本さんは「野原さんにまだ了解が取れていないが、やってくれますか」と隣席の野原さんに振ると「はい、喜んで」と応じた。   山本さんは「今回、21万を越える方々に野原さんの心意気を買ってもらえた。衆院選の東京ブロックとなると、1議席には30万ぐらいの票で獲得できるので(参院選より)ハードルが下がる。(衆院選出馬に)快諾をいただいたので次の闘いへと駒を進めていきたい」と語り、次期衆院選に照準を合わせた。      

辺野古反対の高良氏が当選確実 参院選沖縄選挙区 反対の民意揺るがず 2019年07月21日 20:00 琉球新報

辺野古反対の高良氏が当選確実 参院選沖縄選挙区 反対の民意揺るがず 2019年07月21日 20:00 琉球新報 参院選沖縄選挙区で当選を確実にした高良鉄美氏(写真前列中央)=21日夜、那覇市内   任期満了に伴う第25回参院選は21日午後8時に投票箱が締め切られた。4人の候補者が1議席を争った沖縄選挙区は、期日前や当日の出口調査に本紙の情勢取材を加味すると「オール沖縄」勢力が支援する無所属新人で琉球大名誉教授の高良鉄美氏(65)が当選を確実にした。沖縄県民は昨年9月の知事選、今年2月の県民投票、4月の衆院沖縄3区補欠選挙に続き、辺野古新基地建設に「反対」の民意を示し、辺野古埋め立てを推進する安倍政権に「ノー」を突き付けた。   高良氏は、糸数慶子参院議員の後継として「平和の一議席」の継承を掲げ、糸数氏や玉城デニー知事とのセット戦術を展開したことで、課題だった知名度を克服し無党派層を含め支持を広げた。   高良氏は主要争点の米軍普天間飛行場の辺野古移設に「反対」し、普天間の即時閉鎖、撤去を訴えてきた。新たな県選出国会議員として新基地建設阻止に向けて行動していく。高良氏が当選を確実にしたことで、玉城県政にとって追い風となり、「オール沖縄」勢力にとっても来年6月の県議選に弾みが付いた格好だ。   沖縄選挙区は、高良氏と、自民新人でシンバホールディングス前会長の安里繁信氏(49)=公明、維新推薦=による事実上の一騎打ちの選挙戦が展開されてきた。辺野古移設の是非のほか、憲法改正や消費税増税の是非、次期沖縄振興計画の在り方などを巡って激しい論戦が繰り広げられてきた。   開票作業は一部地域を除き午後9時から始まる。県選挙管理委員会によると22日午前0時までには全ての市町村の開票作業が終わる予定で、その後比例代表の開票作業が行われる。比例代表には県内から共産新人で党中部地区委員会副委員長の島袋恵祐氏(32)、自民新人で前衆院議員の比嘉奈津美氏(60)、社民新人で前県議の仲村未央氏(47)の3氏が立候補しており、3氏の当落は22日未明に判明する見通し。【琉球新報電子版】

川内原発1号機、2019年7月28日頃、定期点検で止まる。一度止まった原発は二度と動かすな‼

 すべての原発は、電気事業法施行規則において定期検査終了日以降、13ヶ月を超えない時期に受検することが定められています。  定期検査(電気事業法第54条の規定に基づき義務づけられている検査) 東京電力 資料  この定期点検終了と同時に電力会社は、「営業運転」に入ることができますから、原発がいつ営業運転に入ったか、が大事です。川内原発1号機は、2018年6月29日に営業運転に入りました。日本経済新聞の記事。従って、川内原発1号機は、2019年7月29日には、定期点検に入り止まります。  〈記事〉 川内原発1号機の定期検査終了 九電 2018年6月29日 日本経済新聞 九州電力は29日、川内原子力発電所1号機(鹿児島県薩摩川内市)の定期検査が終わり、営業運転に復帰したと発表した。同機は1月下旬に検査入り。燃料集合体の一部から放射性物質漏れを確認し、その対応で検査が長引いた。  川内原発は2017年3月には、使用済み核燃料プールのヨウ素131の濃度が急上昇したのに、1年間放置していました。産経新聞の記事。 〈記事〉 川内原発冷却水のヨウ素濃度上昇 九州電力発表 2017年3月24日 産経新聞  九州電力は23日、川内原発1号機(鹿児島県薩摩川内市)で、原子炉容器内の1次冷却水の放射性ヨウ素濃度が上昇したと発表した。運転上の制限値6万2000ベクレルに対し、23日の測定値は0.45ベクレルだった。21日は約0.27ベクレル。外部への放射能漏れはない。九電は運転を継続しながら、監視を強化する。  九州電力は、川内原発1号機をそのまま1年間放ったらかして運転させて、2018年1月に定期点検で初めて同1号機を調べました。すると、使用済み核燃料プールの核燃料集合体の1本が損傷、ヨウ素131が漏れていた、と発表しました。毎日新聞の記事。 〈記事〉 1号機の燃料集合体1体から放射性物質漏れ 2018年3月12日 毎日新聞 川内原発=鹿児島県薩摩川内市で2017年3月、本社ヘリから矢頭智剛撮影  九州電力川内(せんだい)原発1号機(鹿児島県薩摩川内市)で1次冷却水の放射性ヨウ素濃度が上昇した問題で、九電は12日、燃料集合体1体から放射性物質が漏れ出ていたと発表した。外部環境や作業員に影響はないという。燃料集合体の中にある核燃料棒を覆う管に穴が開いている可能性があり、今後、損傷具合や原因などの詳細を調べる。  川内1号機は昨年3月以降、1次冷却水の放射性ヨウ素濃度が通常値より上昇。制限値を下回っていたが、今年1月からの定期検査で、燃料集合体157体を調べていた。  九電によると、九電の原発で同様の放射性物質漏えいは10例目で、川内原発では2例目。【浅川大樹】    こんなでたらめを繰り返す九州電力に原発を動かす資格はありません。大地震もいつ、どこで起こるか、わかりません。東京電力福島第一原発1号機は、津波が来る前に、地震で冷却水を循環させる配管が損傷した可能性が指摘されています。国会事故調pp.215~230。  原発は地震で壊れます。日本に地震が来ない所はありません。従って、日本はすべての原発を止め、すべての原発を廃炉にするべきです。 九州電力のホームページより 原発定期点検の予定          

大石雅寿氏の「福島安全論」神話。おしどりマコ氏、大石雅寿氏論座記事を名誉毀損と指摘。

[解説]  大石雅寿氏が自身のtwitter「個人としての発言@mo0210」、更には朝日新聞、論座で、おしどりマコ氏の中傷を行っていることが明らかになりました。朝日新聞、論座がその該当部分を削除しました。 東スポWEB 2019年7月13日が概要を報じています。その下に 問題の朝日新聞、論座2019年7月2日の記事を掲載します。  しかし、大石雅寿氏の朝日新聞、論座の記事「放射線副読本はなぜ回収されたのか?」には、「原発は絶対に事故を起こさない」と同様の「福島安全神話」が書かれています。また、放射線による発がんのメカニズムについての理解も間違っています。朝日新聞、論座は削除した部分だけではなく、誤った大石雅寿氏の記事全体を削除するべきです。  大石雅寿氏の誤り、理解不足の箇所。以下の朝日新聞、論座に赤字で掲載。 ① ある生物が持つ修復能力に較べて切断量が少なければその生物は安定に存在できるが、修復能力に較べて切断量が多ければ、細胞は自死(アポトーシス)したり、場合によってはがん化する。 ② 被曝量が十分に少なければ被曝のことを気にする必要はないし、気にしても仕方がない。 ③ 「量の概念」が極めて重要であり 放射性物質が存在するだけで危険などと考える必要はない ④ 福島市では、空間線量率が0.14μSv/hほどであり、何の問題もない。会津地方に至っては0.04~0.05μSv/hであり関東地方と同等の空間線量率を示している。 ⑤ 「横浜の保育園の園庭に事故直後に集めたセシウムを含んだ可能性がある土が埋められている。その直上で空間線量率を測定したら0.05μSv/hだった。この保育園で2名の園児が白血病を発症した。」0.05μSv/hは横浜市近辺での自然放射線レベルと同等である。  大石雅寿氏の①の誤りは、DNA修復とは何かを理解していないことによります。「放射線でDNAが切られる。しかし、人間にはDNAの修復能力があり、切られたDNAが再びつながれる」のは正しいですが、「修復能力に比べて切断量が多ければ(中略)がん化する」という理解は間違っています。1回のDNA損傷でもがん化は起きえます。  DNAの損傷には、DNAあるいは染色体の切断からの修復によって、「安定型異常」と「不安定型異常」があります。「不安定型異常」とは、環状染色体(切れたDNAや染色体が環の形になる、下図D,E)や二動原体染色体(切れた染色体が2つ異常にくっつくため動原体という場所が1つの染色体に2つできる、下図F)です。原発労働者が被ばくした場合には、その血液を採取し、リンパ球を観察すると、この環状染色体や二動原体染色体が観察されることがあり、基準体積血液中に何個これらの「不安定染色体」が見つかるかの出現頻度を調べることで、被ばく線量を推定する方法があります。これをバイオドシメトリ(生物学的線量算定)と言います。 図1 染色体異常―ヒトの細胞遺伝学― 外山晶編 朝倉書店 1978年 pp.254  しかし、この「不安定型染色体異常」は細胞分裂の際に、DNA合成がうまくいかず、アトポーシス(細胞のプログラム死)してしまいます。つまり、がん細胞にはなりえないのです。  一方、以下のような転座と欠失の染色体異常の場合は、アトポーシス(細胞のプログラム死)という細胞死につながらないので、がん遺伝子(オンコジン)になる場合があります。これらを「安定型染色体異常」と言います。構造が正常な染色体と変わらないので、細胞分裂の際にも、DNA合成が行われ、細胞分裂ができます。ただし、がん化を防ぐための抑制遺伝子が放射線によるDNAや染色体の切断によって、失われる場合があるのです。 図2 転座と欠失 放射線科医のための放射線生物学 Eric.J.Hall 藤原書店 pp.28  なぜ、がん遺伝子(コンコジン)になるのでしょうか?大石雅寿氏は、「修復能力に較べて切断量が多ければ、細胞は自死(アポトーシス)したり、場合によってはがん化する。」と言っていますが、DNAや染色体の修復が完全修復と誤解しているようです。または、理解不足です。彼は天文学者です。国立天文台勤務です。放射線生物学を勉強したこともない人間が、朝日新聞、論座に半知半解の放射線生物学の議論をするべきではありません。  見かけ上のDNAや染色体の修復ですが、以下に見るように、切断された部分が取り除かれてくっついているのです。 図3 放射線による分裂間期における欠失形成を示す図 放射線科医のための放射線生物学 Eric.J.Hall 藤原書店 pp.404   大石雅寿氏の「修復能力に較べて切断量が多ければ」場合によってはがん化するという認識は誤っており、1個のDNAや染色体の切断でもがん化しうる、というのが正しいのです。「修復能力」の大小は関係ない、というのが現時点の放射線生物学で理解されているところです。これは、当然、からだの外部からのガンマ線によるよりも、からだの内部の細胞近傍に蓄積した、死の灰(ウランやプルトニウム239など)によるアルファ線の方が決定的にDNAや染色体の2重切断を行うことから、アルファ線核種の内部被ばくの方が決定的に発がん率が高いことは周知の事実です。  国際放射線防護委員会(ICRP)が「外部被ばくと内部被ばくによる健康影響は、ミリシーベルトが同じであれば、健康影響は同じ」と主張しています。これは明らかな誤りです。ガンマ線、ベータ線核種とアルファ線核種と同列に比べること自体が間違いです。DNA損傷、染色体切断でもアルファ線核種の方が決定的な切断をして、DNAの一部分を破壊してなくしてしまうからです。切断量の多さではなく、DNA損傷、染色体切断の深刻さを考慮しなければ、アルファ線核種による先天的奇形の発症を説明できません。広島、長崎では多くの先天的奇形が生まれていますし、アメリカのネバダの核実験場の風下でもがんが多いです。アメリカの先住民族ナホバ族の居留地にあるウラン採掘鉱でも羊の奇形や住民のがんが多いです。ソ連の核実験場であったセミパラチンスクでも先天的奇形やがんが多いです。インドのウラン採掘鉱ジャドウゴラ鉱山でも先天奇形の赤ちゃんや住民のがんが多発しています。中国のカザフスタンのロプノール核実験場周辺でもがんが増えています。 アメリカが劣化ウラン弾を使用したイラクでも子どもの白血病や小児がんが増えています。 <参考> 「米インディアン居留地、ウラン鉱汚染 2010年6月24日 毎日新聞 大阪版」 インド・ウラン鉱山の村で① 先天異常、がん多発 治療もできず住民不安 ブログ きんちゃんのぷらっとドライブ&写真撮影 2014年8月30日  国連科学委員会(UNSCEAR)の2006年報告書では、たった11行しか劣化ウラン(DU)について言及していません。また、その箇所は3つの引用文献に基づいて書かれていますが、データは掲載されていません。その3つの論文では、国際放射線防護委員会(ICRP)の放射線防護モデルを利用して、劣化ウラン(DU)の線量が低すぎると主張しています。いわば、劣化ウラン(DU)が無害である、という主張になっています。アメリカ、ソ連、中国の核実験場や、各国のウラン採掘鉱での先天的奇形や多発するがんを、国際放射線防護委員会(ICRP)の放射線防護モデルや国連科学委員会(UNSCEAR)の報告書は説明できません。それどころか、「こんなに低い線量では先天的奇形、がんは起きない」という主張になっています。人間の健康被害の事実を説明できないのであれば、放射線防護理論の方が間違っているのです。 <参考> 欧州放射線リスク委員会(ECRR)編『放射線被ばくによる健康影響とリスク評価』明石書店2011年11月30日2800円 pp.224~248  なぜ、DNAの切断により、DNAの一部が失われることでがんが引き起こされるのでしょうか?それは、DNAの合成期になり、糸玉状をさらにXの字にからめてあった染色体がほどけて糸状になったときに放射線があたり、一部分が切り取られます。切り取られたDNAの切れたところときれたところはくっつきやすく、一部分が失われたまま、DNAがつながれます。これを「DNAの修復」と呼びますが、その失われたDNAの部分に抑制遺伝子(細胞が無限に細胞分裂して増えていきないようにするブレーキの役割を果たす)があった場合、抑制遺伝子が失われて、細胞ががん化する、というのです。  これが、現在の放射性生物学の理解です。「DNA修復」はがん化を引き起こさないのではなく、「DNA修復」が行われてもがん化が起きる、というのが正しいです。大石雅寿氏の「放射線の量が少なければ安全」論は間違いです。「放射性物質が存在するだけで危険などと考える必要はない」のも間違いです。  自然放射能カリウム40は、甲状腺がんを引き起こしますか?脳腫瘍や白血病を引き起こしますか?  ヨウ素131は甲状腺がんを引き起こします。ウラン、プルトニウム239、ストロンチウム90は白血病を引き起こします。ウラン、プルトニウム239は先天的奇形や脳腫瘍を引き起こします。自然放射能と核兵器や原発の出す「死の灰」とを同列に比べるのは誤りです。微量であっても、ウラン、プルトニウム239、ストロンチウム90を体内に摂取することは、こうしたがんや先天的奇形のリスクを高めます。  また、大石雅寿氏は以下のようにも書いています。 ④ 福島市では、空間線量率が0.14μSv/hほどであり、何の問題もない。会津地方に至っては0.04~0.05μSv/hであり関東地方と同等の空間線量率を示している。 ⑤ 「横浜の保育園の園庭に事故直後に集めたセシウムを含んだ可能性がある土が埋められている。その直上で空間線量率を測定したら0.05μSv/hだった。この保育園で2名の園児が白血病を発症した。」0.05μSv/hは横浜市近辺での自然放射線レベルと同等である。   放射線生物学では、空間線量などで、健康被害を議論することはありません。核種が何か、その核種がどれくらいあるのか、また、どのようにして体内に摂取されて、どの臓器に蓄積したのか、が問題です。大石雅寿氏の議論で笑ってしまうのは、自然放射線のレベルと同じだから、健康被害はない、というところです。  ウランやストロンチウム90で汚染された地域である場合、セシウム134、セシウム137などの核種が少なければ、アルファ線やベータ線はたくさん出ていますが、ガンマ線はほとんど計測されません。  編集者はベラルーシのストロンチウム90で汚染されたために廃村になった村を訪ねていますが、その村の空間線量はガンマ線だけを測る線量計では、0.04マイクロシーベルト/時や0.06マイクロシーベルト/時です。しかし、その村はストロンチウム90は1キュリー/km2(3万7,000ベクレル/m2)あるとして、廃村になったところです。ストロンチウム90はガンマ線を出さず、ベータ線しか出さないので、空間線量計(ほとんどがガンマ線のみを測定)では汚染度は分からないのです。横浜市立保育園の土壌の上の空間線量率が0.05マイクロシーベルト/時だから安全とは、放射線防護学をまったく知らない素人の発言です。 写真1 廃村C ベラルーシ ゴメリ州 ザボロチェ村 ベラルーシ・プロジェクト報告 2013年4月 pp10 写真2 廃村Cの線量 ベラルーシ ゴメリ州 ザボロチェ村 ベラルーシ・プロジェクト報告 2013年4月 pp10 【単位】マイクロシーベルト/時 左から順に クリアパルス社 Gamma RAE 0.04(黒) 堀場製作所 Radi-PA1000    0.061(白) クウォルタ社 Radex1503   0.10(白) ガイガーふくしま     不明(明るい白) タウ技研 たんぽぽ     0.055(クリーム色) 持ち上げているもの  ECO TEST社 MKS-05    不明(黒) 2013年3月17日17時測定(現地時間) 図4 ゴメリ州におけるストロンチウム90汚染マップ IAEA 1991年 ベラルーシ・プロジェクト報告 2013年4月 pp12  図中のZabolotjeと書かれているのが、廃村C ザボロチェ村です。  ストロンチウム90は白血病を引き起こします。そして、それはベータ線しか出さないので、空間線量計では測れません。写真2でクウォルタ社 Radex1503 だけが0.10マイクロシーベルト/時と比較的高い数値を出すのは、ベータ線、ガンマ線に反応するガイガー管の空間線量計だからです。ちなみに、このロシア軍の兵士はこのRadex1503を携行していて、「空間線量が0.3マイクロシーベルト/時になったら、ただちにそこから撤退せよ」と指示を受けているとのこと。栃木県那須塩原市でも、0.3マイクロシーベルト/時のところがありますが、住民には何の危険性も知らされず、普通に生活しているのが、原発事故のあった日本の現状です。  大石雅寿氏の記事は、放射線生物学も放射性計測学も理解していない、素人の記事であり、一部分削除ではなく、全文削除するべきだと考えます。 〈東スポWEB記事〉 【参院選】ハンセン病誤報に続き今度は事実誤認?吉本芸人候補の要請で朝日記事削除 2019年7月13日(土) 東スポWEB  吉本芸人のおしどりマコ氏    参院選(21日投開票)に立憲民主党から比例代表で出馬している吉本芸人のおしどりマコ氏(44)が12日、記者会見し、朝日新聞の言論サイト「論座」の記事で名誉毀損されたとして、該当部分を削除させていたことを明らかにした。  問題となった記事は今月2日に掲載された。「『放射線副読本』はなぜ回収されたのか」のタイトルで国立天文台の大石雅寿氏が寄せた記事。福島原発事故後、メディアの不安を煽る報道に懐疑的な見方を示す大石氏はマコ氏の「医師から堕胎を勧められた人に何人も会いました」との発言を引用し「しかし、福島県で事故後に中絶数は増えていない」と言及。  また「(マコ氏が)タマネギの分球を放射線被ばくが原因であるかのように言った」とも。反原発・脱被ばく活動家が一般の人々に誤った情報と不必要な不安を与えるとし、擁立した立民に疑問符をつけていた。  マコ氏の弁護人を務める馬奈木厳太郎弁護士は「堕胎を勧められた人に会ったという話をしただけで、発言を曲解し、あたかも中絶数が増えたと述べたかのような印象を与えている。(分球は)まとめサイトからの引用で、本人は原因について『調査を依頼している』と述べただけ」と反論。  記事掲載は4日の参院選公示直前で、マコ氏の社会的評価や信用低下を狙ったとして、朝日に記事撤回を求め、11日までにマコ氏への言及部分が削除された。  マコ氏は「朝日の記者は東電会見でよく一緒に取材し、自分の足で書いているが、(今回は)まとめサイトを論拠として書いているのに驚いた。原発事故前、安全神話があったように偉い人や肩書がある人の文章をうのみしてしまうことが怖い」と話す。  朝日新聞社広報部は本紙取材に「名誉毀損にあたるとは考えておりませんが、参院選の期間中であることを考慮して、おしどりマコ氏の記載に関わる部分を削除いたしました」とコメントした。  朝日新聞は9日にハンセン病家族訴訟を巡って「政府が控訴へ」と1面で報じたが、誤報となり、おわびを掲載する騒動があったばかり。マコ氏は、連絡がない大石氏への対応は未定という。 〈問題箇所が削除された論座記事、挿入された記事画像が削除された部分〉 「放射線副読本」はなぜ回収されたのか 放射線誤情報に翻弄されるメディア・政治・行政 大石雅寿 国立天文台特任教授(天文学)  2019年7月2日 朝日新聞 論座   人工放射性物質だからダメ?  2019年4月25日の朝日新聞に、「文科省の放射線副読本を回収 野洲市教委、記述を問題視」という記事が掲載された。驚いて記事を読んでみると、教育委員会が副読本を回収することにした理由として、放射線の安全性を強調するような印象を受ける記述が多い、被災者の生の声が少ない、小中学生にとって内容が高度、が挙げられていた。これは、2019年3月8日に開催された野洲市議会で田中陽介議員から「人工と自然界の放射性物質を同列のように扱い、(放射性物質が)安全であると印象を操作しようとしている」などと指摘を受けての判断であるという。  野洲市は市議会での質疑の様子を録画し、インターネットに公開している。早速視聴してみると、田中議員は、自然放射性物質と人工放射性物質からの放射能は全然違う、(自然に存在する)放射性カリウム(40K)などは代謝や崩壊が速いので人体にあまり影響を与えない、という趣旨の発言をしていた。ちなみに、40Kの半減期は12.5億年であるので崩壊は非常にゆっくりである。  よく知られているように、不安定な原子核から放出される放射線にはα線(ヘリウム原子核)、β線(電子)、γ線(高エネルギー光子)がある。これらの粒子には、自然に存在する放射性物質の原子核から出たのかあるいは人工的に作った放射性物質から出たのかの情報は載っていない。違うのはエネルギーだけである。  生物は、その進化の過程で自然放射線に耐える能力を獲得したが、人類が人工放射性物質を作れるようになってからわずか数十年程度しか経っていないので生物は人工放射性物質からの放射線には耐えられない、という言説がネット等で流れている。もちろんこれは誤りである。田中議員は「そのような正確な知識を飛ばして人工の放射性物質と自然の放射性物質を同列のように扱い、ありふれたものであり安全であるという印象を操作しようとしていることは明白です。」と発言していた(市議会議事録で確認可能)。大変残念である。   量の概念が重要 — 安全vs.危険ではない  放射線の持つエネルギーは、おおよそ100万電子ボルト(1MeV)である。生物の体は化学結合した原子が集まって構成されている。化学結合のエネルギーは数電子ボルト程度なので、生物の体に放射線が当たると化学結合を切断することが起き得る。当然、細胞内にあるDNAの化学結合が切断される場合もある。DNAが切断されたままであると生物活動に支障が出る場合がある。従って、放射線による被曝は避けた方が良い。しかし私達は、空気中や大地中、および、体内に存在するに存在する放射性物質(例えば40Kは4000~6000Bq、トリチウムは約100Bq存在する)からの放射線によって常に被曝している。40Kによる年間の内部被曝線量は、体重60kgの成人男子で0.17ミリシーベルト(mSv)である。  放射線がゼロでも、DNAは細胞内で常に発生する活性酸素により切断される。1日に1細胞当たり最大50万回!の損傷が起きているという。このままでは生物活動に大きな支障が生じるので、生物にはDNA修復機構が備わっている。DNAの結合切断と結合修復プロセスが常に競争しているのだ。ある生物が持つ修復能力に較べて切断量が少なければその生物は安定に存在できるが、修復能力に較べて切断量が多ければ、細胞は自死(アポトーシス)したり、場合によってはがん化する。 DNAの損傷と修復の概念図。出典:環境省「放射線による健康影響等に関する統一的な基礎資料 平成29年度版」    従って、放射線被曝量がどれだけなのかを評価すれば良い。被曝量が十分に少なければ被曝のことを気にする必要はないし、気にしても仕方がない。しかし、当然ながら、多大な被曝は避けなければならない。「量の概念」が極めて重要であり、放射性物質が存在するだけで危険などと考える必要はない。あるだけで危険ならば、私達全員は既にこの世にいないはずだ。  文部科学省による放射線副読本では、上記の点を子供向けに説明している。確かに内容はやや高度であるので副読本を子供達に配付して自習させるのではなく、それなりの知識を持った教師などの大人が解説してあげるのが良いだろう。 メディアにはびこるセンセーショナリズムの罪   東日本大震災の数日後、カリフォルニア工科大学にいる知り合いからメールが届いた。「日本は壊滅したとニュースで言っていた。家族と一緒にこっちに来ないか?」今から思うとYESと言っておけば良かったのだが、「いや、大丈夫だよ。家族もみな無事だから。」と返事をしてしまった。同様の連絡が欧州からも届いた。尋ねてみると「報道で日本が壊滅的な被害を受けたと知った。」と。現状を伝えたところ「マスメディアはセンセーショナルな報道をするからなぁ。」と納得してくれた。  地震や原発事故の直後であれば、被害の大きな所をメディアが取り上げる必要性はよく分かる。放射線にどの程度被曝するか分からない状況であれば、安全サイドに考えて情報を出すことも必要だった。しかし、事故から8年以上も経つのに、未だにセンセーショナルな報道が散見される。  私が時々お邪魔する福島県で普通に人々が暮らしている所では、例えば福島市では、空間線量率が0.14μSv/hほどであり、何の問題もない。会津地方に至っては0.04~0.05μSv/hであり関東地方と同等の空間線量率を示している。農産物についてもしっかりと放射能検査を実施し、基準を満たした産品以外は市場に流通させていない。それでも山間部などでは除染ができないため、空間線量率が数μSv/hと高い所も残っているし、キノコ類はセシウムをはじめとする重金属類を集めやすいために基準を大きく超えるものが多い。こういう知識があれば、問題なく暮らせるのだ。  原発事故後の経過を報道する新聞社などによる記事では、いかに国や東電の対応が悪いのか、未だに空間線量率が高い場所が残っている、という点のみを取り上げるものが多い。しかし、人々が普通に暮らしているという安心情報をメディアはほとんど取り上げない。危険情報のほうにより多くの報道価値があり、安心情報には報道価値がない、と言わんばかりだ。特に在京メディアが危険情報を多く流布することによって原発事故被災者が大変辛い思いをしていることを、メディア関係者は深刻な事態だと捉えるべきではないだろうか。  メディアは人々の耳目を引く報道をしたがる。例えば、2019年6月1日に公開されたAERA.dotの記事にはこうあった。「横浜の保育園の園庭に事故直後に集めたセシウムを含んだ可能性がある土が埋められている。その直上で空間線量率を測定したら0.05μSv/hだった。この保育園で2名の園児が白血病を発症した。」0.05μSv/hは横浜市近辺での自然放射線レベルと同等である。しかし、放射線被曝→発がんという情報が流布されているため、保護者の方々はとても心配になったのだろう。横浜市議である太田正孝議員も動いていたようだ。上記記事では、放射線量が自然レベルであることには触れず、保護者が抱える不安と横浜市が動かないことを報じていた。放射線レベルが自然レベルと同等であれば、横浜市が動かないのは当然なのに。横浜市職員が気の毒だ。  メディアの役割は、人々の不安を煽ることではないはずだ。 福島の人々と交流して http://www.hiroshima.med.or.jp/ippnw/より”>http://www.hiroshima.med.or.jp/ippnw/より” />IPPNW日本支部による説明。http://www.hiroshima.med.or.jp/ippnw/より    2019年5月12日に鳩山由紀夫元首相がツイッターに、「核戦争防止国際医師会議は、放射能オリンピックと命名して放射能汚染リスクの残る東京でのオリンピック開催を疑問視している」と投稿し、物議を醸した。その後、核戦争防止国際医師会議(IPPNW)日本支部はそのホームページで、「『放射能オリンピック』とのキャンペーンは、IPPNWの支部の一つであるドイツ支部が始めた活動のようです。これについてIPPNW本部において特段の議論が行われたことはありませんし、IPPNW本部からも本件活動に関与していないとの回答を得ました。」と発表した。  IPPNWドイツ支部のホームページに行ってみると驚いた。例えば、原発事故による被曝のために日本全体で1万人を超えるガン患者が発生するだろう、と記載されている。 IPPNWドイツ支部が行っている“TOKYO 2020 放射性オリンピック”キャンペーン用のチラシには、「日本全体に汚染土を入れたフレコンバッグがあり、森・川・湖を汚染、日本に元の姿は戻っていない」、という唖然とする記述すらある。それ故彼らは、福島市でソフトボールの試合を行うことを疑問視しているのだ。IPPNWドイツ支部は、福島に来訪して美しい自然、美味しい食べ物と日本酒を堪能し、優しい福島の人々と交流するべきだ。 福島県飯舘村で咲き誇る復興の桜=筆者撮影   政治家、政府・自治体、メディアに求めること  国立天文台では、自然科学系研究所としてはかなり早い時期に広報室を設置し、研究成果を分かりやすく社会に発信する努力をしてきた。記者の皆さんには文科系出身者が多いので科学関係の報道では苦労されると伺っている。このギャップを埋めるために国立天文台では、年に一度「記者レクチャー」を開催してきた。明るい時間は選んだトピックスに関する講義を行い、日が沈んだら懇親会だ。懇親会目当てでレクチャーに参加される記者さんも多い(そちらのほうが多いかも)。  こういう会合を通じて感じるのはメディアの強力な発信力である。最近ではネットを介して誰でも情報発信できるようになったものの、ネット情報は玉石混交だ。意図的に誤情報(デマ)を流す輩も散見される。それだけに、メディアには、正確な信頼するべき情報を配信してもらいたい。メディアが誤った情報を流してしまうのは以ての外である。メディア情報を参照している政治家や役人の皆さんにもやはり文科系出身の方が多い。役所にはもちろんメディア情報よりも多くの情報が集まっているが、政治家や役人が政策判断する際には正確な信頼するべき情報が必須である。  様々な情報が流れる中で、どれが信頼できるかどうかを判断するのは簡単ではない。しかし「危険だ!」という耳目を引く話については鵜呑みにしないことだ。「本当だろうか?」と懐疑的に考え、きちんと裏取りをすることで、いい加減な情報に掻き回されることを防ぐことができる。  そのためにも、政治家・政府/自治体・メディアの皆さんが、専門的なことを気軽に相談できるネットワークを日頃から構築しておくことが有効だろう。日本学術会議が公表している科学者の行動規範には、「社会の様々な課題の解決と福祉の実現を図るために、政策立案・決定者に対して政策形成に有効な科学的助言の提供に努める。」とある。科学者も社会の一員である以上、社会の発展に専門的見地から貢献するのは当然である。科学者のもつ専門的知識を社会が活用しないのは大変もったいない。      

「福島の子どもたちの甲状腺は原発の放射線が原因ではない」とする朝日新聞、論座の記事2つ。

[解説]  朝日新聞が「福島の子どもたちの甲状腺がんは、原発事故の放射線の影響でない」と大々的なキャンペーンを始めました。こと、原発再稼働と放射線内部被ばくについては、朝日新聞は原発村の軍門に下った、と判断します。稚拙な、福島の子どもたちの小児甲状腺がんは、全員を検査することによって発見された、甲状腺がんは予後がいいがんでありるだけでなく、手術して摘出しなくても死なないがん。だから、今、福島で行われている、スクリーニング検査(対象となる、原発事故当時0~18歳+原発事故以降に産まれた子どもたち)は、過剰診断だし、手術して取らなくてもいいがんを取って、子どもたちに肉体的、精神的苦痛を与えている。という主張です。  以下、名郷直樹氏、菊池誠氏の記事を朝日新聞、論座は2019年6月29日、7月7日と立て続けに載せました。  名郷直樹氏の議論も、菊池誠氏の議論も、原発事故の放射能が原因の小児甲状腺がんはと大人の甲状腺がんとを同じもの、として議論する特徴があります。彼らは、チェルノブイリ原発事故後、誰が子どもたちのスクリーニング検査の構想を打ち立て、誰が日本からたくさんの超音波検査機を無償で提供したのか、忘れているか不勉強で知らないか、あるいは意図的に知らない振りをしているか、いずれかです。  チェルノブイリ原発事故で被災した、ウクライナ、ベラルーシ、ロシアで、原発事故による甲状腺がんのリスクグループを事故当時0~18歳として、スクリーニング検査(対象年齢の子どもたち全員の検査)を始めたのは、山下俊一氏(初代福島県民健康調査管理検討委員会座長)であり、超音波検査機の資金を出したのは、日本財団(笹川良一氏)です。 〈参考〉 チェルノブイリ原発事故被災児の検診成績 I および Ⅱ および Ⅲ “チェルノブイリ笹川医療協力プロジェクト1991-1996”より 山下俊一*/柴田義貞*/星正治*/藤村欣吾*/ほか**   その山下俊一氏が、福島の子どもたちの小児甲状腺がんが、原発事故の放射線の影響とは考えにくい、とか、言うのは不思議です。また、これから20代に甲状腺がんが多発することを、山下俊一氏は知っています。知っていて、「過剰診断」を主張するのは、自らのチェルノブイリ原発事故後の子どもたちのスクリーニング検査の体験に反して、子どもたちの命と健康を守る立場ではなく、ある目的のために「福島の甲状腺がんは原発事故の影響でない」と主張している可能性が大です。  2011年3月21日、山下俊一氏は福島市の講演で「ニコニコしている人に放射線の影響は来ない」と言いました。しかし、その1時間ほど前、福島市のオフサイトセンターで、放射線医学総合研究所のメンバーと打ち合わせをしていた際、「小児の甲状腺被ばくは深刻なレベルに達する可能性がある」と言っていたことを、東京新聞がスクープしました。 〈参考〉 震災後「放射線ニコニコしている人に影響ない」 山下・長崎大教授「深刻な可能性」見解記録 2019年1月28日 東京新聞 朝刊1面  たった1時間数十分で、小児甲状腺がんが発症するリスクがある、という認識が、福島市の被ばくは大丈夫、に変わる訳がありません。つまり、「ダマシタ俊一氏」だったわけです。  以下、名郷直樹氏も、菊池誠氏も、今、福島で何が起き、何が起ころうとしているのか、知りながら、以下の記事を書いている可能性があります。もし、そうなら犯罪です。福島の子どもたちが甲状腺がんから、肺転移など転移、再発で苦しむのを医師の立場や国立大学教授の立場で、見過ごし、「過剰診断」の名のもとに、20歳以降を中心として、「デメリットがあるから、検査は受けないほうがいい」と吹聴しているからです。  もしチェルノブイリ原発事故後の子どもたちの甲状腺がんについて、知らないで書いているのなら、勉強してから書け、と言わなくてはなりません。山下俊一氏や、ベラルーシのユーリ・デミチック博士、現長野県松本市長の菅谷昭氏(チェルノブイリ原発事故後、単身でベラルーシに渡り無給で甲状腺がんの手術技術を現地医師の伝えた)の論文くらい読んでから語るべきです。医師、学者の名にもとる記事です。  朝日新聞さん、ついに原発村の軍門に下りましたか?編集部に国際原子力機関(IAEA)担当職員が常駐しているのですか? 2019年7月9日 朝日新聞 福島県版  以下、名郷直樹氏、菊池誠氏の記事を紹介します。読み通すのは苦痛かもしれません。しかし、これらの記事が朝日新聞、論座の講読者に送りつけられている、という事態だ、ということをご理解の上、一人でも多くのかたが、朝日新聞はおかしい、論座はおかしい、と声を上げて欲しい、と思います。  ちなみに、菊池誠氏の記事、冒頭で川俣町に避難した福島県民が安定ヨウ素剤を服用している写真が掲載されています。あたかも、福島県民が、または、避難者には、安定ヨウ素剤が服用されたかのような誤解をまねきかねない写真です。事実は、日本政府も、福島県も福島の住民に安定ヨウ素剤の服用指示を出しませんでした。福島県立医大の職員とその家族には、安定ヨウ素剤が配られ皆服用しているにもかかわらず。この写真は川俣町に避難した、双葉町町民に、前町長井戸川克隆氏の独自の判断で飲ませているようすです。福島県立医大の職員は安定ヨウ素剤は飲んだのに、福島市の市民は飲んでいません。それどころか、「ニコニコしていれば放射線はやってきません」と山下俊一氏に言われていたのです。 (記事1) がん 早期発見・早期治療が善であるとは限らない 一臨床医から見たがん検診の一般的な問題点 名郷直樹 「武蔵国分寺公園クリニック」院長    論座 2019年7月7日  菊池誠氏の「福島の甲状腺検査は即刻中⽌すべきだ」の記事に関して、Twitter上で多くの反論が寄せられているのを目の当たりにしたが、反論に対する意見の一つとして、筆者が2年前に日刊ゲンダイに書いた記事が周辺で引用されていたこともあり、Twitter上の議論を追いかけてみた。しかし、議論はかみ合わず、お互いが非難し合って終わるという状況だ。  反論の多くが、がん検診についての一般の人たちの意見としては十分理解できるものである反面、科学的、論理的な部分を欠いているというのが正直な感想だ。そこで自分がうまく情報を提供できるという自信があるわけではないが、日々根拠に基づく医療(Evidence-based Medicine: EBM)を実践し、がん検診を担当している医師の一人として、多少なりとも議論を整理できる情報が提供できるのではと思い、原稿の依頼を受けたこともあり、筆を執っている。 がん検診一般についての理解の必要性  福島の甲状腺がん検診の是非を問う以前にまず必要なことは、がん検診についての一般論の理解である。福島の個別性も一般論を理解したうえで考えたほうが良いだろう。  反論の基盤には「早期発見・早期治療は善である」という前提があり、それに反対するとは何事か、というものが大部分である。しかし、一般的に言えば「早期発見・早期治療は善であるとは限らない」ばかりか、「早期発見・早期治療には害がある」というのが、がん検診の一般論である。まずその誤解を解くことに努めたい。  ただその一般論は、福島の個別の状況には当てはまらないかもしれないという反論に対しては、あらかじめ以下のように反論しておきたい。  「早期発見・早期治療の害」は、被曝量が多く、甲状腺がんのリスクが上昇し、その甲状腺がんの予後が従来の甲状腺がんより悪いとしても、なくなるものではないので、この一般論は福島を個別に考えるときにも有効なはずである。だから、推定被曝量が信じられないという人も、甲状腺がんのリスクが推定より高いという人も、被曝後に見つかる甲状腺がんは普通の甲状腺がんより進行が速いと思っている方にも、この一般論の理解は重要である。  「早期発見・早期治療の害」から始めるという背景には、ここまで読んで多くの方が予想するように、私自身も「甲状腺がん検診は中止すべき」という意見を持っているということがある。しかし、ここまで読んで、「なんだ、甲状腺がん検診の継続は非だという人の話かよ」と思った人も少し我慢して読んでいただきたい。なにがしか役に立つ情報があるはずだ。 早期発見・早期治療の害  早期発見・早期治療の害には様々なものがある。その主なものについて説明しよう。 1. 偽陽性、偽陰性  がん検診でがんの疑いと言われた人が全員がんかというと、そうではない。それは単にがんの疑いというだけで、実は大部分の人はがんではない。がん検診で精密検査が必要だとされたにもかかわらずがんでなかった人は、がん検診における「偽陽性患者」で、この偽陽性を避けることができないというのは、がん検診の害の一つである。  この偽陽性は単にがんの疑いをかけて不安にさせるというだけでなく、診断を確定するために針を刺して調べるとか、CT検査で被ばくするという身体的な害も含む。  それに対し、偽陰性と言って本当はがんである人を見逃してしまうという危険もある。がん検診を受けて大丈夫だからと言って、がんでないとは言えないのである。さらに早期であればあるほど見落としなく発見するのは困難で、がん検診こそ見逃しの危険が高いという面がある。  ただがん検診においては、見落としをできるだけ少なくすることを重視するために、偽陰性を減らす方向で行われる。そうなると今度はどうしても偽陽性が多くなる。偽陽性と偽陰性の両立は困難で、片方を重視すると片方が犠牲になってしまうという特徴がある。  偽陰性、つまり見逃しを避けるために、偽陽性であるがんでない人に余計な不安や検査の害が大きくなってしまう、これががん検診の害の一つである。偽陽性、偽陰性のない検診方法はないので、この偽陽性、偽陰性を逃れることのできるがん検診は存在しない。 2. 過剰診断  過剰診断の問題は、Twitter上でも盛んに話題になっているが、なかなか理解がむつかしいようだ。ここには「がんは死ぬ病気なので早期発見・早期治療しかない」という間違った前提がある。がんは必ずしも死ぬ病気ではない。がんで死ぬ前に別の病気で死ぬというのは決して珍しいことではない。  進行が遅いがんでは、過剰診断の危険が高い。早期発見から放置しても30年以上を要して死に至るようながんは、その30年の間に別な原因で死ぬ可能性も高く、過剰診断の割合が高くなる。この代表が甲状腺がんである。被曝による甲状腺がんではないものの、通常の甲状腺がん検診を行った韓国では、甲状腺がんの患者数が15倍になっても甲状腺がんの死亡者は全く減らなかったことが示されている。甲状腺がん同様、進行の遅いがんの代表である前立腺がんでも同様な状況にある。  また甲状腺がんや前立腺がよりも進行が速い乳がん検診でも、マンモグラフィーによる検診導入後30年を経て、早期乳がんの患者数が2.5倍になったにもかかわらず、進行乳がんや転移のある乳がん患者はほとんど減っていないという事実が示されている。甲状腺がんほどではないが乳がんにも多くの過剰診断がある。  もちろん進行の早いがんも例外ではなく、その割合が少ないというだけである。1年後に死に至るような進行の早いがんも、診断の翌日に心筋梗塞で亡くなってしまえば、それも過剰診断に含めてもよいだろう。 胃がん検診のエックス線検査  もう一つの過剰診断の可能性は、ごく早期のがんには自然になくなってしまうものがあるということだ。これは粘膜内にとどまる早期がんの中でもより早期の胃がんで胃の切除手術を受けた患者の胃全体を病理標本にして調べ、手術の原因となった以外の胃がんがないかどうかを調べた研究があるのだが、なんと50%の胃に別の場所で早期胃がんが見つかったのというのである。進行がんで2つのがんが胃に同時に見つかるのは多く見積もっても20%くらいであることを考えると、ごく早期の胃がんの一部は消えてしまうと考えないと説明がつかない。こうした早期がんの診断は過剰診断につながるのである。  過剰診断の具体例としては、小児の神経芽細胞腫のスクリーニングなどについて、論座の別の記事でも詳細に解説されているので参照されたい(注4)。過剰診断もがんの種類によらず、多い少ないはあるにしろ例外なく起こる害の一つである。 3. 診断、治療による害  これは一般的ながんの診断、治療と同様に、針を刺したり、器具を使ったりする侵襲的な検査のためにかえって悪くなったり、抗がん剤の副作用で亡くなったりすることで健康を害したり寿命を縮める可能性があるということだ。  もう少し具体的な例で説明しよう。診断も治療もせず放置したときに5年後に死に至るがんである。このがんの診断時に、組織を採って検査するために針を刺したところ、そこからの出血で診断の時に亡くなってしまうと、5年も寿命が短くなることになる。またがんの診断後の抗がん剤による治療を続けていたところ、1年後に副作用の間質性肺炎で亡くなってしまうと、4年は寿命が短くなってしまう。これもあらゆるがんに共通する害である。 4. コスト  がん検診にはお金がかかる、人の労力もいる。もしがん検診の効果がないのであれば、その金や人の労力は別のことに使えるわけで、がん検診そのものが害というだけでなく、周囲に対しても害を及ぼす可能性がある。この害にも例外はない。 がん検診を正当化する必要条件:害を上回る利益  がん検診に害がある以上、それを上回る利益がない限り、がん検診による早期発見・早期治療は正当化されない。善意のためのがん検診が、検診受診者の健康を害するだけかもしれないのだ。利益が明確に示されていないがん検診は、害だけを及ぼすかもしれない。このことこそが、がん検診を語る上での前提である。「早期発見・早期治療は善」どころか、事実は反対なのである。  そこでがん検診の利益とは何か。対象となるがんによる死亡率の低下である。早期がんがたくさん見つかるということではない。がん検診をすれば、必ず多くの早期がんが見つかる。しかし、早期で見つかるということと、がんによる死亡が減らせるということは別問題である。まずこのことを理解する必要がある。  ここで実際に示されるべき事実は、がん検診で見つかったがんが、がん検診ではなく見つかったがんよりも死亡率が低くなることである。この事実が示されているのは、大腸がん、子宮頸がん、乳がんくらいである。乳がんについては、過剰診断も多く、質の高い研究に限定するとはっきりした死亡率の低下は認められないという結果も報告されており、微妙な面もある。  ここまでのまとめ。どんながん検診も例外なく害がある。がん検診を正当化するためには、害を上回る効果が示されなくてはいけない。それは決して簡単なことではない。偽陰性、偽陽性を最小限にした安価で優れた検査があり、その検査の基準が明確で、その後の精密検査で安全に診断でき、さらに治療が患者の生存率を延長し、そのうえで実際の検診でがんの死亡率の減少が示されなければ、がん検診は害だけを及ぼしているかもしれないという可能性を常に考慮しておかなければならない。これが例外のないがん検診に関する一般論である 結果が同じであれば、遅く見つかったほうが良い  それではもう少し別の角度から早期発見の害を説明してみよう。一般にはがんは早期に見つかったほうが良いと考えているが、そこには早く見つかったほうが治る可能性が高いという仮定が同時にあるからだ。しかし繰り返し書いてきたように、早く見つかることと治る可能性が高いということは別のことである。  この発見の速さと結果をペアで考えた時にどういうことが言えるだろうか。ここで言えるのは、結果、つまり治療の成功率や寿命が同じであれば、遅く見つかったほうがいいということである。少しわかりにくいだろうか。  具体例で説明しよう。あるがんが20歳で見つかっても、50歳で見つかっても80歳で死ぬとしたら、どちらの時期に診断されたいかということだ。20歳の時にごく早期で診断されても、50歳で症状が出てから診断されても、治療によって治癒し、どちらも80歳まで生きられるとしたら、ということである。治療が進歩すると、進行がんであっても治癒する可能性が高くなり、こうしたことがすでに現実に起こっていることの一つである。単なる仮定ではない。  この2つを、幸せという点で比較してみよう。前者は後者より30年も余計にがん患者として通院や治療に費やして生活しなければならないのである。後者はがんと診断されておらず、より幸せな30年を送れる可能性が高い。その点を考えれば多くの人は後者の方がいいと答えるのではないだろうか。  もちろん早く見つかった場合には、より安全で副作用の小さい治療で治癒できる面もあり、生き死にだけで判断することは難しい面もある。ただ逆に生き死にだけで考えれば、後者の遅く診断する方が良いというのは、一般的な意見といっていいのではないだろうか。  「早期発見・早期治療が善」には早期の発見により長生きができるという仮定が存在している。しかし、それは仮定に過ぎない。遅く見つかっても同じように長生きできれば、遅く見つかったほうが幸福かもしれない。これも早期発見の害の一面である。 無差別の甲状腺がん検診が「非」であることは明らか  最後に福島の甲状腺がん検診に関して、私自身の意見を述べておきたい。  被曝量の推定が信じられない、被曝による甲状腺がんの予後がいいとは思えないという中で、もしそうした状況であれば早く見つけて早く治療したいというのはもっともだ。私自身が外来でがん検診の相談に乗るのも似たような状況である。自分が乳がんになりやすいかどうかわからない。もし乳がんになりやすいほうだとしたら乳がん検診を受けて早期発見、早期治療を受けたいというのは、日々の診療で日常的な問題である。もちろん、被曝したという特殊な状況と一緒にするわけにはいかないが、もともと乳がんになりやすい遺伝子を持っているかどうか知りたいというような特殊な状況もあり、同じように考えてみるのは案外役に立つ。  たとえばこの心配を持つ女性が20歳だとしたら、乳がんの危険はかなり低いので検診自体の害を考えると検診は受けないほうを勧めることが多い。50歳になると受けてみてもいいのではということが多いが、必ずがん検診の害の部分について情報提供する。そうすると検診をやめるという人も少なくない。80歳では、おそらく早期乳がんの診断を受けても寿命のほうが早い可能性が高く、受けないほうがいいですよと説明する。全員が乳がん検診を受けたほうがいいというのはあまりにナイーブな意見だ。  これを福島の状況に当てはめると、被曝の可能性が極めて低い人は受けないほうがいいし、被曝の可能性が高い人で迷うという状況である。ただ、少なくとも福島県全県を上げて甲状腺がん検診を受けることを勧めるということは絶対にしないほうがいい。被曝量の多いことが疑われる人、多量の被曝の可能性を心配する人に限って、害の可能性まできちんと説明したうえで、がんを探しに行くかどうか相談するというのがいい。  すべての女性に乳がん検診を勧めるのが「非」であるように、県全体を対象にした無差別な甲状腺がん検診は、福島の個別性を考慮しても「非」であることは明らか、それが私の結論である。 (記事2) 福島の甲状腺検査は即刻中止すべきだ(上) 無症状の甲状腺がんを掘り起こす「検査の害」 菊池誠 大阪大学教授(物理学) 2019年6月29日 朝日新聞 論座 東京電力福島第一原発で建屋が爆発した2011年3月12日、福島県川俣町の避難所では40歳未満の避難者全員が甲状腺被曝を防ぐためにヨウ化カリウムを服用した   甲状腺検査は医学研究倫理に反している  本稿では福島で現在行われている甲状腺検査について考える。最初に結論を書いてしまうと、筆者はここで、甲状腺検査が医学研究倫理に反しており、受診者の人権を侵害しているので即刻中止するべきと提言する。  甲状腺に対する放射線影響の有無を知りたいという希望が医学の世界やあるいは広く一般にあるのはわかる。しかし、甲状腺がんのように進行の遅いがんを無症状のうちにスクリーニングで発見してしまうことには利益がなく害だけがあるので、その希望は捨てなくてはならない。科学よりも受診者個人の利益が優先するというのが倫理だからである。  放射線影響は九分九厘ないと考えられるが、もちろん絶対にゼロだとは言い切れない。だからといって、そのわずかな被曝影響の有無を調べるために、害があるとわかっている検査を続けるのは許されない。また合わせて、これまでに見つかった甲状腺がんのほぼ全ては「検査の被害」なので、因果関係を立証することなく行政が生涯にわたる補償を約束すべきと考える。本稿の論旨はこれで尽きている。  福島県で東京電力福島第一原発事故当時18歳以下だった子どもたち(既にいちばん上は20代後半にさしかかっているが)を対象に続けられている甲状腺検査、38万人もの対象者の甲状腺を継続的に高精度エコーで調べるという前例のない大調査は現在四巡目が行われている。その二巡目の検査を解析した結果がまとまり、甲状腺がんの発見率と甲状腺被曝量との間に明らかな関連はみられなかったという専門家による報告案が、6月3日に開催された県民健康調査検討委員会甲状腺検査評価部会に提出された。被曝影響だとすればがんが被曝線量とともに増えるはずなので、発見された甲状腺がんは少なくともそのほとんどすべてが放射線被曝と関係ないと判断されたわけである。一巡目の検査については既に同じ結論が報告されている。  さて、いったいこれは手放しで喜んでいいニュースだろうか。  もちろん被曝による健康影響が見られないのはいい話に違いない。放出された放射性物質量が東電原発事故よりもほぼひと桁多かったチェルノブイリ原発事故でさえ、被曝そのものによる健康被害と認められているのは子どもたちの甲状腺がんの増加だけだから、甲状腺がんが被曝影響でないのならほかの健康影響はないと考えて差し支えない(もちろん被曝を直接原因としない健康被害として、避難に伴う死亡や避難生活での生活習慣病あるいは精神面での影響などはあり、東電原発事故でも問題になっている)。  とはいえ、実のところこれは初めから予想されていた通りの結果に過ぎない。問題はそのために、これまでに200人以上が「悪性ないし悪性疑い」と判定され、160人以上が手術を受けたという事実である。小児甲状腺がんの発生率は100万人あたり年間数人と言われていたはずなのに、どうしてこんなにたくさん発見されてしまったのだろう。  これは、以下に述べるように、症状のない子どもたちの甲状腺を高精度の超音波で調べた結果、発見しなくてもよかったはずのがんを次々と発見してしまったと考えるのが妥当である。その中には、検査で見つけていなければ死ぬまで悪さをしなかったはずのがんも相当数含まれていたと考えられる。いったいそのような検査を続けていいものだろうか。   ソ連・ベラルーシ共和国(当時)で超音波による甲状腺がんの診断を受ける少女=1990年撮影   被曝量はチェルノブイリより桁違いに小さかった  先に進む前にあらかじめ言っておこう。筆者は医学者ではなく物理学者で、しかも放射線の専門家でもない。それでも、東電原発事故後にたくさんの「科学的根拠もなくただ人々の不安を煽るだけ」の書籍や新聞記事・ネット記事があふれたことに危機感を覚え、原発事故から三年後に仲間たちと『いちから聞きたい放射線のほんとう』という本を出版した。放射線については健康影響も含めて相当に知見が蓄積されており、一般向けのひと通りの解説ならむしろ専門家でないほうが分かりやすく書けると考えたからである。  この中で私たちは、放射線被曝に起因する健康影響の大きさは被曝量による、つまり「あるかないかではなく、程度問題」という点を強調した。実際、福島で避難指示が出されていない地域での放射線量は、たしかに原発事故当初こそ高めだったものの、今や十分に下がっており、世界的に見ればごく普通のレベルである。ここに暮らせないと考える理由はまったくない。安心して生活できるし、安心して子どもを産み育てられる。  同書の中では甲状腺検査にも一章を割いて、当時既に発見され始めていた甲状腺がんについて「ほぼ間違いなく被曝とは関係ない」とした上で、「がんを発見するためのテストが優秀すぎるので、すぐに治療しなくていいがんまで発見してしまい、検査に伴うリスクのほうが大きいと指摘する人もいる」と述べた。おそらくこの問題で甲状腺検査のリスクに触れた書籍はこれが最初だと思う。2013年には既にインターネットのSNSを中心にそのような議論が進んでいて、医学の専門家でなくてもこの程度の話はできたのである。  ここで、被曝影響の有無について簡単に確認しておこう。  国連科学委員会(UNSCEAR)は2013年の報告書で「福島第一原発事故後の甲状腺吸収線量がチェルノブイリ事故後の線量よりも大幅に低いため、福島県でチェルノブイリ原発事故の時のように多数の放射線誘発性甲状腺がんが発生するというように考える必要はない。」とまとめた。その後の知見を踏まえた2017年の白書でもこの結論は踏襲されている。実際、甲状腺の被曝量(甲状腺等価線量)は最大でも数10ミリシーベルトと考えられており、チェルノブイリ原発事故に比べて文字通り桁違いに少ない。初期被曝に不明な点が少なくないとは言うものの、桁違いという結論が変わるわけではない。チェルノブイリ事故のデータでは、この程度の被曝量の子どもたちに甲状腺がんの増加は見られていない(注4)。  もうひとつの重要な事実は、今回も報告されたように甲状腺がんの発見数に地域差が見られないことである。中でも、放射性物質による汚染が少なかったはずの会津地方でも他の地域と同程度の甲状腺がんが発見されているという事実は、発見された甲状腺がんの殆ど全てが被曝と無関係であると明白に物語っている。  さらに、2012年から13年にかけて小規模ながら青森・山梨・長崎で行われた三県調査がある。この調査では4365人の中からひとりの甲状腺がんが発見された。たったひとりと思われるかもしれないが、甲状腺がんが従来言われている通りに100万人あたり数人しか発生しないのなら、ひとり発見されるだけでも相当に奇妙なのである。この調査は、無症状の子どもたちを高精度エコーで調べると相当高い確率で甲状腺がんが見つかることを示唆している。B判定で二次検査に回る比率でも、福島県の0.7%に対し三県調査では1%だった。ちなみに、筆者はこの調査が医学研究倫理に反するのではないかと考えていることを付記したい。調査でがんを発見された方は「検査の被害者」だろう。 甲状腺検査は受診者には利益がない   甲状腺の超音波画像診断装置  もちろん、被曝影響がまったくゼロであることは証明できないが、あるとしてもそれ以外の甲状腺がんに隠れてしまう程度だと言い切ってかまわない。これらの知見をもとに検討委員会は被曝影響が見られないと結論づけている。すると、「無症状者を高精度エコーで検査したからたくさんのがんが発見された」が論理的な帰結でなくてはならない。つまり、検討委員会は、多くのがんが発見されたのは検査のせいだと事実上認めているのである。  それにもかかわらず、上述した甲状腺検査評価部会後の記者会見の席で、鈴木元部会長は、「放射線の影響を受けやすい事故当時1歳から5歳だった子どもたちの中で甲状腺がんが増えていない、と結果が出るまでは検査をやめるという答えは出せないと個人的には考えている。今後も検討を続ける必要がある」と述べた(引用はNHKニュース)。つまり、放射線影響の有無を知るためにさらに検査を続けるべきだと明言したわけだが、これは恐ろしい発言ではないだろうか。  ここで、「人間を対象とする医学研究の倫理的原則」を定めたヘルシンキ宣言に目を通してみよう。その第8項には「医学研究の主な目的は新しい知識を得ることであるが、この目標は個々の被験者の権利および利益に優先することがあってはならない。」(日本医師会訳)とある。  甲状腺検査は医学「研究」なのか、という疑問はあるだろう。たしかに福島県のウェブサイト(注9)には「福島県では、チェルノブイリに比べて放射性ヨウ素の被ばく線量が低く、放射線の影響は考えにくいとされていますが、子どもたちの甲状腺の状態を把握し、健康を長期に見守ることを目的に甲状腺検査を実施しています。」と書かれている。  これを文字通りに受け取るなら、この甲状腺検査は被曝影響の有無を調べるためのものではなかったはずである。しかし、先に引用した鈴木元氏の発言からもわかるように、現実には被曝影響の有無を知ることが目的化してしまっていると言わざるを得ない。検討委員会で受診率の低下が問題視されるのも、それを物語っている。ヘルシンキ宣言の精神に則るなら、そのような検査は許されない。なにしろ甲状腺検査には受診者個人にとっての利益がなく、あとで説明する過剰診断に代表される害があるだけなのだから。 早期発見・早期治療は有効なのか  思い出してみると、2011年に始まった「先行検査」は被曝影響と無関係な甲状腺がんを拾い上げることを目的のひとつとしていた。後知恵で言えば、これも相当におかしな話である。無症状のがんを発見すれば受診者にどんな利益があると想定されていたのだろうか。この時点ですでに被曝影響の有無を知る目的で検査が始められたのは明らかだったのではないだろうか。ヘルシンキ宣言の精神に則ればそもそもこの検査を始めてはならなかったのだと思う。しかし、百歩譲って、受診者に利益があると信じて始められた検査だったとしよう。では、甲状腺検査はいつなら見直せたのか。  2013年2月の県民健康調査検討委員会、まだ一次検査すら13万人強しか行われていない時点で3人の甲状腺がん確定が報告されている。時期から考えて、これらのがんが被曝と無関係なのは明かだった。この時点で「異常に多い」「検査によってなにかまずいことが起きている」と判断できたのではないだろうか。少なくとも一時中止を決めるのが筋だったはずだ。それ以降、検討委員会も実施主体である福島県立医大もがんの発見数が増えていくのをただ座視していたように見える。これは不作為と言いきって構わないだろう。  いや、早期発見につながるのだからいいじゃないかと考える向きも少なくないだろう。ところが、意外に思われるかもしれないが、甲状腺がんには早期発見・早期治療が有効という証拠はない。(続) (記事3) 福島の甲状腺検査は即刻中止すべきだ(下) 無症状の甲状腺がんを掘り起こす「検査の害」 菊池誠 大阪大学教授(物理学) 2019年6月29日 朝日新聞 論座 福島県が設置した「県民健康調査」検討委員会「甲状腺検査評価部会」は、「現時点の判断」として、これまで見つかったがんと、被曝の間に関連は認められないとする見解を発表した=2019年6月3日、福島市  福島県が設置した「県民健康調査」検討委員会「甲状腺検査評価部会」は、「現時点の判断」として、これまで見つかったがんと、被曝の間に関連は認められないとする見解を発表した=2019年6月3日、福島市が設置した「県民健康調査」検討委員会「甲状腺検査評価部会」は、「現時点の判断」として、これまで見つかったがんと、被曝の間に関連は認められないとする見解を発表した=2019年6月3日、福島市 「早期発が過剰診断を生んでいる  がんといえば検診による早期発見・早期治療こそが最善と考えてしまいがちだし、筆者も甲状腺検査問題を調べるまではそう思い込んでいた。  ところが、甲状腺がんのほとんどは進行が非常に遅く、症状がないうちに超音波で検査すると、発症が何十年も先になるかもしれないがんや生涯にわたって発症しないがんまで発見してしまう。発症しなかったはずのがんを見つけてしまうことを過剰診断と呼ぶ。これは偽陽性とは別の概念で、がんであることには間違いないが、死ぬまで悪さをしない。また、万が一症状が出る場合であっても、甲状腺がんは予後が極めてよいことが知られており、早期に発見するメリットはないと考えられる。  甲状腺がんの過剰診断が広く認識されるようになったのは2014年である。韓国で甲状腺検査を受けやすくした結果、甲状腺がんの発見が激増して手術も増えたにもかかわらず、甲状腺がんによる死亡数は変化しなかったという論が公表された。つまり、検査で新たに見つかった多数のがんは生死にかかわるものではなく、逆に生死にかかわる少数の甲状腺がんには検査が有効ではなかったわけである。このデータ自体は前年には日本にも伝わっており、インターネットではツイッターを中心に過剰診断の議論が行われていた。  同様のデータはそれ以前にアメリカでも得られていた。2011年に出版されたウェルチの『過剰診断』(奇しくも邦訳は2014年)でも甲状腺がんが取り上げられ、エコーによって甲状腺がんの発見数が増えたのに死亡数はまったく変わっていないというデータが示されている。ウェルチは甲状腺エコーについて、身もふたもなく「要するになんのメリットもないのだ」と結んでいる。甲状腺の専門家なら2011年の段階で過剰診断のリスクを知っていたはずなのである。  もちろん、これらは大人の事例ではある。アメリカ医学会は最近、甲状腺検査のガイドラインを改訂し、そこでも無症状の「大人」への甲状腺スクリーニングを非推奨とした。しかし、それは子どもへのスクリーニングを認めるという意味ではなく、そもそも子どもへの甲状腺スクリーニング自体が想定されていないだけである。  IARC(国際がん研究機関。WHOの外部組織)は昨年、原発事故後の甲状腺検査について提言(注14)をまとめた。現在進行中の甲状腺検査に対する提言ではないと慎重に述べてはいるものの、その中では、甲状腺被曝量の多い子どもを例外として、全年齢に対して甲状腺集団スクリーニングの実施は推奨しないとされている。福島の子どもたちはここで言われる甲状腺被曝量の多い子ども(「胎児期または小児期または思春期の被ばく時に受けた100~500mGyという甲状腺線量」)に該当しないことに注意しよう。  福島で発見された甲状腺がんは将来症状を現すはずのがんを前倒しで発見していると考えるだけではとても説明がつかない数だと言われる。相当数の過剰診断が発生していることはもはや明らかである。 進行の遅いがんを発見してしまうことの害  しかし、過剰診断でないとしても、進行の遅いがんを発見してしまうこと自体に害がある。たとえば30年後に発症するがんを今発見されてしまったらどうだろう。経過観察で30年間不安を抱え続けさせるのはいいことだろうか。発症してから治療するのでも充分に間に合う進行の遅いがんを早期に発見してもただ不安を増やす効果しかないし、不安に耐えきれずに手術に踏み切ってしまう人もいるだろう。事実、福島でも経過観察を提案されながら、本人または家族の希望で手術を行った例が多数報告されている。がん患者とされることによる不利益や、手術となれば合併症のリスクも考えなくてはならない。  手術を担当する福島県立医大の鈴木眞一氏は、ガイドラインに沿って手術対象者を抑制的に決めていると常々述べている。その通りなのだと思う。それでもあまりにも多い手術数を見れば、過剰な手術が行われているとしか考えられない。年間100万人あたり数人程度だったときには有効に思えたガイドラインが、38万人もの大規模スクリーニングには適切ではなかったのだろう。なお、過剰診断かそうでないかは臨床的に区別できないので、過剰診断を避ける方法は検査しないことだけである。  ちなみに、子どもの甲状腺がんは悪性度が高くなりがちと主張する人たちもいるが、それが誤りであることは福島の甲状腺検査の結果からも明らかである。福島で発見された甲状腺がんのほとんど全ては自然発生なのだから、本当に悪性度が高くなりがちなのであれば、東電原発事故以前からもっとたくさんの小児甲状腺がんが出ていたはずなのである。今回の検査からは、むしろリンパ節転移があっても悪性度は高くないことがわかる。これは特に目新しい知見ではなく、IARCの文書(注15)にも、小児甲状腺がんのほとんどを占める乳頭がんについて、リンパ節転移の有無にかかわらず30年生存率は99~100%と書かれている。  検討委員会は検査をやめるつもりがないようだが、すでに検査対象者の多くが成人に達しているので、このまま検査を続ければ韓国やアメリカで見られた「大人の過剰診断」が再現されることは火を見るよりも明らかである。せっかく原発事故による大量被曝を免れた子どもたちが甲状腺検査の被害者になるのは悔しいではないか。  よしんば被曝影響でわずかに甲状腺がんが増えていると仮定しても、それでも無症状者へのスクリーニングを行うべきではない。ほとんどすべてが被曝影響でないのはもはや明らかだし、被曝影響だろうがそうでなかろうが過剰診断や超早期発見の害に変わりはないからである。   検査は誰のためのものなのか  検査はいったい誰のためのものなのか。安心は誰のもので犠牲になるのは誰なのか。私たちはあくまでも受診者である子どもたち自身(既に成人している人たちも含め)の幸福という観点でのみ、甲状腺検査の是非を議論しなくてはならない。   大阪大学医学研究科講師の高野徹・ 福島県民健康調査検討委員会  「親の不安」を解消するのは甲状腺検査を正当化する理由にはならない。親は受診者ではないからである。不安解消に必要なものは、検査ではなく説明のはずだ。そして、これは最も重要な点だが、被曝影響の有無を知ることを検査の目的としてはならない。それは疫学調査であり、そのためには別の倫理審査と被験者の同意が必要となる。  甲状腺悉皆検査が受診者に利益をもたらすものであって、それが同時に疫学のデータをも提供するのなら許されるだろう。しかし、被験者個々人に利益のない検査を疫学目的で続けることは倫理的に許されない。倫理は科学に優先する。この点は大阪大学の高野徹氏が県民健康調査検討委員に就任して以来、繰り返し指摘(注16)しておられるにもかかわらず、委員会では事実上無視され続けており、憤りを禁じ得ない。    既に多くの「被害者」を出してしまったことが明かな検査だが、それでも少しでも早く中止を決めるべきである。その際、これまでに見つかった甲状腺がんに関しては生涯にわたる補償を行政として確約するのが当然と筆者は考えている。  ところで、あらゆる検査には利益と害とがあり、それをきちんと知らせるのがインフォームドコンセントである。ところがこれまでの甲状腺検査の説明書では検査のデメリットがきちんと説明されていなかった。そのような批判を受けて、説明書の改訂案が現在議論されている。  しかし、これがまた曲者である。検査のメリットとして、問題がなければ安心につながり、問題があれば早期診断早期治療につながると書かれているのだが、前者は子ども自身の利益ではなく親の利益だろうし、後者は甲状腺がんに早期発見早期治療が有効というエビデンスがない以上、欺瞞である。さらに、放射線影響の有無の解析ができるとも書かれているが、放射線影響の有無を知ることは受診者個人の利益ではない。  逆にデメリットとしては、これまでに述べてきた過剰診断、手術の合併症や経過観察の心理的負担が挙げられており、こちらはある程度妥当に思える。「受診者個人にとっての利益はない」とはっきりと書かれておらず、受診に誘導しようとしているのが大きな問題だろう。「受診は勧めない」と明記して初めてインフォームドコンセントがきちんとできていると言えるのではないだろうか。 い。しかし、この検査がなんのために行われているかを考えると、知見はまず誰よりも真っ先に受診者とその親、そして福島県民に対して説明されるべきである。  これまでに発表された論文については福島県立医大放射線医学県民健康管理センターのウェブサイト(注17)に簡単な概要が報告されているだけであり、しかもそれも2018年1月以来更新されていない。少なくとも、英語論文公表と同時にその完全な日本語訳と一般向けの分かりやすい解説とを誰でも無料でアクセスできる場所に公開するのは、この問題で論文を書く研究者に課せられた最低限の義務であり責任であると思う。  検査は論文のために行われているのではなく、あくまでも受診者のために行われている建前のはずである。その建前すら守らないのは研究者のモラルハザードと言うべきではないだろうか。  というわけで、最後にもう一度まとめておこう。  福島で行われている甲状腺検査で発見された甲状腺がんのほぼ全ては放射線被曝と関係ない自然発生のものと考えられる。それなのに予想をはるかに上回る200人ものがんが発見されてしまったのは、無症状者を高精度エコーで調べたせいであって、発生が増えたからではない。そのほぼ全ては早期に発見しても利益のないがんだったと考えられる。そのような甲状腺がんを多数見つけて手術してしまったのは、「検査の被害」と言うべきだろう。今となっては、放射線影響の有無など瑣末なことであって、「検査の被害」をこそ真剣に考える必要がある。このような検査をだらだら続けるのは倫理的に許されない。これまでに発見された甲状腺がんについては生涯にわたる補償を行政が責任を持って約束した上で、甲状腺検査そのものは即刻中止することを提言したい。      

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