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内部被ばくの仕組み

新たな日米防衛協力のための指針(新ガイドライン)全文 2015年4月28日

新たな日米防衛協力のための指針(新ガイドライン)全文朝日新聞 2015年4月28日05時00分より  安倍政権は、オバマ米大統領と「新たな日米防衛協力のための指針(新ガイドライン)」に合意しました。2015年4月28日。 新たな日米防衛協力のための指針(新ガイドライン)全文2015年4月27日 ニューヨーク,USA  ■1 防衛協力と指針の目的  平時から緊急事態までのいかなる状況においても日本の平和及び安全を確保するため、また、アジア太平洋地域及びこれを越えた地域が安定し、平和で繁栄したものとなるよう日米両国間の安全保障及び防衛協力は、次の事項を強調する。  ・切れ目のない、力強い、柔軟かつ実効的な日米共同の対応  ・日米両政府の国家安全保障政策間の相乗効果  ・政府一体となっての同盟としての取り組み  ・地域の及び他のパートナー並びに国際機関との協力  ・日米同盟のグローバルな性質  日米両政府は、日米同盟を継続的に強化する。各政府は、その国家安全保障政策に基づき、各自の防衛態勢を維持する。日本は「国家安全保障戦略」及び「防衛計画の大綱」に基づき防衛力を保持する。米国は引き続き、その核戦力を含むあらゆる種類の能力を通じ、日本に対して拡大抑止を提供する。米国はまた、引き続き、アジア太平洋地域において即応態勢にある戦力を前方展開するとともに、それらの戦力を迅速に増強する能力を維持する。  日米防衛協力のための指針(以下「指針」という)は、二国間の安全保障及び防衛協力の実効性を向上させるため、日米両国の役割及び任務並びに協力及び調整の在り方についての一般的な大枠及び政策的な方向性を示す。これにより、指針は、平和及び安全を促進し、紛争を抑止し、経済的な繁栄の基盤を確実なものとし、日米同盟の重要性についての国内外の理解を促進する。  ■2 基本的な前提及び考え方  指針並びにその下での行動及び活動は、次の基本的な前提及び考え方に従う。  A 日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約(日米安全保障条約)及びその関連取極(とりきめ)に基づく権利及び義務並びに日米同盟関係の基本的な枠組みは、変更されない。  B 日本及び米国により指針の下で行われる全ての行動及び活動は、紛争の平和的解決及び国家の主権平等に関するものその他の国際連合憲章の規定並びにその他の関連する国際約束を含む国際法に合致するものである。  C 日本及び米国により行われる全ての行動及び活動は、おのおのの憲法及びその時々において適用のある国内法令並びに国家安全保障政策の基本的な方針に従って行われる。日本の行動及び活動は専守防衛、非核三原則等の日本の基本的な方針に従って行われる。  D 指針はいずれの政府にも立法上、予算上、行政上またはその他の措置をとることを義務付けるものではなく、また、指針はいずれの政府にも法的権利または義務を生じさせるものではない。しかしながら、二国間協力のための実効的な態勢の構築が指針の目標であることから、日米両政府がおのおのの判断に従い、このような努力の結果をおのおのの具体的な政策及び措置に適切な形で反映することが期待される。  ■3 強化された同盟内の調整  指針の下での実効的な二国間協力のため、平時から緊急事態まで、日米両政府が緊密な協議並びに政策面及び運用面の的確な調整を行うことが必要となる。  二国間の安全保障及び防衛協力の成功を確かなものとするため、日米両政府は、十分な情報を得て、様々なレベルにおいて調整を行うことが必要となる。この目標に向かって、日米両政府は、情報共有を強化し、切れ目のない、実効的な、全ての関係機関を含む政府全体にわたる同盟内の調整を確保するため、あらゆる経路を活用する。この目的のため、日米両政府は、新たな、平時から利用可能な同盟調整メカニズムを設置し、運用面の調整を強化し、共同計画の策定を強化する。  A 同盟調整メカニズム  持続する、及び発生する脅威は、日米両国の平和及び安全に対し深刻かつ即時の影響を与え得る。日米両政府は、日本の平和及び安全に影響を与える状況その他の同盟としての対応を必要とする可能性があるあらゆる状況に切れ目のない形で実効的に対処するため、同盟調整メカニズムを活用する。このメカニズムは、平時から緊急事態までのあらゆる段階において自衛隊及び米軍により実施される活動に関連した政策面及び運用面の調整を強化する。このメカニズムはまた、適時の情報共有並びに共通の情勢認識の構築及び維持に寄与する。日米両政府は、実効的な調整を確保するため、必要な手順及び基盤(施設及び情報通信システムを含む)を確立するとともに、定期的な訓練・演習を実施する。  日米両政府は、同盟調整メカニズムにおける調整の手順及び参加機関の構成の詳細を状況に応じたものとする。この手順の一環として、平時から、連絡窓口に係る情報が共有され及び保持される。  B 強化された運用面の調整  柔軟かつ即応性のある指揮・統制のための強化された二国間の運用面の調整は、日米両国にとって決定的に重要な中核的能力である。この文脈において、日米両政府は、自衛隊と米軍との間の協力を強化するため、運用面の調整機能が併置されることが引き続き重要であることを認識する。  自衛隊及び米軍は、緊密な情報共有を確保し、平時から緊急事態までの調整を円滑にし及び国際的な活動を支援するため、要員の交換を行う。自衛隊及び米軍は、緊密に協力し及び調整しつつ、おのおのの指揮系統を通じて行動する。  C 共同計画の策定  日米両政府は、自衛隊及び米軍による整合のとれた運用を円滑かつ実効的に行うことを確保するため、引き続き、共同計画を策定し及び更新する。日米両政府は、計画の実効性及び柔軟、適時かつ適切な対処能力を確保するため、適切な場合に、運用面及び後方支援面の所要並びにこれを満たす方策をあらかじめ特定することを含め、関連情報を交換する。  日米両政府は、平時において、日本の平和及び安全に関連する緊急事態について、おのおのの政府の関係機関を含む改良された共同計画策定メカニズムを通じ、共同計画の策定を行う。共同計画は、適切な場合に、関係機関からの情報を得つつ策定される。日米安全保障協議委員会は、引き続き、方向性の提示、このメカニズムの下での計画の策定に係る進捗(しんちょく)の確認及び必要に応じた指示の発出について責任を有する。日米安全保障協議委員会は、適切な下部組織により補佐される。  共同計画は、日米両政府双方の計画に適切に反映される。  ■4 日本の平和及び安全の切れ目のない確保  持続する、及び発生する脅威は日本の平和及び安全に対し深刻かつ即時の影響を与え得る。この複雑さを増す安全保障環境において、日米両政府は日本に対する武力攻撃を伴わない時の状況を含め、平時から緊急事態までのいかなる段階においても切れ目のない形で日本の平和及び安全を確保するための措置をとる。この文脈において、日米両政府はまた、パートナーとの更なる協力を推進する。  日米両政府はこれらの措置が各状況に応じた柔軟、適時かつ実効的な二国間の調整に基づいてとられる必要があること、及び同盟としての適切な対応のためには省庁間調整が不可欠であることを認識する。したがって、日米両政府は、適切な場合に次の目的のために政府全体にわたる同盟調整メカニズムを活用する。  ・状況を評価すること  ・情報を共有すること、及び  ・柔軟に選択される抑止措置及び事態の緩和を目的とした行動を含む同盟としての適切な対応を実施するための方法を立案すること  日米両政府はまた、これらの二国間の取り組みを支えるため、日本の平和及び安全に影響を与える可能性がある事項に関する適切な経路を通じた戦略的な情報発信を調整する。  A 平時からの協力措置  日米両政府は、日本の平和及び安全の維持を確保するため、日米同盟の抑止力及び能力を強化するための、外交努力によるものを含む広範な分野にわたる協力を推進する。  自衛隊及び米軍はあらゆるあり得べき状況に備えるため、相互運用性、即応性及び警戒態勢を強化する。このため、日米両政府は、次のものを含むが、これに限られない措置をとる。  1 情報収集、警戒監視及び偵察  日米両政府は、日本の平和及び安全に対する脅威のあらゆる兆候を極力早期に特定し並びに情報収集及び分析における決定的な優越を確保するため、共通の情勢認識を構築し及び維持しつつ、情報を共有し及び保護する。これには、関係機関間の調整及び協力の強化を含む。  自衛隊及び米軍は、おのおののアセット(装備品等)の能力及び利用可能性に応じ、情報収集、警戒監視及び偵察(ISR)活動を行う。これには、日本の平和及び安全に影響を与え得る状況の推移を常続的に監視することを確保するため、相互に支援する形で共同のISR活動を行うことを含む。  2 防空及びミサイル防衛  自衛隊及び米軍は、弾道ミサイル発射及び経空の侵入に対する抑止及び防衛態勢を維持し及び強化する。日米両政府は、早期警戒能力、相互運用性、ネットワーク化による監視範囲及びリアルタイムの情報交換を拡大するため並びに弾道ミサイル対処能力の総合的な向上を図るため、協力する。さらに、日米両政府は、引き続き、挑発的なミサイル発射及びその他の航空活動に対処するに当たり緊密に調整する。  3 海洋安全保障  日米両政府は航行の自由を含む国際法に基づく海洋秩序を維持するための措置に関し、相互に緊密に協力する。自衛隊及び米軍は、必要に応じて関係機関との調整によるものを含め、海洋監視情報の共有を更に構築し及び強化しつつ、適切な場合に、ISR及び訓練・演習を通じた海洋における日米両国のプレゼンスの維持及び強化等の様々な取り組みにおいて協力する。  4 アセットの防護  自衛隊及び米軍は、訓練・演習中を含め、連携して日本の防衛に資する活動に現に従事している場合であって適切なときは、おのおののアセットを相互に防護する。  5 訓練・演習  自衛隊及び米軍は、相互運用性、持続性及び即応性を強化するため、日本国内外双方において、実効的な二国間及び多国間の訓練・演習を実施する。適時かつ実践的な訓練・演習は、抑止を強化する。日米両政府は、これらの活動を支えるため、訓練場、施設及び関連装備品が利用可能、アクセス可能かつ現代的なものであることを確保するために協力する。  6 後方支援  日本及び米国は、いかなる段階においても、おのおの自衛隊及び米軍に対する後方支援の実施を主体的に行う。自衛隊及び米軍は日本国の自衛隊とアメリカ合衆国軍隊との間における後方支援、物品または役務の相互の提供に関する日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の協定(日米物品役務相互提供協定)及びその関連取り決めに規定する活動について、適切な場合に補給、整備、輸送、施設及び衛生を含むが、これらに限らない後方支援を相互に行う。  7 施設の使用  日米両政府は、自衛隊及び米軍の相互運用性を拡大し並びに柔軟性及び抗たん性(攻撃に耐える能力)を向上させるため、施設・区域の共同使用を強化し、施設・区域の安全の確保に当たって協力する。日米両政府はまた、緊急事態へ備えることの重要性を認識し、適切な場合に、民間の空港及び港湾を含む施設の実地調査の実施に当たって協力する。  B 日本の平和及び安全に対して発生する脅威への対処  同盟は、日本の平和及び安全に重要な影響を与える事態に対処する。当該事態については地理的に定めることはできない。この節に示す措置は、当該事態にいまだ至ってない状況において、両国のおのおのの国内法令に従ってとり得るものを含む。早期の状況把握及び二国間の行動に関する状況に合わせた断固たる意思決定は、当該事態の抑止及び緩和に寄与する。  日米両政府は、日本の平和及び安全を確保するため、平時からの協力的措置を継続することに加え、外交努力を含むあらゆる手段を追求する。日米両政府は、同盟調整メカニズムを活用しつつ、おのおのの決定により、次に掲げるものを含むが、これらに限らない追加的措置をとる。  1 非戦闘員を退避させるための活動  日本国民または米国国民である非戦闘員を第三国から安全な地域に退避させる必要がある場合、各政府は、自国民の退避及び現地当局との関係の処理について責任を有する。日米両政府は、適切な場合に、日本国民または米国国民である非戦闘員の退避を計画するに当たり調整し及び当該非戦闘員の退避の実施に当たって協力する。これらの退避活動は、輸送手段、施設等の各国の能力を相互補完的に使用して実施される。日米両政府は、おのおの、第三国の非戦闘員に対して退避に係る援助を行うことを検討することができる。  日米両政府は退避者の安全、輸送手段及び施設、通関、出入国管理及び検疫、安全な地域、衛生等の分野において協力を実施するため、適切な場合に、同盟調整メカニズムを通じ初期段階からの調整を行う。日米両政府は、適切な場合に、訓練・演習の実施によるものを含め、非戦闘員を退避させるための活動における調整を平時から強化する。  2 海洋安全保障  日米両政府は、おのおのの能力を考慮しつつ、海洋安全保障を強化するため、緊密に協力する。協力的措置には、情報共有及び国際連合安全保障理事会決議その他の国際法上の根拠に基づく船舶の検査を含み得るが、これらに限らない。  3 避難民への対応のための措置  日米両政府は、日本への避難民の流入が発生するおそれがあるまたは実際に始まるような状況に至る場合には、国際法上の関係する義務に従った人道的な方法で避難民を扱いつつ、日本の平和及び安全を維持するために協力する。当該避難民への対応については、日本が主体的に実施する。米国は、日本からの要請に基づき、適切な支援を行う。  4 捜索・救難  日米両政府は適切な場合に、捜索・救難活動において協力し及び相互に支援する。自衛隊は日本の国内法令に従い、適切な場合に、関係機関と協力しつつ、米国による戦闘捜索・救難活動に対して支援を行う。  5 施設・区域の警護  自衛隊及び米軍はおのおのの施設・区域を関係当局と協力して警護する責任を有する。日本は米国からの要請に基づき、米軍と緊密に協力し及び調整しつつ、日本国内の施設・区域の追加的な警護を実施する。  6 後方支援  日米両政府は、実効的かつ効率的な活動を可能とするため、適切な場合に、相互の後方支援(補給、整備、輸送、施設及び衛生を含むが、これらに限らない)を強化する。これらには、運用面及び後方支援面の所要の迅速な確認並びにこれを満たす方策の実施を含む。日本政府は、中央政府及び地方公共団体の機関が有する権限及び能力並びに民間が有する能力を適切に活用する。日本政府は、自国の国内法令に従い、適切な場合に、後方支援及び関連支援を行う。  7 施設の使用  日本政府は、日米安全保障条約及びその関連取極に従い、必要に応じて、民間の空港及び港湾を含む施設を一時的な使用に供する。日米両政府は、施設・区域の共同使用における協力を強化する。  C 日本に対する武力攻撃への対処行動  日本に対する武力攻撃への共同対処行動は、引き続き、日米間の安全保障及び防衛協力の中核的要素である。  日本に対する武力攻撃が予測される場合、日米両政府は日本の防衛のために必要な準備を行いつつ、武力攻撃を抑止し及び事態を緩和するための措置をとる。  日本に対する武力攻撃が発生した場合、日米両政府は極力早期にこれを排除し及び更なる攻撃を抑止するため、適切な共同対処行動を実施する。日米両政府はまた、第4章に掲げるものを含む必要な措置をとる。  1 日本に対する武力攻撃が予測される場合  日本に対する武力攻撃が予測される場合、日米両政府は、攻撃を抑止し及び事態を緩和するため、包括的かつ強固な政府一体となっての取り組みを通じ、情報共有及び政策面の協議を強化し、外交努力を含むあらゆる手段を追求する。  自衛隊及び米軍は、必要な部隊展開の実施を含め、共同作戦のための適切な態勢をとる。日本は、米軍の部隊展開を支援するための基盤を確立し及び維持する。日米両政府による準備には、施設・区域の共同使用、補給、整備、輸送、施設及び衛生を含むが、これらに限らない相互の後方支援及び日本国内の米国の施設・区域の警護の強化を含み得る。  2 日本に対する武力攻撃が発生した場合  a 整合のとれた対処行動のための基本的考え方  外交努力及び抑止にもかかわらず、日本に対する武力攻撃が発生した場合、日米両国は、迅速に武力攻撃を排除し及び更なる攻撃を抑止するために協力し、日本の平和及び安全を回復する。当該整合のとれた行動は、この地域の平和及び安全の回復に寄与する。  日本は、日本の国民及び領域の防衛を引き続き主体的に実施し、日本に対する武力攻撃を極力早期に排除するため直ちに行動する。自衛隊は、日本及びその周辺海空域並びに海空域の接近経路における防勢作戦を主体的に実施する。米国は、日本と緊密に調整し、適切な支援を行う。米軍は、日本を防衛するため、自衛隊を支援し及び補完する。米国は、日本の防衛を支援し並びに平和及び安全を回復するような方法で、この地域の環境を形成するための行動をとる。  日米両政府は、日本を防衛するためには国力の全ての手段が必要となることを認識し、同盟調整メカニズムを通じて行動を調整するため、おのおのの指揮系統を活用しつつ、おのおの政府一体となっての取り組みを進める。  米国は、日本に駐留する兵力を含む前方展開兵力を運用し、所要に応じその他のあらゆる地域からの増援兵力を投入する。日本は、これらの部隊展開を円滑にするために必要な基盤を確立し及び維持する。  日米両政府は、日本に対する武力攻撃への対処において、おのおの米軍または自衛隊及びその施設を防護するための適切な行動をとる。  b 作戦構想  1 空域を防衛するための作戦  自衛隊及び米軍は、日本の上空及び周辺空域を防衛するため、共同作戦を実施する。  自衛隊は、航空優勢を確保しつつ、防空作戦を主体的に実施する。このため、自衛隊は、航空機及び巡航ミサイルによる攻撃に対する防衛を含むが、これに限られない必要な行動をとる。  米軍は、自衛隊の作戦を支援し及び補完するための作戦を実施する。  2 弾道ミサイル攻撃に対処するための作戦  自衛隊及び米軍は、日本に対する弾道ミサイル攻撃に対処するため、共同作戦を実施する。  自衛隊及び米軍は、弾道ミサイル発射を早期に探知するため、リアルタイムの情報交換を行う。弾道ミサイル攻撃の兆候がある場合、自衛隊及び米軍は、日本に向けられた弾道ミサイル攻撃に対して防衛し、弾道ミサイル防衛作戦に従事する部隊を防護するための実効的な態勢を維持する。  自衛隊は、日本を防衛するため、弾道ミサイル防衛作戦を主体的に実施する。  米軍は、自衛隊の作戦を支援し及び補完するための作戦を実施する。  3 海域を防衛するための作戦  自衛隊及び米軍は、日本の周辺海域を防衛し及び海上交通の安全を確保するため、共同作戦を実施する。  自衛隊は、日本における主要な港湾及び海峡の防備、日本周辺海域における艦船の防護並びにその他の関連する作戦を主体的に実施する。このため、自衛隊は、沿岸防衛、対水上戦、対潜戦、機雷戦、対空戦及び航空阻止を含むが、これに限られない必要な行動をとる。  米軍は、自衛隊の作戦を支援し及び補完するための作戦を実施する。  自衛隊及び米軍は、当該武力攻撃に関与している敵に支援を行う船舶活動の阻止において協力する。  こうした活動の実効性は、関係機関間の情報共有その他の形態の協力を通じて強化される。  4 陸上攻撃に対処するための作戦  自衛隊及び米軍は、日本に対する陸上攻撃に対処するため、陸、海、空または水陸両用部隊を用いて、共同作戦を実施する。  自衛隊は、島嶼(とうしょ)に対するものを含む陸上攻撃を阻止し、排除するための作戦を主体的に実施する。必要が生じた場合、自衛隊は島嶼を奪回するための作戦を実施する。このため、自衛隊は、着上陸侵攻を阻止し排除するための作戦、水陸両用作戦及び迅速な部隊展開を含むが、これに限られない必要な行動をとる。  自衛隊はまた、関係機関と協力しつつ、潜入を伴うものを含め、日本における特殊作戦部隊による攻撃等の不正規型の攻撃を主体的に撃破する。  米軍は、自衛隊の作戦を支援し及び補完するための作戦を実施する。  5 領域横断的な作戦  自衛隊及び米軍は、日本に対する武力攻撃を排除し及び更なる攻撃を抑止するため、領域横断的な共同作戦を実施する。これらの作戦は、複数の領域を横断して同時に効果を達成することを目的とする。  領域横断的な協力の例には、次に示す行動を含む。  自衛隊及び米軍は、適切な場合に、関係機関と協力しつつ、おのおののISR態勢を強化し、情報共有を促進し及びおのおののISRアセットを防護する。  米軍は、自衛隊を支援し及び補完するため、打撃力の使用を伴う作戦を実施することができる。米軍がそのような作戦を実施する場合、自衛隊は、必要に応じ、支援を行うことができる。これらの作戦は、適切な場合に、緊密な二国間調整に基づいて実施される。  日米両政府は、第6章に示す二国間協力に従い、宇宙及びサイバー空間における脅威に対処するために協力する。  自衛隊及び米軍の特殊作戦部隊は、作戦実施中、適切に協力する。  c 作戦支援活動  日米両政府は、共同作戦を支援するため、次の活動において協力する。  1 通信電子活動  日米両政府は、適切な場合に、通信電子能力の効果的な活用を確保するため、相互に支援する。  自衛隊及び米軍は、共通の状況認識の下での共同作戦のため、自衛隊と米軍との間の効果的な通信を確保し、共通作戦状況図を維持する。  2 捜索・救難  自衛隊及び米軍は、適切な場合に、関係機関と協力しつつ、戦闘捜索・救難活動を含む捜索・救難活動において、協力し及び相互に支援する。  3 後方支援  作戦上おのおのの後方支援能力の補完が必要となる場合、自衛隊及び米軍は、おのおのの能力及び利用可能性に基づき、柔軟かつ適時の後方支援を相互に行う。  日米両政府は、支援を行うため、中央政府及び地方公共団体の機関が有する権限及び能力並びに民間が有する能力を適切に活用する。  4 施設の使用  日本政府は、必要に応じ、日米安全保障条約及びその関連取極に従い、施設の追加提供を行う。日米両政府は、施設・区域の共同使用における協力を強化する。  5 CBRN(化学・生物・放射線・核)防護  日本政府は、日本国内でのCBRN事案及び攻撃に引き続き主体的に対処する。米国は、日本における米軍の任務遂行能力を主体的に維持し回復する。日本からの要請に基づき、米国は、日本の防護を確実にするため、CBRN事案及び攻撃の予防並びに対処関連活動において、適切に日本を支援する。  D 日本以外の国に対する武力攻撃への対処行動  日米両国が、おのおの、米国または第三国に対する武力攻撃に対処するため、主権の十分な尊重を含む国際法並びにおのおのの憲法及び国内法に従い、武力の行使を伴う行動をとることを決定する場合であって、日本が武力攻撃を受けるに至っていないとき、日米両国は、当該武力攻撃への対処及び更なる攻撃の抑止において緊密に協力する。共同対処は、政府全体にわたる同盟調整メカニズムを通じて調整される。  日米両国は、当該武力攻撃への対処行動をとっている他国と適切に協力する。  自衛隊は、日本と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これにより日本の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある事態に対処し、日本の存立を全うし、日本国民を守るため、武力の行使を伴う適切な作戦を実施する。  協力して行う作戦の例は、次に概要を示すとおりである。  1 アセットの防護  自衛隊及び米軍は、適切な場合に、アセットの防護において協力する。当該協力には、非戦闘員の退避のための活動または弾道ミサイル防衛等の作戦に従事しているアセットの防護を含むが、これに限らない。  2 捜索・救難  自衛隊及び米軍は、適切な場合に、関係機関と協力しつつ、戦闘捜索・救難活動を含む捜索・救難活動において、協力し及び支援を行う。  3 海上作戦  自衛隊及び米軍は、適切な場合に、海上交通の安全を確保することを目的とするものを含む機雷掃海において協力する。  自衛隊及び米軍は、適切な場合に、関係機関と協力しつつ、艦船を防護するための護衛作戦において協力する。  自衛隊及び米軍は、適切な場合に、関係機関と協力しつつ、当該武力攻撃に関与している敵に支援を行う船舶活動の阻止において協力する。  4 弾道ミサイル攻撃に対処するための作戦  自衛隊及び米軍は、おのおのの能力に基づき、適切な場合に、弾道ミサイルの迎撃において協力する。日米両政府は、弾道ミサイル発射の早期探知を確実に行うため、情報交換を行う。  5 後方支援  作戦上おのおのの後方支援能力の補完が必要となる場合、自衛隊及び米軍はおのおのの能力及び利用可能性に基づき、柔軟かつ適時に後方支援を相互に行う。  日米両政府は支援を行うため、中央政府及び地方公共団体の機関が有する権限及び能力並びに民間が有する能力を適切に活用する。  E 日本における大規模災害への対処における協力  日本において大規模災害が発生した場合、日本は主体的に当該災害に対処する。自衛隊は、関係機関、地方公共団体及び民間主体と協力しつつ、災害救援活動を実施する。日本における大規模災害からの迅速な復旧が日本の平和及び安全の確保に不可欠であること、及び当該災害が日本における米軍の活動に影響を与える可能性があることを認識し、米国は、自国の基準に従い、日本の活動に対する適切な支援を行う。当該支援には、捜索・救難、輸送、補給、衛生、状況把握及び評価並びにその他の専門的能力を含み得る。日米両政府は、適切な場合に、同盟調整メカニズムを通じて活動を調整する。  日米両政府は、日本における人道支援・災害救援活動に際しての米軍による協力の実効性を高めるため、情報共有によるものを含め、緊密に協力する。さらに、米軍は、災害関連訓練に参加することができ、これにより、大規模災害への対処に当たっての相互理解が深まる。  ■5 地域の及びグローバルな平和と安全のための協力  相互の関係を深める世界において、日米両国は、アジア太平洋地域及びこれを越えた地域の平和、安全、安定及び経済的な繁栄の基盤を提供するため、パートナーと協力しつつ、主導的役割を果たす。半世紀をはるかに上回る間、日米両国は、世界の様々な地域における課題に対して実効的な解決策を実行するため協力してきた。  日米両政府のおのおのがアジア太平洋地域及びこれを越えた地域の平和及び安全のための国際的な活動に参加することを決定する場合、自衛隊及び米軍を含む日米両政府は、適切なときは、次に示す活動等において、相互に及びパートナーと緊密に協力する。この協力はまた、日米両国の平和及び安全に寄与する。  A 国際的な活動における協力  日米両政府は、おのおのの判断に基づき、国際的な活動に参加する。共に活動を行う場合、自衛隊及び米軍は、実行可能な限り最大限協力する。  日米両政府は、適切な場合に、同盟調整メカニズムを通じ、当該活動の調整を行うことができ、また、これらの活動において三カ国及び多国間の協力を追求する。自衛隊及び米軍は、円滑かつ実効的な協力のため、適切な場合に、手順及びベストプラクティスを共有する。日米両政府は、引き続き、この指針に必ずしも明示的には含まれない広範な事項について協力する一方で、地域的及び国際的な活動における日米両政府による一般的な協力分野は次のものを含む。  1 平和維持活動  日米両政府が国際連合憲章に従って国際連合により権限を与えられた平和維持活動に参加する場合、日米両政府は、適切なときは、自衛隊と米軍との間の相互運用性を最大限に活用するため、緊密に協力する。日米両政府はまた、適切な場合に、同じ任務に従事する国際連合その他の要員に対する後方支援の提供及び保護において協力することができる。  2 国際的な人道支援・災害救援  日米両政府が、大規模な人道災害及び自然災害の発生を受けた関係国政府または国際機関からの要請に応じて、国際的な人道支援・災害救援活動を実施する場合、日米両政府は、適切なときは、参加する自衛隊と米軍との間の相互運用性を最大限に活用しつつ、相互に支援を行うため緊密に協力する。協力して行う活動の例には、相互の後方支援、運用面の調整、計画策定及び実施を含み得る。  3 海洋安全保障  日米両政府が海洋安全保障のための活動を実施する場合、日米両政府は、適切なときは、緊密に協力する。協力して行う活動の例には、海賊対処、機雷掃海等の安全な海上交通のための取り組み、大量破壊兵器の不拡散のための取り組み及びテロ対策活動のための取り組みを含み得る。  4 パートナーの能力構築支援  パートナーとの積極的な協力は、地域及び国際の平和及び安全の維持及び強化に寄与する。変化する安全保障上の課題に対処するためのパートナーの能力を強化することを目的として、日米両政府は、適切な場合に、おのおのの能力及び経験を最大限に活用することにより、能力構築支援活動において協力する。協力して行う活動の例には、海洋安全保障、防衛医学、防衛組織の構築、人道支援・災害救援または平和維持活動のための部隊の即応性の向上を含み得る。  5 非戦闘員を退避させるための活動  非戦闘員の退避のために国際的な行動が必要となる状況において、日米両政府は、適切な場合に、日本国民及び米国国民を含む非戦闘員の安全を確保するため、外交努力を含むあらゆる手段を活用する。  6 情報収集、警戒監視及び偵察  日米両政府が、国際的な活動に参加する場合、自衛隊及び米軍はおのおののアセットの能力及び利用可能性に基づき、適切なときは、ISR活動において協力する。  7 訓練・演習  自衛隊及び米軍は、国際的な活動の実効性を強化するため、適切な場合に、共同訓練・演習を実施し及びこれに参加し、相互運用性、持続性及び即応性を強化する。また、日米両政府は、引き続き、同盟との相互運用性の強化並びに共通の戦術、技術及び手順の構築に寄与するため、訓練・演習においてパートナーと協力する機会を追求する。  8 後方支援  日米両政府は、国際的な活動に参加する場合、相互に後方支援を行うために協力する。日本政府は、自国の国内法令に従い、適切な場合に、後方支援を行う。  B 三カ国及び多国間協力  日米両政府は、三カ国及び多国間の安全保障及び防衛協力を推進し及び強化する。特に、日米両政府は、地域の及び他のパートナー並びに国際機関と協力するための取り組みを強化し、並びにそのための更なる機会を追求する。  日米両政府はまた、国際法及び国際的な基準に基づく協力を推進すべく、地域及び国際機関を強化するために協力する。  ■6 宇宙及びサイバー空間に関する協力  A 宇宙に関する協力  日米両政府は宇宙空間の安全保障の側面を認識し、責任ある、平和的かつ安全な宇宙の利用を確実なものとするための両政府の連携を維持し及び強化する。  当該取り組みの一環として、日米両政府はおのおのの宇宙システムの抗たん性を確保し及び宇宙状況監視に係る協力を強化する。日米両政府は能力を確立し向上させるため、適切な場合に相互に支援し、宇宙空間の安全及び安定に影響を与え、その利用を妨げ得る行動や事象についての情報を共有する。日米両政府はまた、宇宙システムに対して発生する脅威に対応するために情報を共有し、また、海洋監視並びに宇宙システムの能力及び抗たん性を強化する宇宙関係の装備・技術(ホステッド・ペイロードを含む)における協力の機会を追求する。  自衛隊及び米軍はおのおのの任務を実効的かつ効率的に達成するため、宇宙の利用に当たって引き続き、早期警戒、ISR、測位、航法及びタイミング、宇宙状況監視、気象観測、指揮、統制及び通信並びに任務保証のために不可欠な関係する宇宙システムの抗たん性の確保等の分野において協力し、かつ政府一体となっての取り組みに寄与する。おのおのの宇宙システムが脅威にさらされた場合、自衛隊及び米軍は、適切なときは、危険の軽減及び被害の回避において協力する。被害が発生した場合、自衛隊及び米軍は、適切なときは、関係能力の再構築において協力する。  B サイバー空間に関する協力  日米両政府はサイバー空間の安全かつ安定的な利用の確保に資するため、適切な場合に、サイバー空間における脅威及び脆弱(ぜいじゃく)性に関する情報を適時かつ適切な方法で共有する。また、日米両政府は適切な場合に、訓練及び教育に関するベストプラクティスの交換を含め、サイバー空間における各種能力の向上に関する情報を共有する。日米両政府は適切な場合に、民間との情報共有によるものを含め、自衛隊及び米軍が任務を達成する上で依拠する重要インフラ及びサービスを防護するために協力する。  自衛隊及び米軍は、次の措置をとる。  ・おのおののネットワーク及びシステムを監視する態勢を維持すること  ・サイバーセキュリティーに関する知見を共有し、教育交流を行うこと  ・任務保証を達成するためにおのおののネットワーク及びシステムの抗たん性を確保すること  ・サイバーセキュリティーを向上させるための政府一体となっての取り組みに寄与すること  ・平時から緊急事態までのいかなる状況においても、サイバーセキュリティーのための実効的な協力を確実に行うため、共同演習を実施すること  自衛隊及び日本における米軍が利用する重要インフラ及びサービスに対するものを含め、日本に対するサイバー事案が発生した場合、日本は主体的に対処し、緊密な二国間調整に基づき、米国は日本に対し適切な支援を行う。日米両政府はまた、関連情報を迅速かつ適切に共有する。日本が武力攻撃を受けている場合に発生するものを含め、日本の安全に影響を与える深刻なサイバー事案が発生した場合、日米両政府は緊密に協議し、適切な協力行動をとり対処する。  ■7 日米共同の取り組み  日米両政府は二国間協力の実効性を更に向上させるため、安全保障及び防衛協力の基盤として、次の分野を発展させ及び強化する。  A 防衛装備・技術協力  日米両政府は、相互運用性を強化し、効率的な取得及び整備を推進するため、次の取り組みを行う。  ・装備品の共同研究、開発、生産、試験評価並びに共通装備品の構成品及び役務の相互提供において協力する。  ・相互の効率性及び即応性のため、共通装備品の修理及び整備の基盤を強化する。  ・効率的な取得、相互運用性及び防衛装備・技術協力を強化するため、互恵的な防衛調達を促進する。  ・防衛装備・技術に関するパートナーとの協力の機会を探求する。  B 情報協力・情報保全  ・日米両政府は、共通の情勢認識が不可欠であることを認識し、国家戦略レベルを含むあらゆるレベルにおける情報協力及び情報共有を強化する。  ・日米両政府は緊密な情報協力及び情報共有を可能とするため、引き続き、秘密情報の保護に関連した政策、慣行及び手続きの強化における協力を推進する。  ・日米両政府はまた、情報共有に関してパートナーとの協力の機会を探求する。  C 教育・研究交流  日米両政府は、安全保障及び防衛に関する知的協力の重要性を認識し、関係機関の構成員の交流を深め、おのおのの研究・教育機関間の意思疎通を強化する。そのような取り組みは、安全保障・防衛当局者が知識を共有し協力を強化するための恒久的な基盤となる。  ■8 見直しのための手順  日米安全保障協議委員会は適切な下部組織の補佐を得て、この指針が変化する状況に照らして適切なものであるか否かを定期的に評価する。日米同盟関係に関連する諸情勢に変化が生じ、その時の状況を踏まえて必要と認める場合には、日米両政府は適時かつ適切な形でこの指針を更新する。  

川内原発の事故は九州一体、西日本の海を汚染する 九州大学広瀬直毅准教授ら 2011年7月7日発表

 川内原発は、日本のエネルギーを原発に依存するのか、どうか、という問題だけではなく、私たちの健康に直接つながる問題です。いったん、原発事故が起きれば、その流出した放射性物質(RI)は九州一体の海域に広がり、更に対馬海流、黒潮に乗って西日本全域の海域を汚染していきます。  九州大学広瀬直毅准教授ら 2011年7月7日発表した「川内原子力発電所からの仮想的な放射性物質流出に対する海洋拡散シュミレーションを実施 2014年7月7日発表」です。 PRESS RELEASE(2011 /07/07)九州大学 九州大学広報室 〒812-8581福岡市東区箱崎6-10-1 川内原子力発電所からの仮想的な放射性物質流出 に対する海洋拡散シミュレーョンを実施 ■概 要九州大学応用力研究所 広瀬直毅准教授らは、万一の原発 広瀬直毅准教授らは、万一の原発事故に備えて、放射性物質の海洋拡散をシミュレーョンしました。その結果、川内原子力発電所起源とする場合流出放射性散をシミュレーョンしました。その結果、川内原子力発電所起源とする場合、流出放射性物質はあまり沖合へ拡散せず、主に沿岸付近を移動し、日本の沿岸域の大部分で濃度が上昇する恐れがあること、また隣国に達するに達する可能性があることわかりました。  ■背景  東目本大震災に伴い、福島県の原子力発電所から流出した放射性物質(RT)の海洋拡散が現在問題となっています。万一の場合に備えて、福島以外の原発に対しても排出物の輸送過程をある程度予測しておく必要があります。  日本周辺の海流分布をみると、太平洋側の排出物は黒潮あるいは親潮に流され、日本海側ならば対馬暖流によって下流側へと輸送されると予想できますが、九州西岸に位置する川内原発は両暖流の上流に位置するため、流出物質が太平洋側へ南下するのか、日本海へと北上するのか、判断が難しいのが現状です。 ■内容 そこで広瀬准教授らは、現実的な海況を再現・予測することのできる九州大学応用力学研究所海況予測モデル(DREAMS、分解能約7.4kmメッシュ)の流速推定値を用いて、川内原発付近を起源とするRTの輸送過程についてシミュレーションを行いました。2011年3月11目からの1ヶ月聞に10PBq(1京Bq)のRTが海水中に流出したと仮定し、その濃度分布を移流拡散方程式によってシミュレーションしました。計算期開が短いためRTの半減期は考慮せず、さらに簡単のため蒸発も沈殿もせず海水に溶け込んだ中立トレーサーと仮定しています。 ■結果 モデル計算によると、起源付近においては、1ヶ月間(RT流出中)200Bq/L以上の高濃度状態が続き、15km沖合での最高値も60Bq/Lに達しました。しかし、それでも東京電力による福島県沖合15kmのモニタリング値(4月中句)と比べると一桁小さいので、本研究の仮定以上のRT流出量を想定する必要があるかもしれません。  放出停止後は最高濃度部が北方へ移動し、特に有明海内外では長期聞にわたって高濃度(1Bq/L以上)の状態が続くと算出されました。逆に起源付近の濃度は比較的速やかに低下、5月24日頃には1Bq/Lを下回りました。  トレーサーの一部は南方へも輸送され、流出から約1ヶ月後に黒潮に乗ると、速やかに太平洋沿岸域へ拡がります(図1b)。  海流の速度に差があるため、太平洋側に比べて、日本海側へのトレーサー輸送速度は遅くはありますが、濃度は日本海側の方が高く、長崎市付近で13Bq/L(4/22頃)、博多付近で1.5Bq/L(5/20頃)に達します(図2a)。その後も高濃度水塊が日本海の沿岸域を進行することになります(図1c)。  また、5月後半から韓国東岸でも急にトレーサー濃度が上昇します。東シナ海で水深100~200mの深さまで拡散したRTトレーサーが、対馬海峡西水道の底部を伝って韓国海域に達し、沿岸湧昇によって表層に現れたものです。  以上はある一時期の仮想的な状況におけるRT輸送過程ですので、流況や気象条件によって結果が異なる可能性には汪意が必要です。少なくとも、川内原発から排出された物質は、東シナ海・日本海・太平洋の沿岸付近に高濃度帯を形成する恐れがあり、隣国にまで達する可能性があると指摘されます。 ■今後の展開  以上の結果を、日本海洋学会秋季大会(2011年9月・於 九州大学応用力学研究所)にて報告する予定です。さらに実験期聞(現在は100日間)を延長し、より長期聞の拡散過程を調査する予定です。また、海況や気象条件の異なった季節の試算も行なう必要があります。他の原子力発電所に関しても同様の数値計算を行ないたいと考えています。 図1.川内原子力発電所付近から流出したRIトレーサーの濃度分布 図2.各沿岸海域におけるRI濃度の時間変化 横軸は3/11からの日数。   【お問い合わせ】 九州大学応用力学研究所准教授 広瀬 直毅 電話:092-583-7492 FAX:092-583-7492 Mai1 : hirose@riam.kyushu-u.ac.jp      

長野県はどこがどれくらい放射能汚染されているのか?

 長野県は放射能汚染されていないのでしょうか?食品、特にきのこや山菜、野生獣肉の放射能汚染の度合いによって、その地域の放射能汚染状況を判断することができます。 【2012年の状況】  長野県によって野生きのこの出荷が禁止されている地域。2012年10月11日の規制状況が現在でも続いています。                                            2013年6月5日採取された、軽井沢町の山菜コシアブラから放射性セシウム合計610ベクレル/kg、タラノメのから放射性セシウム合計220ベクレル/kg、117ベクレル/kg検出されています。 長野県内産の山菜(コシアブラ・タラノメ)の検査結果について コシアブラ610Bq/kg タラノメ220 170 軽井沢町 20130606  2012年9月11日採取された、軽井沢町の野生きのこ、チチタケから放射性セシウム合計220ベクレル/kg検出されています。 長野県内産の「野生きのこ」の検査結果について チチタケ 330Bq/kg軽井沢町 20120914  長野県が2013年9月13日発表した、「長野県 野生獣肉からの放射性物質の検査結果について」によれば、軽井沢町、御田代町、野沢温泉村のイノシシ、ニホンジカなどの体内が高濃度に放射能汚染されていることがわかります。また、佐久穂町、佐久市、栄村、須坂市、筑北村、青木村、阿智村もある程度放射能汚染されていることが分かります。軽井沢町、御田代町、佐久穂町、佐久市の地域は先に紹介した「長野県によって野生きのこの出荷が禁止されている地域」に重なります。  2012年6月7日、長野県 木島平村 満水川で採取されたイワナから放射性セシウム合計10ベクレル/kgが検出されています。先の野沢温泉村のイノシシ放射性セシウム合計100ベクレル/kg、栄村のイノシシ放射性セシウム合計44、28ベクレル/kgが検出されたことを合わせて考えると、長野県北部の野沢温泉村、木島平村、栄村あたりにも放射能汚染地帯があることが推定されます。  厚生労働省 食品中の放射性物質の検査結果について(第426報) 木島平村 満水川 イワナ 10Bq/kg  20120703 上記資料の433番。 【2014年の状況】    2013年10月21日現在で 小諸市、佐久市、小海町、佐久穂町、南牧村、軽井沢町及び御代田町の7市町村に対して、原子力災害対策本部長から、当分の間、野生きのこの出荷を控えるよう指示がありました。2012年10月11日段階では 長野県佐久市、小海町、軽井沢町、御代田町及び南牧村 の5市町村でした。新たに、小諸市、佐久穂町の2市町が追加されたことになります。 長野県小諸市 佐久市 小海町 佐久穂町 南牧村 軽井沢町及び御代田町の7市町村 野生きのこ出荷停止 20141021 長野県 平成25年度県内産野生きのこ及び原木栽培きのこの放射性物質測定結果   平成26年度長野県産山菜の放射性物質の検査    2014年5月23日、長野県産山菜の放射性物質の検査が公表されました。この中では、山菜の長野市、軽井沢町での汚染が目立ちます。  長野市で2014年5月16日採取した、こしあぶら(野生)ではセシウム134 82.2ベクレル/kg、セシウム137 255ベクレル/kg 放射性セシウム合計 340ベクレル/kg、軽井沢町で2014年5月14日採取した、こしあぶら(野生)ではセシウム134 71.2ベクレル/kg、セシウム137 227ベクレル/kg 放射性セシウム合計 300ベクレル/kgでした。  他にも、野沢温泉村で2014年5月21日採取した、こしあぶら(野生)はセシウム134 24.0ベクレル/kg、セシウム137 85.8ベクレル/kg 放射性セシウム合計 110ベクレル/kg。  飯綱町で2014年5月20日採取した、こしあぶら(野生)はセシウム134 17.9ベクレル/kg、セシウム137 42.9ベクレル/kg 放射性セシウム合計 61ベクレル/kg。  高山村で2014年5月20日採取した、こしあぶら(野生)はセシウム134 15.2ベクレル/kg、セシウム137 39.4ベクレル/kg 放射性セシウム合計 55ベクレル/kgでした。  木島平村で2014年5月20日採取した、こしあぶら(野生)はセシウム134 15.1ベクレル/kg、セシウム137 37.2ベクレル/kg 放射性セシウム合計 52ベクレル/kgでした。  信濃町で2014年5月20日採取した、こしあぶら(野生)はセシウム134 5.89ベクレル/kg、セシウム137 11.9ベクレル/kg 放射性セシウム合計 18ベクレル/kgでした。  千曲市で2014年5月20日採取した、こしあぶら(野生)はセシウム134 3.81ベクレル/kg、セシウム137 11.2ベクレル/kg 放射性セシウム合計 15ベクレル/kgでした。  小川町で2014年5月15日採取した、こしあぶら(野生)はセシウム134 不検出(5.16ベクレル/kg未満)、セシウム137 10.0ベクレル/kg 放射性セシウム合計 10ベクレル/kgでした。  南牧村で2014年5月15日採取した、ぜんまい(野生)はセシウム134 不検出(4.28ベクレル/kg未満)、セシウム137 8.17ベクレル/kg 放射性セシウム合計 8.2ベクレル/kgでした。  佐久穂町で2014年5月21日採取した、こしあぶら(野生)はセシウム134 不検出(4.18ベクレル/kg未満)、セシウム137 8.10ベクレル/kg 放射性セシウム合計 8.1ベクレル/kgでした。  採取された山菜から不検出だった市町村は、佐久市、坂城町(さかきまち)、小布施町、上田市、東御市(とうみし)でした。        

セシウム137の地域別降下量 2011年3月ー4月 愛媛県原子力センター作成

 昨年3月から4月にかけて各都道府県にどれらくらいのセシウム137が降ったか?縦軸の目盛りは1、10、100、1000ベクレル/m2になっていることに注意下さい。愛媛県原子力センターが作成。どこの土地が汚染されているかがわかる。

内部被ばくを考える会6月例会 動画と資料pdfで見ることができます

 IWJさんにさる2012年6月2日(土)に浦和コミュニティーセンター第15集会室で行われた、6月例会のようすを中継および録画していただきました。IWJのスタッフのみなさん、ありがとうございます。  120602 内部被ばくを考える市民研究会 6月例会   ミッシェル・フェルネクス博士の講演と著書から 報告:川根眞也 pdf   内容 1.ミッシェル・フェルネクス博士(スイス・バーゼル大学)の報告                    報告者:川根眞也    2.北本の放射能の状況について 報告者:小林成思    3.作戦会議 グループに分かれて情報交換や作戦について話し合います。        A:内部被ばくを低減する方法について学びましょう。学校給食を0ベクレルにしよう        B:汚染がれきの全国拡散を止めよう        C:学校の校庭・土壌の検査を行おう       

内部被曝 アルファ線によるDNAの切断とその後の異常再結合 矢ヶ﨑克馬氏

内部被爆・放射線によるDNAの異常結合について                    琉球大学名誉教   矢ヶ﨑克馬   ●放射線の作用は「電離」 福島原発事故では原子炉から放出された放射性埃(放射性微粒子)が住民の生活空間に押し寄せ、放射線を発射しています。子どもが内部被曝したというデータも出ていますが、まず放射線がどういうことを体の中に引き起こすかというと、分子を切断するという作用があるのです。一般に「放射線」と呼んでいるものは、専門的に少し突っ込んで言えば「電離放射線」という名前がついています。「電離」とは、原子の中に回っている電子を原子から吹き飛ばすことで、これが分子を切断してしまうのです。分子が切断される相手、例えばDNAが切断された場合は、がんのもとになるDNAの組み換えなどが起こってしまう。そのほか体の組織についても、いろいろな機能をつかさどっている組織の分子を切断するので、体に様々な機能障害などが出てくる。ですから、放射線作用というのは、これが基礎にある以上、健康にとって害はあっても利益は何もない。このことをまずご報告しておきたいと思います。 ●電離は分子切断 分子についてちょっと説明します。分子を作る力は電子が対(ペア)を構成することによります。これによってすごく大きな結合力ができる。電子のペアがわれわれの世界の一番の基礎です。では、放射線が分子に当たればどうなるか。ペアをなしている電子のひとつがはじき飛ばされてしまうので、ペアが破壊される、つまり分子が切断されてしまうのです。 ●DNAの切断はきわめて有害  例えばDNAが1 本破壊された場合を考えてみましょう。DNAというのは巨大な分子がまったく同じ構造のものが2つ重なっている。2つあることによって細胞分裂などする時に確実に同じ遺伝子をコピーできるという構造になっているのです。 DNAが1 本だけ切られるような被曝は、主に外部被曝のガンマ線によるものです。それに対して、内部被曝で問題になるアルファ線、ベータ線はどういう切断をするか。2本とも切断してしまうような非常に密度の高い切断を行います。 ガンマ線がやってくるとまばらに分子を切断していきます。この場合、生物学的な修副作用があるので比較的確実に元どおりにできる。ところが、内部被曝の場合に主な被害を与えるアルファ線やベータ線では、ぎしぎしと分子を切断していきます。アルファ線は体の中では紙1 枚の厚さほどしか進みません。なぜそんなに短い距離しか進めないか。1 個1 個分子を切断するのにエネルギーを使うのですぐ止まってしまう。40 マイクロメートルという短い間にウラン235 などはなんと10 万個も分子を切断するのです。こうしてぎしぎしと分子が切断されると、ガンマ線のように平常に結びつくことが非常に確率的に低くなります。間違ってつながってしまう。つながる先を間違えて異常再結合した場合は、遺伝子が変性され、これらが生き残って活動すると大変な状態になります。20 年、30 年経ってからがんが発生すると言われます(晩発性がん)。子どもたちに与える影響というのは、変性されて発がんのもとになるような不安定となったDNAを子どもたちに伝えていくということなのです。遺伝子でなくて一般の細胞分子が切断されたような時には、遺伝的あるいは発がんの効果のほかに、例えば神経線維が失われて戻らなかった場合には機能不全が一杯起こってくる。様々な体調不全が出てくる。原爆ぶらぶら病という体の不調もそこからくるのです。

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