内部被ばくについて、自主的に学習し、周りの方々に広めていくための会
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2014年7月

川内原発は再稼働させてはいけない。パブリックコメント用紙 FAX・郵送 8月15日まで

 原子力規制委員会は2014年7月16日、鹿児島県薩摩川内市にある、川内原発の再稼働について、「査察書(案)」を了承しました。新聞各紙やテレビはこれを事実上の合格証(読売新聞 2014年7月17日朝刊1面)と書いていますが、これは単に案にすぎません。2014年8月中旬にこの査察書を正式に決定します。  そのために2014年7月17日から8月15日まで、パブリックコメントを受け付けるわけです。 パブリックコメント:意見提出フォーム  マスコミは形だけ、民主的なポーズを取りながら、「事実上の合格証」と繰り返し報道することで、市民が「川内原発の再稼働はもう決まってしまったのだな」とあきらめるように仕向けているのだ、と思います。これを「メディア・コントロール」と言います。  まだ、再稼働は決まっているわけではありません。何人の方々がこの、いいかげんな「査察書(案)」に異議を申し立て、パブリックコメントに自分の意見を出すかが、大事です。たかだか10万、20万の数ではだめです。2012年6月29日、あの金曜日の夜に10万人を超える人びとが原発再稼働阻止、すべての原発の廃炉をもとめて国会前に集まりました。ですから、この10万人が10人の人を動かし100万人のパブリックコメントを出しましょう。  これまでのパブリックコメントは、常にアリバイ作りでした。特定秘密保護法案の福島県公聴会の翌日に、同法案が強行採決されました。今回の川内原発の再稼働についての適否を判断するための基準である、「原子力発電所の新規制基準」(正式には、実用発電用原子炉及びその附属施設の位置、構造の基準に関する規則 2013年6月28日原子力規制委員会決定)も2回のパブリックコメントを募集したものの、その内容を一切考慮することなく、決定されたのでした。  はっきりと言います。どんなに良いパブリックコメントを出しても、原発推進派の方向性に影響を与えることはできません。唯一、影響を与えることができるのは、その内容ではなく、数です。100万を超えるパブリックコメントが集中したとき、自民党や公明党は次の選挙では、これ以上原発推進を言えなくなるはずです。  川内原発の再稼働か、否かは、現場の問題となりました。現地の再稼働反対の動きを支え、大きな政治的な流れを作りだすために、100万を超えるパブリックコメントを出しましょう。そのためにはインターネットを使える人だけでは不十分です。手紙で、FAXで自分の意見を書く人をどんどん増やす必要があります。それができなければ、100万人のパブリックコメントは実現しないと思います。  紙媒体の用紙を作りました。右上に宛先も入れました。これを毎日、駅頭で自分の隣の人に手渡して、「自分の意見を政府に出そう」と呼びかけませんか。 pdf版 川内原発再稼働 パブリックコメント 郵送およびFAX用紙 20140717から0815   word版 川内原発再稼働 パブリックコメント 郵送およびFAX用紙 20140717から0815  こんな意見用紙を作った方もいます。お名前、住所を書いて、原子力規制庁安全規制官(PWR担当)宛てに送りましょう。FAX 03-5114-2179   word版 No More 原発 再稼働  word版 川内原発NO再稼働        

生活協同組合パルシステム東京 六ヶ所から地球を考える委員会 講演会『レベルアップ!放射能~自分の子どもを守るために~』 国分寺 7月26日(土)13:30pm

[ 2014年7月26日; 1:30 PM to 4:30 PM. ] 生活協同組合パルシステム東京 六ヶ所から地球を考える委員会 講演会 『レベルアップ!放射能~自分の子どもを守るために~』  【日時】 2014年7月26日(土)13:30~16:30 【講師】 川根 眞也(内部被ばくを考える市民研究会 代表) 【会場】 国分寺労政会館 地下第一会議室      JR国分寺駅南口 徒歩5分 【参加費】 無料 【保育】 8名(パルシステム組合員のお子さん。1歳児から未就学児限定)      1歳半未満や小学生の同伴は可能です。 【定員】 60名。残り5席となっています。満席の場合はご容赦下さい。 【申し込み】小林 080-5503-9339 【主催】 生活協同組合パルシステム東京    

川内原発再稼働を無期凍結すべきである 原子力市民委員会 2014年7月9日

見解:川内原発再稼働を無期凍結すべきである                              2014年 7月 9日                             原子力市民委員会                       座長 舩橋晴俊 座長代理 吉岡 斉                       委員 荒木田岳 井野博満 大島堅一 大沼淳一                       海渡雄一 後藤政志 島薗 進 筒井哲郎                       満田夏花 武藤類子  原子力市民委員会は、2013年4月の発足時から、福島原発事故の被害の深刻さを直視し、原発ゼロ社会への転換を目指すべきであるとの基本的な見解を示してきた。2013年6月には、新規制基準の策定に際し、緊急提言「原発再稼働を3年間凍結し、原子力災害を二度と起こさせない体系的政策を構築せよ」を発表し、新規制基準が原発の安全を保証しないことを示した上で、それに基づく原発再稼働はすべきでないことを主張した。  2014年4月に発表した『原発ゼロ社会への道――市民がつくる脱原子力政策大綱』では、原発ゼロ社会を目指す具体的な行財政改革の道筋までを含む政策提言を行ってきた。現在、電力各社と政府が、原発再稼働を急ぎ、九州電力川内原発の再稼働許可が切迫していることに対して、原子力市民委員会として、以下の通り、川内原発の再稼働は無期限で凍結するべきであるとの見解をまとめた。  以下の1.から6.において、原子力市民委員会としての現状認識および、再稼働を凍結すべきと考える理由を示すとともに、7.において、原子力規制委員会、政府、電力会社、自治体がとるべき選択を示し、原発ゼロ社会を希求する市民に対して行動を呼びかける。 1.原発再稼働をめぐる昨今の状況  原子力規制委員会は2014年3月13日、全国16原発48基のうち、再稼働に向け新規制規準に係る適合性審査を受けている10原発18基(当時)の中から、九州電力川内(せんだい)原子力発電所(鹿児島県薩摩川内市)1、2号機の適合性審査を優先的に進めることを決めた。九州電力の申請書類の不備により当初予定よりも審査が遅れているが、近々「適合」の判断を下した審査書案が発表され、パブリックコメント等の手続きをへて審査書が正式決定されると報じられている。それを受けて電力会社が再稼働への同意を地元自治体に要請し、地元自治体が受諾すれば再稼働が実現する。それは9月以降となる可能性が高い。  政府は再稼働の是非に関する政治判断を行わないとしているが、このことは原子力規制委員会による適合性評価以外のハードルを、再稼働に対して一切設けないことを意味する。電力会社から地元自治体(鹿児島県、薩摩川内市)への働きかけの最終段階で、自治体側が経済産業大臣や総理大臣に対して安全の確約を要請し、政府側が最大限努力する旨回答する、という法令上根拠のないセレモニーをへて、ごく短期間で自治体側が同意することが懸念される。川内原発に続く2番手としては、関西電力高浜原発3、4号機が有力である。それに続き四国電力伊方原発3号機、九州電力玄海原発3、4号機、関西電力大飯原発3、4号機などが控えている。文末の[付録1]に示したように現時点で全国12原発19基が再稼働を目指しており、今後もその基数が次々と増えていくことは確実である。福島原発事故前への原状復帰に近づいていくための、陣取り合戦のような執拗な原発関係者の工作に、今後ますます拍車がかかることが予想される。 2.なぜ原発ゼロ社会を目指さないのか  だが福島原発事故の経験を踏まえるならば、原発ゼロ社会の実現へ向けて邁進すること以外に、私たちの進むべき道はない。福島原発事故によって、放射能大量放出をともなう原発の過酷事故が、他の技術に関わる事故とは異次元の、計り知れない大きな被害をもたらすことが、事実によって再確認された。1986年に旧ソ連ウクライナで起きたチェルノブイリ原発事故によって生じた汚染地帯では、今もなお数十万人の住民が故郷に戻ることができない。  現在考えられているいかなる安全対策も、原発の本質的危険性を封じ込めることができない彌縫策にしか過ぎない以上、原発ゼロ社会を目指すしかない。それが最善の安全対策である。  『脱原子力政策大綱』(第5章)で述べたように、今ある原発を再稼働させずとも、一定基数の新鋭ガス火力を迅速に導入すれば、電力需給逼迫はすぐに解消され、しかも巨額にのぼる現在の火力発電焚増しコストも大幅削減できる。中長期的にはエネルギー消費の自然減や、再生可能エネルギーおよび省エネルギーの促進によって、原発が供給していた電力量は相殺できる。もちろん原発廃止による地域経済や電力経営への影響は大きいので、利害関係者(立地自治体、電力会社など)に対する経済的配慮は必要であるが、さほど法外な金額とはならないはずである。原発ゼロは十分現実的な選択肢である。 3.福井地裁の大飯原発3・4号機運転差し止め判決の意味  2014年5月21日、福井地裁が関西電力に対し大飯原発3、4号機(福井県おおい町)の運転差し止めを命じる判決を言い渡した。福島のような深刻な原発事故が再び起これば、周辺住民の人格権(個人の生命、身体、精神及び生活に関する利益)が極めて広く侵害されるので、その具体的危険性が万が一にも存在する場合、原発の運転を差し止めるべきだというのが判決の論理構造である。その上で3、4号機に係る安全技術及び設備が地震等に対して「確たる根拠のない楽観的な見通しのもとで初めて成り立ちうる脆弱なものであると認めざるを得ない」という専門技術的判断を下した。  福井地裁が用いたこの論理構造は骨太であり、今後の原発訴訟において標準的なものとなることが期待される。その一方で、専門技術的判断については、日本原子力学会などから異論や批判が出されている。従来の原発訴訟判決の大半は、原子力専門家たちのお墨付きを得た政府の規制当局の判断を尊重してきた。しかし福島原発事故により政府の規制当局の専門技術的判断の信頼性が低いことが露見した。そこで裁判官が、原告・被告の主張に対し互いに対等のものとして耳を傾け、どちらが説得力をもつかを真摯に検討した結果、原告側に軍配を上げたのである。それは適切な手法であると私たちは考える。  福島原発事故により、原発過酷事故の具体的危険性を否定することはもはや不可能となった。それなのになぜ原発ゼロ社会を目指さないのか。 4.現行の安全対策の不十分さ(日本の原発全般について)  原発に対する現行の安全対策の不十分さについては、主要なものだけで次の5点が指摘できる。うち第1・2・3点は全ての原発に一様に当てはまるものである。第4・5点は個々の原発によって妥当性の度合いが変わりうるものである。したがって川内原発など個々の原発の安全対策の不十分さの度合いを評価する上で、この第4・5点の吟味が重要な意味をもってくる。  第1に、福島原発事故の進行過程(原因)についての調査・検証がなされていない。政府又は国会に、技術的な分析・評価能力をそなえた調査・検証委員会を常設機関として設置し、実地調査を含む総合的な調査・検証を進めるべきである。原因究明がなされないままでは、信頼性ある規制基準・防災対策・危機管理対策等を定めることはできない。  第2に、福島原発事故の被害者への政府・電力会社の補償・支援がきわめて不十分である。その財源を確保するための法令も万全ではない。これを改めない限り、同様のことが起きたときの住民の人格権は保障されない。  第3に、新規制基準自体が、日本の全ての既設原発について、原子炉施設の周辺部分の安全対策を追加すれば再稼働の許可を得られるように策定された不十分なものである。  たとえば、住民の被ばくを防ぐ絶対的な条件である「立地審査指針」を廃止したこと、原子炉の構造的弱点の評価を行わず付属設備の強化のみでよしとしたことなどが問題となる。  第4に、個々の原発の安全性を正しく評価するには、規制基準に照らして具体的審査を行う必要があるが、その具体的審査において、必ずしも周到な判断が下されるとは限らない。たとえば直下の活断層の有無、基準地震動の妥当性、津波の最大波高の妥当性、火山噴火に対する評価の妥当性などが、個々の原発ごとに問題となる。規制基準自体が包括性を欠いているため、個々の原発の抱える無視できないリスクを見逃してしまうおそれもある。  第5に、新規制基準が原子炉施設のハードウェアとしての安全性を定めているにとどまり、過酷事故が発生した場合において、防災対策が十分な効果を発揮する見込みがきわめて乏しく、被害者の人格権が保障されない可能性が高いことである。とりわけ致命的なのは、過酷事故の際に周辺住民の安全を守るための実効性ある地域防災計画が、原発の建設・運転を許可する際の法律上の要件となっていないことである。地域防災計画の策定・実施については自治体(都道府県、市町村)が直接的な責任を負う。しかし今まで提出された地域防災計画はほとんどが絵に描いた餅であり、とりわけ災害弱者に対する配慮を著しく欠いている。しかもその妥当性をチェックして合否の判定を行う法令上の仕組みがない。本来は事業者が立案し自治体と協議したうえで合意したものを原子力規制委員会に申請し審査を受けるべきだが、現状では規制委員会は地域防災計画作成のための簡単な指針を公表し自治体に具体的計画の作成を丸投げしているだけである。そして自治体もまた専門業者に計画作成の土台となるシミュレーション作業を委託している。  もちろん原発過酷事故に対する十分な防災対策を立てることは本質的に不可能である。それでもこの無理難題に形だけでも答えざるを得ない原発周辺自治体の苦悩は察するにあまりある。そのような性格の施設が近隣の都道府県や市町村で運転されること自体が、無用の脅威を当該地域に及ぼすものである。またもし過酷事故が起きれば当該地域が半永久的に居住不能となるおそれもある。そうした破滅的事態を考慮した防災計画はもはや防災計画の名に値しない。なお原発過酷事故については多くの都道府県にまたがる地域横断的な防災計画が必要であるが、その整備も進んでいない。 5.現行の安全対策の不十分さ(川内原発について)  川内原発1、2号機もまた、今述べたような安全対策上の難点を、5点全てにおいて抱えている。加えて、1号機は1984年7月、2号機は1985年11月に運転開始した比較的古い原発であり、1号機は今年、2号機は来年、運転年月が30年を超える。1号機については、「高経年化技術評価書」が提出されたが、その審議は事業者と規制庁だけで進められている。耐震Sクラスの主蒸気系統配管で疲労の蓄積が進んでいるなど、老朽化の兆候が見られる。規制基準適合性審査に加えて、高経年化についても慎重な審査が必要であると考える。  有効な地域防災計画が立てられていないことも深刻な問題である。川内原発の30キロ圏人口は約23万人であり、他の原発立地地域と比べて特別に多いとは言えないが、50キロ圏に拡大すると一挙に83万人(全国4番目)となる人口密集地域である。鹿児島県は民間調査機関に委託して、緊急時防護措置を準備する区域(UPZ)として指定された原発30キロ圏からの避難に要する時間の推計結果を発表した。しかし現実的な諸条件を考慮した詳細なシミュレーションを行い、避難のボトルネックを明らかにし、その解消のために必要な措置を講ずるという、地域防災計画を効果的にするために不可欠の手続きを踏んでいない。  特に重大な欠陥は、要援護者(高齢者、入院患者、介護施設入所者等)の受入先と、避難の具体的手順が決まっていないことである。福島原発事故で最も厳しい境遇に置かれたのが要援護者であることを肝に銘ずるべきである。福島原発事故は多くの犠牲者をもたらした。とりわけ大熊町双葉病院だけで50名、避難区域にあった病院と養護施設から全部で60名の犠牲者が出た。川内原発の防災計画上の問題点については「付録2」に整理したので、ご覧頂きたい。また過酷事故が起きれば避難区域が30キロ圏をこえて大きく拡がる可能性があることは、福島原発事故で経験した通りである。30キロ圏よりもはるかに広域にわたる九州全域の避難計画を構築する必要がある。そして数万人以上の長期避難が必要な場合には、避難先は九州のみに限らず全国に確保しなければならない。  有効な防災計画の不在以外にも、次のような問題がある。  第1に、新規制基準にもとづく具体的審査において、火山噴火にともなう火砕流が原発敷地に進入するリスクを、十分慎重に評価しているとは言えない。もし大規模火砕流が川内原発に到達すれば、原発過酷事故を防止するあらゆる防災活動は不可能となり、2基の原子炉において同時並行的に過酷事故が発生・拡大する恐れがあり、慎重の上にも慎重な審査が必要とされるにもかかわらず、形式的な審査を行うにとどめている。  第2に、川内原発の敷地には豊富な地下水が流れている。川内原発での地下水流入量は300m3/日で、福島第一原発と同レベルである。過酷事故によって、福島第一原発と同じような汚染水流出が止まらないという事態が起こりうる。だが新規制基準で規制対象となっていないため、対策は示されていない。  なお、これは全国共通の問題であるが、川内原発に係わる新規制基準の適合性審査の過程で、過酷事故対策の不備も明らかになった。想定事故事例として「配管破断(冷却水喪失)と全交流電源喪失が同時に起こった場合」の対策が要求されているが、九州電力の回答は、「炉心溶融と原子炉容器の破損は防げない」というものであり、その後の落下溶融炉心とコンクリートとの反応、水蒸気爆発、水素爆発などの防止策も不確実な応急措置でしかないことが分かった。「格納容器内で起こるこうした様々な爆発を含む急激な現象が格納容器の健全性を脅かす」ことは自明であり、「主要な過酷事故シナリオの中で格納容器の健全性が保証できない」ということは、原発事故で放射性物質を大量に放出する蓋然性が高いことを意味する。これは審査中のすべての加圧水型原子炉(PWR)に共通する欠陥である。 6.民主主義的な権利を尊重しなければならない  国民世論の多数意見が将来の原発ゼロを支持している状況は、多くの世論調査結果が示す通り2011年から変わっていない。しかし政府は国民世論を無視して原発を重要なベースロード電源として活用する方針を決め、その具体的な方策の検討に入っている。そのこと自体が民主主義からの逸脱である。国民世論を踏まえ脱原発ロードマップを定める脱原発基本法の制定を政府は目指すべきである。  また周辺広域住民の世論状況にかかわらず、立地道府県と立地当該市町村の自治体首長のみの同意で再稼働を進めることは許されることではない。原発過酷事故の影響がきわめて広域に及ぶことが、福島原発事故によって再確認されたからである。周辺広域住民の同意に関する新たなルールを定めぬまま再稼働を強行することは、これまた民主主義からの逸脱である。実際に、周辺広域住民の多数者が、原発再稼働に反対しているだけでなく、自分たちが再稼働の是非に関する決定に関与できない状況にも不満を抱いているからである。  『南日本新聞』が2013年4月に実施した電話世論調査(5月5日朝刊に掲載)の結果によれば、鹿児島県民の多数者(59%)は川内原発再稼働に反対している。また再稼働に際して同意を得るべき自治体の範囲について、原発立地市町村とその属する都道府県だけでよいとする回答は全体のわずか7.4%に過ぎず、圧倒的大多数の者がより広域的な範囲の同意を求めている。政府は脱原発基本法を制定し、周辺広域住民による原発建設・運転への同意の新たなルールを整備すると同時に、現行の安全対策の不十分さを抜本的に解消する作業に着手すべきである。現在の日本の法体系では、原子力規制委員会の新規制基準をクリアした原発の再稼働を差し止める権限を政府はもたない。しかし上記のような要件が整うまで再稼働を無期凍結する要請を、政府は電力会社に対して行うことはできる。それを電力会社が一定の合意条件のもとで受諾すればよい。その前例となるのは菅直人首相が2011年5月、運転差し止めの根拠法を探したが見つからない状況のなかで、中部電力浜岡原発の運転停止を要請し、中部電力がそれを受諾したケースである。 7.主要な関係者の取るべき選択  今まで見てきたような、川内原発の安全対策の不十分を踏まえれば、その再稼働は賢明ではない。またそれは国民および周辺広域住民の意思を無視して進められている点でも、民主主義に反するものである。そこで再稼働における主要な関係者に対して、原子力市民委員会は以下のように勧告する。  原子力規制委員会は、新規制基準について抜本的な再検討を行うとともに、原子力利用の安全確保のための施策を一元的につかさどる、という設置法第1条に掲げられた任務を果すために、地域防災計画の審査をみずからの責任とするよう政府・国会に働きかけるべきである。みずからの役割を、原子力施設の保安検査機関のそれに限定しようとするのは臆病すぎる。政府は国民の人格権を守る責任がある。したがって原子力規制委員会が新規制基準に係る適合の判断を下したとしても、今まで述べてきたような諸条件を満たすまで再稼働を無期凍結するよう電力会社に要請すべきである。その上で、まず、周辺広域住民による原発建設・運転への同意のルールを整備することが急務である。本来的には、原発ゼロ社会の実現を求める世論に答え、脱原発法の制定を進めるのが、政府の役割である。  電力会社は、上記の諸条件を満たさぬ形で原発再稼働を行うことが、企業の社会的責任と抵触するものであり、また原発過酷事故の再発という計り知れない経営リスクを伴うことを認識して再稼働を無期凍結し、安全確保の法令上の仕組みの抜本的強化を政府および原子力規制委員会に働きかけるべきである。  立地自治体(県、立地市町村)は、住民の人格権を守ることに責任を負う立場に立って、原発再稼働に同意しない姿勢を貫くべきである。また原発過酷事故によって大きな影響を被る可能性をもつ周辺自治体(都道府県、市町村)は、再稼働を思い止まるよう電力会社に働きかけるとともに、政府に対して住民世論表明の仕組みについて整備を求めることが望まれる。原発ゼロ社会の実現を希求する市民に対して、原子力市民委員会は、今の政権が国民世論を無視して原子力発電の原状復帰路線を掲げ、そのもとで経済産業省や電力業界が再稼働への道を突き進んでいることに対し、さまざまの形で異議を申し立てることを呼びかける。また原発立地都道府県・市町村をはじめとする周辺広域住民に対しても、人々の安全が保証されていない状態のまま原発再稼働へのレールが敷かれている状況に対し、さまざまの形で抵抗することを呼びかける。もちろんそうした市民的イニシアチブを進めるに際して、原子力市民委員会はサポートを惜しまない。  原子力市民委員会は、脱原発を求める組織だけでなく、地方自治体など必ずしも脱原発の立場をとらない組織とも対話を進め、さらに双方の必要に応じて協力・連携を行う。政府や電力会社の見解に対する「セカンド・オピニオン」を求められれば、誰にでも喜んで提供する。再稼働問題は現下における原子力利用の最重要問題のひとつであり、あらゆる機会をとらえて多様な人々との情報交換・対話・協力・連携に尽力したい。                                     以 上 [付録1]適合性審査を申請中の原発(12カ所、19基、2014年 7月 9日現在)九州電力 玄海原発3、4号機、川内原発1、2号機四国電力 伊方原発3号機中国電力 島根原発2号機関西電力 高浜原発3、4号機、大飯原発3、4号機中部電力 浜岡原発4号機東京電力 柏崎刈羽原発6、7号機日本原電 東海第二原発東北電力 女川原発2号機、東通原発1号機北海道電力 泊原発1、2、3号機 [付録2]川内原発の避難計画の問題点について  鹿児島県は今年5月27日、原子力防災計画(平成25年度)を発表した。本計画は、原子力規制委員会の原子力災害対策指針に基づき、川内原発の事故時に、県 市町村 地方行政機関等がとるべき対策を定め、避難計画についても盛り込んでいる。また、川内原発から30km圏のUPZ内にある薩摩川内市、いちき串木野市、阿久根市、鹿児島市など9市町は、それぞれ防災計画を策定している。  現実に重大な原発事故が発生した場合、風向きと天候によって被害は県境を越えて隣県にも及ぶ。現在の鹿児島県による避難計画のみならず、南九州全域にわたる広域の避難計画が必要となってくる。避難者の受け入れ先としては少なくとも九州全域を考える必要がある。現在の原子力防災計画には少なくとも以下のような問題が考えられる。 1.風下への避難  計画は放射性物質の拡散シミュレーションを踏まえたものではない。薩摩川内市の住民の避難先は、鹿児島市、姶良市、南さつま市などであり、いちき串木野市の避難先は、鹿児島市、指宿市、南九州市、枕崎市などであり、いずれも南東の方向である。川内原発の周辺は北西の風が吹くことが多く、風下の避難となる可能性が高い。 2.受け入れ先の想定  環境総合研究所の放射性物質拡散シミュレーションによれば、避難先となっている鹿児島市、南さつま市などでも一時移転の基準であるOIL2(20マイクロシーベルト/時)に達するという結果がでている。この場合、受け入れ自治体にも、一次移転の指示がでることになり、避難住民および受け入れ自治体の住民の避難を行わなければならない。現在の計画ではこのようなことは想定されておらず、混乱が予測される。 3.避難時間シミュレーション  避難時間に係るシミュレーションについては、各市町とも、県が行うとしている(注1)。一方、鹿児島県は、5月29日、避難時間のシミュレーションを発表し、13のシナリオを想定して原発から30km圏内の住民の9割が圏外にでるまでの時間を、取り上げたシナリオ中の最長で28時間45分としている(注2)。しかし、30km圏内から圏外への避難時間が示されているだけであり、避難先までの時間が示されていない、市町別の時間が示されていないなどの問題があり、自治体や住民からの疑問には答えていない状況である。 4.二段階避難  現在の計画は、PAZ(5km圏内)の住民が避難してから、OILに照らして、UPZ(30km圏内)の住民が避難する計画になっている。しかし、これが現実可能かどうかについては住民から疑問の声も多くあがっており、自治体も検討が必要としている(注3)。また、PAZに隣接するいちき串木野市の羽島地区では避難に使う道路が海沿いの一本道であり、事故時の避難の現実可能性を懸念する住民も少なくない。 5.避難経路  住民は自家用車または自治体が用意したバスにより避難することになっている。しかし、避難経路が限られており、地震による道路破壊の危険性、悪天候や高波の場合に海沿いの避難経路などが通行不能になる可能性がある。また、国道3号線などに避難車両が集中し、渋滞が引き起こされる可能性も指摘されている。 6.要援護者の避難  病院・福祉施設など支援が必要な患者や寝たきりの高齢者などが入所している施設の避難計画が策定されておらず、適切な受け入れ先も決まっていない。避難先の自治体も、こうした要援護者を受け入れる準備が整っていない。  なお、伊藤祐一郎鹿児島県知事は要援護者の避難の問題について、「原発から10キロ圏までの要援護者の避難計画はつくるが、それ以外の計画は作らない」旨の発言を行った。これについては、社会的に最も配慮が必要な要援護者を見捨てることにもなり、人権上も大きな問題である。 7.長期にわたる避難  避難計画は、原子力災害の特徴である長期にわたる避難を想定したものではない。受け入れ自治体が準備した避難所も、そのような想定にはなっていない(注4)。 8.スクリーニングおよび除染  避難者の被ばくを防止するため、また放射性物質の拡散を防ぐため、避難する住民や車両のスクリーニングおよび除染は重要であり、原子力規制委員会の原子力災害対策指針において位置付けられている。しかしスクリーニングおよび除染の場所や器材については、現在、ほとんど決まっていない状況である(注5)。 9.住民の意見の反映  現在、鹿児島県および各自治体が、住民説明会を行っており、少なからぬ住民が上記の点を指摘、質問をしている。UPZ内のいちき串木野市の市民団体が、全人口の過半数の署名を集め、市および市議会に「住民のいのちを守る避難計画がない状態での再稼働に反対」という趣旨の陳情を行った。これを受けた形で、市議会は「市民の生命を守る実効性のある避難計画の確立を求める意見書」を全会一致で可決した。しかし、県・市はこのような疑問に十分に答えておらず、どのように計画に反映させるのかも示していない状況である。 (注1) 2014年6月11日反原発・かごしまネット「原子力災害対策に関する質問」 (注2) 2014年5月29日鹿児島県「避難時間シミュレーションの結果」 (注3) 2014年6月11日反原発・かごしまネット「原子力災害対策に関する質問」によれば、9つの避難元自治体のうち7つの自治体は、協議や検討が必要としている。 (注4) 枕崎市、南さつま市への聴き取りによれば、一人あたりの床面積は2平方メートルと非常に狭い。 (注5) 唯一、具体的な回答があった日置市では市総合体育館および市中央公民館を確保しているとしているが、避難経路から入りこんだところにあるため、渋滞や混乱なども予想される。 参考資料:『原発ゼロ社会への道――市民がつくる脱原子力政策大綱』 原子力市民委員会、                              2014年4月12日発行 連 絡 先:原子力市民委員会 〒160-0004 東京都新宿区四谷1-21 戸田ビル4F(高木仁三郎市民科学基金内) URL http://www.ccnejapan.com/ E-MAIL email@ccnejapan.com TEL/FAX 03-3358-7064    

集団的自衛権の行使を認めた閣議決定(全文) 国家安全保障会議決定 2014年7月1日

集団的自衛権の行使を認めた閣議決定(全文)    国の存立を全うし、国民を守るための切れ目のない安全保障法制の整備について  2014年7月1日   国家安全保障会議決定 閣議決定  我が国は、戦後一貫して日本国憲法の下で平和国家として歩んできた。専守防衛に徹し、他国に脅威を与えるような軍事大国とはならず、非核三原則を守るとの基本方針を堅持しつつ、国民の営々とした努力により経済大国として栄え、安定して豊かな国民生活を築いてきた。また、我が国は、平和国家としての立場から、国際連合憲章を遵守(じゅんしゅ)しながら、国際社会や国際連合を始めとする国際機関と連携し、それらの活動に積極的に寄与している。こうした我が国の平和国家としての歩みは、国際社会において高い評価と尊敬を勝ち得てきており、これをより確固たるものにしなければならない。  一方、日本国憲法の施行から67年となる今日までの間に、我が国を取り巻く安全保障環境は根本的に変容するとともに、更に変化し続け、我が国は複雑かつ重大な国家安全保障上の課題に直面している。国際連合憲章が理想として掲げたいわゆる正規の「国連軍」は実現のめどが立っていないことに加え、冷戦終結後の四半世紀だけをとっても、グローバルなパワーバランスの変化、技術革新の急速な進展、大量破壊兵器や弾道ミサイルの開発及び拡散、国際テロなどの脅威により、アジア太平洋地域において問題や緊張が生み出されるとともに、脅威が世界のどの地域において発生しても、我が国の安全保障に直接的な影響を及ぼし得る状況になっている。さらに、近年では、海洋、宇宙空間、サイバー空間に対する自由なアクセス及びその活用を妨げるリスクが拡散し深刻化している。もはや、どの国も一国のみで平和を守ることはできず、国際社会もまた、我が国がその国力にふさわしい形で一層積極的な役割を果たすことを期待している。  政府の最も重要な責務は、我が国の平和と安全を維持し、その存立を全うするとともに、国民の命を守ることである。我が国を取り巻く安全保障環境の変化に対応し、政府としての責務を果たすためには、まず、十分な体制をもって力強い外交を推進することにより、安定しかつ見通しがつきやすい国際環境を創出し、脅威の出現を未然に防ぐとともに、国際法にのっとって行動し、法の支配を重視することにより、紛争の平和的な解決を図らなければならない。  さらに、我が国自身の防衛力を適切に整備、維持、運用し、同盟国である米国との相互協力を強化するとともに、域内外のパートナーとの信頼及び協力関係を深めることが重要である。特に、我が国の安全及びアジア太平洋地域の平和と安定のために、日米安全保障体制の実効性を一層高め、日米同盟の抑止力を向上させることにより、武力紛争を未然に回避し、我が国に脅威が及ぶことを防止することが必要不可欠である。その上で、いかなる事態においても国民の命と平和な暮らしを断固として守り抜くとともに、国際協調主義に基づく「積極的平和主義」の下、国際社会の平和と安定にこれまで以上に積極的に貢献するためには、切れ目のない対応を可能とする国内法制を整備しなければならない。  5月15日に「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」から報告書が提出され、同日に安倍内閣総理大臣が記者会見で表明した基本的方向性に基づき、これまで与党において協議を重ね、政府としても検討を進めてきた。今般、与党協議の結果に基づき、政府として、以下の基本方針に従って、国民の命と平和な暮らしを守り抜くために必要な国内法制を速やかに整備することとする。  1 武力攻撃に至らない侵害への対処  (1)我が国を取り巻く安全保障環境が厳しさを増していることを考慮すれば、純然たる平時でも有事でもない事態が生じやすく、これにより更に重大な事態に至りかねないリスクを有している。こうした武力攻撃に至らない侵害に際し、警察機関と自衛隊を含む関係機関が基本的な役割分担を前提として、より緊密に協力し、いかなる不法行為に対しても切れ目のない十分な対応を確保するための態勢を整備することが一層重要な課題となっている。  (2)具体的には、こうした様々な不法行為に対処するため、警察や海上保安庁などの関係機関が、それぞれの任務と権限に応じて緊密に協力して対応するとの基本方針の下、各々(おのおの)の対応能力を向上させ、情報共有を含む連携を強化し、具体的な対応要領の検討や整備を行い、命令発出手続を迅速化するとともに、各種の演習や訓練を充実させるなど、各般の分野における必要な取組を一層強化することとする。  (3)このうち、手続の迅速化については、離島の周辺地域等において外部から武力攻撃に至らない侵害が発生し、近傍に警察力が存在しない場合や警察機関が直ちに対応できない場合(武装集団の所持する武器等のために対応できない場合を含む。)の対応において、治安出動や海上における警備行動を発令するための関連規定の適用関係についてあらかじめ十分に検討し、関係機関において共通の認識を確立しておくとともに、手続を経ている間に、不法行為による被害が拡大することがないよう、状況に応じた早期の下令や手続の迅速化のための方策について具体的に検討することとする。  (4)さらに、我が国の防衛に資する活動に現に従事する米軍部隊に対して攻撃が発生し、それが状況によっては武力攻撃にまで拡大していくような事態においても、自衛隊と米軍が緊密に連携して切れ目のない対応をすることが、我が国の安全の確保にとっても重要である。自衛隊と米軍部隊が連携して行う平素からの各種活動に際して、米軍部隊に対して武力攻撃に至らない侵害が発生した場合を想定し、自衛隊法第95条による武器等防護のための「武器の使用」の考え方を参考にしつつ、自衛隊と連携して我が国の防衛に資する活動(共同訓練を含む。)に現に従事している米軍部隊の武器等であれば、米国の要請又(また)は同意があることを前提に、当該武器等を防護するための自衛隊法第95条によるものと同様の極めて受動的かつ限定的な必要最小限の「武器の使用」を自衛隊が行うことができるよう、法整備をすることとする。  2 国際社会の平和と安定への一層の貢献  (1)いわゆる後方支援と「武力の行使との一体化」  ア いわゆる後方支援と言われる支援活動それ自体は、「武力の行使」に当たらない活動である。例えば、国際の平和及び安全が脅かされ、国際社会が国際連合安全保障理事会決議に基づいて一致団結して対応するようなときに、我が国が当該決議に基づき正当な「武力の行使」を行う他国軍隊に対してこうした支援活動を行うことが必要な場合がある。一方、憲法第9条との関係で、我が国による支援活動については、他国の「武力の行使と一体化」することにより、我が国自身が憲法の下で認められない「武力の行使」を行ったとの法的評価を受けることがないよう、これまでの法律においては、活動の地域を「後方地域」や、いわゆる「非戦闘地域」に限定するなどの法律上の枠組みを設定し、「武力の行使との一体化」の問題が生じないようにしてきた。  イ こうした法律上の枠組みの下でも、自衛隊は、各種の支援活動を着実に積み重ね、我が国に対する期待と信頼は高まっている。安全保障環境が更に大きく変化する中で、国際協調主義に基づく「積極的平和主義」の立場から、国際社会の平和と安定のために、自衛隊が幅広い支援活動で十分に役割を果たすことができるようにすることが必要である。また、このような活動をこれまで以上に支障なくできるようにすることは、我が国の平和及び安全の確保の観点からも極めて重要である。  ウ 政府としては、いわゆる「武力の行使との一体化」論それ自体は前提とした上で、その議論の積み重ねを踏まえつつ、これまでの自衛隊の活動の実経験、国際連合の集団安全保障措置の実態等を勘案して、従来の「後方地域」あるいはいわゆる「非戦闘地域」といった自衛隊が活動する範囲をおよそ一体化の問題が生じない地域に一律に区切る枠組みではなく、他国が「現に戦闘行為を行っている現場」ではない場所で実施する補給、輸送などの我が国の支援活動については、当該他国の「武力の行使と一体化」するものではないという認識を基本とした以下の考え方に立って、我が国の安全の確保や国際社会の平和と安定のために活動する他国軍隊に対して、必要な支援活動を実施できるようにするための法整備を進めることとする。  (ア)我が国の支援対象となる他国軍隊が「現に戦闘行為を行っている現場」では、支援活動は実施しない。  (イ)仮に、状況変化により、我が国が支援活動を実施している場所が「現に戦闘行為を行っている現場」となる場合には、直ちにそこで実施している支援活動を休止又は中断する。  (2)国際的な平和協力活動に伴う武器使用  ア 我が国は、これまで必要な法整備を行い、過去20年以上にわたり、国際的な平和協力活動を実施してきた。その中で、いわゆる「駆け付け警護」に伴う武器使用や「任務遂行のための武器使用」については、これを「国家又は国家に準ずる組織」に対して行った場合には、憲法第9条が禁ずる「武力の行使」に該当するおそれがあることから、国際的な平和協力活動に従事する自衛官の武器使用権限はいわゆる自己保存型と武器等防護に限定してきた。  イ 我が国としては、国際協調主義に基づく「積極的平和主義」の立場から、国際社会の平和と安定のために一層取り組んでいく必要があり、そのために、国際連合平和維持活動(PKO)などの国際的な平和協力活動に十分かつ積極的に参加できることが重要である。また、自国領域内に所在する外国人の保護は、国際法上、当該領域国の義務であるが、多くの日本人が海外で活躍し、テロなどの緊急事態に巻き込まれる可能性がある中で、当該領域国の受入れ同意がある場合には、武器使用を伴う在外邦人の救出についても対応できるようにする必要がある。  ウ 以上を踏まえ、我が国として、「国家又は国家に準ずる組織」が敵対するものとして登場しないことを確保した上で、国際連合平和維持活動などの「武力の行使」を伴わない国際的な平和協力活動におけるいわゆる「駆け付け警護」に伴う武器使用及び「任務遂行のための武器使用」のほか、領域国の同意に基づく邦人救出などの「武力の行使」を伴わない警察的な活動ができるよう、以下の考え方を基本として、法整備を進めることとする。  (ア)国際連合平和維持活動等については、PKO参加5原則の枠組みの下で、「当該活動が行われる地域の属する国の同意」及び「紛争当事者の当該活動が行われることについての同意」が必要とされており、受入れ同意をしている紛争当事者以外の「国家に準ずる組織」が敵対するものとして登場することは基本的にないと考えられる。このことは、過去20年以上にわたる我が国の国際連合平和維持活動等の経験からも裏付けられる。近年の国際連合平和維持活動において重要な任務と位置付けられている住民保護などの治安の維持を任務とする場合を含め、任務の遂行に際して、自己保存及び武器等防護を超える武器使用が見込まれる場合には、特に、その活動の性格上、紛争当事者の受入れ同意が安定的に維持されていることが必要である。  (イ)自衛隊の部隊が、領域国政府の同意に基づき、当該領域国における邦人救出などの「武力の行使」を伴わない警察的な活動を行う場合には、領域国政府の同意が及ぶ範囲、すなわち、その領域において権力が維持されている範囲で活動することは当然であり、これは、その範囲においては「国家に準ずる組織」は存在していないということを意味する。  (ウ)受入れ同意が安定的に維持されているかや領域国政府の同意が及ぶ範囲等については、国家安全保障会議における審議等に基づき、内閣として判断する。  (エ)なお、これらの活動における武器使用については、警察比例の原則に類似した厳格な比例原則が働くという内在的制約がある。  3 憲法第9条の下で許容される自衛の措置  (1)我が国を取り巻く安全保障環境の変化に対応し、いかなる事態においても国民の命と平和な暮らしを守り抜くためには、これまでの憲法解釈のままでは必ずしも十分な対応ができないおそれがあることから、いかなる解釈が適切か検討してきた。その際、政府の憲法解釈には論理的整合性と法的安定性が求められる。したがって、従来の政府見解における憲法第9条の解釈の基本的な論理の枠内で、国民の命と平和な暮らしを守り抜くための論理的な帰結を導く必要がある。  (2)憲法第9条はその文言からすると、国際関係における「武力の行使」を一切禁じているように見えるが、憲法前文で確認している「国民の平和的生存権」や憲法第13条が「生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利」は国政の上で最大の尊重を必要とする旨定めている趣旨を踏まえて考えると、憲法第9条が、我が国が自国の平和と安全を維持し、その存立を全うするために必要な自衛の措置を採ることを禁じているとは到底解されない。一方、この自衛の措置は、あくまで外国の武力攻撃によって国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆されるという急迫、不正の事態に対処し、国民のこれらの権利を守るためのやむを得ない措置として初めて容認されるものであり、そのための必要最小限度の「武力の行使」は許容される。これが、憲法第9条の下で例外的に許容される「武力の行使」について、従来から政府が一貫して表明してきた見解の根幹、いわば基本的な論理であり、昭和47年10月14日に参議院決算委員会に対し政府から提出された資料「集団的自衛権と憲法との関係」に明確に示されているところである。  この基本的な論理は、憲法第9条の下では今後とも維持されなければならない。  (3)これまで政府は、この基本的な論理の下、「武力の行使」が許容されるのは、我が国に対する武力攻撃が発生した場合に限られると考えてきた。しかし、冒頭で述べたように、パワーバランスの変化や技術革新の急速な進展、大量破壊兵器などの脅威等により我が国を取り巻く安全保障環境が根本的に変容し、変化し続けている状況を踏まえれば、今後他国に対して発生する武力攻撃であったとしても、その目的、規模、態様等によっては、我が国の存立を脅かすことも現実に起こり得る。  我が国としては、紛争が生じた場合にはこれを平和的に解決するために最大限の外交努力を尽くすとともに、これまでの憲法解釈に基づいて整備されてきた既存の国内法令による対応や当該憲法解釈の枠内で可能な法整備などあらゆる必要な対応を採ることは当然であるが、それでもなお我が国の存立を全うし、国民を守るために万全を期す必要がある。  こうした問題意識の下に、現在の安全保障環境に照らして慎重に検討した結果、我が国に対する武力攻撃が発生した場合のみならず、我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これにより我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある場合において、これを排除し、我が国の存立を全うし、国民を守るために他に適当な手段がないときに、必要最小限度の実力を行使することは、従来の政府見解の基本的な論理に基づく自衛のための措置として、憲法上許容されると考えるべきであると判断するに至った。  (4)我が国による「武力の行使」が国際法を遵守して行われることは当然であるが、国際法上の根拠と憲法解釈は区別して理解する必要がある。憲法上許容される上記の「武力の行使」は、国際法上は、集団的自衛権が根拠となる場合がある。この「武力の行使」には、他国に対する武力攻撃が発生した場合を契機とするものが含まれるが、憲法上は、あくまでも我が国の存立を全うし、国民を守るため、すなわち、我が国を防衛するためのやむを得ない自衛の措置として初めて許容されるものである。  (5)また、憲法上「武力の行使」が許容されるとしても、それが国民の命と平和な暮らしを守るためのものである以上、民主的統制の確保が求められることは当然である。政府としては、我が国ではなく他国に対して武力攻撃が発生した場合に、憲法上許容される「武力の行使」を行うために自衛隊に出動を命ずるに際しては、現行法令に規定する防衛出動に関する手続と同様、原則として事前に国会の承認を求めることを法案に明記することとする。  4 今後の国内法整備の進め方  これらの活動を自衛隊が実施するに当たっては、国家安全保障会議における審議等に基づき、内閣として決定を行うこととする。こうした手続を含めて、実際に自衛隊が活動を実施できるようにするためには、根拠となる国内法が必要となる。政府として、以上述べた基本方針の下、国民の命と平和な暮らしを守り抜くために、あらゆる事態に切れ目のない対応を可能とする法案の作成作業を開始することとし、十分な検討を行い、準備ができ次第、国会に提出し、国会における御審議を頂くこととする。 (以上)

日米防衛協力のための指針 1997年9月23日 於 ニュー・ヨーク

日米防衛協力のための指針 1997年9月23日 共同発表日米安全保障協議委員会日米防衛協力のための指針の見直しの終了1997年9月23日於 ニュー・ヨーク英文は下記の最後に。 日米防衛協力のための指針1997年9月23日於ニュー・ヨーク  日米同盟関係は、日本の安全の確保にとって必要不可欠なものであり、また、アジア太平洋地域における平和と安定を維持するために引き続き重要な役割を果たしている。日米同盟関係は、この地域における米国の肯定的な関与を促進するものである。この同盟関係は、自由、民主主義及び人権の尊重等の共通の価値観を反映するとともに、より安定した国際的な安全保障環境の構築のための努力を始めとする広範な日米間の協力の政治的な基礎となっている。このような努力が成果を挙げることは、この地域のすべての者の利益となる。 1978年11月27日の第17回日米安全保障協議委員会(SCC)で了承された「日米防衛協力のための指針」(「指針」)は、防衛の分野における包括的な協力態勢に関する研究・協議の結果として策定された。指針の下で行われたより緊密な防衛協力のための作業の成果には顕著なものがあり、これは、日米安全保障体制の信頼性を増進させた。 冷戦の終結にもかかわらず、アジア太平洋地域には潜在的な不安定性と不確実性が依然として存在しており、この地域における平和と安定の維持は、日本の安全のために一層重要になっている。 1996年4月に橋本総理大臣とクリントン大統領により発表された「日米安全保障共同宣言」は、日米安全保障関係が、共通の安全保障上の目標を達成するとともに、21世紀に向けてアジア太平洋地域において安定的で繁栄した情勢を維持するための基礎であり続けることを再確認した。また、総理大臣と大統領は、日本と米国の間に既に構築されている緊密な協力関係を増進するため、1978年の指針の見直しを開始することで意見が一致した。 1996年6月、日米両国政府は、1995年11月の日本の「防衛計画の大綱」及び「日米安全保障共同宣言」を踏まえて指針の見直し(「見直し」)を行うため、日米安全保障協議委員会の下にある防衛協力小委員会(SDC)を改組した。防衛協力小委員会は、冷戦後の情勢の変化にかんがみ、指針の下での成果を基礎として、以下の分野について検討を行ってきた。平素から行う協力日本に対する武力攻撃に際しての対処行動等日本周辺地域における事態で日本の平和と安全に重要な影響を与える場合(「周辺事態」)の協力 これらの検討は、平素からの及び緊急事態における日米両国の役割並びに協力及び調整の在り方について、一般的な大枠及び方向性を示すことを目的としたものである。見直しは、特定の地域における事態を議論して行ったものではない。 防衛協力小委員会は、1996年9月の日米安全保障協議委員会による指示を受け、1997年秋に終了することを目途に、より効果的な日米協力に資するような考え方及び具体的な項目を洗い出すことを目標として見直しを行った。見直しの過程で防衛協力小委員会において行われた議論は、1996年9月の「日米防衛協力のための指針の見直しの進捗状況報告」及び1997年6月の「日米防衛協力のための指針の見直しに関する中間とりまとめ」に整理されている。 防衛協力小委員会は、新たな「日米防衛協力のための指針」を作成し、これを日米安全保障協議委員会に報告した。日米安全保障協議委員会は、以下に示す指針を了承し、公表した。この指針は、1978年の指針に代わるものである。 日米防衛協力のための指針I 指針の目的  この指針の目的は、平素から並びに日本に対する武力攻撃及び周辺事態に際してより効果的かつ信頼性のある日米協力を行うための、堅固な基礎を構築することである。また、指針は、平素からの及び緊急事態における日米両国の役割並びに協力及び調整の在り方について、一般的な大枠及び方向性を示すものである。 II 基本的な前提及び考え方  指針及びその下で行われる取組みは、以下の基本的な前提及び考え方に従う。 1 日米安全保障条約及びその関連取極に基づく権利及び義務並びに日米同盟関係の基本的な枠組みは、変更されない。 2 日本のすべての行為は、日本の憲法上の制約の範囲内において、専守防衛、非核三原則等の日本の基本的な方針に従って行われる。 3 日米両国のすべての行為は、紛争の平和的解決及び主権平等を含む国際法の基本原則並びに国際連合憲章を始めとする関連する国際約束に合致するものである。 4 指針及びその下で行われる取組みは、いずれの政府にも、立法上、予算上又は行政上の措置をとることを義務づけるものではない。しかしながら、日米協力のための効果的な態勢の構築が指針及びその下で行われる取組みの目標であることから、日米両国政府が、各々の判断に従い、このような努力の結果を各々の具体的な政策や措置に適切な形で反映することが期待される。日本のすべての行為は、その時々において適用のある国内法令に従う。 III 平素から行う協力  日米両国政府は、現在の日米安全保障体制を堅持し、また、各々所要の防衛態勢の維持に努める。日本は、「防衛計画の大綱」にのっとり、自衛のために必要な範囲内で防衛力を保持する。米国は、そのコミットメントを達成するため、核抑止力を保持するとともに、アジア太平洋地域における前方展開兵力を維持し、かつ、来援し得るその他の兵力を保持する。 日米両国政府は、各々の政策を基礎としつつ、日本の防衛及びより安定した国際的な安全保障環境の構築のため、平素から密接な協力を維持する。 日米両国政府は、平素から様々な分野での協力を充実する。この協力には、日米物品役務相互提供協定及び日米相互防衛援助協定並びにこれらの関連取決めに基づく相互支援活動が含まれる。 1 情報交換及び政策協議  日米両国政府は、正確な情報及び的確な分析が安全保障の基礎であると認識し、アジア太平洋地域の情勢を中心として、双方が関心を有する国際情勢についての情報及び意見の交換を強化するとともに、防衛政策及び軍事態勢についての緊密な協議を継続する。 このような情報交換及び政策協議は、日米安全保障協議委員会及び日米安全保障高級事務レベル協議(SSC)を含むあらゆる機会をとらえ、できる限り広範なレベル及び分野において行われる。 2 安全保障面での種々の協力  安全保障面での地域的な及び地球的規模の諸活動を促進するための日米協力は、より安定した国際的な安全保障環境の構築に寄与する。 日米両国政府は、この地域における安全保障対話・防衛交流及び国際的な軍備管理・軍縮の意義と重要性を認識し、これらの活動を促進するとともに、必要に応じて協力する。 日米いずれかの政府又は両国政府が国際連合平和維持活動又は人道的な国際救援活動に参加する場合には、日米両国政府は、必要に応じて、相互支援のために密接に協力する。日米両国政府は、輸送、衛生、情報交換、教育訓練等の分野における協力の要領を準備する。 大規模災害の発生を受け、日米いずれかの政府又は両国政府が関係政府又は国際機関の要請に応じて緊急援助活動を行う場合には、日米両国政府は、必要に応じて密接に協力する。 3 日米共同の取組み  日米両国政府は、日本に対する武力攻撃に際しての共同作戦計画についての検討及び周辺事態に際しての相互協力計画についての検討を含む共同作業を行う。このような努力は、双方の関係機関の関与を得た包括的なメカニズムにおいて行われ、日米協力の基礎を構築する。 日米両国政府は、このような共同作業を検証するとともに、自衛隊及び米軍を始めとする日米両国の公的機関及び民間の機関による円滑かつ効果的な対応を可能とするため、共同演習・訓練を強化する。また、日米両国政府は、緊急事態において関係機関の関与を得て運用される日米間の調整メカニズムを平素から構築しておく。 IV 日本に対する武力攻撃に際しての対処行動等  日本に対する武力攻撃に際しての共同対処行動等は、引き続き日米防衛協力の中核的要素である。 日本に対する武力攻撃が差し迫っている場合には、日米両国政府は、事態の拡大を抑制するための措置をとるとともに、日本の防衛のために必要な準備を行う。日本に対する武力攻撃がなされた場合には、日米両国政府は、適切に共同して対処し、極力早期にこれを排除する。 1 日本に対する武力攻撃が差し迫っている場合  日米両国政府は、情報交換及び政策協議を強化するとともに、日米間の調整メカニズムの運用を早期に開始する。日米両国政府は、適切に協力しつつ、合意によって選択された準備段階に従い、整合のとれた対応を確保するために必要な準備を行う。日本は、米軍の来援基盤を構築し、維持する。また、日米両国政府は、情勢の変化に応じ、情報収集及び警戒監視を強化するとともに、日本に対する武力攻撃に発展し得る行為に対応するための準備を行う。 日米両国政府は、事態の拡大を抑制するため、外交上のものを含むあらゆる努力を払う。 なお、日米両国政府は、周辺事態の推移によっては日本に対する武力攻撃が差し迫ったものとなるような場合もあり得ることを念頭に置きつつ、日本の防衛のための準備と周辺事態への対応又はそのための準備との間の密接な相互関係に留意する。 2 日本に対する武力攻撃がなされた場合 (1)整合のとれた共同対処行動のための基本的な考え方 (イ)  日本は、日本に対する武力攻撃に即応して主体的に行動し、極力早期にこれを排除する。その際、米国は、日本に対して適切に協力する。このような日米協力の在り方は、武力攻撃の規模、態様、事態の推移その他の要素により異なるが、これには、整合のとれた共同の作戦の実施及びそのための準備、事態の拡大を抑制するための措置、警戒監視並びに情報交換についての協力が含まれ得る。(ロ)  自衛隊及び米軍が作戦を共同して実施する場合には、双方は、整合性を確保しつつ、適時かつ適切な形で、各々の防衛力を運用する。その際、双方は、各々の陸・海・空部隊の効果的な統合運用を行う。自衛隊は、主として日本の領域及びその周辺海空域において防勢作戦を行い、米軍は、自衛隊の行う作戦を支援する。米軍は、また、自衛隊の能力を補完するための作戦を実施する。(ハ)  米国は、兵力を適時に来援させ、日本は、これを促進するための基盤を構築し、維持する。(2)作戦構想 (イ)  日本に対する航空侵攻に対処するための作戦 自衛隊及び米軍は、日本に対する航空侵攻に対処するための作戦を共同して実施する。 自衛隊は、防空のための作戦を主体的に実施する。 米軍は、自衛隊の行う作戦を支援するとともに、打撃力の使用を伴うような作戦を含め、自衛隊の能力を補完するための作戦を実施する。(ロ)  日本周辺海域の防衛及び海上交通の保護のための作戦 自衛隊及び米軍は、日本周辺海域の防衛のための作戦及び海上交通の保護のための作戦を共同して実施する。 自衛隊は、日本の重要な港湾及び海峡の防備、日本周辺海域における船舶の保護並びにその他の作戦を主体的に実施する。 米軍は、自衛隊の行う作戦を支援するとともに、機動打撃力の使用を伴うような作戦を含め、自衛隊の能力を補完するための作戦を実施する。(ハ)  日本に対する着上陸侵攻に対処するための作戦 自衛隊及び米軍は、日本に対する着上陸侵攻に対処するための作戦を共同して実施する。 自衛隊は、日本に対する着上陸侵攻を阻止し排除するための作戦を主体的に実施する。 米軍は、主として自衛隊の能力を補完するための作戦を実施する。その際、米国は、侵攻の規模、態様その他の要素に応じ、極力早期に兵力を来援させ、自衛隊の行う作戦を支援する。(ニ)  その他の脅威への対応自衛隊は、ゲリラ・コマンドウ攻撃等日本領域に軍事力を潜入させて行う不正規型の攻撃を極力早期に阻止し排除するための作戦を主体的に実施する。その際、関係機関と密接に協力し調整するとともに、事態に応じて米軍の適切な支援を得る。自衛隊及び米軍は、弾道ミサイル攻撃に対応するために密接に協力し調整する。米軍は、日本に対し必要な情報を提供するとともに、必要に応じ、打撃力を有する部隊の使用を考慮する。(3)作戦に係る諸活動及びそれに必要な事項 (イ)  指揮及び調整 自衛隊及び米軍は、緊密な協力の下、各々の指揮系統に従って行動する。自衛隊及び米軍は、効果的な作戦を共同して実施するため、役割分担の決定、作戦行動の整合性の確保等についての手続をあらかじめ定めておく。(ロ)  日米間の調整メカニズム 日米両国の関係機関の間における必要な調整は、日米間の調整メカニズムを通じて行われる。自衛隊及び米軍は、効果的な作戦を共同して実施するため、作戦、情報活動及び後方支援について、日米共同調整所の活用を含め、この調整メカニズムを通じて相互に緊密に調整する。(ハ)  通信電子活動 日米両国政府は、通信電子能力の効果的な活用を確保するため、相互に支援する。(ニ)  情報活動 日米両国政府は、効果的な作戦を共同して実施するため、情報活動について協力する。これには、情報の要求、収集、処理及び配布についての調整が含まれる。その際、日米両国政府は、共有した情報の保全に関し各々責任を負う。(ホ)  後方支援活動 自衛隊及び米軍は、日米間の適切な取決めに従い、効率的かつ適切に後方支援活動を実施する。 日米両国政府は、後方支援の効率性を向上させ、かつ、各々の能力不足を軽減するよう、中央政府及び地方公共団体が有する権限及び能力並びに民間が有する能力を適切に活用しつつ、相互支援活動を実施する。その際、特に次の事項に配慮する。補給 米国は、米国製の装備品等の補給品の取得を支援し、日本は、日本国内における補給品の取得を支援する。輸送 日米両国政府は、米国から日本への補給品の航空輸送及び海上輸送を含む輸送活動について、緊密に協力する。整備 日本は、日本国内において米軍の装備品の整備を支援し、米国は、米国製の品目の整備であって日本の整備能力が及ばないものについて支援を行う。整備の支援には、必要に応じ、整備要員の技術指導を含む。また、日本は、サルベージ及び回収に関する米軍の需要についても支援を行う。施設 日本は、必要に応じ、日米安全保障条約及びその関連取極に従って新たな施設・区域を提供する。また、作戦を効果的かつ効率的に実施するために必要な場合には、自衛隊及び米軍は、同条約及びその関連取極に従って、自衛隊の施設及び米軍の施設・区域の共同使用を実施する。衛生 日米両国政府は、衛生の分野において、傷病者の治療及び後送等の相互支援を行う。V 日本周辺地域における事態で日本の平和と安全に重要な影響を与える場合(周辺事態)の協力  周辺事態は、日本の平和と安全に重要な影響を与える事態である。周辺事態の概念は、地理的なものではなく、事態の性質に着目したものである。日米両国政府は、周辺事態が発生することのないよう、外交上のものを含むあらゆる努力を払う。日米両国政府は、個々の事態の状況について共通の認識に到達した場合に、各々の行う活動を効果的に調整する。なお、周辺事態に対応する際にとられる措置は、情勢に応じて異なり得るものである。 1 周辺事態が予想される場合  周辺事態が予想される場合には、日米両国政府は、その事態について共通の認識に到達するための努力を含め、情報交換及び政策協議を強化する。 同時に、日米両国政府は、事態の拡大を抑制するため、外交上のものを含むあらゆる努力を払うとともに、日米共同調整所の活用を含め、日米間の調整メカニズムの運用を早期に開始する。また、日米両国政府は、適切に協力しつつ、合意によって選択された準備段階に従い、整合のとれた対応を確保するために必要な準備を行う。更に、日米両国政府は、情勢の変化に応じ、情報収集及び警戒監視を強化するとともに、情勢に対応するための即応態勢を強化する。 2 周辺事態への対応  周辺事態への対応に際しては、日米両国政府は、事態の拡大の抑制のためのものを含む適切な措置をとる。これらの措置は、上記Ⅱに掲げられた基本的な前提及び考え方に従い、かつ、各々の判断に基づいてとられる。日米両国政府は、適切な取決めに従って、必要に応じて相互支援を行う。 協力の対象となる機能及び分野並びに協力項目例は、以下に整理し、下記の表に示すとおりである。 (1)日米両国政府が各々主体的に行う活動における協力  日米両国政府は、以下の活動を各々の判断の下に実施することができるが、日米間の協力は、その実効性を高めることとなる。 (イ)  救援活動及び避難民への対応のための措置 日米両国政府は、被災地の現地当局の同意と協力を得つつ、救援活動を行う。日米両国政府は、各々の能力を勘案しつつ、必要に応じて協力する。 日米両国政府は、避難民の取扱いについて、必要に応じて協力する。避難民が日本の領域に流入してくる場合については、日本がその対応の在り方を決定するとともに、主として日本が責任を持ってこれに対応し、米国は適切な支援を行う。(ロ)  捜索・救難 日米両国政府は、捜索・救難活動について協力する。日本は、日本領域及び戦闘行動が行われている地域とは一線を画される日本の周囲の海域において捜索・救難活動を実施する。米国は、米軍が活動している際には、活動区域内及びその付近での捜索・救難活動を実施する。(ハ)  非戦闘員を退避させるための活動 日本国民又は米国国民である非戦闘員を第三国から安全な地域に退避させる必要が生じる場合には、日米両国政府は、自国の国民の退避及び現地当局との関係について各々責任を有する。日米両国政府は、各々が適切であると判断する場合には、各々の有する能力を相互補完的に使用しつつ、輸送手段の確保、輸送及び施設の使用に係るものを含め、これらの非戦闘員の退避に関して、計画に際して調整し、また、実施に際して協力する。日本国民又は米国国民以外の非戦闘員について同様の必要が生じる場合には、日米両国が、各々の基準に従って、第三国の国民に対して退避に係る援助を行うことを検討することもある。 (ニ)  国際の平和と安定の維持を目的とする経済制裁の実効性を確保するための活動 日米両国政府は、国際の平和と安定の維持を目的とする経済制裁の実効性を確保するための活動に対し、各々の基準に従って寄与する。 また、日米両国政府は、各々の能力を勘案しつつ、適切に協力する。そのような協力には、情報交換、及び国際連合安全保障理事会決議に基づく船舶の検査に際しての協力が含まれる。(2)米軍の活動に対する日本の支援 (イ)  施設の使用 日米安全保障条約及びその関連取極に基づき、日本は、必要に応じ、新たな施設・区域の提供を適時かつ適切に行うとともに、米軍による自衛隊施設及び民間空港・港湾の一時的使用を確保する。(ロ)  後方地域支援 日本は、日米安全保障条約の目的の達成のため活動する米軍に対して、後方地域支援を行う。この後方地域支援は、米軍が施設の使用及び種々の活動を効果的に行うことを可能とすることを主眼とするものである。そのような性質から、後方地域支援は、主として日本の領域において行われるが、戦闘行動が行われている地域とは一線を画される日本の周囲の公海及びその上空において行われることもあると考えられる。 後方地域支援を行うに当たって、日本は、中央政府及び地方公共団体が有する権限及び能力並びに民間が有する能力を適切に活用する。自衛隊は、日本の防衛及び公共の秩序維持のための任務の遂行と整合を図りつつ、適切にこのような支援を行う。(3)運用面における日米協力  周辺事態は、日本の平和と安全に重要な影響を与えることから、自衛隊は、生命・財産の保護及び航行の安全確保を目的として、情報収集、警戒監視、機雷の除去等の活動を行う。米軍は、周辺事態により影響を受けた平和と安全の回復のための活動を行う。 自衛隊及び米軍の双方の活動の実効性は、関係機関の関与を得た協力及び調整により、大きく高められる。 VI 指針の下で行われる効果的な防衛協力のための日米共同の取組み  指針の下での日米防衛協力を効果的に進めるためには、平素、日本に対する武力攻撃及び周辺事態という安全保障上の種々の状況を通じ、日米両国が協議を行うことが必要である。日米防衛協力が確実に成果を挙げていくためには、双方が様々なレベルにおいて十分な情報の提供を受けつつ、調整を行うことが不可欠である。このため、日米両国政府は、日米安全保障協議委員会及び日米安全保障高級事務レベル協議を含むあらゆる機会をとらえて情報交換及び政策協議を充実させていくほか、協議の促進、政策調整及び作戦・活動分野の調整のための以下の2つのメカニズムを構築する。 第一に、日米両国政府は、計画についての検討を行うとともに共通の基準及び実施要領等を確立するため、包括的なメカニズムを構築する。これには、自衛隊及び米軍のみならず、各々の政府のその他の関係機関が関与する。 日米両国政府は、この包括的なメカニズムの在り方を必要に応じて改善する。日米安全保障協議委員会は、このメカニズムの行う作業に関する政策的な方向性を示す上で引き続き重要な役割を有する。日米安全保障協議委員会は、方針を提示し、作業の進捗を確認し、必要に応じて指示を発出する責任を有する。防衛協力小委員会は、共同作業において、日米安全保障協議委員会を補佐する。 第二に、日米両国政府は、緊急事態において各々の活動に関する調整を行うため、両国の関係機関を含む日米間の調整メカニズムを平素から構築しておく。 1 計画についての検討並びに共通の基準及び実施要領等の確立のための共同作業  双方の関係機関の関与を得て構築される包括的なメカニズムにおいては、以下に掲げる共同作業を計画的かつ効率的に進める。これらの作業の進捗及び結果は、節目節目に日米安全保障協議委員会及び防衛協力小委員会に対して報告される。 (1)共同作戦計画についての検討及び相互協力計画についての検討  自衛隊及び米軍は、日本に対する武力攻撃に際して整合のとれた行動を円滑かつ効果的に実施し得るよう、平素から共同作戦計画についての検討を行う。また、日米両国政府は、周辺事態に円滑かつ効果的に対応し得るよう、平素から相互協力計画についての検討を行う。 共同作戦計画についての検討及び相互協力計画についての検討は、その結果が日米両国政府の各々の計画に適切に反映されることが期待されるという前提の下で、種々の状況を想定しつつ行われる。日米両国政府は、実際の状況に照らして、日米両国各々の計画を調整する。日米両国政府は、共同作戦計画についての検討と相互協力計画についての検討との間の整合を図るよう留意することにより、周辺事態が日本に対する武力攻撃に波及する可能性のある場合又は両者が同時に生起する場合に適切に対応し得るようにする。 (2)準備のための共通の基準の確立  日米両国政府は、日本の防衛のための準備に関し、共通の基準を平素から確立する。この基準は、各々の準備段階における情報活動、部隊の活動、移動、後方支援その他の事項を明らかにするものである。日本に対する武力攻撃が差し迫っている場合には、日米両国政府の合意により共通の準備段階が選択され、これが、自衛隊、米軍その他の関係機関による日本の防衛のための準備のレベルに反映される。 同様に、日米両国政府は、周辺事態における協力措置の準備に関しても、合意により共通の準備段階を選択し得るよう、共通の基準を確立する。 (3)共通の実施要領等の確立  日米両国政府は、自衛隊及び米軍が日本の防衛のための整合のとれた作戦を円滑かつ効果的に実施できるよう、共通の実施要領等をあらかじめ準備しておく。これには、通信、目標位置の伝達、情報活動及び後方支援並びに相撃防止のための要領とともに、各々の部隊の活動を適切に律するための基準が含まれる。また、自衛隊及び米軍は、通信電子活動等に関する相互運用性の重要性を考慮し、相互に必要な事項をあらかじめ定めておく。 2 日米間の調整メカニズム  日米両国政府は、日米両国の関係機関の関与を得て、日米間の調整メカニズムを平素から構築し、日本に対する武力攻撃及び周辺事態に際して各々が行う活動の間の調整を行う。 調整の要領は、調整すべき事項及び関与する関係機関に応じて異なる。調整の要領には、調整会議の開催、連絡員の相互派遣及び連絡窓口の指定が含まれる。自衛隊及び米軍は、この調整メカニズムの一環として、双方の活動について調整するため、必要なハードウェア及びソフトウェアを備えた日米共同調整所を平素から準備しておく。 VII 指針の適時かつ適切な見直し  日米安全保障関係に関連する諸情勢に変化が生じ、その時の状況に照らして必要と判断される場合には、日米両国政府は、適時かつ適切な形でこの指針を見直す。 周辺事態における協力の対象となる機能及び分野並びに協力項目例 機能及び分野 協力項目例 日米両国政府が 各々主体的に 行う活動における協力 救援活動及び避難民への対応のための措置 ・被災地への人員及び補給品の輸送・被災地における衛生、通信及び輸送・避難民の救援及び輸送のための活動並びに避難民に対する応急物資の支給 捜索・救難 ・日本領域及び日本の周囲の海域における捜索・救難活動並びにこれに関する情報の交換 非戦闘員を退避させるための活動 ・情報の交換並びに非戦闘員との連絡及び非戦闘員の集結・輸送・非戦闘員の輸送のための米航空機・船舶による自衛隊施設及び民間空港・港湾の使用・非戦闘員の日本入国時の通関、出入国管理及び検疫・日本国内における一時的な宿泊、輸送及び衛生に係る非戦闘員 への援助 国際の平和と安定の維持を目的とする経済制裁の実効性を確保するための活動 ・経済制裁の実効性を確保するために国際連合安全保障理事会決議に基づいて行われる船舶の検査及びこのような検査に関連する活動・情報の交換 米軍の活動に対する日本の支援 施設の使用 ・補給等を目的とする米航空機・船舶による自衛隊施設及び民間空港・港湾の使用・自衛隊施設及び民間空港・港湾における米国による人員及び物資の積卸しに必要な場所及び保管施設の確保・米航空機・船舶による使用のための自衛隊施設及び民間空港・港湾の運用時間の延長・米航空機による自衛隊の飛行場の使用・訓練・演習区域の提供・米軍施設・区域内における事務所・宿泊所等の建設 米軍の活動に対する日本の支援 後方地域支援 補給 ・自衛隊施設及び民間空港・港湾における米航空機・船舶に対する物資(武器・弾薬を除く。)及び燃料・油脂・潤滑油の提供・米軍施設・区域に対する物資(武器・弾薬を除く。)及び燃料・油脂・潤滑油の提供 輸送 ・人員、物資及び燃料・油脂・潤滑油の日本国内における陸上・海上・航空輸送・公海上の米船舶に対する人員、物資及び燃料・油脂・潤滑油の海上輸送・人員、物資及び燃料・油脂・潤滑油の輸送のための車両及びクレーンの使用 整備 ・米航空機・船舶・車両の修理・整備・修理部品の提供・整備用資器材の一時提供 衛生 ・日本国内における傷病者の治療・日本国内における傷病者の輸送・医薬品及び衛生機具の提供 警備 ・米軍施設・区域の警備・米軍施設・区域の周囲の海域の警戒監視・日本国内の輸送経路上の警備・情報の交換 通信 ・日米両国の関係機関の間の通信のための周波数(衛星通信用を含む。)の確保及び器材の提供 米軍の活動に対する日本の支援 後方地域支援 その他 ・米船舶の出入港に対する支援・自衛隊施設及び民間空港・港湾における物資の積卸し・米軍施設・区域内における汚水処理、給水、給電等・米軍施設・区域従業員の一時増員 運用面における日米協力 警戒監視 ・情報の交換 機雷除去 ・日本領域及び日本の周囲の公海における機雷の除去並びに機雷に関する情報の交換 海・空域調整 ・日本領域及び周囲の海域における交通量の増大に対応した海上運航調整・日本領域及び周囲の空域における航空交通管制及び空域調整   Joint StatementU.S.-Japan Security Consultative CommitteeCompletion of the Review of the Guidelinesfor U.S.-Japan Defense CooperationNew York, New York September 23, 1997 The U.S.-Japan alliance is indispensable for ensuring the security of Japan and continues to play a key role in [...]

7/5(土) 小若順一氏(食品と暮らしの安全基金)講演会あなたの不調は食事から? ~お手軽・簡単食の微量栄養素不足を考える~ 

[ 2014年7月5日; 2:00 PM to 4:00 PM. ] 小若順一氏(食品と暮らしの安全基金)講演会 『あなたの不調は食事から? ~お手軽・簡単食の微量栄養素不足を考える~』 コンビニ弁当、レトルト・冷凍食品、野菜サラダの「千切りキャベツ」、介護食につかわれる「やわらか食材」…。これらは本当に、健康を維持するのに必要な微量栄養素、ミネラルを備えているのでしょうか?食品添加物や農薬の危険性を暴きだし、安全な食品を増やしてきた「食品と暮らしの安全基金」小若順一さんに、私たちの身の回りにあふれる、お手軽・簡単・便利な食事の本当の姿をお話ししていただきます。 講演会チラシPDF  【日時】 7月5日(土) 13:30開場  14:00~16:00 【場所】 与野本町コミニュティーセンター 多目的ルーム(小)     さいたま市中央区本町東3丁目5−43‎(JR埼京線・与野本町駅徒歩5分) 【プログラム】  報告:『人体が必要とする微量金属~でも放射能はいらない~』        川根 眞也(内部被ばくを考える市民研究会・代表)/15分 人体が必要とする微量金属 でも放射能はいらない 川根 20140705 pdf  講演:『あなたの不調はミネラル不足?~お手軽・簡単な弁当・食事を考える~』        小若順一氏(食品と暮らしの安全基金・代表)/1時間45分 【資料代】 500円 【申し込み先】★Web → http://kokucheese.com/event/index/183562/★メール・FAX申込みは…   お名前・ご住所・お電話番号・参加人数をお書きの上、下記まで。   メール → entry.naibu@gmail.com  FAX →048-255-6106(7/4まで) ※保育はございませんが、お子様連れ歓迎です。※講演会終了後、食品と暮らしの安全基金事務所(講演会会場から徒歩5分)にて、小若順一さんを囲んで懇親会を持ちます。先着20名、会費2000円です。申し込みは上記Web、メール、FAXにて、お待ちしています。         【主催】 内部被ばくを考える市民研究会 【後援】 食品と暮らしの安全基金  

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