内部被ばくと健康被害
2019年9月1日 東京電力は1/2号機排気筒の最頂部の切断、撤去に成功。新聞各紙はどう伝えたか?
2019年09月08日内部被ばくと健康被害 資料
[解説] 2019年9月1日 東京電力は1/2号機排気筒の最頂部の切断、撤去に成功しました。新聞各紙はどう伝えたのでしょうか? まず、東京新聞は2019年9月2日朝刊2面で、1/2号機排気筒の最頂部の切断、撤去について詳しく報道しました。作業員3名の投入もきちんと伝えました。 東京新聞 福島第一 排気筒やっと切断 「1日」が「1カ月」工程見直し不可避 2019年9月2日 東京新聞 朝刊 2面 東京電力は一日、福島第一原発1、2号機原子炉建屋そばに立つ排気筒(高さ百二十メートル、直径約三メートル)の解体作業を続け、筒頂部から本体約二メートル分を輪切りにして大型クレーンで地上に下ろした。一日で終わるはずだった最初の切断に一カ月を要した。この間、機器の不具合が頻発。来年三月までに上半分の解体を目指すが、作業工程の見直しは避けられない。 東電によると、八月三十一日午後七時半ごろ、筒頂部にクレーンで設置した切断装置の発電機が燃料切れで停止。代替の発電機も動かず、前日三十日朝から稼働していた切断装置は一時的に全電源を失った。 翌一日午前六時前、別のクレーンで作業員三人が乗った鉄製のかごを高さ百二十メートルまでつり上げ、作業員が筒頂部の装置に乗り移って給油した。その後、発電機を再起動して午前十一時五十二分から切断を再開。装置に付いている回転のこぎりで七十センチほど残していた輪切り部分を、午後三時七分に切り終えた。 切断装置と一緒に地上へ下ろした筒本体の重さは約四トン。今後、二~四メートルのブロックに分けて高さを半分にする。別の装置で損傷が激しい鉄塔の支柱も切断する必要があるが、本番での使用経験はまだない。 作業が難航した理由の一つは、回転のこぎりの刃の摩耗が東電の想定より早かったためという。筒本体は七割以上輪切りにすると、強度を保つために装置を外せず、刃の交換ができなくなる。東電は地上に下ろした筒本体の材質を分析し、今後の計画に役立てる。(小川慎一) [解説] 犯罪的なのは朝日新聞の報道です。朝日新聞は2019年8月1日は、この1/2号機排気筒解体作業が開始されたときに、「作業員の被ばくを避けるため遠隔操作で作業を行う」と報道していました。それが、9月1日最頂部が9ヵ所切断したままそれ以上作業できなくなったために、作業員が投入されたことを、朝日新聞全国版で報道しませんでした。 ところが、朝日新聞福島版では、「第1原発排気筒頭頂部つり下ろし 異例の作業員投入」と報道したのです。 朝日新聞全国版しか読んでいない読者は、遠隔操作で作業員もたいした被ばくもなく、最頂部の切断、撤去が行われたかのように思うことでしょう。東京パラリンピック、オリンピックまでは、原発廃炉にかかわる危険なニュースを全国版に載せないよう、報道管制が引かれているかのようです。 朝日新聞 2019年8月2日 朝刊3面 高い放射線量、遠隔で操作 作業員の被曝対策 福島第一排気筒解体 1、2号機排気筒の解体計画 東京電力福島第一原発の排気筒の解体作業が1日、始まった。排気筒は事故時の「ベント(排気)」で放射性物質を含む水蒸気を放出するのに使われた象徴的な設備だ。今も高濃度の放射性物質に汚染されており、遠隔操作の難しい作業になる。相次ぐトラブルで遅れていた工事にようやく取りかかった。 解体されるのは、原発敷地内にある4本のうちの1本で、炉心溶融事故を起こした1、2号機の共用排気筒(高さ120メートル、直径3・2メートル)。1号機建屋の水素爆発の影響で、排気筒を支える支柱のつなぎ目が破断し、劣化が進んでいた。原子力規制委員会から「倒れると危険だ」と指摘され、東電は16年に解体する方針を示していた。 解体は作業員の被曝(ひばく)を減らすため、200メートル離れた高台に設置した、大型バスを改造した遠隔操作室で作業する。約140台のカメラ映像を見ながら、大型クレーンでつり上げた解体装置を動かす。作業初日は午前7時半ごろから装置のつり上げを始め、筒の周りにあるはしごや電線管などの切断にとりかかる予定だった。だが、通信トラブルで装置の一部が動かず、昼過ぎから作業が始まった。2日から筒本体を輪切りにする作業に取りかかる。解体後は敷地内で保管する。 当初は3月に始める予定だったが、追加の安全対策が必要になったり、東電がクレーンの設計図の確認を怠って高さが足りなかったりして延期された。今年度中に排気筒の上半分の解体を完了する予定だが、強風時は作業を中止するため、天候次第で遅れる可能性があるという。 工事開始が遅れたことについて、磯貝智彦所長は「周辺の工事の影響については調整をしながら進めている。大きな支障があるとは考えていない」と話した。 今回、解体装置の開発や操作は、福島第一原発がある福島県大熊町の建設会社「エイブル」が担う。構内での重要作業を地元企業が担うのは異例という。岡井勇・第一工事部長は「地元企業として無事成功させ、地元の期待にしっかり応えられるよう安全に進めたい」と話した。(石塚広志、杉本崇) 朝日新聞 2019年9年2日 東京版27面 1日の予定が作業に1カ月 福島第一、排気筒の一部切断 東京電力福島第一原発の1、2号機の共用排気筒(高さ120メートル、直径3・2メートル)の解体で、最初の作業となる頭頂部(長さ約2メートル、約4トン)の切断が1日、ようやく終わった。解体作業は8月1日に開始。頭頂部の切断は8月2日の1日間のみで終える予定だったが、装置のトラブルなどが相次ぎ、約1カ月かかった。 解体装置の4枚の回転刃の摩耗が想定より早く、すり減ったり、止まったりして、作業は計5回中断した。熱中症になった作業員もいた。 東電は「初めての作業で、慎重に進めたこともあり、想定より時間を要した。予備日などに作業をすることで今年度内の完了を目指したい」とし、計画に変更はないとしている。(石塚広志) [解説] ↑ 作業員3人が投入されて作業が行われたことの記述はない。 朝日新聞 2019年9月2日 福島版19面 異例の作業員投入 第一原発排気筒頭頂部つり下ろし /福島県 東京電力福島第一原発の1、2号機の共用排気筒(高さ120メートル、直径3・2メートル)の解体作業で1日、ようやく頭頂部がつり下ろされた。だが、この日、作業員3人がゴンドラで上がるという異例の作業が行われた。被曝の恐れから、作業は遠隔操作を主としているが、早くも現場に人の投入という「最終手段」が使われた形となった。 東電によると、頂上に取り付けられた切断用の装置の電源には二つの発電機があるが、8月31日午後7時半ごろ、主電源が燃料切れとなり、予備電源を起動させようとしたが動かなかったという。 解体部分はすでに筒状の周囲の9割以上を切り込み、装置を取り外すと頭頂部が落下するリスクがあった。そのため、作業を行う大熊町の建設会社「エイブル」の作業員3人が1日に頂上に行くことになった。 午前5時40分ごろ、ゴンドラがつり上げられ、2時間半ほど燃料補給や点検作業をしたという。頂上付近の放射線量は30マイクロシーベルト程度で、東電は大きな被曝にはならないとみている。 切り取りの作業は正午前に再開し、午後3時ごろ完了。午後4時すぎ、頭頂部(約2メートル、約4トン)が地上に下ろされた。 (石塚広志) [解説] 朝日新聞の記事には、「頂上付近の放射線量は30マイクロシーベルト/時」とありますが、これは誤りです。東京電力が2019425日に公表した資料によれば、120mの最頂部での線量は80マイクロシーベルト/時です。以下、資料の0.07mSv/h~0.30mSv/hと記載されているうち、0.30mSv/hを誤って30マイクロシーベルト/時と記載したものと思われます。しかし、0.30mSv/hは正しくは300マイクロシーベルト/時です。これが高さ60m付近での線量です。このような場所で人間が長時間作業することはできません。 図1 1/2号機排気筒の解体前調査結果 筒身外部の線量(γ線)は0.07~0.30mSv/h 東京電力 2019年4月25日 図2 朝日新聞 2019年9月2日 朝刊 全国版 福島第一 排気筒の一部切断 1日の予定が作業に1ヵ月(作業員の投入について記述を削除) 27面 福島県版 第一原発排気筒頭頂部つり下ろし 異例の作業員投入 19面(作業員の投入について報道) [解説] 福島県の地方紙、福島民友、福島民報は2019年9月2日に、排気筒上端部の切断、撤去を報道しましたが、残念ながら、作業員3人が作業に投入されたことはカットしました。東京電力福島第一原発では、多くの福島県出身の作業員が被ばくしながら、作業しているのに、この被ばく労働をなぜ福島民友、福島民報は報道しないのでしょうか?東電福島第一原発の危険な被ばく労働を報道しない姿勢は改めるべきです。福島県の地方紙としての誇りを持って、報道するべき事実を報道するべきです。 福島民友 2019年9月2日2面 排気筒上端部ようやく切断 第1原発、1ヵ月遅れ 東京電力は1日、福島第一原発1、2号機の共用排気筒(高さ約120メートル)の上半分を解体する作業で、最上端部の高さ約2.3メートル部分を輪切りにし、地上に下ろした。解体の最初の工程を終えた。切断装置に不具合が相次ぎ、当初計画より約1ヵ月遅れた。 解体作業は地元企業が担当。現場の放射線量が高く、大型のクレーンで切断装置をつり上げ遠隔操作で作業を進めたが、通信障害や回転のこぎりの刃の摩耗などで難航。切断装置のケーブルが外れる施工ミスや、作業員の熱中症なども影響した。この日は午前5時40分ごろに作業を再開し、午後4時すぎに切断部分を地上に下ろした。 排気筒は2011年の事故の際、1号機の原子炉格納容器の圧力を下げるため、放射性物質を含む蒸気を放出する「ベント」に使われた。支柱に破断があり、解体は倒壊の危険性を下げるのが目的。今回の作業は8月1日に始まり、2日間で終える予定だった。 福島民報 2019年9月2日 2面 排気筒最上端部を切断 福島第一原発 最初の工程を終了 東京電力は1日、福島第一原発1、2号機の共用排気筒(高さ約120メートル)の上半分を解体する作業で、最上端部の円筒部分(高さ約2.3メートル)を輪切りにし、地上に下す最初の工程を終えた。切断装置の不具合などで作業が難航し、当初計画より約1ヵ月遅れた。 東電は今後も同様に排気筒を約3メートルずつ輪切りにし、地上に下ろす作業を繰り返す。今年度中の完了を目指している。 地元企業が請け負う解体作業は8月1日に始まった。大型のクレーンでつり上げた切断装置に不具合が相次ぎ、三度にわたって中断した。遠隔操作の通信障害や回転のこぎりの刃の摩耗などもあり、作業が遅れた。 排気筒は2011(平成23)年の原発事故発生直後、原子炉格納容器の圧力を下げるため、放射性物質を含む蒸気を放出するベントに使われた。支柱に破断が見つかっており、倒壊の危険性を下げるため解体する。 図3 排気筒上端部ようやく切断 第1原発、1ヵ月遅れ 2019年9月2日 福島民友 2面 排気筒最上端を切断 福島第一原発 最初の工程終了 2019年9月2日 福島民報 2面 [解説] 日本共産党の機関紙、赤旗もほぼ、福島民友、福島民報と同様な内容の解体作業の報道をしました。しかし、赤旗もまた、作業員の3人の投入について書きませんでした。予定にない作業員の被ばくについて、赤旗も報道するべきです。 赤旗 2019年9月3日 14面 排気筒 ようやく切断 福島第1原発 解体 4週間遅れ 東京電力は1日、福島第一原発の1、2号機排気筒(高さ120メートル)の解体作業について、最上部のブロックの切断・つり下ろし作業を完了したと発表しました。解体作業を開始した直後から解体装置の動作不良や台風対策などで中断を繰り返し、約4週間遅れの完了となりました。 東電によると、排気筒の上半分の約60メートルを23ブロックに分けて解体する計画。当初は5月に作業を開始する予定でしたが、解体装置を上からつるすクレーンの高さが足りないことが判明し延期。8月1日に作業を開始しました。 しかし7日に筒身本体の切断を開始したものの、刃の摩耗やモーターの負荷によって解体装置の動作不良が発生し、作業が中断。接近していた台風の通過を待ち、21日に切断作業を再開しましたが、動作不良で再度中断しました。部品を交換して30日に作業を再開しました。9月1日に切断・つり下ろし作業が完了しました。 作業開始時の計画では、8月下旬に23ブロックのうち4ブロックの解体が完了する予定でした。現時点で約4週間の遅れが発生していますが、東電は予備日に作業することで今年度内の解体完了をめざすとしています。 図4 排気筒ようやく切断 福島第1原発 解体 4週間遅れ 2019年9月3日 赤旗 14面 [解説] 犯罪的なのは、読売新聞と毎日新聞です。同2紙は,2019年8月2日の読売新聞社説、毎日新聞の記事で、1/2号機排気筒の解体作業を開始したことを伝えながら、2019年9月1日の最頂部の切断・撤去を一切書きませんでした。これではあたかも解体作業が順調に進んでいるかのイメージを与えます。読売新聞と毎日新聞は、東京パラリンピック、オリンピックまでは、福島第一原発の危険な廃炉作業は、一切報道しない姿勢なのでしょうか。国際原子力機関(IAEA)職員でも編集部に常駐しているか、のようです。 図5 読売新聞 2019年9月2日 朝刊 全国版・福島県版 1/2号機排気筒解体作業を一切報道せず 毎日新聞 2019年9月2日 朝刊 全国版・福島県版 1/2号機排気筒解体作業を一切報道せず [解説] しかし、いずれの新聞も、1/2号機排気筒の解体作業で放射能が環境に放出されたことを書いていません。原発事故当時の1号機ベント、2号機圧力容器の主蒸気排気、更に圧力抑制室の底抜けによる放射能が1/2号機排気筒の内部に付着しています。 〈参考〉 2019年9月1日、東京電力が福島第一原発1/2号機排気筒(高さ120m)の最頂部の切断、撤去に成功。舞い散る放射能汚染は?(2) 新聞各紙は、東日本、いや、北半球に原発事故の際に付着した放射能が舞い散った可能性を東京電力の過去の資料に基づいて書くべきです。上記資料は2013年などの東京電力の資料に基づいて書いたものです。東京電力は2019年4月25日の資料では、1/2号機排気筒の外部のガンマ線の線量だけを測って、「計測されたのは、セシウム134,セシウム137だけ」「排気筒の内部に放射能が付着しているせいではなく、下にある1号機原子炉建屋のオペレーションフロアからの散乱ガンマ線の影響」という主張は虚偽です。上記資料に詳しく分析、評価しました。 報道機関は、東京電力の下請け機関に成り下がらず、独自に東京電力資料の分析をした上で記事を書くべきです。 [追記] 2019年9月9日 NHK福島放送局のニュースを確認しました。上記、新聞各紙にはない排気筒の事実が書かれています。「排気筒は原発の構内で最も高い構造物で、事故の際、放射性物質を含む気体が放出され、内部が汚染されている上、水素爆発などの影響で鉄骨にひびも見つかっています。」と内部が放射能で汚染されている事実を報道しています。また、作業員が投入されたことも報道しています。ただし、これも、全国のニュースでは流れず、福島限定です。 NHK NEWS WEBで「排気筒」で検索してみて下さい。出てくるのは2019年5月30日のニュース「福島第一原発の排気筒解体はことし7月下旬に着手へ」が最新です。 NHK NEWS WEB 事実を報道するのは福島県のみ、他の都道府県民には知らせない、というNHKの姿勢が見て取れます。 NHK 福島放送局 排気筒解体 1回目の作業終了 2019年9月2日 12時54分 福島 NEWS WEB 東京電力福島第一原子力発電所で3度にわたって中止され、先月30日に再開した排気筒の解体作業は、1日に1回目となる頭頂部の切断と吊り下ろしの作業が、3日がかりで終了しました。 福島第一原発にある高さ120メートルの排気筒の解体作業は、先月1日に、1回目となる頭頂部から2.3メートルの部分の切断が開始されましたが、熱中症の懸念や台風の影響のほか、切断装置の電源ケーブルが外れるトラブルで3度延期されていました。先月30日に再開されたあとも、遠隔で指令を送る通信のトラブルで一時、切断装置が動かなくなったり、装置の刃がすり減ったりして中断を繰り返し、1日は、装置の燃料がなくなったことから、作業員をクレーンに乗せ高さ120メートルまで運び、補給を行いました。そして、午後4時すぎに切断した部分を地上に吊り下ろし、1回目の作業が3日がかりで終了しました。排気筒は原発の構内で最も高い構造物で、事故の際、放射性物質を含む気体が放出され、内部が汚染されている上、水素爆発などの影響で鉄骨にひびも見つかっています。東京電力は、半分ほどのおよそ60メートルの高さまで解体する計画で、今年度中に完了することにしていて、「今回出た課題を検証し、進め方を改善していきたい」としています。
原発立地の福島・大熊町で夏祭り 避難先から笑顔の再会 2019年9月7日 共同通信
2019年09月08日内部被ばくと健康被害 資料
[解説] 2019年4月10日、東京電力福島第一原発がある、大熊町の大河原地区、中屋敷地区が避難指示解除されました。実に町の面積の38%。町長の渡辺利綱氏も犯罪的ですが、市民運動に協力し、ストロンチウム90の分析をやって来たはずの、東京大学助教、小豆川勝見氏が「帰還しても安全」とお墨付きを与えたことが、もっと犯罪的です。小豆川勝見氏は、大熊町の除染検証委員会の委員を努めました。たった3回の委員会だけで、大熊町の避難指示解除にOKを出しました。 図1 第2回大熊町除染検証委員会配布資料大熊町管内図 2019年1月17日 図2 第1回大熊町除染検証委員会委員名簿 2018年11月8日 〈参考〉 2019年4月10日、東電福島第一原発の立地自治体、大熊町の避難指示解除のデタラメを問う。プルトニウム239+240、ストロンチウム90の合計100箇所のデータを公開せよ! セシウム134,137だけでなく、高濃度にストロンチウム90、プルトニウム239で汚染された大熊町への住民帰還は間違いです。多くの方々が、若くして亡くなり、がんが多発し、子どもたちは病気を持って産まれるようになるでしょう。チェルノブイリの高放射能汚染地帯、ウクライナのナロジチ市で現在起きていることが、これから大熊町で起きてくるでしょう。 避難指示解除は、すべて、東京パラリンピック、オリンピックのためです。日本の放射能汚染がないか、のような印象操作です。 大熊町の避難指示解除は撤回するべきでせす、 原発立地の福島・大熊町で夏祭り 避難先から笑顔の再会 2019年9月7日 共同通信 福島県大熊町で行われた夏祭りで盆踊りを踊る人たち=7日午後 東京電力福島第1原発が立地し、4月に一部で避難指示が解除された福島県大熊町で7日、解除後初めての「夏祭り」が開かれた。町民の大多数が町外に避難しており、多忙なお盆の時期を避けて開催。約400人が訪れ、久しぶりの再会に笑みがこぼれる光景があちこちで見られた。 会場の役場前広場にはやぐらが組まれ、事故前に行われていた盆踊りも実施。太鼓や笛に合わせて踊り、バーベキューで盛り上がった。 避難先の茨城県北茨城市から訪れた自営業秋本耀司さん(73)は「知人の顔が見られないかと来たら、小学校の同級生らに会えた。こうした機会はうれしいね」と昔話に花を咲かせていた。
仏高速炉の開発停止 仏紙報道「高コスト」日本も参加 2019年8月31日 東京新聞朝刊
2019年09月07日内部被ばくと健康被害 資料
仏高速炉の開発停止 仏紙報道「高コスト」日本も参加 2019年8月31日 東京新聞 朝刊 3面 【パリ=共同】フランス紙ルモンドは三十一日付で、日仏両国が共同研究を進める高速炉実証炉「ASTRID(アストリッド)」について、フランス側が開発計画を停止すると報じた。高コストの研究投資が疑問視されたという。 一方、フランス原子力・代替エネルギー庁(CEA)は三十日、声明を発表し、来年以降も研究を継続するため、改定した計画を年内に政府に提案すると表明した。ただ「短・中期的に(アストリッドに当たる)原子炉建設の計画はなく、今世紀後半以前に新世代の原子炉が実現する見通しはもはやない」とも指摘し、計画は事実上中断となる可能性もありそうだ。 ルモンドは「アストリッドは死んだ。資金やエネルギーをもうつぎ込まない」とする関係者のコメントを伝えた。同紙によると、計画を調整していた二十五人のチームは今春で活動を停止した。継続している一部の研究は年末までの計画となっている。 アストリッドはプルトニウムを再利用する核燃料サイクルのための実証炉で、二〇一〇年に設計を開始した。日本は一四年から共同研究に参加。高速増殖原型炉もんじゅ(福井県)の廃炉が一六年に決まった後、アストリッド計画を高速炉開発の柱に据えた。 CEAは一八年六月、計画の縮小を既に表明。原発の燃料となるウランの価格が比較的低く、ルモンドはフランス電力など業界の支援がないとするCEA関係者の声や、政府も緊急と見なさなくなったとの見方を伝えた。 [福井新聞] 【フォーカス福井】試験研究炉、後継どこ 福井/もんじゅ後に期待 茨城/県内での新設主張 文科省は「今後検討」 2018年4月17日 福井新聞 後継炉の建設が検討されるJMTR=茨城県大洗町(日本原子力研究開発機構提供) 試験研究用原子炉の整備を巡り、廃炉が決まっている日本原子力研究開発機構の材料試験炉(JMTR、茨城県大洗町)の取り扱いが焦点となっている。文部科学省の作業部会が先月29日、中間取りまとめで後継炉の必要性に言及したためだ。福井県は高速増殖原型炉もんじゅ(敦賀市)の廃炉に伴う地域振興の一環で試験研究炉の整備を求めており、茨城県も「後継炉を造るなら県内が中心」と主張する。多くの原子力研究施設が廃止へ向かう中、両県の拠点再編の行方に関心が高まっている。(坂下享) ■「産業用」で地域振興 作業部会の中間取りまとめには「もんじゅ跡地は試験研究炉の整備適地」「JMTRの後継炉建設を検討」の2点が明記された。JMTRは原発の燃料や構造材の耐久性試験などが目的で、さまざまな企業が材料試験に使う。県内関係者は「後継炉が建設されれば、関連企業が県内拠点を構えてくれるだろう」とし、経済活性化につながることを期待する。 試験研究炉は大学の実験レベルから産業用途まで幅広いが、県関係者は「もんじゅの代替だから、学生ばかりが来る施設だけでは小規模すぎる」と、産業用試験研究炉の必要性を強調。先の2月定例県会で豊北欽一総合政策部長は、試験研究炉について「人材育成や研究開発にとどまらず、中性子の特性を生かして半導体製造などに活用できることから、企業立地や新産業創出など地域振興につながる」と主張した。この中性子を照射する炉の一つこそがJMTRだ。 ■茨城も廃炉に困惑 JMTRは2016年10月、新規制基準対応が難しいとして廃炉が決まった。もんじゅ廃炉で福井県が混乱したのと同様に、茨城県も突然のJMTR廃炉に困惑した。 茨城県の橋本昌知事(当時)は廃炉決定後の記者会見で、新しい研究炉設置への期待を問われ「国内に造るとすれば、(機構の施設が多数立地する)東海・大洗が中心」と主張。もんじゅ廃炉が決まった後の会見では「文科省からは、もんじゅ周辺地域とJMTRの代替炉は別の議論と考えているとの説明があった」と明かし、福井県への移転論が出ることをけん制した。 福井県と茨城県は、それぞれ東西日本の原子力研究開発拠点としての機能を果たしてきた。ただ、「大規模な産業用原子炉は国内に二つも三つも造れない」というのは両県の関係者間で一致した見方だ。まずはJMTRの後継炉が必要との国の方針は、福井と茨城の機能をどう再編するかという議論の“号砲”にもなる。 ■国の出方を注視 原子力機構の原子力施設は現在88あり、そのうちもんじゅやJMTRなど40施設超が廃止へ向かっている。大阪府にある京都大、近畿大の研究炉も高経年化が進んでいる。 こうした施設を今後どうするかも含め、文科省は本年度、敦賀地域の原子力研究、人材育成拠点の在り方を具体化する。先の作業部会ではJMTRの後継炉と敦賀地域の拠点化との関連性を問う委員もいたが、文科省側は「今後の検討による」とかわした。 福井県幹部は「われわれはもんじゅの代替に値する試験研究炉の県内配置を求めている。それは結果的にJMTRの後継炉になるかもしれない」とした上で、「試験研究炉の配置の在り方は国が決めること。茨城県と誘致合戦したり、対立したりする気は毛頭ない」と、国の出方を注視する構えだ。
若者の賛成3割に満たず=消費増税、6割は反対-日本財団 2019年9月5日 時事通信
2019年09月07日内部被ばくと健康被害 資料
若者の賛成3割に満たず=消費増税、6割は反対-日本財団 2019年9月5日(木) 時事通信 10月の消費税増税に賛成する若者は3割に満たない-。こんな現状が日本財団の調査で明らかになった。17~19歳の男女を対象にインターネット上でアンケートを実施し、計1000件の回答を得た。税率の据え置きや引き下げ、廃止を含めた「増税反対」は6割に上った。 調査では国の歳入の3割を借金に当たる国債に依存する実態を示し、増税の可否を尋ねた。増税に賛成したのは26.7%。「増税反対」は56.7%で、理由では「家計が苦しくなる」との切実な声や、「何に使われているのか明確ではない」との不信感が示された。 食料品などの消費税率を8%に据え置く軽減税率の導入については、賛成36.2%、反対34.9%と賛否がほぼ拮抗(きっこう)。反対の理由では「生活必需品などの定義が曖昧」との回答が最も多かった。 同財団担当者は「消費税増税への賛意は低い」と分析。消費税の使途に「子育て支援」を求めている声が多かったことを受け、「なぜ増税するかを引き続き若い世代に説明する必要がある」と指摘した。調査は7月26~28日に実施した。
伊方原発3号機 ポンプから煙 放射性物質漏えいなし 2019年9月5日 NHK NEWS WEB
2019年09月06日内部被ばくと健康被害 資料
[解説] NHKの報道と、佐賀新聞の報道が違います。なぜでしょうか?佐賀新聞の方が四国電力の主張を正しく伝えているように思います。しかし、原発運転中に「冷却水を原子炉に供給するポンプの作動テスト」中に、煙が出るとは、何なのでしょうか。四国電力は、伊方原発3号機をただちに運転を止め、原因を究明するべきです。 また、最後の朝日新聞の記事にあるように、原発は13ヶ月で必ず定期点検を行わなければならないものを、四電と県、伊方町の三者の事前協議だけで、13ヶ月以上原発を連続運転させようとする中で起きた事故です。定期点検までの期間延長など行うべきではありません。伊方原発の目の前には、中央構造線が走っています。熊本、大分、宮崎の地震が連続して起きています。伊方原発は廃炉にするべきです。 NHK 伊方原発3号機 ポンプから煙 放射性物質漏えいなし 2019年9月5日 19時49分 NHK NEWS WEB 5日午後、愛媛県伊方町にある伊方原子力発電所で、稼働中の3号機の原子炉補助建屋に設置されたポンプから煙が出ました。四国電力によりますと、煙はすぐにおさまり、放射性物質の漏えいはないということです。 5日午後3時半ごろ、伊方町九町にある伊方原子力発電所で、「3号機の建物から白い煙が上がっている」などと四国電力の職員から消防に通報がありました。 煙が出たのは3号機の原子炉補助建屋の放射線管理区域内に設置されたポンプのモーター部分で、月に1回の点検をしていたところ、突然、煙があがったということです。 ポンプは原子炉がある建屋からは離れていて、発電に影響はなく、消防が駆けつけた時には煙はおさまっていたということです。 四国電力によりますと、このトラブルによるけが人はおらず、放射性物質の漏えいもないということです。 原因は調査中としています。 伊方原発3号機は去年10月に再稼働し、翌月の11月から営業運転を再開していてました。 佐賀新聞 原発、緊急冷却水ポンプで油噴出 四電・伊方3号機、作動テスト中 2019年9月5日 佐賀新聞 四国電力は5日、運転中の伊方原発3号機(愛媛県伊方町)の原子炉補助建屋地下2階の放射線管理区域で、緊急時に冷却水を原子炉に供給するポンプの作動テスト中、煙が出るトラブルがあったと発表した。四国電力は6日、ポンプ内の潤滑油が霧状に噴出したのが原因で、発煙ではなかったと明らかにした。外部への放射性物質の漏れはないという。 四国電力によると、5日午後3時ごろ、月に1度の作動テストを開始。約10分後、ポンプのモーターの軸を支える部分の付近から煙のようなものが出ているのを運転員が確認した。その後の調査で、軸を支える部分の圧抜き部に油分が付着していたことから、周辺の潤滑油が、ポンプの作動に伴い霧状になり噴出したと判断した。ポンプは正常に作動することが確認され、5日午後11時ごろ復旧した。 朝日新聞 愛媛版 愛媛)原発トラブル、県が公表 四電「原因究明努める」 藤井宏太、亀岡龍太 2019年9月6日3時0分 朝日新聞 四国電力伊方原子力発電所(伊方町)3号機で、関連するポンプから白煙が発生した5日のトラブルについて、県は、県の公表区分「A(即公表)」にあたる異常とし、同日午後6時から会見した。 県によると、白煙が出たのは3号機の異常時に冷却水を供給する「高圧注入ポンプ」。補助建屋内の管理区域に2系統用意され、この日は午後2時57分から1系統を動かしていた。 白煙は午後3時9分に上がり、数十秒続いた。四電は直後にポンプの作動を停止し、午後3時28分に消防に通報。県と町へは午後3時40分に異常を報告した。 3号機自体は正常運転を続けているが、今回白煙が上がったポンプを10日以内に復旧できなければ、規定上、3号機の運転を停止することになるという。四電は「安全に最大限配慮し、原因究明に努める」とコメントした。(藤井宏太、亀岡龍太) 朝日新聞 愛媛版 愛媛)伊方原発の検査間隔延長、県などの事前協議必要に 大川洋輔 2019年2月5日3時0分 朝日新聞 書面に署名した(左から)高門清彦・伊方町長、中村時広知事、佐伯勇人・四国電力社長=2019年2月4日午後2時41分、松山市の県庁、大川洋輔撮影 四国電力伊方原発(伊方町)をめぐって四電と県、伊方町は4日、3者で締結している安全協定を改定した。協定は1号機運転開始前の1976年に四電、県、旧伊方町で結び、今回の改定は5年半ぶり3回目。3号機の定期検査の間隔を現状の13カ月から延長する場合は、3者で事前に協議するとの内容を盛り込んだ。 四電と県、伊方町が結ぶ安全協定では、原発で「主要な施設を設置、変更、廃止」などをする際は、計画について事前に協議して県と伊方町の了解を得ることを求めている。ただ、検査間隔の延長など運用面は協定に含まれていなかった。 定期検査の間隔延長をめぐっては、四電の玉川宏一副社長が昨年12月、原子力規制委員会との意見交換で「運転サイクルの延長にチャレンジしたい」と発言した。規制委が安全性に問題が無いと認めれば延長は可能だが、中村時広知事はこの発言を受けて同月の定例記者会見で、間隔延長は安全協定での事前協議が必要な事項としたいとの考えを示していた。四電は副社長の発言を「技術的課題として示したもので、具体的計画を進めている事実はない」と説明している。 県庁では4日、佐伯勇人社長と中村時広知事、高門清彦町長が書面に署名した。定期検査の間隔延長を3者の事前協議の対象とすることに加え、1、2号機の廃炉作業に備えて核燃料を搬出する際は県や町にあらかじめ計画を提出し、原則海上輸送とすることなども新たに定められた。 佐伯社長は報道陣に対し、検査間隔の見直し議論は現時点でしていないと改めて強調。今後議論するかについて問われると、「安全性が担保できることが大前提。定期検査の間隔が延びると経済にも影響が出る」などと答えた。(大川洋輔)
原発事故 克明な放射線量データ判明 2014年3月11日 NHK NEWS WEB
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原発事故 克明な放射線量データ判明 2014年3月11日 19時32分更新 NHK NEWS WEB 図1 原発事故 克明な放射線量データ判明 2014年3月11日 NHK NEWS WEB 東京電力福島第一原子力発電所の敷地の外にある観測点で、事故直後の詳細な放射線量のデータが記録され、震災発生の翌日、1号機が水素爆発する1時間以上前から、数値が急上昇する様子を克明にとらえていたことが分かりました。 3年がたって初めて明らかになったデータで、専門家は「放射性物質放出の真相を検証するうえで、非常に重要だ」と話しています。 放射線量の詳細なデータが記録されていたのは、福島第一原発の周辺に設置された福島県が管理するモニタリングポストです。 その14か所で、事故後数日の20秒ごとの放射線量の値が記録されていたことが、NHKの取材で分かりました。 このうち、福島第一原発の北西5.6キロにある双葉町上羽鳥のモニタリングポストでは、震災発生の翌日(3月12日)の午後2時10分以降、放射線量が急上昇していました。午後2時40分40秒には、1時間当たり4.6ミリシーベルトと、午後3時36分に起きた1号機の水素爆発のおよそ1時間前にこの日の最大の値を記録しました。データの推移から、最大値を記録した前後およそ20分で、積算の被ばく線量が一般人の年間の被ばく限度の1ミリシーベルトに達するとみられます。 放射性物質の拡散に詳しい日本原子力研究開発機構の茅野政道部門長は、WSPEEDIと呼ばれるコンピューターシミュレーションで、今回のデータと当時の風向きなどを分析しました。 その結果、午後2時ごろから1号機で行われたベントと呼ばれる緊急の作業が影響したとみています。 ベントは、格納容器が壊れないよう高まった圧力を下げるため、放射性物質を含む気体を放出します。途中、水の中に通すことで、放射性セシウムなどの放出量を1000分の1程度に抑えるとされていましたが、今回のデータから、それほどの効果は得られず、かなりの量が出たとみられます。 茅野部門長は、「放射性物質の放出の真相を検証するうえで、非常に重要なデータだ。ベントでどういうことが起きるかや、どれくらいの効果があるかを検証しなければならない。多くの研究者が3年たった今も事故の解析をしているので、思わぬところで新たな発見がある可能性もあり、できるだけ多くのデータが欲しい」と話しています。 【埋もれたデータはほかにも?】 福島県によりますと、事故直後の詳しい放射線量のデータは電源が失われるまで自動観測が行われたモニタリングポストのメモリーに記録されていました。公開するには、データを変換し、時系列が分かるように取りまとめる必要があります。しかし、事故のあとは停電で、各地の放射線量は職員が回って計測しなければならず、集めた毎日のデータを住民に提供するのが精一杯だったということです。このため、メモリーに記録された事故直後のデータまで手が回らず、これまでは1時間ごとの値をおととし9月に公表するにとどまっていました。 事故後の混乱で埋もれたデータはほかにもあると考えられ、十分な検証のためにも、早急な掘り起こしが必要です。 【「放出量はチェルノブイリ原発事故の17%余」】 東京電力福島第一原子力発電所の事故で、原発から外部に放出された放射性物質の量について、東京電力は、チェルノブイリ原発事故の17%余りで、大半は閉じ込め機能を失った格納容器から直接放出されたと分析しています。 東京電力は、コンピューターによる解析や原発の周辺で計測された放射線量のデータなどから、震災発生の翌日の3月12日から3月末までに放出された放射性物質の量を試算し、おととし5月に公表しました。 それによりますと、ヨウ素131とセシウム137の放出は合わせて90京ベクレルで、チェルノブイリ原発事故の520京ベクレルの17%余りとなっています。 「京」は1兆の1万倍です。 当時の原子力安全委員会が公表した57京ベクレル、当時の原子力安全・保安院が公表した77京ベクレルより多くなっています。 放出量の推移と事故の経過から、どのように放出されたかを分析したところ、建屋の水素爆発に伴う放出は合わせて0.5京ベクレル、ベントに伴う放出は0.1京ベクレルで、大半は閉じ込め機能を失った格納容器から直接放出されたとみています。 1号機から3号機の格納容器はメルトダウンによって内部の温度や圧力が高まり、継ぎ目や配管の貫通部などが壊れたとみられています。 各号機ごとでは、2号機と3号機がそれぞれ全体の4割、1号機が残りの2割で、4号機からの放出はなかったとしています。 時系列では、3月16日午前10時からの3時間に3号機から18京ベクレルと、最も多くの放射性物質が放出され、3月15日には冷却やベントの対応が遅れ、メルトダウンが進んだとみられる2号機から同じく18京ベクレルが放出されたとしています。 平成23年4月以降は放出量は大幅に少なくなり、先月の放射性セシウムの放出量は、1時間当たり1000万ベクレルと発表しています。 海に放出された放射性物質の量については、海水中の濃度などからデータのある平成23年3月下旬から半年間で15京ベクレルと推定しています。
こちら特報部 背信の果て(下) 「甲状腺問題意識高く」 当時の関係者 広い範囲を心配 回答と食い違いか 2019年1月28日 東京新聞 朝刊25面
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こちら特報部 背信の果て(下) 「甲状腺問題意識高く」 当時の関係者 広い範囲を心配 回答と食い違いか 2019年1月28日 東京新聞 朝刊25面 震災直後、原発周辺はどのような状況だったのか。 国は一一年三月十二日午前六時前、原発から十キロ圏に避難を指示した。国会事故調の報告書などによれば、車の大渋滞で普段は一時間の距離が六時間以上かかった例もあった。最初の爆発は同日午後三時三十六分。国が後日公表した試算では、汚染は主に西や北西に広がる見立てになっていた。 双葉町の町長だった井戸川克隆氏は、原発の北西約四キロの町役場近くにいた。「付近に三百人ほど。上羽鳥(かみはとり)近くにも多くの人がいたと聞いた。子どもも妊婦もね」。同町上羽鳥は原発の北西六キロ弱。後の県の発表によれば、爆発直前の午後三時に毎時一五九〇マイクロシーベルトを記録。原発敷地外で最も高いとされた。 井戸川氏は「ベントがあった直後だよ」と語る。ベントとは、原子炉格納容器が内圧で壊れるのを防ぐため外に排気する操作。放射性物質も一緒に漏れる。 午後六時すぎ、避難指示は二十キロ圏に。情報開示文書によると、放医研は翌十三日朝、「ハイリスク群に双葉地区住民」と分類していた。逃げ遅れた人たちの被ばくを心配していたことがうかがわれる。 一連の発言は、その八日後にあったことになる。「深刻」発言の経緯を相手側に聞いた。 記録を書き残していた保田氏は昨年十一月、今の勤務先の広島大で取材に応じた。「山下先生がOFCにいたのは一時間ぐらい。私としては当時、子どもたちがどれだけ放射線を浴びたか分からなかった上、原子炉の状態がはっきりせず、今後どれだけ浴びるかも見通せなかった」 事態を楽観できない中で「先生とは『チェルノブイリと同じようなことが起こりうる』と意見が一致した。被ばく線量の話は直接しなかったが、甲状腺被ばくで後に子どもの甲状腺がんが増えるかもしれないと」。そういう内容の話をしたという。 保田氏はさらに説明する。「先生がOFCに来たのは、対策を考えてほしいという趣旨だった。県内全エリアという意味合いだったはず。チェルノブイリでも原発から離れたところで(汚染の程度が)高い場所があるから。食品制限を言っていたのと、県立医大にいる甲状腺の先生に協力してもらうのがいいと助言された。指示は具体的で、問題意識が高かった印象」 昨年十二月、立崎氏も取材した。「山下先生が『場合によってさらなる避難を考えないといけない』と話したのを覚えている。私は原子炉が安定していると全然思っていなかった。いつ大量放出になるかと。OFCの総括班の人もおり、説得力がある先生に話してもらえて有意義だった」 二人の話は、「保田氏が悪い状況を想定した」「私は状況把握に異を唱えなかっただけ」という山下氏の本紙への回答と二点で食い違う。一つは、深刻な被ばくが起きかねないと意識した地域。二人の話の通りなら、かなり広い地域を心配していたことになる。 もう一つは山下氏の姿勢。回答からは、放医研の二人に対して相づちを打ったような印象。しかし、二人の話では、山下氏が強く対策を求めている。 情報開示請求で県立医大の文書を手に入れた。「ニコニコ」発言の前日、一一年三月二十日にあった内部会合の議事概要だ。「県民への広報、情報発信について」で山下氏の名が挙がり、「心配ない旨話をしていただく」とあった。医大に頼まれて安心を強調したのか。山下氏は、取材では否定したが…。 二十四日からは国による子どもの甲状腺被ばくの測定が始まった。山下氏と会った保田、立崎両氏も携わっている。二人は事態を楽観していなかったはずだ。しかし国は対象地域を原発の三十キロ圏外とし、千八十人を調べただけだった。 (随時掲載します) デスクメモ 2019・1・28 二〇一一年三月二十一日の本紙一面には、福島第一原発への送電復旧状況を報じる見出し。第二社会面には冷却のための放水作業を伝える記事「消防隊員 試練乗り越え」、特報面には原発停止と総点検を促す専門家の声がある。緊迫した日々から、まだ八年弱しかたっていない。 (本)
2019年9月1日、東京電力が福島第一原発1/2号機排気筒(高さ120m)の最頂部の切断、撤去に成功。舞い散る放射能汚染は?(2)
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[解説] (1)はじめに 風に舞い散る放射能を報道しない新聞各紙 東京電力が2019年9月1日(日)、福島第一原発1/2号機排気筒の最頂部(高さ2.3m、重さ4トン)の切断、撤去に成功しました。朝日、毎日、東京、読売のうち、朝日と東京は報道しましたが、毎日、読売はガン無視です。この2社は、福島第一原発1/2号機排気筒の解体工事の開始は報道したのに、その後の作業が何度も中断したこと、最頂部を切断・撤去が行われ、放射性物質が環境中にばら撒かれた可能性を示唆するような報道は一切ありませんでした。すなわち、東京パラリンピック・オリンピックまでは、廃炉作業に伴う放射性物質の拡散のニュースは一切しないと、この2社は決めたようです。編集部に国際原子力機関(IAEA)の職員が常駐でもしているかのようです。 また、朝日新聞は、福島県版では「作業は被曝の恐れから遠隔操作を主としているが、早くも現場に人の投入という『最終手段』が使われた結果となった」と書きながら、全国版ではこの部分を一切カットしました。 福島民友、福島民報は、福島第一原発1/2号機排気筒の最頂部の切断、撤去について報道しましたが、作業員の投入について一切触れませんでした。福島の地方紙がなぜ、作業員の被ばく問題を報道しないのでしょうか?報道するのは明るいニュースだけ?「福島復興」に限定した報道姿勢がうかがわれます。作業員の多くが福島県民であるのに、作業での被ばく問題を報道しない、2社の報道姿勢は改めるべきです。 唯一、東京新聞が福島第一原発1/2号機排気筒の最頂部(高さ2.3m、重さ4トン)の切断、撤去に作業員が投入されたことを、独自に望遠カメラで作業の様子を撮影した写真とともに詳報しました。ツィッターでも「東京新聞原発取材班」@kochigen2017さんが、9月1日の作業のようすツィートしていました。原発問題を考えるなら、読むべきは東京新聞です。地方でも「全般」に注文すると、郵送料込みで月間で注文することができます。 全般 電話 03-5226-5450 しかし、いずれの報道も、この排気筒の解体工事で放射能が舞い散る危険性については触れていません。1号機、2号機のベントで使われた排気筒。高濃度の放射能が、それもメルトダウンして圧力容器、格納容器が爆発しそうになったから、または2号機の圧力抑制室が爆発しそうだからベントしたときの放射能は付着しているはずなのに。 ちなみに、放射線、放射線、と専門家は言います。「放射能とは放射線を出す能力のことだ。放射性物質を放射能と呼ぶのは間違いだ」と。これはうそです。日本では、放射線を出す物質のことをもともと、放射能と呼んでいました。アルファ線、ベータ線、ガンマ線が人体に影響するのではありません。放射能がからだの外部または内部にあるからそこから出るアルファ線、ベータ線、ガンマ線が人体に影響するのであって、「アルファ線、ベータ線、ガンマ線」が単独で存在するのではありません。また、内部被ばくした場合、「アルファ線、ベータ線、ガンマ線」が問題である前に、放射能(この場合、放射性物質という意味で用いています)がどんな核種なのが、が大事です。ヨウ素131ならばあっと言う間に甲状腺に集積するし、セシウム137ならば腸管から吸収されて血液に乗り全身の各臓器へ、心臓や脳にも溜まります。ストロンチウム90ならば腸管から吸収されて骨へ。プルトニウムは呼吸で取り込まれた場合は、粒径が0.1マイクロメートル(μm)以下ならば50%以上は肺胞の中に吸着されていきます。 図1 プルトニウム 肺の各領域における粒径分布による差 原子力委員会 1969年11月13日 そこで、蓄積された臓器や組織のそれぞれの場所でベータ線やガンマ線を出すのです。しかし、ストロンチウム90はベータ線しか出しません。プルトニウム239もアルファ線しか出しません。同じプルトニウムでもプルトニウム241はベータ線しか出しません。放射能によって蓄積する臓器が異なり、そこでアルファ線、ベータ線、ガンマ線を出すのですから、被ばく影響も放射能の核種によって違うのです。放射線、つまりアルファ線、ベータ線、ガンマ線で被ばく影響を議論するのは詐欺である、と言えます。「放射線、放射線」と核種を無視した、人体への健康影響を説明する学者がいたら「ああ、これは何かを誤魔化そうとしているな」と考えるべきです。 (2)1号機からの散乱ガンマ線の影響を主張する東京電力 測ったのはガンマ線のみ 東京電力は、この1/2号機排気筒のガンマ線量が300マイクロシーベルト/時(高さ60m)~80マイクロシーベルト/時(高さ120m)であったことを公表しています。 <参考>福島第一原子力発電所1/2号機排気筒解体計画について(準備作業・解体前調査の報告) 東京電力 2019年4月25日 ガンマ線量しか測っていないのに、「筒身内部の汚染は少なく」と評価し、また、線量の原因を1/2号機排気筒内部に付着した放射能のせいではなく「(はるか下にある)1号機オペフロからの散乱線の影響」だとしています。噴飯ものの説明です。 図2 排気筒の解体前の調査結果 γ線スペクトル 福島第一原子力発電所1/2号機排気筒解体計画について(準備作業・解体前調査の報告) 東京電力 2019年4月25日 ちなみに「オペフロ」とは原子炉建屋の最上階で、使用済み核燃料の交換が行われる場所。また、「散乱線」とは「散乱ガンマ線」のことで、強いエネルギーを持つガンマ線は数100メートルも飛びます。しかし、ウランやプルトニウムが核分裂してできた死の灰、さらに、メルトダウンしてできた死の灰は、ガンマ線を出すものばかりではありません。セシウム137やセシウム134に次いで多く生成したストロンチウム90は、ガンマ線を出しません。上記のガンマ線スペクトルはガンマ線だけを測ったものですから、ストロンチウム90はあるかないかは分からないのです。それを東京電力は、セシウム134、セシウム137しかなかった、としています。この説明で現場に作業員を投入したのだとしたら、これは悪質な不当労働行為です。現場作業における健康被害の影響を説明なく、現場に人間を投入したことになります。 図3 オペフロとは 日本原子力学会 原発用語集 この資料の(1)に、1/2号機排気筒の周辺の線量は、東京電力が言うような、1号機原子炉建屋のオペレーティングフロアからの散乱ガンマ線の影響ではなく、排気筒の下部に付着した放射能の影響であることを論証してあります。また、排気筒のあちこちに高濃度の放射能は付着していることも分析してあります。 <参考> 2019年9月1日、東京電力が福島第一原発1/2号機排気筒(高さ120m)の最頂部の切断、撤去に成功。舞い散る放射能汚染は?(1) (3)1号機、2号機のベントはいつ行われたのか?その影響は? 資料に基づき、1号機、2号機のベントおよび2号機の圧力抑制室の底抜けがいつ起こったのか、時系列で分析してみます。ただし、このデータでさえ、いじられている可能性があります。少なくとも、政府原子力災害対策本部に伝えられた情報は誤っています。 図4 福島第一・第二原子力発電所事故について 原子力災害対策本部 2011年3月17日 7:30現在 1号機の原子炉格納容器(PCV)の圧力の推移を見ると、ベントが行われたのは政府原子力災害対策本部に伝えられた2011年3月12日9:07ではなく、2011年3月12日14:30です。この2011年3月12日14:30に石川梵氏が福島第一原発の1/2号機排気筒から北西の方角に白く棚引くプルームを撮影しています。福島第一原発の北西の方角には、双葉町民が避難していました。双葉町の町長だった井戸川克隆氏は、原発の北西約四キロの町役場近くにいました。「付近に三百人ほど。上羽鳥(かみはとり)近くにも多くの人がいたと聞いた。子どもも妊婦もね」と井戸川克隆氏は東京新聞の取材に答えています。<参考>こちら特報部 背信の果て(下) 「甲状腺問題意識高く」 当時の関係者 広い範囲を心配 回答と食い違いか 2019年1月28日 東京新聞 朝刊25面 図5 1号機のベントは2011年3月12日14:30pm 時系列 図6 1号機のベントの白煙 2011年3月12日 14:40頃 石川梵氏撮影 <参考>こちら特報部 背信の果て(下) 「甲状腺問題意識高く」 当時の関係者 広い範囲を心配 回答と食い違いか 2019年1月28日 東京新聞 朝刊25面 専門家の中には、1号機のベントはウェットウェルベントと呼ばれる、圧力抑制室の中の水を通してベントは行ったので、「水に溶けやすい放射性ヨウ素は99%取り除くことができる」とデマを語っている者がいます。実際には、この1号機のベントの14分後に、双葉町上羽鳥のモニタリングポスト(福島第一原発の北西5.6km)で4600マイクロシーベルト/時の空間線量が一時的に観測されています。大量のヨウ素131が空気に含まれていたことは想像に難くありません。 図7 原発事故 克明な放射線量データ判明 2014年3月11日 NHK NEWS WEB <参考> 原発事故 克明な放射線量データ判明 2014年3月11日 NHK NEWS WEB 1/2号機排気筒の内側には、この1号機のベントの際の放射能が付着しているのです。セシウム134,セシウム137だけのわけがありません。また、1号機建屋のオペレーティングフロアはこの8年間でかなり放射能汚染がれきが撤去されました。しかし、1/2号機排気筒の内部は手つかずのままです。これをオープンエアで解体しようとしている東京電力は、放射能拡散による健康被害の責任を取ることはできません。責任を取るつもりがないから「放射能はついていない」と言っています。 2号機についてです。まず、2号機爆発の前日2011年3月14日18:02に原子炉圧力容器から圧力抑制室(S/P)に蒸気が逃がされました。上記、図3のサプレッションプールと書いてある場所です。 図8 2号機の原子炉圧力容器から圧力抑制室への蒸気逃しは2011年3月14日18:02pm それが、2号機格納容器のドライウェルから直接漏洩したのが、2011年3月15日7:20amと解析されています。しかし、同日、6:10amには2号機建屋でも爆発音が起きています。この時に圧力抑制室が破壊されたと考えられています。同時に、1/2号機排気筒にも大量の放射能が通過したことでしょう。 図9 2号機ドライウェルからの直接の一部漏洩(推定)は2011年3月15日7:20am 図10 2号機の事故の時系列経過 先の2014年3月11日のNHK NEWS WEBの報道にょれば、東電福島第一原発事故で環境中に出された放射能のうち、4割が2号機、2割が1号機です(残り3割が3号機)。2号機は建屋は爆発していませんから、ほとんどがこの1/2号機排気筒を通じて、環境中に放出された可能性があります。1号機のベント+2号機の圧力抑制室の破壊分の放射能がここを通過したのです。 (4)1/2号機排気筒の下部には、25シーベルト/時、15シーベルト/時の放射能が付着しています 東京電力が2013年に調べたところによれば、1/2号機排気筒の下部に25シーベルト/時の線源①、15シーベルト/時の線源②があります。これはほぼ、使用済み核燃料に近い線量です。 図11 福島第一原子力発電所1/2号機排気筒の下部線量測定について 線源における線量率の測定 2013年12月6日 東京電力 これは2013年楢葉町井出川河口で見つかった高線量の放射性物質と似ています。 図12 楢葉町で発見された高線量がれき 2013年6月20日 7月2日 7月5日 図13 楢葉町で発見された高線量がれき 2013年6月20日 7月2日 7月5日 放射能分析結果 図14 楢葉町で発見された高線量がれき 2013年6月20日 7月2日 7月5日 放射能分析結果 2 しかし、楢葉町で見つかった高線量がれきですら、もっとも高いもので400マイクロシーベルト/時です。25シーベルト/時、すなわち25000マイクロシーベルト/時とは比べものになりません。1/2号機排気筒の下部には少なくとも、上記楢葉町の高線量がれきと同じ、ストロンチウム90、プルトニウム239+240、プルトニウム238+アメリシウム241、キュリウム242、キュリウム244が存在する、と考えられます。それも排気筒に付着しているものは、楢葉町の高線量がれきの62.5倍以上の放射能を持つと推定されます。 (5)1トンのウランが燃えた場合にできる死の灰の放射能とは? ウランが燃えると、できるのはセシウム134やセシウム137だけではありません。もっとも多くできるのが質量数で95付近と138付近の元素です。以下は、MOX燃料の場合です。MOX燃料の場合は、質量数が99付近と135付近の元素ができます。質量数が99ではテクネチウム99、質量数が135とはセシウム135(もともとはキセノン135)が代表例です。 図15 核燃料から生み出された「死の灰」の収率 Physics of Uranium and Nuclear Energy World Nuclear Org したがって、質量数99や質量数135を中心に実にさまざまな核種が原発の使用済み核燃料に含まれていました。それがメルトダウン、爆発あるいはベントで環境中にばら撒かれました。そのベントでは1/2号機排気筒を使ったわけですから、排気筒の内側には以下の放射能がついています。以下は、1トンの使用済み核燃料から取り出した高レベル廃棄物中の放射能です。第1位はセシウム137ですが、第2位はストロンチウム90です。ストロンチウム90はガンマ線を出しません。ベータ線しか出しません。東急電力が1/2号機排気筒のガンマ線の線量しか測らなかったのは、ストロンチウム90が環境中に拡散する危険性を隠すためであった、と考えらます。また、次に多いのはアメリシウム241ですが、これはアルファ線しか出しません。以下のように、もっと多いセシウム137だけがガンマ線を出すのであり、東京電力の言う「セシウム134、セシウム137しか排気筒の線量から見つからなかった」は明らかな虚偽説明であり、「セシウム134、セシウム137しか測らなかった」が真実です。少なくともベータ線汚染、アルファ線汚染を測るべきです。ちなみに、高さ120mまでは、1号機建屋オペレーティングフロアのベータ線やアルファ線は飛んできません。排気筒の汚染だけが測れます。 セシウム137 ベータ線、ガンマ線(←ガンマ線を出すのはこの中でセシウム137だけ) ストロンチウム90 ベータ線のみ アメリシウム241 アルファ線のみ アメリシウム243 アルファ線のみ テクネチウム99 ベータ線のみ プルトニウム240 アルファ線のみ プルトニウム239 アルファ線のみ ネプツニウム237 アルファ線のみ セシウム135 ベータ線のみ 図16 1トンの使用済み核燃料から取り出した高レベル廃棄物中の放射能 Physics of Uranium and Nuclear Energy World Nuclear Org 東京電力が言う、「排気筒の線量はセシウム134、セシウム137のガンマ線による」「その線量は地上にある1号機建屋オペレーティングフロアからの散乱ガンマ線の影響」は両方とも虚偽です。また、ベントや圧力抑制室の破壊で放出された核燃料物質、核燃料デブリの粒子がこびりついている排気筒をオープンエアで解体するべきではありません。ただちに作業を中止し、覆いの中で解体を行うべきである、と考えます。
焦点 香港「逃亡犯条例」改正案撤回 「警察の暴力、許せぬ」 調査委求めデモ激化も 毎日新聞 2019年9月5日 朝刊2面
2019年09月05日内部被ばくと健康被害 資料
焦点 香港「逃亡犯条例」改正案撤回 「警察の暴力、許せぬ」 調査委求めデモ激化も 2019年9月5日 毎日新聞 朝刊2面 [解説] 香港の自由と民主主義を守る闘いに連帯します。「逃亡犯条例」改正案の完全撤回は勝ち取れましたが、民主派は5大要求を掲げ闘っています。 読売新聞などは、今朝の朝刊1面、8面で「逃亡犯条例」の完全撤回に触れた報道をしながら、民主派の求める「5大要求」について一切触れません。「読売読むと世の中が分からなくなる」、です。 毎日新聞が、民主派に寄り添った記事を掲載しています。しかし、毎日新聞は、一方で東京電力福島第一原発の1/2号機排気筒の最頂部(高さ2.3m、重さ4トン)の切断、撤去について、一切報道していません。読売新聞もです。 毎日新聞、読売新聞は、完全に国際原子力機関(IAEA)のコントロール下に置かれたようです。危険な福島第一原発廃炉に関する報道は、東京パララリンピック、オリンピックまでは一切、報道しない、と編集部が決めたのでしょう。 できるはずもない、2021年から2号機の核燃料デブリ取り出し決定など「明るいニュース」だけ伝えるのでしょう。 東電福島第一廃炉については、東京新聞が頑張っています。読むなら、東京新聞。 焦点 香港「逃亡犯条例」改正案撤回 「警察の暴力、許せぬ」 調査委求めデモ激化も 2019年9月5日 毎日新聞 朝刊2面 香港の林鄭月娥(りんていげつが)行政長官が「逃亡犯条例」改正案の「完全撤回」を表明したことで、6月上旬から続く政府への大規模な抗議活動は一つの節目を迎えた。ただ、デモ隊側の「警察の暴力的な対応は許せない」との反発は激しい。今回の「勝利」を弾みとして今後、「5大要求」の貫徹を目指して抗議活動が強化される事態も想定される。 香港政府は、デモのきっかけとなった「逃亡犯条例」改正案が完全撤回されたことで、市民の批判がデモ隊の一部の過激な若者らに向かい、運動が次第に収束するシナリオを描く。デモに伴い観光客が減少するなど、経済への悪影響も広がっている。市民の間に、残りの4要求を求めて激しいデモを続けるよりも、社会の安定を求める声が広がることを期待しているためだ。 林鄭氏は4日に発表した談話で「ごく少数の者が『1国2制度』に挑戦し、中央政府を攻撃し、国旗と国章を汚し、香港を危険な状況へと追いやった。香港政府はあらゆる違法行為や暴力行為に対して厳しく対処する」と述べ、過激化した若者らを強く非難した。 だが、政府の思惑通りに事態が進む可能性は、現状では低そうだ。「今さら条例案を完全撤回しても遅すぎる。5大要求を政府がすべて受け入れるまで、抗議活動は続ける」。デモに参加してきた女性(25)は取材に吐き捨てるように語った。インターネット上でも「5大要求は一つも欠けてはならない」「民主的な選挙を」などといった書き込みが相次ぐ。 特に深刻なのが警察への怒りだ。衝突が激化する中で警察は取り締まりを強化し、若者らには負傷者が続出。地下鉄の車両に逃げ込んだ若者らを警官が激しく殴りつける映像などが拡散され、デモ隊の怒りはもはや憎悪の域に達している。若者らもレンガや火炎瓶を警官隊に投げるなど過激化しているが、世論の批判は主に警察に向かう。 デモ隊が求める独立調査委員会を設置すれば、警察官が処分を受ける可能性が出てくる。約3万人の警察官が連日のデモ対応で疲弊しきっている中、さらに士気を大きく損ねる恐れがある調査委設置は林鄭氏にとって難しいのが実情だ。 市民の不満の根底には、行政長官選挙や立法会(議会)選挙が親中派に有利な仕組みで、民意が反映されていないことがある。今月28日には、民主的な選挙制度の実現を求めた大規模デモ「雨傘運動」の開始から5年の節目を迎える。11月24日には区議会議員選挙もある。また林鄭氏が要求通りに辞任したとしても、事態を好転させられる後任の人物は見当たらないのが実情だ。辞任から半年以内に行政長官選挙を実施しなければならず、5大要求の一つでもある民主的な選挙制度を求めてデモがさらに激化する可能性もある。【香港・福岡静哉】 中国、分断図る 中国は「逃亡犯条例」改正案の「完全撤回」が事態の収拾につながるか慎重に見極める方針だ。10月1日には新中国建国70年の重要な節目を控えており、香港政府に対して抗議デモへの厳しい対応を促すとみられる。 中国政府はこれまで、デモ隊側に譲歩しない強硬な態度を続けてきた。香港問題を担当する国務院香港マカオ事務弁公室の楊光報道官らは3日、北京で記者会見し、デモ隊が条例改正案の完全撤回などを求めた「5大要求」について「政治的な脅迫」と批判していた。 ただ、条例改正案の撤回を巡っては、6月の段階で既に「廃案」は決まっており、実質的な影響は小さくなっていた。北京の外交筋は「中国にとって完全撤回は最も受け入れやすい要求」と指摘していた。 中国政府は香港政府の対応を通じて「少数の暴徒と大多数の香港市民」を分断する戦略を鮮明にしている。今回の譲歩によってデモ参加者の足並みが乱れ、収束に向かう流れを期待しているとみられる。 中国政府の危機感は、デモの焦点が条例改正案完全撤回から普通選挙の実施などの民主化要求に広がっている点に移っている。楊氏は3日の会見で「(抗議デモの)矛先が、条例改正案と無関係になり、香港の統治権の奪取と『1国2制度』の有名無実化に向かっている」と指摘した。 中国の趙克志(ちょうこくし)国務委員兼公安相は先月26日、広東省を視察し、「国家の政治的安全を断固として守らなければならない」と述べ、国内への混乱の波及に警戒を強めていた。 一方で、香港情勢は台湾の統一戦略にも直結する。台湾は来年1月に総統選挙を控える重要な時期にある。独立志向のある民進党の蔡英文総統はデモ隊への理解を示して民主主義の価値観を強調し、再選への追い風を受ける形になっている。香港からも2014年の香港民主化デモ「雨傘運動」の元リーダーの黄之鋒氏が3日から台湾の民進党本部などを訪ね、共闘を呼びかけた。 習近平指導部は国家の主権や統一に関わる動きに神経をとがらせており、今後も中国軍の香港駐留部隊や武装警察(武警)の介入をちらつかせて最大限の圧力を続けるとみられる。【北京・河津啓介
2019年9月1日、東京電力が福島第一原発1/2号機排気筒(高さ120m)の最頂部の切断、撤去に成功。舞い散る放射能汚染は?(1)
2019年09月04日内部被ばくと健康被害 資料
[解説] 根元に25シーベルト/時、または15シーベルト/時もの放射性物質が付着している、1/2号機排気筒の最頂部が2019年9月1日切断、撤去されました。東京新聞が報道したところによれば、この120mもある1/2号機排気筒の高さ45mのところに1箇所、高さ66mのところに4箇所、計5箇所の傷んだ部分があります。 1/2号機排気筒の5箇所の傷んだ部分 こちら原発取材班 福島第一原発 傷んだ排気筒はこう解体する 2018年12月5日 東京新聞 朝刊4面 1/2号機排気筒の5箇所の傷んだ部分拡大123 こちら原発取材班 福島第一原発 傷んだ排気筒はこう解体する 2018年12月5日 東京新聞 朝刊4面 1/2号機排気筒の5箇所の傷んだ部分拡大45 こちら原発取材班 福島第一原発 傷んだ排気筒はこう解体する 2018年12月5日 東京新聞 朝刊4面 東京電力が2013年11月21日、11月22日1/2号機排気筒の下部の線量を測定し、その結果から分析したところによれば、排気筒の下部に約25シーベルト/時(線源①)、約15シーベルト/時(線源②)がある、としています。 <参考>福島第一原子力発電所1/2号機排気筒の下部線量測定について 東京電力 2013年12月6日 福島第一原子力発電所1/2号機排気筒の下部線量測定について 線量率測定結果 2013年12月6日 東京電力 pp.3 福島第一原子力発電所1/2号機排気筒の下部線量測定について 線源における線量率の測定 2013年12月6日 東京電力 pp.4 2019年4月25日、東京電力は今回の1/2号機排気筒解体作業を行うにあたって、排気筒内外の線量を測定し、その結果を公表しました。 <参考> 福島第一原子力発電所1/2号機排気筒解体計画について(準備作業・解体前調査の報告) 東京電力 2019年4月25日 この中で、東京電力は排気筒の外部と内部の線量率の測定結果(ガンマ線のみしか測っていない!)から、放射能汚染の線源はセシウム134とセシウム137のみだと断定し、また、その高い線量率の原因は、排気筒内部にある放射能汚染源ではなく、1号機建屋のオペレーティングフロアからの散乱ガンマ線の影響だとしました。したがって、排気筒の放射能汚染は少ない、と断定しました。その上で、今回の1/2号機排気筒解体作業は、覆うカバーが一切なく、オープンエアで行われています。 図1 排気筒の解体前の調査結果 γ線スペクトル 福島第一原子力発電所1/2号機排気筒解体計画について(準備作業・解体前調査の報告) 東京電力 2019年4月25日 図2 1/2号機排気筒 筒身内部・外部の線量測定結果の比較 東京電力 2019年4月25日 どんな放射性核種が舞い散る可能性があるのか、はこの資料の続編(2)で詳しくみていきます。少なくとも セシウム137 ベータ線、ガンマ線 ストロンチウム90 ベータ線のみ アメリシウム241 アルファ線のみ アメリシウム243 アルファ線のみ テクネチウム99 ベータ線のみ プルトニウム240 アルファ線のみ プルトニウム239 アルファ線のみ ネプツニウム237 アルファ線のみ セシウム135 ベータ線のみ が1/2号機排気筒内部に付着しているはずです。なぜ、ガンマ線スペクトル分析でセシウム137だけしか検出されなかったのか?それは、上記にあるように、以下は一切、ガンマ線を出さないからです。 ストロンチウム90 ベータ線のみ アメリシウム241 アルファ線のみ アメリシウム243 アルファ線のみ テクネチウム99 ベータ線のみ プルトニウム240 アルファ線のみ プルトニウム239 アルファ線のみ ネプツニウム237 アルファ線のみ セシウム135 ベータ線のみ すなわち、東京電力の言う「セシウム137しか検出されなかった」は虚偽説明であり、「アルファ線核種、ベータ線核種が大量に排気筒内部に付着している可能性が極めて高い」が「ガンマ線核種しか測定していない」のが正しい、説明です。 また、「1号機オペレーティングフロアからの散乱ガンマ線が、排気筒の線量率の原因」との東京電力の説明には笑うしかありません。よくもそんなウソがシャアシャアと言えるな、という感想を持ちました。 確かに、上記 図2 1/2号機排気筒 筒身内部・外部の線量測定結果の比較 東京電力 2019年4月25日 のグラフを見ると、下部からのガンマ線の影響を強く受けている印象を受けます。しかし、不思議なことにこの1/2号機排気筒の外部線量の測定結果、60m以上、上しかありません。 図3 排気筒の解体前の調査結果 外部線量測定結果 福島第一原子力発電所1/2号機排気筒解体計画について(準備作業・解体前調査の報告) 東京電力 2019年4月25日 なぜ、60m~120mの線量の測定結果は公表し、0~57mの線量の測定結果は公表できないのか?それは、排気筒の線量の原因が、1/2号機排気筒の下部の線源①や線源②、いやそれだけではなく、シーベルト/時単位の線源があるからではないでしょうか。原因は1号機建屋のオペレーティングフロアではありません。 上記、図2「1/2号機排気筒 筒身内部・外部の線量測定結果の比較 東京電力 2019年4月25日」のデータを手で打ち込みなおし、高さ0mからのグラフに直してみました。 図4 1/2号機排気筒 外部γ線量率 mSv/h 2019年4月13日、4月18日 東京電力測定 ガンマ線の線量は、距離の二乗に反比例して減衰していきます。この逆二乗の法則から求めた線量率が、上記グラフに重なるようにするためには、地表0mに1000ミリシーベルト/時の線源がないといけません。地表0mに1000ミリシーベルト/時の線源があるとした場合の計算値のグラフが以下です。 図5 1/2号機排気筒 外部γ線量率 mSv/h 地上0mでの線量率を1000mSv/hとし、逆二乗の法則から求めた計算値 川根眞也 これが正しいとするならば、地表に1000ミリシーベルト/時、すなわち、1シーベルト/時の線源があることになります。しかし、東京電力が2018年7月23日~8月2日に1号機建屋のオペレーティングフロアの線量調査を行った結果は、もっとも高い使用済み核燃料プール(SPF)周辺の崩落屋根の下でさえ、40~80ミリシーベルト/時だった、と報告しています。→1号機オペレーティングフロアの線量は高くて40~80ミリシーベルト/時。 図6 福島第一原子力発電所1号機オペレーティングフロア調査結果について 東京電力 2018年9月6日 <参考>福島第一原子力発電所1号機オペレーティングフロア調査結果について 東京電力 2018年9月6日 すなわち、1号機建屋オペレーティングフロアには、1000ミリシーベルト/時の線源はありません。すると、どこに1000ミリシーベルト/時の線源があるのでしょうか?論理的な結論は原発事故から8年と6か月手つかずのままになっている、1/2号機排気筒の下部にある放射能汚染源が1000ミリシーベルト/時である、と考えざるを得ません。1号機、2号機のベントの時に、核燃料デブリそのものが付着していると考えるべきです。また、上記の図4「1/2号機排気筒 外部γ線量率 mSv/h 2019年4月13日、4月18日 東京電力測定」のグラフをていねいに見ると分かるように、ところどころ線量が跳ね上がっているところは、下部の放射能汚染源とは別の放射能汚染源が付着している、と考えるべきです。0.01ミリシーベルト/時上がるということは10マイクロシーベルト/時も上がるということです。とんでもないそこに汚染がある、ということです。 1/2号機排気筒をオープンエアで解体するべきではありません。セシウム137だけではなく、以下の放射能が環境中にばら撒かれるからです。東京電力はただちに作業を中断し、遮へいを行った方法での解体作業に切り替えるべきです。 セシウム137 ストロンチウム90 アメリシウム241 アメリシウム243 テクネチウム99 プルトニウム240 プルトニウム239 ネプツニウム237 セシウム135 ちなみに、上記の資料「福島第一原子力発電所1号機オペレーティングフロア調査結果について 東京電力 2018年9月6日」によれば、1号機建屋オペレーティングフロアにばら撒かれた瓦礫の粒子の92%が0.3~0.5マイクロメートル以下の粒子でした。PM2.5とは「2.5マイクロメートル以下の粒子」ということです。したがって、この0.3~0.5マイクロメートルの粒子は、北京からの黄砂がPM2.5となり、日本の東京まで2100km飛んで来るように、この1/2号機排気筒の放射能(主にベータ線核種とアルファ線核種)は、風向きと雨雲次第で日本全土どこにでも運ばれてきます。それどころか、北半球を回ることでしょう。 図7 オペレーティングフロア粒径分布測定結果 福島第一原子力発電所1号機オペレーティングフロア調査結果について 東京電力 2018年9月6日 繰り返します。東京電力はただちに作業を中断し、遮へいを行った方法での解体作業に切り替えるべきです。