<はじめに トリチウムは脳にたまりやすい>
トリチウムは脳にたまりやすいことを、京都大学原子炉実験所が研究の結果明らかにしていました。1985年の斉藤眞弘と石田政弘氏の論文です。
トリチウムの代謝と線量評価―ヒトのモデル系としてのマウス新生児に取り込まれたトリチウムの代謝と各臓器における蓄積線量の評価― 京都大学原子炉実験所 斉藤眞弘 石田政弘 1985年4月8日
この中で、ほ乳開始より離乳までの期間、母マウスにトリチウム水を投与し、 乳児マウスに間接的に母乳を通して乳児マウスにトリチウムを内部被ばくさせたところ、ほ乳開始30週目では、トリチウムは脾臓、腸、心臓、肝臓よりも、脳に10倍以上多く蓄積する。肺の3倍、腎臓の5倍も多く脳に蓄積することが分かりました。長期間飼育後でも、残留トリチウムは大部分が脂質, DNA, および蛋白質成分として存在しました。特に脳の脂質成分におけるトリチウムの残留は顕著で、他の臓器に較べて10~100倍の残留濃度を示していました。
<放射能が微量だから、人体には影響はない?は本当か?>
この重要な結論に対して、「有機型トリチウムになる確率は非常に低いから、体内に溜まらない。 動物実験ほどの濃いトリチウムは飲まない。」 と処理水放流推進派が言います、という指摘がありました。
まず、2つの理論があります。以下の2つとも虚構です。
(1)微量の放射線被ばくは安全である。人間には放射線によって傷ついたDNAを修復するシステムがあるから。
(2)健康被害は、受けた線量に比例する。これは何万人も広島、長崎の被爆者の寿命調査(LSS)で明らかにされた。→しきい値なし線量直線応答関係(LNT仮説)がある。だから、数ベクレル/Lのトリチウムなど、人体に影響があるわけがない。
図1 しきい値のない直線仮説って何 原子力ミニ百科 環境科学技術研究所
(1)の「微量の放射線被ばくは安全である。人間には放射線によって傷ついたDNAを修復するシステムがあるから。」について、以下の資料で徹底的に批判しました。長文ですが、是非、お読み下さい。
<参考>
大石雅寿氏の「福島安全論」神話。おしどりマコ氏、大石雅寿氏論座記事を名誉毀損と指摘。内部被ばくを考える市民研究会資料 2019年7月14日
放射線による影響では、DNAの欠失が特徴的ですが、この場合、たとえDNAが修復されても、細胞ががん化する危険性があります。DNAが修復されたら、がんにはならない、というのは放射線生物学を知らない人間の戯言です。E.J.Hallの『放射線科医のための放射線生物学』(篠原出版新社,1995年)にそのがん化のメカニズムが解説されています。同書pp.26~28。
図2 放射線による分裂間期における欠失形成を示す Eric.J.Hall 1つあるいは2つの荷電粒子により、DNAの1つのループを分断するような2つの切断がいかにして起こるかは想像に難くない。くっつきやすい端は再結合し、欠失は、中心体がないため次の分裂期で失われる。このDNA損失には、抑制遺伝子の損失も含まれており、その時には悪性変化に導く。
以下、特に(2)「健康被害は、受けた線量に比例する。これは何万人も広島、長崎の被爆者の寿命調査(LSS)で明らかにされた。→しきい値なし線量直線応答関係(LNT仮説)がある。だから、数ベクレル/Lのトリチウムなど、人体に影響があるわけがない。」について、その虚構を暴いていきます。
<しきい値なし線量直線応答関係(LNT仮説)はABCCが作り上げた理論>
広島、長崎の何万人も被爆者の長期に渡る健康調査(被ばく線量とがん死との関係、他)を調べた、世界に他に例を見ない疫学調査、といううたい文句に騙されてはいけません。現在では放射線影響研究所がその研究を引き継いでいますが、そもそも、この寿命調査(LSS,Life Span Study)は以下のような問題を含んでいます。長文ですが、「茨城の教育」茨城県高等学校教職員組合 2013年9月10日号から全文引用します。ABCCとはアメリカの「原子爆弾傷害調査委員会」のことです。
ABCC・放影研の「寿命調査」(LSS)
ABCC の「寿命調査」では、(A)「近距離被爆者」、(B)「遠距離被爆者」、(C)「市内不在者」の3つの群コホートが設定されている。ここで「被爆者」は、次の通り定義される。
(1)1950 年の国勢調査に際して原爆に被爆したと自己申告した者であって、
(2) 広島市ないし長崎市内に本籍があり、かつ市内に居住している者のうち、
(3a) 爆心地から2499m 以内で被爆した(A)「近距離被爆者」等
(3b) 爆心地から2500m 以上10km以内で被爆した者から抽出された(B)「遠距離被爆者」
したがって、(1) 国勢調査に漏れるなど「申告」しなかった者は含まれない。さらに、(2) 被爆していても、1950 年国勢調査時までに市外に転出した者、4万人以上いた軍人(広島は日清戦争以来、西日本最大の軍事都市であった)、数万人居住していたとされる朝鮮人などの「外国人」は含まれない(∵いずれも市内に本籍・住所がない。朝鮮人は原爆投下時点では日本国籍を有する「日本国臣民」だったが、1952 年のサンフランシスコ講和条約発効時に国籍を剥奪され、「外国人」となった)。
また、(3) 原爆被爆者のうち、爆風・熱線・放射線の直射・爆発後の火災等によって死亡した者、並びにそれらを生き延びたけれども1950 年までに死亡した者が、すべて除外される(∵生存していなければ自己申告できない)。爆風・熱線・放射線の直射・直後の火災等を生き延び、さらに1950 年までの5年間を生き延びた〈生存者〉だけが「被爆者」として調査対象となった。英文でのsurvivor を、「生存者」ではなく「被爆者」と邦訳したのは意図的な誤訳である。
ABCC は、サンプルにあらかじめ選択がかかっていることを認識していた。「寿命調査」の「研究計画書」には、「放射線急性傷害に耐えて生き残った人は平均より長く生きる可能性があるかもしれない」と記載されている。この選択は、放射線被ひばく曝の影響を小さく評価する方向で働くことになる。
その後1960 年代と1985 年に本籍の条件を外して範囲を拡大するなどしたが、他方で1950年国勢調査後の転出者(30%)が対象から外され、結局のところ2499m 以内の被爆者(=生存者)のほぼ半数が「寿命調査」の対象から外された。
(A)(B)「被爆者 survivior 群コホート」の対照群コホートとして設定されたのが「非被爆者群コホート」としての(C)「市
内不在者」である。「不在」と言っても原爆爆発時に10km 以内に「不在」という意味であり、爆発直後、救援等で爆心地付近へ立
ち入った「早期入市者」と、30日経過後に立ち入り、居住するようになった「後期入市者」からなる。これも1950 年国勢調査時点で広島市・長崎市に本籍と住所のある者に限られる。
原爆の直接放射線だけが対象 原爆による放射線被曝には、大別して次の3類型がある。
①〈直接放射線〉 爆発時の中性子線やガンマ線などの直接放射線による外部被曝(爆心地から1000m で半数致死線量の4G グレイy、2000m で100m ミリグレイGy のガンマ線。なお、アルファ線・ベータ線は地上には到達しない。「寿命調査」が設定する左表の値は建物や人体自体による遮しゃへい蔽後の結腸〔大腸〕が受ける線量のモデル)
②〈誘導放射能〉 直接放射線によって環境中の物質が放射能を帯びて生成された放射性物質(誘導放射能)による外部被曝と内部被曝
③〈放射性降下物〉 核分裂せず飛散したウラン・プルトニウムや核分裂生成物質が、はじめに火球ついでキノコ雲によって上昇し、さらに爆発後の市街の大火災による上昇気流によって運搬・拡散され、すす・霧・雨(「黒い雨」)として降り注いだ。それによる外部被曝と内部被曝(広島では爆発当日の海風によって放射性降下物は北北西方向に拡散した。「黒い雨」の区域は爆心地から東に10km、西に25km、北北西には40km の範囲に及んだ〔沢田昭二他『共同研究 広島・長崎原爆被害の実相』1999 年、新日本出版社、118 頁以下〕)
ABCC・放影研の「寿命調査」では、このうち、①直接放射線についてだけ、その暴露と疾病との関係を調査することになっている(ただし1km 以内では放射線量の過大評価、1km 以遠では過小評価があるなど実態にあわないとの批判がある)。原爆による放射線に暴露した集団と、まったく暴露していない集団の比較対照は最初から意図されていない。
②③はすべての集団(コホート)に共通する暴露要因であり、相当の被曝をもたらした(8月6日に爆心地から1km 以内に「入市」した場合には、平均して1.5Gy 被曝したと推定される。放影研は、十分な測定がおこなわれなかったことをいいことに、「誤差の範囲」だとして無視する。
ABCC は、以前は呉市住民を対照群とする調査を実施していた(上述)。「寿命調査」においても、同様に放射線被曝のない広島市以外の住民を対照群にすることも可能であったが、あえて対照群を広島市居住者とした。遠方だと手間がかかるというのにとどまらない、意図しておこなった選択である。
恣意的なデータ操作
「寿命調査」に関する報告書「第1 報」(1962 年) は、「非被爆者の死亡率は被爆者あるいは日本全国の平均と比較して異常に低い」ので「非被爆者は考慮せず異なった距離の被爆者間の比較をすることとした」という。
あきれるほど見え透いた恣意的データ処理である。「非被爆者の死亡率」が、「被爆者の平均と比較して異常に低い」のは、爆発時の直接被曝を受けていないのだから当然である。さらに、「非被爆者」26,961 人のうち、21,961 人(83%)を占める後期入市者の一部は、9月17 日の枕崎台風により誘導放射性物質や放射性降下物が洗い流され減少した後に入市したため、死亡率は低くなると推測される。
そしてまた「日本全国の平均と比較して異常に低い」ということだが、被爆者コホートの「生存者survivor」は、もし被爆しなかったとした場合、同様に全国平均と比べて「異常に低い」死亡率を示す可能性があるが、その点は考慮されない。
死亡率が低くて当然のものを「異常」と評価すること自体が異常である。都合の悪いデータを「考慮」しない疫学研究は妥当性を欠く。「非被爆者」のデータを勝手に無視する作為は、その後も引き継がれた。放影研は、白血病に関する1950 年から2000年までの死亡統計と、がんに関する1958 年から1998 年までの死亡統計において、残留放射性物質と放射性降下物による被曝者を含む「市内不在者」だけでなく、とうとう「被爆者」全体の4割以上を占める5mGy 未満の「遠距離被爆者」をも「対照コホート」としての「非被爆者群」に含めてしまった。
以上のとおり、放影研の「寿命調査」は、「放射線被曝者コホート」と「非−放射線被曝者コホート」とを厳密に設定して観察する本来の意味での疫学研究ではない。「寿命調査」では、「対照群」の中に残留放射能や放射性降下物による被曝者が多く含まれているため、それらの影響が差分としては表れるはずがない。残留放射能や放射性降下物による「低線量被曝」とりわけ内部被曝が健康に及ぼす影響が、放影研の「寿命調査」によって明らかになることは絶対にありえない。
はじめに結論ありき
「寿命調査」には、結論があらかじめ用意されていた。寿命に影響するわずかの変化を見いだすため、あるいは逆に寿命に対してはほとんど影響のないことを明らかにするためには大規模な死亡調査の実施の必要がある。
これは、誤った予断として後になって否定されたものではない。現在も放影研のウェブサイトに掲載されている「研究計画書」(前記URL)の記述である。
UNSCEAR(原子放射線の影響に関する国連科学委員会)は、「本委員会は、放射線の全身被ばくに関わる最も有益な唯一のデータは、1945 年の日本における原爆の被爆者の研究から得られると判断した」としたうえで、「例えば被ばくした米国の集団のリスクを推定する方法は、日本の原爆被爆者から導かれた推定値に基づいている」という。原爆の直接放射線以外の被曝に対して、放影研の「寿命調査」を留保なしに拡大適用しているのである。高線量外部被曝についての(それ自体にも問題のある)「寿命調査」の結果を、そもそも対象としていない内部被曝や低線量被曝について勝手に拡張して適用するもので、疫学を僭称する非科学的手法である。
RERF( 放影研)、UNSCEAR、ICRP の見解を金科玉条として、放射線被曝の健康被害を過小評価する言説には根拠がない。
*** 引用おわり ***
以上の茨城の教育が指摘している、ABCCの「寿命調査(LSS)」の問題を簡潔に要約すると、
(1)比べるべきは広島、長崎で原爆にあった被爆者と、原爆にあっていない非被爆者であるべき(対照群と言います)だった。しかし、ABCCは、当初計画されていた呉市の対照群を切り捨て、市内不在者(原爆で放射能汚染された野菜を食べ、汚染された川の水を飲んで内部被ばくをしている)を「非被爆者」とした。
広島、長崎で原爆にあった被爆者(外部被ばく+内部被ばく)と市内不在者(内部被ばく)を比べることにより、どちらも被ばくしているために、がん死等の差が出ないような調査結果を意図的に作り出した。
(2)アメリカ軍は1945年9月には広島、長崎に調査に入っているにもかかわらず、1950年まで、寿命調査(LSS)を開始しなかった。1945年12月末までに、広島で14万人以上、長崎で7万人以上が亡くなっています。その後も急性白血病で亡くなった方々が多数いるにもかかわらず、ABCCは原爆投下後5年間の死者、がん死、白血病患者を切り捨てて、寿命調査(LSS)を行った。
その結果、まとめられたグラフが以下です。
図3 広島、長崎の原爆生存者の結腸被ばく線量と固形がん死亡リスク 放射線影響研究所,1996年,Studies of the Mortality of Atomic Bomb Survivors. Report 12, Part I. Cancer 1950-1990
このグラフでは1シーベルト被ばくすると、がん死の過剰相対リスクが0.35になることを示しています。つまり、1シーベルト被ばくすると、被ばくしていない人1万人中10人ががん死すると仮定すると、1シーベルト(すなわち1000ミリシーベルト)被ばくした広島、長崎の生存者は13.5人ががん死する、ということです。シーベルト単位の被ばくをしない限り、がん死は増えない、という結論を導いていることになります。
しかし、この放射線影響研究所の疫学調査、それ以前のABCC(原子爆弾傷害調査委員会)の疫学調査は、原爆投下後の5年間に亡くなった被爆者を切り捨てている上に、原爆投下時に市外にいたというだけで同じく内部被ばくしている市民を「非被爆者」として対照群にすることで、1シーベルト以下ではがん死が増えないかのような調査結果を導き出しています。原爆に直接被ばくしなくとも、広島市や長崎市で放射能汚染された野菜を食べ、放射能汚染された川の水を飲めば、同じようにがんで亡くなる率が上昇したはずです。1シーベルト以下の部分は、「被爆者(直接広島、長崎で原爆に被ばく)」ー「被爆者(原爆投下に広島、長崎に入市。内部被ばく)」=0になっているだけの話です。本来は、1シーベルト以下でも「被爆者(直接広島、長崎で原爆に被ばく)」ー「非被爆者(広島、長崎以外の一般市民、外部被ばくも内部被ばくもなし)」=α(アルファ)になるはずです。
欧州放射線リスク委員会では、低線量での健康被害は以下のような2つのこぶを持つ曲線になる、としています。
図4 ブルラコワとバズビーの二相的線量応答関係 ECRR2010年勧告
このグラフを最初の部分を削除し、全体を下に下げると以下のようなグラフが出来上がります。これは、先の放射線影響研究所の広島、長崎の生存者のがん死リスクのグラフとそっくりです。
図5 ブルラコワとバズビーの二相的線量応答関係から最初の部分を削除し、全体を下に下げると以下のようなグラフが出来上がる ECRR2010年勧告
アメリカは、原爆の放射線の人体に対する影響を過小評価し、核兵器開発を続けるために、広島、長崎の被爆者のデータを自分たちに都合がいいように入れ替えたのです。本来は、被爆者と非被爆者とを比べなくてはいけないのに、被爆者(外部+内部)と被爆者(内部)とを比べることで低線量被ばくの部分のがん死がないかのような結論を導きました。
しかし、真実は以下です。1シーベルト以下の被ばく線量と健康被害との関係は以下のようになるはずです。
図6 1シーベルト以下の被ばく線量と健康被害との関係を示唆する最初の部分のグラフ
すなわち、数十ミリシーベルトの内部被ばくは、数シーベルトの外部被ばくに匹敵する健康被害である可能性があります。図1のしきい値なき直線線量応答関係(LNT仮説)は以下のように単純化されます。
図7 しきい値なしのモデルとリスク受容の課題 中西準子 日本学術会議 2013年9月5日
これは、中西準子氏が日本学術会議で行った講演資料です。日本学術会議もアメリカの核戦略のための広島、長崎の被爆者データの入れ替えの誤ったグラフに基づく、しきい値なし直線線量応答のグラフ(LNT仮説)があたかも正しいかのように思い込んでいる学者が多数派です。このしきい値なし直線線量応答のグラフ(LNT仮説)に基づくと、年間20ミリシーベルトは自然放射線のたった10倍程度だから安全、などという結論になってしまうのです。
真実は違います。数ベクレルのトリチウムを摂取しただけで、健康被害を起こす可能性はあります。自然界のレベルと同じかどうかではなく、人工トリチウムは1点に濃縮した状態であることが問題です。ベクレル/kgで単純に比較することはできません。自然界で宇宙線が大気とぶつかることによってできるトリチウムは確率的な問題で生まれます。したがって、全地球規模に平均的にトリチウムは発生します。ただし、地磁気の関係で北極周辺と南極周辺はトリチウムがたくさんできます。それに対して、イギリス、フランスの核燃料再処理工場では、トリチウムが排水となって流れ出ます。これは自然界にあるのは比較にならないほど、1点に集中して流れ出ると考えるべきです。イギリスのセラフィールド再処理工場、フランスのラ・アーグ再処理工場の海の周辺では、子どもの白血病が多発しています。
<参考>
欧州放射線リスク委員会 ECRR2010年勧告 第11章 被曝に伴うガンのリスク、第2部:最近の証拠 第11.1節 核施設とその周辺
これはトリチウムだけが原因と考えることはできません。再処理の汚染水を薄めて、「基準値以下にして流せば大丈夫」とストロンチウム90やプルトニウム239なども微量ですが、流されているからです。
トリチウムが白血病を引き起こす可能性については、トリチウムが放出される前とトリチウムが放出された後の白血病の患者数を調べることで、因果関係が分かります。玄海原発の目の前の壱岐島では、玄海原発の稼働前の成人の白血病が、玄海原発が稼働後には、6倍にもなりました。
<参考>
壱岐市、白血病死亡率 玄海原発稼働後、約6倍に増加 2019年3月5日 壱岐新報 内部被ばくを考える市民研究会資料 2019年7月28日
しかし、国際放射線防護委員会(ICRP)の放射線防護理論では、このようなトリチウムの放出によって「成人の白血病は増えるわけがない」となります。それは、トリチウムと成人の白血病の因果関係が間違っているのではなく、国際放射線防護委員会(ICRP)の放射線防護理論が間違っているのです。トリチウムががんを引き起こす影響評価、実効線量係数が低すぎるのです。国際放射線防護委員会(ICRP)は、第2次世界大戦後、アメリカが主導で作った放射線防護の国際組織であり、アメリカ原子力委員会によって牛耳られてきた経過があります。また、その放射線防護理論は、先に紹介したABCC(原子爆弾傷害調査委員会)の広島、長崎の被爆者のデータ解析に基づいているのです。つまり、過小評価です。ABCCは「原爆の放射線によって遺伝的影響がなかった」という結論も出しています。
<参考>
広島、長崎の被爆者に放射線の遺伝的影響は果たしてなかったのか?ABCCー予防衛生研究所の犯罪を追及する(1) 内部被ばくを考える市民研究会資料 2019年9月11日
<参考>
広島、長崎の被爆者に放射線の遺伝的影響は果たしてなかったのか?ABCCー予防衛生研究所の犯罪を追及する(2) 内部被ばくを考える市民研究会資料 2019年9月18日
今後、(3)、(4)と書いていきます。
放射能は微量でも危険です。トリチウムを大気中に放出するのも、海に放出するのも、脳腫瘍や白血病を含め、さまざまながんを増やします。トリチウムは厳重管理すべきです。