[解説]

 フランスは、異常気象対策として、海水温度を上げる原発を一時的に止めました。「原発が海水温を上げることはない」という学者がいるようですが、バカも休み休み言え、と思います。今年2019年6月、7月の北アフリカからヨーロッパの熱波は深刻でした。英国、ドイツ、フランス、ベルギー、オランダの5ヵ国で観測史上最高気温を観測。フランスでは最高気温が45度を超え、死者が続出しました。

ヨーロッパ各地のこれからの予想気温を示した地図。スペイン北部の一部では、28日にも45度に達する可能性がある(Highest forecast temperature) 出典:緊急対応指令センター(ERCC)/世界気象機関(WMO)

 この中、フランス政府は、原発が暖められた冷却水を川に放出し、更に川の水温を上げるため、2019年7月に複数の原発を一時的に止めました。

 日本がなぜ九州、四国、福井の原発を止めないのか、理解できません。原発の出す温廃水は台風のエネルギーに加わります。台風被害を少しでも押さえるためには、原発を止めるべきです。九州電力は、「電力が供給過剰になるから」と太陽光発電を発電制限するのではなく、玄海原発3号機、4号機(佐賀県)、川内原発1号機、2号機(鹿児島県)をすべて止めるべきだったのではないでしょうか。

 台風被害を拡大する要因を九州電力も作ってしまった、と言わざるを得ません。

 フランスが異常気象対策で原発を止めたことは、日本では報道されることは皆無に近いです。その中でも、6行だけ書いた毎日新聞の記事を紹介します。

 検証

異常気象、温暖化で加速 専門家「早期対策を」

毎日新聞 2019年8月14日 東京朝刊

 世界各地で異常気象が観測され、人々や環境への影響が深刻化している。欧州では5カ国で観測史上最高気温を更新し、経済活動にも支障を来した。猛暑や豪雨は、人間活動により排出される温室効果ガスを原因とした地球温暖化との関連が指摘される。世界的に健康への影響や気象災害が懸念され、温暖化対策を巡る国際的な議論を動かす可能性もある。

 「これらの異常な現象は氷山の一角だ。そして、その氷山もまた急速に解けている」。今月1日、米ニューヨークの国連本部で記者会見した国連のグテレス事務総長は、世界各地の異常気象を受けて危機感をあらわにした。

 欧州連合(EU)の地球観測プログラムは5日、今年7月を観測史上最も暑い月と発表した。これまで最高の2016年7月は、南米沖の太平洋赤道域で海面水温が高くなるエルニーニョ現象が記録的に強かったのが影響していた。今年はそうした要因はない。

 西欧は7月下旬、北アフリカからの熱波に見舞われ、広い範囲で最高気温が40度を超えて、英国、ドイツ、ベルギーなど5カ国で観測史上最高を更新した。各地の鉄道会社は暑さに伴う送電線や線路の損傷、変形などへの懸念から、減速運行したり運休したりした。フランスの原発では、冷却水を放出する川の水温がさらに上がることによる生態系への影響が心配され、複数の原子炉の運転を一時的に止めた。

 欧州は6月にも熱波に襲われ、フランス南部で国内観測史上最高の46度を記録した。

 専門機関は温暖化との関連を指摘する。欧米の大学や気象機関が極端な気象の要因を分析する「ワールド・ウエザー・アトリビューション」は、今回のような熱波が欧州の一部を襲う可能性は、人為的な温暖化がないと仮定した場合に比べ、10~100倍高いとした。

 暖気は北欧や北極圏にも記録的な高温をもたらした。デンマーク自治領のグリーンランドは氷床が急速な勢いで解けている。デンマークの研究機関などの試算では7月だけで1970億トンの氷が解けて大西洋に流れ出た。7月30日~8月3日の5日間には氷床の表面の約9割(550億トン)が解け、1981~2010年の同時期平均の1・4倍に相当した。

 北極圏や高緯度地帯では6月初めから大規模な森林火災が続く。気温が高くなり森林が乾燥しているためだ。特にロシア・シベリア、米アラスカの被害が顕著で、既に数百万ヘクタールを焼き、すすや灰が北極圏の氷の融解を加速させる懸念もある。

 EUの地球観測プログラムによると、北極圏の火災規模は前例のないレベルで7月下旬までに二酸化炭素(CO2)1億トンを排出。ベルギーの年間排出量とほぼ同じで、温暖化を加速させる悪循環を招きかねない。

 インドも首都ニューデリーで6月の観測史上最高の48度を記録するなど記録的猛暑となり、110人以上が死亡。一方、南アジア北部~北東部は7月に大雨が降り、バングラデシュなどで計130人が死亡した。

 世界気象機関(WMO)のターラス事務局長は「現在起きていることはSFではない。気候変動の現実だ。早急な対策がなければ悪化する」と警告する。

 今月下旬に主要7カ国首脳会議(G7サミット)、9月23日には国連気候サミットが開催される。温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」が来年始まるのを控え、各地の異常気象が対策の早期実施を促しそうだ。【ブリュッセル八田浩輔】

ジェット気流蛇行、重なり 欧州熱波

 東京大先端科学技術研究センターの中村尚教授(気候力学)によると、7月に欧州を見舞った熱波は、亜熱帯の上空を西から東に向かって吹くジェット気流の大蛇行に地球温暖化の影響が重なったのが原因と考えられる。

 今回、ジェット気流は欧州上空で、英国北部辺りまで極端に北に蛇行したため、非常に背の高い形となった高気圧が北に張り出して居座り、熱波をもたらしたとみられる。蛇行は自然現象として起こるが、ここまで大きいものは珍しいという。

 さらに温暖化で世界の7月の平均気温は100年に0・7度のペースで上昇している。特に2015~19年の暑さは観測史上で上位5位を占めている。

 中村教授は「温暖化が気温を底上げしている。これから中緯度地域ではどこでもジェット気流の蛇行に伴って猛暑が発生する可能性があり、油断できない」と話す。

 国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が今月公表した特別報告書によると、温暖化に伴って各地で既に熱波の頻度が増えている。西アジアや北東アジア、アフリカ、南米の多くの地域などで干ばつが増加し、世界中で豪雨災害が深刻化している。

 近年、個別の異常気象の発生に温暖化がどの程度影響していたかを分析する研究が進んでいる。米気象学会は報告書を毎年公表し、17年の米中西部の干ばつやバングラデシュ北部の洪水などは、温暖化によって起こりやすくなっていたとした。

 日本でも平成最悪の豪雨災害となった昨年の西日本豪雨で、気象庁は個別の豪雨災害で初めて、温暖化が一因との見解を示した。気温上昇による大気中の水蒸気量増加が降水量に影響したとされる。

 昨夏は記録的猛暑となり、6~9月に1500人以上が熱中症で死亡。気象庁気象研究所は、昨年7月の暑さは温暖化の影響がなければ起こらなかったと分析する。

 気象庁の分析によると、温暖化の進展に効果的な対策を取らなければ、日本の今世紀末の年平均気温は20世紀末より4・5度上昇し、猛暑日の年間日数は東日本太平洋側で24日、沖縄・奄美では54日増加する。大気中の水蒸気量が増え、1日200ミリ以上の大雨の年間発生回数は全国平均で2倍以上になる恐れがある。【大場あい】

 [佐賀新聞の記事]

[解説]

 九州電力は、以下の記事2019年4月20日以降も、原発を動かして無駄な電気を作りながら、太陽光発電の出力制限を行っています。しかし、玄海原発を佐賀県の佐賀新聞は、この記事以降、九州電力の太陽光発電制限について書いていません。全国紙が2018年10月に九州電力の出力制限を報じた最初だけで以降は、九州電力の太陽光発電制限、いや、太陽光発電つぶしを報じなかった中で、佐賀新聞だけが、詳しく報道していました。しかし、この2019年4月20日以降ぴたっと報道しなくなりました。しかし、玄海原発3号機、4号機が稼働し始めた2018年5月6月も、壱岐島地方では、九州電力は太陽光発電の出力制限をしています。しかし、佐賀新聞は書いていません。佐賀新聞は地元紙としての報道責任を放棄したのでしょうか?

 また、以下の記事で致命的なデータ偽装があります。「電力需給調整のモデル図」です。九州電力が太陽光発電の出力制限を史上初めて行い始めたのが、2019年10月。このとき、2018年9月28日に川内原発2号機が営業運転に入ったため、玄海3号機、4号機、川内1号機、2号機の4基すべての原発が稼働していたのです。4基も原発を動かすから、太陽光発電が電力供給過剰になったのです。しかし、「電力需給調整のモデル図」では、原発の占める電力供給があたかも一定であるかのような図にしてあります。図の緑色の「水力、風力、原子力、地熱」のところです。小さい字で「2018年5月3日の実績を基に作成」とあります。2018年5月3日の時点では原発は1つも稼働していません。

 玄海原発3号機の営業運転開始。2018年5月16日 118万kW

 川内原発1号機の営業運転開始。2018年6月29日  89万kW

 玄海原発4号機の営業運転開始。2018年7月19日 118万kW

 川内原発2号機の営業運転開始。2018年9月28日 89万kW  4基合計で414万kW

 九州電力、太陽光の出力制限開始 2018年10月13日 ……日本国内史上最初の太陽光発電制限

 図の緑色の「水力、風力、原子力、地熱」のところは、200万kWですから、2018年9月28日には、これが+414万kW、すなわち614万kWに急増したことになります。佐賀新聞の掲載したこの図は読者に「原発が稼働していたことは太陽光出力制限にあまり関係ないんだな」と印象づける、悪質な図です。即時、撤回修正と謝罪を求めます。 

九電の出力制御 既に40回、解決策見通せず 低コスト蓄電池の開発必要 

<さが深掘り 記者解説>

経済担当 樋渡光憲

2019年4月20日 佐賀新聞
各地に設置が進む太陽光発電施設。その有効活用は試行錯誤が続いている=佐賀市(提供)

各地に設置が進む太陽光発電施設。その有効活用は試行錯誤が続いている=佐賀市(提供)

樋渡光憲・顔写真・記者解説

樋渡光憲・顔写真・記者解説

 九州電力は太陽光発電など再生可能エネルギーの接続を一時制限する出力制御を昨年10月に始め、これまで40回実施した(4月19日現在)。4月は雨や曇りの数日を除き、ほぼ連日実施している。九州が太陽光発電の導入先進地なのが背景にあり、九電も電力需給のバランスを取る努力はしているが、根本的な解決策は見通せていない。

 出力制御は電力の需要と供給のバランスを維持させるために実施する。バランスが崩れると最悪の場合、大規模停電に至る恐れがある。春と秋は電力需要が比較的少ないため、出力制御の必要性が増える。日照条件が良い九州は太陽光発電の導入が進み、電力の需要量が全国の10%なのに対し、太陽光発電の接続比率は17%と高い。

 出力制御は、現地操作が必要な2015年1月25日までに接続承諾分の事業者(500キロワット以上)には前日にメールで伝える。その後の承諾分は、出力制御を無制限、無補償で行う条件で契約しており、九電が遠隔操作で切り替える。家庭用など10キロワット未満は現在対象外。出力制御の予定や実績は九電サイトで公表し、実施設備は九電がローテーションさせながら選び、偏らないよう公平性には特に気を配っているという。

 一方で、「出力制御は原子力ですべきではないか」という声もある。需給調整のモデル図のように、太陽光発電量は日照などで一日のうちに大きく変動する。これに対し、「原子力発電は短時間で出力を上げ下げするような調整用には向いていない」と九電は説明する。出力の抑制順を定めた国の優先給電ルールも、火力を抑え、他地域に送電しても供給過剰な場合に太陽光・風力の出力制御を定め、原子力による調整は最後の手段としている。

 九電も太陽光発電量を見ながら毎日、需給バランスを取る努力をしている。太陽光の出力が増えてくると火力の出力を下げ、それでも需要を超える分は、揚水発電所の水を上部ダムにくみ上げて電力を消費し、バランスを取っている。それでも供給過剰になる場合に出力制御をする。

 佐賀市の省エネコンサル「アースアクト」の筒井心CEO(40)は「出力制限が始まった当初は、設置者からは『どう対応すればいいか』など驚きや戸惑いの問い合わせがあった」と語る。その後、大きな混乱はないものの、これだけ出力制御が頻発すると「自分だけ損をしてはいないか」と疑心暗鬼を生じかねないという。「実施エリアを公表するなど、出力制御が公平に行われているかの情報は、もっと分かりやすく伝えるべきだろう」と指摘する。

 太陽光発電を無駄にしないよう、九電は大型蓄電池(容量30万キロワット)を福岡県の豊前発電所内に設置。4月1日からは九州と本州をつなぐ送電線の送電可能量を約30万キロワット拡大した。ただ、これらの調整可能量はわずかにとどまる。九電の池辺和弘社長は昨年11月、電気事業連合会の会見で、出力制限の短期的な改善は困難で、回避するには低コストの蓄電池を開発する技術革新が必要とした。太陽光発電量は接続承諾済みの分もあり、今後も増加が見込まれる。季節や日々の変動が大きく、扱いが難しい太陽光発電をどう有効活用していくのか。先進地の九州はさまざまな知恵が求められている。