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汚染水、浄化後も基準値超え 89万トンの8割超 福島第一 2018年9月29日 朝日新聞
2019年10月12日内部被ばくと健康被害 疎開・移住 資料
汚染水、浄化後も基準値超え 89万トンの8割超 福島第一 2018年9月29日 朝日新聞 朝刊1面 東京電力は28日、福島第一原発のタンクにたまる汚染水について、浄化したはずの約89万トンのうち、8割超にあたる約75万トンが放射性物質の放出基準値を上回っていたことを明らかにした。一部からは基準値の最大約2万倍の濃度が検出されていたという。今後、追加の処理が避けられなくなり、東電が進めてきた汚染水対策の見直しが迫られるのは必至だ。 東電や経済産業省によると、多核種除去設備(ALPS)で処理した汚染水約94万トンのうち約89万トン分を分析したところ、一部のタンクから、基準値の約2万倍にあたる1リットルあたり約60万ベクレルのストロンチウム90が検出された。 東電はこれまで、ALPSで処理すれば、化学的に水素と同じ性質をもつトリチウム(三重水素)以外の62種類の放射性物質を除去できるとしていた。ストロンチウム90は半減期が約29年と長く、人体では骨にたまりやすい性質がある。 東電は今後、汚染水の海洋放出などの処分法を決めた場合は、再びALPSなどに通して処理する方針も示した。現状の処理量は1日340トン程度にとどまる。再び処理することになれば、追加の費用に加え、年単位の時間がかかるとみられる。一方、汚染水は年5万~8万トン増えており、敷地内のタンクの増設は2020年に限界が迫る。 基準値を超えた原因について、東電は、13年度に起きたALPSの不具合で、高濃度の汚染水が処理しきれずに混入したことや、放射性物質を取り除く吸着材の交換が遅れたことなどを挙げている。 今後、吸着材の交換時期を見直すなど対応を検討するという。ただ、今後も基準値超えの放射性物質が検出される可能性は否定できないと認めた。 東電は、こうした測定値をホームページに掲載していたが、積極的には説明してこなかった。「掲載しただけで満足していたのは大きな反省点」としている。 今年8月に福島県などで開かれた経産省の公聴会では、汚染水の中にトリチウム以外の放射性物質があることに批判が集まっていた。(小川裕介、石塚広志) 汚染水、浄化後も基準2万倍の放射性物質 福島第一原発 小川裕介、石塚広志 編集委員・大月規義、川原千夏子 2018年9月29日 朝日新聞 朝刊3面 新たな汚染水処理のイメージ 福島第一原発の敷地内のタンクにたまる汚染水について、東京電力は28日、一部のタンクから放出基準値の最大約2万倍にあたる放射性物質が検出されていたことを明らかにした。今回分析した浄化されたはずの汚染水約89万トンのうち、8割超にあたる約75万トンが基準を上回っていたという。 東電や経済産業省によると、多核種除去設備(ALPS)で処理した汚染水を分析したところ、一部のタンクの汚染水から、ストロンチウム90などが基準値の約2万倍にあたる1リットルあたり約60万ベクレルの濃度で検出された。東電はこれまで、ALPSで処理すれば、トリチウム以外の62種類の放射性物質を除去できると説明していた。 東電は今後、汚染水の海洋放出などの処分法を決めた場合は、再びALPSに通して処理する方針も示した。タンクに保管されている処理済みの汚染水は現在94万トン。現状の処理能力は1日最大1500トンにとどまっており、再び処理することになれば、追加の費用や年単位の時間がかかるのは必至だ。 基準値を超えた原因について、東電は、2013年度に起きたALPSの不具合で、処理しきれなかった高濃度の汚染水がそのまま保管されていることや、処理量を優先し、放射性物質を取り除く吸着材の交換が遅れたことなどを挙げている。今後、吸着材の交換時期を見直すなど対応を検討するという。ただ、今後も基準値超えの放射性物質が検出される可能性は否定できないと認めた。 東電は、こうした測定値をホームページで公表していたが、積極的には説明してこなかった。「掲載しただけで満足していたのは大きな反省点」としている。 今年8月に福島県などで開かれた経産省の公聴会では、汚染水の中にトリチウム以外の放射性物質があることに批判が集まっていた。(小川裕介、石塚広志) 【解説】住民側の指摘で明らかに 東京電力福島第一原発事故の汚染水処理のずさんな実態が露呈した。28日、汚染水の8割超が基準値を超えていたことを東電が初めて公にした。汚染水問題が浮上した2013年以降、「(汚染水は)コントロールされている」とし、東京五輪に向け問題を矮小(わいしょう)化してきた経済産業省の責任も重い。 基準値超えのデータの公表は、経産省が8月末に開いた、住民向けの公聴会がきっかけだ。それまでは、原子炉内にある溶け落ちた核燃料を冷やした後の高濃度の汚染水は、特殊な浄化装置にかければ、トリチウム(三重水素)以外は含まれていないことが前提だった。 だが、実際は放射性のヨウ素やストロンチウムも基準を超えていると、公聴会直前の報道や住民側の指摘で明かされた。指摘がなければ、今回の汚染水の分析結果は埋もれたままだったかもしれない。 東電は28日、「個々のデータはホームページに載せていた」(松本純一・廃炉推進室長)と釈明した。しかし、原発事故から7年超の膨大なデータの中から、基準を超えた汚染水が存在している実態を第三者がつかむのは、極めて困難だ。情報開示の姿勢に大いに問題が残る。 東電は「汚染水タンクの用地に限界がある」、政府は「東京五輪までに福島復興を世界に見せたい」と対策を急ぎすぎた。今後はさらに浄化させる方針を示したが、汚染水処理の技術的な「頼りなさ」と、住民の疑念は解消できるのか。週明けに再開する経産省の小委員会で、解決策を一から議論しなおすべきだ。(編集委員・大月規義、川原千夏子)
台風19号 接近・満潮・大潮重なるおそれ 高潮警戒 2019年10月09日 日本気象協会 tenki.jp
2019年10月12日内部被ばくと健康被害 資料
台風19号 接近・満潮・大潮重なるおそれ 高潮警戒 2019年10月09日 日本気象協会 tenki.jp 日本気象協会 本社瀬田 繭美 台風19号は12日から13日にかけて近畿~関東甲信地方に接近。接近時間帯と満潮時刻など悪条件が重なるおそれがあるため、高潮への警戒が必要です。 ポイント 台風の接近と満潮などの悪条件重なるおそれ 過去の高潮被害:2018年台風21号 大阪などで最高潮位記録更新・関西空港浸水 高潮に備えて今やるべきこと 早め早めの避難を もし高潮が迫っていたら・・・落ち着いて「高い所」へ 台風の接近と満潮などの悪条件重なるおそれ 台風19号は、12日から13日にかけて、非常に強い勢力を保ったまま、近畿~関東甲信地方付近に接近・上陸する可能性が高くなっています。今回の台風では、暴風や大雨はもちろんですが、沿岸では高潮に十分な警戒が必要です。その理由は・・・ ①台風の吸い上げ効果台風の中心は気圧が低くなっているため、気圧の高い周辺の空気は海水を押し下げ、中心付近の空気が海水を吸い上げる「吸い上げ効果」が起こり、その結果、海面が上昇します。気圧が1ヘクトパスカル下がると、潮位は約1センチ上昇すると言われています。 9日正午現在、12日午前9時の台風の中心付近の気圧は950ヘクトパスカルと予想されており、この効果によって、60センチ近く潮位が上昇するおそれもあると考えられます。 ②台風の吹き寄せ効果さらにこの「吸い上げ効果」に加えて、台風の強い風が沖から海岸に向かって吹く際に、海水が海岸に吹き寄せられることによって海岸付近の海面が上昇する「吹き寄せ効果」も加わり、台風接近時は、特に東側の沿岸部を中心にさらに潮位が上昇する危険性があります。 ③台風接近時刻に満潮時刻重なるおそれさらに、台風の接近する時間帯に、ちょうど満潮時刻が重なる可能性があります。満潮と高潮が重なると、潮位が一層上昇して大きな災害が発生しやすくなります。 ④大潮の時期も重なるさらに、14日は望(満月)で、この前後数日間は、1日の満潮と干潮の潮位差が大きくなる「大潮」にあたります。このため、満潮時刻前後は、さらに潮位に注意が必要な時期でもあります。 このように、「台風による潮位上昇」と「満潮」、「大潮」の悪条件のタイミングが揃うことが予想されます。高潮の高さによっては、波が堤防を越えて(=越波)、沿岸部が浸水する危険もあります。厳重に警戒するようにしてください。 過去の高潮被害:2018年台風21号 大阪などで最高潮位記録更新・関西空港浸水 台風による高潮被害で思い出されるのが、昨年2018年9月に日本列島に上陸した台風21号です。9月4日に非常に強い勢力で徳島県南部に上陸後、勢力を保ったまま兵庫県神戸市付近に再上陸し、近畿地方を縦断した台風21号の影響で、大阪湾では、第2室戸台風のときに観測した過去の最高潮位を超える329センチを観測し、関西空港の滑走路やターミナルビルなどが浸水するなど、近畿地方を中心に、高潮による被害が相次ぎました。あの時、多くの方が、「高潮」の恐ろしさに驚愕したのではないでしょうか。今回の台風19号でも、同じような高潮被害が発生する可能性もありますので、厳重に警戒してください。 高潮に備えて今やるべきこと 高潮により、浸水被害が発生するおそれがあります。そうした「万が一」に備えて、今からできることの準備をしておきましょう。 ●周囲の高潮危険度を把握しておく各自治体では「高潮ハザードマップ(浸水想定区域図)」などを配布しています。普段あまり見たことがない、という方も、Webサイトなどで公開している自治体も多くあり、お手持ちのスマートフォンなどで手軽に確認することができます。沿岸部にお住まいの方は、ご自身が生活されている地域がどれくらい危険があるのかを、ぜひ一度は見るようにしてください。また、海岸付近の低地、湾奥部や河口部、遠浅な海底地形、V字谷のような地形は、高潮の危険が特に高い場所です。もしハザードマップに危険と示されていなくても、危険な場所だという意識を持つようにしましょう。また、地震などと避難場所が異なる場合もあります。避難場所と避難経路も合わせて確認してください。 ●非常持ち出し品の準備を万が一に備えて、避難時に持ち出せるような荷物の準備をしておきましょう。 <準備品の例>水や食料、救急用品、貴重品、懐中電灯、携帯ラジオ、スマートフォン用の充電器および携帯充電器(充電は満タンに)、衣類、下着、タオルなど (参考:国土交通省HP http://www.mlit.go.jp/index.html) 早め早めの避難を 高潮から身を守るためには、台風接近時は、できるだけこまめに気象情報や自治体からの情報確認するようにし、避難情報などが出たら、すぐに避難をするようにしましょう。また、状況によっては、自ら判断して早めの避難をしておくことで、「万が一」のリスクを減らすことができます。雨風が強まる前に、対応をしておくと安心です。 もし高潮が迫っていたら・・・落ち着いて「高い所」へ 高潮が迫っている状況下では、無理して避難所に行くのではなく、高いところに逃げて待機することも大切です。もし、気付いた時にすでに高潮が迫っていた場合は、あせらず、落ち着いてできるだけ高い所に避難して下さい。
「スーパー台風」高潮で東京23区の3割浸水 都が想定 一週間以上水が引かない地域も 2018年3月30日 日本経済新聞
2019年10月12日内部被ばくと健康被害 資料
[解説] 東京都は、昨年2018年3月に、過去最大規模のスーパー台風が、首都圏を襲来した場合の被害想定を出していました。今回2019年10月12日,13日に首都圏を襲来する台風19号(台風ハギビス)がまさに史上最大の勢力のまま、横浜、東京から上陸しようとしています。日本経済新聞が報じた記事を紹介します。 「東部を中心に23区の3分の1の面積にあたる約212平方キロメートルが浸水。堤防の決壊などで、広範囲にわたって1週間以上、水が引かない地域が発生すると予測」 この東京都の被害想定が起こりうる、として、災害対策、避難準備を行う必要があります。2階以下に居住する方で、浸水5メートルと想定されている地域に居住されている方は今すぐ避難するべきだ、と考えます。史上最大の台風が来る、ということは、これまでの経験にないことが起きるのだ、と肝に銘じて、命を守る最善の行動を採って下さい。 「スーパー台風」高潮で東京23区の3割浸水 都が想定 一週間以上水が引かない地域も 2018年3月30日 日本経済新聞 東京都は30日、過去最大規模の「スーパー台風」が上陸し、高潮が発生した場合に想定される浸水区域図を発表した。東部を中心に23区の3分の1の面積にあたる約212平方キロメートルが浸水。堤防の決壊などで、広範囲にわたって1週間以上、水が引かない地域が発生すると予測している。都と各区は想定をもとに住民の具体的な避難方法などの検討を進める。 政府は、2015年に水防法を改正。最大規模の高潮を想定したハザードマップの作成や、スムーズな避難などの対策を自治体に求めた。 都が発表した浸水想定区域図は同法に基づいて作成。1934年に史上最大の勢力で高知県・室戸岬付近に上陸、高潮などで約3千人の死者を出した室戸台風と同等の910ヘクトパスカルの台風を想定している。 都は17区で住宅などが水につかる被害が出ると予測。地盤が低く、河川が近くを流れる墨田区、葛飾区、江戸川区は区域の9割が浸水する。丸の内や新橋、銀座の一部など、オフィス街や繁華街にも浸水域は広がり、浸水域内の昼間人口は約395万人に達するとしている。 浸水の深さは最大で10メートル以上。墨田区や江東区などでは深さが平均7メートルになるエリアが広がる。 高潮による堤防の決壊や、排水施設が停止する可能性を踏まえ、浸水の継続時間も試算した。50センチ以上の浸水の深さが1週間以上続く区域は都東部を中心に約84平方キロメートルに及ぶ。 都は今回公表した区域図をもとに、19年度までに、住民の避難勧告の基準となる高潮の「特別警戒水位」の設定を進める。各区にも高潮時のハザードマップ作りを促す。 浸水想定区域では、大きな被害予測に驚きや戸惑いの声が広がった。浸水深が5メートル以上と想定される東京都江東区亀戸駅周辺。無職の女性(71)は「このあたりは水はけが悪く、たびたび台風や大雨で浸水被害が起きている。近くの高層マンションに逃げようにも中に入れてもらえないかもしれない」と心配する。 商業施設が集まる銀座の東部でも1~3メートル以上まで浸水する見通し。東京メトロ東銀座駅近くで岩手県の産物を販売する「いわて銀河プラザ」の清水吉彦副店長(40)は「こんな繁華街が3メートルも水につかるなんて想像もできない」と驚いた。防水板の備えはあるが「防げるのは1メートルくらいの浸水まで。水が来たらビルの上に逃げるしかない」と話した。 想定は1千年に1度クラス 「災害大型化へ備え必要」 東京都が発表した高潮の浸水被害の想定は「室戸台風の規模を持ち、伊勢湾台風のスピードで進み、東京に最も被害を与えるコースを通る」という前提に基づいている。 こうした状況が発生する確率は1千~5千年に1度。担当者は「海外で多発する台風や高潮による災害を踏まえ、大きな被害を想定して備える必要がある」と意義を強調した。 2005年に米国を襲った大型ハリケーン「カトリーナ」(死者1800人以上、避難者約130万人)や、13年のフィリピンの台風30号(死者・行方不明者7千人以上、避難者約400万人)など、近年、海外では大規模な高潮災害が頻発する傾向にある。 地球温暖化に伴う海面水位の上昇や台風の大型化が進むことを指摘する声もある。今のところ日本に接近する台風に温暖化の影響は明確には出ていない。ただ、台風の大型化のメカニズムは解明できていない部分があり、気象庁の担当者は「巨大な台風が上陸する可能性は否定しきれない」と指摘している。 東京都の被害想定は、東京都港湾局の津波・高潮に関するホームページ(http://www.kouwan.metro.tokyo.jp/yakuwari/takashio/index.html)で閲覧できる。
福島第一の「処理できてない」処理水を、処理水と呼び、福島の海や大阪湾に流してもよい、という林知裕。現代ビジネス2019
2019年10月09日内部被ばくと健康被害 資料
[解説] 大阪市長、松井一郎氏が「自然界レベルの基準」を下回ったトリチウムは海洋放出しても構わない。大阪湾でもいい、と2019年9月27日に記者会見で発言しました。トリチウムの自然界レベルの濃度は、どれくらいなのでしょうか? 地球上で宇宙線によって生まれるトリチウムは、①宇宙線によって生まれた速中性子が大気中の窒素と反応して、炭素12とトチリウムになる場合、②宇宙線によって生まれた速中性子が大気中の酸素と反応して、窒素14とトチリウムになる場合、③宇宙線の陽子によって元素が「核破砕反応」を起こしてトリチウムができる場合、④太陽から直接、トリトン(トリチウムの原子核)がやってくる場合、などがあります。そして年間の生成量と半減期12.3年によって減少していく量と考えると、全地球規模では1110PBq(ペタベクレル)が自然に存在します。だいたい3kgの質量です。日本の国土面積は地球の約1350分の1。日本には自然のトリチウムがおよそ822TBq(テラベクレル)のトリチウムが海に川に大地に平均的に存在すると考えることができます。 <参考> トリチウムの環境動態 阪上正信 核融合研究 第54巻第5号1985年11月 解説 より しかし、東京電力、福島第一原発で事故時に作られていたトリチウムはその4倍以上の3400TBq(テラベクレル)。これを日本の国土に均一のばら撒くのではなく、特定の海に放出するわけですから、海の生物まわりまわって私たちのからだに健康被害を与えかねません。 <参考>トリチウムに関する福島第一原子力発電所のこれまでの状況 多核種除去設備等処理水の取扱いに関する小委員会事務局 2018年5月18日 以下、現代ビジネスに掲載された、ジャーナリスト林知裕氏の記事を掲載します。彼は「放射能汚染水」を「処理水」と呼び変え、あたかも安全かのような言説を展開しています。しかし、この「処理水」はトリチウムだけではなく、高濃度にストロンチウム90、ルテニウム106、ヨウ素129、テクネチウム99も含まれているものです。原子力規制委員会の決めた基準ですら超えている「処理水」です。 <参考> 汚染水、浄化後も基準値超え 89万トンの8割超 福島第一 2018年9月29日 朝日新聞 トリチウム水と政府は呼ぶけど実際には他の放射性物質が1年で65回も基準超過 木野龍逸2018年8月27日(月) Yahoo News 事実を知りながら、ほとぼりが冷めたころに、「いや、汚染水ではなく、処理された水だ」「トリチウムしか残っていない」と主張するのは詐欺師です。林知裕氏にはジャーナリストの名を名乗る資格はありません。 また、林氏は「一方の「処理水」とは、汚染水から有害な放射性物質を除去し、無害化させたものです。自然界のあらゆる水の中に存在する三重水素(トリチウム)だけは除去が難しいものの、これは適切に希釈すれば、海洋放出しても健康リスクを上昇させるような「汚染」は起こらないため、世界中で大量に海洋放出され続けています。」と主張します。世界のある特定の国々で大量のトリチウムを含む汚染水が海に放出されていることは事実です。それは原発利用国と核燃料再処理国です。アメリカ、ロシア、カナダ、イギリス、韓国、台湾、中国、ブラジル、ルーマニア、スペイン、などなど。原発を利用していない国は放出していません。また、米ソの大気圏内核実験時には大量のトリチウムが放出されて全地球規模で雨水や河川の水のトリチウム濃度が上がりました。この核実験によるトリチウムの生成量は全330Mt(メガトン)規模の核融合爆発により約240500PBq(ペタベクレル),全220Mt(メガトン)規模の核分裂爆発により約5.5PBq(ペタベクレル)とされています。実に、自然界に生成しまた崩壊してなくなっていくトリチウムの量1110PBq(ペタベクレル)の216倍ものトリチウムがアメリカソ連を中心とする核大国の核実験によって地球上にばら撒かれたのです。これが核実験に地球上にばら撒かれたプルトニウム、ウラン、セシウム137、ストロンチウム90とともに、全世界で白血病やさまざまながんを引き起こす要因となっているのではないでしょうか。 <参考> トリチウムの環境動態 阪上正信 核融合研究 第54巻第5号1985年11月 解説 より 「他の国もトリチウムを海洋に放出または大気中に水蒸気として放出しているから安全」とは詭弁です。イギリスの核燃料再処理工場セラフィールドや、フランスの核燃料再処理工場ラ・アーグの周辺では、小児白血病や脳腫瘍が有意に増加しています。 <参考> 欧州放射線リスク委員会 2010年勧告 第11章 被ばくにともなうガンのリスク 第2部:最近の証拠 山内智也訳 日本の原発の中でもトリチウムの放出量がもっとも高いのは玄海原発です。この玄海原発の目の前の壱岐島では成人の白血病が、玄海原発稼働前の6倍にもなりました。 <参考> 壱岐市、白血病死亡率 玄海原発稼働後、約6倍に増加 2019年3月5日 壱岐新報 日本の発電用原子炉トリチウム放出量 (2002年~2012年度)哲野イサクの地方見聞録 核燃料再処理工場では、使用済み核燃料棒を切断しますが、その際に気体上のトリチウム水(HTO)が水蒸気となって大量の環境中に放出されます。核燃料再処理工場はトリチウムだけを放出するのではなく、プルトニウムも排水として流します。核燃料再処理工場周辺の小児白血病や小児がんがトリチウムだけが原因とは言えません。しかし。放射能で汚染された水が原因であることは疫学調査から明らかです。 「トリチウムの出す放射線、ベータ線のエネルギーは18.6keV(キロエレクトロンボルト)と非常に弱いからDNAをあまり傷つけることはない」などという放射能防護科学者がいます。東京大学助教の小豆川勝見氏も「同じベクレル数で考えると、プルトニウムがバットで叩かれるような影響はあるとすれば、セシウムがおでこを指ではじかれるくらい、トリチウムは(気持ちが悪いですが)耳に息をそっと吹きかけるようなものです」などと語っています。 <参考>小豆川勝見 トリチウムは耳に息をふっと吹きかけるようなもの 冊子『はかる、知る、くらす。』 こどもみらい測定所(東京都国分寺市) 2014年3月31日 pp.18 こうしたトリチウムが崩壊したときに出すベータ線のエネルギーの大きさだけで、トリチウムの安全性を語る放射線の専門家の言説はある事実を無視しています。トリチウムはDNAと結びつきやすいのです。「トリチウム水を飲んでも大量の水を飲めば早く出ていく」などと言うのは正しくなく、トリチウムは単純にからだに入り、また、出ていくのではありません。 トリチウムは放射性の水素です。放射能がない水素が原子核に陽子が1個だけですが、トリチウムは原子核に陽子1個に中性子2個あります。中性子が過剰にあるため、半減期12.3年で中性子が、陽子、ベータ線、反ニュートリノに崩壊します。 このトリチウムが同じ水素原子に近づくと容易に「同位体交換」します。つまり、放射能のない安全な水素と放射能のあるトリチウムとが入れ替わるのです。ですから、トリチウムが体内にいったん入れば、どの細胞の、そのDNAにかは特定できませんが、放射能のない水素と入れ替わることで体内に蓄積するのです。水だから蓄積しない、というのは詐欺まがいの説明です。 また、トチリウムの出すベータ線は18.6keVと非常に弱いのですが、DNAそのものと結合している場合、トチリウムがベータ崩壊すると同時に、その細胞のDNAはずたずたに切れます。その細胞は2度と細胞分裂することができず、細胞死に至ります。これがトチリウムの恐ろしいところです。血液を作る骨髄細胞や脳の脳細胞の中のDNAとトチリウムが結びつき、半減期12.3年ですから、人間が生きている間に崩壊(ちなみに自然放射能のカリウム40の半減期は12.48億年)して、DNAをすたずたにする。これが白血病や脳腫瘍の原因となるのではないでしょうか。生物のからだは、細胞の単なる集合体ではなく、細胞が相互に連絡を取り合っていると言われます。ある一か所で異常な細胞死が生まれることががんの原因になっている可能性が非常に高いです。トリチウムはその原因を作ります。トチリウムの出すベータ線のエネルギーが弱いから安全とは、物理学者の語る妄言です。 林氏には、世界各地の原発周辺や核燃料再処理工場周辺で何が起こっているのか、きちんと調べてから原稿を書いていただきたい、と思います。 原発「処理水」を、なぜマスコミは「汚染水」と呼び続けたのか 現代ビジネス 2019年10月6日 「科学を振りかざすな」に対する違和感 林 智裕 フリーランスライター 「海洋放出」をめぐる議論 前環境大臣の原田義昭氏が大臣退任直前の9月10日に、増え続ける東電福島第一原発の処理水について「海洋放出しか方法がないというのが私の印象だ」などと述べたことに対し、新しく就任した小泉進次郎環境大臣が「おわび」をしたことが、大きく報道されました。 「小泉環境相、前任者の発言をおわび 訪問先の福島で」 小泉大臣は「(環境省は処理水対応の)所管外」とした上で、「福島のさまざまな方がこれ以上傷つくことのない議論をしていただきたいと切に願っている」「福島の漁業の再生などに努力されてきた方々のご苦労をさらに大きくしてしまうようなことがあったとしたら、大変申し訳ないことだと思う」などと述べたとも伝えられています。 Photo by gettyimages こうした問題は従来であれば、このような福島への「寄り添い」と「陳謝」によって立ち消えになることがほとんどでした。ところが、今回は意外な展開を迎えることになります。 9月17日の報道によると、日本維新の会の松井一郎代表(大阪市長)が、環境被害が生じないという国の確認を条件に、有害放射性物質を除去した処理水の大阪湾での海洋放出に応じる考えを示しました。 「松井大阪市長、東電福島第一原発の処理水 大阪湾放出に応じる構え」 会見の動画を確認してみると、松井市長は「世界中でさまざまな処理水は海洋放出されています」「まずは政府が、環境大臣が国民の皆さんに丁寧に説明して処理する決断をすべきだ。これをやることが政治家の仕事だ」「科学が風評に負けるようなことになったらダメだ」と発言しています。 福島原発の処理水… 松井市長「自然界レベルの基準を下回ったものは、科学的根拠を示して海洋放出すべき。政府が国民に丁寧に説明し、決断すべきだ。それが政治家の仕事。これからの日本を引っ張る小泉さんに進めてもらいたい。メディアは汚染水という表現はやめた方がいい。あれは処理水」〜囲み会見 pic.twitter.com/QBZMpYswAs — news北東西南 (@news_ewsn) September 17, 2019 また、これに呼応する形で大阪府知事の吉村洋文氏や、前大阪市長の橋下徹氏も松井大阪市長の主張に賛同しています。 小泉環境相「大阪市長の考え聞いてみたい」 福島原発処理水の受け入れ発言で https://t.co/vss2jujgL1 小泉さんは所管外と逃げてはいけない。福島復興は所管外なのに復興を後押しするのも環境省の仕事だと言っていたはず。放射性物質の一般論を述べて国民の理解を促すのは環境省の重要な仕事。 — 橋下徹 (@hashimoto_lo) September 17, 2019 もちろん、福島に暮らす190万人近い県民の中には、これらの発言に反発を感じた人も少なくないでしょう。ただ一方で、歓迎する声も同時にあがっていたことはあまり伝えられていません。 たとえば、福島県議会議員の渡辺義信氏は「科学的根拠を無視した風評被害を払拭する突破口になるかも知れない」と好意的に評価しています。 科学的根拠を無視した風評被害を払拭する突破口になるかも知れない。 廃棄物を1F外に持ち出せない決まり等、課題は残りますが、冷静に議論し、放射能を正しく理解して、正しく恐れて、正しく対応する、新たなスタートになるかも知れない。 pic.twitter.com/u2YCjLr8A0 — 渡辺義信 (@yoshinobu_wa) September 18, 2019 処理水の海洋放出をめぐる最新の福島県民世論調査を見ると、反対が38・4%(前回調査からマイナス15・4ポイント)、賛成が30・3%(前回調査からプラス13・2ポイント)となっており、前回調査の1年前から結果が大きく変化していることも注目すべきポイントです。 処理水を海洋放出することは、福島に暮らす人々にとって、様々な意味でさらなる「負担」となるかもしれません。それでも、海洋放出賛成の声が増えているのはなぜでしょうか。 その背景には、福島に暮らす人たちを真に「傷つけて」きたものの存在が見え隠れします。 「処理水」と「汚染水」の違い 本題に入る前に、まずは今回話題となっている「処理水」、そして「汚染水」がどのようなものであるかご存知でしょうか。 未処理の「汚染水」と最終的な「処理水」とでは、健康や環境に与えるリスクが全く異なりますから、これらは明確に別物であると言えます。 簡単に説明すると、「汚染水」とは原子炉内で溶けて固まった燃料を冷却するために使用した後の水、及びそれらが建屋内に流入した地下水や雨水と混ざったものです。燃料由来の有害な放射性物質が含まれているため、そのまま海洋に放出すれば相応の「汚染」が起こります。 Photo by gettyimages 一方の「処理水」とは、汚染水から有害な放射性物質を除去し、無害化させたものです。自然界のあらゆる水の中に存在する三重水素(トリチウム)だけは除去が難しいものの、これは適切に希釈すれば、海洋放出しても健康リスクを上昇させるような「汚染」は起こらないため、世界中で大量に海洋放出され続けています。 もちろん、明確なエビデンスのある健康被害も報告されていませんし、そもそも環境中のトリチウム量は冷戦時代に核実験が盛んに行われていた頃の方が現在よりもはるかに多かったのです。 原田前大臣や松井市長が言及した「処理水」とは、このように世界中で環境処理されている状態のものを指しています(東電福島第一原発のタンクに現在貯蔵されているトリチウム総量は約1000兆Bqとされており、世界で日常的に排出されている量と比べても極端に多いとは言えません。トリチウムの詳しい性質については、資源エネルギー庁のページで解説されています)。 実は、現在福島第一原発から発生し続けている汚染水のリスクも、 2013年から本格稼働しているALPS(多核種除去設備・Advanced Liquid Processing System)によって、最終的にはこれらの「処理水」と同等の水準まで無害化することが可能になっています。 ただし、汚染水を無害化する過程にはいくつかの段階があり、それに応じて安全性にもグラデーションが生じます。現在繰り広げられている「汚染水」をめぐる議論の多くでは、こうした事実の報道や周知が不十分か、あるいは意図的に混同されているために、誤解や風評、的外れな批判も広まっているといえるでしょう。 下記は厳格な定義ではありませんが、「処理水」と呼ばれるものを大きく3つの段階に分類してみると、理解の手助けになります。 1つ目の段階は、2013年頃までに貯蔵された「放射性セシウムのみを除去された初期の処理水」です。これは、現在稼働しているALPSの開発以前にタンクに貯蔵された処理水で、未処理の汚染水に比べれば放射線量は大幅に低下しているものの、依然として比較的高い値が検出されます。 2番目と3番目の段階は、いずれもALPSで処理をした「ALPS処理水」と呼ばれるものです。初期処理水に比べて放射線量は大幅に低下しているものの、これも「応急処理を行い、タンク貯蔵基準のみを満たした処理水」と、それを追加処理し「環境処理可能な水準まで有害放射性物質が除去された、最終的な処理水」とに分類できます。 「環境処理できる基準値」の考え方 現時点でタンクに貯蔵されている処理水のほとんどは、前者の「タンク貯蔵基準のみを満たした処理水」であり、環境処理の基準は満たしていません。 これは、まずタンクから発せられる放射線量を低下させ、原発敷地内で働く人たちの無用な被曝を防ぐことを最優先としたためです。長期にわたる廃炉作業を行うにあたり、特に原発事故から間もない時期には、作業員の被曝量を少しでも減らすことが急務でした。 日本では、一人の作業員に許容される被曝限度量は、実効線量で「定められた5年間の平均が20mSvかつ、いかなる1年も50mSvを超えるべきではない」とされています(参考:環境省「放射線による健康影響等に関する統一的な基礎資料[平成27年度版])。 この基準値は、科学的には「被曝による健康リスクは十分に低い」とされる数値に設定されています。これはあくまでも作業員の健康と安全をより確実にするための基準であり、少しでも超えると即座に危険だという意味ではありません。 ただし、当然ながら、この基準値に達した作業員は現場から長期間離脱することになります。つまり、現場での被曝量が高いほど作業員を頻繁に交代させる必要が発生し、廃炉作業の大きな障害になったのです。 特に廃炉作業の初期には、タンクに溜められている初期処理水からの被曝も無視できないレベルでした。 そこで、まずは原発の敷地から敷地境界に追加的に放出される線量(自然界にもともとあった線量を除いて、原発施設から新たに放出されて増えたぶんの線量)について、原子力規制委員会が公衆の被曝を抑えるための規制として求める「年間1ミリシーベルト(1mSv/年)未満」を達成させることで、作業員の被曝量も減少させていくことが目標とされました(https://www.meti.go.jp/earthquake/nuclear/pdf/140424/140424_02_004.pdf)。 実際に、2013年にALPSが本格稼働したことで、敷地境界線の放射線量は2013年度末の9.76mSv/年から、2017年度末には0.90mSv/年まで劇的に低下し、目標を達成しています。 つまり、「タンクに溜められている処理水は元々、敷地での作業員の被曝量を減らすことを最優先として処理を施されたもので、そのまま海洋に放出することは想定していない」のです。そして前述の通り、この不完全な処理水も、最終的には世界で日常的に行われているのと同様の環境処理ができる水準まで、無害化することが十分に可能です。 新聞報道のミスリード ところが、これまで縷々説明したような事実は、まだ広く知られていないのが現状です。 特に、本来これらを周知する役割を担うはずだったマスメディアがこの8年間以上の間、福島や原発事故に関する正しい情報を十分に伝えてこなかったばかりか、むしろ誤解を拡散させてきたケースも珍しくなかったことが問題に追い打ちをかけています。 一例として、昨年2018年9月に朝日新聞が報じた「汚染水」に関する記事を確認してみましょう。 タイトルには「東電、汚染水処理ずさん 基準値超え、指摘受けるまで未公表」とあり、「汚染水の8割超が基準値を超えていた」「東京五輪に向け問題を矮小(わいしょう)化してきた」と、極めて強い論調で批判を展開しています。 「朝日新聞デジタル」上記記事ページより引用 ただし、いままで解説した内容を踏まえれば、この記事が性質の異なる「汚染水」と「処理水」を混同した報道の典型であることが、すぐに判るのではないでしょうか。 記事には「放出基準に比べ最大2万倍の放射能濃度が判明」「処分の場合は再処理が必要」とありますが、タンクに貯蔵された環境放出基準を前提としない処理水が「環境放出基準を超えている」ことも、「処分の場合は再処理が必要」なのも、すでに説明したように当然のことです。 しかし、記事にはそうした解説も見られず、これではまるで「基準値超えを隠蔽していたタンクの汚染水を、そのまま海洋放出しようとしていた」かのように読めてしまいます。これはいわゆる、「ウソはついていないが、本当のことも言っていない」記事であると言えるでしょう。 一部のメディアが繰り返してきたこのような報道姿勢に関しても、松井大阪市長は今回の会見の中で「メディアは汚染水という表現はやめた方がいい。あれは処理水」と発言したうえで、朝日新聞や毎日新聞などを名指しして批判していることも動画で確認できます。 ところが、この会見を報道した朝日新聞記事のタイトルには、今回も「福島の汚染水、大阪湾で放出?」などと掲げられていました。 残念ながら、こうした報道手法は、処理水の現状や松井市長発言の主旨をなかば意図的に無視しており、誤解と風評被害を拡散させかねないものだと言えるでしょう。 「科学を振りかざすな」? 偏見と風評の問題は根深いものです。いくら科学的には安全であろうとも、「事故を起こした原発からの処理水」に対して素朴な不安や疑念を感じてしまうのは自然な感情の一面もあります。そうした感情を科学的な安全性で否定されることに、「冷たい」「不愉快だ」と感じる方も少なくないかもしれません。 科学振りかざすだけではなく…増え続けるタンクを考える #原発 #電力 — 朝日新聞 原発・電力情報 (@asahi_energy) September 26, 2019 しかし一方で、客観的事実に耳を塞ぎ続け、こうした自然な感情に過剰に「寄り添う」ことは、不当な差別や風評の正当化と固定化につながりかねない危険なものです。 どんなに対策を重ね、事実や成果を積み重ねようとも「福島は汚染されている」と否定されることを、人間の出生にあてはめてみればどうなるでしょうか。科学的な事実が明らかにされることが、たとえば、過去に起こったハンセン病当事者と家族への差別を緩和してきた歴史なども軽視できません。 科学、ひいては客観的な事実や証拠を「振りかざす」などとネガティブに捉えて、人間の「素朴な感情」の正当性や無謬性を過信するべきではありません。 Photo by iStock すでに事実がほぼ明らかになった、終わらせるべき議論を終わらせず、「誰もが納得し安心できるまで念のため警戒すべき」と保留し続けること自体が、当事者をさらに苦しめ、偏見を長期化・固定化し、損害をますます大きくします。 このままでは、処理水問題は莫大なリソースを浪費した末に、その代償は国民へとかかってくることが避けられません。「なんとなく不安だから」という根拠で、処理すべきものを処理せず溜め込むことにより、数十兆円規模にまで今後膨らむと言われるコストを、国民が電気料金や税金などで全て負担することにもなりかねません。 健康リスクを上昇させない「処理水」を海洋放出することで懸念されるのは、科学的に観測できる「汚染」ではなく、人の感情の問題、偏見と風評被害の拡大です。 東電福島第一原発に溜められている処理水はこれまで、環境処理可能なレベルまで無害化できること自体が周知されないまま、「処分できないもの」「溜め込むしかないもの」という誤解が既成事実化してしまいました。この誤解は時が経つとともにますます広まり、固定化され、状況はさらに悪化しています。 また、「海洋放出さえしなければ、リスクと風評拡大を防げるというわけではない」という視点も忘れられがちです。処理水を放出せず溜め続けることで生まれるリスクと風評もあり、しかもそれは処理水がある限り悪化するのです。 もしそれらを放置した果てに、タンクの老朽化、あるいは事故や災害などで中身が溢れたりしたらどうなるでしょうか。「流すも風評、流さぬも風評」という厳しい状況の中で、損害を最小限に抑制するための戦略が求められます。 根拠なき風評は払拭できるのか すでに2年前の筆者の記事でも言及しましたが、実は、漁業者を含めてこうした状況を理解し、処理水を溜め続けることで増えるリスクを懸念している福島県民も少なくありません。 福島に暮らす人の一部から、今回の松井市長らの発言に歓迎の声もあがったのはこのためです。 ただし、同じ県内でも利害関係や当事者性にはグラデーションがあり、また、仮にどれだけ県内外で理解が深まったとしても、海洋放出に踏み切ればやはり福島県民が最前線で偏見や利益面などでのダメージを受けることも避けられないでしょう。 そうした中で処理を進めるためには、従来に加えさらに重い負担を強いられる人たちを、さまざまな不利益から護っていく必要もあります。 特に福島に暮らす人たちは、ただ福島で普通に暮らしているというだけでこの8年半、ことあるごとに理不尽なクレームや言い掛かりを受け続けてきました。社会は今まで、そうした暴力から当事者を十分に護ってきたとは言い難いでしょう。この状況を、今度こそ変えていかなければなりません。 残念なことに、現状ではまだ、諸外国と同様の処理を行うだけでも誤解と風評がさらに広がるであろう状況に見えます。福島への誤解や風評とは、基本的に「県外からの視線」が主ですから、県内の当事者ができる対策には限界があります。 そのような状況を創り出してきた原因を是正し、社会に正しい情報と理解を広め、多くの国民が解決に向けて協力することこそが「当事者の苦労をこれ以上大きくさせない」ため、そして日本全体の損失を拡大させないために不可欠と言えるでしょう。 その点では、今回起こった「汚染水」「処理水」をめぐる論争は、まさに「科学的根拠を無視した風評被害を払拭する突破口になる」のかもしれません。この閉塞感が打ち破られることを、私自身も福島に暮らす一人の個人として切に願っています。
国内最大規模 木質バイオマス起工 いわき・好間工業団地 2019年10月8日 福島民友
2019年10月09日内部被ばくと健康被害 資料
[解説] 木材がセシウム137で5から6ベクレル/kg程度の汚染であっても、バイオマス発電で燃やせば、300倍、400倍以上に濃縮されます。木材ペレットが,5でも、灰は1500ベクレル/kgや2000ベクレル/kgにもなる、ということです。 放射能塵灰はバグフィルターという集塵器で取れるなどという学者がいますが、99.99%の除去率はあり得ずフィルターが詰まります。詰まらないようにするためには、99.99%より低くする必要があります。また、例え0.01%しか環境に出ないとしても、非常に微粒子であればあるほど、肺の奥の肺胞まで到達します。特に1マイクロメートル(μm)以下の微粒子は肺胞まで到達し、容易には出てきません。原発事故でヨウ素131とセシウム134,137だけが出てきた、とは考えることが出来ず、ウラン、プルトニウム、ストロンチウム90が微粒子内にある、と考えるべきです。単純にベクレルの大小で健康被害は判断できません。 以下の資料には、こう書いてあります。 「試料よりも粒子径が減少するに伴い収率は減少している。また、試料よりも粒子径が増すに従い収率が減少していることが確認できる。また、バグフィルタ灰を分級した灰の中位径が1.3μmの時、収率は25%であることが確認できる。」とあります。 -木質バイオマスボイラ燃焼灰の有効利用法の開発 – 広島大学 前田典生 2018年 すなわち。粒子径が1.3マイクロメートル程度では収率は25%、つまり75%は環境に出ていく、ということです。 放射能で汚染された木材をバイオマス発電で燃やすべきではありません。 国内最大規模 木質バイオマス起工 いわき・好間工業団地 2019年10月8日 福島民友 福島いわきバイオマス発電所の完成予想図 エイブルエナジー合同会社(広野町)がいわき市の好間工業団地に整備を計画している木質バイオマス発電所「福島いわきバイオマス発電所」の起工式は七日、現地で行われた。 同社によると、出力は十一万二千キロワットで木質ペレットのみを燃焼させる発電所としては国内最大規模だという。 年間発電量は一般家庭約二十三万世帯に相当する約七億七千万キロワット時。五・五ヘクタールの敷地内にタービン建屋や循環流動層ボイラなどを整備する。二〇二二(令和四)年四月の運転開始を目指す。石炭のみで同規模発電を行った場合に比較し、二酸化炭素(CO2)を年間約七八・七万トン削減できるという。 起工式には約六十人が出席した。神事が執り行われ、エイブルエナジーの佐藤順英代表職務執行者らが玉串をささげた。 県は二〇四〇年度までに県内需要の全てを再生エネルギーで賄う目標を掲げている。二〇一八(平成三十)年度の実績は31・8%だった
学校に通いたい……教室に充満する過剰な「香り」で化学物質過敏症に苦しむ女子高校生 2019年10月2日 HABOR BUSINESS
2019年10月03日内部被ばくと健康被害 資料
学校に通いたい……教室に充満する過剰な「香り」で化学物質過敏症に苦しむ女子高校生 2019年10月2日 HABOR BUSINESS 香り過剰な教室で防毒マスクなしで呼吸できなくなった女子高生 「いい香り」を売りにする製品は年々増えている。<ナオ / PIXTA(ピクスタ)> 「娘の症状は私どもの想像を超えるスピードで悪化し、学校では防毒マスクなしで呼吸ができない状態となりました。何より困っているのは高残香性柔軟剤●●●、●●●、●●●、●●●、洗濯洗剤●●●、●●●、●●●、デオドラントビーズ(*)、制汗スプレーです」<*洗濯時に、香り付けだけの目的で使用するビーズ状の製品。後出の「香り付け用ビーズ」も同じ> これは福岡県の私立高校2年生で化学物質過敏症患者Aさん(17歳)の母親が、今年7月、Aさんと同じクラスの保護者全員に宛てた手紙の一部である。伏字の部分には、それぞれ柔軟剤と合成洗剤の具体的な銘柄が記されている。そうしないと、自分が愛用している製品の香りが強いのかどうか、普通の人には判断できないからだ。 「上記の柔軟剤・合成洗剤等をご使用中のご家庭がもしございましたら、卒業までの残りの1年半だけでも別の洗剤や柔軟剤に変えていただけないでしょうか?(中略)そして香り付け用ビーズはご使用をお止めいただけませんか?」 悲痛なまでの懇願に、母親の煩悶とAさん自身の苦しみが窺える。なぜ、こんな事態になってしまったのか。 中1の頃、偏頭痛が頻発し始めた Aさんは小さいころからエビとイカのアレルギーがあるだけで、健康上、特に何の問題もなく元気に学校に通っていた。そのAさんに化学物質過敏症の症状が出始めたのは、中学1年生のときだ。そのころ頻繁に偏頭痛を訴えるようになった。だが母親は化学物質過敏症とは夢にも思わず、この子は頭痛持ちなのだと思っていたという。 しかし症状は次第に悪化し、腹痛や下痢を繰り返すようになっていった。中学3年生の夏には何を食べても呼吸困難・じんましん・口腔アレルギーを起こすようになり、複数の病院を受診した。食べられないものがどんどん増えていき、ひとつひとつ除去していかざるを得なかった。このころ、光線過敏症(日光アレルギー)も発症し、紫外線の強い日は5分も戸外にいるとじんましんが出るようになった。 高校進学後、国立病院機構福岡病院で「食物アレルギーではなく化学物質に反応しているのだろう」と言われ、初めて化学物質過敏症の診断を受けた。その後、別の病院で診断書を出してもらうことができたが、治療はできないと言われた。九州近傍には化学物質過敏症の専門医がいないため、現在はどこの病院にもかかっていない。薬の添加物にも反応するので、症状を抑えるための薬を飲むこともできない。 Aさんの母親には、娘の発症のきっかけのひとつとして、ある銘柄の柔軟剤が思い当った。Aさんが中学1年生のとき、それまで使っていた柔軟剤からその銘柄に変えたことがあった。母親は特に香りが強くなったとも思わず、新しい柔軟剤を一年半ほど使用した。だが思い返せば、そのころからAさんは頭痛を訴え始めていた。 高校1年生の冬、学校が教室を閉め切って暖房を入れるようになると、Aさんはフラフラになって帰宅し、激しい眠気を訴えた。喘息の発作、夜眠れないほどの頭痛、針で眼球や骨を刺されるような痛みに襲われ、さらには筋肉の弛緩によりペンや箸が持てなくなった。教室内に充満した洗剤や柔軟剤などの香りが原因ではないかと母親は考えている。 自宅の洗剤は無香料に変えたが…… 化学物質過敏症と診断されてから、Aさんの家庭では合成洗剤と柔軟剤をやめ、無香料の石けんに切り替えた。しかし学校へ行けば大勢の生徒たちの衣類や頭髪から、香料を含むさまざまな化学物質が発散する。防毒マスクがなければ、呼吸もままならない。そのため今年の夏休み直前に、冒頭で紹介したような手紙を、学校の協力を得て同じクラスの保護者に配布してもらったのだ。 手紙が奏功し、夏休み明けには自分のクラスの教室内だけは、防毒マスクより軽量な活性炭入りマスクでも過ごせるようになった。だが、他のクラスの生徒が大勢いる廊下やスクールバス内では、防毒マスクをしていても香料などが突き抜けてくるため、震え、脱力、頭痛、めまい、肺の痛みなどに襲われた。 また、9月半ばには学校が各教室の床にワックスを塗ったため、一週間ほど自分の教室に入るのも難しくなってしまったことがあった。夏休み中は体調もかなり回復し通学を楽しみにしていたが、今は、丸1日学校で過ごすと、その後の2日ほどは学校に行けなくなってしまうような状況が続いている。Aさんは、「学校に行きたいのに」と泣いているという。 2009年から保険診療となっている化学物質過敏症 化学物質過敏症とは、ごく微量の化学物質でさまざまな症状が出る病気である。軽い頭痛を感じるなどの軽症者から、普通に生活することが困難なAさんのような重症者まで、程度の差はさまざまだ。心因性のものだと考える医師、あるいは病気として認めない医師も多いというが、2009年10月から保険診療の病名リストに登録されているれっきとした疾病である。 かつては工場労働者などが、有害化学物質に一度に大量に暴露したあとや、少量でも長期間にわたって暴露したあとに発症する病気だった。ところが今や、普通に生活しているだけで発症する人が急増している。 内山巌雄京都大学名誉教授*らが2000年に全国の成人4000人(有効回答率71.3%)に対して行なった調査**によれば、化学物質過敏症の可能性の高い人は0.74%、可能性のある人は2.1%であった。2000年ごろの成人人口は約1億人であるから、感度の高い人は70万人、可能性のある人は210万人もいるということになる。<*2000年当時は国立公衆衛生院労働衛生学部部長><**内山巌雄,村山留美子.公衆衛生学的立場から見た化 学物質過敏症.平成 11 年度厚生科学研究費補助金報 告書 2000;1–5.> また12年後の2012年、内山教授らが成人を対象に行なった調査*では、回答者7245人の4.4%が化学物質過敏症と判定されている。2000年と比較して、その率は倍増している。大人だけで全国に440万人もの患者もしくは予備軍がいるということだ。<*東賢一、内山巌雄.化学物質過敏症の実態について : 全国規模の調査と臨床の現場から (特集 化学物質過敏症問題の現状と今後の課題を考える)> ところが日本では、化学物質過敏症の診断ができる病院の数が極端に少ない。それに加えて、病気自体の理解が進んでいないため、発症していてもそれと気づかずに過ごしている人が多い。Aさんのケースも、中学1年生の時点ですでに発症していたと考えられるが、病院で診断を受けるまでに4年もの月日が流れている。その間、症状は悪化し続け、結果的に、対応も遅れてしまった。 急増する患者、手を打たない国 今年9月16日、東京で日本臨床環境医学会の市民公開講座が開催され、高知県の医療法人高幡会大西病院の小倉英郎院長が化学物質過敏症患者に関する調査結果を報告した。 報告によれば2010年9月から2018年9月の8年間に同院を受診した1歳から15歳までの患者24名のうち、ほぼ三分の一の29.2%が発症の契機となった化学物質として衣類の洗剤・柔軟剤をあげている。 調査対象となった8年間のうち半数の12名は、2016年以降に受診している。つまり少なくとも大西病院ではそのころに患者が急増したということだ。 マイクロカプセル技術を使用した高残香性の柔軟剤が日本で売り出されたのは2010年。徐々にブームになり、ここ数年はどこもかしこも合成香料の香りが漂うようになった。すすぎ1回でエコというふれこみの合成洗剤も、次々と売り出されている。もともとすすぎ回数の少ない柔軟剤ともども、さまざまな成分が衣類に残留し、空気中に拡散あるいは皮膚から吸収されていることは想像に難くない。 化学物質過敏症を発症・重症化して、学校に通いたくても通えない子どもが一体全国にどれほどいるのだろうか。文部科学省はそれすら調べようとしていない。「病態(病気の様子の意)がわからず病気としての定義ができないため、正確な調査ができない、だから調査はしない」というのが文部科学省の考え方だ。 また、子どもの教育を受ける権利を蹂躙しながら平然と有害物質を売り続ける企業に対し、厚生労働省も環境省も消費者庁も何ら対策を取ろうとしない。柔軟剤などの香り成分で化学物質過敏症を発症するという証拠がないというのがその理由だ。すでに国内外に香料成分の有害性を示す研究論文が多数存在するにもかかわらず、それらを見ようともしないのだ。 「原因物質がわからない限り何もなそうとしない行政」 あの水俣病の惨禍を招いたのも、行政のそうした姿勢だった。かつて熊本大学医学部で水俣病の原因究明と被害者救済に力を尽くした故原田正純氏は、その著書『水俣病』(岩波書店 1972年)の中で、次のように行政を批判している。少し長いが、以下に引用する。 ”昭和三十二年二月二十六日第二回の水俣病医学研究報告会が開かれ、厚生省や、さきに述べた公衆衛生院の共同研究の結果、それまでにわかった事実に基づいて水俣湾内の漁獲を禁止する必要があると結論されたにもかかわらず、原因物質が決定できないために漁獲を禁止する法的根拠がなかった。(中略) これよりさき、三十一年十二月に、熊大の喜田村教授*が、よそから持ってきて短期間水俣湾内で飼育した魚や、短期間湾内に生息する回遊魚が、いずれもすみやかに毒性を帯びるという事実をつきとめ、これによって恐るべき湾内の毒性を証明したにもかかわらず、これらの研究はまったく行政には無視されたのである。原因は排水中の物質であることはわかっていても、これが原因物質だというものをとり出して突きつけないと、責任をとろうとしない企業と、いかに危険だとわかっていても、原因物質がわからない限り、なにもなそうとしない行政の姿が、はっきりここで現われている。これらこそ、公害を発生させ、拡大していく元凶なのである。”<*熊本大学水俣病研究班のメンバーの一人である喜田村正次教授> 大袈裟でもなんでもなく、今また同じことが繰り返されている。今度の被害者は全国民だ。香りの愛好者も香りの被害者も、等しくその害を被るからだ。 一日も早くなんとかしなければ、被害者は増える一方、そしてすでに発症した人たちの回復は妨げられる一方だ。行政もマスコミも、いつまで素知らぬ顔をし続けるつもりなのだろうか。 <取材・文/鶴田由紀> 【鶴田由紀】フリーライター。1963年横浜に生まれる。1986年青山学院大学経済学部経済学科卒業。1988年青山学院大学大学院経済学研究科修士課程修了。著書に『巨大風車はいらない原発もいらない―もうエネルギー政策にダマされないで!』(アットワークス)、訳書に『香りブームに異議あり』(緑風出版)など
関電3億2千万円“裏金” 元助役の関連会社が稲田朋美元防衛相ら自民党議員に献金 後援会長も 2019年10月3 日 週刊朝日
2019年10月03日内部被ばくと健康被害 資料
関電3億2千万円“裏金” 元助役の関連会社が稲田朋美元防衛相ら自民党議員に献金 後援会長も 2019年10月3日 週刊朝日 稲田朋美元防衛相/(c)朝日新聞 関西電力の役員ら20人が3億2千万円もの金品を、原発がある福井県高浜町の元助役、森山栄治氏(故人)から受け取っていた問題で、関電は2日、記者会見を再度開き、社内調査の結果を公表した。八木誠会長は金貨や金杯、スーツ仕立券など859万円相当を、岩根茂樹社長は金貨10枚(150万円)を受け取っていたことなどが判明。だが、進退については「再発防止、真相究明することで役割を果たしたい」とし、2人は辞任せず減給処分になると説明した。 【アイビックスの吉田敏貢会長の名前があった「収支報告書」はこちら】 社内調査報告書では、高浜町の「影の町長」とも呼ばれた森山氏が「国会議員に広い人脈を有している」こともあって、関係を深めたと説明。森山氏が筆頭株主とされ、取締役を務めていた警備会社「オーイング」(本社・福井県高浜町)と、その関連会社の「アイビックス」(本社・福井市)が、自民党の稲田朋美元防衛相に献金していたこともわかった。アイビックスの吉田敏貢会長は稲田氏の後援会長を務めていた。 稲田氏が代表を務める自民党福井県第一選挙区支部の政治資金収支報告書によると、アイビックスは2011、12年にそれぞれ36万円、吉田氏個人として11年に50万円を献金。オーイングも11、12年にそれぞれ12万円を献金していた。 また、衆院議員の高木毅氏(福井2区)が代表を務める自民党福井県第二選挙区支部は、16年に警備費用としてオーイングに約19万4千円を支払っていた。 本誌が12年春に森山氏を直撃取材していたことはすでに報じた。その時に関電への資金提供、国会議員との関係についても聞いていた。 ――森山氏と関電は深い関係にあると聞いている。関電から便宜を受けることはあるのか? 「原発立地町だから、いろいろ聞くことはある。当然のことだ」 ――森山氏と関係のある会社が優先的に、関電の仕事を請け負っているとの話を聞いたが? 「私も長く原発にかかわっている。関係ある会社はある。だが、関電に特別なことを頼むことはない」 ――関電から便宜を受けたり、逆に接待したりするなどないのか? 金銭授受の噂(うわさ)もある? 「そんなことはあるわけない」 ――国会議員との強力な関係を指摘する人もいる? 「地元なんだから当然、先生は知っているよ。それだけだ」 ――「影の町長」という人もいる。それは国会議員や関電との特別な関係があるからなのでは? 「影の町長だなんてないよ。嫉妬とかあっていろいろ言う人がいるようだが、何もないよ」 森山氏は、関電や国会議員との「特別な関係」を否定していたが、金品の提供や国会議員との関係について、関電側は2日の会見や報告書で認めている。 森山氏をよく知る高浜町の関係者はこう話す。 「森山氏は普段はいいおじいさんですわ。けど、ひとたび自分の思い通りにならないと豹変(ひょうへん)する。怒らせると本当に怖いですね。影の町長、フィクサーと言われるのは関電や国会議員との強力な関係があるからです。私も関電の社長だという人と森山氏のツーショット写真を見せられました。高浜町の元助役程度で関電の社長と会えるわけがない」 ある野党幹部が話す。 「関電のスキャンダルが出てから、高木氏がなぜかアポもなく野党の控室にふらっと現れてびっくりした。普通、与党の大臣経験者がいくら議院運営委員長だからといって、野党の控室なんか来たりしませんよ。野党が何か探ってないか偵察にきたんじゃないか。関電スキャンダルと政治については今後、国会で追及したい」(今西憲之) ※週刊朝日オンライン限定記事
関西電力の原発稼動のためのリニア建設は中止を!3つの記事と1つの動画
2019年10月02日内部被ばくと健康被害 資料
リニア建設をめぐって、川勝静岡県知事は、リニア採掘工事に伴い、大井川水系の水を減らすことなく、元に戻すようJR東海に要求しています。しかし、JR東海は首を縦に振りません。JR東海の推計でも、リニアトンネル採掘によって、大井川の水が毎秒2トン減少するとなっています。これは静岡県民の63万人分の水道使用量に相当します。JR東海は大井川水系の地下水問題をうやむやにしながら、JRリニア中央新幹線のトンネル採掘工事を進めようとしています。 リニアは、首都東京と名古屋、大阪を結ぶだけのものであり、山梨県、静岡県、岐阜県には一切経済波及効果はありません。それどこか地盤沈下、地下水の減少、温泉の枯渇、電磁波障害、地下からの騒音しか、3県にはもたらしません。また、岐阜県の東濃地方は天然ウランの鉱床があり、トンネル採掘に伴い、ウラン残土が環境に持ち込まれることになります。アメリカの先住民族の土地にあるウラン鉱床では、鉱山労働者の肺がん罹患率(病気にかかる率)は、先住民ナバホ族平均の二八倍、子どもの骨がん罹患率も全国平均の五倍にもなっています。 <参考> 『米インディアン居留地、ウラン鉱汚染 2010年6月24日 毎日新聞 大阪版 』 内部被ばくを考える市民研究会資料 2018年9月13日 そもそも、東海道新幹線がある以上、乗車率が70%以上超えることは絶対にないだろう、と言われます。9兆3000億円にも及ぶ工事費用により、JR東海は赤字転落すると予想されています。ではなぜ? もっとも大きな理由は、東日本大震災以降、電力の省エネ化が急速に進み、関西電力の持つ原発4基の発電量を消費する一大電力消費企業が必要だったからです。莫大な電力を消費するリニアは、関西電力の4基原発稼動とセットです。 もはや、太陽光、風力などの再生可能エネルギーにによって、大規模発電、いったん事故が起こればふるさとを奪われ、放射能汚染の土地に帰還させられる、事態を生む原発は必要ないのです。必要のない原発を今後も稼動させるための、本末転倒のリニアなど要りません。 当初はリニア建設費用9兆3000億円はJR東海だけの資金で建設することが約束されていたのに、いつの間にか日本政府が3兆円の資金融資をすることにもなっています。2016年6月1日、安倍首相がリニアに財政投融資(3兆円)を活用すると表明して、決まりました。 採算性がなく、環境を破壊し、原発稼動と大手銀行資本の関西電力への融資焦げ付きを回避するためだけの、リニア建設は中止するべきです。 最後に、動画『リニア中央新幹線がやって来る ヤァ!ヤァ!ヤァ!』17分19秒のリンクを貼っておきます。このリニア中央新幹線問題と原発との関係を疑問の余地なく解説してくれる動画です。 リニア問題平行線 川勝知事「計画見直す事態」 2019年9月6日 読売新聞 朝刊面 会談で握手する大村愛知県知事(左)と川勝静岡県知事(5日午後4時53分、名古屋市中区の愛知県公館で)=林陽一撮影 リニア中央新幹線静岡工区の着工に向けた県とJR東海の協議が難航している問題で、川勝知事は5日、愛知県公館(名古屋市)を訪れ、大村秀章知事と会談した。JR東海が掲げる2027年の東京―名古屋間の開業目標について、川勝知事が「計画全体の見直しを考えてもらわなければならない」と強調した一方で、大村知事は「早期着工のため、一歩でも二歩でも前進していただきたい」と訴えた。互いに譲歩しない姿勢が一段と鮮明になった。 リニア中央新幹線静岡工区の着工に向けた県とJR東海の協議が難航している問題で、川勝知事は5日、愛知県公館(名古屋市)を訪れ、大村秀章知事と会談した。JR東海が掲げる2027年の東京―名古屋間の開業目標について、川勝知事が「計画全体の見直しを考えてもらわなければならない」と強調した一方で、大村知事は「早期着工のため、一歩でも二歩でも前進していただきたい」と訴えた。互いに譲歩しない姿勢が一段と鮮明になった。 会談で注目された議論は、沿線9都府県が強く求める27年の開業と工事に伴う大井川の水量減少問題、国がどう関与するかだ。 約40分間の会談は、冒頭以外を非公開とし、側近も交えず2人だけで行われた。27年の開業目標を巡り、対立を深めてきた両トップの歩み寄りが期待されていた。 会談の冒頭、川勝知事は「リニアの問題でぎくしゃくしているのは残念だ。(私だけがJR東海とけんかしているという)誤解を解くために来た」とあいさつした。大村知事は「解決できない問題はないと思うので、関係者の英知を結集し、何としても目標の27年開業を進めていきたい」と早期着工を強く求めた。 両知事は会談後、別々に記者団の取材に応じた。川勝知事は大井川の水量減少問題に触れ、「不測の事態が起きている。(静岡の)水がめが失われる。(開業計画の)全体を見直すべき事態と認識していただきたい」と、安易な早期着工を認めない姿勢を示した。大村知事は「川勝知事の立場もあるでしょう。互いの意見がかみ合うというわけではなかった」と総括し、「27年の開業目標が遅れることは譲れない」と改めて訴えた。 JR東海は工事中の一定期間、県外に流出した大井川の湧水を戻すことは技術的に難しいと説明した。これに対し、県や利水者は、湧水の全量を戻すべきだと強く反発していた。 川勝知事はこの点を大村知事に説明したという。JR東海の対応について「詭弁きべんであり、県民は怒っている。(大村知事の)静岡県民は誰もリニア工事に反対していないという認識は改められたのでは」と述べた。大村知事は水問題について「静岡県とJR東海が科学的な論拠に基づいて議論をしてほしい」と話すにとどめた。 ただ、両知事は「問題解決には国の積極的関与が必須」との意見では一致した。川勝知事は大井川の問題について、「技術的な解決には国土交通省が関与しないと(いけない)」と述べた。大村知事は「国が前面に乗り出して調整してほしい。鉄道業者に水問題(の解決)まで全てやれというのは酷だ」と理解を示した。 今回の会談は、川勝知事が「(大村知事に)中間意見書を読んでいただきたい」と発言したことに、大村知事が「自分が私のところに説明に来ればよい」と猛反発したことがきっかけになった。 大井川直下に断層か、リニア工事計画地 湧水流出、下流水量減も 2019年10月1日 静岡新聞 静岡、山梨県境付近の地中断面図 リニア中央新幹線南アルプストンネル工事が計画されている大井川上流部の本流直下に断層や破砕帯が存在する可能性があることが30日、複数の地質学専門家の指摘で分かった。山梨県側へのトンネル湧水の流出が懸念される畑薙山断層と近接していて、工事中に大井川の水が破砕帯を通じて県外に大量流出し、下流部の河川流量に影響を及ぼす恐れがあるという。JR東海も断層の存在を把握しているとみられるが、これまでの県との協議では説明していない。 専門家によると、大井川本流直下の断層は山梨側に向け傾斜していて畑薙山断層と地下で一体化している可能性もある。トンネルより上流には川に沿った断層も存在するとされ、川から地下に染み込む水が大量に含まれている可能性がある。トンネル掘削時に高圧で大量の水が噴き出すことが懸念される。 大規模な破砕帯がある畑薙山断層は大井川に沿って南下し、川の下をくぐるとみられている。この断層にも同様に川の水が染み込んでいる可能性がある。専門家は本流近くでボーリング調査をして事前に県外への湧水流出量を把握し、下流部の流量への影響を見極める必要があると指摘している。 リニア残土 微量ウラン JR東海 公表せず 岐阜 日吉トンネル工事 2019年8月5日 しんぶん赤旗 JR東海が進めるリニア中央新幹線建設工事の日吉トンネル南垣外工区(岐阜県瑞浪市)で残土から複数回、放射性物質である微量のウランが検出されていたことが分かりました。この地域には日本最大のウラン鉱床が広がっています。トンネル掘削には住民から不安の声が相次いでいましたが、同社は公表していませんでした。専門家は、住民の信頼を得るためには公表が必要と指摘しています。(丹田智之) (写真)耕作放棄地に造成された南垣外工区の残土置き場=岐阜県瑞浪市 本紙が岐阜県から情報公開請求で入手した資料によると、2018年5月30日に同工区の残土から1グラムあたり5・3マイクログラムのウランが検出されていました。同年6月5日にも1グラムあたり5・0マイクログラムのウランが出ています。資料は同年5月30日から7月10日までの計量証明書で、以後は公開されていません。 いずれも検出されたウランは微量で、JR東海が定めた管理上の基準「1グラムあたり77マイクログラム」(放射能量1ベクレルに相当)を下回っています。付近の残土置き場に搬出し、同社は「管理値を超えるウラン含有土は発生していない」として公表していません。 瑞浪市を含む岐阜県の東濃地域は日本で数少ないウラン鉱床があります。天然のウランを加工すれば、原発の核燃料になります。 同社は「鉱床を回避しているので、ウランに関する問題は発生しない」と説明し、工事を進めてきました。 日吉トンネルのルート付近に住む男性(85)=瑞浪市=は「トンネルを掘り進めているうちに、どこかで鉱床に当たるのではないか。(ウラン対策について)住民は何も知らされていません。工事は進めるべきではない」と憤ります。 旧通商産業省地質調査所で東濃のウラン鉱床を調査した元日本環境学会副会長の坂巻幸雄さんは「工事で出たウランは微々たる量だと言えます。しかし、工事に関する情報は細かいことまで自治体と住民に伝えてこそ信頼は生まれるものです」と話しています。 ウラン出土の危険 着工前に指摘も (写真)本紙が岐阜県への情報公開請求で入手したウランの検出を示す計量証明書など 岐阜県の東濃地域は、天然の重金属類が豊富な地質として知られています。同地域を横断するリニア中央新幹線の日吉トンネル南垣外工区(瑞浪市)では、環境基準を超える有害物質のヒ素やフッ素に加え、放射性物質のウランを含む残土も発生していました。 「ウランについては、私たちが調査した範囲では問題ないだろうということで、出ることを前提にしていません」 着工前の2014年1月30日、岐阜県庁で開かれたリニアの環境影響評価審査会で、出席したJR東海の担当者はそう言い切りました。 ある委員は「現場で工事を始めて、本当にウランが出てきたらどうするのか」と厳しく指摘。別の委員は「私は反対。ここは掘るべきではない」との意見を表明しましたが、JRの担当者は「必要に応じて対策していく」と繰り返しました。 天然ウランが日本で採掘されていた場所は、主に東濃と人形峠(岡山・鳥取両県)の2カ所です。旧動力炉・核燃料開発事業団の『動燃30年史』(1998年)によると「日本国内における地域別埋蔵ウラン量」(88年3月末)は人形峠の1945トンに対し、東濃は4590トンと突出しています。 JR東海 処分場所・方法もあいまいなまま ウランを含む残土が発生した場合の対応を指摘した日本共産党の本村伸子衆院議員の質問(16年3月30日、国土交通委)に対し、国交省の藤田耕三鉄道局長(当時)は「放射線量やウランの濃度を含む地質の状況把握の結果については、(JR東海が)県や関係市町に報告し、工事説明会などで地元の方々に説明していく」と答弁しています。 JR東海は、高濃度のウラン含有土が発生した場合は「通常の残土置き場には搬入しない」(広報部)としています。しかし、最終処分の場所や方法について聞くと「専門家に相談の上、関係機関と協議して決定する」と、あいまいな回答でした。 日本原子力研究開発機構の東濃地科学センター地層科学研究部の笹尾英嗣部長は「1グラムあたり1ベクレル以下ということであれば、環境や人体への影響はない」と述べた上で、こう指摘します。 「ウランは限られた場所の特定の地層に分布しています。過去の周辺の調査結果から日吉トンネルのルート上に大規模なウラン鉱床はないと言えますが、小規模な鉱床がある可能性は否定できない」 youtube動画 17分19秒 『リニア中央新幹線がやって来る ヤァ!ヤァ!ヤァ!』
「福島第一原発は津波が来る前に壊れていた」元東電社員“炉心専門家”が決意の実名告発 事故検証結果は「津波が原因」。しかし、それは間違っていた…… 2019年8月13日 文藝春秋
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「福島第一原発は津波が来る前に壊れていた」元東電社員“炉心専門家”が決意の実名告発 事故検証結果は「津波が原因」。しかし、それは間違っていた…… 「文藝春秋」編集部2019/08/13 福島第一原発事故から8年。 大事故を受けて、一時は「稼働中の原発はゼロ」という状態にもなったが、新しい安全基準(「新規制基準」)が定められ、現在、国内で7基の原発が稼働中だ(玄海原発4号機、川内原発1・2号機、大飯原発4号機、高浜原発3・4号機、伊方原発3号機)。 2013年に定められた「新規制基準」について、電気事業連合会はこう説明している。 「東京電力(株)福島第一原子力発電所の事故では地震の後に襲来した津波の影響により、非常用ディーゼル発電機・配電盤・バッテリーなど重要な設備が被害を受け、非常用を含めたすべての電源が使用できなくなり、原子炉を冷却する機能を喪失しました。この結果、炉心溶融とそれに続く水素爆発による原子炉建屋の破損などにつながり、環境への重大な放射性物質の放出に至りました。こうした事故の検証を通じて得られた教訓が、新規制基準に反映されています」 福島第一原発 ©共同通信社 元東電社員が突き止めた本当の事故原因 要するに、「津波で電源を喪失し、冷却機能を失ってメルトダウンが起こり、重大事故が発生した」ということだ。 この点に関して、津波の規模が「予見可能だったか、想定外だったか」という議論がなされてきた。しかし双方とも「津波が事故原因」という点では一致し、多くの国民もそう理解している。 ところが、「津波が原因」ではなかったのだ。 福島第一原発は、津波の襲来前に、地震動で壊れたのであって、事故原因は「津波」ではなく「地震」だった――“執念”とも言える莫大な労力を費やして、そのことを明らかにしたのは、元東電「炉心専門家」の木村俊雄氏(55)だ。 木村氏は、東電学園高校を卒業後、1983年に東電に入社、最初の配属先が福島第一原発だった。新潟原子力建設所、柏崎刈羽原発を経て、1989年から再び福島第一原発へ。2000年に退社するまで、燃料管理班として原子炉の設計・管理業務を担当してきた“炉心屋”である。 木村俊雄氏 東電社内でも数少ない炉心のエキスパートだった木村氏は、東電に未公開だった「炉心流量(炉心内の水の流れ)」に関するデータの開示を求め、膨大な関連データや資料を読み込み、事故原因は「津波」ではなく「地震」だったことを突き止めた。 「津波が来る前から、福島第一原発は危機的状況に陥っていた」 「事故を受けて、『国会事故調』『政府事故調』『民間事故調』『東電事故調』と4つもの事故調査委員会が設置され、それぞれ報告書を出しましたが、いずれも『事故原因の究明』として不十分なものでした。メルトダウンのような事故を検証するには、『炉心の状態』を示すデータが不可欠となるのに、4つの事故調は、いずれもこうしたデータにもとづいた検証を行っていないのです。 東電本店 ©共同通信社 ただ、それもそのはず。そもそも東電が調査委員会に、そうしたデータを開示していなかったからです。そこで私は東電にデータの開示を求めました。これを分析して、驚きました。実は『津波』が来る前からすでに、『地震動』により福島第一原発の原子炉は危機的状況に陥っていたことが分かったのです」 7基もの原発が稼働中の現在、このことは重大な意味をもつ。「津波が原因」なら、「津波対策を施せば、安全に再稼働できる」ことになるが、そうではないのだ。 文藝春秋9月号 木村俊雄氏が事故原因を徹底究明した「福島第一原発は津波の前に壊れた」の全文は、「文藝春秋」9月号に掲載されている。
日韓メディアの労組が共同宣言「ナショナリズムを助長する報道には加担しない」
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日韓メディアの労組が共同宣言「ナショナリズムを助長する報道には加担しない」 2019年9月29日 Huffpost 中村かさね KASANE NAKAMURA 日韓の緊張関係が続く中、両国のメディアの労働者団体が9月28日、「ナショナリズムを助長する報道には加担しない」ように呼びかける共同宣言を発表した。 共同宣言は、韓国の全国言論労働組合(言論労組)と日本マスコミ文化情報労組会議(MIC)によるもの。MICは新聞・放送・出版・映画・演劇など9つの労組が集まった労組連盟。 「事実に基づいた報道で、国境を越えて平和と人権が尊重される社会を目指そう」というタイトルで、「歴史問題に端を発した日韓両国の政治対立が、さまざまな分野での交流を引き裂き、両国の距離を遠ざけている」 と現状を分析する。 さらに、「歴史の事実に目を背ける者に、未来は語れない。 過去の反省なしには、未来を論じることはできない」 として、「排外的な言説や偏狭なナショナリズムが幅をきかせ、市民のかけがえのない人権や、平和、友好関係が踏みにじられることがあってはならない。いまこそ、こつこつと積み上げた事実を正しく、自由に報道していくという私たちメディア労働者の本分が問われている」 と呼びかける。 反日・嫌韓報道に「待った」 日本の対韓輸出管理強化などを機に、韓国国内では日本製品の不買運動が続いている。 福島第一原発の事故による放射能汚染についても農作物の検査を強化したり「汚染マップ」を作成するなど、批判色を強めていた。 一方で、日本でも週刊誌が「韓国なんて要らない」という特集を掲載。テレビ番組では、韓国人の男が日本人女性に暴行を加えたとして立件されたというニュースについてコメンテーターが「日本男子も韓国女性が入ってきたら暴行しないといかん」と発言するなど、嫌韓報道が問題視されていた。 こうした動きに対し、韓国の言論労組は8月2日に「ジャーナリズムの本領と普遍的な人権価値を守れ」と題する声明を発表。日本でも新聞労連が9月6日に「『嫌韓』あおり報道はやめよう」と題した声明を発表していた。 共同宣言の全文は以下の通り。 日韓両国のメディア労働者共同宣言―事実に基づいた報道で、国境を越えて平和と人権が尊重される社会を目指そう― 歴史問題に端を発した日韓両国の政治対立が、さまざまな分野での交流を引き裂き、両国の距離を遠ざけている。 歴史の事実に目を背ける者に、未来は語れない。 過去の反省なしには、未来を論じることはできない。 排外的な言説や偏狭なナショナリズムが幅をきかせ、市民のかけがえのない人権や、平和、友好関係が踏みにじられることがあってはならない。いまこそ、こつこつと積み上げた事実を正しく、自由に報道していくという私たちメディア労働者の本分が問われている。 今日、日本の「マスコミ文化情報労組会議」と韓国の「全国言論労働組合」に集うメディア労働者たちは、平和と人権を守り、民主主義を支えるメディアの本来の責務をもう一度自覚して、次のように宣言する。 一、我々は今後、あらゆる報道で事実を追求するジャーナリズムの本分を守り、平和と 人権が尊重される社会を目指す。 一、平和や人権が踏みにじられた過去の過ちを繰り返すことがないよう、ナショナリズムを助長する報道には加担しない。 2019年9月28日日本マスコミ文化情報労組会議韓國全国言論労働組合 日韓両国のメディア労働者共同宣言―事実に基づいた報道で、国境を越えて平和と人権が尊重される社会を目指そう― 歴史問題に端を発した日韓両国の政治対立が、さまざまな分野での交流を引き裂き、両国の距離を遠ざけている。 歴史の事実に目を背ける者に、未来は語れない。 過去の反省なしには、未来を論じることはできない。 排外的な言説や偏狭なナショナリズムが幅をきかせ、市民のかけがえのない人権や、平和、友好関係が踏みにじられることがあってはならない。いまこそ、こつこつと積み上げた事実を正しく、自由に報道していくという私たちメディア労働者の本分が問われている。 今日、日本の「マスコミ文化情報労組会議」と韓国の「全国言論労働組合」に集うメディア労働者たちは、平和と人権を守り、民主主義を支えるメディアの本来の責務をもう一度自覚して、次のように宣言する。 一、我々は今後、あらゆる報道で事実を追求するジャーナリズムの本分を守り、平和と 人権が尊重される社会を目指す。 一、平和や人権が踏みにじられた過去の過ちを繰り返すことがないよう、ナショナリズムを助長する報道には加担しない。 2019年9月28日日本マスコミ文化情報労組会議韓國全国言論労働組合