[解説]

 木材がセシウム137で5から6ベクレル/kg程度の汚染であっても、バイオマス発電で燃やせば、300倍、400倍以上に濃縮されます。木材ペレットが,5でも、灰は1500ベクレル/kgや2000ベクレル/kgにもなる、ということです。

 放射能塵灰はバグフィルターという集塵器で取れるなどという学者がいますが、99.99%の除去率はあり得ずフィルターが詰まります。詰まらないようにするためには、99.99%より低くする必要があります。また、例え0.01%しか環境に出ないとしても、非常に微粒子であればあるほど、肺の奥の肺胞まで到達します。特に1マイクロメートル(μm)以下の微粒子は肺胞まで到達し、容易には出てきません。原発事故でヨウ素131とセシウム134,137だけが出てきた、とは考えることが出来ず、ウラン、プルトニウム、ストロンチウム90が微粒子内にある、と考えるべきです。単純にベクレルの大小で健康被害は判断できません。

 以下の資料には、こう書いてあります。

「試料よりも粒子径が減少するに伴い収率は減少している。また、試料よりも粒子径が増すに従い収率が減少していることが確認できる。また、バグフィルタ灰を分級した灰の中位径が1.3μmの時、収率は25%であることが確認できる。」とあります。

木質バイオマスボイラ燃焼灰の有効利用法の開発 – 広島大学 前田典生 2018年

  すなわち。粒子径が1.3マイクロメートル程度では収率は25%、つまり75%は環境に出ていく、ということです。

 放射能で汚染された木材をバイオマス発電で燃やすべきではありません。 

 

国内最大規模 木質バイオマス起工 いわき・好間工業団地

2019年10月8日 福島民友

福島いわきバイオマス発電所の完成予想図

 エイブルエナジー合同会社(広野町)がいわき市の好間工業団地に整備を計画している木質バイオマス発電所「福島いわきバイオマス発電所」の起工式は七日、現地で行われた。

 同社によると、出力は十一万二千キロワットで木質ペレットのみを燃焼させる発電所としては国内最大規模だという。

年間発電量は一般家庭約二十三万世帯に相当する約七億七千万キロワット時。五・五ヘクタールの敷地内にタービン建屋や循環流動層ボイラなどを整備する。二〇二二(令和四)年四月の運転開始を目指す。石炭のみで同規模発電を行った場合に比較し、二酸化炭素(CO2)を年間約七八・七万トン削減できるという。

 起工式には約六十人が出席した。神事が執り行われ、エイブルエナジーの佐藤順英代表職務執行者らが玉串をささげた。

 県は二〇四〇年度までに県内需要の全てを再生エネルギーで賄う目標を掲げている。二〇一八(平成三十)年度の実績は31・8%だった