内部被ばくについて、自主的に学習し、周りの方々に広めていくための会
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2012年5月

声明 原発なき社会の実現のために 2012年5月19日 内部被ばくを考える市民研究会

声明 原発なき社会の実現のために  日本に「放射線防護省」を作れ   世界からすべての原発の廃炉を   原発なき社会のためにすべての人と手をつなごう                       2012年5月19日                       内部被ばくを考える市民研究会  2012年5月6日未明、北海道電力泊原発3号機が定期点検のために停止しました。東京電力福島第一原発(以下、東京第一原発)の1号機~4号機がすでに廃炉が決定しているため、日本全国50基となった原発すべてが、定期点検または東京第一原発事故のストレステスト後の再稼働をすることができず、停止することとなりました。これは実に1970年以来42年ぶりのことです。  政府や関西電力は、電力不足や計画停電で脅しながら、関西電力大飯原発の再稼働を狙っていました。しかし、再稼働反対の世論や、大阪市、京都府、滋賀県などが再稼働に異議をとなえこともあり未だ大飯原発の再稼働をすることができていません。電力は足りています。需給検討委員会が5月12日に発表した今年8月の電力需給見通しでは、関西電力の不足見込み445万キロワットに対して、中部、北陸、中国、四国の節電目標合計459万キロワットを融通すればこの夏は乗り切れます。  この夏を1基の原発を動かさないで乗り切ることが、原発なき社会への第一歩になります。  北電泊原発が定期点検に入ったということは、数千人の原発労働者が格納容器に入り、放射性物質のふき取り掃除、配管や温度計、モーターの点検という被ばく労働をする、ということです。原発はこの被ばく労働抜きには動かない装置だと言うことを改めて考える必要があります。  そして、関西電力大飯原発など、原発が再稼働できないために、地元の産業は斜陽となっています。原発事故のたびに経済的に振り回されるだけでなく、原発のある自治体は原発3法による国からのお金や使途不明金に近い電力会社からの寄付で、自立した運営ができない状態になっています。第1原発を作ったら、第2原発を誘致するしか財政がもたない自治体運営は腐敗しています。原発はこの差別と人倫にもとる構造の上に成り立っています。お金による箱ものの自治体運営と決別し、地元に根差した産業育成と若者が未来を描くことのできる産業への転換するチャンスととらえ、原発なき自治体の再生を考えるべきです。  50基の原発が止まったということは原発を動かすためのサイクルが止まったことを意味しません。原発を動かすために、核燃料ウランを採掘すること、ウランから核燃料棒を製造すること、それを輸送すること、使用済み核燃料を再処理すること、使用済み核燃料の最終処分をすることのそれぞれの段階が動いていて初めて、原発は動いています。このうち、ウラン採掘から使用済み核燃料の再処理までの、すべての企業をストップされることが原発と日本が決別することにつながります。すべての自治体でウランの輸入をやめよ、核燃料を作るな、再処理工場を閉鎖せよ、と運動を進めましょう。  原発と原発につながるすべての産業を止めるために、重要なことは「原発立地県はどこか」ということです。関西電力大飯原発の再稼働に際して、大阪市、京都府、滋賀県は大飯原発の立地県であることを主張しました。いったん、東京第一原発と同じ事故が大飯で起きれば、EPZ(緊急時計画避難区域)の30km内にそれぞれの自治体は入ります。琵琶湖が汚染されれば、関西圏の住民の飲み水がすべて汚染されてしまいます。そして、核燃料の輸送ルートはすべて「立地県」になります。埼玉県、東京都、神奈川県も核燃料の輸送ルートであり、立地県です。  東京第一原発はいまだに収束していません。日本政府は昨年12月16日東京第一原発が「冷温停止状態」になったといい、事故収束宣言を出しました。しかし、12月時点で1号機~3号機から大気中に放出された放射性物質の量は1時間あたり6000万ベクレルでした。それが今年1月には1時間あたり7000万ベクレルにも増え、2月も1時間あたり1000万ベクレル、3月も1時間あたり1000万ベクレル放出されています。5月12日東電は、5月でも1時間あたり750万ベクレルの放射性物質が放出されていて、その大半が2号機からである、と発表しました。2号機はブローアウトパネルと呼ばれる「排気口」が1号機の水素爆発の際に開いたまま、「高い放射線のために開けたままにされている」とも言っています。2号機に内視鏡カメラが入った際に、核燃料の冷却のために注入されている水が深さ3~4mあると思われていたのが、格納容器のコンクリート上60cmしかなかったことから、格納容器にも圧力抑制室にも大きな穴が空いていると考えられます。内部の空間線量も毎時73シーベルトと、数分いただけで即死する値であり、格納容器内に人間が入って作業することはできません。ロボットですら、高すぎる放射線によって電気系統が壊れてしまうため、この格納容器の中に入れることができないほどです。つまり、これからも「高い放射線のために開けたままにされている」ということであり、新たなパネルで閉じるのは来年3月と東電は言っています。  3号機の使用済み核燃料プールには、燃料交換機と呼ばれる大型クレーンが落下していることを4月13日東電は発表しました。3号機の使用済み核燃料プールの中心部にはMOX燃料というプルトニウムを強化した核燃料が貯蔵されていたことがわかっており、昨年3月14日の3号機の爆発はこの使用済み核燃料プールの真上で起きたこと、つまり、使用済み核燃料プールの冷却水が失われ、MOX燃料中のプルトニウムが溶融、部分的に臨界に達したことによる小規模核爆発であった可能性が濃厚になりました。南相馬市で発見されている、アルファ線を強く出す「黒い物質」は3号機から爆発の際に飛び散った核燃料そのものである可能性もあります。  これで「冷温停止状態」と言えるのでしょうか。核燃料がいったいどこにあるのかもわからず、つまり冷却水がちゃんと核燃料を冷やしているのかもわからず、大気中に放射性物質を放出させ続けている1号機~3号機。そして、大きな余震でいつ倒壊するかもわからない4号機の使用済み核燃料プールにある1535本の使用済み核燃料。約40年間稼働してきたために、貯蔵されている共用プール(4号機の敷地近くにある)の6375本の使用済み核燃料。  東京第一原発の事故処理の状況は非常に見えにくく、本当に大事なことが行われていないと思います。放射性物質の大気中への放出、海水への流出を止めること。原発労働者の被ばく管理とその後一生に渡る健康被害の補償を行うこと。農林水産業、工業、商業関係者へのすべての補償を行うこと。自主避難者も含めた、移住の権利を保障すること。18歳未満にかぎらず、すべての高放射能汚染地帯(年間被ばく1ミリシーベルトを超える地帯)の被害を補償するために「被爆者手帳」を配布し、被ばくによる可能性のある健康被害(心臓疾患、脳の発達障害、白血病、白内障、甲状腺がん、悪性腫瘍、等々)を認定し、無料で治療を受けられるようにすることが重要です。  東日本大震災で発生した「震災がれき」は放射性物質が付着したままに全国に移動・拡散され、焼却処分されています。放射性物質は煮ても焼いても消えません。焼却場についているバグフィルターで除去できる放射性セシウムは53%~62%前後(放射能防御プロジェクト 島田市焼却実験結果を考える)です。生活廃棄物と一緒に混ぜて燃やそうが、震災がれきだけを混ぜて燃やそうが、38%~47%の放射性セシウムは大気中に放出されていく、ということです。「震災がれき」の移動、焼却処分をただちにやめるべきです。そして、原発事故で環境中に出てしまった放射性物質を管理、閉じ込める政策を政府は取るべきです。  現政権では放射線から国民を守る能力も人材も不足しています。国際放射線防護委員会(ICRP)の放射線防護モデルはワトソン=クリックのDNA発見以前に作られたものです。現在の遺伝子の科学(ゲノム科学)の成果をまったく反映していない、時代遅れのものです。ですから、イギリスのセラフィールド核燃料工場の周りで発生した白血病について「これくらいの低線量で白血病になるわけがない」とICRPは言っています。核による健康被害の現実をなんら説明できない、ICRPのモデルに依存していては日本の被ばく者の健康を守ることはできません。  新たに、国民を放射線から守る「放射線防護省」を設置し、独立した権限と予算を与え、日本の再生を推進することを提案します。  そして、世界からすべての原発の廃炉を訴えます。  原発なき社会のために、すべての人と手をつなぎましょう。              

公園、幼稚園等の土壌の採取の方法 同位体研究所 2011年6月

 同位体研究所が公園、幼稚園等の土壌の採取の方法の指示をわかりやすく説明しています。  園長先生、校長先生、教育委員会、自治体と交渉するためには、きちっとした測定方法で土壌を採取することが重要です。

かつて日本の土壌はどのくらい放射能汚染されていたか?

 かつて日本の土壌はどのくらい放射能汚染されていたか?単位:ベクレル/kg。文部科学省の「日本の環境放射能と放射線」土壌(0~5cm)中のCs-137の調査地点と測定値(2009年度 年間平均値)より

8月例会のご案内 8月5日(日) 14:00

[ 2012年8月5日; 2:00 PM to 4:45 PM. ] 8月例会のご案内です。例会は一般の方も参加できます。 8月例会 日時 8月5日(日) 14時00分〜16時30分 場所 浦和コミュニティセンター 第13集会室    (JR浦和駅東口 浦和PARCO 10階) 参加費 会員の方200円 一般参加の方500円     小学生・中学生・高校生 無料 内容  ① 東日本大震災 被災地でのアスベスト調査:齋藤紀代美さん ② 放射能は放射線だけでなく、重金属汚染:堀本秀生さん ③ 原発事故国会調査委員会報告を読む:堀本秀生さん ④ 最近のニュースから/クリス・バズビー『封印された「放射能」の恐怖』(講談社)を読む:川根眞也さん ⑤ 作戦会議 ⑥ さいたまラボ設立3ヶ月、見えてきた土壌汚染の実態:藤井努さん ⑦ 春日部市の土壌汚染の実態(春日部の方)さいたま市の土壌汚染の実態(さいたま市の方) 主催 内部被ばくを考える市民研究会               内部被ばくを考える市民研究会 事務局 川根 眞也                                                       http://www.radiationexposuresociety.com/ 

ミシェル・フェルネックス博士の来日講演会 in 埼玉 5月20日(日)

[ 2012年5月20日; 1:00 PM to 4:30 PM. ] 日本の「人々が被曝から身を守るために」の緊急提言(2011.11.30)を出された 著名な医師 ミシェル・フェルネックス博士の来日講演会シリーズが決定。   フェルネックス博士は原発推進のIAEA(国際原子力機構)とWHO(世界保健機構)の癒着関係を早くから指摘し、被曝の危険性を訴え続けている世界的に著名な医師です。東電福島第一原発事故による放射能被害を心配して、是非日本の人々に訴えたいと、自費で来日して下さり、各地で講演会をして下さることになりました。  フェルネックスさんが登場する、IAEAとWHOの関係を追求したドキュメンタリー映画『真実はどこに』(英文題名Nuclear Controversies核論争)に日本語字幕を付けて持ってきて下さり、この映画上映と近刊のご著書『終わりのない惨劇——チェルノブイリの教訓から——』(竹内雅文訳、緑風出版、2012)のサイン会を行う会場もあります。    ・埼玉/懇談会「フェルネックス医師、肥田瞬太郎医師を囲んで」 (→チラシ pdf)  日時:5月20日(日)13:00~16:30  場所:さいたま市・埼玉県保険医協会大会議室  主催:埼玉県保険医協会、内部被曝問題研究会・医療部会(zazendoh@ccn.aitai.ne.jp)  資料代:1500円

福島県内の学校の校庭はどのくらい放射能汚染されていたか?文科省2011年4月14日調査より

 原子力安全委員会事務局が2012年4月18日、学校の20ミリシーベルト基準を作る際の経緯を示した資料を発表した。  「福島県内の学校等の校舎、校庭等の利用判断における暫定的考え方」に対する技術的助言を検討する際の打合せに用いた資料について 平成24年4月18日 原子力安全委員会事務局 http://www.nsr.go.jp/archive/nsc/info/20120413/siryo_set.pdf  そのpdf P.56およびP.79~81に福島県内の学校の校庭の土壌調査(ベクレル/kg)の結果が記載されている(2011年4月14日)。  驚くべき数値が並んでいる。チェルノブイリならば、義務的移住区域(義務的移住の区域、農地利用禁止。)や移住権利対象区域(国家補償による移住の権利。)のところばかりである。原発事故後、子どもたちをただちに避難させるべきであった。 文科省が20ミリシーベルトまでは大丈夫としたことで、子どもたちに外部被ばく、内部被ばくが強制されている。              

チェルノブイリ事故の際の放射能汚染の区分(土地)

チェルノブイリ事故の際の放射能汚染の区分(土地) チェルノブイリ事故の際の放射能汚染の区分(土地)

土壌の放射能汚染(単位:ベクレル/kg)から土地の汚染度(ベクレル/㎡)は65倍する

土壌の放射能汚染(単位:ベクレル/kg)から土地の汚染度(ベクレル/㎡)は65倍する  放射能汚染された土壌(単位:ベクレル/kg)から放射能汚染された土地(単位:ベクレル/m2)への換算は65倍します。  それは、土壌を採取するときに地表から5cm、5か所を採取します。(さいころの5のように四隅と中心)それで、縦1m×横1m×深さ5cmの面積のサンプルを取ったとして、100×100×5=体積50000cm3⇒水なら50000g、土の比重を1.3として考えると50000×1.3=65000g。つまり、土地1m2の放射線の数(ベクレル)は土65kg分に相当する、と原子力安全委員会は計算しています。(2011年5月7日 記者会見での回答)  なので、土壌の汚染度(ベクレル/kg)×65=土地の汚染度(ベクレル/m2)となります。  土壌の採取方法はこちら

京都大学調査 福島県成人住民の放射性セシウムへの経口、吸入被ばくの予備的評価

以下は京都大学医学研究科環境衛生学分野 福島第一原子力発電所事故による放射能拡散の調査 福島県成人住民の放射性セシウムへの経口、吸入被ばくの予備的評価  の全文転載です。 Environmental Health and Preventive Medicine誌doi: 10.1007/s12199-011-0251-9 原著論文 福島県成人住民の放射性セシウムへの経口、吸入被ばくの予備的評価小泉昭夫1、原田浩二1、新添多聞1、足立歩1、藤井由希子1、人見敏明1、小林果1、和田安彦2、渡辺孝男3、石川裕彦4 1京都大学大学院医学研究科環境衛生学分野2高知県立大学健康栄養学部健康生態学3東北文教大学4京都大学防災研究所気象水象災害研究部門暴風雨・気象環境分野 連絡先:小泉昭夫〒606-8501 京都市左京区吉田近衛町京都大学大学院医学研究科環境衛生学分野電話             075 753 4456       石川裕彦 〒611-0011 京都府宇治市五ケ庄京都大学防災研究所気象水象災害研究部門暴風雨・気象環境分野電話             0774 38 4159       抄録 【目的】 本研究では福島県成人住民の、環境を通じたセシウム134、セシウム137(放射性セシウム)への経口、吸入被ばくを評価することを目的とした。調査期間は2011年7月2日より8日であった。 【方法】 成人1人の1日量の食事を代表するような55セットの食事(水道水を含む)を福島県内の4地域の商店で購入した。また地域で生産された牛乳(21試料)、野菜類(43試料)を購入した。同時に12地点において、大容量空気捕集装置を用いた大気中エアロゾル採取を行った。対照となる19セットの食事を京都府宇治市で2011年7月に収集した。セシウム134、セシウム137濃度はゲルマニウム半導体検出器を用いて測定した。  【結果】 福島県では55セットの食事の内、36セットで放射能が検出された。京都府では19セットの内、1セットで検出された。預託実効線量の中央値は年間3.0マイクロシーベルトであり、最小値は検出限界以下(年間1.2マイクロシーベルト以下)、最大値は年間83.1マイクロシーベルトであった。牛乳、野菜類のうち、暫定基準値(牛乳200ベクレル/キログラム、野菜類500ベクレル/キログラム)を超えたものは無かった。大気粉じん(ダスト)の吸入による実効線量は9地点で年間3マイクロシーベルト以下と推定されたが、損壊した原子力発電所から半径20キロメートル地点の近傍では比較的高い線量を示した(飯舘村:年間14.7マイクロシーベルト、浪江町:年間76.9マイクロシーベルト、葛尾村:年間27.7マイクロシーベルト)。  【結論】 福島県内での経口、吸入によるセシウム134、セシウム137への被ばくが認められたが、総じて、基準値以下であった。 キーワード: セシウム134、セシウム137、曝露評価、福島第一原子力発電所事故、経口摂取、吸入 研究の背景  2011年3月11日に東北地方で発生した地震と津波によって福島第一原子力発電所に事故が起こった。2011年3月15日には同原子力発電所で爆発が生じ、放射性ヨウ素、セシウム、ストロンチウム、プルトニウムといった多量の放射性核種が日本北部および太平洋に放出された。これはチェルノブイリ原子力発電所事故につぐ、史上2番目に大きな原子力発電所事故であり[引用文献1,2]、2011年3月11日から4月15日の期間に環境中に放出されたセシウム137総量は1.3×10の16乗ベクレルであり、チェルノブイリ事故における放出量の約10%と推測されている[3]。  事故の直後に原子力発電所の20キロメートル圏内の住民に避難指示が出されたが、その圏外には今も福島県の人々が生活している。現在、原子力発電所からの放射性物質の放出は沈静化しているが、環境中に沈着した放射性物質による被ばくを継続的に評価することは依然重要である。福島県の居住地域におけるセシウム137の汚染量はすでに報告されているが[4]、汚染した食品の摂取および大気中に再浮遊する粉じん[5]の吸入による内部被ばく量の評価が必要である。  特に汚染した食品・飲料の摂取による内部被ばくは、近隣の住民だけでなく離れた地域の人々にとっても深刻な懸念となっている。食品による内部被ばくについては、個々の食品中の放射性物質量(べクレル/キログラム)以上に、個人が消費する1日量の食事中に含まれる放射性物質量(べクレル/日/人)に基づいて評価することが重要である。  今回私たちのグループは、事故後の内部被ばく量を評価するために、2011年7月時点で現地にて実態調査を行い、食品摂取および大気吸入を通じたセシウム134およびセシウム137の成人住民への被ばくに焦点をあてて検討を行った。 試料と方法 フィールド調査  私たちは1日量の食事セット、野菜類を地域の商店で購入し、また、水道水、大気粉じん(ダスト)試料を検査した。調査地点は原子力発電所の周辺の市町村である(図1)。調査期間は2011年7月2日から7月8日である。図1中の「M」「V」と記載された地域ではそれぞれ1日分の食事セット、野菜類を購入した。この地域では水道水も採取した。図中「A」と記載された地域では大容量大気捕集装置(柴田科学HV-1000F)で大気粉じんを採取した。また同時に土壌試料(表面から深さ5cm)を採取した。このほかに、福島市の一箇所で8段式カスケードインパクター(東京ダイレックAN-200)を備えた低容量大気捕集装置(柴田科学SL-30)を用いて、大気粉じんの連続捕集を行った。 図. 1. フィールド調査地点の地図上の位置 “A”は大気粉じん捕集を行った場所を示す。“M”は食事セット、水道水を収集した場所を示す。“V”は野菜類を収集した場所を示す。“X”は東京電力福島第一原子力発電所の位置を示す。各英字はおおよその地理的な位置を示している。 食品収集と放射能測定のための処理  5名の男性研究者(年齢32歳から68歳)が各市町村の地元住民がよく利用する食料品店を訪れ、個々人の選択により1日量の食事セットをいくつかずつ購入した[6]。食事の1セットは、調理済みの朝食、昼食、夕食、間食および嗜好品の成人一人当たりの一日消費分からなる。同一地域内の水道水12Lを住民から得た。さらに各地域で生産された野菜類、牛乳を購入した。全ての試料は採取日のうちに4℃の条件で京都大学に輸送された。  間食も含む1日量の食事セットはそれぞれ収集された水道水(およそ1L)を用いて均質化された。調製された最終容量を記録し、そのうちおよそ1Lを凍結乾燥処理した。野菜類、牛乳についても凍結乾燥処理を行った。対照となる1日量の食事セットを既報の手順[6]に従い19名の成人女性から集められた。対照となる食事セットは2011年7月に京都府宇治市(福島第一原子力発電所から540キロメートル離れている)で集められた。  大気粉じん採取と放射能測定  大容量大気捕集装置を用いて、大気粉じんを石英線維フィルター上に捕集した。全ての地点で地上1.5メートルにおいて、50 m3以上の大気を捕集した。アンダーセン式大気捕集装置を用いて、空気力学的直径の異なる大気粉じんをそれぞれ捕集し、福島県における粉じんの吸入可能な割合を推定した。この装置は福島市内に設置された。粉じん試料の粉じん重量を秤量し、放射能を測定した。  セシウム137、セシウム134測定  1日量の食事セット、牛乳、野菜類試料は乾燥重量で100-200 gを、土壌試料は湿重量で100-200 gを取り分け、円筒形のポリエチレン容器に封入した。大気エアロゾル採取を行ったフィルターは折りたたみ、円筒形のポリエチレン容器に封入した。放射性核種測定には低バックグラウンド高純度ゲルマニウム検出器を用いた。検出器は10cmの鉛の内部に遮蔽されている。また銅板、アクリル板で内張している。マルチチャネルアナライザー (Princeton Gamma Technologies MCA8000, 4,096チャネル, range 0-3,000 keV)によりγ線エネルギースペクトルを得た。固有のγ線エネルギー(セシウム134: 604.7および795.9 keV; セシウム137: 661.7 keV)により放射性核種を同定、定量した。濃度既知の線限を用いて検出効率を求めた。食品、大気粉じん試料は20000秒以上計測し、土壌試料は2000秒以上計測し、スペクトルを得た。最小検出限界は食事セット試料で0.05 ベクレル/キログラム、野菜試料で0.2 ベクレル/キログラム、牛乳試料で0.2 ベクレル/キログラム、粉じん試料で0.2 ミリベクレル/m3、土壌試料で1 ベクレル/キログラムであった。全ての試料は放射平衡に達していると考えた。放射能強度は半減期(セシウム134 2.06年, セシウム137: 30.1年)に基づいて、2011年3月15日時点の値に換算している。 経口摂取、吸入による被ばく推計のための実効線量係数  放射能強度は実効線量係数を用いて預託実効線量に換算した。経口摂取においては、セシウム134 は0.019 マイクロシーベルト/ベクレル、セシウム137 は0.013 マイクロシーベルト/ベクレルである[7]。吸入被ばくにおいては、成人の標準1日呼吸量を20 m3として、セシウム134は0.02 マイクロシーベルト/ベクレル、セシウム137 は0.039 マイクロシーベルト/ベクレルの実効線量係数を使用した[7]。この二つの被ばく経路について特別な排出は起こらないと仮定した。 結果と考察  全部で74組の1日量の食事セットが集められ、分析された。メニューとその内容を表S1に、1日に摂取される放射能量(ベクレル/日)を表1に示す。1日量の食事試料中にセシウム134 またはセシウム137が検出された件数は、福島県の試料では55件中36件であったのに比べ、京都府の試料では19件中1件のみであった。預託実効線量は、京都府の最高線量が年間5.3マイクロシーベルトであるのに比べ、福島県では中央値年間3.0マイクロシーベルト、範囲は検出限界以下(年間1.2マイクロシーベルト以下)から最高年間83.1マイクロシーベルトであった。 表1福島県内における放射性セシウムの経口摂取量 調査地点 試料数   食事量 含水率 摂取量(ベクレル/日) 預託実効線量       (グラム/日) (%) セシウム134 セシウム137 (マイクロシーベルト/年)                 福島県合計 55 検出数 (%) - - 36(65.5) 35(63.6)       中央値 (最小値-最大値) 2053(1,100-3,145) 80.8(73.3-97.6) 0.2(ND-7.2) 0.3(ND-7.0) 3.0(ND-83.1)     平均±標準偏差 2,178±400 81.9±4.5 0.5±1.1 0.6±1.0 6.4±12.5                 いわき市 10 検出数 (%) - - 9(90.0) 9(90.0)       中央値 (最小値-最大値) 2,241(1,879-2,690) 82.1(76.8-86.1) 0.4(ND-2.5) 0.7(ND-1.6) 6.5 [...]

理科の先生  川根眞也さんによる放射線について親子学習会 in 嵐山 6月30日(土)

[ 2012年6月30日; 1:00 PM to 3:30 PM. ] 理科の先生  川根眞也さんによる放射線について親子学習会(小学生以上対象) ●6月30日(土)  13:00開場 1時間目*13:30~14:20 休憩時間*14:20~14:30 2時間目*14:30~15:30 場所:嵐山町ふれあい交流センター2階多目的ホール 嵐山町菅谷445-1(旧役場向かい)  電話 0493-62-2144 放射線ってどんなものなの?どういうふうに気をつけたらいいの? 埼玉県の中学校で理科の先生をしている川根先生が、授業をしてくださいます。 大人の方にも、十分勉強になる内容です。 大人の方、お子さんだけの参加もOKです。 申し込み先(予約優先)  代表者のお名前、人数・連絡先を明記してお申し込みください。 参加費 大人550円(前売り450円・資料代)      子供(高校生以下)無料 メール:kodomoranzan@hotmail.co.jp  電話: 090-4746-6007 (ますだ)     080-1167-3010 (かんべ)    資料準備の都合上、できるだけご予約下さい。お席が空いていれば当日参加も可能です。 川根先生プロフィール さいたま市公立理科教諭。関東・東北を 中心に、多くの勉強会をされています。 内部被ばくを考える市民研究会 http://www.radiationexposuresociety.com/ 主催:子どもの未来を考える会 嵐山 後援:子ども未来・東松山  子どもの未来を考える会 滑川       子ども未来@寄居深谷  小川町学校給食を考える会 ・スタッフが未就学児を見ているお部屋をご用意します。 ・お車の場合は乗り合わせてご来場ください。

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