10月28日は野原千代さんの命日です。経済学分野で政府委員も務めた堂々たる准教授だった千代さんが一大学院生として生物学の研究を志した。時に56才。そして3/11事故に遭遇した。幼い、そして生まれ出る幼い命を守ろうとする鮮烈な想いが放射能汚染場に生きるヤマトシジミの内部被曝の研究に走らせた。事故後2ヶ月で福島入り。研究を阻止しようとする二重三重の妨害を決然とはねのけて。
  放射能場でないと得られない世界史に残る実態の解明を成し、更に解明しようと体調を押して研究活動に邁進。福島入りして2年経過した頃は既に被曝が彼女を蝕んでいた。腎臓機能をやられて、被曝すると浮腫が出て体重が20キロも増す。沖縄に帰って被曝を断つと回復する。そんな状態を繰り返した。そんな中でも子どもたちの救済と研究の継続に心を込めた。全力を尽くした。
    そして2015年、巨星が落ちた。花の微笑み、鉄の意志。爽やかな、透徹した誠実さを持ったこれほどの研究者が他に居ようか!
再び私の心は裂けそうになった(2013年に鮮烈な生き方をした連れ合いの沖本八重美が急逝した)。
   私は野原千代さんがメールの署名に使っていた「ちよどん」をそのまま彼女の呼称に使っていた。
ちよどんさん、遺志は継いでいるよ。ゆっくり安らかにお眠りください( ◠‿◠ )矢ヶ崎

 

追悼、野原千代さん。
千代さんの研究はこんなにもの各国で反響を呼んだのです。

シュピーゲル(ドイツ)
http://www.spiegel.de/wissenschaft/natur/fukushima-strahlung-fuehrt-schmetterlingen-zu-mutationen-a-849972.html

BBC(イギリス)
https://www.bbc.com/news/science-environment-19245818

ルモンド紙(フランス)
https://www.lemonde.fr/planete/article/2012/08/15/des-papillons-mutants-autour-de-fukushima_1746252_3244.html

ルモンド紙(和訳)
https://besobernow-yuima.blogspot.com/2012/08/blog-post_18.html

ABC(米)
https://www.abc.net.au/news/2012-08-13/fukushima-mutant-butterflies/4194240

CNN(米)消されています
http://www.youtube.com/watch?v=1yVNn0tlz5k

FOX TV(米)
https://video.foxnews.com/v/1786844712001/?#sp=show-clips

【中日新聞】原発事故が影響 チョウに異常 琉球大チーム調査  
https://blogs.yahoo.co.jp/sj566029/70194279.html
2012年8月11日
◆死ぬ確率高く   雄の羽小さく
東京電力福島第1原発事故による放射性物質の影響で、チョウの1種「ヤマトシジミ」に遺伝的な異常が出たとする調査結果を琉球大の大滝丈二准教授(分子生理学)らの研究チームがまとめ、11日までに英科学誌電子版に発表した。
ヤマトシジミは人が生活する場所に多く生息する。チームは昨年5月と9月、福島県内のほか茨城、東京など計10カ所で採集した。
5月に集めた成虫144匹から生まれた卵をふ化させて育て、孫の世代まで調べたところ、いわき市や広野町など福島県内のチョウは、子の世代で死ぬ確率がほかの地域に比べ高かった。線量が高い地域ほど雄の羽のサイズが小さくなっていた。子の世代では全体の約2割で羽の配色パターンや斑点の数などに異常があり、親の世代よりも1.5倍高い発生頻度だった。
9月に採集した成虫約240匹では、子の世代の約5割で異常が見つかった。

追悼、野原千代さん。
国際的総合科学ジャーナル誌「Nature」での発表
2013年8月6日
The biological impacts of the Fukushima nuclear accident on the pale grass blue butterfly
https://www.nature.com/articles/srep00570