現在プルサーマル発電(MOX燃料使用の原発)を実施しているのは関西電力高浜3、4号機(福井県)と九州電力玄海3号機(東松浦郡玄海町)の3基だけです。九州電力は、鹿児島県で川内原発3号機の新設を目論見、また、佐賀県の玄海原発4号機(2018年10月現在再稼働中)のMOX燃料での発電(プルサーマル発電)を狙っています。
47トンにも及ぶ、日本のプルトニウム保有。 日本は原発で使うための、使用済み核燃料からプルトニウムを抽出する権利を認められた、唯一の非核兵器保有国。しかし、プルサーマル発電がほとんど動いていない現状では、日本が保有す47トンのプルトニウムは、日本の潜在的な核兵器保有を示すこととなり、北朝鮮の非核化の妨げになっています。日本が保有する47トンのプルトニウムのうち、31.1トンが核分裂性のプルトニウム239です(資源エネルギー庁『我が国のプルトニウムの管理・利状況について』2018年4月3日より)。
この核分裂性のプルトニウム239、31.1トンは、どこにあるのか?先の資源エネルギー庁の資料によれば、青森県六ヶ所の再処理工場に2.3トン。各原発に1.1トン。フランスに10.5トン。イギリスに14.0トン。茨城県東海村など、日本原子力研究開発機構に3.2トンあります。
フランス、イギリスにあるプルトニウム239は直ちに放棄すべきでしょう。また、トラブル続きの青森県六ヶ所村の再処理工場は動かすべきではありません。
佐賀新聞より
■大間原発3回目運転延期 審査長引き工事2年遅れ 電源開発
佐賀新聞 2018年09月05日
電源開発(Jパワー)は4日、青森県大間町で建設中の大間原発について、安全対策工事の開始時期が約2年遅れて2020年後半になると県、大間町などにそれぞれ伝えた。原子力規制委員会による新規制基準への適合性審査が長引いており、延期は3回目。運転開始も約2年遅れて26年度ごろになるとしている。
大間原発は全炉心でプルトニウム・ウラン混合酸化物(MOX)燃料を使う世界初の商業用原子炉。完成が遅れれば、使用済み燃料を再処理して活用し、プルトニウムを減らす国の核燃料サイクル政策の見通しがさらに狂う。世耕弘成経済産業相は4日の記者会見で「電源開発にはスケジュールありきではなく安全最優先で、審査に適切に対応してもらいたい」と述べた。
同社が14年12月に申請した大間原発の審査では、地震や津波の想定に関する議論が続き、施設の安全対策の確認作業が控える。同社は審査合格まで約2年かかるとみて工事延期を表明した。同原発の建設は08年に始まったが、東京電力福島第1原発事故の直後から進捗(しんちょく)率は37・6%にとどまる。
再処理工場稼働に影響も
プルトニウム消費の「切り札」とされる電源開発大間原発(青森県大間町)の運転開始が4日、先送りの公算となった。国の原子力委員会は、使用済み核燃料からプルトニウムを取り出す日本原燃の再処理工場(青森県六ケ所村)について、現行のプルトニウム保有量の水準を超えないように制限すべきだとの指針を示しており、工場稼働にも影響を与えそうだ。
「大間原発に期待されるプルトニウム消費への寄与は大きい」。大間原発の運転開始遅れについて、日本原燃の担当者は落胆を隠せなかった。同原発は全ての核燃料にプルトニウムとウランの混合酸化物(MOX)燃料を使う世界初の商業炉。大間原発1基で年間、核分裂性のプルトニウムを約1・1トン消費できる。
通常の原発でMOX燃料を燃やす「プルサーマル発電」では、年間で消費できるのは1基当たり多くても0・4トン程度。東京電力福島第1原発事故後、十分に消費できるほど原発の再稼働が進まず、現在プルサーマル発電を実施しているのは関西電力高浜3、4号機(福井県)と九州電力玄海3号機(東松浦郡玄海町)の3基だけ。四国電力伊方3号機(愛媛県)は広島高裁による運転差し止めの仮処分決定により現在停止中。大間原発でのプルトニウム消費の期待は大きかった。
背景にあるのは、日本の保有プルトニウムに対する米国など国際社会の厳しい視線だ。日本は非核分裂性も合わせ、国内外に約47トンのプルトニウムを持つ。これは核兵器約6千発分とされる。原子力委は米国の要請に応じる形で7月、2021年度完成予定の再処理工場の稼働を制限する新たな指針を決めたばかり。再処理工場はフル稼働すれば年間約8トンのプルトニウムを生産する。大間原発の運転開始は24年度ごろから26年度ごろにずれ込む見通しで、再処理工場が稼働しても当面限定的になりそうだ。
資料:我が国におけるプルトニウムの管理・利用について. 資源エネルギー 庁 2018年4月3日