誰が九州での4基の原発の再稼働を可能にしたのか?「脱原発候補」だった、三反園鹿児島県知事ではないのか?

そもそも、三反園候補の掲げる政策は、脱原発でも何でもなく、「原発慎重運転」だった。しかし、「脱原発の統一候補」として原発反対運動の側からの支持を取り付けた。唯一の脱原発に近い政策は、川内原発1号機,2号機の再稼働をめぐって、「専門家委員会」を立ち上げ、その評価を鹿児島県独自に行うというものだった。しかし、2016年7月28日に県知事に就任したにもかかわらず、2016年12月20日まで「専門家委員会」を立ち上げず、その間に九州電力が川内原発1号機を2016年12月8日から再稼働工程を始める事態を産んでいます。その「専門家委員会」もすべてが原発推進派で構成されるというものでした。

西日本新聞の記事から

■ 反原発団体「保安林解除しないで」 三反園知事に要請 川内原発の造成工事「3号機増設につながる」

西日本新聞 2018年6月7日
九電川内原発敷地内の保安林の解除をしないよう県担当者(左)に要請する反原発団体のメンバーたち
九電川内原発敷地内の保安林の解除をしないよう県担当者(左)に要請する反原発団体のメンバーたち
 

 鹿児島県の反原発団体「原発ゼロをめざす鹿児島県民の会」などは6日、九州電力川内原発(同県薩摩川内市)が敷地内で保安林を伐採して造成工事をしていることに「3号機増設につながりかねない」として、県が保安林指定を解除しないよう求める要請書を三反園訓(みたぞの・さとし)知事あてに提出した。

 九電は2016年6月、1、2号機の安全対策に伴う工事用資機材の保管場所をつくる目的で4・5ヘクタールの解除を申請。県は昨年、外部識者の意見も踏まえて解除予定であることを通知した。森林法では、予定通知で伐採が認められており、九電は17年6月、造成に着手した。

 要請では、保安林は福島原発事故後に凍結となった川内3号機増設工事の事業実施区域にあり「(それぞれの工事で予定される)排水路や調整池の場所までも重なる。事実上は3号機の準備工事ではないか」と指摘。県が権限を持つ工事後の解除を認めず、凍結中の3号機の完全な「白紙撤回」を求めている。

 県担当者は「申し入れを精査し、後日回答したい」と述べるにとどめた。九電は取材に、今回造成について「3号機増設とは関係ない」と説明する。

 県によると、原発近くの保安林は海岸からの飛砂を防ぐために指定。造成工事は20年3月に終了予定で、斜面の緑化などの代替措置が確認されれば、保安林から解除される見通し。

 反原発団体は「知事は『3号機増設を進める状況にはない』と言っているが、人ごとのような認識ではなく保安林解除をしないなど具体的な言動を示すべきだ」と訴えている。

 佐賀新聞の記事から

■三反園・鹿児島知事就任2年 金看板「脱原発」色あせ 事実上撤回、機運失速、運動に影響

佐賀新聞 2018年7月23日

 東京電力福島第1原発事故を受け、安全面に厳しい姿勢で臨む知事が原発立地県に相次いで誕生したが、方向転換などでその発信力が色あせている。2018年7月28日で就任2年を迎える鹿児島県の三反園訓(みたぞのさとし)知事は、金看板として掲げた「脱原発」を事実上撤回。原発再稼働に慎重だった新潟県の米山隆一前知事も女性問題によって任期途中で辞任した。脱原発の機運が失速し、住民運動にも影響が出かねない状況だ。

 「安全協定に基づき、異常発生時は速やかに連絡をもらう体制ができている」
▼丸投げ 九州電力玄海原発3、4号機(東松浦郡玄海町)でのトラブルを受け、5月の記者会見で見解を問われた三反園氏は、九電に新たな要請などはしない考えを示した。就任当初に「県民の安心のため」と福岡市の九電本社へ自ら出向き、当時の瓜生(うりう)道明社長に検査徹底を迫った面影はない。
 知事就任から4カ月余りの2016年12月以降、九電川内原発1、2号機(鹿児島県薩摩川内市)の稼働を容認。その後原発政策での踏み込んだ発言は鳴りを潜めた。安全性に関する議論は、自らの公約に基づいて発足した専門家委員会に“丸投げ”の状態。三反園氏は目下「防災対策に注力し、再生可能エネルギーを推進する」との立場だ。
▼説明回避 16年は、新潟県でも東電柏崎刈羽原発再稼働に慎重姿勢を示していた米山氏も初当選し、県独自の福島第1原発事故の検証を強化。しかし、思わぬ形で辞任を余儀なくされ、作業は後継の知事らに委ねることになった。
 一方、三反園氏は原発政策での方向転換に関する説明を避けたままだ。早稲田大法学学術院の首藤重幸教授(原子力行政法)は「原発に不安を抱える有権者の期待を受けて当選したのに、行動が軽すぎる。三反園氏の対応も無責任だ」と強調し、脱原発に向けた住民運動への影響も懸念する。
▼厳しい視線 全国の商業原発で先駆けて再稼働した川内1、2号機は運転開始から30年以上が経過し、九電から運転延長の申請があった場合に容認するかどうかの判断が控える。周辺自治体に慎重な意見もある中、三反園氏は「国が原則40年としている」と繰り返すだけで、こうした声をすくい上げるような姿勢は見せていない。
 脱原発で政策協定を結び知事選出馬を見送った平良行雄氏は「三反園知事の誕生は全国的にも大きな衝撃を与え、地方から脱原発に向けた流れをつくれるはずだった」と憤りを隠さない。知事1期目の任期折り返しを迎える中、「最後まで公約を貫いてほしい」と厳しい視線を送っている。