朝日新聞は、2016年3月9日18面に「放射線の影響 見極める」の特集を組みました。そこで、福島の小児甲状腺がん「地域差見られず」と書きました。

 ちょうど、2日前の2016年3月7日の毎日新聞10面「子のがん『多発』見解」が、津田敏秀氏(岡山大学教授)の見解を紹介し、「原発に近いほど発症率が高く、遠くでは低い」に反論するかのような記事でした。

 まずは朝日から。

 そして、以下がこの朝日の記事の2日前に書かれた毎日新聞の記事。

 朝日新聞、大岩ゆり氏の手法は数字を小さくして違いをごまかすこと。疾病の罹患率など10万人あたりの発症率で表すのが通常なのに、わざと%で表記。それで地域差がないと強弁。

 いわき市、南相馬市など0.0430%、中通り0.0372%、原発立地自治体0.0335%、会津など0.0326%。朝日新聞はこのいわき市、南相馬市などを「浜通り」として表現。もっとも発症率が高かったのは、原発立地自治体ではなく、いわき市、南相馬市なのです。

 いわき市には2011年3月15日未明に東電 福島第一原発2号機から放出されたヨウ素131などの放射性物質が、沿岸部を南下し、いわき市から茨城県北部に乾性沈着しています。

ヨウ素131の沈着積算量シミュレーション(3月12日から3月23日)国立環境研究所

ヨウ素131沈着量 2011年3月12から3月29日 国立環境研究所

 毎日新聞は正しく、10万人あたりの発症率で表現しています。

 明らかに会津地方の発症率(10万人あたり32.6人)と、いわき市(10万人あたり43人)、中通りの発症率(10万人あたり37.2人)は違います。全市町村避難した(国と東電によって避難を強制された)、浜通りの発症率(10万人あたり33.5人)はその中間です。

 また、いわき市などや中通りの郡山市、福島市、伊達市などは原発20km圏内ではないため、20km圏内の住民が3月15日にはおおよそ避難しているのに対して、原発事故後5年も住み続けています。福島県と日本政府の「これくらいの放射能は安全」神話とともに。これから原発事故当時0~4歳だった子どもの発症率が急増する危険性があるのではないでしょうか。

 福島県だけではなく、茨城県、宮城県、岩手県、山形県、栃木県、群馬県、千葉県、埼玉県、千葉県、神奈川県、静岡県など放射能のプルームが強く通った地域では、子どもも大人も甲状腺検査、血液検査、心電図検査が必要だと考えます。

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