東都生協はチェルノブイリ原発事故当時から、自社商品の残留放射能の自主検査を行ってきました。当時1,100万円もするGe検出器(ゲルマニウム半導体検出器)を購入し、一貫して検査を続けてきました。現在はNaI(ヨウ化ナトリウム)シンチレーション式検出器も導入し、両方で検査を行っています。

 Ge検出器(ゲルマニウム半導体検出器)はそれぞれの放射性物質(核種と言います)ごとにそのエネルギーのレベルを針のように示すことができるので、それぞれの放射性物質のベクレル数をほぼ正確に測定することができます。4000秒(66分間)という時間をかければ、検出限界1.0ベクレル/kgまで測定することができます。 

 ただし、これはセシウム134、セシウム137それぞれについてなので、セシウム合計では検出限界約2ベクレル/kgになります。

 多くの自治体が学校給食の食材や1週間まるごとの放射性物質検査をやっていますが、ほとんどが検出限界が10ベクレル/kgです。つまり、セシウム合計約20ベクレル/kgまでは不検出(ND)となる検査しかしていません。これは「検出限界詐欺」だと思います。

 ひどいのはGe検出器(ゲルマニウム半導体検出器)を使っているのに、検出限界がセシウム合計で25ベクレル/kgとなっている検査です。牛肉の全頭検査がこれにあたります。検出限界をわざと引き上げるために、測定時間を10分とかにしているのだと思います。東北の牧草の数10%は100ベクレル/kg以上汚染されており、放牧している牛の肉は10数ベクレル/kg前後は汚染されている可能性があります。政府、農林水産省は正しい数値を公表すべきです。

 東都生協の2012年7月2日から2013年2月1日までの検査で、数値が測定されたものをすべてピック・アップして掲載しました。野菜や魚、肉の多くは1ベクレル/kg未満(セシウム134、セシウム137それぞれについて)でしたが、数値が検出されたこれらは要注意です。

 アレクセイ・ヤブロコフ博士は、2012年12月14日の講演でこう語っています。「しかし、5年後には汚染はまた広がってきます。なぜかというと土壌に入った放射性核種は根の成長といっしょにまた上がってくるからです。たとえばストロンチウムは半減期30年ですけれども、根っこによって吸い上げられて表面に出てくるんです。」

【動画】12/14 アレクセイ・ヤブロコフ博士講演会「低線量被ばくの健康影響」【文字おこし】③

 食品と暮らしの安全基金の小若順一氏らは4回のウクライナ調査を行いました。そこで非汚染地域でもが手や足が痛い、頭痛がする子どもたちが7割いると言います。その痛みの出ている子どもたちの食べている食事のセシウム137の最低値(検出されたもの)が1.1ベクレル/kgだった、と報告しています。子どもたちの食事はセシウム137について1ベクレル/㎏以下にすべきです。

参考:『食品と暮らしの安全 No.290  2013年6月号』 頭痛発生の最低線量は1.1ベクレル/kg

 まだ、東京第一原発事故からたった2年ほどしか過ぎていません。農地や海の汚染はこれからが長期に渡る深刻な汚染を迎えることになります。気をつけていきましょう。

福島第一原子力発電所事故による原子力災害対策特別措置法による指示(出荷制限品 2012年6月8日現在)

原子力災害対策特別措置法による出荷制限の指示の実績 2012年10月25日段階