北海道電力のずさんな電力管理により、至上初の北海道全域のブラックアウトが起きました。2018年9月6日3:08am北海道胆振地方中東部地震。M6.7。震源の深さ40km。そのため、震度2でしかなかった北海道電力の泊原発1号機、2号機、3号機の使用済み核燃料プール(合計1527体の核燃料集合体が水で冷却されていた)が、外部電源喪失事故になりました。
原発事故当時、東電、福島第一原発4号機の使用済み核燃料プールに保管されていた核燃料集合体は1535体。まさにこの数に匹敵する使用済み核燃料が1527体の核燃料の冷却が一時的に非常事態に陥ったのです。
地震から20分後に非常用ディーゼル発電が動きましたが、この燃料の軽油も7日間しかもたない、との報道。さらに、ブラックアウトの原因となった、北海道電力最大の火力発電所、苫東厚真火力発電所の復旧には1週間以上かかる、との報道が追い討ちをかけました。
地震と津波だけなら、人的被害や建物の被害がありますがふるさとを失う心配はありません。福島のような原発震災では、人や建物だけではなく、ふるさとを追われる被害が生まれます。「ここから逃げなければならないかもしれない」と思わせるような、発電所って必要なのでしょうか?人権よりも、経済的利益が優先していいのでしょうか?
泊原発はいりません。その論拠となる、資料集を作ります。
【第1版】2018年9月10日 川根 眞也
■泊原発 外部電源喪失も核燃料は冷却 重要設備に異常なし
NHK NEWS WEB 2018年9月6日 8時21分
原子力規制庁によりますと、北海道泊村にある泊原子力発電所では、外部からの電源が供給できなくなり、非常用のディーゼル発電機で電源を確保して、核燃料が入ったプールの冷却が続けられています。
震度2の揺れを観測した北海道泊村にある泊原発は、3基の原子炉があり、いずれも運転は停止中で、合わせて1527体の核燃料が燃料貯蔵プールに入っています。
北海道電力によりますと地震が発生したとき、外部からの電源が3系統で供給されていましたが、およそ20分たった午前3時25分に、3系統すべてで電源が供給されなくなりました。
すぐに、6台の非常用のディーゼル発電機が自動的に起動し、核燃料の冷却が行われ、貯蔵プールの水位や水温に変化はないということです。
このあと北海道電力は、午前6時7分、3系統6回線ある外部電源のうち1系統の1回線を復旧させましたが、午前6時21分に再び電源供給が停止したということです。
原子力規制庁や北海道電力によりますと、道内にある火力発電所が運転を停止しているため、外部電源の復旧の見通しは立っていないということです。
ただ非常用ディーゼル発電機の起動は続き、燃料の軽油は敷地内に備蓄されていて、仮に3基の原子炉が運転していた場合でも、最低で7日間、発電機が稼働し続けることができ、プールを冷却するための電源の確保には問題はないということです。
また、この地震により、安全上重要な設備に異常は確認されておらず、原発周辺の放射線量を測定するモニタリングポストの値にも変化はないということです。
■“火力発電所の復旧 さらに長期化の可能性” 北海道電力社長
NHK NEWS WEB 2018年9月9日 4時18分
北海道電力の真弓明彦社長は、2018年9月8日の会見で、大規模な停電の要因となった「苫東厚真火力発電所」の復旧の見通しについて、詳細な点検が必要なため、当初説明していた1週間程度よりもさらに長期化する可能性があるという見方を示しました。
この中で真弓社長は、苫東厚真火力発電所の復旧の見通しについて「発電機を動かすボイラー内部の温度が下がらず、詳細な調査ができていない。今後、ボイラーの内部に人が入って詳細な点検をするには、温度が下がるのを待って足場を組む必要ある」と述べました。
そのうえで、「点検の時間を含めると復旧には1週間以上かかる。それが1週間なのか3週間なのか、数か月なのかは、点検をしてみないとわからない」と述べました。
これまで北海道電力などは復旧は1週間程度と説明していましたが、さらに長期化し、電力需給がひっ迫する状況が当初の想定より長くなる可能性も出てきました。
■停電は「ブラックアウト」北電初
NHK NEWS WEB 2018年9月06日 16時56分
北海道電力東京支社によりますと、今回の停電の原因は、電力の需要と供給のバランスが崩れることで、すべての発電所が停止する「ブラックアウト」と呼ばれる現象で、こうした現象が起きるのは、北海道電力が昭和26年に設立されて以来、初めてだということです。
北海道電力は、運転が停止していた火力発電所のうち、「砂川火力発電所」をすでに再稼働させ、7日には「奈井江火力発電所」、「伊達火力発電所」、「知内火力発電所」の3か所を稼働させ、電力の供給再開を急ぐことにしています。
北海道と本州の間には津軽海峡の海底を通る「北本連系線」と呼ばれる送電線が敷かれていて、最大で60万キロワットまで本州から電力の供給を受けることができます。
ただ、北海道電力によりますと、北本連系線を使って電力の供給を受けるためには、外部からの電源を使って電圧を調整する必要があります。
つまり、今回の場合、北海道内で一定程度の電力の復旧が進まなければ本州からの電力の供給を受けることができない仕組みになっているということです。
このため、北本連系線を使って電力の供給を受けるのは、7日以降になる見込みだということです。
一方、北海道に送る60万キロワットの電力について、電力各社でつくる電気事業連合会は、全国的な需給調整を担う「電力広域的運営推進機関」から各電力会社が指示を受けた時点の供給力によって状況は変わるとした上で、東北電力や東京電力管内には十分な余力があり、火力発電所の出力を上げるなどして対応することになるのではないかとしています。
※ このニュース記事は「NHK NEWS WEB」で2018年9月7日現在、検索をかけてもヒットしません。みなさんも「停電 ブラックアウト」とか「停電 北電初」とか検索してみて下さい。「北電初のブラックアウト」という見出しがまずかったのでしょうか?やることがせこいNHK。
■なぜ北海道全域で停電に? 専門家は
NHK NEWS WEB 2018年9月7日 21時25分
今回の地震で北海道全域で停電が起きた要因について、電力ネットワークに詳しい専門家は、北海道電力が1か所の火力発電所に依存し、リスクへの備えが足りなかったのではないかと指摘しています。
今回の地震では、北海道内で最大の火力発電所、苫東厚真火力発電所が緊急停止したことをきっかけに周波数が乱れてほかの発電所も連鎖的に停電する“ブラックアウト”と呼ばれる大規模な停電が起きました。
北海道電力の管内では地震が発生した2018年9月6日午前3時すぎ、310万キロワットの電力需要のうち、半分以上にあたる165万キロワットを苫東厚真火力発電所が供給していました。
これについて早稲田大学大学院環境・エネルギー研究科の中西要祐教授は、地震など大規模災害で1か所の発電所が停止しても、電力供給全体に支障が出ないように計画すべきだったと指摘しました。
そのうえで中西教授は「1か所の発電所で発電を多くしたほうがコストメリットがある。発電機は100%の稼働が効率がよく、40、50%の運転だとコスト高になる。なるべく出力が最大にできるよう集中させることが経済面では求められる」と、経済面から1か所の発電所への依存度が高まったのではないかという見方を示しました。
また、北海道電力は過去15年間の実績から、一気に失われる可能性がある供給力を129万キロワットまでと想定していましたが、165万キロワットが一気に止まることは想定していなかったとしています。
これについて中西教授は「地震が急に起こったから非常に難しかったと思うが、緊急事態もさらに考えてシステムをつくっていくことが今回の教訓として明確になった」と、従来の想定をこえる事態にも備えが必要だと指摘しています。
北海道電力を巡っては、今年度中に、本州から電力の供給を受けられる北本連系線の容量を現在の60万キロワットから90万キロワットに拡大するほか、新たに建設中のLNG=液化天然ガスを燃料とする火力発電所の稼働も控えていました。
これについて中西教授は「ある意味の想定外になったときに、どんな対策をしないといけないのか、次の次の手を計画していくことになる」と述べ、今回の停電を踏まえて、今後に向けた計画づくりの必要性を指摘していました。
■泊原発 「原発下は活断層」 道内科学者らの会が会⾒
毎⽇新聞 2018年4⽉19⽇ 北海道版
道内の科学者らでつくる「⾏動する市⺠科学者の会・北海道」は2018年4月18⽇、道庁で記者会⾒し、北海道電⼒泊原発1号機直下の断層は、動いていないと証明できるのは約1万〜3万年前までで、活断層に当たると指摘する⾒解を発表した。原発の新規制基準で
は、12万〜13万年前以降に動いたと否定できない断層を活断層と定義し、活断層が原発施設直下にあれば、稼働は認めない。
同会は、昨年12⽉の原⼦⼒規制委員会の審査会合で、北電が⽰した敷地内の地層調査結果を分析。断層上の地層から新たに11・5万年前の洞爺⽕⼭灰や4・2万年前の⽀笏⽕⼭の降下物が、年代に関係なく、かく乱した状態で発⾒されたことに着目した。
これらの地層は、氷河期(約1万〜3万年前)に凍結などで、不規則にかく乱されたと指摘。地層が動いていないことは、約1万〜3万年前までしか証明できず、断層は活断層と指摘した。
泊原発の活断層を巡っては、北電は断層上にある20万年前の⽕⼭灰層が動いていないことを根拠に存在を否定してきた。だが昨年12⽉に⽰した地層調査結果では、⽕⼭灰層が発⾒できなかったとした。北電は⽕⼭灰層による断層分析を断念し、他の⽅法で活断層でないと証明する⽅針に転換した。同会事務局⻑の⼩野有五・北⼤名誉教授は「活断層の有無は⽴地基準に関わる重要課題。規制委は、新たに分かった事実を審査に⽣かしてほしい」と述べた。【⼭下智恵】
■泊原発 敷地周辺の活断層調査のまとめ 北海道電力 2017年7月28日
※ (編集者注)泊原発周辺の活断層地図を意図的、計画的に図面から削除した疑いがある。
■厚真町付近に新たな活断層が存在か
産経新聞 2018年9月10日 08:44
北海道の地震で最大震度7を観測した厚真町の現場付近に、これまでに知られていない活断層が複数存在していた可能性があることが2018年9月10日、専門家への取材で分かった。過去に繰り返し地震が発生し、地形や地層が変化してできた「二次的活断層」が認められるとしている。
道内の専門家らでつくる「石狩沖積低地研究会」が平成26~29年に実施した地質調査で判明。今後、現場の詳しい状況を把握し、地震との関連を調べる。
政府の地震調査委員会は今回の地震について、震源近くの活断層「石狩低地東縁断層帯」で発生したものではないと説明している。 研究会の調査結果では、多くの犠牲者が出た厚真町の吉野や富里、幌内地区付近の少なくとも4カ所に、南北に走る線状模様があり、いずれも二次的活断層の可能性があるという。
安平町、極めて強い揺れ 福井新聞 2018年9月6日 午前9時17分
北海道で最大震度6強を観測した地震で、防災科学技術研究所(茨城県)は2018年9月6日、安平町に設置した観測点で、極めて強い揺れを示す1504ガルの加速度を記録したとウェブサイトで公表した。
防災科研はいったん、別の観測点で1796ガルを観測したと公表したが、その後「地震との関係を改めて確認したい」として取り下げた。観測点の状況を調査して、機器が正しくデータを観測できていたかを検証する。
1504ガルは、防災科研が全国に展開する観測網「KiK―NET」のデータで、東西方向のほか、南北、上下の揺れを組み合わせた数値。地震が発生した午前3時8分ごろに記録した。
■泊原発の地震対策 新たな基準地震動および耐震補強 620ガル 北海道電力 2017年6月
泊原発の地震対策(新たな基準地震動および耐震補強)
・「敷地ごとに震源を特定して策定する地震動」および「震源を特定せず策定する地震動」の揺れの大きさを評価した結果、申請時の基準地震動に加え、新たに8つの基準地震動を追加しました(最大加速度は申請時の550ガルから620ガルに引き上げ)。
・現在、新たな基準地震動に基づく耐震性評価を実施しており、補強等が必要な設備について、随時耐震補強工事を実施し、新たな基準地震動による揺れに耐えられるようにしています。
※ つまり、泊原発の基準地震動は620ガルですから、今回の北海道胆振地方中東部地震の最大加速度1504ガル(安平町)には耐えられない設計になっています。