4号機使用済み核燃料プールの核燃料集合体は、2011年3月11日原発事故発生当時1535体(新燃料204体、使用済み燃料1331体)ありました。試験的に2012年7月18日、19日に新燃料2体(未照射体)を取り出し、1533体に。

 この時にたった2体の燃料集合体取り出しの作業にあたった原発労働者が被ばくした線量は最大0.62ミリシーベルト。一般人の年間被ばく許容線量(がまん値)の6割をたった3時間の作業で浴びてしまいました。

東京電力「4号機使用済燃料プール内新燃料(未照射燃料)の健全性調査新燃料の取り出し状況について(平成24年7月18、19日実施)」2013年7月30日 pp.2

 原発で使用されている燃料は、天然ウランに0.7%しか含まれていないウラン235 を2~3%に遠心分離機等で濃縮したものです。これを直径1.24cmのタブレット状のセラミックに焼き固めたものをペレットと言います。ジルコニウムという金属の被覆管で覆われた、長さ4mの燃料棒には、このペレットが約300~500 個入っています。この燃料棒が集まって、燃料集合体を作っています。4号機の燃料集合体は、「高燃焼度8×8型」と呼ばれるもので、1つの燃料集合体に60本の核燃料棒が入っています。

日本原子力技術協会 福島第一原子力発電所の基本仕様(設置許可申請書本文より)

 ですから、事故当時、4号機の使用済み核燃料プールにあっとされる1535体とは、核燃料棒の数ではなく、この燃料集合体の数です。

 つまり、核燃料棒としては1535×60=92100本存在したことになります。

 また、本当にすべての燃料集合体が、使用済核燃料プールに存在したのかは疑わしいです。何体かの新燃料集合体が4号機の原子炉に入っていたのではないか、指摘する学者もいます。

 2013年11月18日から1533体の燃料集合体の取り出しを開始していますが、2014年10月19日東京電力の発表によれば、使用済み燃料集合体1320体(当初は1331体あった)、新燃料集合体22体(当初は202体あった)を取り出して、供用プールに移したとのことです。

東京電力「燃料取り出し 4号機」2014年10月19日

 しかし、問題なのは、まだ使用済み核燃料プールに残っている使用済み燃料集合体の中に、破損燃料(変形燃料と彼らは言う)1体、漏えい燃料2体があることです。新燃料ですら3時間の作業で、0.62ミリシーベルト被ばくするのに、これら、破損燃料、漏えい燃料を取り出すのに、原発労働者は何ミリシーベルト被ばくしなくてはいけないのでしょうか?
 2013年11月16日 付け河北新報は、「損傷した核燃料を取り出す技術はない、 福島第1原発1号機 燃料震災前破損70体、全体の4分の1 」と報じています。      

 

 

 

 また、4号機使用済み(SFP)核燃料を地面に落下させてしまった場合、 ヨウ素131や希ガスが放出されることを東京電力は認めています。

   東北・関東では、万が一の原子力災害時の防災対策を立て、住民に周知徹底すべきです。2011年3月14日夜19:20pmの時点では、2号機はメルトダウンして、爆発するのは時間の問題であることを、吉田昌朗所長、東京電力、政府原子力安全保安院、自衛隊は知っていました。(以下、参照pp.10)しかし、政府は国民に何の屋内退避の指示すら出さず、福島県副知事 内堀雅雄氏は県民への安定ヨウ素剤の服用指示も出しませんでした。同じことを繰り返してはなりません。

池田 元久 元経済産業副大臣 20120209 事故対応全般について聴取者 東京電力福島原子力発電所における事故調査・検証委員会事務局 齊藤修啓 pp.10参照