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増殖炉、2018年8月30日から燃料取り出し
もんじゅ、福井県に報告
佐賀新聞 2018年8月28日

 日本原子力研究開発機構は28日、廃炉が決まった高速増殖原型炉もんじゅ(福井県敦賀市)の使用済み核燃料の取り出し作業を30日から始める方針を明らかにした。機構の児玉敏雄理事長が28日、福井県庁を訪れ、西川一誠知事に報告した。

 児玉理事長は、7月以降に相次いだ設備の不具合で、作業開始が遅れたことを陳謝。「取り出しは長期にわたる廃止措置の第一歩。安全、確実に実施するという強い覚悟で取り組む」と述べた。

 西川知事は「作業に関わる全ての人が最大限の緊張感を持って業務に当たらないといけない」と強調。不具合などが発生した場合は、迅速に情報公開するよう求めた。

 機構は当初、燃料取り出しを7月下旬に始める予定だったが、トラブル多発を受けて8月に延期した。今月19日から、制御棒を使った取り出しの模擬訓練を実施している。

もんじゅ燃料出入機で警報
取り出し訓練めど立たず
佐賀新聞 2018年8月3日

 日本原子力研究開発機構は3日、高速増殖原型炉もんじゅ(福井県敦賀市)で、使用済み核燃料の取り出しに向けた準備作業中に、燃料出入機の異常を知らせる警報が鳴るトラブルが1日にあったと発表した。

 機構は今後、要員を増やしてトラブルへの対応を検討し、取り出しを8月中に始めるとしているが、取り出しに向けた模擬訓練実施のめどは立っておらず、予定通りに進まない可能性もある。

 機構によると、7月25日、原子炉近くの「炉外燃料貯蔵設備」から制御棒を取り出してステンレス製の缶に収納する作業中、近くに設置していた監視カメラのレンズが水蒸気で曇るトラブルが発生。カメラが改善したかを確認するため、1日午後5時15分ごろ、改めて貯蔵設備から制御棒を取り出して移動させた際に警報が鳴った。警報はすぐに収まったという。

 もんじゅでは7月以降、出入機などのトラブルが相次ぎ、7月中に始める予定だった燃料取り出しが8月に延期された。カメラが曇る不具合への対策も検討中という。

 3日、福井県庁を訪れた機構の伊藤肇理事はトラブルの多発を陳謝。清水英男安全環境部長は「県民の厳しい目を十分に認識し、作業を着実に続けてほしい」と求めた。

もんじゅ、燃料取り出し断念
トラブルが影響
佐賀新聞 2018年7月26日 

 廃炉が決まった高速増殖原型炉もんじゅ(福井県敦賀市)の使用済み核燃料の取り出しについて、日本原子力研究開発機構が、7月中としていた作業開始を断念したことが26日、関係者への取材で分かった。

 16日に発生した燃料出入機のトラブルを受け、「燃料貯蔵設備」に入っている制御棒を燃料に見立てて取り出す訓練の開始がずれ込んでいた。文部科学省は、27日に開く廃炉計画に関する連絡協議会で、福井県と敦賀市に延期を伝える。

 トラブルは出入機などに異常がないか調べる試験中に発生。機構は出入機の部品を交換して、24日に試験を再開した。近く残りの試験を終え、制御棒を取り出す訓練を始めるとしている。

 訓練終了後、8月以降に貯蔵設備の使用済み燃料の取り出しを始めるという。

もんじゅの燃料処理に数千億円か
廃炉総額が1兆超の可能性
佐賀新聞 2018年7月5日 

 廃炉が決まっている日本原子力研究開発機構(原子力機構)の高速増殖原型炉もんじゅ(福井県)を巡り、使用済み燃料の処理に数千億円以上かかる可能性があることが5日、関係者への取材で分かった。政府はもんじゅの廃炉費用を3750億円と試算しているが、燃料処理費は含んでおらず、廃炉の総額は1兆円を超える可能性が出てきた。

 もんじゅの燃料は毒性の強い放射性物質プルトニウムを多量に含み、国内外に処理できる施設はない。海外の業者に高額で委託するしかなく、施設の新設も含め莫大な費用がかかるという。

 もんじゅは使った以上の燃料を生む「夢の原子炉」として期待され、1兆円を超える国費が投入されたが、相次ぐトラブルでほとんど実績を上げないまま長期停止。政府は2016年、再稼働する場合の安全対策に約6千億円が必要と試算し、費用対効果の問題などから廃炉を決めた。

 原子力機構によると、使用済み燃料の処理費用は、含有するプルトニウムの量で大きく左右される。通常の原発で使われた燃料には1%のプルトニウムが含まれる。これを再処理したウラン・プルトニウム混合酸化物(MOX)燃料は4~9%で、輸送費などを含め処理費用は1体約10億円。

 機構関係者によると、もんじゅの燃料は小型だがプルトニウムは16~21%で、通常の数倍以上の処理費がかかるという。もんじゅには未使用のものも含めると処理対象になる燃料は約540体あり、費用は数千億円以上になる見通しだ。

 原発の使用済み核燃料からプルトニウムなどを回収し、再び燃料として使用する再処理を委託されているフランスの業者にも、もんじゅの使用済み燃料を処理できる施設はなく、対応には新設が必要という。

 同機構は22年度までに処理方法を決定し、燃料を取り出す計画。機構関係者は「具体的な処理方法は決まっていない。現実的にはフランスの業者と交渉することになるだろう」としている。

 

もんじゅ廃炉、保守管理に一因
総コスト増の恐れ、会計検査院

佐賀新聞2018年5月11日

 

 会計検査院は11日、廃炉が決まっている日本原子力研究開発機構の高速増殖原型炉もんじゅ(福井県敦賀市)に関する検査結果を公表した。「保守管理の不備が廃炉につながった」と総括。少なくとも1兆1313億円が投じられ、研究の達成度は16%だったとした。廃炉費用は国の試算の3750億円を超える可能性があるとした。研究開発経費を合わせた総コストも増える恐れがある。

 半世紀にわたって巨額の税金を投じながら研究開発に失敗した経緯を裏付ける検査結果。一方、これまで検査院がもんじゅの研究開発経費について意見表明したのは2011年の1回にとどまり、検査や政策評価の在り方も議論になりそうだ。

 検査院は、09年1月以降の保守管理の実態を調べ、期限までに検査が済んでいないなどの機器や項目が多数に上り、原子炉が冷温停止中でも機能維持が必要な重要機器も含まれていたという。

 もんじゅは1994年4月に初運転以降、冷却材のナトリウム漏れ事故が起きた95年12月までで205日、運転再開した10年5~8月で45日の計250日しか稼働していない。検査院は稼働期間中の研究状況も調査。最初の稼働期間では予定された142の試験項目のうち50しか完了せず、次の期間は117の項目の全てが終わらなかった。

 最終的な試験項目数から割り出した達成度は廃炉が決まった16年12月の時点で16%。長期的な稼働データの取得など、継続的な運転・保守管理が試験に必要だった項目は達成できなかった。

 16年度までに投じられた1兆1313億円の内訳は、建設関連費が計約5907億9千万円、保守管理費が計約4382億6千万円、人件費が計約590億4千万円、固定資産税が計約432億6千万円。書類の不存在を理由に予備設計を開始した68年度から70年度までの費用は含まれない。

 廃炉費用については人件費や固定資産税が含まれず、ナトリウムの処理費用が変動する可能性があるなど試算よりも増える可能性があるとした。

もんじゅ6月に取り出し模擬訓練
使用済み核燃料
佐賀新聞  2018年3月28日

 福井県敦賀市の片山富士夫副市長(手前)と面会する、日本原子力研究開発機構の伊藤肇理事=28日午後、敦賀市役所

 原子力規制委員会による高速増殖原型炉もんじゅ(福井県敦賀市)の廃炉計画認可を受け、日本原子力研究開発機構の田口康副理事長は28日、福井県庁で藤田穣副知事と面会、原子炉などからの使用済み核燃料取り出し作業の模擬訓練を6月に行うと説明した。

 田口副理事長によると、原子炉近くの燃料貯蔵槽に保管されている制御棒を燃料に見立てて取り出し、付着した冷却材の液体ナトリウムを除去した上で、水で満たされた「燃料池」に移すという。藤田副知事は「高速炉特有の国内初の作業があるので安全に進めてほしい」と話した。

 敦賀市では同日、機構の伊藤肇理事が片山富士夫副市長と面会。片山副市長は、設備点検の計画書の誤りが原因で今月上旬に発生した警報装置の故障に触れ、「ヒューマンエラーが続くようでは、廃炉を任せて大丈夫なのかという疑念を払拭できない」と述べた。

 機構は、原子炉などにある計530体の使用済み燃料の取り出し作業を7月に始める計画。廃炉完了は2047度までの30年間を見込んでいる。