<解説> やはり、また、原発再稼働のニュースは地元メディアしか伝えません。高浜原発4号機が2018年8月21日から再稼働工程に入るため、関西電力は2018年7月17日に原子力規制委員会に申請をしました。以下が、福井新聞と時事の報道です。

 赤旗2018年7月18日は下記の時事の報道内容に加え、「4号機は5月18日から定期点検に入っていました。運転中の3号機は8月3日から予定しています。」と続けています。

 朝日新聞、毎日新聞、読売新聞の全国版、福井県版も確認しましが、3紙は高浜原発4号機の再稼働工程について、福井県版ですら報道していません。2018年7月18日朝刊。 

 東京新聞を購読されている方は、2018年7月18日朝刊をご確認下さい。東京新聞も報道していません。脱原発はポーズなのか、と。東京新聞に抗議の電話をかけましょう。原発のトラブルや再稼働の記事はきちんと載せろ、と。

 こうして原発再稼働に反対する運動は地方、地方のバラバラの運動に分断され、首都圏では「金曜行動」や月1回日曜行動というスケジュール闘争にエネルギーが消費されていくのです。福井県の原発再稼働とは無関係に。このままの状況では、原発再稼動は止まりません。

■定検日程前倒し 来月24日発送電 高浜4号、規制委に申請
福井新聞  2018年7月18日 午前5時00分

 関西電力は17日、定期検査中の高浜原発4号機について、検査工程の変更申請を原子力規制委員会に届け出た。9月15日としていた発電・送電開始を8月24日に前倒しする。 

今回の定検中に見つかった蒸気発生器の細管2本のひび割れの補修工事が、7月中に終わるめどが立ったため、工程を変更する。8月18日からの予定だった燃料装荷は7月25日に始める。発電・送電の2、3日前に原子炉を起動。9月19日に営業運転を再開する見込み。

 一方、営業運転中の高浜3号機は8月3日から定期検査に入る予定。(牧野将寛)

■高浜4号機、来月に運転再開=関電
時事ドットコム 2018/07/17-18:17

 関西電力は17日、定期検査中の高浜原発4号機(福井県高浜町)について、8月21日にも原子炉を起動し、運転を再開すると明らかにした。営業運転への移行は9月19日を見込む。
 関電によると、原子炉に核燃料を搬入する作業を7月25~28日に行う。原子炉の起動後、8月24日に発電と送電を再開。段階的に出力を上げ、原子力規制委員会の最終検査で問題がなければ営業運転に移行するという。

<解説> そもそも高浜原発4号機の蒸気発生器は大丈夫なのでしょうか?広瀬隆氏が指摘しているように、福島第一原発のような沸騰水型原発(BWR)では、原子炉が冷却できなってから3~4時間後にメルトダウンが始まるのに対して、高浜3号機、4号機のような加圧水型原発(PWR)では、原子炉が冷却できなくなってから22分後にメルトダウンが始まります。

広瀬隆 わずか22分でメルトダウンが起こる恐怖の事実!“恐怖の生体実験”に、いつまでかけられるのか?――八重洲ブックセンター本店での講演(1)2015.9.24 DIAMOND onLine

 そのより高いメルトダウンの危険性は、加圧水型原発が、高温高圧の蒸気を利用しているためです。その高温高圧の蒸気が通っているのが、蒸気発生器の細管です。「原子炉の運転条件は、フクシマ・タイプの沸騰水型では280~290℃で、70気圧だが、加圧水型では290~330℃と高温で、しかも圧力が、2倍以上の150気圧もある。」(上記、広瀬隆氏)

 高浜4号機は、2018年5月からの定期点検で、この蒸気発生器伝熱管2本に傷があったことがわかっています。福井新聞は報道していますが、朝日、毎日、読売など全国紙は一切報道していません。東京新聞も報道していません。東京新聞がこの2ヶ月で高浜原発に関して報道したのは「高浜原発で変圧器警報   東京新聞 2018.06.09  3面  3頁  朝刊」だけです。

 加圧水型原発(PWR)で、この蒸気発生器伝導管の傷は致命的なトラブルではないでしょうか。原因もわからずにただ交換だけでは、運転中にヒビが入り、深刻なトラブルになる可能性がある、ということではないでしょうか。

■高浜原発4号機で蒸気発生器伝熱管2本に傷

福井新聞 2018年6月22日 午後6時42分

 福井県は22日、定期検査中の関西電力高浜原発4号機で、3台ある蒸気発生器のうち1台の伝熱管2本に傷が見つかったと発表した。外部への放射性物質漏れなどの影響はないという。

<解説> 三菱マテリアル、神戸製鋼をはじめとする、工業機器部品メーカーの品質偽装、手抜き検査の問題は、原発にも及んでいます。高浜原発3号機、4号機は欠陥部品を使っていないのでしょうか。原子力規制委員会は本当に仕事をしているのでしょうか。原発の設備、部品について「書類審査」でOKは許されないはずです。フランスは原発の圧力容器のふた、蒸気発生器に不正部品が使われていたことを理由にすべての原発を止め、検査を行いました。(日本メーカー部品問題でフランスの原発に停止命令ー日本は? グリーンピース 2016年11月2日)なぜ、日本で同じことができないのでしょうか。関西電力は、三菱マテリアル、神戸製鋼がどの部品を納入していたのか、また、実地検査の結果を示すべきです。そのために、原子力規制委員会は関西電力の原発をすべて止め、検査を行わせるべきです。

■関電の原発重要設備に不正製品か 三菱マテ改ざん問題

福井新聞 2017年12月20日 午後0時10分
 

 三菱マテリアル子会社の製品の検査データ改ざん問題で、原子力規制委員会の再稼働審査に合格した関西電力の高浜原発と大飯原発(いずれも福井県)の重要設備で、不正部品が使われている可能性があることが20日、分かった。関電は規制委に「点検などで製品の安全性を確認しており、原発に影響はない」と説明。規制委は調査を続けるよう指示した。

 規制委によると、稼働中の高浜3、4号機の原子炉冷却用のポンプや、来年に再稼働が予定される大飯3、4号機の原子炉格納容器の電気ケーブルを通す貫通部の隙間をふさぐ部品などに使用されている疑いがあるという。

 <解説>また、関西電力の情報公開もいいかげんです。2018年8月21日から再稼動工程を始めることを、ホームページ上では一切明らかにしていません。九州電力はその点、事故・トラブルへの対応も含め、ホームページ上で明らかにしています(対応は同じくずさんですが)。まず、こうした関西電力の情報公開の姿勢から正していかなくてはならない、と思います。

関西電力 高浜原発 再稼動に関するプレスリリース 2018年7月21日現在、一切なし。

九州電力 玄海原発4号機の再稼動前のトラブルによる再稼動工程の延期、そして、再稼動工程の再開のプレスリリース