小泉純一郎氏と会談し、脱原発を目指す、とされていた、希望の党 小池百合子氏が「希望の党代表の小池百合子東京都知事は、原子力規制委員会が安全を確認した原発の再稼働には『異論を唱えない』と語った」(2017年10月4日読売新聞社説)と、原発の再稼働を容認しました。
原子力規制委員会は、2017年10月4日、福島第一原発事故を引き起こした東京電力に対し、柏崎刈羽原発6号機、7号機の再稼働に関する審査書を了承した。原発事故を引き起こした、電力会社としての適格性を問う、と一時は言いながら、東京電力の一片の紙切れ「最後まで責任を持ちます」だけで、東京電力に適格あり、とした組織です。
小池百合子氏は、原子力規制委員会の名を借りて、すべての原発の再稼働を容認したことに等しいです。
小泉純一郎氏との会談を利用して、「脱原発」のイメージだけを有権者に印象付けただけ、という、極て悪質な政治的立ち振舞いをします。
以下に、2017年10月4日、読売新聞朝刊3面社説を全文紹介します。
「エネルギー政策 具体論なき脱原発は無責任だ」
2017年10月4日 読売新聞朝刊3面 社説
国民生活を支える電力の安定供給をどう実現するか。各党は有権者に責任あるエネルギー政策を提示し、具体論を競ってもらいたい。
衆院選で、原子力発電活用の是非が主要な争点の一つとして浮上している。
自民党は公約で、原発を基幹電源として位置づけ、活用する方針を掲げた。安全性が確認された原発を、地元自治体の理解を得て、再稼働させると明記した。
資源が乏しい日本のエネルギー自給率は8%と主要先進国で最も低い。原発は、燃料価格が安定しているウランを使う。エネルギー安全保障上、有効活用する方針を示したのは妥当である。
政府は2030年度の発電量の20~22%を原発で賄う計画だ。目標達成には、福島の事故後に停止した原発を30基程度再稼働させる必要がある。現状は5基にとどまる。自民党には、国民の理解促進に向けた具体策が求められる。
公約が、原発を活用するとしながら、使用済み核燃料を利用する核燃料サイクル計画について触れていないのは物足りない。選挙戦で丁寧に説明すべきだ。
希望の党代表の小池百合子東京都知事は、原子力規制委員会が安全を確認した原発の再稼働には「異論を唱えない」と語った。
だが、将来的には、「30年までに原発ゼロを実現する工程を検討する」との考えを示している。
小池氏の方針は、民進党が主張していた原発稼働ゼロの目標年限である「30年代」を大幅に前倒しするものだ。既存原発の再稼働を認めながら、30年に原発ゼロを目指すというのは、果たして現実的な施策と言えるだろうか。
小池氏は原発に代わる電源として再生可能エネルギーの導入加速を掲げている。風力や太陽光は、発電量が天候や時間帯に左右されるため、現状では、基幹電源とするのは難しい。発電コストが高く、家計や企業の負担も増す。
日本維新の会は、将来的な脱原発を公約に盛り込んだ。共産党は「即時原発停止」を主張する。
安易に原発ゼロ政策を推進すれば、電力供給が不安定になり、国民生活を脅かしかねない。選挙目当てで十分に吟味されていない施策を唱えるようでは有権者の混乱を招くばかりである。
各党は、選挙戦だからこそ、エネルギーの供給体制の全体像について、地に足をつけた冷静な議論をしなければなるまい。