チェルノブイリ原発事故後のウクライナ、ポルタヴァ州における小麦の放射能汚染の推移 セシウム137 ストロンチウム90 です。食品と暮らしの安全基金 小若順一氏から資料を提供していただきました。原発事故後に放出された、セシウム137、ストロンチウム90の環境中での移動について、メアリー・マイシオ著『チェルノブイリの森 事故後20年の自然誌』(NHK出版、2007年)より、抜粋しました。

 原発事故から5年。これからも食品の放射能汚染は深刻になります。単純に汚染は物理的半減期に従って下がるものではないことに注意しましょう。以下からpdfがダウンロードできます。

ウクライナ 小麦中のセシウム137とストロンチウム90の放射能濃度の推移

 2016年5月10日、栃木県宇都宮市の小学校の学校給食で、放射能汚染タケノコが使用されました。栃木県の検査では、このタケノコの放射性物質の濃度は、270Bq/kg、173Bq/kg、128Bq/kg(大田原市産)でした。一方、本来使われるはずだった、宇都宮市産は10Bq/kgでした。

栃木県 たけのこの食品中放射性物質の基準値超過について

 下野新聞がこの事件を詳しく報道しています。

 かつての埼玉県さいたま市の学校給食まるごと放射能検査でも、5日分の保育園の給食から、2.13ベクレル/kgのセシウム134、セシウム137が検出されていました(大砂土保育園)。これは、今回の宇都宮市の学校給食のように、270ベクレル/kgの放射能汚染たけのこを35g分使った場合にも、2.36ベクレル/kgになります。さいたま市の学校給食でも、この放射能汚染タケノコのレベルの食材が使われていた可能性があります。早野龍五氏が提唱する、この学校給食まるごと放射能検査(陰膳法)は、汚染食材の特定をせず、「これくらい少ない放射能汚染だから安全」と、子どもたちに放射能を食べさせる、検査方法です。誤った放射線防護法であると思います。

[解説] 

 <さいたま市の学校給食の場合>上記資料より、大砂土保育園 2012年2月2日~2月8日 5日分の給食 4.131kgで、セシウム134とセシウム137の合計が2.13ベクレル/kg。

つまり、2.13×4.131=8.80ベクレルの放射性物質が混入していたことになります。

 <宇都宮市の学校給食の場合>もし、これが1品目のタケノコで放射能汚染が270ベクレル/kgのもの、1人あたり35gを食材として使用しようしていた、とすると、以下のようになります。

 270×35÷1000=9.45 ベクレル。

これが給食5日分の4.131kgに混入していたとすると、どれくらいの汚染度(ベクレル/kg)になるのでしょうか?

 9.45÷4.131=2.29 ベクレル/kg

つまり、大砂土保育園の学校給食のレベルとまったく同じです。さいたま市はこれは非常に小さな内部被ばくだから安全と解説しています。270ベクレル/kgを超えるタケノコのような食材が食べさせられたかもしれないのに。早野龍五氏が提唱する、この学校給食まるごと放射能検査(陰膳法)は、汚染食材の特定をせず、「これくらい少ない放射能汚染だから安全」と、子どもたちに放射能を食べさせる、検査方法です。誤った放射線防護法であると思います。