1巡目検査「甲状腺異常なし」 福島の子4人がん疑い

2014年12月24日東京新聞朝刊 2面

 福島県の全ての子どもを対象に東京電力福島第一原発事故による放射線の影響を調べる甲状腺検査で、事故直後の一巡目の検査では、「異常なし」とされた子ども4人が、4月から始まった二巡目の検査で甲状腺がんの疑いと診断されたことが関係者への取材で分かった。25日に福島市で開かれる県の検討委員会で報告される。

 甲状腺がんと診断が確定すれば、原発事故後にがんの増加が確認された初のケースとなる。調査主体の福島県立医大は確定診断を急ぐとともに、放射線の影響かどうか慎重に見極める。

 1986年のチェルノブイリ原発事故では4~5年後に子どもの甲状腺がんが急増した。このため県立医大は、事故から3年目までの一巡目の結果を、放射線の影響がない現状把握のための基礎データとしてとらえ、二巡目でがんが増えるかなどを比較し、放射線の影響を調べる計画。

 検査の対象は一巡目が事故当時18歳以下の約37万人で、二巡目は事故後一年間に生まれた子どもを加えた約38万5000人。それぞれ一次検査で超音波を使って甲状腺のしこりの大きさや形状などを調べ、程度の軽い方から「A1」「A2」「B」「C」と判定し、BとCが血液や細胞などを詳しく調べる二次検査を受ける。

 関係者によると、今回判明したがんの疑いの4人は震災当時6~17歳の男女。一巡目の検査で2人が「A1」、残る2人も「A2」と判定され、「異常なし」とされていた。4人は、今年4月からの二巡目検査を受診し、一次検査で細胞などを調べた結果「がん疑い」と診断された。腫瘍の大きさは7~17.3ミリ。

 4人のうち3人は、原発事故が起きた2011年3月11日から4カ月の外部被ばく線量が推定でき、最大2.1ミリシーベルトだった。4人はそれぞれ大熊町、福島市、伊達市、田村市に居住していた。