気象研究所 環境・応用気象研究部の足立光司氏、梶野瑞王氏、財前祐二氏、五十嵐康人氏が、2013年8月30日のScientific Reports誌に、東京第一原発から放出された放射性物質が球体の粒子状となって、筑波の気象研究所にも飛んで来ていたことを発表しました。

 その微粒子の主な成分は放射性セシウムであり、イメージング・プレート(IP)という手法で、放射性物質がわかるように可視化すると、特に2011年3月14日~3月15日、3月20日~3月21日に大量の放射性物質の微粒子が大気中を舞っていたことがわかりました。

Emission of spherical cesium bearing particles from an early stage of the Fukushima nuclear accident Kouji Adachi, Mizuo Kajino, Yuji Zaizen & YasuhitoIgarashi 20130612

 

 

 この球状セシウムの微粒子は、Cs(セシウム)とともに相当量のFe(鉄)とZn(亜鉛)および少量のCl(塩素)、Mn(マンガン)、O(酸素)を含んでいました。直径は2.6マイクロメートル。この球状微粒子の密度を2.0g/cm3と仮定すると、微粒子の質量の5.5%がセシウムです。

 またこの球状の微粒子たった1個セシウム134が3.31 ± 0.06 ベクレルセシウム137が3.27 ± 0.04ベクレル含まれていました。

 この微粒子が鼻腔につけば、鼻血が、咽頭奥につけば長引く空咳が続く可能性があります。

 大阪で放射能汚染がれきが燃やされて、焼却場周辺の住民に、鼻血、空咳、目の痛み、かゆみ、胸の息苦しさ、皮膚のかゆみ、ぴりぴりした感じがでています。放射能汚染がれきを燃やしたため、2011年3月15日と同様な金属微粒子が焼却場から飛び散った可能性があります。

  以下は、たまあじさいの会の中西四七生さんが作成された資料です。たまあじさいの会とは、東京都の多摩地区400万人のゴミを最終処分するために東京都西多摩郡日の出町(人口約15,000人)に作られた、2つの巨大ゴミ最終処分場が、いかに周辺の環境を汚染し、住民の健康被害を引き起こしているか調査、報告している団体です。

市民による日の出処分場の大気汚染に関わる周辺環境調査 たまあじさいの会

市民による日の出処分場の大気汚染に関わる周辺環境調査 たまあじさいの会

第二次の活動の取り組み(2003年3月~)

 ゴミ焼却場から出される微粒子のほとんぼは、PM2.5(2.5マイクロメートル以下の物質という意味)よりも小さく、その割合は質量比で全体の35%。つまり、焼却場から出る煤塵(ばいじん)のほとんどがPM2.5なのです。放射能がれきを大阪で燃やせば、また、放射性セシウムを中心とする、セシウム球ができます。その直径は2.6マイクロメートルほどである可能性が大きいです。この直径2.5マイクロメートル以下の微粒子はバグフィルターでも十分に捕捉することができず、境中に放出されていきます。環境省のいう、99.9%の煤塵(ばいじん)をバグフィルターで捕捉できる、の議論はでたらめです。焼却場ではバグフィルターが詰まり始めたときに、付着した煤塵(ばいじん)を払い落す時に、2.5マイクロメートル以下の微粒子の捕捉ができなくなるからです。

 大阪府、大阪市は『美味しんぼ』に抗議するよりも先に、ハイボリューム・バキューム・エアサンプラーで、放射能汚染がれきを燃やしているときの大気を補足し、その大気中にセシウム球があるか、ないかを調べるべきだったのです。それを空間線量のマイクロシーベルト/時で「がれきを燃やしても空間線量は上がっていない」などと問題のすり替えをするべきではなかった、と思います。

 参考:ハイボリューム・エアー・サンプラーに関する資料

内部被ばくを考える市民研究会『つくば市内における放射性物質及び放射線の測定 国立環境研究所』