いわき市学校給食の放射性物質の検査の休止について

             2019年10月18日 17:00pm 内部被ばくを考える市民研究会 川根眞也

 いわき市の学校給食の食材の放射性物質の検査をやってきた、NPO法人いわき環境システムが台風19号で浸水被災し、検査機器が損傷、使用不能となったため、いわき市教育委員会は、学校給食の食材の放射性物質検査を休止する、という通知を2019年10月15日保護者宛てに出しました。

<資料> 台風19号による浸水に伴う放射性物質検査事業の休止について(通知) いわき市教育委員会教育長 吉田尚 2019年10月15日

 不安に思う保護者からの声を受け、2019年10月18日17:00にいわき市教育委員会学校支援課食育給食課に電話をしました。

 まず、電話口に出られたのは菅野さん。

 川根が、この通知の文章の内容は2つです。前段では、NPO法人いわき環境システムが被災したため、学校給食の食材の放射性物質検査を休止すること。後段では、放射能が心配で給食を止める場合は書類を出せ、になっています。大事な「一時的に学校給食の食材の放射性物質検査を休止しますが、検査復旧に向けて努力しています。」という内容が抜けています。検査は止めるのですか?と聞きました。

 やはり「心配される声が多々聞こえるのですが……」と菅野さんは話してくれました。学校給食の食材の放射性物質検査では、いわき市の独自基準、放射性セシウム20ベクレル/kgを超えて学校給食が一時停止したことが2015年9月にありましたが、それ以降6年間そういう事象(学校給食の食材が放射性セシウム20ベクレル/kgを超えること)がなかったことから、今回、10月16日に放射性物質の検査をしないままですが、学校給食を再開した、と。他の検査機関に依頼するにもしても時間がかかます。また今後検査をどうするか決まっていないので、通知の文面に「只今、学校給食の放射性物質の検査の復旧に向けて努力しています」という内容が入らなかった、と回答しました。継続するかどうかも含めて検討中、と回答しました。

 川根が「それでは、6年間20ベクレル/kgを超える放射性物質が検出された食材がなかったので、今後、いわき市は学校給食の食材の放射性物質検査を止めることもありうる、と回答されたということでいいですね。」と聞いたところ、回答できず、係長の佐藤さんが替わりに電話口に出ていただきました。

 係長の佐藤さん。いわき市にある7つの給食センターのうち、断水しているところもありますが、2019年10月16日から学校給食を再開できるところもあります。一方、学校給食の食材の放射性物質検査を行ってきた、NPO法人いわき環境システムが被災、検査機器が破損、検査ができないことがわかりました。だから、6年間20ベクレル/kgを超えた食材が出ていなかったこともあり、10月16日から学校給食を再開できるところが再開するべく、通知を出しました。まだ、台風19号の影響で自宅が断水しているところもあります。給食を提供できるところは提供したいと考えました。放射性物質の検査ができませんが。それで出した通知です、と。

 川根は自分がチェルノブイリ現地での調査に協力していて、チェルノブイリ原発周辺のがんが多発、甲状腺がんも出ている地域でも、人参はせいぜい6ベクレル/kgや8ベクレル/kgです。野生のきのこなど4万ベクレル/kgを超えるもののあります。牛乳だと2000ベクレル/kg、また20ベクレル/kg前後のものもあります。このことから、いわき市の食材で20ベクレル/kg出ないのは当たり前です。検出下限20ベクレル/kgの検査を本来なら検出下限を数ベクレル/kgまでしないと検査したことにはならないのです。しかし、いわき市の検出下限20ベクレル/kgの学校給食の食材の検査もやめてしまえば、もっと高い汚染のものが学校給食に混ざる事態にもなりかなねないのではないですか?川根も学校現場にいたことがあり、学校が安心して勉強でき、安心して給食を食べることができるのは本当に大事なことだ、と思っています。川根のように20ベクレル/kgも安全ではない、と思いつつも、いわき市教育委員会が頑張って放射性物質の検査をやっているから、「給食は検査しているから安心して食べな」と子どもに話している保護者もいると思います。是非、来週にでも「NPO法人いわき環境システムが被災して、当面、学校給食の食材の放射性物質検査を行うことはできませんが、現在、放射性物質検査体制の復旧に向けて努力しています。」という文書が出せないか、とお願いしました。

 佐藤係長は、川根さまのチェルノブイリでの状況についての意見も含めて、復旧について文書を出すかどうかも含めて検討します、と回答しました。

以上です。