甲状腺がん未報告17人か

2019年7月24日 9時55分 NHK 福島放送局


 福島県が原発事故のあと、当時18歳以下の子どもを対象に行っている甲状腺検査で、がんやその疑いがあるという報告に含まれていない可能性がある患者が、少なくとも17人いることが民間の調査でわかりました。

 福島県は原発事故のあと、被ばくの影響を受けやすいとされる事故当時18歳以下の子どもおよそ38万人を対象に、甲状腺の検査を実施しています。
県は専門家で作る検討委員会にがんやその疑いと診断された患者の人数を報告していて、ことし3月末時点で、218人としています。
 しかし、患者や家族を支援する「3・11甲状腺がん子ども基金」によりますと、支援を依頼してきた患者の中に、報告に含まれていない可能性がある人が少なくとも17人いることがわかりました。
 このうち16人は、県の検査以外でがんやその疑いと診断されたということで、県は、把握が難しいことから報告には含まれていないとしています。
 もう1人は、事故当時4歳だった子どもで、県が3年ごとに行っている検査のうち、去年行われた3巡目の検査でがんと診断され、ことし3月に県立医科大学で手術を受けましたが、県の報告には4歳の子どもは含まれていないということです。
 甲状腺検査をめぐっては、おととしにも報告から漏れた4歳の子どもがいることがわかり県が調査した結果、おととし6月末までに報告に含まれない患者が12人いたことがわかっています。
 専門家の検討委員会は県の報告を元に、がんと原発事故による被ばくの関係を調べていますが、今回、新たに報告に含まれていない患者がいる可能性が明らかになったことで、正確な把握が難しいことが改めて浮き彫りになった形です。

 

朝日新聞WEB版

福島県の甲状腺検査、18人が集計漏れか NPOが発表

奥村輝 2019年7月25日朝日新聞

 東京電力福島第一原発事故後の福島県の甲状腺検査について、がんやその疑いがある人が、県の集計結果から6月末の時点で少なくとも18人漏れていると、患者らを支援するNPO法人「3・11甲状腺がん子ども基金」(東京)が24日発表した。経過観察中の受診や県外の医療機関で見つかった例があるという。

 基金によると、集計漏れは事故当時4~17歳までの男女18人。4歳男児の1人については、基金が17年3月に発表していた。崎山比早子代表理事は「正確な人数が不明のまま放射線影響を調べていて問題だ。また、5歳以下はチェルノブイリでの多発年齢で、特に注意する必要がある」と話した。県はがんやその疑い例を3月末時点で218人としている。

 また、県民健康調査検討委員会は24日、検査2巡目について「がんと被曝(ひばく)の関連は認められない」とする専門家の甲状腺検査評価部会の報告を了承したと発表した。ただし「将来的な見通しに言及したものではない」として、より詳細な被曝線量を用いた検討や、1巡目と2巡目を合わせた分析が必要だとするなどの委員意見も記された。(奥村輝)

共同通信

甲状腺がん18人が集計漏れか

福島の子ども健康調査

2019年7月24日 13:13 共同通信

甲状腺検査の様子=2016年、福島県内

 東京電力福島第1原発事故による健康影響を調べる福島県の県民健康調査に関し、NPO法人「3.11甲状腺がん子ども基金」(東京)は24日、甲状腺がんやその疑いがあるとの集計結果から少なくとも18人が漏れていると発表した。福島県外の医療機関で見つかった人などが漏れているという。

 基金によると、集計漏れは、県民健康調査以外で甲状腺がんと診断された事故当時11~17歳だった16人と、同4歳だった男児2人。男児の1人については基金が2017年3月に発表済み。

 自覚症状があり自ら医療機関を受診してがんと分かった例や、就職先の健康診断で見つかった例があったという。