[解説]

 東京電力福島第一原発の1/2号機排気筒には、数シーベルト/時の高濃度の放射能が付着しています。この1/2号機排気筒は、2011年3月の原発事故で核燃料がメルトダウン、格納容器が爆発する恐れがあったため、格納容器内部で高まった放射能をベントをして、何度も放出させたところです。従って、高濃度のウラン、プルトニウム、アメリシウムなどが付着しています。

 東京新聞が報道して明らかになったように、この高さ120メートルの排気筒の下から45メートル,66メートルの支柱と斜材の接合部計9カ所に破断や損傷が見つかっています。大地震で、いつ真っ二つに折れるか分からない状況です。すでに今年2019年3月には、解体工事を始める予定でした。しかし、モックアップ訓練(模型の鉄塔を作り実際に解体してみる)を積むため、として、同年5月に延期。しかし、同年5月になると「クレーンが3メートル長さが足りなかった」として、再び延期。同年78月に解体工事を再開、と発表しながら、8月2日に、更に8月6日に延期。更に更に8月7日に延期になり、昨日2019年8月7日の解体工事が中断した、というのが、以下、NHK 福島放送局のニュースです。

 東京新聞 2018年12月5日 朝刊 4面 福島第一原発痛んだ排気筒はこう解体するより

 

図1 1/2号機排気筒の痛み具合 1,2,3

 

図2 痛み箇所4,5と、全体像

 

図3 福島第一原発痛んだ排気筒はこう解体する

 このような詳しい原発報道するのは、東京新聞だけ。読むなら、東京新聞。地方でも、郵送料を追加で支払うと購読できます。問い合わせは、全般 電話 03-5226-5450。

 また、朝日新聞の報道によれば、解体するクレーン車は750トンもあります。「高い放射線量、遠隔で操作 作業員の被曝対策 福島第一排気筒解体」2019年8月2日朝日新聞朝刊3面より。

 

図4 1/2号機排気筒の解体工事をするクレーン車

 このような750トンもあるクレーン車を、もともと沼地である、福島第一原発の敷地に設置して、作業することが可能性なのでしょうか。クレーン車の重みで地盤沈下するのではないでしょうか?一時的なクレーン車ではなく、基盤作りから始めて、しっかりとした構造物を1/2号機排気筒の脇に作り、解体工事を行うべきではないでしょうか?しかし、原発建屋脇の治下には、配管、ケーブルなど様々な構造物が埋まっています。これらを付け替える、まては、閉鎖する、という気が遠くなるような作業が待っています。ですから、東京電力は安易なクレーン車作戦にでたのではないでしょうか?

 また、カバーもなしに、排気筒をカットすることは、ベントで付着した高濃度の放射能を環境中に撒き散らすことになります。カバーをするべきです。これら懸念される問題点を解決する作業計画を東京電力は練り直すべきです。

以下はNHK 福島放送局のニュースです。こうしたニュースは、福島県限定であり、全国には流れません。「NHK NEWS WEB」で検索してみて下さい。以下のニュース題名をそのまま、入力、検索しても出てきません。意図的、計画的な情報統制です。出てくるのは2019年5月の「クレーンの長さが足りず、解体作業延期」のニュースばかりです。

 編集者は、 「NHK NEWS WEB」以外に「NHK 福島放送局」「NHK 福島のニュース」「NHK 福井」をスマホのデスクトップに張り付けています。NHK 福井は、関西電力の原発再稼働やもんじゅトラブルのニュースを確認するためです。これも、多くは、NHK NEWS全体には流れず、検索しても出てきません。NHK 福井だけです。

 以下、NHK福島放送局のニュースから。 


第一原発排気筒の解体 再び中止

2019年8月7日  19:49

NHK 福島放送局

東京電力福島第一原子力発電所で、連日の猛暑の影響で中断していた高さ120メートルの排気筒を解体する作業が7日、6日ぶりに再開されました。
しかし、排気筒を切断する装置に不具合が見つかり、東京電力は7日の作業を中止しました。

事故で核燃料が溶け落ちた福島第一原発の1号機と2号機のすぐ脇にある高さ120メートルの排気筒について、東京電力は今月1日に解体作業を始めましたが、猛暑が続き、作業員の熱中症などが懸念されたことから中断していました。
その後、近くに休憩所を設けるなど対策が整ったとして、解体を再開することになり、7日午前9時すぎから、排気筒の上部に取り付けた装置で本体を切断する作業が始まりました。
しかし、想定よりも装置の刃の減りが早かったことから、昼すぎに新しい刃に取り替えたものの、今度は4つある刃の1つが動かなくなりました。
東京電力は原因の確認を進めましたが、時間がかかるとみられることから7日の作業は中止し、8日以降に延期することを決めました。
排気筒は、原発の構内で最も高い構造物で、事故の際、放射性物質を含む気体が放出され内部が汚染されているうえ、水素爆発などの影響で鉄骨にひびも見つかっていて、東京電力は半分ほどのおよそ60メートルの高さまで解体する計画です。

[解説]

 2019年8月1日、1/2号機排気筒解体工事を再開した時にも、開始30分で作業が中断しています。

排気筒解体作業開始も一時中断

2019年8月1日 14時23分   NHK 福島放送局

排気筒解体作業開始も一時中断

事故から8年4か月あまりがたった東京電力福島第一原子力発電所で、高さ120メートルある排気筒の解体作業が、1日から始まりました。
切断を始める前に、装置に異常があることが分かり、一時、作業が中断しました。

作業は、1日午前7時24分に解体装置のつり上げが始まり、午前8時ごろから電線などが通る細かい管などの切断を開始する予定でした。
しかし、つり上げを始めたおよそ30分後に、切断装置の動きに異常があることが分かり、解体作業を中断したということです。
作業は午後に入って再開されました。