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2019年1月

拝啓、福島民友新聞さま。拝啓、福島民報社さま。2018年12月27日第33回県民健康調査検討委員会の記事について。

 拝啓、福島民友新聞さま。拝啓、福島民報社さま。  2019年1月7日 内部被ばくを考える市民研究会 川根 眞也  (巻末に全文pdfをダウンロードできるアドレスがあります。A4カラー24ぺージ。)  2018年12月27日第33回県民健康調査検討委員会の記事について。貴社が書いた記事は、本当にがっかりさせられました。今でも「福島県の小児甲状腺がんは原発事故による放射線の影響ではない」という主張をそのまま報道するのでしょうか。「原発事故後の甲状腺の集団検診は意味がない」という世界保健機関(WHO)の国際がん研究機関(IRAC)の紹介をコメントなしで報道するのでしょうか。福島県民からは、「未だに、福島県の小児甲状腺がんが原発事故の放射線の影響ではない、という福島県民健康調査検討委員会や福島県立医大の主張を、福島民友、福島民報がそのまま報道する」とがっかり、いや、うんざりすると言った声が寄せられています。沖縄県での辺野古新基地建設問題では、琉球新報や沖縄タイムスが県民に寄り添った報道をしています。  今、まさに、地方新聞の真価が問われているのではないでしょうか。  福島県立医大や世界保健機関(WHO)の国際がん研究機関(IRAC)の主張を、貴社は批判的に検討しているのでしょうか。もはや、小児甲状腺がんが原発事故の放射能による影響であることは明白です。それどころか、これから爆発的に患者が増える、いや、現時点で増えていると思います。東京パラリンピック、オリンピック2020に向けて、福島県や国連は様々な悪知恵を働かせて、小児甲状腺がんの患者数を少なく見せようとしています。その1つが節目検査です。  福島民報さま。重大な事実誤認があります。節目検査は「25歳以降から」ではなく「20歳以降から」です。以下、資料をご確認下さい。3巡目検査から、20歳を超えた福島県民の甲状腺検査は5年置きになったのです。つまり、21~24歳はやらない、ということです。  しかし、1巡目検査による小児甲状腺がんの患者の平均年齢は14.9歳です。原発事故から昨年(2018)年度で7年経ちました。つまり、昨年(2018)年度は、このもっとも甲状腺がんを発症している世代は21.9歳になります。しかし、21~24歳は甲状腺がんの検査の対象外です。なぜなら、「節目検査」の名の下に、20歳の次は25歳だからです。東京パラリンピック、オリンピック2020が終わった2020年になって、初めてこの世代は次の検査を受けることになります。患者数隠しでなくて、何なのでしょうか? 図 先行検査で細胞診等で悪性ないし悪性疑いであった116人の年齢、性分布 2017年6月5日 平均年齢は14.9歳  県民健康調査検討委員会が開かれる度に、貴社、福島民友、福島民報の記事を読ませていただいています。もはや、朝日新聞も5.5cm×6cm,12行の記事。東京新聞がやや大きく7.5cm×12.5cm,37行の記事です。今回、読売新聞、毎日新聞はついに記事に書きませんでした。福島県の小児甲状腺がんの問題は、福島県内地域限定になっています。 25歳受診率 1割に満たず 福島の甲状腺検査 東京新聞 朝刊 2018年12月28日22面 朝日新聞 読売 毎日は記事を書かず  貴社、福島民友、福島民報のいまこそ出番ではないのでしょうか。県民健康調査検討委員会が始めた5年置きの「節目検査」を検証する必要があるのではないでしょうか。少なくとも、5年置きではなく20歳以降も2年置きに検査をやるよう、論陣を張るべきではないでしょうか。ちなみに、チェルノブイリ原発事故の深刻な被害を受けた、ベラルーシに川根は2013年訪問しましたが、原発事故から32年経ってもベラルーシではリスクグループとして、原発事故当時0~18歳は、毎年1回甲状腺超音波検診を受けるように、と政府が指示しています。原発事故から32年経ってもです。日本は原発事故から5年たった2016年(3巡目検査)から、2年置きを5置きにするという異常な措置。患者切り捨て、オリンピック優先の非人間的な政策と言わざると得ません。  福島民友さま。2018年12月27日記事の中で25歳時検診の記事があえて分断されていました。しかし、事実はこうです。「この25歳時の対象人数は2,005人。2,005人中2人が甲状腺がん。これは、10万人あたり99人の発症率に相当する、異常に高い発病率である。」25歳時対象人数2,005人と甲状腺がんの人数2人とを別々の文章にしたのは、まさか、10万人あたりの人数を計算しづらくするためではないでしょうね。  福島民報さま。2018年12月27日の記事で 「該当者2万2,653人のうち、今年9月末までに2,005人(8.9%)が受診、2人ががんの疑いと診断された。」 と書き、その後、18歳以降の受診率が「高校卒業後の進学や就職に伴う県外転出の影響で年齢が高いほど下がる」と書きながら、なぜ、この25歳時検診の10万人あたりの発症率99人/10万人を計算してみなかったのでしょうか?問題はこうです。「20歳以降の発症率はあまりに高い。18歳以降の検診を強化するべきではないのか?」と書くべきだったのではないでしょうか。   この小児甲状腺がんの発症の状況はまったなしです。対象人数は38万人。毎年10万人あたり99人も患者が出るということは、年間では99人×38万人/10万人=376人です。これが10年続けば、3760人の甲状腺がんの患者が出ることになります。これだけの人数を福島県内や他県で手術、その後の治療、検診が出来る体制が今、あるのでしょうか。東京の甲状腺の専門病院である、伊藤病院では大人の甲状腺がんの手術待ちが2013年の時点でも2年待ちでした。福島県内だけでなく、東日本全域に小児甲状腺がんの患者出ています。民間団体の「3.11甲状腺がん子ども基金」によれば、2018年3月末時点で福島県内85名、福島県外35名、合計120名の患者から給付金の申請が出て受理されています。  福島県で376名ならば、福島県外で155名の患者がいる推定になります。年間500名を超えます。もし、これが2018年の時点での発症数であるならば、多くの患者は検査されても手術を受けることができず、悪性のため転移していくのを耐えるしかなくなるのではないでしょうか。  「福島の小児甲状腺がんは原発事故による放射線の影響とは考えにくい」。この議論をしている事態ではないと思います。しかし、余りにもチェルノブイリ原発事故の被害に学ばない論調が多いので、あえて、いくつか指摘します。 <福島の小児甲状腺がんが原発事故の影響である論点> (1)もっとも発症率が高いのが、原発事故で避難指示が出された浜通り地域ではなく、8市村(8自治体とは川俣町、二本松市、本宮市、大玉村、田村市、郡山市、川内村、平田村)である理由=年間5ミリシーベルトを超える地域で避難指示を出すべきだったのに、出さず被ばくさせ続けたから。 図1 甲状腺がん標準化有病率の分布とFlexscanによる最も疑わしい地理的集積範囲。 第33回県民健康調査検討委員会 福島県甲状腺検査先行検査における甲状腺がん症例分布の空間解析 山下俊一ほか 2018年12月27日 より  浜通りの双葉町、大熊町、富岡町、楢葉町、浪江町、広野町、田村市(都路地区のみ)、南相馬市(原町区のみ)、川内村(上川内、下川内のみ)、葛尾村、川俣町(山木屋地区のみ)、飯舘村は避難指示があったため、2011年3月11日または12日、または4月21日または22日に避難指示がありました。この地区の住民は最低でも1年間高い放射能汚染地帯を離れました。しかし、8市村(8自治体とは川俣町、二本松市、本宮市、大玉村、田村市、郡山市、川内村、平田村)および8市村には入っていませんが、福島市、伊達市、相馬市などは年間5ミリシーベルトを超える被ばくをしています。なおかつ、この年間5ミリシーベルトとは、日本政府、文部科学省による意図的な過小な評価です。なぜならば、内部被ばくを無視した、外部被ばくのみの線量評価であるからです。以下は、フランス放射線防護・原子力安全(IRSN)が作成した、2011年4月29日時点での年間被ばく線量の推定です。文部科学省および米国エネルギー省(DOE)による航空機モニタリングの結果から、フランス放射線防護・原子力安全(IRSN)が作成しました。川根が福島県の市町村名を書き込み、フランス語を日本語訳にしたものです。 図 文部科学省によるセシウム134およびセシウム137の放射能汚染および被ばく線量(mSv) フランス放射線防護・原子力安全 2011年5月23日  山下俊一氏らの論文「福島県甲状腺検査先行検査における甲状腺がん症例分布の空間解析」で、福島県の小児甲状腺がんの発症率を「Flexscan法」を用いても、原発からの距離で有意な差はなかったとしていますが、これは2つの点で欠陥を持った研究です。 ア. 住民が避難したのか、避難せず原発事故直後の数年間その地域にとどまったのかを評価していない。 イ. 呼吸によるテルル132、ヨウ素131の摂取が決定的に重要になるのに、外部被ばく線量でしか評価していない。  ですから、8市村(川俣町、二本松市、本宮市、大玉村、田村市、郡山市、川内村、平田村)が有意に発症率が高かったのは、日本政府と福島県とが避難させなかったから、と考えるべきです。  (2)福島県の小児甲状腺がんの性別比は、チェルノブイリ原発事故後の甲状腺がんの性別比とそっくり。福島県立医大の発表とベラルーシの医師の報告による。  第5回放射線と健康についての福島国際専門家会議~チェルノブイリ30年の経験を福島に生かす~が、2016年9月26日(月)~27日(火)に福島市で開かれました。ここで重要な2つの報告が行われました。1人はベラルーシの内分泌、特に甲状腺がんの専門医である、ユーリ・デミチック医師。そして、福島県立医大の鈴木眞一氏です。2つの講演のスライドは現在でもダウンロードが可能です。  第5回放射線と健康についての福島国際専門家会議~チェルノブイリ30年の経験を福島に生かす~福島市 2016年9月26日(月)~27日(火) 「THYROID CANCER IN BELARUS Before and After the Chernobyl Nuclear Power Plant Accident ユーリ・デミチック 2016年9月」 「Childhood and adolescent thyroid cancer after the Fukushima NPP accident 鈴木眞一 2016年9月」  福島民報、福島民報の記者のみなさん。少なくともこうした海外の放射線専門家のスライドはぜひ、目を通していただきたいと思います。ここでユーリ・デミチック医師は、チェルノブイリ原発事故後の小児甲状腺がんの女性:男性の性別比を1.8 : 1と報告しています。第33回県民健康調査検討委員会の場で、「福島県立医科大学附属病院での手術症例について」では、福島県立医大で手術された小児甲状腺がんの男女比を1 : 1.8と報告しています。つまり、大人の甲状腺がんでは、圧倒的に女性の割合が高いのですが、原発事故後の小児甲状腺がんは男女の性別比の割合は2以下になる、ということを示しています。これは、福島県の小児甲状腺がんも原発の放射能によるものだ、と考えられないでしょうか?  資料 第33回県民健康調査検討委員会 福島県立医科大学附属病院での手術症例について 2018年12月27日 資料 被曝していない散発的な甲状腺がん患者とチェルノブイリ原発事故後の甲状腺がん患者 (3)福島県の小児甲状腺がんの発症年齢の分布は、チェルノブイリ原発事故後の甲状腺がんの発症年齢とそっくり。福島県立医大の鈴木眞一氏の発表とベラルーシの医師の報告による。  これは、以下の2016年の「第5回放射線と健康についての福島国際専門家会議~チェルノブイリ30年の経験を福島に生かす~」で福島県立医大の鈴木眞一氏が報告したスライドの中の1枚です。このグラフを読めば、2011年~2013年の福島県の小児甲状腺がんの発症年齢の分布が、チェルノブイリ原発事故後の「潜在期」(原発事故当年から3年間)の小児甲状腺がんの発症年齢の分布と一致することが分かります。鈴木眞一氏は講演では言葉にはしなかったかもしれませんが、これは明らかにチェルノブイリ原発事故と同じことが現在起きています。 資料 チェルノブイリ原発事故後のウクライナにおける小児甲状腺がんと福島第一原発事故後の福島県における小児甲状腺がんの患者の年齢分布 鈴木眞一 2016年9月  そして、パンデミックとも言える小児甲状腺がんの発症が起きるのはチェルノブイリ原発事故では6~9年後(14歳以下)や14~16年後(15歳~19歳)です。これは2016年の「第5回放射線と健康についての福島国際専門家会議~チェルノブイリ30年の経験を福島に生かす~」でベラルーシのユーリ・デミチック医師が報告したスライドの中の2枚です。 図 ベラルーシの各地域における子ども(15歳以下)の甲状腺がんの発症率(10万人あたり)の推移:地理的要因1970年から2014年 ユーリ・デミチック医師 2016年9月 図 ベラルーシの各地域における青年期(15ー19歳)の甲状腺がんの発症率(10万人あたり)の推移:地理的要因1970年から2014年 ユーリ・デミチック医師 2016年9月  ベラルーシのユーリ・デミチック医師は東電福島第一原発事故以降、毎年のように福島県立医大や山下俊一氏らに招かれ、福島県で講演をしていました。2017年3月突然、心筋梗塞で亡くなりましたが、チェルノブイリ原発事故の教訓を日本に伝えようと努力していました。日本政府、福島県、福島県立医大はユーリ・デミチック医師の貴重な資料を無視し続けてきました。その結果が現在である、と思います。  子どもの甲状腺がんは悪性で進行が早く転移するケースが非常に多いです。甲状腺がんだけでなく、放射性物質誘発がんであるために、同時多発的に別のがんを発症する可能性もあります。2016年のユーリ・デミチック医師の報告には、ベラルーシで小児甲状腺がんの患者で亡くなった26人の死因の分析もありました。7名が自殺です。甲状腺がんにかかった子どもたちの精神的なサポートは絶対的に必要なことは言うまでもありません。しかし、一方で、白血病、心不全、脳梗塞、胃がん、肺線維症、肝硬変、粘液水腫でも亡くなっています。つまり、甲状腺がんに罹った子どもたちは、別のがんのリスクも同時にかかえていて、放置すれば死の危険もある、ということです。恐らく、このユーリ・デミチック医師の2016年の講演は、日本における最後の講演になったのではないか、と思います。彼が日本の人々へ残した教訓を生かして、私たちは前で進まなければならないのではないでしょうか。「原発事故で小児甲状腺がんは起きない」などという、世界保健機関(WHO)などの言う言葉に耳を傾ける時間は私たちにはもうありません。 図 甲状腺がん患者で死亡した26人の死亡原因 ユーリ・デミチック医師 2016年9月  福島民友、福島民報 2018年12月27日記事全文 先行検査 甲状腺がん「地域差乏しい」 県検討委 福島医大、論文示す 2018年12月28日 福島民友 2面 <リード>  原発事故後、県内全ての子どもを対象とした甲状腺検査を巡り、福島医大は27日、1巡目検査で見つかった甲状腺がんの有病率を地域別に分析した結果、有病率の分布に地域差は乏しいとする論文を示した。 <本文>  同日、福島市で開かれた原発事故の健康調査を調べる県の「県民健康調査」検討委員会で説明した。1巡目検査は2011~13年に行われ、がんやがんの疑いは計116人(手術で良性と確認された1人を含む)に上る。検査は現在4巡目が行われており、論文では「今後は本格検査による結果を踏まえ、検討することが望まれる」としている。  福島医大は、対象者を複数のグループに分け、特殊な計算方法を用いて有病率を比較。国内外の先行研究を参考に東京電力福島第一原発からの距離や推定外部被ばく線量(※編集者注 やはり、内部被ばく無視ですか?)、人口密度などの地理的要因を考慮した。  この結果、最も有病率の高い地域は県中心部付近の8自治体を合わせた範囲だった(※編集者注 8自治体とは川俣町、二本松市、本宮市、大玉村、田村市、郡山市、川内村、平田村。原発30km圏内の自治体。すべて部分的な避難指示しかなく、多くの住民が原発事故後も居住し続けた自治体。)が、統計的に優位な関連性は認められず、福島県立医大は「先行検査(1巡目検査)による県内の甲状腺がん有病率に地域差は乏しく、その分布が放射線被ばく線量を含む地理的要因を反映しているとは考えにくい」と結論付けた。 3巡目検査、がん13人に  福島医大は県民健康調査検討委員会で、甲状腺検査の9月末時点の結果を公表した。2016(平成28)年度から始まった3巡目の検査では、前回報告(6月末時点)から新たに2人ががんと確定、1人ががんの疑いと診断された。3巡目検査のがん確定は13人、がん疑いは5人となった。  県と福島医大は、11~13年度に1巡目、14~15年度に2巡目、16~17年度に3巡目、本年度から4巡目の検査を実施。4巡目検査では、2次検査対象者151人のうち39人が受診、このうち7人が検査を終了したが、結果はまとまっていない。  また、福島県立医大は、昨年度から実施した1992年度に生まれた25歳時の県民を対象にした甲状腺検査の結果も始めて発表した。2次検査対象者は88人で67人が受診し、58人の検査が終了。2人ががんまたはがんの疑いと診断された。(※編集者注 文章が分断されているが、この25歳時の対象人数は2,005人。2,005人中2人が甲状腺がんとは、10万人あたり99人の発症率に相当する、異常に高い発病率である。)1~4巡目と25歳時の検査を合わせると、がん確定は166人(手術で良性と確認された1人を除く)、がん疑いは40人。  検討委では、25歳時の検診の受診者が2,005人で対象者(2万2,653人)の8.9%にとどまることについての議論があった。25歳時の検査は30歳時の検査と併せ、長期的に甲状腺の状況を把握する狙いがある。星北斗座長は検討委終了後の記者会見で「始まったばかりでまだまだ認知されていない。受診を希望する人がアクセスできるように取り組む」と語った。 「検査推奨しない」専門家グループ  27日の検討委員会では、世界保健委員会(WHO)の専門機関「国際がん研究機関(IARC)」の専門家グループが、将来起こり得る原発事故に際し、集団的な甲状腺検査を推奨しないとする提言をまとめたことが報告された(※編集者注 つまり、小児甲状腺がんを調べるな!ということ。原発が新設できなくなり、再稼働しづらくなるから)。必ずしも治療の必要のないがんを見つける「過剰診断」などを理由に挙げ、県内で実施されている甲状腺検査についての提言ではないと前置きしている。  検討委の星北斗座長(県医師会副会長)は「1つの参考とする。ただ、多くの県民が甲状腺検査を希望している状況もあり、(今後の検査の在り方が)1つの提言で決まるものではない」としている。  専門家グループは、甲状腺検査を推奨しないとした上で、被ばく線量が100~500ミリシーベルト以上の個人には長期の甲状腺モニタリングの提供を検討するように提言した。ただ「被ばくレベルを下回る個人には何もするべきではない、ということを意味するわけではない。潜在的な不利益があったとしても、甲状腺がんについて不安を抱く低リスクの個人の中には、安心を求めて甲状腺検査を受ける人もいる」と指摘。潜在的な利益と不利益について詳細な説明を受けた上で、整備された枠組みの中で甲状腺検査の機会を与えられるべきだとした(※編集者注 つまり、チェルノブイリ原発事故で国際原子力機関IAEAも小児甲状腺がんは原発事故による放射線の影響と認めたことすら、この専門家グループは否定している、ということ)。  県民健康調査甲状腺検査 25歳の受診率8.9% 県外転出などの影響、鮮明に 2018年12月27日 福島民報 2面 <リード>  東京電力福島第一原発事故の健康影響を調べる県民健康調査の甲状腺検査で、節目の25歳を迎えた対象者の検査の受診率が8.9%にとどまっている。27日、福島市の福島グリーンパレスで開かれた県民健康調査検討委員会で報告された。 <本文>  甲状腺検査は原発事故当時18歳以下だった県内の子ども約38万人を対象に2011(平成23)年度に始まり、2014年度から2巡目、2016年度から3巡目、今年5月から4巡目に入った。25歳になると、その後は5年ごとに検査を受ける(編集者注 これは福島民報の間違い。節目検査とは20歳超えてから。3巡目の2016年度の時点で20歳なった世代は、21,22,23,24歳は受けず25歳に検査を受ける。つまり、「20歳を超えるとその後は5年ごとに検査を受ける」が正しい。)。  今回、状況が示された25歳時検査は2017年度に25歳を迎えた1992年度生まれが対象。該当者2万2,653人のうち、今年9月末までに2,005人(8.9%)が受診、2人ががんの疑いと診断された。  検査の受診率(3巡目)は7歳以下74.0%、8~12歳90.2%、13~17歳82.2%と高校生以下で高いが、18~24歳では16.4%に急落する。高校卒業後の進学や就職に伴う県外転出の影響で年齢が高いほど下がる傾向にある。25歳時検査の受診率ではその流れがさらに鮮明になった。  25歳時検査を受診できなかった人は30歳時検査の前年まで受診できる。検討委の星北斗座長は終了後の記者会見で受診率について「高低を評価するには時間的・数値的データが不十分だが、受けたいのに受けられないという人は少なくしたい」と述べた。 内部被ばく検査会場を各方部に 受診者減少で設置へ  検討委員会では事故直後から県が行っているホールボディーカウンター(WBC)による内部被ばく検査の状況も示された。県は受検者減少を踏まえ、従来の巡回中心から、検査会場を各方部に置く方法に移行する方針。  検査は2011年6月に開始。同年12月からは市町村の希望に応じ、WBCを搭載した車で学校などを巡ってきた。今年3月末までの受検者33万753人のうち、33万727人は預託実効線量1ミリシーベルト未満だった。2012年度以降、1ミリシーベルトを超えた例はない。受検者は2012年度の約9万人から年々減り、昨年度は約9,000人だった。県はこうした現状を踏まえ、WBC車が停車する検査会場を各方部に設けて希望者に来てもらう体制とする。常駐検査を行っている県北、会津、相双、いわきに加え、来年1月1日から県南(白河)で常駐検査を始める。 <将来の原発事故発生時 「集団的な検査すべきではない」 WHO専門家>  世界保健機関(WHO)関連組織・国際がん研究機構(IRAC)の国際専門家グループは将来的に原発事故が起きた際、周辺地域などの全住民を対象とする集団的な甲状腺検査をするべきではないとの提言をまとめた。環境省の担当者が検討委員会で報告した。  提言は、本県の甲状腺検査を対象としてはいないとした上で、甲状腺がんは無症状の人が多く存在し、集団的検査は手術の必要のないがんまで検出される「過剰診断」など副次的問題が多いと指摘。全住民対象の大規模調査は行わず、一定の被ばく線量がある人に限り検査を受けるべきか選ばせるべきとした。  星座長は「科学的観点から甲状腺検査を推奨しないと読める」との認識を示した上で「提言は1つの参考だが、検査をどうするかは社会的な背景や検査を望む県民の声を踏まえ総合的に判断する」と述べた。 甲状腺がん「地域差乏しい」 県検討委 福島医大、論文示す 先行検査 福島民友 2018年12月28日2面 その1 その2 25歳の受信率8.9% 県外転出などの影響、鮮明に 県民健康調査甲状腺検査 福島民報 2018年12月28日2面 その1 その2 敬具 内部被ばくを考える市民研究会 川根眞也  <全文、資料pdfのダウンロードはこちらから> 拝啓、福島民友新聞さま。拝啓、福島民報社さま。2018年12月27日第33回県民健康調査検討委員会の記事について。 2019年1月7日 pdf            

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