2012年当時から、東電 福島第一原発では、原発汚染水タンクが不足していました。早急に汚染水タンクを増設する必要に迫られていた耐め、東電 福島第一の敷地内にあった「野鳥の森」の木をすべて伐採し、汚染水タンクを増設しました。

1号機(2011年3月12日爆発)、2号機(2011年3年15日爆発音)、3号機(2011年3月14日爆発、使用済み核燃料プールでの核爆発の疑い、3月20日圧力容器、格納容器破壊)、4号機(2011年3月15日爆発)の原子炉内の死の灰および核燃料物質が降り注いだ、森の木です。

  この伐採木が原発事故6年間放置されてきました。総量は約7万8千⽴⽅メートルに上ります。東電は、この伐採木を焼却して、容量を10分の1に減らす計画を立てています。

 雑固体廃棄物焼却設備の対応状況について 東京電力 2017年6月29日

 チェルノブイリ原発事故の際に、松の森林に大量の死の灰が降り注ぎ、松が赤く枯れました。「レッド・フォレスト」と呼ばれます。付近の住民はこの「レッド・フォレスト」で森林火災が起きるたびに、放射性物質が飛散するというので、避難します。日本では、逆にこうした放射能汚染された木を燃やす、という愚かなことを原子力産業がやろうとしています。

 2017年7月13日、日本ガイシが東京電力からこの焼却施設「増設雑固体焼却施設」を受注したことを発表しています。

東京電力福島第一原子力発電所向け「増設雑固体廃棄物焼却設備」を受注

2017年7月13日
日本ガイシ株式会社

 日本ガイシ株式会社(社長:大島卓、本社:名古屋市)は、東京電力ホールディングス株式会社(本社:東京都千代田区)から東京電力福島第一原子力発電所内に設置される世界最大級の処理能力をもつ「増設雑固体廃棄物焼却設備」を受注しました。

 今回受注した増設雑固体廃棄物焼却設備は、福島第一原子力発電所構内で復旧作業に伴い発生した伐採木と、がれき類のうち紙やプラスチックなどの可燃性低レベル放射性廃棄物を焼却し、減容する設備です。2020年度の竣工を予定しています。

 納入する焼却設備は、廃棄物を連続的に投入、処理できる回転式の炉(ロータリーキルン炉)の焼却灰排出部に、可動式の火格子を階段状に配置した燃焼装置(ストーカ装置)を組み合わせたキルンストーカ式焼却炉です。処理能力は、放射性廃棄物焼却炉として世界最大級の約95トン/日にのぼります。ストーカ装置の導入により燃焼効率が向上し、伐採木など燃焼に時間のかかる可燃性廃棄物も完全に焼却し全て焼却灰にすることで数十分の一以下の体積に減容することが可能なため、廃棄物の貯蔵保管量の大幅な削減につながります。また、ロータリーキルン炉は放射性物質の漏れを防ぐために密閉シール構造を採用し、かつ装置全体を負圧に保ち放射性廃棄物を安全に処理します。

 当社は焼却炉をはじめ、溶融炉や除染装置など、放射性廃棄物を効率よく減容・安定化するさまざまな処理設備を提供しています。独自の焼却技術や高性能フィルターを使った排ガス除じん技術を生かし、原子力施設で発生する可燃性の低レベル放射性廃棄物を安全に焼却処理する設備を、国内の全ての原子力発電所と複数の研究施設に計28基納入しており、放射性廃棄物の減容に大きく貢献している実績と高い技術力や信頼性が評価され、受注に至りました。

 当社は低レベル放射性廃棄物処理装置のトップメーカーとして、原子炉を解体する廃炉作業に伴い発生するさまざまな廃棄物も含め、今後も放射性廃棄物の安全な処理や減容、安定化に貢献していきます。

                         以上

 世界、最大級の放射性物質焼却施設、と日本ガイシは謳っています。1945年広島、長崎の原発投下を受け、さらに、2011年東電 福島第一原発事故による放射能で東日本一帯が放射能汚染地帯になりました。そして、2020年から「レッドフォレスト」並みの伐採木を焼却処分する、日本。こんなでたらめな放射性物質管理をする日本は、世界の核のゴミ捨て場として、世界的に注目されるのではないでしょうか。

 東京電力の資料によれば、この伐採木の枝葉には以下の放射性物質がついています。その枝の放射線量は、0.2ミリシーベルト/時、つまり200マイクロシーベルト/時もの線量です。これを燃やすなど、狂気の沙汰です。たとえ、どんなにわずかにしか放出されなくても、その放射性粒子の集合体の大きさはマイクロメートルのレベルとなり、人間の肺の奥、肺胞まで到達する大きさ1マイクロメートル以下、になるからです。肺がんやさまざまながんを引き起こす危険性のある粒子です。

 その200マイクロシーベルト/時も線量の伐採木についている、核種(放射性物質)とは上の東京電力の資料にあるように、

 マンガン54 3,400Bq/kg

 コバルト58      16Bq/kg

 コバルト60     9,600Bq/kg

 ストロンチウム89    130Bq/kg

 ストロンチウム90  840,000Bq/kg

 ルテニウム103       0.12Bq/kg

 ルテニウム106     32,000Bq/kg

 アンチモン124       17Bq/kg

 アンチモン125     30,000Bq/kg

 ヨウ素131          0.00000000000000000000032Bq/kg

 セシウム134      290,000Bq/kg

 セシウム136         0.0000000000021Bq/kg

 セシウム137      790,000Bq/kg

 バリウム140         0.0000000000012Bq/kg 

 アルファ線核種         22Bq/kg

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 合計         2,000,000Bq/kg

 この資料に記載されている、アルファ線核種 22ベクレル/kgとは、ウラン、プルトニウム239、240、241、キュリウムなどです。このようなアルファ線核種がついている伐採木を燃やすべきではありません。再飛散の危険性があります。

 2017年11月22日、川根が、直接原子力規制委員会に電話して確認したところ、コールセンターの酒匂さんが対応して、答えてくれました。2017年4月11日にこの「増設雑固体焼却施設」の設置に関する審査が始まり、8月22日、11月9日と審査は行われたが、また、許可の結論は出ていない。今後の審査の日程も未定である、と。

 今ならば、止められます。このような、恥ずべき、愚かな施設は作るべきではありません。この施設を稼動させれば、日本は世界からの笑いものになるだけではなく、世界中の核のゴミ捨て場に第一候補となるでしょう。日本だけでも、相当な核のゴミが現時点でも存在し、東電 福島第一原発は東日本一帯を汚染しました。これ以上の汚染を引き受けることはできません。土ととも細菌によって、静かに固定されるのを待つのみです。

 「増設雑固体焼却施設」の設置に反対します。