[初稿]2017年10月9日
[加筆修正]2018年6月6日
またしても、原子炉製造メーカーが、でたらめな製品を作っていました。神戸製綱です。神戸製綱製は原子炉をも作ってい会社です。神戸製鋼製の原子炉がどの原発に使われているのか、原子力規制委員会は、ただちに調べ、明らかにするべきです。重要な箇所に使われているならば、日本鋳鍛鋼の欠陥 蒸気発生器のときのフランスのように、原発を止めて調べるべきです。
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神戸製鋼、アルミ・銅製品で性能データ改ざん 約200社に出荷
Results 2017年10/9(月) 9:51配信

[東京 8日 ロイター] – 神戸製鋼所<5406.T>は8日、自動車や航空機などに使われているアルミや銅の製品の一部について、強度などを示す検査証明書のデータを書き換え、顧客と契約した製品仕様に適合しているように見せかけ出荷していた不正が判明したと発表した。
データが改ざんされていたのは、2016年9月から17年8月末までに神戸製鋼が出荷したアルミ製品や銅製品など。広報担当者によると、同社がこの期間に出荷したアルミ・銅製品の4%に相当し、出荷先は約200社に上る。共同通信によれば、不正は組織的に約10年前から行われていたという。
神戸製鋼は事態を重く見て、川崎博也会長兼社長を委員長とする品質問題調査委員会を設置。外部の弁護士ら第三者にも依頼し、事実関係の調査を進めている。
これまでの調査では、データが改ざんされた製品の安全性に疑いが生じるような具体的な問題は確認されていない。今回の問題による同社の業績への影響は現時点で不明としている。
(佐野日出之、白木真紀)
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神戸製綱は原子炉を作っている会社
世界最大級の13,000トンの大型水圧プレスと独自開発の特殊鍛造技術
世界最大級の13,000トンの大型水圧プレスを利用して、独自に開発した特殊鍛造技術を駆使し、原子炉容器用部材をはじめ蒸気発生器用コニカルパーツ、チューブ・シートなどを製造しています。また、最新の取鍋精錬技術を組み合わせた製鋼技術と厳しい品質管理のもとに、優れた靭性や内部品質をもつ鍛造品を製造しています。

コニカルパーツ
(左:鍛造後、右:仕上げ加工後)
蒸気発生器の上部胴と下部胴を接続するリング状鍛造部材

チューブシート
蒸気発生器の伝熱細管が
溶接固定される円板状鍛造部材

クロージャーヘッド
原子炉圧力容器の一体化鍛造上蓋
世界でも有数のジルカロイ被覆管メーカー
我が国で燃料被覆管を国産化する初期段階から国のプロジェクトに参画し、特殊金属加工の技術を活かした軽水炉用ジルカロイ被覆管の生産では、世界でも有数のメーカーに数えられています。燃料集合体用チャンネルを独自の製造技術によって国産化することにも成功しました。
また、従来のステンレス鋼よりも高温強度と中性子照射に伴う耐脆性に優れ、次世代軽水炉や将来の高速増殖炉(FBR)用燃料被覆管の候補材料とされている酸化物分散強化型鋼(ODS鋼)と呼ばれる新材料についても開発を進めています。
機械事業部門 機器本部

軽水炉用ジルカロイ被覆管

燃料集合体用チャンネル
BWR炉心に装着するジルカロイ製角管
総合素材メーカーとしての幅広い材料提供
総合素材メーカーとしての幅広い技術力と、機械メーカーとしての豊富な製造経験を活かし、原子炉炉心や周辺機器用に様々な材料を提供しています。
ステンレス鋼管分野では、卓越した継目無押出技術を利用した制御棒駆動用ステンレス鋼管に加え、給水加熱器用ステンレス鋼管では当社蓄積のパイプ製造技術を発展させた独自の細管製造法が活用されています。
一方、チタン分野では、チタン溶解から最終製品まで手がける我が国唯一の総合チタンメーカーとして、一貫した製造工程と品質管理のもと、蒸気タービンブレード材や原子力発電所で使用されるチタン製冷却管を提供しています。
さらに、長年培ってきた鍛造技術をもとにした原子炉・炉内構造物や冷却水循環用ポンプ部品、耐食性と伝熱効率に優れた各種熱交換器伝熱管用のフェロコチューブに加え、各種の原子炉機器に使用される厚鋼板、溶接材料の製造を行っています。
神戸製鋼の溶接事業
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2016年に、原子炉メーカー、日本鋳鍛鋼が作ってた蒸気発生器、圧力容器が強度不足で、フランスは調査のため、原発を止めて点検している。
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国内8カ所13基調査へ 圧力容器に強度不足の疑い
毎日新聞 2016年9月2日 21時18分(最終更新 9月2日 23時41分)
電力6社は2日、フランスの原発で強度不足の疑いがある原子炉圧力容器などの重要設備を製造したメーカーが、稼働中の九州電力川内(せんだい)原発1、2号機(鹿児島県)を含む国内8原発13基の圧力容器を製造していたと原子力規制委員会に報告した。
電力各社によると、問題のメーカーが製造していたのは、ほかに東
京電力福島第2原発2、4号機(福島県)▽北陸電力志賀1号機(石川県)▽関西電力高浜2号機(福井県)、大飯1、2号機(同)▽日本原子力発電敦賀2号機(同)▽四国電力伊方2号機(愛媛県)▽九電玄海2、3、4号機(佐賀県)−−の原子炉圧力容器。6社は10月末までに強度に問題がないかなどをそれぞれ調査し、規制委に報告する。
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国内原発重要設備 「強度不足はない」 東電など電力10社
東京新聞 2016.11.01 3面 3頁 朝刊
大型鋳鋼品メーカー「日本鋳鍛鋼」(北九州市)が製造したフランスの原発の重要設備で強度不足が指摘された問題で、東京電力や関西電力など原発を持つ十社は三十一日、自社の原発の重要設備に「強度不足の可能性がないことを確認した」と原子力規制委員会に報告した。
規制委は、各社の報告が妥当かどうか、十一月中に判断する。
各社は、フランスで問題になったのと同じ「鍛造」という製法による重要設備の部品について、製造時の記録などを調べ、強度不足の可能性がないか調査。材料となる鋼の塊から強度不足につながる炭素濃度の高い部分を切り落としているほか、炭素濃度を分析し、基準値を超えていないことを確認しているなどとして、強度不足の可能性はないと報告した。
報告によると、関電高浜2号機(福井県)や九州電力玄海2~4号機(佐賀県)など七原発十一基と、廃炉となった関電美浜2号機(福井県)と玄海1号機で、日本鋳鍛鋼が鍛造で原子炉圧力容器の上ぶたを製造していたが、問題は確認されなかった。
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こちら特報部 「強度不足」 揺れる仏原発(上)
東京新聞 2016.11.17 特報1面 26頁 朝刊
フランスではこの冬、十二基の原発が順次停止を迫られる異例の事態となっている。いずれも重要設備の強度不足が発覚し、仏当局が点検を指示したためだ。トラブルの渦中にあるのは、日本の大型鋳造品メーカー「日本鋳鍛鋼」(北九州市)が製造した部品。国内の電力各社は自社原発に問題はないとするが、フランス並みの検査を求める声も強い。欧州発の「原発危機」はどこまで広がるのか。(白名正和、橋本誠)
日本製 問題部品
全58基のうち12基点検
前代未聞の運転停止
「フランスの原子力政策の歴史において最大の危機だ」
欧州の原発政策に詳しい環境保護団体「グリーンピース・ドイツ」のショーン・バーニー氏がこう切り出した。全電力の約75%を原発に頼るフランスの商業用原発は五十八基あり、いずれもフランス電力(EDF)が所有する。「十八基で強度不足の可能性が指摘され、うち十二基で日本メーカーの部品が使われている。このスキャンダルは各国にも飛び火しつつある」
実際、英字業界誌「パワー」(電子版)は十一月一日付の記事で、検査のために停止する原発は二十基になり「五十八基の半分以上が影響を受けるだろう」との見方を示している。
フランスを混乱に陥れている強度不足問題は二〇一四年、建設中のフラマンビル原発3号機で発覚したのが発端だ。同国の鍛造メーカー「クルゾ・フォルジュ」社製の鋼材に強度不足がある可能性が浮上したことから、仏の原子力安全局(ASN)が調査を指示。今年六月、EDFの報告を受けて「ほかの十八基の原発でも同様の異常が含まれている恐れがある」と発表した。
ASNはさらに十月、このうち日本鋳鍛鋼の製品を使う十二基について「特に高い(不純物)濃度」であり、原子炉を停止し検査する必要があると発表。現在、点検のため順次停止されている。
バーニー氏は「EDFの株価は下がり、(電力不安から)欧州の電力卸売価格は値上がりを続けている。EDFにとっては金銭的に大惨事だ」と指摘する。
上智大客員教授で一般社団法人「環境金融研究機構」の藤井良広代表理事も、フランスの原発政策が「異常事態に陥っていると言える」とみる。「(卸売価格の値上がりが)すぐに消費者の電力価格に転嫁されることはないだろうが、足りない電力を購入しなければならないEDFの経営は影響を免れない。電気購入コストがかかり収益が悪化すると市場はみている」
パリ出身で共立女子大のジャニック・マーニュ教授も「原発がこれほど一気に止まるのは、これまでにはなかったことだ」と説明する。「フランスは東京よりも寒く、(電力不足で)冬を越せるかどうか不安がる市民も出ている。やっぱり原発はダメじゃないか、という声も出ている」と話している。
フランス当局から報告を受け、日本の原子力規制委員会も九月、電力各社に自社原発の調査を指示した。同じ製法でつくられた圧力容器などの部品は、日本鋳鍛鋼製だけで八原発十三基で使われているが、電力各社は先月三十一日、「強度不足の可能性はない」と規制委に報告。規制委は今月中に電力会社の報告が妥当かを判断するとしている。
こちら特報部 「強度不足」 揺れる仏原発(下) 日本は本当に大丈夫なのか 稼働 止めて調査を 電力会社「問題ない」…致命傷になる重要設備 メーカー「仏が法改正」
東京新聞 2016.11.17 特報2面 27頁 朝刊
「日本鋳鍛鋼」によると、フランスで強度不足の疑いが指摘されたのは一九九〇~九七年に発注を受けた原発の蒸気発生器の部品。鋼鉄の塊をたたいてのばす「鍛造」で造られており、含まれている炭素がフランスの基準値の「0・22%以下」を超えていると指摘された。
同社の広報担当者は「強度不足が発生したわけではなく、強度不足の懸念がある炭素の偏りが確認された」と断ったうえで、二〇一〇年のフランスの法改正の影響を説明。「炭素が多くなる部分を切り捨てることで、製造時に検査した部分では基準を下回っていたが、法令が変わって別の部分の検査が必要になり、そこでは基準を上回った。現在フランスのメーカーの調査に協力している」としている。
同社は日本国内でも、原発の圧力容器の上ぶたなどを製造。こちらも鍛造製品だが、原子力規制委員会が電力各社に求めた調査の中で、炭素濃度が日本の基準値の「0・25%以下」を超えるものはないと報告した。「日本ではメーカーの要求で、多くの箇所を調査している」とフランスのケースとの違いを強調している。
炭素濃度が高いと、何が起きるのか。井野博満・東京大名誉教授(金属材料学)は「炭素が多いと硬くなる半面、粘り強さがなくなり、もろくなる。引っ張る力には強いが、傷があると、割れる方向に進む」と説明する。
元原子力プラント設計技術者の後藤政志氏も、鋼鉄が脆弱(ぜいじゃく)になる現象を懸念する。「原子炉は中性子で時間とともに劣化するが、炭素でも同じようなことが起こり得る。高温では破壊は起きにくいが、事故で冷却水を入れて急激に温度が下がると、一瞬で圧力容器や蒸気発生器が割れる可能性がある」
同社はフランスの法改正を理由としているが、原子力資料情報室の松久保肇研究員は「原子炉の基準は年々厳しくなっている。日本でも新しい規制基準で確認しており、新しい知見に合わせて変わっていかなくてはならない。それは企業のリスクを減らすことにもつながる」と指摘。フランスは原発依存率を現在の75%から50%に下げて維持する方針だが、「老朽化が進んでおり、とくに大型の原子炉は見通しが立たない。単一エネルギーに頼ることの影響が注目され、自然エネルギーなど分散型のエネルギーにシフトしていく可能性もある」とみる。
問題は国内の原発にも飛び火しているが、原子力規制委が電力会社に指示している調査は、製造時などのデータの提供にとどまる。十六日の定例記者会見でも、フランスで行われているような破壊検査や非破壊検査を求める声が出たが、田中俊一委員長は「必要が無いことまでやれないし、稼働している原発の検査は簡単ではない」と否定的だった。
井野氏は「国内の原発には鍛造のほかにも鋳造や鋼板の製品も併存しているが、炭素濃度の具体的なデータが示されていない。調査の難易によって、安全性の検査が左右されるのもおかしい。フランスのように非破壊検査をし、廃炉になっている原発でも検査すれば傍証になる」と訴える。
後藤氏は、原発部品の規制に対する意識の緩さに危機感を抱く。
「どこかの配管とは違い、圧力容器や蒸気発生器は事故があれば致命傷になる。それほど重要な材料について、検査する部分で基準を満たせば良いという考え方は甘い。はっきりしなければ稼働中の原発も止め、徹底的に調べるべきだ」
デスクメモ
2016・11・17
十六日に運転延長が認められた関電美浜原発3号機は、二〇〇四年に十一人が死傷する「国内原発史上最悪」の事故を起こした。老朽原発を扱う難しさを知ったはずではなかったか。「失敗」に学ばない国に危険な道具を持つ資格はない。これ以上「最悪」を上塗りされても困る。(洋)
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神鋼リスク、日銀に移転? 社債買い取りか
日本経済新聞 2017/10/19 13:48
神戸製鋼所の検査データ改ざん問題が日銀に飛び火している。日銀は19日、市場からの社債買い入れで神鋼の社債も買い取ったようだ。財務面の不安が強まった企業の社債を買い取るか、投資家の関心が高まっていたが、日銀は対象要件に反しないと判断した。
日銀は金融緩和の一環として約3兆2000億円の社債保有残高を維持している。社債は株式とは異なり、満期がくれば償還される。保有残高を維持するため、日銀は月に1回程度、投資家から社債を買い入れている。「社債買い入れオペ(公開市場操作)」と呼ぶ政策だ。
神戸製鋼のデータ改ざんが明らかになって以降、日銀が社債買い入れオペを実施するのは初めて。過去、「不祥事を起こした企業は買い取り対象から外したことがあった」(日系資産運用会社)。日銀は買い取り銘柄の条件は提示しているものの、実際は柔軟に買い取り対象を変えているためブラックボックスともいわれる。そのため投資家は神鋼の社債買い取りに気をもんだが夕方明らかになった買い取り結果から、市場では「300億円程度、買い取ったようだ」(大手生保)との声が出た。
今回の社債買い入れオペの買い取りレートからも、日銀が神鋼の社債を買い取った様子が映る。19日の社債買い入れオペは平均落札レートが0.155%。前回9月の買い入れ時は0.035%で、落札レートは跳ね上がっている。神鋼の社債はデータ改ざん問題の発覚後に流通市場で売りが強まり、価格が大きく下落。利回りは大きく上昇していた。日銀の買い入れオペでは、こうして利回りが大きく上昇していた神鋼の社債が持ち込まれ、平均落札レートを押し上げたとみられる。
日銀は難しい立場だ。財務悪化の懸念が強まった企業の社債を日銀が買い取ると、投資家は「日銀に買い取ってもらえる」と見越して流通市場で神鋼の社債を取引する事態が起きかねない。今回もそうした事前の売買があったとの指摘があり、前日に価格が大きく上がった神鋼の社債銘柄がある。
一方、日銀が神鋼の社債を買い入れ対象外にすれば、投資家はリスクが高まったと捉えかねない。ただでさえ神鋼の社債は流通市場で売りが優勢になっており、企業の信用力を映すクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)も保険料に当たる保証料率が上昇している。
神鋼の社債は現在、約1700億円超が流通している。このうち、残存期間1~3年といった日銀の買い取り条件を満たすのは400億円超のようだ。今回の買い取り額が300億円なら、次回11月の社債買い入れオペにも持ち込まれる可能性がある。「残存期間が合わないため応札できないが、合えば入れたい」(大手生保)
日銀の社債買い入れオペは金融緩和策のなかで非伝統的金融政策に位置付けられる世界的にも珍しい施策だ。本来の目的はリスク性のある資産を買い入れて、結果的に消費などを促し物価上昇率を高めること。この枠組みのなかで、日銀は今後も難しい判断を迫られる。