伊方原発の再稼働を行わないことを求める意見書

発議第 1 号
平成24年9月14日

梼原町議会議長 市 川 岩 亀 殿
提出者 梼原町議会議員  中 岡 俊 輔

賛成者 梼原町議会議員  高 橋 基 文

〃     〃     下 元 秀 俊

〃     〃     長 山 和 幸

〃     〃     二 宮 近 雄

〃     〃     西 川 慶 男

〃     〃     土 釜  清

伊方原発の再稼働を行わないことを求める意見

「人の命は山よりも高く海よりも深い、さらに地球よりも重い」という言葉がある。この言葉の意味は、命というものはとてつもなく大きく、なにものにも比べようがないという意味である。
私たち国民は、この言葉を深く心に刻み、命の尊さを忘れてはならない。
今回、意見書を提出するにあたり、前文として当議会が全会一致をもって採択した。

東日本大震災による福島第一原発事故が発生してから1年6カ月がたったが、福島県及び隣接県では大量に放出された放射性物質によって生命への脅威、子ども達をはじめ住民の健康への不安を感じながらの生活を強いられている。また、1次産業をはじめ事業活動ができない多くの方々も過酷な状況に置かれている。進まない除染、賠償問題、帰還困難、地域再生の見通しも立たず、被災地では今なお過酷な避難生活を余儀なくされている。

福島第一原発事故の原因究明も尽くされたとは言えず、福島原発事故の知見を反映した「暫定安全基準」は原子力安全・保安院が僅か2日でまとめた暫定基準であり福島原発事故の原因究明と新たな安全基準、独立性と権限を持った原子力規制機関も設置されない中での再稼働はあってはならない。

伊方原発には沖合に中央構造線という日本最大級の活断層があり地震の専門家によると大地震による激しい揺れが予測される。また、3号機ではプルトニウムを燃料とするプルサーマル発電がおこなわれており、MOX燃料自体の強毒性や制御棒が効きにくいなどの安全上の不利な特性があり、さらに高燃焼度燃料である「ステップ2燃料」が使用されこの二つが併用されることで双方の危険性が重複するという他の原発にもまして危険性が指摘されている。また、さらに原子炉格納容器内に窒素を注入していないので格納容器内で水素爆発が起こる可能性があるなども指摘されている。

われわれの暮らしている梼原町は、伊方原発から50㎞圏域に位置し、日本最後の清流といわれている四万十川の源流域であり、1100年の歴史の中で豊かな自然と協調し共生をはかってきた。その先人の教えを守り、後世に引き継ぐ重要な責務がある。その自然や地域資源を活用し、風力、水力、太陽光、地中熱など再生可能エネルギーの推進に取り組んできたことにより、環境モデル都市の認定をうけて全国に発信しているところである。

伊方原発で重大事故が発生した場合には、瀬戸内地域にとどまらず四国はもとより九州や中国地方、さらには関西地方にまで放射能被害が拡大し、福島原発事故を上回ることが予測される。

生まれ育ったふるさとが、より安全で安心して生活できる町であることを願うのは誰しも同じであり、これから先も将来にわたって同じである。多くの生命と財産を一時で失った3.11原発事故を教訓とし、これ以上尊い生命、そして財産を失うことが決してあってはならない。同時に、今育っている子ども達、これから生まれてくる未来の子ども達のために、再生可能エネルギー社会へ歩を進めながら原発依存から脱する機会は、今しかない。

よって、本町議会は政府、愛媛県、に対し伊方原発の再稼働を行わず、下記のことを実現するよう強く要望する。

伊方原発の再稼働は行わないこと。
・原発事故の原因について国民が納得できる徹底的な解明を行うこと。
・原発周辺の活断層連動による地震の可能性を徹底調査すること。
・電力の安定供給を図りつつ、再生可能エネルギーの開発、利用拡大を推進すること。

以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

平成24年9月14日

高知県高岡郡梼原町議会