浪江町の森林火災は鎮火していないのではないでしょうか。福島県が、毎日発表していた、「浪江町井手地区の林野火災現場周辺の環境放射線モニタリング状況等について」を、2017年5月13日(土)と14日(日)と発表しました。まさに、その2017年5月13日(土)は、前日、2017年5月12日(金)のダストモニタリングの結果が公表されるはずでした(毎日17時以降20時くらいまでにその前日のダストモニタリングが公表されていた。)。

 その2017年5月12日(金)に、双葉町石熊公民館では、これまでのダストの最高値、25.47mBq/m3が観測されていたのです。本日、2017年5月15日(月)17時以降に初めて、福島県は、この事実を公表しました。双葉町石熊公民館でのダストは、

1.97(5/4)→7.63(5/8)→15.55(5/11) 5/11に鎮火と公表。ここで公表をお休み 

→25.47(5/12)→0.48(5/13)→ND(5/14)

と公表されています(第13報 2017年5月15日)。

 一応、福島県、浪江町の発表では、2017年5月10日15時05分に鎮火したことになっています。鎮火後の5月11日の15.55への急上昇も不自然であり、また、更に25.47まで更に急上昇したことをあえて2日間も公表を延期したことも不自然です。

 さらに、3ヶ所のダストモニタリングの数値を見ると、5月12日まではバラバラの動きをしているのに対して、公表をお休みした5月13日、14日の数値が3ヶ所ともまったく、一緒の動きというのは解せないです。データ改ざんの疑いがある、と言わざるを得ません。あえて推測すれば、鎮火が2017年5月10日ではなく、5月12日だったのならば、説明はつきます。福島県は生データを公表し、疑惑の払拭に努めるべきです。

双葉町石熊公民館 →25.47(5/12)→0.48(5/13)→ND(5/14)

浪江町やすらぎ館 →2.66(5/12)→0.42(5/13)→ND(5/14)

大熊町野上一区地区集会所 →0.48(5/12)→ND(5/13)→ND(5/14)

 そもそも、火災発生から5日目の段階で、福島県は、ダストモニタリングの数値は、平成28年度の最高値、1.2mBq/m3未満だから、「通常の範囲」だと言い張ってきました(第1報~第3報)。それが、5月3日に浪江町やすらぎ荘で1.27mBq/m3と、平成28年度の最高値を超えたにもかかわらず、放射性物質の飛散はないと強弁してきました。

 ところが、鎮火とされる5月10日の翌日に、これまでの最高値を超える、15.55mBq/m3を観測したことから、火災の影響を評価する、と立場を変えています。

「昨⽇(5⽉11⽇)における⼗万⼭近傍での⼤気浮遊じん(ダスト)のセシウム137の測定結果は、0.80〜15.55 mBq/m3の範囲でした(これまでの最⼤値は5⽉8⽇の7.63mBq/m3)。この原因については、現時点で判断することはできませんが、今後、これらのデータと林野庁主導で実施する動態調査の結果を踏まえ、有識者の意⾒を聞きながら、⽕災による周辺環境への影響の評価を⾏う予定です。」(福島県 空間線量モニタリング結果情報 2017年5月12日 21:32pm現在)

 そもそも、北朝鮮の核実験で大気中にセシウム137が検出されたかどうかは、わかっていない。それは、東電 福島第一原発が日常的に放出しているセシウム137のほうが大きいから。北朝鮮の第3回核実験(2013年2月12日11:37am)の当日、群馬県の高崎CTBTでの観測結果は、セシウム137がやや高い、0.193mBq/m3。北朝鮮の第5回核実験(2016年9月9日 9:30am頃)の当日の、同セシウムは137は、ND(0.003mBq/m3未満)。第5回核実験前後で高崎CTBTで検出検出されたセシウム137の高いときは、0.057mBq/m3です。

 浪江町の森林火災で、25.47mBq/m3が観測されたとは、日本国内で核実験をやったに等しいレベルではないか、と考えるべきです。これを放射性物質が拡散していない、と強弁することは、事実に反します。

 この福島県双葉町で観測された、25.47mBq/m3が、原発事故当時に大気中に漂っていた、放射性物質の量と比較すると、なんと、高崎CTBTで原発事故直後の2011年3月17日や3月18日に観測された値に相当することがわかりました。ただし、高崎CTBTが題名でも断っているように、この観測結果は「粒子状放射性物質」だけであり、「揮発性放射性物質」を含めれば、その濃度はこれ以上になるでしょう。

 東電 福島第一原発周辺に、セシウム137だけでも原発事故当時と同じレベル(ただし、群馬県高崎市)の放射性物質が飛散したのですから、「放射性物質は飛散していない」と言うのはやめるべきです。また、高濃度のセシウム137が付着しているところには、当然、ストロンチウム90やプルトニウムもある程度付着しています。福島県は、ダスト中のベータ線汚染とアルファ線汚染を公表すべきです。それが今後の健康被害につながる危険性があるからです。

 読売新聞、福島民友はこの浪江町の森林火災で放射性物質は飛散していない、や「健康に影響はない」というデマ記事を謝罪し、事実を正しく報道すべきではないでしょうか。

浪江火災 12日で鎮火 放射線量変化見られず 読売 2017年5月11日朝刊 34面

大気中から0.015ベクレル検出 県「健康に影響ない」浪江の山林火災 福島民友 2017年5月12日