1988年度 降下物 陸水 海水 土壌および各種食品試料の放射能濃度
(財)日本分析センター阿部俊彦、木村敏正、福嶋浩人
【出典】第31 回環境放射能調査研究成果論文抄録集昭和63 年度(1988 年) 科学技術庁
【編集】川根眞也
1988 年4 月から1989 年3 月までに採取された試料の試料別の概要
(1) 降下物各県の月間平均降下量の平均値および最少、最大値
ストロンチウム90 0.04(0.00~0.34)ベクレル/m2
セシウム137 0.08(0.00~0.65)ベクレル/m2
(2) 浮遊じん26 県で四半期ごとに採取した試料の平均値および最少、最大値
ストロンチウム90 0.001(0.000~0.004)ミリベクレル/m3
セシウム137 0.001(0.000~0.007)ミリベクレル/m3
(3) 陸水上水(蛇口水、源水)は各県で年1~4 回、淡水については9 県で年1 回採取した試料の平均値および最少、最大値
上水: ストロンチウム90 1.2(0.3~5.9)ミリベクレル/L (試料数92)
セシウム137 0.2(0.0~0.8)ミリベクレル/L (試料数92)
淡水: ストロンチウム90 3.2(0.02~5.9)ミリベクレル/L (試料数9)
セシウム137 0.9(0.0~3.7)ミリベクレル/L (試料数9)
(4) 海水、海底土 海水は11 県、海底土は12 県で年1~2 回採取した試料の平均値および最少、最大値
海水: ストロンチウム90 2.7(1.7~4.1)ミリベクレル/L (試料数11)
セシウム137 4.0(2.5~4.9)ミリベクレル/L (試料数11)
海底土: ストロンチウム90 0.09(0.00~0.51)ベクレル/kg乾土 (試料数13)
セシウム137 2.5(0.19~8.3)ベクレル/kg乾土(試料数13)
(5) 土壌各県で年1 回採取した試料(深さ0~5cm、5~20cm の2 種類の各1 試料)の平均値および最少、最大値
0~5cm: ストロンチウム90 230(1~1800)ベクレル/m2 (試料数39)
→土壌1kg あたり 6.3(0.03~50)ベクレル/kg 乾土
セシウム137 1100(9~2700)ベクレル/m2 (試料数39)
→土壌1kg あたり 60(0.3~150)ベクレル/kg 乾土
5~20cm: ストロンチウム90 530(8~2000)ベクレル/m2 (試料数39)
→土壌1kg あたり 4.6(0.1~19)ベクレル/kg 乾土
セシウム137 1300(0~9900)ベクレル/m2 (試料数39)
→土壌1kg あたり 37(0~97)ベクレル/kg 乾土
※ 原典では「0~5cm セシウム137 →土壌1kg あたり 160(0.3~150)ベクレル/kg 乾土」となっていたが、平均値が最大値を上回ることはないので、誤記であると判断し、「160(0.3~150)ベクレル/kg 乾土」のところを「60(0.3~150)ベクレル/kg 乾土」とした。(編集者:川根)
(6) 日常食各県で年1~2 回採取した試料の平均値および最少、最大値
ストロンチウム90 0.077(0.019~0.15)ベクレル/(人・日) (試料数78)
0.14(0.056~0.28)ベクレル/(g・Ca)
セシウム137 0.11(0.039~0.56)ベクレル/(人・日) (試料数78)
0.053(0.018~0.21)ベクレル/(g・K)
(7) 精米各県で年1~2 回採取した試料の平均値および最少、最大値
ストロンチウム90 0.010(0.000~0.036)ベクレル/kg 精米(試料数44)
0.26(0.00~0.83)ベクレル/(g・Ca)
セシウム137 0.036(0.000~0.42)ベクレル/kg 精米(試料数44)
0.039(0.000~0.43)ベクレル/(g・K)
(8) 牛乳(原乳、市乳) 各県で年1~6 回採取した試料の平均値および最少、最大値
ストロンチウム90 0.040(0.007~0.23)ベクレル/L(試料数119)
0.036(0.006~0.21)ベクレル/(g・Ca)
セシウム137 0.081(0.000~0.92)ベクレル/L (試料数119)
0.052(0.000~0.60)ベクレル/(g・K)
(9) ドライミルクドライミルク、スキムミルクは12 試料でその平均値および最少、最大値
ストロンチウム90 0.33(0.068~0.96)ベクレル/L(試料数12)
0.041(0.017~0.081)ベクレル/(g・Ca)
セシウム137 1.3(0.23~4.3)ベクレル/L (試料数12)
0.13(0.039~0.24)ベクレル/(g・K)
(10)野菜ダイコン、ホウレンソウはついて生産期に合わせ採取した試料の平均値および最少、最大値
ダイコン ストロンチウム90 0.16(0.000~0.61)ベクレル/kg 生(試料数39)
0.71(0.000~3.2)ベクレル/(g・Ca)
セシウム137 0.016(0.00~0.088)ベクレル/kg 生(試料数39)
0.0073(0.000~0.029)ベクレル/(g・K)
ホウレンソウ ストロンチウム90 0.15(0.023~1.3)ベクレル/kg 生(試料数40)
(ハクサイ、 0.26(0.027~2.2)ベクレル/(g・Ca)
キャベツを含む) セシウム137 0.072(0.000~0.24)ベクレル/kg 生(試料数40)
0.020(0.000~0.48)ベクレル/(g・K)
(11)茶3 県で年1 回採取した試料(各2 試料)の平均値および最少、最大値
ストロンチウム90 1.0(0.39~3.0)ベクレル/kg 精茶(試料数6)
0.40(0.21~1.1)ベクレル/(g・Ca)
セシウム137 2.4(0.55~7.9)ベクレル/kg 精茶(試料数6)
0.13(0.056~0.43)ベクレル/(g・K)
(12)海産生物各県で年1~5 回採取した試料(魚類、貝類、海草類)の平均値および最少、最大値
魚類 ストロンチウム90 0.013(0.000~0.084)ベクレル/kg 生(試料数31)
0.011(0.000~0.14)ベクレル/(g・Ca)
セシウム137 0.024(0.088~0.44)ベクレル/kg 生(試料数31)
0.058(0.026~0.12)ベクレル/(g・K)
貝類 ストロンチウム90 0.008(0.000~0.021)ベクレル/kg 生(試料数9)
0.016(0.000~0.053)ベクレル/(g・Ca)
セシウム137 0.045(0.039~0.056)ベクレル/kg 生(試料数9)
0.017(0.015~0.022)ベクレル/(g・K)
海草類 ストロンチウム90 0.043(0.014~0.077)ベクレル/kg 生(試料数8)
0.039(0.014~0.080)ベクレル/(g・Ca)
セシウム137 0.060(0.025~0.12)ベクレル/kg 生(試料数8)
0.0084(0.023~0.017)ベクレル/(g・K)
(13)淡水魚8 県で年1 回採取した試料(コイ、フナ、ワカサギ)の平均値および最少、最大値
魚類 ストロンチウム90 0.83(0.069~3.5)ベクレル/kg 生(試料数8)
0.13(0.019~0.34)ベクレル/(g・Ca)
セシウム137 0.24(0.090~0.64)ベクレル/kg 生(試料数8)
0.081(0.032~0.21)ベクレル/(g・K)
(結語より) 1987 年度は、一部の試料(日常食、ドライミルクおよび茶)のセシウム137 の放射能濃度に、チェルノブイリ原子力発電所事故(1986 年)の影響がみられた。しかし、1988 年度の各種試料の平均値は、事故前(1985 年)のレベルに戻っている。
【出典】第31 回環境放射能調査研究成果論文抄録集昭和63 年度(1988 年) 科学技術庁
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