東京新聞が、2014年12年19日、1面と34面に東京の放射能汚染の実態について素晴らしい特集記事を書きました。これで東京オリンピックが開催できるのかと、根本的な問いかけをしていると思います。全文を転載させていただきます。

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東京新聞 WEB版

福島事故 放出セシウム 隅田川底土 続く蓄積 東京新聞 2014年12月19日 1面

荒川、隅田川のセシウム汚染の現状 汚染が減るのはいつ 東京新聞 2014年12月19日 32面

 江戸前の寿司を安心して食べれるのはいつでしょうか?以下は、2006年にウィーンで行われた国際原子力機関(IAEA)のチェルノブイリ・フォーラム『チェルノブイリ事故による環境影響とその修復:20年の経験ーチェルノブイリ・フォーラム・エキスパート・グループ「環境」』の報告書の49ページにある、チェルノブイリ原発のすぐ近くを流れる川、プリピャチ川の水のストロンチウム90の濃度(1 黒)とセシウム137の濃度(2 青)です。ストロンチウム90では原発事故5年後1991年にピークがあります。

 ストロンチウム90も、セシウム137も5年間でどんどん濃度は下がっていきますが、その後はストロンチウム90は0.40ベクレル/Lくらいで、セシウム137は0.1~0.05ベクレル/Lくらいで6年後から15年後まであまり変化はありません。

 東京オリンピック2020でオリンピック選手に江戸前の寿司を食べさせていいのしょうか?

 ちなみに、以下はAERA 2011年7月18日号に掲載された魚で進む「放射能汚染」朝日新聞科学医学グループ 山本智之氏の記事に掲載されていた図です(pp.17)。マアナゴはセシウム137の生物濃縮係数(CF)が41。これは1ベクレル/Lの水で生活するマアナゴの体内はその41倍、つまり41ベクレル/kgになる、ということです。水の濃度が0.1ベクレル/Lならば、マアナゴは4.1ベクレル/kgということ。

 また、これは原発事故前の日本周辺海域の海水のストロンチウム90とセシウム137の濃度のグラフです。原発事故前の2010年、日本周辺海域のセシウム137の濃度の平均はは0.002ベクレル/L程度でした。荒川、隅田川の水の放射能汚染は今どのくらいなのでしょうか?

出典 第53回環境放射能調査研究 成果論文抄録集 平成22年度 文科省  2010

 また、この生物濃縮係数(CF)は海水の汚染に対してだけ、考えられているものであり、その河川の土壌の放射能汚染を想定していません。大気圏内核実験でもここまで河川底や海底の土壌が放射能汚染されることはなかったのではないでしょうか。生物濃縮係数(CF)を、河川の水および河川土の放射能汚染、海水および海底土の放射能汚染で改めて算定すべきである、と考えます。群馬県や栃木県の山に積もった放射性物質がこれからも荒川、隅田川を通じて東京湾に注ぎ込むことを考えなくてはならないのです。