屋根部分を試験撤去 第一原発1号機建屋カバー

2014年11月1日 10:54 福島民報

 東京電力は2014年10月31日、福島第一原発1号機の原子炉建屋カバー解体に向け、カバー内部に散布した放射性物質の飛散防止剤の効果を確認するため、屋根部分のパネル6枚のうち1枚を試験的に取り外した。放射性物質の飛散がないことが確認できれば、外したパネルを戻し、来年3月に本格的なカバー解体を始める。

 屋根は幅約7メートル、長さ約42メートルのパネルを6枚並べた構造。このうち、1枚をクレーンで取り外すと、がれきの散乱する建屋上部が、カバー設置から約3年ぶりに姿をのぞかせた。東電は2014年11月7日にさらに1枚取り外す。内部にカメラを入れ、2014年12月初旬までに建屋内部のがれきや放射線の状況を調べる。

 東電によると、取り外し後、敷地境界付近の放射線量に変化はないという。

 建屋カバーの解体は使用済み核燃料プールから燃料を取り出すための準備作業。解体後に建屋上部のがれきを撤去し、燃料取り出し用のクレーンを設置する。プールからの燃料取り出しは早ければ平成31年度前半の見通し。
 パネルの取り外しは当初10月30日を予定していたが、10月28日に飛散防止剤を散布する機器が強風で揺れて建屋カバーが破れるトラブルが発生、作業がずれ込んだ。1号機建屋カバーは放射性物質の飛散を防ぐための応急処置として2011年10月に設置された。

<川根コメント>

 「東電によると、取り外し後、敷地境界付近の放射線量に変化はない」という東電発表を新聞各紙を垂れ流しています。下記資料で、この「敷地境界付近の放射線量」の有意な変動とは何か、調べてみました。

1号機原子炉建屋カバー解体作業
http://www.tepco.co.jp/decommision/planaction/removal-reactor-j.html

 上記資料によれば、「敷地境界のモニタリングポストでの有意な変動」とは、+2マイクロシーベルト/時以上の変動、とあります。

  果たして、11月1日、午前7時18分、6枚ある原子炉建屋カバー屋根パネル(南3,北3)のうちの1枚(南3)を外した影響によって、放射性物質の拡散はないのでしょうか?

 東京第一原発の南南西約13kmにある、楢葉町上繁岡地区集会所での空間線量率の推移です。

  10月29日、30日は朝8時に放射線量率が上がり、夕方17時に向かって下がっていきます。これは原発で作業しながら、建屋内の放射性物質を放出しているからだと考えられます。

 10月28日午前8時23分、突風(瞬間風速18m/s)が吹き、飛散防止剤を注入していた先端ノズルが揺れて、カバーを約1m×約2m破く事故が起きました。

 そのため、一時作業をこの日の中断し、翌日10月29日から作業を再開しました。

 楢葉町上繁岡地区集会所の空間線量は、10月28日の11時すぎにはすとーんと下がり、その後上昇することはありませんでした。また、10月29日朝8時から空間線量率が8時~17時にかけて上昇しています。これは作業再開とぴったり一致します。作業で放射性物質が拡散していることは否定できません。

 11月1日は雨が降っていたために、放射性物質の飛散状況はわかりませんでした。問題はこれから晴れて、大気中の放射性物資の状況が反映されるようになると、実態がわかる可能性があります。11月7日に、2枚目のパネルが取り外されます。