独科学者プフルークバイル:首都圏の放射能汚染調査後、東京オリンピック開催決定を非難
 ◆ドイツ放射線防護協会会長のセバスチアン・プフルークバイル博士(ドイツ放射線防護協会会長)が、首都圏の放射能汚染調査後、東京オリンピッ ク開催決定を非難した。
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福島原発事故 − 高濃度の放射能を含む黒い粉末を東京で発見 
ブログCanard Plus Tomos Blog より
dimanche 25 mai 2014 (2014年5月25日 日曜日)

独科学者プフルークバイル:首都圏の放射能汚染調査後、東京オリンピック開催決定を非難
福島原発事故 − 高濃度の放射能を含む黒い粉末を東京で発見
原典 Deutsche Wirtschafts Nachrichten, 2014年4月2日

ドイツの物理学者セバスチアン・プフルークバイルが、福島事故後の日本を調査して警告を発している。
首都東京でプフルークバイルは今まで一度も見たこともない現象に出会った:
道路上に、メルトダウンによって発生したと考えられる放射性のダストを発見したのだ。

政治、マスコミ、そしてマフィアは手に手を取り合って福島原発事故の被害を隠ぺいしている。
日本を訪れたドイツの物理学者 セバスチアン・プフルークバイルは、原発事故による惨事が、
日本全土におよんでいることを見てとった。
そして、2020年のオリンピックを東京で開催することに決定したのは、大きな誤りだったと語る。
今では東京にも、メルトダウンから発生したと考えられる放射線が存在するのだ。

プフルークバイルは、”不安などという生易しいものではないような”測定結果も存在すると、当紙に語った。
首都東京で起こっている不穏な現象とは:
「オリンピックを日本で開催する決定はとんでもない誤りだった。
選手たちは、放射能汚染が激しい東京の北部に宿泊させることが計画されている。まったく狂った条件だ。
検出される測定値は不安などというものではない。
そうした数値は公園や遊技場、家の屋根などから 偶然に見つかったものだ。
数日前に私が日本を再訪したとき、今まで一度も見たこともない現象に出会った。
道路上に、粉末状の黒い、乾いた水溜りに似た残滓が見られるのだ。
この粉末の放射線量は非常に高く、メルトダウンから発生した残留物であるとしか考えられない。
いかにして東京にこうした粉末がたどり着いたのかは今のところわかっていない。
しかし地べたで遊んだり、転んだりすることが多い子どもにとっては、大変な危険だ。

また、除染を実施した場所も、しばらくすると再び放射能汚染することが繰り返し確認されている。
森林に覆われた山々の放射能を取り除く方法は誰にもわからない。
雨だけでなく、雪解けもまた、谷や河川に汚染水を運ぶ。」

今後、膨大な量の汚染水を 太平洋に放出させるという東電の発表に対するセバスチアン・プフルークバイルのコメント:
「毎日400㎥の汚染水が太平洋に流出している。
だが誰も知られない事実がまだある:同量の汚染水が毎日、地下水を通して太平洋に流出していることだ。
つまり、合計800㎥の放射能汚染水が毎日、環境に流れ込んでいることになる。
この状況はすでに三年間続いている。それがどのような影響を持つのかは、まったく予想が不可能だ。
残念なことに、地元の漁師たちは、基準値をはっきり下回る汚染水ならばと、
太平洋への放出に同意してしまった
詳しくはこちら)・・・。

自分たちの生計にかかわることとなれば、漁師たるもの闘うのが当然だと思われるのに、
線量が微量といえども太平洋への汚染水の放流を認めてしまうとは、じつに軽率だ。」
太平洋に放出する汚染水はフィルターを通すという東電の発表について:
「汚染水からセシウムを濾過することは可能だが、そのための装置はほとんど故障している。
危険なストロンチウムの除去は、まったく不可能だ。
安倍首相は、2020年のオリンピック開催地が選ばれる前に、福島原発はコントロールされていると宣言した。
しかし決定後、彼は科学界に対してストロンチウムの除去法を尋ねた。
実際には世界のどこにもまだ科学的な解決策はないのだ。このような状況は、歴史的にも例がないからだ。」

福島事故現場作業員の労働条件について:
「 作業員には二つのタイプがあることは周知の事実だ。
一方は、ほとんどが被ばく許容基準値を超してしまった公式の作業員のうちで、
今でも就労を許されているごく限られた人々。
もう一方はヤクザ(日本のマフィア)が集めてくる非公式の作業員
詳しくはこちら)。

こうしたホームレスや臨時雇いは医療検診を受けることもできない。
素手でシャベルやブラシを使いながら、貯水タンクから漏れる液体の掃除を行なっている。
その際、危険なストロンチウムとの接触も起こる。
多くは線量計も携帯させてもらえず、その後どうしているのかは不明で、
動員が終わった後は、二度と姿の見られなくなる人も多い。
彼らの多くがすでに重病を病んでいるか、あるいは死んでしまっているのではないかという疑念が浮かぶ。
東電と政府は、非常に不完全な情報しか発信せず、それも時間が経つと誤報であったことがわかる
詳細はこちら)。」

福島の現状について:
「今では誰一人近寄ろうとしな号機にい場所が原発施設内にいくつもある。
メルトダウンを起こした1号機から3号機にくらべて4号機はまだマシな状況だ。
4号機は事故時、稼動していなかったために、未使用の燃料棒を撤去することができたが、
使用済みの危険なものは、未だに風呂桶のようなプールに浸かっている。
そのうちの一本でも損傷したら、大事だ。そうなったら脱兎のごとく逃げ出すほかない。

だが1号機から3号機の状況はもっと複雑だ。この三年間でまったく進歩は得られていない。
メルトダウンのせいで線量も猛烈に高い。これは今後何十年間と私たちを煩わすことになるだろう。
満足できるような打開策は、私たちの誰一人、生きている間に見ることはできないだろう。」

日本国民への事故の被害影響について:
「このテーマは日本国内では、政府とマスコミによってまるで無害であるかのように報じられている。
関係する官庁は、国民に平常心を保たせ、これ以上福島周辺から移住させないこと、
さらには福島に帰還させることに主に専心している。市民運動は萎縮してしまった。
今のところは、健康上の被害を訴える声よりも、社会的な障害をつらいという声の方が強いが、
健康上の被害がどのような規模になるのかは誰にもまだ想像はつかない。
事故について話題にならないように、近所の人や仕事場の同僚、それに家族自身が互いに圧力をかけ合っている状態だ。」

福島県民に対する国家の賠償について:
「 政府の対応のしかたは、例をみないほど勝手なものだった。
家々での測定が行なわれ、ある基準値を超えると、住民の移住に対して補助金が支払われた。
だが線量には隣り合う家同士でさえ差異があった。
つまり賠償を受けた世帯もあれば、受けなかった世帯もある。
これは特に、小さな子どもがいるために、もっともな理由で移住した女性にとってはひどいことだ。
男性は仕事のために残らなければならず、別居を強いられた家族も多い。
健康に対する不安に加えて、経済的な不安が発生した。
またローンを組んで家を買ったのに、住めなくなった家を離れなければならず、
なおかつローンを払い続けなければならないのに賠償金をもらえない人もいる。

日本人は、我々にはとても想像もできないようなことをガマンしている。
今では、政府は帰還者に対して福島県内に新しい家を提供をしている。
政治責任者は、この地方が徐々に棄てられていくことを恐れているのだ。」

太平洋への被害については:
「 水中の連鎖は、陸上のものに比べてはるかに複雑だ。陸上の連鎖は四から五段階程度でできている。
一例を挙げよう:
原子力発電所の排気塔から放出される放射能、風雨、牧草地の草に降る雨、そしてその草を食べる牛。
牛乳に含まれる放射性ヨウ素の濃度は、空中よりもやや高くなるだろう。
水中ではこの連鎖はずっと長いものになる。
時によっては、放射性物質の天文学的な濃縮数値が集積されるからだ。
体で常に水を汲みとる貝なども、周囲の水の放射性濃度にくらべて放射性物質を一万倍も多く体内に蓄積してしまうことがある。
アメリカのマスコミが報じる、米国西海岸で発生する説明不明の現象は、頻繁になる一方だ

詳しくはこちら)。

ヒトデの大量死、水揚げ量の激減、数百頭というウミガメの死
詳しくはこちら)。

しかし、日本国内ではあまりこうしたニュースを読むことはできない。
市民団体が放射線測定を怠らないので、確かに日本国内で流通している食品はなんとか基準値内に保たれているが、
学校給食やレストランでどんな食品が使用されているのか、私は想像もしたくない。」

福島事故の長期的影響について:
「 健康被害はすでに現われている。
一、二年後には、反論の余地のない発癌率の増加が見られるだろうと私は推測している

詳細はこちら)。

太平洋は何十年も汚染されつづけるだろう。
放射能が海水によって薄められるとう原子力ロビーの主張はまったくバカげている。
福島とチェルノブイリとは事故の進行の仕方が異なるために、被害は、チェルノブイリとはやや異なる様相をもつだろう。
チェルノブイリ事故後、西ヨーロッパの人々は、事故を原因とする健康被害はまったく出ないと確信していた。
しかし十年もたつと、西ヨーロッパでも、白血病、ダウン症、先天性異常、
そして新生児の死亡率が増加したことが明らかとなった。

西ヨーロッパでは、約25万人の赤ん坊(主に女児)が生まれてこなかった。
同様のことがすでに日本では進行中であることが、真剣に危惧される。
ただこうした問題は現在まだ無視されているだけだ。」

セバスチアン・プフルークバイル博士は、ドイツ放射線防護協会会長。
東西の壁崩壊前は、ベルリン・ブッフの東ドイツ科学アカデミー心血管系中央研究所で医学物理学者として働き、原子力エネルギー使用に関連する問 題、 特にソビエト・ドイツの鉱山会社ヴィスムート社によるウラン採掘に際する放射線を原因とする健康被害について、自主的な研究を行なっていた。
旧東ドイツの市民運動ノイエス・フォールム創設者の一人であり、ベルリンや中央円卓会議に広報担当者として出席した。
1990年にはモドロウ暫定政権の無任所相に任命され、 在職中は、東ドイツ内の原発をすべて即時停止させるために活躍した。
その後は1995年までベルリン市議会議員を務めた。
2012年、Nuclear-Free Future Award賞を受賞。