「報道ステーション」に対する福島県立医大の見解は撤回するべきです。
2014年3月11日、原発震災から3年目のこの日に、テレ朝が渾身の報道番組を放映しました。『報道ステーション 福島原発事故から3年 わが子が甲状腺がんに 苦悩の日々を母が告白 放射線との因果関係は チェルノブイリで検証 失われたデータ……国と県の責任は』。
このキャプションを読んだだけで、番組製作者側の思いが伝わってきます。
何度も動画が消されますが、是非、ご自身で検索してご覧下さい。私は「わが子が甲状腺がんに 報道ステーション 動画」で検索して見つけました。また、繰り返しご覧下さい。今、福島で起きていること、これから起きること。そして、東北、関東で今起きている事とこれから起きることを考えるヒントをいくつも与えてくれる番組です。
※ 動画がたびたび削除されるので、全文を写真つきで書き起こされた方がいます。こちらをご覧下さい。
ウィンザー通信 「こんな有り得ないことをする福島県を、政府を、まだ信じるのですか、頼るのですか?←報道ステーション」 2014年3月12日
福島県立医大が2014年3月12日付けで、『平成26年3月11日「報道ステーション」の報道内容についての 福島県立医科大学 放射線医学県民健康管理センターの見解』を出しています。読むに値しない見解です。
『平成26年3月11日「報道ステーション」の報道内容についての 福島県立医科大学 放射線医学県民健康管理センターの見解』
内容要約
1.「(福島県の)甲状腺がんの方の平均年齢が16.9歳(2013年12月末日現在)であり、従来より知られている小児甲状腺がんの年齢分布に非常に似通っている」ので、「福島第一原発事故の影響によるものとは考えにくい」
2.「チェルノブイリでは放射線の感受性が高い0~5歳(被ばく時年齢)の層に多くの甲状腺がんの方が見つかったのに対し、福島では現在のところ、その年齢層には甲状腺がんの方は見つかっていない」ので、「福島第一原発事故の影響によるものとは考えにくい」
3.「放射線の影響の有無を解析するには時間を要します。今後も長きにわたり繰り返し検査を継続し、更に慎重に見ていく必要がある」
川根のコメント
1.について。そもそも0~18歳は甲状腺がんにかからなかった。原発事故前までは。原発事故前でも0~24歳まで拡大しても、10万人の甲状腺がんの罹患率は0.58人/10万人あたり です。
『0-15歳以下の小児甲状腺がんは年間6000人のでたらめー清水一雄 日本甲状腺外科学会前理事長』
福島の子ども達の現時点での甲状腺がんの罹患率は、受診者数 26万9354人で、75名の甲状腺がんおよび疑いですから、その10万人あたりの罹患率は27.8人/10万人あたり です。これは原発事故前の罹患率(0歳~24歳) 0.58人/10万人あたりの実に48倍です。
これを原発事故の影響ではない、とするのは政治的な見解と言わざるを得ません。
2.について。あの山下俊一氏が2000年に書いた論文の中の資料にも、原発事故当年から3年目までは、甲状腺がんを発症した子は14歳くらいが中央値でした。
これは、小さい子は穿刺細胞診(せんしさいぼうしん)をしなかったからではないでしょうか?福島でも本当に小さい子はたとえ結節は5.1mm以上あってもほとんど穿刺をしていないのではないか、と疑われます。
原発事故当時0~6歳の子どもに甲状腺がんが多発するのが、明らかになるのはこれからだ、と思います。
3.について「放射線の影響の有無を解析するには時間を要します。」問題なのは、放射線の影響で甲状腺がんが多発しているのか、否かではなく、ありえない勢いで福島で子どもたちが甲状腺がんにかかっている、ということです。
チェルノブイリの教訓によれば、大人の甲状腺がんとは違い、放射性物質誘発がんである小児甲状腺がんは、進行が著しく早く、また、リンパ節や肺への転移も多い。部分摘出手術では再発の危険性がある、ということです。
子どもたちは、放射性物質の影響を調べるモルモットではありません。福島県立医大は医療機関としての責任と自覚を持つべきです。
福島県立医大の医師と看護師は全員、あの2011年3月15日の爆発の時点で安定ヨウ素剤を服用していました。福島県民にも、個人の判断で服用させるべきではなかったのでしょうか?
たとえ、政府、福島県知事が指示を出さなくても。
また、
4.「県民健康管理調査は甲状腺検査を含め、福島県からの委託により、県立医大が実施しております。実施主体は県立医大ではあるものの、その運営や評価については、これまでも福島県、あるいは『健康管理調査』検討委員会に報告し、チェックを受けており、実施の権限が県立医大に集中しているわけではございません。」
と見解は述べています。
2013年6月5日まで健康管理調査検討委員会の座長だった、山下俊一氏(福島県立医大副学長)は2012年1月16日付けで、甲状腺学会の会員宛てに、A2判定(5.0mm以下の結節や20.0mm以下の嚢胞が観察された)の子どもには「追加検査の必要がない」と説明し、事実上、「福島県立医大以外では甲状腺超音波検査をやるな」、と趣旨の通知を出しています。
これは明らかに小児甲状腺がんの検査の実施の権限を、県立医大に一カ所に集中させ、子どもたちと保護者のセカンド・オピニオンの権利を奪うものです。
事実として、福島県立医大以外の医療機関が甲状腺超音波検査を行えないよう圧力をかけ、福島県立医大、そして、放射線医学県民健康管理センターにすべての子どもたちのデータを集めるやり方はやめるべきです。診断はするけれども治療しなかったABCCとまったく同じやり口です。穿刺細胞診(せんしさいぼうしん)で悪性と判断されながら、手術を意図的に遅らせているケースもあると聞いています。この意味からも、医師の倫理綱領違反であると思います。この見解は見解の名に値しません。即時、撤回すべきだと思います。