東京第一原発から漏れ出る汚染水は、たんに原子炉建屋に溜っている放射性物質が地下水に混じり、流出しているだけのではなく、ぼろぼろになっている圧力容器、格納容器にじゃぶじゃぶ注いでいる冷却水が、圧力容器、格納容器からもどんどん漏れており、その量が1~3号機だけで1日424.8トンにもなっていたことを東京電力が認めました。(2014年1月30日 東京電力)
『海に流出するトリチウム、ストロンチウム90ー原子炉の冷却水がだだ漏れ 』
日本原子力学会の機関紙 ATOMOΣ 2012年11月号にアメリカ、スリーマイル島原発事故(1979年3月28日)に起きたメルトダウンの際の、核燃料デブリの分析の論文が掲載されています。
そこにはスリーマイル島原発2号機の核燃料が、いったんメルトダウンし、その下に自らが作った溶融プールや下部ヘッド上で固体となった核燃料デブリにはストロンチウム90が約90~100%残っていた、と書かれています。
現在、東京第一原発の1~3号機では、この核燃料デブリと冷却水とが直接触れ合い、汚染水となって大事に、海に流れているのだと思います。汚染水に高濃度のストロンチウム90が含まれているのは当然のことだと思います。
東京電力は、核燃料デブリの中に含まれる核種の推定と、その核種がどれくらいの濃度で汚染水に溶けだしているのかを明らかにすべきです。
日本原子力学会誌 ATOMOΣ 2012年11月号 pp.29~33
日本原子力学会誌 ATOMOΣ pp.29~33 2012年11月
『シビアアクシデント時に溶融した燃料の形態と特性 TMI-2炉心から採取したデブリに対する試験の結果から』日本原子力研究開発機構 永瀬文久
セシウム(Cs)は揮発性が高く、また半減期が比較的短く収率(核分裂1回あたりに生成する割合)が高く環境への影響が大きいため、そのシビアアクシデント時の挙動が注目される。上部炉心から採取されたTMI-2(スリーマイル島原発2号機)デブリ中のCs残留割合は、比較的大きく数%から50%、平均で17%であった。炉心上部では事故時の温度が比較的低く、溶融せずに破砕、落下した燃料ペレット破片が含まれていることを反映していると考えられる。これに対して、一旦溶融し溶融プールや下部ヘッド上で固化したデブリ中のCs残量割合は平均で5%程度であり、1%以下のデブリも少なくない。この測定結果は、燃料ペレットが溶融した場合にはほとんどのCsが放出されることを示しており、実験的に調べられた燃料からのCs放出挙動に関する知見(注1)と一致する。
日本原子力研究開発機構におけるガンマ線分析は事故から15年後に行われたために、Cs-134、Cs-137、Eu-154、Co-60以外の核種の放射能は低く検出限界以下であった。一方、アイダホ国立研究所(INEL)等で行われた測定では他の核種についてもデータが取得されている。それによれば、一旦溶融し下部ヘッド上で固化したデブリにおけるSr-90、Ru-106、Sb-125、I-129、Ce-144、Eu-154の残存率はそれぞれ、約90~100%、3~10%、3~10%、0~11%、90~100%、65~80%であった。