東京都産業労働局が2011年3月13日から3月18日までの、大気浮遊塵中の放射性物質の分析結果を公表しています。 

東京都産業労働局 東京電力福島第一原子力発電所事故に係る大気浮遊塵中放射性物質の調査報告

表1 大気浮遊塵中の放射性物質

 2011年3月15日の午前10時~11時の空気には恐るべき量の放射性物質が入っていました。ヨウ素131が空気1m3中の240ベクレル、ヨウ素132が280ベクレル、ヨウ素133が30ベクレル。テルルも同じくらいの量がありました。テルル129が空気1m3中に51ベクレル、テルル129mが63ベクレル、テルル131mが13ベクレル、テルル132が400ベクレル。

 つまり、放射性ヨウ素で合計550ベクレル、放射性テルルで合計527ベクレルが空気中にあったことになります。

 この大気捕集場所は東京都世田谷区深沢2-11-1にある、東京都立産業技術研究センター駒沢支所でした。

 人間のおとなが1日(24時間)に吸う空気の量は24m3と言われます。子どもはその6割、16m3と言われます。(2011年7月 欧州放射線リスク委員会科学幹事 クリス・バズビー博士の講演より)つまり、おとなは1時間に1m3の空気を吸っているわけです。

 2011年3月15日10時~11時に屋外でマスクもつけずにいた人は上記の放射性物質を吸い込んだ、という計算になります。少なくとも、東京都世田谷区深沢にいた人は。

 私は一体、昨年の3月15日にどのような空気の中にいたのでしょうか?各都道府県自治体は責任をもって、データを公表すべきであると思います。

<テルル132について>

テルル132 の半減期は、3.204 日ですが、人体での蓄積場所は、骨に13.7 年。その他全身で、生物学的半減期は20 日。特徴は、体内の取りこまれた放射性テルルの半分は直接排泄されるものの、25%は骨に移行し大半は生涯そこに残留し、骨がん、白血病などの要因になる。残りの25%は人体のその他のすべての器官や組織に分布するが約20日で半減する。テルルの放射性同位体の多くは、β壊変してヨウ素の放射性同位体となるので、甲状腺に集まり甲状腺がんなどの要因にもなる。テルルはレアメタルの一種で飛散しにくい性質を持っているが、震災翌日の3月12日午前には福島第一原発から約7キロ離れた浪江町などで検出された 

「AERA」2011.6.27 号(朝日新聞出版)18-19 ページに「拡散したと見られる核種31種類とその放出量、線種、強さ、物理的・生物学的半減期、具体的な人体への影響など」

※ このテルル132は東京都も襲っていた、というわけです。

<テルル129について>

 テルル129mという放射性物質が、ベータ線を出しながら崩壊するのですが。崩壊した後にできるものは、ヨウ素の129というものが出来ます。そのヨウ素の129というのもまた放射性物質でして、半分に減るまでに1600万年かかるという……半ばもうなくならないという放射性物質になります。

 mというのは、メタ・ステーブルという英語の頭文字。準安定状態と呼んでいるものです。テルルの129mというのは、半分に減るまでに34日、つまりひと月位かかるという、比較的あの寿命の長いほうに属する核分裂生成物です。

 -小出裕章氏 2011年11月11日「たね蒔きジャーナル」出演の時のお話

 東京電力福島第一原子力発電所事故に係る大気浮遊塵中放射性物質調査報告書 本文