[初稿]2012年10月23日

[追記]2018年5月25日

 東京都立産業技術研究センターが2011年3月13日 16:00pmから空気中の放射性物質の濃度を測定していました。現在でも測定は続けられています。

都内における大気浮遊塵中の核反応生成物の測定結果について

 2011年3月15日0:00amには東京にも、ヨウ素131、ヨウ素132、ヨウ素133、セシウム134、セシウム136、セシウム137、テルル129、テルル129m、テルル132、テクネチウム99m、銀110m、ストロンチウム89、ストロンチウム90などが来ていました。

 下の「表5 2011年3月15日10時~11時の吸入摂取による実効線量(成人)」は現在、東京都のホームページから削除され、見ることができません。表をダウンロードされ、保存されることをお薦めします。東京都都民の内部被ばくを証明する、重要な証拠です。(編集者:2018年5月25日追記)

表1 大気浮遊塵中の放射性物質

 このうち、ヨウ素131、ヨウ素132、セシウム134、セシウム137だけをピック・アップしたデータも東京都立産業技術研究センターが作っています。以下のそのデータです。これは東京都立産業技術研究センター駒沢支所(〒158-0081 世田谷区深沢2-11-1)で大気を捕集し、別の場所で分析したものです。

 私たちは2011年3月このような空気を吸ってきていたのです。突然の鼻血、皮膚の疾患、発熱、下痢等々に襲われた方は発生時期と、このデータとの関係を見比べてみて下さい。

 気がつかれた事がある方はメールを下さい。メールは kawane@radiationexposuresociety.com

 これは、それぞれの時間内に測定された、空気1m3中の放射性物質の濃度(ベクレル)です。たとえば、3月15日 0:00-7:12の空気1m3中には、ヨウ素131が10.8ベクレルあったということを意味しています。この時間帯の空気を屋外で7時間吸えば、10.8×7=75.6ベクレルのヨウ素131を肺に入れた可能性がある、ということです。ただし、これは全部、体内に吸収されたというわけではありません。

東京都 都内における大気浮遊塵中の核反応生成物の測定結果について 2011年3月pdf

[以下、追記]2018年5月25日 編集者

 高エネルギー加速器研究機構(KEK)が、国立環境研究所(茨城県つくば市小野川16-2)敷地内でハイボリューム・エアサンプラーで捕集された大気中のちりを、採取し分析していました。2011年3月15日の14:39-17:34pmの空気には、これほどの放射性物質が含まれていました。ヨウ素131 32ベクレル/m3、テルル132 23ベクレル/m3、セシウム134 4.0ベクレル/m3、セシウム136 0.68ベクレル/m3、セシウム137 3.8ベクレル/m3、テルル129m 4.0ベクレル/m3、ヨウ素133 2.9ベクレル/m3、テクネチウム99m 0.35ベクレル/m3、これらの総計 70.73ベクレル/m3。

 東京都が測定した、空気中の放射性物質 総計 1100ベクレル/m3と格段に少ないことがわかります。しかし、2011年3月15日、朝6:00すぎ、4号機が爆発(核燃料入っていなかったはずですが)、2号機も圧力抑制室が底抜けています。東京都が空気を捕集したのは世田谷、東電福島第一原発から230km離れています。高エネルギー加速器研究機構(KEK)が空気を捕集したのは茨城県つくば市、同じく175km離れています。もしやや強い風が吹いていたしたら、風速10m/秒くらい。これは40km/時、自動車の通常の速さでプルームはやってきます。つまり、東京都世田谷区や茨城県つくば市へは、4~5時間で到達することになります。2011年3月15日6時の4号機、2号機が放出したプルームが東京都世田谷区や茨城県つくば市で到達する時刻は同日10~11時です。東京都の測定した1100ベクレル/m3がもっとも濃度の濃いプルームをつかまえている、と考えられます。

 逆に、高エネルギー加速器研究機構(KEK)が分析した、同日14:39-17:34pmでは、もっとも濃いプルームが通過した後であり、当初の場合によると10分の1の可能性もあります。距離から考えても、茨城県つくば市では1000ベクレル/m3を超える放射能を含んだプルームが通過したのではないでしょうか。

 核燃料サイクル工学研究所(茨城県東海村)が、同研究所で採取した空気中の放射性物質濃度(粒子状と揮発性の合計)を公表しています。東京都産業労働局や高エネルギー加速器研究機構(KEK)は、2011年3月15日からのデータしか公表していませんが、この核燃料サイクル工学研究所(茨城県東海村)は、2011年3月13日15:20pmからのデータを公表しています。この茨城県東海村の空気からは、2011年3月15日6:00~9:07、ヨウ素131が1600ベクレル/m3、テルル132が1300ベクレル/m3検出されています。

 果たして、空気中の放射能は、ヨウ素131とテルル132だけではなかったはずです。総計はいくつだったのでしょうか。

 核燃料サイクル工学研究所(茨城県東海村)が公表しているのは、テルル129m、テルル132、ヨウ素131、ヨウ素133、セシウム134、セシウム136、セシウム137だけです。ストロンチウム89、ストロンチウム90は測定していません。ですが、この2つの核種を除いても、2011年3月15日6:00~9:07の茨城県東海村の空気には3960ベクレル/m3もありました。これは、東電が原発事故前に、全身を覆う防護服と、エアラインセットという宇宙服のような全面マスク(外気を一切吸ってはならない)というレベルでした。私たちはこうした空気の中に無防備で放置されたのです。これは、東京電力と当時の民主党管直人政権の不作為の罪です。東北・関東・首都圏の人々には、2011年3月15日~3月16日にかけては屋内退避を指示し、室内で安定ヨウ素剤の服用を準備するべきでした。

※ 図が細かいので、ダウンロードの上、拡大してご覧ください。あなたがその日、その時間、どこにいて、何をしていましたか。外の空気を吸っていましたか。雨に当たりましたか。それがその後の健康被害に影響する事実です。