「放射線バースト」雷の発生直前の観測に成功 京大など
2019年6月26日 4時30分 NHK NEWS WEB
大気中から放射線が一時的に強く放出される「放射線バースト」と呼ばれる現象が、雷が発生する直前の積乱雲の中で起きていると見られることが京都大学などのグループの観測でわかり、今後、雷の発生予測につながる可能性があるとしています。
大気中では、放射線が一時的に強まる放射線バーストという現象が起きることが知られていますが、観測例が少なく、どのようにして発生しているのか詳しくはわかっていませんでした。
京都大学や東京大学などの研究グループは、金沢市や富山市などに放射線と電波の観測装置を設置し、放射線バーストを観測したところ、去年1月、雷の発生の直前に放射線バーストが起きるのを観測することに初めて成功しました。
観測された放射線バーストは、雷が発生する直前におよそ1分間にわたって観測され、通常の放射線量の4倍の強さがあったということです。
グループでは、積乱雲の中の強い電圧で電子が加速されるなどして、雷が発生するのに伴って放出されたと考えられるとしています。
グループによりますと、放射線の強さは人体に影響するよりもはるかに低いレベルだということで、雷の発生を精度よく予測できる可能性があるとしています。
研究グループの代表で、京都大学の榎戸輝揚 特定准教授は「今後は観測の場所を増やし、まだよく解明されていないこの現象を通して雷の発生の謎も解明していきたい」と話していました。