週刊新潮 2018年3月8日号 掲載
除染事業は儲かる?(写真はイメージ)
福島第一原発の事故から7年経つ今でも、故郷に戻れず心身ともに苦難を強いられている人々は少なくない。その一方で、“被災地”福島県内には我が世の春を謳歌している企業があるという。
除染費用は福島県や県内の市町村だけでなく、国も負担している。所管庁は環境省。一般競争入札を経て業者を選定しているが、落札業者はほぼゼネコンで地元企業は“下請け”として除染作業に参加している。
除染作業は必要だ。当初、環境省は除染完了までの費用を約2兆5000億円と見込んでいた。しかし、一昨年の段階で3兆7600億円に上り、最終的には5兆円以上必要との試算さえある。
相双リテックは除染作業を担う多くの企業の1つに過ぎないが、経済誌の建設業界担当記者が指摘するには、
「あの会社の決算は、普通では考えられない内容なのです。売上高の半分以上が利益で、その75%以上に当たる43億円を7人の役員に報酬として支払っている。17年3月期決算で、トヨタ自動車の役員報酬が総額16億8400万円でしたから、それを大きく上回ります」
パーティー券100万円
この相双リテックは、無名に近い会社だが、これまで何度か話題になった過去がある。
本誌(「週刊新潮」)は昨年3月23日号でヤクルトスワローズの真中満監督(当時)が、総額1000万円を下らないフランク ミュラーとロレックスの腕時計を“タニマチ”の除染業者から受け取ったと報じた。その“タニマチ”こそが、相双リテックの会長なのだ。
また、昨年末に清水建設の執行役員が“下請け企業”の社員を使って、実家の雪下ろしをさせていたと報じられたが、この下請け企業も相双リテックだった。
「実は、永田町でも相双リテックの社名が話題になったことがありました」
こう囁くのは、自民党のベテラン秘書だ。
「震災から2年後の13年5月13日、安倍総理の“出身派閥”清和会が東京プリンスホテルで政治資金パーティーを開きました。その時、相双リテックが大量のパーティー券を買ったので話題になったのです」
確かに、清和会の政治資金収支報告書平成25年分には、相双リテックがパーティー券を100万円分購入したことが記されている。
通常では考え難い程の利益を上げ、巨額の役員報酬を得て、タニマチを気取り、清和会のパーティー券を買う。これは普通の除染業者ができることではないとも思えるが。発注元である環境省に聞くと、
「民間企業の売上高や利益などについては、コメントを差し控えさせていただきます」(除染チーム)
また、元請けの清水建設は、
「個々の取引先の業績についてはコメントを差し控えさせていただきますが、今後、同社への発注は取り止める所存です」(コーポレート・コミュニケーション部)
相双リテックからの回答はなかったが、彼らの“春”は長く続きそうもない。