内部被ばくについて、自主的に学習し、周りの方々に広めていくための会
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2018年1月

原子力規制委員会のでたらめ モニタリング・ポストではなくガラスバッヂで個人線量を測るのは間違い。

 2018年1月17日、原子力規制委員会の更田委員長は、定例記者会見で恐ろしい発言をしています。「1マイクロシーベルト/時のところにずっと居住しても、年間1ミリシーベルト被ばくにも達しない」と。 原子力規制委員会 定例記者会見 会議映像 2018年1月17日 4’25~ 問題の発言は6’06~  モニタリングポストは全方位からのガンマ線から空間線量を計算しますが(一部、原子力規制委員会の設置したモニタリング・ポストはバッテリーなどで遮蔽しているので全部ではありません。真実の6割ほどの値になっています)、ガラスバッヂは正面からのガンマ線のみを測定しています。背中側からのものは人体が吸収してしまうからです。第2回市民科学者国際会議(2012年6月23日~6月24日、福島県猪苗代湖で開催)でフランスのクリラッド(放射能調査情報提供独立委員会)CRIIRAD研究所長 ブルーノ・シャレイロン氏が講演の中で、ガンマ線を測定する放射線量計(単位はカウント/秒,count/s)で福島県福島市の中手さんの事務所で測定している動画を紹介されていました。ガラスバッジで個人の線量を測定するでたらめが分かります。 *** *** *** IWJ アーカイブス 市民科学者国際会議 2012.6.24 https://iwj.co.jp/wj/open/archives/20814  この中の・6月24日 Part1のCRIIRAD研究所長 ブルーノ・シャレイロン氏の講演、31’50~36’35のところです。以下、ブルーノ氏の解説の意訳。(意訳:川根眞也)  福島市中手さんの事務所にて 床 691count/s(秒)。通常は100count/s。駐車場などが放射性物質で汚染されているためのそのガンマ線が窓や壁を通して入ってきている。  少し持ち上げると 1064cout/s。窓や壁からのガンマ線の量が増える。  外の駐車場に近い窓に近づけると 1454count/s。駐車場からのガンマ線の量が増える。  外に出ると上がり、1504count/s。駐車場に出ると2213count/sまでになる。  窓辺に立ち、私のからだを駐車場との間に入れた場合といれなかった場合とで比べてみましょう。  窓辺に置くと、1372count/s。ところが私のからだを駐車場との間に入れると、1042cout/s。差し引き300count分が私のからだに吸収されたことがわかります。このガンマ線が私のからだの細胞のDNAを傷つけるのです。 *** *** ***  つまり、ガラスバッジはからだの前面からのガンマ線しか測っていません。背中側のガンマ線は、人体が吸収するのです。だから、モニタリング・ポストの数値の3分の1ほどにもなるのです。原子力規制委員会がガラスバッヂの数値を、個人の被ばく線量の数値に置き換え、高放射能汚染地帯へ住民を帰還させるのを許してはなりません。  原発事故前の、本来の被ばく管理は、場の管理でした。かつて、放射線管理区域に人が住み続けることは、誰も予想していなかったことです。放射線管理区域相当は、人間の居住を認めるべきではありません。日本での放射線管理区域とはアルファ線核種で4000ベクレル/m2、ガンマ線・ベータ線核種で4万ベクレル/m2です。土壌にセシウム134、137が615ベクレル/kgあれば、1m2あたり4万ベクレルに相当します。  チェルノブイリでもウクライナ、ベラルーシ、ロシアでは3.7万ベクレル/m2が放射線定期管理居住区域と指定されています。放射線管理区域には人は住めない、をまず基本にするべきだと考えるます。ベラルーシでは現在では、法律において、実効被ばく線量を年間1ミリシーベルトから年間0.1ミリシーベルトに低減するまで防護対策を続ける、としています。(アレクセイ・ヤブロコフ他『調査報告 チェルノブイリ被害の全貌』岩波書店,2013年 pp.294)  日本政府は、チェルノブイリの国、ウクライナやベラルーシ、ロシアに学ぶべきではないでしょうか。でたらめな放射線管理はもう止めるべきです。土地汚染で健康影響を判断するべきです。 <参考>「モニタリングポストに人為的操作!?「郡山・相馬・南相馬30~65%も少なく表示」10/5矢ヶ崎克馬氏(会見内容書き出し・資料)」 ブログ みんな楽しくHappy♡がいい♪ さん 2012年10月16日

2011年3月15日以降、関東地方を襲ったのは「セシウム・ボール」ではなく、「ホット・パーティクル」

 茨城新聞が非常にいい記事を書きました。「関東に放射性粒子飛来 福島第一事故当時に放出 内部被ばくの影響調査 日本保健物理学会」茨城新聞 2018年1月14日  関東に放射性粒子飛来 内部被ばくの影響調査 日本保健物理学会                      茨城新聞2018年1月14日(日) ・福島第1事故当時に放出  東京電力福島第1原発事故で大気中に放出された放射性物質の一部から、放射性セシウムがガラスと混ざり合った微小な球状の粒子が見つかった。「セシウムボール」と呼ぱれ、水に溶けず環境中に長期間残存するのが特徴で、事故当時、東京など関東地方に飛来したことが確認された。日本保健物理学会がこの粒子を吸い込んだ場合の内部被ばくの影響を調べている。 280キロ東京理科大などの研究チームは2017年5月、千葉市で開かれた日本地球惑星科学連合の大会で関東に飛来したセシウムボールについて報告した。 チームは、各県に設置されていた大気粉じんの測定機器に注目。 放射性物質を含む雲が関東地方を通過した11年3月15日のフィルターからセシウムボールを検出した。  第1原発から280キロ離れた場所で見つかった粒子は、直径約1マイクロメートル。スギ花粉の10分の1以下ほどの粒子に、0・3ベクレルのセシウムが含まれていた。第1原発2、3号機のセシウムと特徴が似ているため、2号機か3号機に由来するとみられるが、形成過程は詳しく分かっていない。 2号機は同14日午後に炉心損傷が始まり、メルトダウンしたI~3号機の中で最も多い放射性物質を放出した。微小なセシウムボールは風に乗り、同15日午前から午後にかけて関東を通過したとみられる。    ▼断熱材 第1原発近くの福島県双葉町の土壌からはガラスが混ざったいひつな形の放射性粒子が見つかった 直径は関東地方で見つかったセンウムホールの200倍程度で平均200マイクロメートル。数百ベクレルの放射性物質を含み、特徴から1号機由来とみられる。専門家は「Bタイプ」と呼び分けた。 分析した日本原子力研究開発機構の佐藤志彦さん(放射化学)は「原発のさまざまな場所で使われている断熱材の成分と粒子の主成分がうり二つだ」と話す。 1号機は同11日午後に炉心損傷が始まった。ガス状のセシウムが断熱材に吸着された後に熱によって溶け、同12日午後の水素爆発で北北西方向に飛散したとみられる。 東北大の福本学名誉教授 (放射線病理学)は「原子炉建屋などの解体作業中に高濃度のセシウムボールが飛散する可能性が高く、廃炉作業では防護対策が必要だ」と警鐘を鳴らす。              ▼細胞死 健康影響について、日本保健物理学会に調査を依頼した東京大の森口祐一教授(環境システム学)は「外部被ぱくでは特別視する必要はないが、水に溶けないので内部被ぱくの想定が従来とは異なる」と指摘する。 東北大はセシウムボールが人の細胞に与える影響を調べた。培養している細胞のそばにBタイプの粒子を置くと、細胞の増殖が放射線の影響で遅くなった。東北大の鈴木正敏助教(放射線生物学)は「至近距離だと細胞死が起こる可能性がある。生存することができる細胞でも遅れて突然変異などが起こるか調べる必要がある」と話した。 初発見はつくぱ  後に広域で報告    風に乗り拡散か  放射性物質のセシウムを含む微粒子「セシウムボール」は、東京電力福島第1原発から約170キロ離れたつくぱ所内で初めて見つかった。 その後、同市て見つかったものよりもやや小さいセシウムボールが関東地方の広域で相次いで報告された。小さい粒子は風に乗って遠くに飛散した可能性かおる。セシウムを体内に取り込んだ場合、代謝によって少しずつ体外に排出されるが、セシウムボールは水に溶けないため、1部が肺などに長期間とどまる懸念があるという。 *** *** ***  しかし、この「セシウム・ボール」は、NHKを中心とする、日本政府の国家を挙げたデマ・キャンペーンで、本来はプルトニウムを中心とする、「ホット・パーティクル」(高放射能微粒子)と呼ぶべきです。  2014年の足立光司氏らの研究から。  このたった、2.6マイクロメートルの粒子に、セシウム134が3.31±0.06ベクレル、セシウム137が3.27±0.04ベクレル、含まれていた、というのです。  しかし、これは本当に「セシウム・ボール」なのでしょうか。  原子炉のメルトダウンの温度は2865℃ですが、東京電力の資料には未だに2800℃止まりの資料しか出していません。詐欺です。東京電力もメルトダウンを認めたのですから、推定でいいので、原子炉が一体何℃になったのか、公表するべきです。 資料:福島第一原子力発電所1~3 号機の炉心・格納容器の状態の推定と未解明問題に関する検討第3回進捗報告 東京電力 2015年5月20日  NHKなど、たびたび、ガラスの成分が主である、不溶性の放射性微粒子「セシウム・ボール」を紹介していますが、これは間違いです。セシウムの質量はどれくらいなのか?足立光司氏らの研究グループが研究した「セシウム・ボール」など、微粒子の質量のたった5.5%がセシウムであることが推定されています。では、残りの94.5%は何なのでしょうか。 資料:Emission of spherical cesium―bearing particles from an early stage of the Fukushima nuclear accident Kouji Adachi, Mizuo Kajino, Yuji Zaizen & Yasuhito Igarashi Scientific Reports 20130830 pp.3  東京理科大学の中井泉教授らがSpring8を使って、この足立光司らの研究した「セシウム・ボール」を構成している元素を分析したところ、中心部分をはじめウランがあることを見つけています。 資料:Detection of Uranium and Chemical State Analysis 中井泉ほか 2014 American Chemical Society  つまり、これは「セシウム・ボール」などではなく、ウランやプルトニウムを中心とする高放射性微粒子、「ホット・パーティクル」です。  また、山口紀子氏(農業環境科学研究所)らの研究によれば、福島のスギの葉から採取された放射能微粒子の元素分析では、ジルコニウム(Zr)が検出されています。ジルコニウム(Zr)とは言うまでもなく、核燃料棒の被覆管を作る金属です。つまり、原子炉がメルトダウンする温度、2865℃を超えて、被覆管まで溶かし、爆発とともに噴出した際にできた金属粒子であることを示しています。 資料:Supporting Infomation Emission of spherical cesium-bearing particles from an early stage of the Fukushima nuclear accident  死の灰の中にウランが含まれているのはもちろんのこと。さらに、ウランよりももっと多いのがプルトニウムです。宮城県が女川原発3号機でMOX燃料を使用させるための検討会で使った資料です。  東京電力 福島第一原発3号機にはMOX燃料が32体使われていました。MOX燃料の場合、ウラン燃料よりも「死の灰」にプルトニウムが含まれる割合はさらに高くなります。  ウランがこの「セシウム・ボール」の中にあるのなら、プルトニウムがあると考えるべきです。これは「セシウム・ボール」ではなく、プルトニウムを含む「ホット・パーティクル」であり、肺の奥の肺胞に入った場合、60年後にも肺がんを引き起こす可能性がある、ということです。 NHKニュース 内部被ばくの“証拠”撮影 長崎大研究グループ [...]

日米原子力協定、2018年1月16日に日米が相手国に通告しないと自動延長

  日本がアメリカに、使用済み核燃料からのプルトニウム抽出権を放棄する、と通告すべきなのは、今日2018年1月16日まで、でした。同協定は、6ヵ月前にどちらかが通告すれば、日米原子力協定は終了するはずでした。今日のうちに、日本が通告しないということは、同協定の期限、2018年7月16日に自動延長されてしまうことになります。小泉純一郎氏らの原発ゼロ・自然エネルギー推進連盟(原自連)が、2018年1月10日になって、「原発即時ゼロ法案」を公表しましたが、なぜ、昨年の国会時に公表出来なかったのでしょうか?日本の原発は、日本の国内問題だけではなく、日本が戦争被爆国でありながら、核大国アメリカを支持していることと、密接に絡んでいます。日米原子力協定の終了ぬきに日本の原発ゼロはありえません。日本の原発ゼロは、すぐれて対米政策の転換を伴わなければなりません。小泉純一郎氏に、その意志はあるのでしょうか?意図的に「原発即時ゼロ法案」の発表を、日米原子力協定の自動延長が決まる、2018年1月16日直前まで遅らせた疑いすらあります。   ちなみに、本日の東京新聞朝刊には、日米原子力協定の自動延長に関する記事は一切ありませんでした。東京新聞も時々、脱原発の世論をミスリードします。東京新聞だけを信用するのは危険です。(東京新聞2018年1月11日朝刊6面に「日米原子力協定自動延長に慎重 河野外相」の記事あり。しかし、2018年1月16日のことは書かず。)  今、確認しましたが、2018年1月16日の朝刊および夕刊で、日米原子力協定の自動延長について書いたのは、毎日新聞朝刊だけであり、朝日、東京、読売はいずれも朝夕刊で書きませんでした。それほど、報道するに足りない事なのでしょうか。各紙の編集長の見識が疑われます。 *** *** *** 日米原子力協定延長へ毎日新聞 2018年1月16日 東京朝刊1面 日米原子力協定が今年7月以降に自動延長されることが16日、事実上確定する。協定は日本に対して使用済み核燃料からプルトニウムを抽出し、混合酸化物(MOX)燃料として再利用する「核燃料サイクル」を認めており、自動延長で日本の核燃料サイクル政策は継続できることになる。  ただ、延長後はいずれか一方が通告すれば6カ月後に協定が終了するため、日本の原子力政策は米国の意向に左右されやすくなる。  米国は原子力技術を他国に供与する際、核不拡散の観点から原子力協定で核物質の扱いや関連設備の取り扱いを規制。日米原子力協定では、非核保有国の日本に対し、使用済み核燃料の再処理やウラン濃縮など核燃料サイクル事業を行うことを特例的に認めている。  1988年7月発効の現協定は今年7月16日に期限の30年を迎えるが、その6カ月前に日米いずれかが終了を通告しなければ自動延長される。日本政府は協定の現状維持を図るべく交渉機会をうかがっていた。だが、トランプ政権の交渉体制が整わず、本格的な交渉を経ることなく自動延長となる。【片平知宏】 *** *** *** 日米原子力協定延長へ 見直し議論せず 原発輸出推進で思惑一致毎日新聞 2018年1月16日 東京朝刊  2面 日本の核燃料サイクル事業を認める日米原子力協定は16日、自動延長が確定する。原子力政策の現状維持で日米の思惑が一致した結果だが、日本の核燃料サイクル政策は事実上破綻。日本政府の「利用目的のないプルトニウムは持たない」との国際公約は説得力を欠いているのが実情だ。  日米両政府には、原子力協定の具体的な見直しは選択肢になかった。「利用目的のないプルトニウムは持たない」という原則を国際的に表明した日本は、核燃料サイクル政策を簡単に変更できない。原発輸出推進で足並みをそろえる米国も日本に配慮した。  安倍政権は原発輸出を成長戦略の柱の一つにしている。輸出には日立と米ゼネラル・エレクトリック(GE)社など日米のメーカーが関わるため、第三国への輸出でも日米の協定が欠かせない。トランプ政権も同様だ。  対北朝鮮での連携をはじめ日米同盟の重要性が増す中、両政府間で協定見直し論議の優先順位は高くなかった。米エネルギー省のブルイエット副長官は昨年10月に来日した際、「(日米協定を)再交渉する理由はない」と明言。続く11月の安倍晋三首相とトランプ大統領の会談でも議題に上った形跡はない。  日本では昨年8月、首相が核燃料サイクル政策に批判的な河野太郎氏を外相に起用したことを受け、協定見直し論が浮上するのではないかという見方が広がった。しかし、河野氏は就任後、持論を封印し、管轄外の原子力政策に踏み込むのを控えている。  河野氏は今月11日放送のBS11の番組で、協定に関連して「プルトニウムの利用を国際社会に胸を張って説明できるような状況をつくる必要、義務がある」と懸念を示したものの、「協定は日本の原子力の平和利用の基盤になっている」とも述べ、見直しには言及しなかった。  協定が自動延長される7月16日以降、規定上は、日米のいずれかが通告すれば半年後に協定を終了できるようになる。米国防総省や国務省の国際安全保障・不拡散局内には、日本が核兵器に転用可能なプルトニウムを大量保有していることへの懸念がある。  外務省関係者は「日米間には信頼関係があり、米側が協定に疑問を持つことは当面ないだろう」と楽観するが、米側で協定見直し論が浮上する可能性は消えていない。【仙石恭、ワシントン高本耕太】 核燃料サイクル、事実上破綻  日米原子力協定で認められている日本の核燃料サイクル政策は原子力政策の根幹をなしてきたが、実態は破綻している。  核燃料サイクルは、原発の使用済み核燃料から「再処理」と呼ばれる化学処理によってウランとプルトニウムを取り出し、ウラン・プルトニウム混合酸化物(MOX)燃料に加工して再利用する。政府は当初、高速増殖炉でプルトニウムを増やしながら使う「増殖サイクル」を目指したが、中核を担う高速増殖原型炉「もんじゅ」(福井県敦賀市)はトラブル続きで2016年12月に廃炉が決まった。政府はプルトニウムを燃やして消費する「高速炉」をフランスなどと開発するとしているが、具体的なめどは立っていない。  現在、国内でプルトニウムが利用可能な手段は、既存の原発でMOX燃料を使う「プルサーマル発電」のみ。電力大手でつくる電気事業連合会は09年、15年度までに全国の原発16~18基にプルサーマル発電を導入する計画を発表した。だが福島第1原発事故後の規制強化で稼働は関西電力高浜原発3、4号機(同県高浜町)の2基にとどまっており、電事連は16年に「計画を改訂・公表できる状況にはない」とプルサーマル発電の行き詰まりを認めた。  プルトニウムは核兵器に転用できるため、政府は「利用目的のない分は所有しない」ことを国際公約にしている。日本が保有するプルトニウムは16年末現在、国内外で約47トンあるが、プルサーマル発電によるプルトニウム消費量は原発1基当たり年0・4トン程度に過ぎない。さらに年最大8トンのプルトニウムを生み出す能力を持つ日本原燃の使用済み核燃料再処理工場(青森県六ケ所村)が21年度上期に完成予定でもあり、日本がプルトニウムを消費できるめどは立っていない。  核不拡散問題に詳しい阿部信泰・元原子力委員は「核燃料サイクルは実態としては動いていない。このままでは、使用目的のないプルトニウムは持たないという日本への国際社会の信頼は低下する。少なくとも再処理工場の稼働規模は小さくする必要がある」との懸念を示した。【岡田英】 

立憲民主党の「原発ゼロ基本法案」に思う。「核兵器と原発ゼロ基本法案」(川根試案)を!

立憲民主党の「原発ゼロ基本法案」、このままでは見かけ倒しに終わる可能性大です。 かつての野田政権が、2011年8月「原発ゼロ」を掲げましたが、9月にはアメリカから「ブルトニウム抽出権」はどうするのだ?などなと言われ、あっという間に、「原発ゼロ」政策を放棄しました。 今回の立憲民主党の「原発ゼロ基本法案」は「使用済み核燃料の再処理と核燃料サイクルも中止する」が入っているだけ、まだ良いのですが、大事なのは、日本の原発はアメリカの核戦略の支援と密接に絡んでいること。日本の原発をゼロにするためには、日米原子力協定の破棄ないし、停止が必要です。 川根の個人的な推測ですが、日米安保条約や、それに関係する密約まで手をつけなければ、解決できない問題だと思います。 願望や夢だけでは、原発ゼロはできません。 アメリカに原爆を落とされた国、日本になぜこれほどの原発が建ったのかも、含めて考えると、一筋縄ではいかない問題です。日本はアメリカの原爆投下を不問にするかわりに、原発を輸出してもらえたのです。 <参考文献>笹本制男『米軍占領下の原爆調査 加害国になった日本』新幹社、1995年 さらに、アメリカの核戦略を支持すること、の見返りに、使用済み核燃料からのブルトニウム抽出権を、国際原子力機関(IAEA)、つまりアメリカから認められたのです。 原発を辞めるということは、これらすべての問題に答えを出す、ということ。 同時に、ブルトニウム抽出権は、日本の独自核武装のための、必須条件です。これほどの無駄な予算をつぎ込んでも何一つ出来ていない、ブルトニウム抽出、核燃料サイクルが、潰れそうになりながらも、繰り返し息を吹き返すのは、日本の保守層に連綿としてある、独自核武装への願望でしか、説明できません。「原発ゼロ、なら、日本の独自核武装の権利も放棄するのか?」「北朝鮮の核ミサイルにどうやって対抗するのだ?」という議論が早晩出てくるはずです。 川根は、何も「原発ゼロ基本法案」を作るべきではない、と言いたいのではありません。法案に魂を入れないと、見かけ倒しになる、と言いたいのです。 その魂とは、 (1) 2度と広島、長崎の惨劇を繰り返さない。福島の事故を起こさない。そのために、核兵器にも、原発にも依存しない世界を目指し、日本は未来永劫、核戦力を保持しないし、アメリカの核兵器も持ち込ませない、核に依存しない安全保障政策へと転換する。北東アジアの非核武装地帯化を訴える。北朝鮮の目の前での日米や米韓軍事演習を中止し、北朝鮮が国家として存続することを支持することと同時に、北朝鮮に対して、核武装の放棄を呼び掛ける。 (2) 日本は未来永劫、核武装も核の傘にも依存しない。核兵器禁止条約に参加する。核保有国に対して、核兵器の保有と核による威嚇を辞めるよう求める。 (3) すべての原発の運転を停止し、地震、津波、火山等に対する安全を強化する。他国に対して、原発を狙った通常兵器による攻撃も、核攻撃と同じであることを訴え、日本を含めた地域の安全のためにも、北東アジアの戦争防止の対話の枠組みを創設する。 (4) 使用済み核燃料からのブルトニウム抽出権は放棄する。日米原子力協定は破棄する。日本が保有するブルトニウム、国内11トン(核分裂性は7トン)、海外37トン(核分裂性24トン)、計48トン(核分裂性31トン)は、アメリカに無償で譲渡する。同時に、アメリカに対して、核兵器ゼロに向けた他国か間交渉の開始を要求する。 (5) 使用済み核燃料の最終処分の考えは、放棄し、地上に30年単位で期間を決めて保管する。保管方法はその都度見直す。地震大国、火山大国日本に、地層処分できる、安定した地層など存在しない。原発の廃炉に伴う、高レベル廃棄物は原発立地自治体に保管する。核燃料プールの使用済み核燃料は、電力受給自治体の消費電力に応じた割合で、期間を決めて保管する。津波で流されることも想定し。カプセル型とし、流されたあと回収する体制も作る。電源なくして冷やせる空冷式とする。 川根が考えた「核兵器と原発ゼロ基本法案」です。 記:2018年1月5日(金) 18:30。同日、立憲民主党 枝野幸男代表にも手紙で手渡しました。

広島原爆よりも、東電 福島第一原発事故のフォールアウトのほうが数万倍大きかった 福島「放射能恐怖症」批判(1)

[第1稿]2018年1月2日記 資料編集・解説 川根眞也  2017年12月25日、第29回福島県県民健康調査検討委員会は異常でした。資料一覧をご覧下さい。見出しを見ただけで、その異常さがわかります。 第29回福島県「県民健康調査」検討委員会(平成29年12月25日)の資料について 資料1 第6回学術研究目的のためのデータ提供に関する検討部会 開催報告 資料2 第8回甲状腺検査評価部会 開催報告資料3-1 県⺠健康調査「甲状腺検査【本格検査(検査3回目)】」実施状況資料3-2 県⺠健康調査「甲状腺検査【本格検査(平成30・31年度実施)】」実施計画(案)資料4-1 平成29年度「こころの健康度・⽣活習慣に関する調査」実施計画 資料4-2 平成29年度「こころの健康度・⽣活習慣に関する調査」調査票等(案)について 資料4-3 平成29年度「こころの健康度・⽣活習慣に関する調査」調査票の変更点について(案)資料4-4 県⺠健康調査「こころの健康度・⽣活習慣に関する調査」結果概要等 参考資料1 第6回学術研究目的のためのデータ提供に関する検討部会資料【抜粋】参考資料2 第8回甲状腺検査評価部会資料【抜粋】参考資料3 甲状腺検査結果の状況 参考資料4 ⽇本学術会議臨床医学委員会放射線防護・リスクマネジメント分科会(報告)「⼦どもの放射線被ばくの影響と今後の課題-現在の科的知⾒を福島でいかすために-」【抜粋】   「こころの健康度・生活習慣に関する調査」、これはかつて、チェルノブイリで放射能被ばくによる、さまざまな健康被害をすべて、「放射能恐怖症」(ラディオフォビア)として、十把一絡げにして「気にするから病気になる」とした、戦略です。  このシリーズでこの「放射能恐怖症」はこころの問題ではなく、放射能が原因であることを示していきたいと思います。今回はその第1弾 広島原爆よりも、東電 福島第一原発事故のフォールアウトのほうが数万倍大きかった です。  福島での「これくらいの放射線は安全」「福島食べて応援」「風評被害、みんなで払拭」のために、県民健康調査検討委員会は、「こころの健康問題」に取り組むようです。これについては、広島、長崎の「黒い雨」や、長崎の「被爆体験者」の厚生労働省の研究、とその批判が参考になります。 <第1弾>広島原爆よりも、東電 福島第一原発事故のフォールアウトのほうが数万倍大きかった  東電 福島第一原子力発電所は、広島型原爆の168倍のセシウム137が放出された、と児玉龍彦氏が国会で報告しています。2011年7月27日 (水) 衆議院厚生労働委員会 「放射線の健康への影響」参考人説明より 児玉龍彦(東京大学アイソトープセンター長、参考人) youtube動画 2011.07.27 国の原発対応に満身の怒り – 児玉龍彦  しかし、広島原爆の人体への影響は、そのセシウム137の土壌汚染で計られています。セシウム137だけでなく、さまざまな短寿命各種の影響も考慮されなくてはなりませんが。現状では、多くの短寿命核種が無視されています。  さて、広島原爆の爆心地の土壌には、どれくらいのセシウム137があったのでしょうか。万の単位でしょうか?148万の単位でしょうか?  以下が真実です。  爆心地(広島大学理学部岩石学教室による試料) 13ベクレル/m2 (理研土壌サンプル平均) 15ベクレル/m2   爆心地から2km圏(理研土壌サンプル)       490ベクレル/m2  黒い雨の壁サンプル(爆心地から3.3km)    485ベクレル/m2 つまり、原爆爆心地近くでセシウム137が13~15ベクレル/m2、黒い雨が降った地域で485~490ベクレル/m2のレベルだったのです。ここで健康被害が出ています。 【出典】これまでの黒い雨の測定結果について 静間清 広島大学大学院工学研究科 広島原爆“黒い雨”にともなう放射性降下物に関する研究の現状 広島“黒い雨”放射能研究会 2010年5月 pp.25~35  福島県で、これほど低い放射能汚染を探すことは難しいでしょう。東京ではゆうにこの10倍、江戸川区などのホット・スポットでは3万2000倍です。(最高24万3000ベクレル/kg、調査 NO!放射能「東京連合子どもを守る会」,2012年)東京で健康被害がでないなど、誰が言ったのでしょう。「東京で健康被害などでない」と言った、学者、医者こそがデマの大元でした。  東京都江戸川区 都営団地コンクリート広場、広場周辺、保育園そば  空間線量率 1.427マイクロシーベルト/時  2.045~3.161マイクロシーベルト/時  0.449マイクロシーベルト/時                        18万8000~24万3000ベクレル/kg(セシウム134、137合計)                                                                                                   ↓                             1579万5000ベクレル/m2 (土壌Bq/kgの65倍) *** 広島原爆“黒い雨”にともなう放射性降下物に関する研究の現状 広島“黒い雨”放射能研究会 2010年5月 *** 「これまでの黒い雨の測定結果等について」 静間清 広島大学大学院工学研究科 (編集者:注)3種類の試料(爆心地、爆心地から2km、黒い雨ー爆心地から3.3km)の解説を上記資料から、編集者が抜粋・整理した。 これまでの黒い雨の測定結果について 静間清 広島大学大学院工学研究科 広島原爆“黒い雨”にともなう放射性降下物に関する研究の現状 広島“黒い雨”放射能研究会 2010年5月 pp25~35 新しいバージョン  <理化学研究所 仁科芳雄氏の土壌試料>  1945年8月8日に理化学研究所の仁科芳雄氏は陸軍調査団とともに空路、広島に入った。8月9日には仁科氏の指導のもとに陸軍関係者により爆心から5km以内の28ヶ所から土壌試料が採取された。試料は使用済みの封筒などに入れられて8月10日に東京に空輸され、その日の内に理研において測定されて、銅線から放射能が検出された。これにより原爆であることが確かめられた。この他、初期調査としては8月10日に大阪調査団が入市し、携帯用箔検電器を使用して西練兵場の砂から放射能を検出した。翌11日には市内の数ヶ所から砂を採取し、己斐駅付近で放射能が高いことが確かめられた。8月10日には京都大学調査団も入市し、市内で砂を採取して11日に帰京ののち放射能を検出した。そして、9月3日、4日には山崎文男氏(理研)がローリッツェン検電器を自動車に乗せて外部放射線量の現場測定を行った。  我々は己斐、高須付近の被爆試料を探す中で、仁科氏により集められた土壌試料を岡野真晴氏(元理研)が保管されていることを知った。これらの試料は1992年に広島市に返還された。試料の写真を図11に示し、試料の採取位置とガンマ線スペクトルの例を図12に示す。我々は低バックグラウンドガンマ線スペクトロメータを使用してセシウム137の測定を行い、爆心から5kmの範囲内のフォールアウトの分布を調べた。そして、宇田雨域および増田雨域との比較を行い、旧広島市内の降雨域は増田雨域により近いと推定されることを示すとともに、フォールアウトによる放射線量の推定を行った。また、降雨域との比較を図13に示す。 <広島大学理学部岩石学教室の調査試料>  原爆線量の見直しが1980年頃から日米で開始された。その結果は1986年にDS86線量システムとしてまとめられた。我々が1985年頃から原爆中子線による残留放射能の測定を行っていた。その間、1987年に、広島大学理学部岩石学教室に被爆試料が保管されていることを知った。これらは倉庫のなかに14箱、別の部屋に3箱の合計17箱あった。図9に試料の一部を示す。  これらの試料採取を行った秀氏はフィールドノートと地図を保管されていた。フィールドノートから全サンプル115 のうち、40-50 個の採取場所を確認できた。これらの試料は原爆の熱線による岩石学的調査の目的のために集められたので、爆心付近の試料が多く、己斐、高須付近の試料は含まれていなかったが、現在では存在していない爆心付近にあった広島郵便局、清病院、島病院などの建物の試料が数多く含まれていた。我々はこれらの試料についてまず、非破壊のままで、試料表面に付着しているフォールアウト成分セシウム137 の測定を行い、続いて原爆中性子誘導放射能ユーロピウム152 の測定を行った。試料の採取位置とセシウム137の662keV 付近のガンマ線スペクトルの例を図10 に示す。セシウムCs が検出されたのは爆心付近の5サンプルのみであった。 <広島市原爆資料館の「黒い雨」壁面>  現在、原爆資料館(平和記念資料館)には黒い雨の痕跡の残る壁が2つ所蔵されている。いずれも広島市西区高須の八島秋次郎氏から寄贈されたものである。原爆による爆風で八島氏の屋根がずれ、屋根と洋間の内側の壁の間に隙間ができて、そこから黒い雨が降り込んで壁に跡が残った。雨は粘着性が高く、跡は少し厚みがあった。その跡を雑巾でも拭いたので、現在は平らになっている。昭和42年に自宅改装の際、壁の一部が切り取られて原爆資料館に寄贈された。  その後、昭和60年にNHKにより黒い雨の特集番組が製作・報道された。その際、壁の一部が切り取られた、八島氏宅を図14に示し、この壁の写真を図15に示す。  そして、イメージングプレートを用いてオーロラジオグラフィを行った結果、黒い雨に原因する放射線像が検出された。この壁は平成12年5月に原爆資料館に寄贈された。我々はこの壁について高須地区の黒い雨の痕跡を残していることから、1)己斐・高須地区におけるセシウム137の降下量を推定できること、2)広島原爆に由来する濃縮ウランが検出できる可能性があることの2点を研究目的として調査を行った。広島原爆は濃縮したウラン235(U-235)を使用した唯一の爆弾であった。使われたウランは約51kgであり、そのうち核分裂を起こしたのは1kg程度で残り約50gは爆弾のケース、核分裂片とともにガス化し、原子雲に含まれて飛散したと考えられている。黒い雨に原爆由来のウランが含まれていればウラン235とウラン238の原子数比が天然比(0.00726)よりも高くなることが予想される。ウランの原子数比を測定するのは誘導結合プラズマ質量分析法(IPS-MS)が最適であるので、広島の黒い雨地域の土壌の分析を試みていた藤川陽子氏(京都大学原子炉実験所)と共同研究を進めた。まず、この壁の端から6個の小片を採取することの許可を得て、耳かき一杯程度の小片(重量0.017g~0.275g)を採取した。採取位置を図16に示す。これらの試料をガンマ線検出器で測定することにより、黒い雨部分からセシウム137が検出された。  広島におけるセシウム137の測定データのまとめを表1に示す。数値は原爆直後に半減期補正をした値である。(広島大学)理学部岩石学教室の被爆試料のうちセシウム137が測定した5サンプルから推定した爆心近くでのセシウム137の降下量は13ベクレル/m2(0.13×108Bq/km2)であった。(仁科芳雄氏が集めた)理研土壌試料のうちで、己斐に近いNo.7試料から推定したセシウム137の降下量とよく一致した。   <資料再掲> <編集者:注>  1)爆心地は13ベクレル/m2や平均15ベクレル/m2 2)爆心地から半径2kmでは490ベクレル/km 3)黒い雨(爆心地から3.3km)では485ベクレル/m2。  つまり、爆心地よりも周辺の方がセシウム137をはじめとする放射性降下物が多かったこと。それは爆心地から半径2kmの地点と、黒い雨が降下した3.3kmの地点では、爆心付近の約35倍もの濃度になる、ということです。黒い雨を浴びた人々が、多く、脱毛や下痢、出血傾向などの急性症状が見られ、原爆ぶらぶら病のような慢性疾患や癌が多発したという体験談を語っています。  これは、原爆爆発時の放射線や放射線によって放射能を帯びた物質による二次放射能だけではなく、爆発時に起こった火災の熱による上昇気流によって、きのこ雲ができました。このきのこ雲から降った、黒い雨、茶色い雨、無色の雨を広範囲に人々が浴びたためであること考えられます。  東電 福島第一原発事故が放出した放射能もこうした雨によるフォールアウトが起こっており、その規模は広島原爆とは比較にならないくらいの規模であることは明らかです。それは土壌に沈着したセシウム137の量の比較からもわかります。  放射能による健康被害は、事実として放射能を浴びたか、飲食によって放射能で汚染されたものを食べたかによって引き起こされるものです。こころの問題が第一の原因とされるべきではありません。こころの問題は、実際の健康被害からさらに2次的に引き起こされる問題です。 【参考】ORNL―TM―4017が問いかける残留放射線の人体影響 本田孝也 2012年9月 ORNL―TM―4017が問いかける残留放射線の人体影響 本田孝也 2012年9月                              

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