内部被ばくについて、自主的に学習し、周りの方々に広めていくための会
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2016年12月

福島県、東北・関東で多発する甲状腺がん。真実を報道する新聞はどこか?2016年12月28日、29日の新聞各紙から

 2016年12月27日に開催された、福島県 第25回県民健康調査検討委員会の発表では、福島の小児甲状腺がんは183名となりました。一番、真実を伝えていたのは北海道新聞ではないでしょうか。 ■福島県の子ども調査 甲状腺がん患者増加 14年度以降 疑いを含め68人 北海道新聞 2016年12月28日 25面■ 福島民報も、福島民友の報じています。現地の新聞ではもっと大きく報じられているはずです。電子版では ■がん確定44人に 2巡目の子ども甲状腺検査 福島民報 2016年12月28日■ ■甲状腺がん…計44人に、2巡目検査で新たに10人 県民健康調査 福島民友 2016年12月28日■  一方で、全国紙は非常に小さい扱いです。全国紙ではありませんが、東京新聞が2面で取り上げています。 ■福島甲状腺がん 「第三者検証を」 健康調査検討委 東京新聞 2016年12月28日2面■ 毎日新聞がやや大きい記事ですが、28面です。朝日新聞は非常に小さい記事で25面に掲載されていました。記事があることをわかっていないと見つけることも難しい記事です。 ■甲状腺がん 新たに10人 福島県民健康調査 毎日新聞 2016年12月28日28面■ ■福島の子、甲状腺がん145人 朝日新聞 2016年12月28日25面■  読売新聞。前回(第24回県民健康調査検討委員会 2016年9月14日)、前々回(第23回県民健康調査検討委員会 2016年6月6日)のときは、全国版には記事を載せず、福島県版のみ記事を載せました。福島の子どもたちの小児甲状腺がんは福島県内の問題だ、とでも言うように。そして、今回の読売新聞は、全国版にも福島県版にも記事を載せませんでした。「183名の福島の小児甲状腺がんの子どもたち」の存在を読売新聞は完全に無視しました。以下に検索結果を載せます。  事実はこうです。第25回県民健康調査検討委員会(2016年12月27日)で発表された福島県の小児甲状腺がんは本格検査で68名。第23回県民健康調査検討委員会(2016年6月6日)で発表された福島県の小児甲状腺がんは先行検査で115名。合計183名です。  福島県立医大は、通常、甲状腺がんがどうかを判断する穿刺細胞診で悪性とされた子どもを「甲状腺がん確定」としていません。手術を終えた子どものみを「甲状腺がん確定」としています。手術を終えていない子どもを「甲状腺がん疑い」として、「がん確定」と区別しています。上記の新聞記事がすべて、がんの人数とがん疑いの人数を別々に記述しているのは、この福島県立医大の奇妙な分類分けに基づいています。しかし、これまで、穿刺細胞診で悪性とされ、手術してみたら良性だった子どもはたった1人しかいません。手術を終えた144名中143名は、穿刺細胞診で悪性とされ、手術でも悪性でした。99.3%の精度である、と言えます。  福島県立医大のように「甲状腺がん確定」と「悪性疑い」とに区別する必要はありません。川根が記載している、183名とは、手術後良性結節であった、この1人を除く、穿刺細胞診で悪性と診断された子どもたちの人数を指します。  また、地方自治体が行っている検査でも、茨城県北茨城市で3名、宮城県丸森町で2名の小児甲状腺がんの子どもが出ています。   ■茨城県北茨城市 小児甲状腺がん 3名■  (2015年8月25日公表 福島原発事故当時0~18歳を検査 検査実施4777人) ■宮城県丸森町 小児甲状腺がん 2名■   (2016年6月2日公表 福島原発事故当時0~18歳を検査 検査実施1564人)  さらに、崎山比早子さんが代表理事を務める「3.11甲状腺がん子ども基金」が2016年12月1日から、一律10万円の「手のひらサポート」(療養費給付事業)を募集したところ、36名の小児甲状腺がんの患者が申請書を出し、35名に療養費10万円が支給されました。そのうち3名には肺転移がありRI治療(アイソトープ治療)が必要であるため、追加10万円(合計20万円)が支給されました。その35名とは、 ■福島県26人、神奈川県3人、宮城県1人、群馬県1人、千葉県1人、埼玉県1人、長野県1人、新潟県1人■ です。(2016年12月26日記者会見)  この12月26日の記者会見の中で、福島県の県民健康調査を受けながらも、甲状腺がんはわからず、自覚症状から自分で検査を受けに行ったところ、甲状腺がんであることが分かり手術を受けた方が3名いることがわかりました。 ■福島県 県民健康調査を受けつつ、他の検査機関で甲状腺がんと診断された方 3名■  この「3.11甲状腺がん子ども基金」が記者会見で発表した内容を非常に重大な内容であるにも係わらず、全国紙はまったく伝えていません。朝日新聞が非常によく伝えていますが、残念ながら全国版ではなく、福島県版のみでした。 ■小児甲状腺がん 民間基金が療養費 「県外でも重症例」 朝日新聞 福島県版 2016年12月28日19面■  全国紙ではありませんが、東京新聞 2016年12月29日朝刊が22面で報道しました。残念ながら、福島県26名以外で、書かれたのは神奈川県3名のみでした。宮城県1人、群馬県1人、千葉県1人、埼玉県1人、長野県1人、新潟県1人のことはここでも記事になりませんでした。 ■甲状腺がん35人に療養費 東京新聞 2016年12月29日朝刊22面■  読売新聞は、福島県の第25回県民健康調査検討委員会の183名の小児甲状腺がんも、「3.11甲状腺がん子ども基金」が療養費を支給した35名の小児甲状腺がんも、報道しませんでした。  事実が事実として報道されないまま、東京パラリンピック、オリンピックの準備が宣伝されていていいのでしょうか?福島県の県民健康調査は今のままでいいのでしょうか?東北、関東地方の子どもたちに甲状腺検査のスクリーニングをやらなくていいのでしょうか?  「福島県の県民健康調査の甲状腺検査も2年に1回、20歳を過ぎると5年に1回ですから、県民健康調査を受けている方でも、検査と検査の間に結節が非常に大きくなった方もいるかも」「県民健康調査を受けていたのに、自身の自覚症状から診断を受けに行って甲状腺がんが見つかった方は、検査の見落としというよりも、検査と検査との期間が長かったからという理由かも」。「福島県外の患者で手術した方で、リンパ節転移があった方は87%くらい」「福島県外の患者の症例では、① 腫瘍径が大きかったり、② 肺転移していたり、重症化しているケースが非常に目立つ」「自覚症状があってから受診したために、がんの発見が遅れたため」(2016年12月26日記者会見)-こうしたことが全国紙で報道されなくていいのでしょうか?  マスコミ関係者の各位には事実を事実として伝え、子どもを大切にする国の施策を実現されるための努力を求めたいと思います。    

甲状腺がんの子どもの療養費支援 福島以外も強化へ 2016年12月28日 4時16分 NHK NEWS WEB

 いつか消されてしまうと思うので、全文転載しておきます。 特に動画のトップ画像は犯罪です。これは、12月28日の記者会見の画像ではなく、11月28日の記者会見の画像をNHKがわざとすり替えて挿入したものである、と思われます。黄色く塗られた地域は「3.11甲状腺がん子ども基金」が対象としている、1都14県を示しています。12月28日の記者会見にはそのうちの8県から小児甲状腺がんの患者から、手のひらサポート10万円の療養費の支給をもとめる申請があったことが発表されたにもかかわらず。NHKはこの画像をわざと使いませんでした。編集者:川根 眞也 甲状腺がんの子どもの療養費支援 福島以外も強化へ  2016年12月28日 4時16分 NHK NEWS WEB  2016年12月26日 3.11甲状腺がん子ども基金が35人に療養費を支給することを発表した記者会見の画像は以下です。OUR PLANET-TVさんより。 甲状腺がんの子どもの療養費支援 福島以外も強化へ  2016年12月28日 4時16分 NHK NEWS WEB   東京電力福島第一原子力発電所の事故のあと、甲状腺がんと診断され、治療を受ける子どもたちに対して民間の基金による療養費の支援が始まり、基金は今後、福島県外の子どもの支援も強化することにしています。 民間の基金、「3・11甲状腺がん子ども基金」は、原発事故のあと、甲状腺がんやがんの疑いと診断された25歳以下の子どもたちに1人当たり10万円の療養費の支援を行っています。 26日、福島県のほか、宮城県や群馬県などに住む10歳から25歳までの35人に療養費が支給され、このうち9人が福島県外だったということです。 基金によりますと当初の予想より福島県外からの申請が多く、中には自覚症状が出てから受診したため、肺に転移しているケースもあったということです。 基金は、今後も寄付とともに給付の申請を受け付けていて、福島県内に加えて県外の子どもに対する支援も強化することにしています。 基金は「治療で経済的に苦しんでいる家庭もあり、1人でも多くの支援につなげたい」と話しています。 給付の対象は東日本の15の都と県に住む25歳以下の人たちで、問い合わせの電話番号は0120-966-544です。 (以上、甲状腺がんの子どもの療養費支援 福島以外も強化へ NHK NEWS WEB 2016年12月28日 4時16分)

3.11甲状腺がん子ども基金 35人に初の療養費の給付。福島県26人、神奈川県3人、宮城県1人、群馬県1人、千葉県1人、埼玉県1人、長野県1人、新潟県1人。2016年12月26日。

 「3.11甲状腺がん子ども基金」が35人に初の療養費を給付しました。2016年12月26日に記者会見で発表しました。「手のひらサポート」として、1人10万円の療養費を給付するものです。また、甲状腺がんが肺に転移し、RI治療(アイソトープ治療)を受けることになった患者さんには追加10万円(合計20万円)を支給するものです。今回、給付となったのは35人。地域は、福島県26人、神奈川県3人、宮城県1人、群馬県1人、千葉県1人、埼玉県1人、長野県1人、新潟県1人。  3.11甲状腺がん子ども基金 申請、問い合わせは、フリーダイヤル0120ー966ー544へ  web http://www.311kikin.org/     facebook  https://www.facebook.com/311kodomokikin/  手のひらサポート(療養費給付事業) 第1期募集要項は、上記webをご覧下さい。  子どもたちのために、あなたの力が必要です。  銀行からのご寄付   城南信用金庫 営業部本店 普通口座 845511 3・11甲状腺がん子ども基金  郵便局からのご寄付   記号:00100-3 番号:673248 3・11甲状腺がん子ども基金  ゆうちょ銀行からの振込み先はまだありません。   OUR PLANET TV 白石草さんが、2016年12月26日の記者会見を報道されています。感謝しつつ、「3.11甲状腺がん子ども基金」の記者会見の内容を文字おこしします。ただし、注釈が必要な場合は、川根が随時、言葉を足していますので、記者会見の文言そのままではありません。編集責任は川根眞也にあります。 OUR PLANET TV 甲状腺がん・福島県外で重症化〜基金が初の療養費給付 2016年12月26日 08:28  2016年12月1日から受け付けを開始し、12月15日までに書類申請を受けつけ、36人から申請がありました。今回、うち35人に給付を決定しました。(1名の方は、穿刺細胞診の結果、良性であったとの診断を受けた方なので、今回の給付の要件に合わなかった。)また、電話での問い合わせは60件ありました。それ以外にも、インターネットでのダウンロードもあるので、かなり多くの方が申請のための問い合わせをされました。(崎山比早子 代表理事)  特に、福島県外の3名の方が、RI治療(アイソトープ治療)を受けなくてはならない患者さんでした。福島県外の患者の症例では、① 腫瘍径が大きかったり、② 肺転移していたり、重症化しているケースが非常に目立ちます。自覚症状があってから受診したために、がんの発見が遅れたためだと思われます。環境省の「東京電力福島第一原子力発電所事故に伴う住民の健康管理のあり方に関する専門家会議」が2014年12月22日「中間取りまとめ」を発表し、福島県外の甲状腺検査について、必要ないと結論を出し、また、福島県の県民健康調査においても、検査の縮小の方向を打ち出しています。今回の甲状腺がんの患者から福島県内外からの申請を考えると、こういう方向性には大きな疑問が残ります。(海渡雄一弁護士 副代表理事)  一部の自治体で、助成金を出すなどの方法で甲状腺検診の支援を行っていますが、これからもこの取り組みは是非拡大していっていただきたい。しかし、これだけではすでに不十分なのではないか。ヨウ素131が流れていった地域全体で国が包括的な甲状腺検査体制を敷く必要があるのではないか。ヨウ素131の濃度で見ると、会津若松市よりも宮城県や茨城県、東京都、神奈川県などのほうが濃い地域があります。明らかに線量の高い地域があります。会津若松市でも小児甲状腺がんの子どもが出ているわけですから、こうした福島県外の地域に甲状腺検査体制を拡大することは必要が高い施策であると思います。(海渡雄一弁護士 副代表理事)  申請された方がたまたまそうだったのかもしれませんが、申請された方に男性の方が多かった。通常甲状腺がんは女性が罹りやすいとされ、男性:女性では1:3から1:7くらいまでの臨床データがあります。今回の基金への申請は男性:女性が1:2の比率で、明らかに男性の比率が多かったです。そして、男性の患者さんは、より低年齢で、より重症化している、という印象があります。これは、通常の甲状腺がんの発症とは異なる発症パターンがあるのではないか。解明がまたれる重要な所見ではないか、と思われます。(海渡雄一弁護士 副代表理事)  福島県の患者からの訴えでは、検査から手術までの期間が非常に長い、何度も検査を受けされられて結果がなかなか確定しない、「まだ小さいから大丈夫だ」などの、不安を訴える声が多く寄せられています。血液検査の結果や甲状腺結節やのう胞の大きさなど、自分の診療に関する情報が開示されていない。また、診断結果の個人情報(カルテ)の開示をもとめると、主治医からいやな顔をされたり、ひどいケースでは医師からどなられたりする場合があったとの訴えがありました。福島県外の病院で受診を受けた患者さんは、自分の症状のようすも非常に詳しく把握されていて、申請の用紙にもそのことが詳しく記載されているのですが、福島県内の病院で受診されている患者さんは、検査時にも手術時にも自分の結節の大きさもきちんと知らされていないためか、記載されていない例が多数ありました。福島県内の甲状腺がんの検査や手術について、十分な検査や説明がされていないのではないか。普通、血液検査を行ったら、結果の用紙をもらえると思いますが、福島県の検査では血液検査のデータの用紙ももらえない状況があります。(海渡雄一弁護士 副代表理事)  健康状態ですが、半数の方は体調が良好だと言っています。一方で、疲れやすい、風邪を引きやすい、免疫力が低下している、など体調が悪化しているお子さんが目立ちました。この点も危惧される点です。(海渡雄一弁護士 副代表理事)  また、治療に伴って困窮化している家庭があることがわかりました。お父さんがいない、シングル・マザーの家庭であったり、家族全員が甲状腺がんに罹ってしまったり、支援なくしては生活できないという切実な訴えがありました。治療費、そして、治療を受けるために病院に通うそのことが家族にとって大きな負担になっていることがわかりました。甲状腺がんに罹っているみなさんへの国の支援を制度化していくことが急務であると思われます。今の福島県の健康管理調査と福島県のサポート事業だけでは絶対に不足しているだろうと思います。今後、3.11甲状腺がん子ども基金としても、患者さんの意見を深く聞きながら、意見をまとめ発表していきたいと考えています。(海渡雄一弁護士 副代表理事)  最後に、甲状腺がんであることを外部の方に知られることを、強く恐れている方が多数いらっしゃいました。就職時期にかかっているお子さんが多いのですが、手術がされたことがわかると就職に不利益が出るのではないか、被ばくしたということで今後の結婚に差別が出てくるのではないか、不安視する声がありました。この甲状腺がんの方々を支援するに当たって、個人情報を保護する立場にたって支援することが非常に重要であると思っています。この点は、3.11甲状腺がん子ども基金として、心してやっていきたいと思っています。(海渡雄一弁護士 副代表理事)  福島の小児甲状腺がんではが原発事故当時の年齢が小さい子どもがいないことから、原発事故の影響ではない、とよく言われます。(2016年6月6日の第23回県民健康調査検討委員会の発表で、原発事故当時5歳の子どもが1人初めて見つかった。)ベラルーシの国のがん登録のグラフです。チェルノブイリ原発事故当時、0歳から18歳未満だった患者、1986年から2010年までの4001人の症例です。たしかに、原発事故当時0歳から4歳まで方は多いですが、一方で、15歳、16歳、17歳の方もそれだけで全体の27%を占めます。国連科学委員会UNSCEARも「子どもと未成年の小児甲状腺がんはチェルノブイリ原発事故との関係がある」と認めています。決して、0歳から4歳までの子どもに限定しているわけではありません。(吉田由布子 理事)  一方、甲状腺がんは予後がいいと言われます。しかし、一般的には、がんの治療した後の5年後、10年後の生存率で「予後がいい」「予後が悪い」を判断するわけです。子どもの場合は考えると、ただそれだけで判断していいのか。フォローをしっかりしていかないといけないと思います。チェルノブイリの国々では、手術後のフォローをしっかりしています。(吉田由布子 理事)   アメリカの1973年から2004年までの小児甲状腺がんの1753例の症例の分析があります。どういう場合にリスクがあるか、が書かれています。男性の場合と女性の場合との違いであるとか、甲状腺乳頭がんである場合と、そうでない場合との比較であるとか。診断後の経過について分析が書かれています。その中に、手術をした場合と手術をしなかった場合との比較があります。手術をしなかった場合、手術した場合の19倍の悪い結果になっている、と書かれています。小児甲状腺がんが見つかっても、手術をしなくても大丈夫であるかのような言説がまかり通っていますが、早期に発見して早期に治療することが患者さんにとってプラスであると考えます。福島県外に甲状腺検査を広げることをやっていただきたい。そもそも国がやるべきことですけれども、現在は一部自治体がやっています。是非とも、国が甲状腺検査を行う施策を早急に決めていただきたい。(吉田由布子 理事) The incidence of pediatric thyroid cancer is increasing and is higher in girls than in boys and may have an adverse outcome Hogan ARほか 2009年  また、甲状腺がんの手術以降、就職など自分の計画していたことができなくなっている方がいます。ずっと病院に通わなくてはいけない、甲状腺の専門の病院も少ない、待ち時間も非常に長い。ですから、自分の時間が長くとれる仕事にしようとか、学校を休学しようとか、そういった例も見られました。単に手術しただけではなく、手術後のフォローもきちんと行うのが国としての責任ではないか、と思います。(吉田由布子 理事) 質疑応答より A: 福島県の県民健康調査検討委員会による、甲状腺検査を受けているのにもかかわらず見逃され、自分の自覚症状から検査を別の検査機関に受け、手術を受けた事例が複数ありました(少なくとも2名からの申請書に記載あり)。(海渡雄一弁護士 副代表理事) A: 県外の小児甲状腺がんの患者の症例では、甲状腺全摘出が90%以上です。部分摘出は非常に少ないです。一方、福島県内の患者の症例では、甲状腺の部分摘出が80%以上、全摘出は20%未満です。35名の方全員が甲状腺がんの手術を受けたわけではありません。今回の「手のひらサポート」は、悪性と診断され、まだ、手術を受けていない方も対象ですから。福島県内ですでに手術を終えた方は24名、今後手術を受けるかたは2人。福島県外では8名がすでに手術を受けていて、これから手術を受ける方は1人です。(吉田由布子 理事) A: 申請書を見て、予想はある程度していましたが、驚かされたのは、福島県外からの申請がかなり多いということ。病状が進行している患者の方が多いことです。いろいろ問題があたっとしても、検診をして早く見つけていれば、腫瘍が大きくならずに、また、転移することもなかったかもしれない。やはり、早期発見が大切だと思う。2016年9月26日、27日の国際専門家会議(注1 参照)の後12月9日に、山下俊一先生は、甲状腺検査は縮小というか、検査を自主的に受けさせた方がいいという提言を出しました。その理由が「RI治療(アイソトープ治療)を受けるリスクが高い」ことを挙げています。それは日本の治療の技術がものすごく低い、ということを意味しませんか。そういうことを専門家の方が言っていいんですか、という感想を持ちました。(崎山比早子 代表理事) A: 乳がんになった場合は、普通隠しませんよね。社会的なプレッシャーで隠すということがありません。ところがこの甲状腺がんの場合はなぜそういう社会プレッシャーを感じるのか、と考えます。福島では特に「復興」と言われています。甲状腺がんの患者がいるということが、「復興」の妨げになるという考え方が社会に蔓延している、という異常な事態がある、ということではないでしょうか。これを打破するのは、市民一人ひとりの認識だと思います。甲状腺がんに罹った方は被害者です。その方々が社会からそういう風に見られるというのは二重の被害なわけです。これはありないことだと思います。(崎山比早子 代表理事) A: この基金は、こうした記者会見に出ることができない患者のみなさんに換わって、患者さんたちのこうした声なき声を代わりに社会に向かって訴えていく、個人情報を守りながら、という任務があるのではないかと思っています。今回は、送られてきた申請書に基づいてお話しているわけですが、来月(2017年1月)は給付した後にみなさんからアンケートをいただくことになっていますから、アンケートの中で要望等も出されてくると思います。この基金の活動を通じて、甲状腺がんにかかったことが言いづらい状況を変えていくことができるのではないか、と思っています。(海渡雄一弁護士 副代表理事) A: 症状が重い、RI治療(アイソトープ治療)(注2)の方は3名いました。この方は、甲状腺がんから肺に転移されている方です。RI治療(アイソトープ治療)の方には追加10万円(合計20万円)の療養費の支給することになっていて、口座番号がお伝えいただいた方にはお支払いしてあります。(吉田由布子 理事) A: この基金は個人が特定される情報は出さないことを原則にしているので、この肺転移があり、RI治療(アイソトープ治療)の方3名の県名はいまのところは公表できません。もう少したくさんの事例が集まってきて、個人識別が難しくなった段階になったら、そういう情報も公表できると思います。もう少し時間を下さい。3名の方の県は一県ではなく、ばらけていることだけは言えます。(海渡雄一弁護士 副代表理事) A: 福島県外の患者さんで手術した方で、リンパ節転移があった方は87%くらいです。(県外の患者さんは8名手術されているので7名くらい。編者 注)(崎山比早子 代表理事) A: 毎月ごとに審査があり、認定された方に療養費を支払う予定です。2017年1月は中旬ごろに審査を行います。(代表理事、副理事、理事 うなずく) A: なぜ、「甲状腺がんおよびがん疑い」と福島県立医大が区別するのか、わかりません。今までに穿刺細胞診で「悪性」と診断された方で、手術の結果「良性」だった方は1人しかいません。(注3)私たちは穿刺細胞診で悪性とされた方は、甲状腺がんに罹った方として、療養費の対象としています。(崎山比早子 代表理事) A: 私たち基金の立場は、東電 福島第一原発事故による、ヨウ素131が濃く通った地域として、この1都14県(岩手、宮城、山形、福島、新潟、栃木、群馬、茨城、千葉、埼玉、東京、神奈川、静岡、山梨、長野)を対象地域としています。この地域で、小児甲状腺がんが過剰発生しているとなれば、原発事故とのなんらかの関係があると疑わざるを得ない、と考えています。しかし、確定的に、科学的に証明することは誰にもできないでしょう。しかし、原発事故と因果関係があるかもしれない、甲状腺がんに罹って手術を受ける方を支援していく、本来、福島原発事故子ども被災者支援法が本来、この役目を果たすはずだった。それが実行されない、その中で民間であるわれわれがそういう方々に支援の手を差し伸べていこう。ということで立ち上がったのがこの基金の趣旨です。因果関係がない、ということは証明されていません。また、因果関係がないことを証明するのは私たちの任務ではありません。(海渡雄一弁護士 副代表理事) A: 福島県内の小児甲状腺がんの多発の状況については、疫学的分析として津田敏秀教授がすでに明らかにしています。それ以外の地域の小児甲状腺がんについては、誰も調査していませんから、どれだけの症例が発生しているのか分かりません。しかし、今回の申請にあるように、これだけの重症例があることから、背後にまだ小さいがんの方がいるかもしれない、ということは可能性として想定できると思います。福島県以外の地域で過剰発生している、という認識には私たちはまだ立っていません。しかし、「福島県外の地域では小児甲状腺がんが過剰発生していない」ということを証明する政府の側にあると思います。(海渡雄一弁護士 副代表理事) A: 福島県外では小児甲状腺がんが増えていない、と証明するのは検診をするしかないわけです。福島県外でも検診をきちっとやってデータを取ることが必要である、と思います。(崎山比早子 代表理事) A: 福島県の県民健康調査の甲状腺検査も2年に1回、20歳を過ぎると5年に1回ですから、県民健康調査を受けている方でも、検査と検査の間に結節が非常に大きくなった方もいるかもしれません。ですから、福島県の方で、県民健康調査を受けていたのに、自身の自覚症状から診断を受けに行って甲状腺がんが見つかった方は、「検査の見落とし」というよりも、「検査と検査との期間が長かったから」という理由かもしれません。 (注1)国際専門家会議 国際専門家会議は2016年9月26、27の両日、国際原子力機関(IAEA)、原子力放射線の影響に関する国連科学委員会(UNSCEAR)、世界保健機関(WHO)など海外の専門機関と福島県立医科大など国内の専門家が出席して福島市で開催され、子どもの甲状腺がん、とりわけ県民健康調査に導入されている甲状腺超音波検査結果を中心に議論が行われました。山下俊一氏は、国際専門家会議では「福島事故による一般住民の甲状腺被ばく線量はチェルノブイリ事故に比べはるかに低く、甲状腺異常の増加は高性能な超音波診断機器の導入に伴うスクリーニング(検診)効果と考えられる」とする内容の提言がまとまったとして、内掘雅雄 福島県知事に2016年12月9日提出しています。-日本財団のブログ 福島事故はチェルノブイリに比べ低い 甲状腺被ばく線量、スクリーニング効果指摘国際専門家会議の提言、県知事に提出 (注2)RI療法は、肺転移している場合の治療法で、具体的には、高濃度の放射性ヨウ素を内服し、遠隔転移している甲状腺がんを内部被曝させて破壊するというもの。医療従事者や家族などへの被ばくを防ぐために、厳格な遮蔽設備が必要となり、日本では現在、治療を受けられるベッドが全国135床しかない。ーourplanetブログ「甲状腺がん・福島県外で重症化〜基金が初の療養費給付」2016年12月26日より (注3) 福島県の県民健康調査検討委員会が行った、「悪性疑い」の患者の手術は、先行検査で101名、本格検査で43名の方が手術を受けています。合計144名のうち、手術を行った結果「良性」であった方は、先行検査で1人しかいません。143人の方は、穿刺細胞診で「悪性」と診断され、手術でも「悪性」でした。穿刺細胞診による「悪性」の診断の精度は、99.3%ということになります。県民健康調査検討委員会が、手術を終えた患者を「甲状腺がん確定」とし、まだ手術を終えていない患者を「悪性疑い」と区別することの意味はもはやありません。   第1期、申請の受けつけは2017年3月31日まで。申請、問い合わせは、フリーダイヤル0120ー966ー544まで。  対象地域:1都14県は次の通り。  岩手、宮城、山形、福島、新潟、栃木、群馬、茨城、千葉、埼玉、東京、神奈川、静岡、山梨、長野  ただし、秋田県南部でもかなり濃いヨウ素131のプルームが通ったこともわかっているので、秋田県南部から申請があった場合は、理事会で検討する方針です。(海渡雄一弁護士 副代表理事)                            

《ラボ・アスナロ連続講座22》「放射能汚染は関東に広がっている」講師 川根眞也さん(内部被ばくを考える市民研究会) 2017年3月19日(日) 東京都板橋区

[ 2017年3月19日; 1:30 PM to 4:30 PM. ] 《ラボ・アスナロ連続講座22》 ご案内 「放射能汚染は関東に広がっている」 ー放射能の影響は福島だけなのか。 私達の住んでいる関東はどうなっているのか。共に考えていこう― 講師 川根眞也さん(内部被ばくを考える市民研究会)  埼玉県公立中学校の理科の教諭。2011年3月11日から地震と原発事故のことを独自に調べ、発信している。「福島第一原発事故と放射能~内部被ばくを避けるために~」講演活動を続けている。  3.11福島第一原発事故から、6年の歳月が過ぎようとしているが、収束の目途はたたず、それどころか度重なる大地震は、人々を再び恐怖に陥らせている。1986年に起きたチェルノブイリ原発事故は世界最悪の事故だった。事故後、原子炉は「石棺」で覆われていたが、老朽化による放射能漏れが心配されていた。事故後30年が経過した今年11月29日に「石棺」を更に巨大な鋼鉄製シェルターで覆った。これは、100年耐用のものとして作られた。しかし、福島第一原発は、未だに、どのようにして放射能放出を防ぐかも見通しがたたない。もうすでに、福島だけの問題ではなく、日本中・世界中に放射能はばらまかれている。その中にあって、あたかも、福島原発事故は、忘れさられようとしているが、今一度、関東の住む私達は福島原発事故について、放射能の拡散について考えていかなければならないのではないだろうか。 【日時】  2017年3月19日(日)pm1:30~16:30              資料代500円【場所】  オープンスペース・アスナロ(東京都板橋区大谷口上町1-3) 【主催】  NPO法人放射線測定室アスナロ 連絡先  TEL 03-5995-4230  牛崎       http://lab-asunaro.jp    E-mail sokutei@lab-asunaro.jp  福島原発事故からもうすぐ6年になろうとしていますが、原発事故は収束していません。その中で今最も心配されているのが内部被ばくです。チェルノブイリ級の放射線量が世界中にばらまかれ、日本列島が汚染されてしまいました。東電もそして政府も国民を守ってくれない中で、市民が放射線量を測定し、市民の健康を守っていかなければならない時代に突入しました。どうぞ、放射線測定室アスナロをご活用下さい。そして安心安全な食品で健康を守っていきましょう。何よりも未来を担う子どもの命と健康を守っていきたいものです。また農産物を生産されている農家の皆さんも放射線量が大変心配のことと思います。測定室を活用して、安心安全な農産物を提供して下さることは消費者との連帯の輪を大きくしていくことと信じています。どうぞ放射線測定室アスナロをこれからもよろしくお願いいたします。 お電話でのお問い合わせはこちら(受付時間 AM10:00~17:00まで)

【速報】福島の小児甲状腺がん183名 茨城県北茨城市3名 宮城県丸森町2名 神奈川県3名 群馬1名 千葉1名 埼玉1名 新潟1名 長野1名 2016年12月27日公表分まで

【速報】福島県の子どもたちの小児甲状腺がんは183名になりました。  本日、2016年12月27日 第25回福島県県民健康調査検討委員会が開かれました。その席上で、本格検査2巡目(2014年度、2015年度)で68名の小児甲状腺がんの子どもたちが見つかったことが報告されました。もはや、スクリーニング効果とは言えません。  単純に言って、年間34名の子どもたちが小児甲状腺がんを発症するのはありえません。すでに、先行検査(2011年度、2012年度、2013年度)で、前倒しに発見されるべき、甲状腺がんの子どもたちはすべて見つけているはずです。つまり、この68名の子どもたちは、2014年以降に発症した新たな小児甲状腺がんです。  福島県の対象の子どもは原発事故当時0~18歳未満および2011年4月2日~2012年4月1日生まれの子ども、総計38万1,282人です。原発事故当時2011年から、福島県立医大 鈴木眞一教授は「日本の小児甲状腺がんの発症率は10万人あたり0.1 人か0.2 人である(年間の有病発見率)」と語ってきました。つまり、福島県の子どもたち約40万人から見つかる、小児甲状腺がんは、最大0.2人×4倍=0.8人、つまり多くても1人です。  年間34人も子どもたちが新たに小児甲状腺がんに罹る、福島県に果たして住んでいていいのでしょうか?子ども、妊婦をはじめ、放射能汚染地帯から住民を避難させるべきです。  福島県が発表してきた、先行検査(2011年度~2013年度)および、本格検査(2014年度、2015年度 2016年9月30日現在)と、その合計を一覧にしました。福島市の状況が危険です。先行検査と本格検査との小児甲状腺がんの有病者数が同じになりつつあります。福島市の小児甲状腺がんは、先行検査で12人、本格検査で10人です。福島市はもはや子育てできる場所ではないのではないでしょうか? 福島県 子どもたちの甲状腺超音波検査と穿刺細胞診 先行検査(2016年3月31日現在)および本格検査(2016年9月30日現在) 20161227 色つき 以下、図版が見づらい場合は上記pdfをダウンロードして下さい。拡大縮小ができます。  なにも、小児甲状腺がんが見つかっているのは、福島県だけではありません。すでに福島県の南部と北部でも小児甲状腺がんの子どもたちが出ています。 茨城県北茨城市 小児甲状腺がん 3名  (2015年8月25日公表 福島原発事故当時0~18歳を検査 検査実施4777人) 宮城県丸森町 小児甲状腺がん 2名   (2016年6月2日公表 福島原発事故当時0~18歳を検査 検査実施1564人)  また、2016年9月17日設立された、3.11甲状腺がん子ども基金は、甲状腺がんに罹った子ども1人に対して10万円の「手のひらサポート」を開始しました。2016年12月1日から受付を開始し、12月26日から給付を開始しました。電話だけでも約60件の申請についての問い合わせがありました。今回、35人に給付が行われました。  その内訳は、福島県26人のほか、神奈川県3人、宮城県、群馬県、千葉県、埼玉県、長野県、新潟県が各1人。年齢は現在10歳から25歳までで、男性14人に対し、女性は21人。すでに手術を終えていたり、手術が決定している患者について分析したところ、福島県内の患者は8割が半摘でしたが、福島県外では、がんが進行してから見つかっている患者が多く、8割が全摘でした。またリンパ節転移についても、県外では90%近くに転移がありました。  また、福島県26人のうち、今回、福島県の県民健康調査検討委員会による検査で見逃され、自覚症状などによって、個別に健診し、甲状腺がんと診断された患者が3人いました。つまり、福島県が発表している183人は全数ではありません。小児甲状腺がんに罹っている子どもたちの実数はもっと多いのです。 ーOur Planet-Tv  甲状腺がん・福島県外で重症化〜基金が初の療養費給付 投稿者: ourplanet 投稿日時: 月, 12/26/2016 – 08:28  以下に、国立環境研究所が作成した、ヨウ素131のシュミレーションを紹介します。東北、関東一体にヨウ素131のプルームが通っていたのです。この時、屋外にいて、空気を吸った子どもたちにはリスクがあります。主に2011年3月12日~7月7日までは、大気中からヨウ素131が検出されています(参考:高崎CTBT作成資料 高崎に設置されたCTBT放射性核種探知観測所における放射性核種探知状況(2012年4月15日現在) 2011年3月12日~2012年4月15日)。 ヨウ素131の拡散シュミレーション  そして、福島県県民健康調査検討委員会が発表した、本格検査(2巡目)における、小児甲状腺がんの発症数を各市町村ごとに整理しました。2015年3月31日現在~2016年9月30日現在。  繰り返しますが、福島県の子どもたち全体で40万人。年間に小児甲状腺がんを発症するのは多くても1人のはずです。各市町村ごとに年間1人発症するだけでも、異常に高い発症率です。原発事故がもたらした放射能のプルームが原因であると考えられます。 福島県 子どもたちの甲状腺超音波検査と穿刺細胞診 本格検査の推移悪性、悪性疑い例数(2016年9月30日現在) 20161227 色つき 以下、図版が見づらい場合は上記pdfをダウンロードして下さい。拡大縮小ができます。  唯一の希望は、双葉町です。井戸川克隆前双葉町長が全村避難させ、住民を埼玉県に連れてきた、双葉町からはいまだに小児甲状腺がんの子どもが出ていません。井戸川前町長は、独自の判断で、川俣町に避難していた、40歳未満の町民すべてに安定ヨウ素剤を服用させています(2011年3月14日および3月15日)。  しかし、大人の甲状腺がんのリスクは心配です。  原発事故から8年後、ベラルーシでは大人の甲状腺がんが3倍になりました。甲状腺がんは本来、大人が罹るものです。原発事故の影響があるのですから、すべての診断と治療、手術後のケア、就業保障等を国の責任で行うべきです。原発は国家政策であったのですから。  ただちに、子ども、妊婦を含め、住民の避難を補償するべきだと思います。福島県のみならず、東北、関東地方の子どもたちの甲状腺検査が必要です。                  

福島の小児甲状腺がん174名 茨城県北茨城市3名 宮城県丸森町2名 2016年9月14日公表分まで

 福島県の子どもたちの小児甲状腺がんは174名になりました。  しかし、新聞もテレビもまとも報じていません。福島の小児甲状腺がんについて報じた「福島甲状腺がん135 人に」(朝日新聞2016 年9 月15 日37面)の記事は、縦2.5cm×横4cm のベタ記事、たった87 文字でしかありません。  毎日新聞が比較的大きく報じました。しかし、見出しは「甲状腺がん 新たに4人 福島県民健康調査 2巡目で計34名に」です。100名を超える、小児甲状腺がんの実態を伝えるものではありません。  東京新聞にはがっかりしました。これまで、大きく福島の小児甲状腺がんを報じてきましたが、第24回福島県県民健康調査検討委員会が発表した、174名の小児甲状腺がんを一切報道しませんでした。改めて間違いがないように、東京新聞電子版でワード検索をかけました。2016年9月14日~9月15日の期日指定で、ワード検索「福島」で検索をかけましたが、小児甲状腺がんについては報道していません。新聞紙面でも川根は確認しました。9月14日(水)の東京新聞 朝夕刊、9月15日(木)の東京新聞 朝夕刊に、福島の子どもたちの小児甲状腺がんの記事はありません。  犯罪的なのは読売新聞です。読売新聞は、全国版では174名の福島県の小児甲状腺がんについて一切報道しませんでした。ところが、福島県内で販売される、読売新聞 福島版では報道したのです。インターネット版では以下のように報じられています。「福島県の小児甲状腺がんは福島限定の問題」というスタンスなのでしょうか?許せません。  未だに、福島県県民健康調査検討委員会では、福島県の子どもたちの小児甲状腺がんは過剰診断であるとか、放射線の影響ではないとか、全員をスクリーングしたために見つかっているだけだとか、議論がされています。果たしてそうでしょうか?福島県立医大 鈴木眞一教授が当初から、「日本の小児甲状腺がんの発症率は10万人あたり0.1 人か0.2 人である(年間の有病発見率)」と語ってきました。福島県の子どもたちの甲状腺検査の対象者は、原発事故当時0~18歳に加えて、原発事故のあった2011年4月2日~2012年4月1日を対象としています。その対象人数は38万1,281人です。  10万人あたり0.1人か0.2人。対象人数は約40万人。つまり、最大0.2人×4倍=0.8人。福島県全体で毎年1人小に甲状腺がんの子どもが見つかるか、見つからないかの割合のはずです。  スクリーニング検査で数十年後に見つかるべき、甲状腺がんを前倒しで見つけているのなら、先行検査(2011年度、2012年度、2013年度)ですべての子どもたちを見つけているはずです。115名の子どもたちが見つかったのなら、原発事故から5年間の2016年6月末時点で、全員のスクリーニングが終えた後の、追加の本格検査(2014年以降)で見つかるのは、福島県全体で年間1人×5年間=5人のはずです。各市町村で年間1人の小児甲状腺がんは見つかるのは極めて異常であり、多発としか表現しようがありません。  以下に、各市町村ごとの先行検査(2011年度、2012年度、2013年度)と本格検査(2014年度、2015年度、2016年度6月30日まで)と、両方の合計を整理しました。ちなみに、井戸川克隆前双葉町長が全村避難させ、住民を埼玉県に連れてきた、双葉町からはいまだに小児甲状腺がんの子どもが出ていません。井戸川前町長は、独自の判断で、川俣町に避難していた、40歳未満の町民すべてに安定ヨウ素剤を服用させています(2011年3月14日および3月15日)。 福島県 子どもたちの甲状腺超音波検査と穿刺細胞診 先行検査(2016年3月31日現在)および本格検査(2016年6月30日現在) 20160914 色つき  全村避難した町村で小児甲状腺がんの子どもたちが出ていない、または、1人、2人であるのに対して、避難指示のなかった、福島市で先行検査で12人、本格検査で8人、計20人の子どもたちが小児甲状腺がんに罹っています。同様に避難指示のなかった、郡山市で先行検査で25人、本格検査で17人、計42人の子どもたちが小児甲状腺がんに罹っています。同様に避難指示のなかった、伊達市で先行検査で2人、本格検査で7人、計9人の子どもたちが小児甲状腺がんに罹っています。本格検査では、先行検査の3倍を超える小児甲状腺がんの子どもたちが出ています。極めて危険です。線量が比較的低く、多くの避難指示を受けた自治体の仮役場、支所が置かれている、いわき市では、先行検査で24人、本格検査で5人、計29人の子どもたちが小児甲状腺がんに罹っています。いわき市は高濃度のヨウ素131のプルームが通ったことで知られている地域です。プルトニウム汚染が心配される、南相馬市では先行検査で2人、本格検査で4人、計6人の子どもたちが小児甲状腺がんに罹っています。本格検査のほうが発症人数が多いのです。果たして、南相馬市に子どもたちをこのまま住まわせていいのでしょうか。  警戒区域、計画的避難区域は、浪江町、双葉町、大熊町、富岡町、楢葉町、飯舘村。(2012年4月1日時点)それぞれ小児甲状腺がんの子どもたちは、4人(先行検査2人、本格検査2人)、双葉町0人、大熊町3人(1人、2人)、富岡町1人(1人、0人)、楢葉町0人、飯舘村0人。  2016年12月27日、第25回福島県 県民健康調査検討委員会が開かれます。是非、東京新聞、読売新聞は詳しく報道してほしい、と思います。また、いつまでも、先行検査(2011年度~2013年度)は原発事故の影響ではない、などと言っていないで、すべての小児甲状腺がんの子どもたちに、同じようなケアをしてあげてほしい、と思います。 福島県ホームページ 「県民健康調査」検討委員会    そして、小児甲状腺がんの問題は、福島県限定ではありません。すでに福島県の南部と北部でも小児甲状腺がんの子どもたちが出ています。 茨城県北茨城市 小児甲状腺がん 3名  (2015年8月25日公表 福島原発事故当時0~18歳を検査 検査実施4777人) 宮城県丸森町 小児甲状腺がん 2名   (2016年6月2日公表 福島原発事故当時0~18歳を検査 検査実施1564人)  繰り返します。福島市や郡山市、いわき市、伊達市、南相馬市などの小児甲状腺がんの多発は、放射能汚染地帯に子どもたちを放置したことが原因ではないですか?ただちに、子ども、妊婦を含め、住民の避難を補償するべきだと思います。福島県のみならず、東北、関東地方の子どもたちの甲状腺検査が必要です。  同様に、大人の甲状腺がんも心配です。原発事故から8年後、ベラルーシでは大人の甲状腺がんが3倍になりました。甲状腺がんは本来、大人が罹るものです。原発事故の影響があるのですから、すべての診断と治療、手術後のケア、就業保障等を国の責任で行うべきです。原発は国家政策であったのですから。                      

12月例会のお知らせ 2016年12月17日(土) 13:30~16:00(+1時間) 浦和コミュニティーセンター南ラウンジDE(PARCO 9階)

[ 2016年12月17日; 1:30 PM to 4:00 PM. ] 12月例会のお知らせ 2016年12月17日(土) 13:30~16:00(+1時間) 浦和コミュニティーセンター南ラウンジDE(PARCO 9階)   12月例会のお知らせです。 日 時 12月17日(土) 13:30〜16:00(17:00まで延長の可能性あり)場 所 浦和コミュニティセンター南ラウンジDE(浦和パルコ9階)参加費 会員の方300円    一般参加の方600円    高校生以下は無料 1.  東京第一原発の現状 3号機復水貯蔵タンク(CST)ポンプ停止 11/22 福島県沖地震と津波、福島第二 使用済み核燃料プールへの注水停止 報告:川根 眞也 2.  堀本秀生 の放射性物質排泄講座 秋~冬 報告:堀本秀生 3.  川内原発1号機が再々稼動(2016年12月8日再稼動工程開始 2017年1月6日営業運転予定) 何が鹿児島で起こっているのか? 報告:川根 眞也 <休憩> 4.  尿検査プロジェクト、311甲状腺がん家族の会リーフレット、食品の放射能汚染資料の販売・拡大 について 5.  食品の放射能汚染の最新情報 2016年11月 6.  会員の意見交流  ※この後、懇親会もあります。聞きたくてもみんなの前には聞けなかったことも質問できます。参加費、実費です。 ※諸事情によりプログラムが変更になる場合があります。 ※ 当日はツイキャス中継もしますので、会場に来れない方は是非、視聴参加ください。 http://twitcasting.tv/naibuhibakushim/show/ こちらでは、生中継の他、過去の動画を見ることも出来ます。 聞き逃した情報などもチェックしてみてください。 それでは、沢山のご参加をお待ちしています。   ※ 「内部被ばくを考える市民研究会」の新年度会員受付中です。 会員の特典   1 内部被ばくに関する会員同士の情報交換……メーリングリストへの参加、投稿 2 月1回の例会……会員の方 資料代300円、一般の方600円。ツィキャスでの動画配信もあります。 3 月1回の例会資料pdfのダウンロードサービス。新聞記事、原発関連の情報などを整理したもの。全800ページ前後。  ジャンル①東京第一原発の現状②核をめぐる問題③原発再稼動④内部被ばく⑤被災地 福島 4 月1回 内部被ばく通信 毎月6日発行 【内部被ばくを考える市民研究会 会員登録フォーム】 https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSdXLtsOxEIMBt3whoCEO4UH8hGj2_yQbRsspI3dle9MZmJZEg/viewform   【お問い合わせ】entry.naibu@gmail.com 内部被ばくを考える市民研究会事務局 内部被ばくを考える市民研究会   編集

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