2018年1月17日、原子力規制委員会の更田委員長は、定例記者会見で恐ろしい発言をしています。「1マイクロシーベルト/時のところにずっと居住しても、年間1ミリシーベルト被ばくにも達しない」と。

原子力規制委員会 定例記者会見 会議映像 2018年1月17日 4’25~ 問題の発言は6’06~

 モニタリングポストは全方位からのガンマ線から空間線量を計算しますが(一部、原子力規制委員会の設置したモニタリング・ポストはバッテリーなどで遮蔽しているので全部ではありません。真実の6割ほどの値になっています)、ガラスバッヂは正面からのガンマ線のみを測定しています。背中側からのものは人体が吸収してしまうからです。第2回市民科学者国際会議(2012年6月23日~6月24日、福島県猪苗代湖で開催)でフランスのクリラッド(放射能調査情報提供独立委員会)CRIIRAD研究所長 ブルーノ・シャレイロン氏が講演の中で、ガンマ線を測定する放射線量計(単位はカウント/秒,count/s)で福島県福島市の中手さんの事務所で測定している動画を紹介されていました。ガラスバッジで個人の線量を測定するでたらめが分かります。

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IWJ アーカイブス 市民科学者国際会議 2012.6.24

https://iwj.co.jp/wj/open/archives/20814

 この中の・6月24日 Part1のCRIIRAD研究所長 ブルーノ・シャレイロン氏の講演、31’50~36’35のところです。以下、ブルーノ氏の解説の意訳。(意訳:川根眞也)

 福島市中手さんの事務所にて 床 691count/s(秒)。通常は100count/s。駐車場などが放射性物質で汚染されているためのそのガンマ線が窓や壁を通して入ってきている。

 少し持ち上げると 1064cout/s。窓や壁からのガンマ線の量が増える。

 外の駐車場に近い窓に近づけると 1454count/s。駐車場からのガンマ線の量が増える。

 外に出ると上がり、1504count/s。駐車場に出ると2213count/sまでになる。

 窓辺に立ち、私のからだを駐車場との間に入れた場合といれなかった場合とで比べてみましょう。

 窓辺に置くと、1372count/s。ところが私のからだを駐車場との間に入れると、1042cout/s。差し引き300count分が私のからだに吸収されたことがわかります。このガンマ線が私のからだの細胞のDNAを傷つけるのです。

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 つまり、ガラスバッジはからだの前面からのガンマ線しか測っていません。背中側のガンマ線は、人体が吸収するのです。だから、モニタリング・ポストの数値の3分の1ほどにもなるのです。原子力規制委員会がガラスバッヂの数値を、個人の被ばく線量の数値に置き換え、高放射能汚染地帯へ住民を帰還させるのを許してはなりません。

 原発事故前の、本来の被ばく管理は、場の管理でした。かつて、放射線管理区域に人が住み続けることは、誰も予想していなかったことです。放射線管理区域相当は、人間の居住を認めるべきではありません。日本での放射線管理区域とはアルファ線核種で4000ベクレル/m2、ガンマ線・ベータ線核種で4万ベクレル/m2です。土壌にセシウム134、137が615ベクレル/kgあれば、1m2あたり4万ベクレルに相当します。

 チェルノブイリでもウクライナ、ベラルーシ、ロシアでは3.7万ベクレル/m2が放射線定期管理居住区域と指定されています。放射線管理区域には人は住めない、をまず基本にするべきだと考えるます。ベラルーシでは現在では、法律において、実効被ばく線量を年間1ミリシーベルトから年間0.1ミリシーベルトに低減するまで防護対策を続ける、としています。(アレクセイ・ヤブロコフ他『調査報告 チェルノブイリ被害の全貌』岩波書店,2013年 pp.294)

 日本政府は、チェルノブイリの国、ウクライナやベラルーシ、ロシアに学ぶべきではないでしょうか。でたらめな放射線管理はもう止めるべきです。土地汚染で健康影響を判断するべきです。

<参考>「モニタリングポストに人為的操作!?「郡山・相馬・南相馬30~65%も少なく表示」10/5矢ヶ崎克馬氏(会見内容書き出し・資料)」

ブログ みんな楽しくHappy♡がいい♪ さん

2012年10月16日