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2018年8月

増殖炉、2018年8月30日から燃料取り出し もんじゅ、福井県に報告 佐賀新聞2018年8月28日

九州の川内原発、玄海原発やもんじゅのトラブルの情報や動向を知るには、佐賀新聞が一番。佐賀新聞の購読は 佐賀新聞電子版『佐賀新聞LIVE』   増殖炉、2018年8月30日から燃料取り出しもんじゅ、福井県に報告佐賀新聞 2018年8月28日  日本原子力研究開発機構は28日、廃炉が決まった高速増殖原型炉もんじゅ(福井県敦賀市)の使用済み核燃料の取り出し作業を30日から始める方針を明らかにした。機構の児玉敏雄理事長が28日、福井県庁を訪れ、西川一誠知事に報告した。  児玉理事長は、7月以降に相次いだ設備の不具合で、作業開始が遅れたことを陳謝。「取り出しは長期にわたる廃止措置の第一歩。安全、確実に実施するという強い覚悟で取り組む」と述べた。  西川知事は「作業に関わる全ての人が最大限の緊張感を持って業務に当たらないといけない」と強調。不具合などが発生した場合は、迅速に情報公開するよう求めた。  機構は当初、燃料取り出しを7月下旬に始める予定だったが、トラブル多発を受けて8月に延期した。今月19日から、制御棒を使った取り出しの模擬訓練を実施している。 もんじゅ燃料出入機で警報取り出し訓練めど立たず佐賀新聞 2018年8月3日  日本原子力研究開発機構は3日、高速増殖原型炉もんじゅ(福井県敦賀市)で、使用済み核燃料の取り出しに向けた準備作業中に、燃料出入機の異常を知らせる警報が鳴るトラブルが1日にあったと発表した。  機構は今後、要員を増やしてトラブルへの対応を検討し、取り出しを8月中に始めるとしているが、取り出しに向けた模擬訓練実施のめどは立っておらず、予定通りに進まない可能性もある。  機構によると、7月25日、原子炉近くの「炉外燃料貯蔵設備」から制御棒を取り出してステンレス製の缶に収納する作業中、近くに設置していた監視カメラのレンズが水蒸気で曇るトラブルが発生。カメラが改善したかを確認するため、1日午後5時15分ごろ、改めて貯蔵設備から制御棒を取り出して移動させた際に警報が鳴った。警報はすぐに収まったという。  もんじゅでは7月以降、出入機などのトラブルが相次ぎ、7月中に始める予定だった燃料取り出しが8月に延期された。カメラが曇る不具合への対策も検討中という。  3日、福井県庁を訪れた機構の伊藤肇理事はトラブルの多発を陳謝。清水英男安全環境部長は「県民の厳しい目を十分に認識し、作業を着実に続けてほしい」と求めた。 もんじゅ、燃料取り出し断念トラブルが影響佐賀新聞 2018年7月26日   廃炉が決まった高速増殖原型炉もんじゅ(福井県敦賀市)の使用済み核燃料の取り出しについて、日本原子力研究開発機構が、7月中としていた作業開始を断念したことが26日、関係者への取材で分かった。  16日に発生した燃料出入機のトラブルを受け、「燃料貯蔵設備」に入っている制御棒を燃料に見立てて取り出す訓練の開始がずれ込んでいた。文部科学省は、27日に開く廃炉計画に関する連絡協議会で、福井県と敦賀市に延期を伝える。  トラブルは出入機などに異常がないか調べる試験中に発生。機構は出入機の部品を交換して、24日に試験を再開した。近く残りの試験を終え、制御棒を取り出す訓練を始めるとしている。  訓練終了後、8月以降に貯蔵設備の使用済み燃料の取り出しを始めるという。 もんじゅの燃料処理に数千億円か廃炉総額が1兆超の可能性佐賀新聞 2018年7月5日   廃炉が決まっている日本原子力研究開発機構(原子力機構)の高速増殖原型炉もんじゅ(福井県)を巡り、使用済み燃料の処理に数千億円以上かかる可能性があることが5日、関係者への取材で分かった。政府はもんじゅの廃炉費用を3750億円と試算しているが、燃料処理費は含んでおらず、廃炉の総額は1兆円を超える可能性が出てきた。  もんじゅの燃料は毒性の強い放射性物質プルトニウムを多量に含み、国内外に処理できる施設はない。海外の業者に高額で委託するしかなく、施設の新設も含め莫大な費用がかかるという。  もんじゅは使った以上の燃料を生む「夢の原子炉」として期待され、1兆円を超える国費が投入されたが、相次ぐトラブルでほとんど実績を上げないまま長期停止。政府は2016年、再稼働する場合の安全対策に約6千億円が必要と試算し、費用対効果の問題などから廃炉を決めた。  原子力機構によると、使用済み燃料の処理費用は、含有するプルトニウムの量で大きく左右される。通常の原発で使われた燃料には1%のプルトニウムが含まれる。これを再処理したウラン・プルトニウム混合酸化物(MOX)燃料は4~9%で、輸送費などを含め処理費用は1体約10億円。  機構関係者によると、もんじゅの燃料は小型だがプルトニウムは16~21%で、通常の数倍以上の処理費がかかるという。もんじゅには未使用のものも含めると処理対象になる燃料は約540体あり、費用は数千億円以上になる見通しだ。  原発の使用済み核燃料からプルトニウムなどを回収し、再び燃料として使用する再処理を委託されているフランスの業者にも、もんじゅの使用済み燃料を処理できる施設はなく、対応には新設が必要という。  同機構は22年度までに処理方法を決定し、燃料を取り出す計画。機構関係者は「具体的な処理方法は決まっていない。現実的にはフランスの業者と交渉することになるだろう」としている。   もんじゅ廃炉、保守管理に一因総コスト増の恐れ、会計検査院 佐賀新聞2018年5月11日    会計検査院は11日、廃炉が決まっている日本原子力研究開発機構の高速増殖原型炉もんじゅ(福井県敦賀市)に関する検査結果を公表した。「保守管理の不備が廃炉につながった」と総括。少なくとも1兆1313億円が投じられ、研究の達成度は16%だったとした。廃炉費用は国の試算の3750億円を超える可能性があるとした。研究開発経費を合わせた総コストも増える恐れがある。  半世紀にわたって巨額の税金を投じながら研究開発に失敗した経緯を裏付ける検査結果。一方、これまで検査院がもんじゅの研究開発経費について意見表明したのは2011年の1回にとどまり、検査や政策評価の在り方も議論になりそうだ。  検査院は、09年1月以降の保守管理の実態を調べ、期限までに検査が済んでいないなどの機器や項目が多数に上り、原子炉が冷温停止中でも機能維持が必要な重要機器も含まれていたという。  もんじゅは1994年4月に初運転以降、冷却材のナトリウム漏れ事故が起きた95年12月までで205日、運転再開した10年5~8月で45日の計250日しか稼働していない。検査院は稼働期間中の研究状況も調査。最初の稼働期間では予定された142の試験項目のうち50しか完了せず、次の期間は117の項目の全てが終わらなかった。  最終的な試験項目数から割り出した達成度は廃炉が決まった16年12月の時点で16%。長期的な稼働データの取得など、継続的な運転・保守管理が試験に必要だった項目は達成できなかった。  16年度までに投じられた1兆1313億円の内訳は、建設関連費が計約5907億9千万円、保守管理費が計約4382億6千万円、人件費が計約590億4千万円、固定資産税が計約432億6千万円。書類の不存在を理由に予備設計を開始した68年度から70年度までの費用は含まれない。  廃炉費用については人件費や固定資産税が含まれず、ナトリウムの処理費用が変動する可能性があるなど試算よりも増える可能性があるとした。 もんじゅ6月に取り出し模擬訓練使用済み核燃料佐賀新聞  2018年3月28日  福井県敦賀市の片山富士夫副市長(手前)と面会する、日本原子力研究開発機構の伊藤肇理事=28日午後、敦賀市役所  原子力規制委員会による高速増殖原型炉もんじゅ(福井県敦賀市)の廃炉計画認可を受け、日本原子力研究開発機構の田口康副理事長は28日、福井県庁で藤田穣副知事と面会、原子炉などからの使用済み核燃料取り出し作業の模擬訓練を6月に行うと説明した。  田口副理事長によると、原子炉近くの燃料貯蔵槽に保管されている制御棒を燃料に見立てて取り出し、付着した冷却材の液体ナトリウムを除去した上で、水で満たされた「燃料池」に移すという。藤田副知事は「高速炉特有の国内初の作業があるので安全に進めてほしい」と話した。  敦賀市では同日、機構の伊藤肇理事が片山富士夫副市長と面会。片山副市長は、設備点検の計画書の誤りが原因で今月上旬に発生した警報装置の故障に触れ、「ヒューマンエラーが続くようでは、廃炉を任せて大丈夫なのかという疑念を払拭できない」と述べた。  機構は、原子炉などにある計530体の使用済み燃料の取り出し作業を7月に始める計画。廃炉完了は2047度までの30年間を見込んでいる。                

川内原発2号機、2018年8月29日運転再開 九電、稼働原発4基体制に 佐賀新聞 2018年8月29日

 でたらめ対応のまま、九州電力は川内原発2号機の再稼動行程を本日、2018年8月29日夕方より開始する。2002年3月にアメリカのデービス=ベッセ原発で大事故を起こしそうになった蒸気発生器インコネル600を、今まで放置していたのをやっと、インコネル690に交換した。トラブルが起こった原因がわからぬまま、ただ、ポンプのシーリング部分など、トラブルの発生の原因のわからぬまま、だた部品を交換しただけで再稼動を始めようとしている。  異常な、猛暑でも電力は足りている。原発はいらない。  ちなみに川内原発2号機が本日より再稼動行程を始めることを、新聞に掲載したのは読売、毎日、朝日の全国紙では、朝日新聞が全国版で報道しました。読売は東京版でも西部本社版でも報道しませんでした。東京新聞は3面で報道しました。毎日新聞は、東京本社版では報道せず、西部本社版のみで報道。こうした新聞社の姿勢が、地方での原発再稼動が地方だけの問題に矮小化され、全国的な反原発運動につながらない効果を生んでいます。読売新聞はもとより、毎日新聞のこうした、原発再稼動を地方の問題として扱う姿勢を変えなくてはいけません。  川内原発、玄海原発のトラブルも、再稼動の状況のていねいに報道しているのは佐賀新聞だけ。佐賀新聞の記事を紹介します。 川内原発2号機、29日運転再開 九電、稼働原発4基体制に  佐賀新聞 2018年8月29日    九州電力は28日、定期検査のため停止中の川内原発2号機(鹿児島県薩摩川内市)の運転を29日夜に再開させると発表した。31日には発電を再開する予定で、作業や国の検査が順調に進めば9月28日に営業運転に復帰する。玄海原発3、4号機(佐賀県玄海町)が3月以降に再稼働したほか、川内1号機も定期検査を既に終えた。九電管内の稼働原発が4基体制となり、電力供給力が一段と高まる。  九電は川内2号機を30日に「臨界」に達する状態にし、31日に発電を再開。9月上旬にはフル稼働する。原子炉起動後に原子力規制委員会が実施する検査で設備の安全性が確認されれば、営業運転に復帰する。 川内原子力発電所2号機の原子炉起動、発電再開予定をお知らせします― 8月29 日に原子炉起動、8月31 日に発電再開予定 ― 九州電力 2018年8月28日 別紙 川内原子力発電所2号機第22回定期検査の概要 九州電力 2018年8月28日 川内原発2号機 29日夜 原子炉起動MBC南日本放送  2018年8月29日(水) 16:35配信      九州電力は、定期検査のため停止していた川内原発2号機の原子炉を29日夜、起動させます。川内原発の前では市民グループによる抗議活動が行われました。    九州電力によりますと、川内原発2号機は今年4月から原子炉を停止させ定期検査を行ってきましたが、29日夜9時半ごろ、原子炉を起動させる予定です。これに対し脱原発を訴える市民グループは29日朝、川内原発のゲート前におよそ40人が集まって抗議活動を行い「再稼働は許さない」と訴えました。    川内原発2号機は、30日午前10時ごろに核分裂が続く「臨界」に達し、あさって31日の午後11時ごろに発電と送電を再開する予定で、来月下旬には国の検査を受け通常運転に戻る見通しです。 美浜・大飯・高浜原発に反対する会   アメリカのデービス=ベッセ原発 圧力容器上蓋に大穴 一次冷却水喪失事故の一歩手前だった 関電の原発にも上蓋ひび割れの危険 2002年3月    この原発の蒸気発生器にも、インコネル600合金が使われていました。今回の事態になって初めて、川内原発2号機はインコネル600の蒸気発生器を、インコネル690に交換しました。なぜ、2002年にアメリカで大事故が起きる寸前まで行った蒸気発生器を、2018年8月の今まで使用しつづけたのでしょうか?なぜ、こんな状態で原子力規制委員会は、川内2号機の再稼動に許可を与えているのでしょうか?再稼動行程がここまで遅れたにもかかわらず、ポンプのシーリングの問題などそれぞれのトラブルの原因は解明されていません。ただ、トラブルがあった部品を交換しただけで、原子力規制委員会は再稼動OKを出しています。でたらめ委員会です。 毎日新聞の報道姿勢です。2018年8月29日東京本社版朝刊 7面 川内原発2号機の再稼動の記事なし   2018年8月29日西部本社版朝刊 24面 川内原発2号機の再稼動の記事あり   九電・川内原発2号機が定検入り5カ月間、蒸気発生器を交換佐賀新聞 2018年4月23日   九州電力は23日未明、川内原発2号機(鹿児島県薩摩川内市)の発電設備と送電系統を切り離し、原子炉等規制法に基づく定期検査に入った。原子炉格納容器内の蒸気発生器を1985年の営業運転開始以来、初めて取り換えるため、通常の定期検査と比べ長い約5カ月間を予定している。  3月に再稼働した玄海原発3号機(佐賀県玄海町)の配管に穴が開き蒸気が漏れたトラブルを受け、同タイプの配管16本の状態も確認する。  定期検査は九電や協力会社などの計約4100人態勢で実施。原子炉容器や核燃料貯蔵施設といった設備を105項目にわたって確認する。使用済み燃料は、燃料集合体157のうち約3分の1で交換する。  九電によると、22日夕から核分裂を抑える制御棒を入れて徐々に出力を低下させ、23日早朝に核分裂反応がなくなり原子炉は完全に停止した。8月下旬に原子炉を再び起動して8月31日に発電を再開する予定。営業運転の再開は9月28日を見込んでいる。  1月に定期検査入りした川内1号機は、6月5日に発電再開の見通し。

長崎平和宣言(全文)長崎市長 田上富久 2018年8月10日

 昨日2018年8月9日発表された長崎平和宣言は、恐らく初めて、平和宣言の中に被爆者の実名を入れた、素晴らしい宣言でした。被ばく後生涯をかけて核兵器廃絶の為に尽力し、「核のない世界」を見ることなく亡くなった、土山秀夫さん、谷口稜曄さん。2人の言葉を引用しました。「あなた方が核兵器を所有し、またこれから保有しようとすることは、何の自慢にもならない。それどころか恥ずべき人道に対する犯罪の加担者となりかねないことを知るべきである」(土山さん)「核兵器と人類は共存できないのです。こんな苦しみは、もう私たちだけでたくさんです。人間が人間として生きていくためには、地球上に一発たりとも核兵器を残してはなりません」(谷口さん)  原子爆弾によって数多くの肉親、知人を失い、自らも放射線被ばくの影響苦しんだ被爆者の核兵器廃絶に向けた行動が、核兵器禁止条約を生みました。この被爆者の行動なくして、この条約は生まれませんでした。被爆者の思いと願いを共有する事から、核兵器禁止が実現出来る、そういう思い伝わる2018年長崎平和宣言です。  現時点(2018年8月9日時点)で、世界60ヶ国が条約に署名し、14ヶ国が批准しています。ニュージーランドも、オーストラリアも署名批准しています。 核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)のウェブサイト に詳しい紹介があります。  翻って日本政府はこの核兵器禁止条約に反対しています。「核兵器保有国と非核兵器保有国との橋渡しをする」と言いながら、北朝鮮核実験やミサイル実験には反対しながら、アメリカの核兵器近代化計画に一切反対していません。それどころか、北朝鮮が核兵器を放棄すると言っているのに、弾道ミサイル迎撃システム、イージス・アショア2基5000億円以上かけて、秋田県、山口県に配備しようとしています。アメリカの核兵器を応援し、核ミサイル迎撃の高額兵器をアメリカから買う。これで「橋渡し」などできません。日本政府は、また、核兵器転用可能なプルトニウムの保有にも固執しています。核燃料サイクル破綻しているのですから、さっさとプルトニウムはイギリスなどに売却すべきです。  安倍晋三氏は、国連事務総長が長崎を訪問するので、長崎原爆犠牲者慰霊式典にも参列しましたが、そのスピーチは無残な内容でした。改めて、安倍晋三政権の下では、原発も核兵器も無くせないことが明らかにした、言えるでしょう。長崎平和宣言では、「放射線の影響は福島のみなさんをも苦しめ続けています。」と原発事故にもきちんと触れています。広島平和宣言では触れていませんでした。  この長崎平和宣言は、長崎市長が単独で作るのではなく、被爆者も参加する起草委員会が原案を作成し、その上で長崎市長が手を入れます。広島平和宣言とは違います。ちなみに、朝日新聞は2018年8月9日夕刊および8月10日朝刊で「長崎市長平和宣言」と書いていますが、「長崎平和宣言」の誤りなので、訂正するべきです。     長崎市長平和宣言(全文)2018年8月10日  73年前の今日、8月9日午前11時2分。真夏の空に炸裂(さくれつ)した一発の原子爆弾により、長崎の街は無残な姿に変わり果てました。人も動物も草も木も、生きとし生けるものすべてが焼き尽くされ、廃虚と化した街にはおびただしい数の死体が散乱し、川には水を求めて力尽きたたくさんの死体が浮き沈みしながら河口にまで達しました。15万人が死傷し、なんとか生き延びた人々も心と体に深い傷を負い、今も放射線の後障害に苦しみ続けています。  原爆は、人間が人間らしく生きる尊厳を容赦なく奪い去る残酷な兵器なのです。  1946年、創設されたばかりの国際連合は、核兵器など大量破壊兵器の廃絶を国連総会決議第1号としました。同じ年に公布された日本国憲法は、平和主義を揺るぎない柱の一つに据えました。広島・長崎が体験した原爆の惨禍とそれをもたらした戦争を、二度と繰り返さないという強い決意を示し、その実現を未来に託したのです。  昨年、この決意を実現しようと訴え続けた国々と被爆者をはじめとする多くの人々の努力が実り、国連で核兵器禁止条約が採択されました。そして、条約の採択に大きな貢献をした核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)がノーベル平和賞を受賞しました。この二つの出来事は、地球上の多くの人々が、核兵器のない世界の実現を求め続けている証(あかし)です。  しかし、第2次世界大戦終結から73年がたった今も、世界には1万4450発の核弾頭が存在しています。しかも、核兵器は必要だと平然と主張し、核兵器を使って軍事力を強化しようとする動きが再び強まっていることに、被爆地は強い懸念を持っています。  核兵器を持つ国々と核の傘に依存している国々のリーダーに訴えます。国連総会決議第1号で核兵器の廃絶を目標とした決意を忘れないでください。そして50年前に核不拡散条約(NPT)で交わした「核軍縮に誠実に取り組む」という世界との約束を果たしてください。人類がもう一度被爆者を生む過ちを犯してしまう前に、核兵器に頼らない安全保障政策に転換することを強く求めます。  そして世界の皆さん、核兵器禁止条約が一日も早く発効するよう、自分の国の政府と国会に条約の署名と批准を求めてください。  日本政府は、核兵器禁止条約に署名しない立場をとっています。それに対して今、300を超える地方議会が条約の署名と批准を求める声を上げています。日本政府には、唯一の戦争被爆国として、核兵器禁止条約に賛同し、世界を非核化に導く道義的責任を果たすことを求めます。  今、朝鮮半島では非核化と平和に向けた新しい動きが生まれつつあります。南北首脳による「板門店宣言」や初めての米朝首脳会談を起点として、粘り強い外交によって、後戻りすることのない非核化が実現することを、被爆地は大きな期待を持って見守っています。日本政府には、この絶好の機会を生かし、日本と朝鮮半島全体を非核化する「北東アジア非核兵器地帯」の実現に向けた努力を求めます。  長崎の核兵器廃絶運動を長年牽引(けんいん)してきた二人の被爆者が、昨年、相次いで亡くなりました。その一人の土山秀夫さんは、核兵器に頼ろうとする国々のリーダーに対し、こう述べています。「あなた方が核兵器を所有し、またこれから保有しようとすることは、何の自慢にもならない。それどころか恥ずべき人道に対する犯罪の加担者となりかねないことを知るべきである」。もう一人の被爆者、谷口稜曄さんはこう述べました。「核兵器と人類は共存できないのです。こんな苦しみは、もう私たちだけでたくさんです。人間が人間として生きていくためには、地球上に一発たりとも核兵器を残してはなりません」  二人は、戦争や被爆の体験がない人たちが道を間違えてしまうことを強く心配していました。二人がいなくなった今、改めて「戦争をしない」という日本国憲法に込められた思いを次世代に引き継がなければならないと思います。  平和な世界の実現に向けて、私たち一人ひとりに出来ることはたくさんあります。  被爆地を訪れ、核兵器の怖さと歴史を知ることはその一つです。自分のまちの戦争体験を聴くことも大切なことです。体験は共有できなくても、平和への思いは共有できます。  長崎で生まれた核兵器廃絶一万人署名活動は、高校生たちの発案で始まりました。若い世代の発想と行動力は新しい活動を生み出す力を持っています。  折り鶴を折って被爆地に送り続けている人もいます。文化や風習の異なる国の人たちと交流することで、相互理解を深めることも平和につながります。自分の好きな音楽やスポーツを通して平和への思いを表現することもできます。市民社会こそ平和を生む基盤です。「戦争の文化」ではなく「平和の文化」を、市民社会の力で世界中に広げていきましょう。  東日本大震災の原発事故から7年が経過した今も、放射線の影響は福島の皆さんを苦しめ続けています。長崎は、復興に向け努力されている福島の皆さんを引き続き応援していきます。  被爆者の平均年齢は82歳を超えました。日本政府には、今なお原爆の後障害に苦しむ被爆者のさらなる援護の充実とともに、今も被爆者と認定されていない「被爆体験者」の一日も早い救済を求めます。  原子爆弾で亡くなられた方々に心から追悼の意を捧げ、私たち長崎市民は、核兵器のない世界と恒久平和の実現のため、世界の皆さんとともに力を尽くし続けることをここに宣言します。  2018年(平成30年)8月9日 長崎市長 田上富久

プルトニウムの再処理とMOX原発での利用を前提とした、原子力委の新方針を新聞各紙はどう伝えたか? 2018年8月1日

 2018年7月31日、原子力委員会が発表した指針は、① これからもプルトニウムを保有する、② そのために使用済み核燃料からの再処理でプルトニウムを 抽出する。③ MOX燃料を利用する原発を活用する、という内容です。  その新指針を新聞各紙はどう報道したのでしょうか。特に毎日新聞と読売新聞は本当に死んでいます。見出しに「原子力委 プルトニウム削減明記 新指針 六ケ所再処理量運転制限」毎日新聞、「プルトニウム削減明記…原子力委 基本方針15年ぶり改定」読売新聞、です。しかし、そもそも、各新聞に記事の情報を提供している、共同通信もだめです。共同通信の記事の見出しは「核燃料再処理制限し増加を抑制 プルトニウム削減の新指針」です。共同通信の配信をそのまま引用している、地方も同じ記事の見出しです。共同通信が「プルトニウム削減」と書けば、無批判にプルトニウムを削減するのだろう、という新聞社の無能ぶりが現れています。  今回の原子力委員会の指針は、プルトニウム削減の方針ではないです。今後も日本としてプルトニウムを保有し、そのプルトニウムを抽出、保有するために、MOX燃料を利用する原発を稼動し続ける、という内容です。   プルトニウム削減で新指針具体的方法・数値示さず 東京新聞 2018年8月1日1面  国の原子力政策を決定する原子力委員会(委員長=岡芳明・元早大理工学部特任教授)は7月31日、原発の使用済み核燃料から発生するプルトニウムの利用指針を15年ぶりに改定し、公表した。現在の保有量約47トンを上限と設定し、これより削減させるとした。ただし具体的な削減の方法や数値目標には言及せず、電力会社に委ねた形で、実際に削減が進むかは見通せない。  岡委員長は具体策に踏み込まなかった理由について「民間の経営、創意工夫をできるだけ生かすため」と説明した。  プルトニウムを大量消費する高速炉開発が滞る中、保有量削減には既存の原発で少しずつ消費するプルサーマル方式の実行しか手段がないのが現状。新指針では毎年の抽出量を政府の認可事項とし、プルサーマルで消費できる量に限定するとした。プルトニウムを抽出する再処理工場(青森県六ヶ所村)については現計画通り2021年上記に完成しても、フル稼働するとプルトニウムが増えるおそれがあるため、「稼動を抑えることもある」(原子力委事務局)としている。  また、「電力会社間の連携を促す」とも明記。プルサーマル原発の再稼動のめどが立っていない東京電力などのプルトニウムを、プルサーマル原発が再稼動している関西電力などで消費させることも想定した。  日本は原発の使用済み核燃料からプルトニウムを取り出し再利用する核燃料サイクルを進めようとしているが、プルトニウムを使う高速増殖原型疎炉もんじゅは2016年に廃炉が決定。原爆6000発に相当するプルトニウムを抱えていることに米中など海外からの警戒感が示されている。 再処理容認 矛盾の政策   原子力委員会の新指針はプルトニウム削減を主張する一方、増加につながる再処理工場稼動を認める矛盾に満ちた内容となった。  再処理工場を運営する日本原燃によるとフル稼働する2025年には年間8トンのプルトニウムを生産する。一方、プルサーマル原発は1基0.5トンしか消費しないため、4基の消費分は計2トン。この結果、毎年6トンずつ増える計算。このため、同委は再処理工場の稼動を落とすことが必要と指摘する。  だが、再処理工場の建設・運営費は電気代に託送料などで上乗せ徴収される仕組みとなっており、稼動が落ちて赤字が膨らめば、さらに電気代で国民負担が増えかねない。高速炉の後継機も共同開発する予定の仏が計画を縮小、実現のメドは立たない。市民団体・原子力資料情報室の松久保肇氏は「もはや核燃料サイクルが経済的に成り立たないのは明白。撤退が筋だ」と指摘している。(伊藤弘喜)   プルトニウム上限47トン 現有分、削減には課題 原子力委 朝日新聞 2018年8月1日朝刊 1面 プルトニウムの「収支バランス」  内閣府の原子力委員会は31日、日本が国内外に保有するプルトニウムについて、現在の約47トンを上限とし、削減につなげる新たな方針を決定した。使用済み核燃料の再処理は、原発の燃料として再利用する分に限って認める。建設中の六ケ所再処理工場(青森県)は、稼働が制限される可能性があり、政府が掲げてきた核燃料サイクル政策は形骸化が強まりそうだ。▼3面=進まぬ再利用  方針の改定は15年ぶり。原子力委員会は、2003年の方針で「利用目的のないプルトニウムを持たない」として核兵器の原料になるプルトニウム保有に理解を求めてきた。これに対し、新方針は初めて保有量の削減に踏み込んだうえで、「現在の水準を超えることはない」とした。  日本はプルトニウムを国内に約10・5トン、再処理を委託した英仏に約36・7トン持つ。原爆約6千発分に相当する量で、今年7月に日米原子力協定が30年の満期を迎えるにあたり、米国などから具体的な削減策を示すよう求められていた。  新方針は、五つの対策を示した。ふつうの原発で再利用するプルサーマル発電に必要な分だけ再処理を認める▽再処理工場が「適切」に稼働できる水準まで減らす▽電力会社の連携で海外保有分を減らす▽利用方針が明確でない研究用プルトニウムの処分を検討▽使用済み燃料の貯蔵容量を増やす、などを盛り込んだ。  また、電力会社などに対し、余剰分の具体的な利用計画を毎年公表することも求めている。  日本は、プルトニウムを使う高速増殖原型炉もんじゅ(福井県)の廃炉が決まり、プルサーマルも計画通り進んでいない。一方、3年後に完成する予定の再処理工場がフル稼働すれば、年間約7トンのプルトニウムが取り出される。  電気事業連合会は原発16~18基でプルサーマルを導入すれば、再処理工場がフル稼働しても保有量を減らせると試算する。だが、現在導入できたのは4基で、原子力委によると、現状のままなら、再処理工場の処理能力の4分の1程度しか稼働できなくなるという。  (小川裕介、川田俊男) 再処理工場、稼働に制限も 進まないプルトニウムの再利用 朝日新聞 2018年8月1日朝刊 3面  日本が保有するプルトニウム  内閣府の原子力委員会は、たまり続けるプルトニウムの保有量に上限を設け、現状の約47トンから削減する方針にかじを切った。核拡散への懸念を払拭(ふっしょく)する狙いだが、実際に減らしていけるかは、関係省庁や電力会社の取り組みに委ねられる。▼1面参照  ■プルサーマル、再稼働は4基  「かなり大きな一歩」。原子力委員会の岡芳明委員長は31日の記者会見で、新方針の意義をこう強調した。  新たな方針は、日本原燃の六ケ所再処理工場(青森県)の稼働をコントロールすることが柱になる。  日本原燃の計画では、工場は約3年後に完成し、使用済み燃料からプルトニウムを取り出す再処理が本格的に始まる。新方針のもとでは稼働が大幅に制限される可能性がある。経済産業省による認可で、必要な分だけ再処理を認める仕組みにするが、プルトニウムの再利用そのものが停滞しているからだ。  プルトニウムとウランを混ぜた「MOX燃料」をふつうの原発で使うプルサーマル発電は、電気事業連合会の計画通りに16~18基で導入できれば、年に8~10トンを消費できる。一方、工場がフル稼働すると、新たに分離されるプルトニウムは年に約7トンで、収支のバランスが取れる。  ただ、東京電力福島第一原発事故後、プルサーマルで再稼働した原発は4基のみ。通常の再稼働とは別の許可を受ける必要があり、今後も大きく増える見通しはない。  保有量の8割近くを占める海外分は、六ケ所の工場が着工する前から、英仏の施設に再処理を委託した分だ。新方針は、電力各社で融通し合うことで海外分も減らすよう促す。再稼働が進む関西電力などの原発で、東京電力など他社分を燃やすことを想定する。  電気事業連合会の勝野哲会長(中部電力社長)は7月20日、「電力間の融通を検討していない。各社でプルサーマルを含めた再稼働をやっていくのが大前提」と消極的な姿勢を示した。再稼働が進む電力会社にとっては「地元との信頼関係を崩しかねない」(電力業界関係者)からだ。  新方針は、日本原子力研究開発機構の施設などに約4・6トンある研究開発用について、捨てる選択肢も検討すると踏み込んだ。使い道がほとんどなく、核テロ防止などの観点から削減を求められていた。ただ、具体的な処分法は決まっておらず、処分地を見つけるのも難航が予想される。  (川田俊男、桜井林太郎)  ■英、有償で引き取りを提案  プルトニウムの削減には、プルサーマル以外の選択肢もある。  日本が英国で保有するプルトニウムについて、英国政府は日本側が「十分にお金を払う」ことを条件に引き取ることを提案する。だが、電力会社は否定的だ。政府関係者も「あくまでプルサーマルで燃やす」と言う。プルトニウムを「資源」として再利用する核燃料サイクルの前提が崩れてしまうからだ。  英国にある約21トンは、現状では日本に持ち帰るのが難しい事情もある。英国のMOX燃料工場は2011年に閉鎖され、燃料に加工できない。加工前のプルトニウムを日本に輸送すれば、核拡散への懸念から国際問題に発展しかねない。このまま「塩漬け」になれば多額の保管料を払い続けることになる。  一方、欧州では、英国に余剰分を引き取ってもらう動きが広がる。ドイツやスウェーデン、オランダで実績がある。英国にとっては、自国分と一緒に処分でき、必要な資金も確保できる。  再処理をやめた米国も、解体した核兵器から出たプルトニウムの処分に悩む。MOX燃料にして原発で使おうとしたが、予算超過などで断念。代わりにプルトニウムを少量ずつ分け、化学物質を混ぜて薄め、地層処分する「希釈処分」を検討する。  (小川裕介、香取啓介=ワシントン)  ■<視点>核燃料サイクル、幕引きを  原子力委員会がプルトニウム保有量の上限を「現在の水準」(約47トン)と明示したことは、日本の核燃料サイクル政策がいよいよ立ち行かなくなった現実を示すものだ。  新方針によって、2・9兆円を投じて建設中の六ケ所再処理工場(青森県)は本格稼働を待たず、運転計画が暗礁に乗り上げる可能性が出てきた。  それでも政府は、原発のすべての使用済み核燃料に再処理を義務づける「全量再処理」路線を堅持する。大量の使用済み核燃料が、いつ再処理できるのかわからず、国内で長期保管を強いられるのは必至だ。  核燃料サイクルはそもそも、核兵器材料のプルトニウムを民間市場に流通させることで成り立つ。核拡散のリスクを本質的にはらんでおり、削減に手間取れば当然、国際社会からの批判にさらされる。  しかし、今回の新方針も肝心の具体的な削減目標や手段、時期などには踏み込まなかった。政府は削減に向けた詳細な道筋を、早急に世界に示す必要がある。  一方、新方針は研究開発用のプルトニウムについては、「処分」も含めて検討するとした。政府が真剣に削減を目指すのなら、「資源」と位置づけてきた電力会社の保有分にもこの方針を広げ、「ごみ」として廃棄処分する研究にも、すみやかに着手すべきだ。  核燃料サイクルが目指したプルトニウム利用はすでに経済性を失い、欧米では実際、廃棄処分への取り組みが進む。損失が拡大する前に、いかにプルトニウム利用から手を引くかが、世界の潮流だ。日本も、核燃料サイクルの幕引きにとりかかるときである。  (編集委員・上田俊英)   原子力委 プルトニウム削減明記 新指針 六ケ所再処理量運転制限 毎日新聞 2018年8月1日 1面  内閣府原子力委員会は31日、プルトニウムの利用指針を15年ぶりに改定し、日本の保有量を減少させると初めて明記した。新指針では、建設中の再処理工場(青森県六ケ所村)でのプルトニウム製造を原発で使う分までしか認めず、運転を制限する。電力会社には連携して利用可能な原発で消費し、着実な削減につなげるよう求めた。核不拡散の観点から米国を含む国際社会が日本の保有状況を懸念しており、払拭(ふっしょく)に努める。  原子力委員会は日本の原子力政策の長期的な方向性を示す役割を持っており、国際原子力機関(IAEA)を通じて新指針を各国に周知する。7月に閣議決定したエネルギー基本計画でも削減を明記している。  プルトニウムは原発の使用済み核燃料の再処理で生じ、日本は非核国では最多の核兵器約6000発分、47・3トンを保有。電力会社などが国内外で保管する。  原子力委員会は2003年の旧指針で「利用目的のないプルトニウムを持たない」と定めた。新指針は初めて削減に踏み込んだが、時期や削減量は定めず、保有量の上限は「現在の水準は超えない」とした。  その達成に向け、21年完成予定の再処理工場の運転計画を国が認可する際、ウラン・プルトニウム混合酸化物(MOX)燃料として原発で使う「プルサーマル発電」に必要な分までに稼働を制限。さらに電力会社に、これまで再処理を委託し英仏で保管する36・7トンについて連携、協力して削減するよう要請した。政府は、プルサーマル発電が可能な原発で会社の枠を超えて使ってもらい、全体の削減につなげたい考え。電力会社には毎年、プルトニウム利用計画の公表を求めた。  日本はプルトニウムの利用目的に発電用資源として再利用する核燃料サイクルを掲げ、当面はプルサーマル発電で用いるとしている。しかし福島第1原発事故の後、同発電の原発の再稼働は計4基にとどまり、消費は進まない。再処理工場がフル稼働すれば毎年、保有量は最大約8トン増える。その全ての消費には原発16~18基が必要とされ、現状では再処理工場の稼働の大幅制限が避けられない情勢だ。【岡田英】   プルトニウム削減明記…原子力委 基本方針15年ぶり改定 読売新聞 2018年8月1日朝刊 2面 プルトニウム利用の基本方針を改定した原子力委員会(31日、東京都千代田区で)  内閣府原子力委員会(岡芳明委員長)は31日、プルトニウムの利用に関する基本方針を15年ぶりに改定した。日本のプルトニウム保有量について「減少させる」と明記した。核不拡散を目指す国際社会からの懸念を背景に、平和利用の透明性を高めるという。 国、各電力間融通を提案  2017年末時点の日本のプルトニウム保有量も公表した。英仏が保管している約36・7トンと国内保管分約10・5トンの計約47・3トンで、16年末より0・4トン増えた。長崎型原爆約6000発分に相当する。  03年の前回方針も「利用目的のないプルトニウムを持たない」との原則を盛り込んでいたが、保有量の削減は示していなかった。  今回の方針では、英仏が保管する分のプルトニウムの優先的な削減を打ち出した。具体的には、原発の再稼働が遅れている電力会社が持つプルトニウムを、既に再稼働した他電力の原発で消費するなど、電力会社間の連携を促した。  一方、使用済み核燃料からプルトニウムを取り出す日本原燃の再処理工場(青森県六ヶ所村)は、21年度に完成する予定。フル稼働すれば年間最大7トンのプルトニウムが増える。このため今回は、政府として、必要最小限の再処理しか認めない方針も新たに示した。  日本のプルトニウム保有量は、03年に40トンを超えた。09~11年や16年ごろには、プルトニウムとウランの混合酸化物燃料(MOX燃料)を使うプルサーマル発電で保有量が少し減ったものの、ここ10年ほどの間は45トン前後で推移している。 原発稼働遅れ 消費が進まず  消費が進まない最大の理由は、11年の東京電力福島第一原子力発電所の事故後の原発再稼働の遅れだ。MOX燃料を使える原発は現在、関西電力高浜3、4号機(福井県)と四国電力伊方3号機(愛媛県)、九州電力玄海3号機(佐賀県)の4基だけ。  このうち伊方3号機は、運転差し止めの仮処分決定で停止している。3基のプルトニウム消費量は、年間計1トン程度にとどまる。年間0・5トンの消費が期待されていた高速増殖炉「もんじゅ」(福井県敦賀市)は、16年に廃炉が決まった。  プルトニウムが減らない状況に、国際社会からは懸念の声も出ている。中国は15年の国連総会で、「大量の核兵器を作るのに十分な量。核不拡散体制に大きなリスクだ」と批判した。  岡委員長は31日、「日本だけがどんどんプルトニウムをためているという懸念を抱かれると、非常にまずい」と語り、菅官房長官も同日、「国際社会に引き続き丁寧に説明したい」と述べた。   六ヶ所の再処理制限 原子力委 プル削減へ新指針 福井新聞 2018年8月1日朝刊 5面  青森県六ケ所村の使用済み核燃料再処理工場    国の原子力委員会(岡芳明委員長)は31日の定例会合で、日本が保有するプルトニウムの削減に向け、2021年度完成予定の青森県六ケ所村の再処理工場で製造するプルトニウムを通常の原発で使用する量に限定することを柱とした新たな指針を決定した。保有量が現行水準を超えないよう管理し、再稼働が遅れている電力会社のプルトニウムを他社に融通することを念頭に各社に連携を促して保有量を減らす。  03年策定の「わが国のプルトニウム利用の基本的な考え方」を改定した。ただ、指針は具体的な保有量の上限や削減目標は示していない。削減の具体策にも踏み込まず、電力会社や経済産業省に委ねた形だ。東京電力福島第1原発事故後、通常の原発でプルトニウム・ウラン混合酸化物(MOX)燃料を燃やすプルサーマルも停滞し、削減できるかは不透明だ。  会合では、日本のプルトニウム保有量が17年末時点で前年から約0・4トン増え約47・3トンとなり、うち海外保有分が約36・7トンと報告された。  指針は、プルサーマルの実施状況に応じ、必要な量だけプルトニウムを製造するよう国が認可すると強調。海外に多くのプルトニウムを抱える電力会社が他社に譲渡して稼働原発で消費するなど各電力の連携を促し削減に取り組むほか、研究開発用は、当面の使用方針が明確でない場合は処分を検討するとした。  日本に再処理を認めた日米原子力協定が30年の期限を満了し7月17日に自動延長され、米国側の通告で一方的に終了できるようになった。米国側は核兵器6千発分に相当する日本のプルトニウムに懸念を示し、対外的な説明を求めていた。  日本は原発の使用済み核燃料からプルトニウムを取り出し、再び原発で使う核燃料サイクルを進めようとしているが、中核だった高速増殖原型炉もんじゅは16年12月に廃炉が決定。六ケ所村の再処理工場が稼働すれば、保有プルトニウムが増加する恐れがある。   再処理制限し増加抑制 プルトニウム削減へ新指針 佐賀新聞 2018年8月1日 2面  青森県六ケ所村の使用済み核燃料再処理工場   国の原子力委員会(岡芳明委員長)は31日の定例会合で、日本が保有するプルトニウムの削減に向け、2021年度完成予定の青森県六ケ所村の再処理工場で製造するプルトニウムを通常の原発で使用する量に限定することを柱とした新たな指針を決定した。保有量が現行水準を超えないよう管理し、再稼働が遅れている電力会社のプルトニウムを他社に融通することを念頭に各社に連携を促して保有量を減らす。  03年策定の「わが国のプルトニウム利用の基本的な考え方」を改定した。ただ、指針は具体的な保有量の上限や削減目標は示していない。削減の具体策にも踏み込まず、電力会社や経済産業省に委ねた形だ。東京電力福島第1原発事故後、通常の原発でプルトニウム・ウラン混合酸化物(MOX)燃料を燃やすプルサーマルも停滞し、削減できるかは不透明だ。  会合では、日本のプルトニウム保有量が17年末時点で前年から約0・4トン増え約47・3トンとなり、うち海外保有分が約36・7トンと報告された。  指針は、プルサーマルの実施状況に応じ、必要な量だけプルトニウムを製造するよう国が認可すると強調。海外に多くのプルトニウムを抱える電力会社が他社に譲渡して稼働原発で消費するなど各電力の連携を促し削減に取り組むほか、研究開発用は、当面の使用方針が明確でない場合は処分を検討するとした。  日本に再処理を認めた日米原子力協定が30年の期限を満了し7月17日に自動延長され、米国側の通告で一方的に終了できるようになった。米国側は核兵器6千発分に相当する日本のプルトニウムに懸念を示し、対外的な説明を求めていた。  日本は原発の使用済み核燃料からプルトニウムを取り出し、再び原発で使う核燃料サイクルを進めようとしているが、中核だった高速増殖原型炉もんじゅは16年12月に廃炉が決定。六ケ所村の再処理工場が稼働すれば、保有プルトニウムが増加する恐れがある。   核燃料再処理制限し増加を抑制 プルトニウム削減の新指針 共同通信 2018/7/31 15:49 青森県六ケ所村の使用済み核燃料再処理工場  国の原子力委員会(岡芳明委員長)は31日の定例会合で、日本が保有するプルトニウムの削減に向け、2021年度完成予定の青森県六ケ所村の再処理工場で製造するプルトニウムを通常の原発で使用する量に限定することを柱とした新たな指針を決定した。保有量が現行水準を超えないよう管理し、再稼働が遅れている電力会社のプルトニウムを他社に融通することを念頭に各社に連携を促して保有量を減らす。  03年策定の「わが国のプルトニウム利用の基本的な考え方」を改定した。ただ、指針は具体的な保有量の上限や削減目標は示していない。電力会社や経済産業省に委ねた形だ。      

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