立憲民主党の「原発ゼロ基本法案」、このままでは見かけ倒しに終わる可能性大です。

かつての野田政権が、2011年8月「原発ゼロ」を掲げましたが、9月にはアメリカから「ブルトニウム抽出権」はどうするのだ?などなと言われ、あっという間に、「原発ゼロ」政策を放棄しました。

今回の立憲民主党の「原発ゼロ基本法案」は「使用済み核燃料の再処理と核燃料サイクルも中止する」が入っているだけ、まだ良いのですが、大事なのは、日本の原発はアメリカの核戦略の支援と密接に絡んでいること。日本の原発をゼロにするためには、日米原子力協定の破棄ないし、停止が必要です。

川根の個人的な推測ですが、日米安保条約や、それに関係する密約まで手をつけなければ、解決できない問題だと思います。

願望や夢だけでは、原発ゼロはできません。

アメリカに原爆を落とされた国、日本になぜこれほどの原発が建ったのかも、含めて考えると、一筋縄ではいかない問題です。日本はアメリカの原爆投下を不問にするかわりに、原発を輸出してもらえたのです。

<参考文献>笹本制男『米軍占領下の原爆調査 加害国になった日本』新幹社、1995年

さらに、アメリカの核戦略を支持すること、の見返りに、使用済み核燃料からのブルトニウム抽出権を、国際原子力機関(IAEA)、つまりアメリカから認められたのです。

原発を辞めるということは、これらすべての問題に答えを出す、ということ。

同時に、ブルトニウム抽出権は、日本の独自核武装のための、必須条件です。これほどの無駄な予算をつぎ込んでも何一つ出来ていない、ブルトニウム抽出、核燃料サイクルが、潰れそうになりながらも、繰り返し息を吹き返すのは、日本の保守層に連綿としてある、独自核武装への願望でしか、説明できません。「原発ゼロ、なら、日本の独自核武装の権利も放棄するのか?」「北朝鮮の核ミサイルにどうやって対抗するのだ?」という議論が早晩出てくるはずです。

川根は、何も「原発ゼロ基本法案」を作るべきではない、と言いたいのではありません。法案に魂を入れないと、見かけ倒しになる、と言いたいのです。

その魂とは、

(1) 2度と広島、長崎の惨劇を繰り返さない。福島の事故を起こさない。そのために、核兵器にも、原発にも依存しない世界を目指し、日本は未来永劫、核戦力を保持しないし、アメリカの核兵器も持ち込ませない、核に依存しない安全保障政策へと転換する。北東アジアの非核武装地帯化を訴える。北朝鮮の目の前での日米や米韓軍事演習を中止し、北朝鮮が国家として存続することを支持することと同時に、北朝鮮に対して、核武装の放棄を呼び掛ける。

(2) 日本は未来永劫、核武装も核の傘にも依存しない。核兵器禁止条約に参加する。核保有国に対して、核兵器の保有と核による威嚇を辞めるよう求める。

(3) すべての原発の運転を停止し、地震、津波、火山等に対する安全を強化する。他国に対して、原発を狙った通常兵器による攻撃も、核攻撃と同じであることを訴え、日本を含めた地域の安全のためにも、北東アジアの戦争防止の対話の枠組みを創設する。

(4) 使用済み核燃料からのブルトニウム抽出権は放棄する。日米原子力協定は破棄する。日本が保有するブルトニウム、国内11トン(核分裂性は7トン)、海外37トン(核分裂性24トン)、計48トン(核分裂性31トン)は、アメリカに無償で譲渡する。同時に、アメリカに対して、核兵器ゼロに向けた他国か間交渉の開始を要求する。

(5) 使用済み核燃料の最終処分の考えは、放棄し、地上に30年単位で期間を決めて保管する。保管方法はその都度見直す。地震大国、火山大国日本に、地層処分できる、安定した地層など存在しない。原発の廃炉に伴う、高レベル廃棄物は原発立地自治体に保管する。核燃料プールの使用済み核燃料は、電力受給自治体の消費電力に応じた割合で、期間を決めて保管する。津波で流されることも想定し。カプセル型とし、流されたあと回収する体制も作る。電源なくして冷やせる空冷式とする。

川根が考えた「核兵器と原発ゼロ基本法案」です。

記:2018年1月5日(金) 18:30。同日、立憲民主党 枝野幸男代表にも手紙で手渡しました。