【速報】福島県の子どもたちの小児甲状腺がんは183名になりました。

 本日、2016年12月27日 第25回福島県県民健康調査検討委員会が開かれました。その席上で、本格検査2巡目(2014年度、2015年度)で68名の小児甲状腺がんの子どもたちが見つかったことが報告されました。もはや、スクリーニング効果とは言えません。

 単純に言って、年間34名の子どもたちが小児甲状腺がんを発症するのはありえません。すでに、先行検査(2011年度、2012年度、2013年度)で、前倒しに発見されるべき、甲状腺がんの子どもたちはすべて見つけているはずです。つまり、この68名の子どもたちは、2014年以降に発症した新たな小児甲状腺がんです。

 福島県の対象の子どもは原発事故当時0~18歳未満および2011年4月2日~2012年4月1日生まれの子ども、総計38万1,282人です。原発事故当時2011年から、福島県立医大 鈴木眞一教授は「日本の小児甲状腺がんの発症率は10万人あたり0.1 人か0.2 人である(年間の有病発見率)」と語ってきました。つまり、福島県の子どもたち約40万人から見つかる、小児甲状腺がんは、最大0.2人×4倍=0.8人、つまり多くても1人です。

 年間34人も子どもたちが新たに小児甲状腺がんに罹る、福島県に果たして住んでいていいのでしょうか?子ども、妊婦をはじめ、放射能汚染地帯から住民を避難させるべきです。

 福島県が発表してきた、先行検査(2011年度~2013年度)および、本格検査(2014年度、2015年度 2016年9月30日現在)と、その合計を一覧にしました。福島市の状況が危険です。先行検査と本格検査との小児甲状腺がんの有病者数が同じになりつつあります。福島市の小児甲状腺がんは、先行検査で12人、本格検査で10人です。福島市はもはや子育てできる場所ではないのではないでしょうか?

福島県 子どもたちの甲状腺超音波検査と穿刺細胞診 先行検査(2016年3月31日現在)および本格検査(2016年9月30日現在) 20161227 色つき

以下、図版が見づらい場合は上記pdfをダウンロードして下さい。拡大縮小ができます。

 なにも、小児甲状腺がんが見つかっているのは、福島県だけではありません。すでに福島県の南部と北部でも小児甲状腺がんの子どもたちが出ています。

茨城県北茨城市 小児甲状腺がん 3名

 (2015年8月25日公表 福島原発事故当時0~18歳を検査 検査実施4777人)

宮城県丸森町 小児甲状腺がん 2名

  (2016年6月2日公表 福島原発事故当時0~18歳を検査 検査実施1564人)

 また、2016年9月17日設立された、3.11甲状腺がん子ども基金は、甲状腺がんに罹った子ども1人に対して10万円の「手のひらサポート」を開始しました。2016年12月1日から受付を開始し、12月26日から給付を開始しました。電話だけでも約60件の申請についての問い合わせがありました。今回、35人に給付が行われました。

 その内訳は、福島県26人のほか、神奈川県3人、宮城県、群馬県、千葉県、埼玉県、長野県、新潟県が各1人。年齢は現在10歳から25歳までで、男性14人に対し、女性は21人。すでに手術を終えていたり、手術が決定している患者について分析したところ、福島県内の患者は8割が半摘でしたが、福島県外では、がんが進行してから見つかっている患者が多く、8割が全摘でした。またリンパ節転移についても、県外では90%近くに転移がありました。

 また、福島県26人のうち、今回、福島県の県民健康調査検討委員会による検査で見逃され、自覚症状などによって、個別に健診し、甲状腺がんと診断された患者が3人いました。つまり、福島県が発表している183人は全数ではありません。小児甲状腺がんに罹っている子どもたちの実数はもっと多いのです。

ーOur Planet-Tv 

甲状腺がん・福島県外で重症化〜基金が初の療養費給付

投稿者: ourplanet 投稿日時: 月, 12/26/2016 – 08:28

 以下に、国立環境研究所が作成した、ヨウ素131のシュミレーションを紹介します。東北、関東一体にヨウ素131のプルームが通っていたのです。この時、屋外にいて、空気を吸った子どもたちにはリスクがあります。主に2011年3月12日~7月7日までは、大気中からヨウ素131が検出されています(参考:高崎CTBT作成資料

高崎に設置されたCTBT放射性核種探知観測所における放射性核種探知状況(2012年4月15日現在) 2011年3月12日~2012年4月15日)。

ヨウ素131の拡散シュミレーション

 そして、福島県県民健康調査検討委員会が発表した、本格検査(2巡目)における、小児甲状腺がんの発症数を各市町村ごとに整理しました。2015年3月31日現在~2016年9月30日現在。

 繰り返しますが、福島県の子どもたち全体で40万人。年間に小児甲状腺がんを発症するのは多くても1人のはずです。各市町村ごとに年間1人発症するだけでも、異常に高い発症率です。原発事故がもたらした放射能のプルームが原因であると考えられます。

福島県 子どもたちの甲状腺超音波検査と穿刺細胞診 本格検査の推移悪性、悪性疑い例数(2016年9月30日現在) 20161227 色つき

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 唯一の希望は、双葉町です。井戸川克隆前双葉町長が全村避難させ、住民を埼玉県に連れてきた、双葉町からはいまだに小児甲状腺がんの子どもが出ていません。井戸川前町長は、独自の判断で、川俣町に避難していた、40歳未満の町民すべてに安定ヨウ素剤を服用させています(2011年3月14日および3月15日)。

 しかし、大人の甲状腺がんのリスクは心配です。

 原発事故から8年後、ベラルーシでは大人の甲状腺がんが3倍になりました。甲状腺がんは本来、大人が罹るものです。原発事故の影響があるのですから、すべての診断と治療、手術後のケア、就業保障等を国の責任で行うべきです。原発は国家政策であったのですから。

 ただちに、子ども、妊婦を含め、住民の避難を補償するべきだと思います。福島県のみならず、東北、関東地方の子どもたちの甲状腺検査が必要です。